JP3610099B2 - 手術用顕微鏡装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、実体顕微鏡等、特に、医師が微細な手術を行う際に術部を拡大観察するための手術用顕微鏡装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
脳神経外科等の微細な手術に使用される手術用顕微鏡装置は、患部を拡大観察するための鏡体(顕微鏡)と、この鏡体を支持して観察者の適宜所望の位置への移動とその位置での保持のための架台(支持装置)とで構成されている。架台は、支柱の上部に、モータにより上下動する上下動軸体が支持されており、この上下動軸体の上端には、第1のアーム部の一端が水平方向へ回動自在に取り付けられ、さらに第1のアーム部の回動先端には、接続ブロックを介して第2のアーム部が連結されている。そして、第2のアーム部は、水平方向への回転と鉛直な向きへの回転が自在なように取り付けられる。各回転軸部には、電磁クラッチが内蔵され、この電磁クラッチは、前記鏡体に設置されたスイッチまたはフットスイッチの操作入力手段を操作することにより作動する。これにより、各回転軸部を中心にアーム部は、その回動と固定が可能であり、それに応じた鏡体の位置変更を自在に行うことができるようになっている。
【0003】
また、第2のアームの他端には、鏡体を支持してこれを水平面上の所望の位置への微動を行うために2つのモータを内蔵したXY移動装置が取り付けられている。このXY移動装置駆動用モータは、正負両方向に回転可能であり、そのXYの各軸体にそれぞれ連結されている。そして、このXY移動装置への動作指令の入力は、通常、フットスイッチに設置されたジョイスティックを足で前後左右方向に操作して行っている。これにより術者は鏡体の移動を水平面上で自在に行うことができる。
【0004】
一方、フットスイッチに設置されたジョイスティックによる操作入力手段の他の方式としては、従来、以下のようなものが提案されている。まず、特公昭52−46811号公報には、前記電磁クラッチの操作入力手段として、鏡体の本体とは別の、その本体から離れた近傍部分に設置されたマウススイッチを術者が噛んで操作し、その電磁クラッチをフリーにする。そして、マウススイッチをくわえた顔を動かすことにより鏡体の移動を行うものが開示されている。
【0005】
また、スイス特許482439号には、鏡体のヘッドレストに設けられた4つの操作入力スイッチを術者の頭で操作して電動による水平面上のXY座標軸の4方向への鏡体の移動を行う手術用顕微鏡装置が開示されている。
【0006】
さらに、特開平6−14939号公報には、術者の頭部の前後左右方向への移動を検出して鏡体部の移動を電気的に行う操作入力手段が開示されている。
また、特開昭61−235713号公報においては、ジョイスティックの傾き量に対応した速度で、観察部を円滑に移動させるジョイスティックによる一般的な装置が示されている。
【0007】
実開昭62−184513号公報には、鏡基に合焦点検出手段を設けピントズレが設定値より大きい場合には粗動焦準部を、設定値より小さい場合には微動焦準部を駆動する制御手段を有し、鏡基を短時間にて、合焦点位置へ移動できる装置が開示されている。また、スイッチの押圧に対応し速度が変化する装置も開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、一般に用いられるフットスイッチに設置されたジョイスティックを足で操作する方式の操作入力手段では、手術中に鏡体の移動が必要になったときにそのフットスイッチがすぐに見つからない場合があり、そのときには、顕微鏡の観察をやめて、フットスイッチを目で探さねばならず、また、手術の一時中断が必要となるため、効率的で繁雑な作業を行うことを余儀なくされる。
【0009】
特公昭52−46811号公報のマウススイッチによる電磁クラッチの操作入力は、術者は手術マスクをかけているためにマウススイッチを噛む操作入力は必ずしも容易ではない。また、マウススイッチを噛む操作を行う際には、接眼部から目を離して、観察および手術を一時中断する必要となるため、これの場合にも効率的で繁雑な作業を行うことを余儀なくされる。
【0010】
また、スイス特許482439号に開示された手術用顕微鏡は、鏡体部に設置された操作スイッチを術者が頭で押して入力操作を行うため、入力操作に手足を用いることが不要であるから、手術の大幅な中断を招かずに鏡体の移動操作を比較的容易に行うことが可能であるが、操作スイッチを鏡体から離れたそのフレーム部に設けるため、その鏡体付近が大型化してしまい、術者は操作スイッチを操作するために頭を大きく動かさなくてはならず、煩わしく、また、かなりの疲れを招く。また、接眼部から目を離して、観察および手術を一時中断する必要となることもあり、このため、これの場合にも効率的で繁雑な作業を行うことを余儀なくされることも多い。
【0011】
さらに、特開平6−14939号公報に開示された手術用顕微鏡は、術者の頭部が、常に手術用顕微鏡の鏡体に固定されるため、手術中に接眼レンズから目を離して、手術具の確認をしたり、壁等に貼られたCT写真を見て術部の確認をしたりするといった顕微鏡観察以外の手術行為に支障をきたすことがある。
【0012】
本発明は前記各問題点に鑑みてなされたものであり、鏡体移動の操作入力を手足を用いずに、かつ頭部の自由を損なうことなく迅速かつ容易に行うことができる手術用顕微鏡装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、観察対象を観察するための接眼部が設けられる鏡体を有する顕微鏡と、前記鏡体を支持する支持手段と、前記鏡体に変位が生じるように前記支持手段を移動可能な移動手段と、前記接眼部に設けられて、前記鏡体に所望の変位が生じるように前記移動手段を駆動して前記支持手段を移動させるための指令を入力可能な入力手段と、前記入力手段に入力された指令に応じて前記移動手段の駆動を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする手術用顕微鏡装置である。
請求項2に係る発明は、前記鏡体の移動速度を前記入力手段に与える押力によって調節する調節手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の手術用顕微鏡装置である。
請求項3に係る発明は、前記入力手段に与える指示を所定時間行うことにより前記鏡体が移動可能となるように制御する移動制御手段を設けたことを特徴とする請求項1及び請求項2のいずれか一方に記載の手術用顕微鏡装置である。
【0014】
【実施例】
<第1の実施例>
図1ないし図4を参照して、本発明の第1の実施例を説明する。図1はその手術用顕微鏡装置の接眼部の外観を示す斜視図、図2はその手術用顕微鏡装置の電気系の回路図、図3はその手術用顕微鏡装置の概略的な全体構成を示す側面図、図4はその手術用顕微鏡装置のXY移動装置の構成を示す斜視図である。
【0015】
(構成)
図3で示すように、手術用顕微鏡装置は、患部を拡大観察するための顕微鏡の鏡体1と、この鏡体1を支持して観察者の所望の位置に適宜移動するための架台(支持装置)2とを備えて構成されている。
架台2は、次のように構成されている。つまり、床に載置されるベース3を有し、このベース3には、支柱4が立設されている。支柱4の上部には、図示しないモータにより上下動する上下動軸5が接続されている。また、この上下動軸5の上端には、第1のアーム6の一端を枢着し、回転軸Aを中心とする水平な向きで、その第1のアーム6を回動自在としている。第1のアーム6の他端には、接続ブロック7を介して第2のアーム8の一端を枢着してなり、第2のアーム8は、回転軸Bを中心に水平方向へ、回転軸Cを中心に鉛直方向へ、それぞれ回動自在に取り付けられている。前記各回転軸A,B,Cのそれぞれには、図示しない電磁クラッチが内蔵されている。これらの電磁クラッチは、前記鏡体1またはフットスイッチ9に設置された図示しないスイッチを操作することにより作動させられる。これにより、回転軸A,B,Cを中心に、アーム6,8の回動および固定が可能であり、鏡体1の位置変更を自由自在に行うことができるようになっている。鏡体1は、後述するXY移動装置40および適宜の姿勢可変用リンク機構39を直列に介して、前記第2のアーム8の先端に保持されている。
【0016】
前記鏡体1には、図1において示すような接眼鏡筒11が取り付けられている。この接眼鏡筒11は実体顕微鏡の2本の観察光路をもっており、また、接眼鏡筒11には、その実体顕微鏡の2本の観察光路上にそれぞれ位置した接眼レンズ鏡筒12,13が設けられている。さらに、これらの接眼レンズ鏡筒12,13の突出側端部には、それぞれプラスチック製のアイシェード14,15が突出的かつ同軸的に設置されている。そして、この各アイシェード14,15には操作入力手段が組み込まれている。すなわち、アイシェード14,15の突き出た端縁部分の上側部位にはそれぞれ押釦スイッチ16,17が、各下側部位にはそれぞれ押釦スイッチ18,19が、左側のアイシェード14の端縁部の左側部位には押釦スイッチ20が、右側のアイシェード14,15の端縁部の右側部位には押釦スイッチ21が、それぞれ設けられており、それらの作動子たる押釦を観察者側に向けて固定的に設置されている。押釦スイッチ16〜21は例えばマイクロスイッチを用いている。
【0017】
接眼鏡筒11の外表面の、接眼レンズ鏡筒12,13の間に位置する部位は、赤外発光ダイオード22およびフォトダイオード23が、その発光面と受光面を観察者の顔面側に向けて設置されている。そして、赤外発光ダイオード22で発光した光が術者の顔面で反射した光をフォトダイオード23で受け、その受光する光量のレベルにより、術者の顔面が、接眼部近くにあるか否かを判別するための検出手段、つまり、接眼部の近傍における観察者の有無を検知する検知手段を構成する。
【0018】
図2は、手術用顕微鏡装置に組み込まれる駆動制御系を示し、その制御回路31には、前述したフットスイッチ9と各押釦スイッチ16〜21が接続されており、また、押釦スイッチ16と押釦スイッチ17、押釦スイッチ18と押釦スイッチ19がそれぞれ並列になるように接続されている。また、赤外発光ダイオード22を動作させるLED駆動回路32と、反射光を受光するフォトダイオード23の出力レベルを検知するレベル判別回路33も、この制御回路31に接続されている。また、制御回路31は、Xモータ34およびYモータ35を、高速、低速で、正負両方向に選択的に駆動するための電源V および電源V を有し、接眼部の近傍における観察者の有無を検知する検知手段のレベル判別回路33により、回路が切り替わる切替回路36の接点a、bと接続されている。Xモータ34およびYモータ35の片側の端子は切替回路36に、もう一方の端子は、切替回路36を介して制御回路31に接続されている。
【0019】
また、例えば前述したフットスイッチ9は、鏡筒高速移動操作用のジョイスティック30を有しており、このジョイスティック30を足で前後左右に操作した際の信号が制御回路31に出力される。
【0020】
図4は、前記第2のアーム8の先端に鏡体1を移動自在に保持するための電動式のXY移動装置(移動機構)40を示すものであり、このXY移動装置40は次のように構成されている。つまり、鏡体1を保持する図示しないベースに固設されているXガイド41を備え、このXガイド41の一端部には前述したXモータ34が固設されている。Xモータ34には、Xボールネジ42がXガイド41に対して回転可能に設けられている。このXボールネジ42には、図示しないナットによりXガイド41上を移動するXテーブル43が連結されている。Xテーブル43にはYガイド44が固設されている。Yガイド44にも、Xガイド41と同様にYモータ35が固設されており、Yモータ35には、Yボールネジ45が、Yガイド44に対して回転可能に設けられている。このYボールネジ45には、図示しないナットによりYガイド44上を移動するYテーブル46が連結されている。Yテーブル46には、第2のアーム8に接続するための軸47が、Xガイド41、Yガイド44に対して垂直な状態で固設されている。
【0021】
(作用)
発光素子である赤外発光ダイオード22は、制御回路31によりLED駆動回路32を介して、その発光のパルス数や光量が制御され、常に、間欠的な赤外光のパルス光を発する。また、受光素子であるフォトダイオード23は、図示しない赤外透過フィルタを透過して、その赤外発光ダイオード22からの反射赤外光を受光し、その検出信号をレベル判別回路33へ出力する。レベル判別回路33は、フォトダイオード23からの信号を受け、術者の頭部が接眼部にあるか否かを判別し、その判別信号を制御回路31へ送る。
【0022】
ここで、術者の顔面(頭部)を検知しない場合、つまり、フォトダイオード23からの出力が小さい場合には、レベル判別回路33は、その信号hを制御回路31へ送る。これを受けた制御回路31は、切替回路36へ接点切替信号Hを送る。そして、切替回路36は、接点切替信号Hを受け取ると、接点の接続をa側に切り替え、鏡体1を前後左右に高速で移動させる。この逆に、フォトダイオード23からの出力が大きい場合には、レベル判別回路33は信号lを出力し、これを制御回路31へ送る。これを受けた制御回路31は、接点切替信号Lを切替回路36に送り、切替回路36は、接点の接続をb側に切り替える。すなわち、術者の頭部を検知すると、切替回路36は接点b側に接続され、鏡体1を前後左右に低速で移動させる。
【0023】
術者がXY移動装置40を駆動させて、鏡体1を前後左右の水平移動を行いたいときには、各押釦スイッチ16〜21を額や頬を用いて押す。押釦スイッチ16または押釦スイッチ17が押されると、制御回路31からはXモータ34へ正の電圧V が供給される。押釦スイッチ18または押釦スイッチ19が押されると、Xモータ34へ負のV の電圧が供給される。押釦スイッチ20が押されると、Yモータ35へ負の電圧V が供給される。押釦スイッチ21が押されると、Yモータ35へ正のV の電圧が供給される。
【0024】
ここで、Y方向(術者に対して前後方向)へ移動させる場合、例えば、まず、Xモータ34に正のV の電圧を加えると、そのXモータ34が低速で右回転し、これによりXボールネジ42も低速で右回転する。Xボールネジ42が右回転することによりXテーブル43はゆっくりと、Xモータ34の位置する図4での右側に位置する術者側へ移動する。したがって、図示しないベースに保持された鏡体1は、これに伴ってゆっくりと、術者から遠ざかる図4での左側方向に移動する。また、Xモータ34に負のV の電圧を印加すると、Xモータ34は低速で逆向きに回転し、Xテーブル43はXモータ34の位置する側と反対方向へ低速で移動する。
【0025】
一方、Y方向(術者に対して左右方向)の動作も同様に行われる。つまり、Yモータ35に正の電圧V を印加することによりYテーブル46に設けられた軸47はそのYモータ35側に移動し、鏡体1は前方へゆっくりと移動する。同様な動作により、Yモータ35に負の電圧V が加えられると、鏡体1はゆっくりと手前側へ移動する。
【0026】
次に、術者が接眼レンズ鏡筒12,13から眼を離した状態の場合は、フォトダイオード23は、顔面による赤外光の反射を受けないので、レベル判別回路33からの信号を受けた制御回路31は接点切替信号Hを切替回路36に送り、切替回路36は接点をb側に切り替える。このとき、ジョイスティック30を操作すると、例えばハイレベルの正のV の電圧がXモータ34に印加され、Xモータ34は高速で回転し、鏡体1は高速で術者から遠ざかる方向に移動する。ジョイスティック30の操作する向きに応じて、Xモータ34またはYモータ35に印加する電圧の向きが変わり、鏡体1を前後左右に高速で移動させることができる。
【0027】
(効果)
上述の如く、この第1の実施例では、接眼レンズ鏡筒12,13のアイシェード14,15に設置された操作用スイッチ16〜21を顔面で押すことにより電動式移動機構の操作入力を行うものであり、また、鏡体部1に設置された赤外発光ダイオード22から発せられた赤外光の術者の顔面での反射を、その赤外ダイオード22の近傍に設置されたフォトダイオード23で受光することにより、術者の観察状況の有無を検知して電動式移動機構の駆動速度の制御を行うことができる。そして、接眼レンズ鏡筒12,13のアイシェード14,15に設けられたスイッチ16〜21を術者の顔面で押してXY移動装置40の操作入力を行うため、前記XY移動装置40の操作入力手段を、安価かつ小型な構成で実現でき、また、顕微鏡観察中の操作入力を迅速且つ簡単に行える。
【0028】
また、一つの入力手段、例えばフットスイッチでの単純な操作(スイッチのオン/オフ)により接眼観察時ではゆっくりと移動し、接眼観察時以外の鏡体1の位置設定時等は粗動により高速に移動することができ、安価で観察部も大きくならない操作性のよい観察装置が提供できる。
【0029】
なお、この第1の実施例においては、押釦スイッチ16〜21をアイシェードの14,15の前端縁部の前後左右部位に設置してXY移動装置40の前後左右方向の移動に応じた操作入力を行ったが、アイシェード14,15に設けるスイッチの数を増やして、その各スイッチに対応したモータを印加される電圧を制御すれば、前後左右方向以外へのXY移動装置40の駆動が可能であるのは言うまでもない。また、この実施例では押釦スイッチを用いたが、例えば感圧スイッチ等を用いても同様の効果が得られる。
【0030】
この第1の実施例では、手術用顕微鏡としての例を述べたが、顕微鏡のステージや3次元測定装置でも同様の効果を得ることができる。
<第2の実施例>
図5ないし図11を参照して、本発明の第2の実施例を説明する。
【0031】
(構成)
この実施例では、平面的にスライド可能なアイシェードを鏡体の接眼部に設け、術者が顔面でそのアイシェードを移動させてXY移動装置の操作スイッチの入力操作を行う点を特徴とし、他の構成は、前述した第1の実施例と略同じ構成を有し、同様個所には同じ番号を付してその具体的な説明を省略する。
【0032】
図5において、50は2本の観察光路を有する接眼部であり、この接眼部50には矩形の筒状をなした接眼レンズ鏡筒51が設けられている。この接眼部50は前述した第1の実施例と同様に手術用顕微鏡の鏡体1に接続されている。
接眼レンズ鏡筒51の外壁の内側には、金属製のアイシェード52が設けられている。アイシェード52は、接眼レンズ鏡筒51内に入り込むスライド筒部53とこれに連繋するフード部54とからなり、後述する第1のガイド手段55と第2のガイド手段56によって、アイシェード52は、前後左右方向へ僅かに可動自在に設置されている。
【0033】
ここで、アイシェード52の可動方向を、X+方向、X−方向、Y+方向、Y−方向として、図5の如く設定する。アイシェード52のフード部54の上縁54aは手術者の額の形に合わせて湾曲した形状になっており、フード部54の下縁54bは、手術者の頬の形に合わせて上縁54aと同じように湾曲させ、その上縁54aの中央部には鼻の形に合わせて窪んだ形状の中心部54cが形成されている。
【0034】
図6はスライド筒部53に連繋するフード部54の動きをX方向へのみ許容する規制を行う第1のガイド手段55とこれの方向の操作入力部の構成を示すものである。すなわち、スライド筒部53の左右の両壁部(その一方でもよい。)には、その両側に離れて2つのスライド突起部57,58がその壁部側から見て左右に配設される。その2つのスライド突起部57,58の間には切欠きまたは溝状の間隙59を設けている。この間隙59には前記フード部54から延出して突出するスライド突起部60が入り込んでいる。間隙59の幅は、スライド突起部60の幅より充分に大きく、フード部54のスライド突起部60が前後に動ける余裕をもっている。そして、間隙59はその2つのスライド突起部57,58に架設されるガイド部61が設けられており、このガイド部61は、フード部54のスライド突起部60に開けられたガイド孔62を貫通している。ガイド孔62がガイド部61にスライド自在に嵌合することにより、前記フード部54の前後への移動を許容する第1のガイド手段55を構成している。
【0035】
また、第1のガイド手段55には、以下に述べるようなX方向の操作入力部が組み込まれている。すなわち、前記間隙59の内部空間内において、各スライド突起部57,58には、フード部54のスライド突起部60に向かってそれぞれ突出する弾性復帰自在なプランジャ71,72が、フード部54のスライド突起部60に、それぞれ反対側から挟み込むように突き当たって押圧するように設置されている。さらに、各スライド突起部57,58の、フード部54のスライド突起部60に向き合う各部分には、マイクロスイッチ73,74が設けられており、このマイクロスイッチ73,74は、その設置側へ、フード部54のスライド突起部60が移動したとき、そのマイクロスイッチ73,74の作動子が押されて操作されるようになっている。つまり、フード部54がX+方向に移動したときには、マイクロスイッチ73が操作され、フード部54がX−方向に移動したときには、マイクロスイッチ74が操作される。この操作によるマイクロスイッチ73,74の信号は、後述する制御回路110に入力される。
【0036】
一方、図7は、接眼レンズ鏡筒51に連繋するスライド筒部53の動きをY方向へのみ許容する規制を行う第2のガイド手段56とこれの方向の操作入力部の構成を示すものである。すなわち、接眼レンズ鏡筒51の内部において、その左右の両壁部(その一方でもよい。)には、その両側に離れて2つのスライド突起部77,78がその壁部側から見て左右に配設され、その2つのスライド突起部77,78の間には切欠きまたは溝状の間隙79を設けている。この間隙79には前記スライド筒部53から延出して突出するスライド突起部80が入り込んでいる。間隙79の幅は、スライド突起部80の幅より充分に大きく、スライド突起部80が前後に動ける余裕をもっている。そして、間隙79はその2つのスライド突起部77,78に架設されるガイド部81が設けられており、このガイド部81は、スライド突起部80に開けられたガイド孔82を貫通している。ガイド孔82がガイド部81にスライド自在に嵌合することにより、前記スライド筒部53の左右への移動を許容する第2のガイド手段56を構成している。
【0037】
このように構成された第2のガイド手段56には、以下に述べるようなY方向の操作入力部が組み込まれている。つまり、前記間隙79の内側において、各スライド突起部77,78には、スライド筒部53のスライド突起部80に向かって突出する弾性復帰自在なプランジャ85,86が、スライド筒部53のスライド突起部80を反対側からそれぞれ突き当たって挟み込む如く押圧するように設置されている。
【0038】
各スライド突起部77,78の外側には、スライド筒部53から延出して突出するスイッチ操作用突起部83,84が設けられている。そして、各スライド突起部77,78の外側端には、これに対応するスイッチ操作用突起部83,84にそれぞれ向き合うマイクロスイッチ87,88が設けられており、このマイクロスイッチ87,88は、その設置側へ、スライド筒部53のスライド突起部80が移動したとき、そのマイクロスイッチ87,88の作動子が操作されるようになっている。したがって、スライド筒部53がY+方向に移動したときには、マイクロスイッチ88が操作され、スライド筒部53がY−方向に移動したときには、マイクロスイッチ87が操作される。この操作によるマイクロスイッチ87,88の信号は後述する制御回路110に入力される。
【0039】
図8において、上下動軸5は、その架台2の支柱4に設けてあるガイド91により上下動可能に支持されている。また、上下動軸5には、ラック92を設けてあり、このラック92は、架台2の支柱4に固設された粗動モータ93の出力軸上のピニオンギア94と噛合している。
【0040】
一方、図9で示すように、鏡体1には、FOモータ95が固設してあり、FOモータ95の出力軸はウォームギア96の一端に接続され、ウォームギア96の他端部は、鏡体1に回転可能に保持されている。ウォームギア96と噛合しているウォームホイール97と同軸にピニオンギア98が固設されており、ウォームホイール97とピニオンギア98とは同回転するようになっている。さらに、ピニオンギア98は、軸が鏡体1に保持されたピニオンギア99と噛合している。この鏡体1をXY移動装置40に接続する軸体100の下部には、図示しないガイドが固設してあり、鏡体1が上下動可能となっているとともに、ラック101が設けられ、このラック101が、前記ピニオンギア99と噛合している。FOモータ95を駆動することにより、その回転が、ウォームギア96、ウォームホイール97、ピニオンギア98、ピニオンギア99を介して、ラック101に伝わり、その回転方向に応じて、鏡体1が上下動する。
【0041】
図10は、この手術用顕微鏡装置の電気系の回路を示す。前述した各マイクロスイッチ73、74,87,88は、制御回路110に接続される。制御回路110は、XY移動装置40のXモータ34およびYモータ35が正負両方向に回転可能なように電源の供給を行うように接続される。制御回路110は、粗動モータ93を駆動する駆動回路111と、FOモータ95を駆動する駆動回路112とに接続されている。また、制御回路110には、モード切替用のスイッチ113が接続されている。また、フットスイッチ9およびLED駆動回路32、レベル判別回路33も、前述した第1の実施例と同様、制御回路110に接続されている。
【0042】
(作用)
図8において、ラック92とピニオンギア94とは噛合しているので、粗動モータ93が右回転すると、上下動軸5は、上方へ移動し、逆回転すれば、下方へ移動する。したがって、上下動軸5に取り付けられたアーム6,8や鏡体1はそれに追従して全体的に昇降する。
【0043】
図9でのFOモータ95が右回転することにより、ウォームギア96が回転し、これに噛合しているウォームホイール97とこれと一体のピニオンギア98が左回転する。ピニオンギア98によりラック101は相対的に下がり、その軸体100に対して鏡体1は上方へ移動する。また、FOモータ95が逆回転すると、鏡体1は下方に移動することになる。
【0044】
次に、図11のフローチャートにもとづいて、制御回路110の動作を中心に説明する。まず、制御回路110は、フットスイッチ9からのフォーカス駆動信号を検出する(#01)。
このフットスイッチ9からの信号を検出すると、赤外発光ダイオード22を点灯させ、レベル判定回路33からの信号で検者が観察している状態にあるかを検出する(#02、#03)。
検者が観察状態にあることを検出すると、制御回路110は、駆動回路112を介してFOモータ95を低速で回転させ、先に説明した如く鏡体1を上下にゆっくりと移動させる(#04)。
検者が観察状態でなかったら、スイッチ113がON状態にあるかを確認する(#05)。スイッチ113がON状態であれば、制御回路110は、粗動モータ93を動かすべく、駆動回路112に信号を出力する。粗動モータ93を回転させることにより、上下動軸5が上下に移動し、鏡体1も、その上下動軸5に合わせて上下動することになる(#06)。スイッチ113がOFF状態であれば、制御回路110は、FOモータ95を高速で動かすべく、駆動回路112に低速回転の信号を出力する。FOモータ95が高速で回転することにより鏡体1は速い速度で上下に移動することができる(#07)。
上記動作が終了したら、再度フットスイッチ9からの信号があるかを確認する(#08)。フットスイッチ9からの信号がなければ、赤外発光ダイオード22の点灯を停止するとともにFOモータ95、粗動モータ93の駆動を停止する(#09)。フットスイッチ95からの信号があれば、再度検者が観察状態であるか否かの判別をして先と同様の動作を繰り返す(#08、#03)。
【0045】
次に、手術中の観察視野の微動を行う際の作用について説明する。左方向への微動を行いたいときは、アイシェード52に顔を押し当てて顔を左に動かすと、スライド筒部53がフード部54と一体になってガイド部81に沿って左に移動する。突き当って止まるまで押し込むと、スイッチ操作用突起部84によりマイクロスイッチ88の押釦が押されてそのマイクロスイッチ88が導通(作動)する。この信号により制御回路110はYモータ35に負の電源が供給され、そのYモータ35は負方向に回転してXY移動装置40がY−方向に駆動されて、鏡体1が左方向へ動く。鏡体1の移動を止めたいときは、アイシェード52から顔を離すと、スライド突起部60により押し込まれていたプランジャ72が元の状態に復帰してそのスライド突起部60がニュートラル位置に戻ることにより、マイクロスイッチ88がOFFされて、Yモータ35の回転が止まり、鏡体1の移動は停止する。
【0046】
同様に、右方向への微動を行いたいときには、アイシェード52に押し当てた顔を右に動かすと、スライド筒部53が右に動いてマイクロスイッチ87がスイッチ操作用突起部83に押されてONする。そして、Yモータ35が正方向に回転してXY移動装置40がY+方向に駆動され、術者がアイシェード52を右側に押し当てている間は鏡体1は右方向へ動く。
【0047】
さらに、観察視野を上下方向に移動させたいとき、すなわち、鏡体1を前後方向に微動移動させたいときには、アイシェード52に押し当てた顔を上下方向へ動かす。例えば顔を上方向へ動かすと、フード部54がガイド部61に沿ってX+方向へ滑り、マイクロスイッチ73の押し釦が押し込まれ、Xモータ34に正方向の電源が供給される。Xモータ34は正方向に回転してXY移動装置40はX+方向にマイクロスイッチ73がONしている間だけ駆動され、観察視野がX+方向へ移動する。視野の移動を止めたいときには術者が顔を離すと、プランジャ71の復帰動作によりフード部54がニュートラル位置に戻ることによりマイクロスイッチ73がOFF状態となり、鏡体1の動きが止まる。また、X−方向に動かしたときも同様で顔をX−方向へ動かすと、マイクロスイッチ74がONして鏡体1がX−方向へ動く。
【0048】
なお、この実施例においては、XY両軸に対してアイシェード52が可動な、操作入力装置により、XY駆動装置40への操作入力を行ったが、アイシェード52をZ軸方向に可動として術者がアイシェード52をZ軸方向に押し込んだときにも操作入力装置が作動するように構成して、他の電動駆動機構の操作入力を行ってもよい。
また、この第2の実施例では、操作入力手段にマイクロスイッチを用いているが、後述の第3の実施例に用いている歪検出器を屈曲可能な板に張り付けたものであってもよいし、アイシェードが前後左右方向に移動したことを検出するものであればいかなるセンサであっても構わない。
【0049】
(効果)
この第2の実施例によれば、観察者が顔を押し付けたアイシェード52を水平面上で移動させることにより、手術用顕微鏡の鏡体1のXY移動装置40を駆動することができるため、手術中の緊急の視野移動を要するときに迅速に操作入力を行うことができる。また、顔を動かすだけの自然な動作で操作入力ができるため、術者の負担が少なくなることで疲労が軽減され、手術に集中することができるため効率が上がるという効果がある。
さらに、検者が観察状態であるか否かを判別することにより、一つのスイッチにより焦準移動のスピードが自然に切り替わるため、焦準操作が容易となる。また、モードスイッチを使用した場合では、接眼部を覗いていない場合では、上下粗動アームが動作し、接眼部を覗いた場合に初めて鏡体部の微動焦準駆動装置が動きだすので、実質的に微動範囲を広く使え、焦準操作を短時間で行うことができる。
【0050】
以上はアームの上下粗動速度と鏡体部の微動焦準速度を合わせて紹介したが鏡体部の微動焦準機構を内焦点式の焦準機構としても同様の効果を得ることができる。
【0051】
<第3の実施例>
図12ないし図14を参照して、本発明の第3の実施例を説明する。
(構成)
この第3の実施例では、XY移動装置への操作入力を行う手段が、術者が顔を押し当てて、接眼レンズ部のアイシェードが変形したことを、そのアイシェードに設置された歪ゲージで検出することにより行う。また、鏡体に設けられた観察者検知手段によって観察者の有無の検知を行って電動駆動装置の選択を行い、術者の観察中は微動駆動装置を駆動し、観察してないときには粗動駆動装置を駆動するものである。
【0052】
この実施例による手術用顕微鏡装置は、図12に示すように、第2のアーム8の先端に回動自在に支持されたXY移動装置40の下端に、俯仰アーム121の上端を固定するとともに、その俯仰アーム121の下端に前述したような鏡体1を支持してなる。また、回転軸Eにより鏡体1が左右横方向へ回転可能であり、回転軸Fおよび回転軸Gを支える平行リンクアーム122,123により、その鏡体1が回転軸Gを中心に俯仰可能に支持されている。回転軸E,Fを回転させるxモータ124とyモータ125がそれぞれ回転軸E,Fに内蔵され、俯仰アーム121を自在な角度に設定可能なものとしている。
【0053】
次に、鏡体1に設置される接眼部130の構成を、図13を参照して具体的に説明する。この接眼部130には左右2本の観察光路が設置されており、この各観察光路上にはそれぞれ個別的に接眼レンズ鏡筒131,132が設置されている。さらに、各接眼レンズ鏡筒131,132には、弾性ゴム製のアイシェード133,134が装着されている。左側のアイシェード133の右上の外面には、この実施例における操作入力手段である歪ゲージ135が、同じくそのアイシェード133の右下の外面には歪ゲージ136が歪曲方向が観察軸方向になるように接着される。同様に、右側のアイシェード134の左上の外面には歪ゲージ137、その左下の外面には、歪ゲージ138がそれぞれ接着される。ここで、図13に示すように、術者から見て向こう側が、X+方向、手前側がX−方向、右側がY+方向、左側がY−方向と定義する。
【0054】
また、図14において、145は制御回路であり、前述した第1の実施例と同様にフットスイッチ9、LED駆動回路32およびレベル判別回路33に接続され、Xモータ34、Yモータ35、xモータ124、yモータ125を正負両方向へ駆動する駆動電源を有し、切替回路144の接点c,dに接続されている。切替回路144は、前述した第1の実施例と同様にレベル判別回路33により回路が切り替わるように、そのレベル判別回路33に接続されている。さらに、切替回路144は、XY移動装置40に内蔵されたXモータ34およびYモータ35と回転軸EおよびFに取り付けられたxモータ124およびyモータ125へ電源を供給するよう接続されている。
【0055】
また、歪ゲージ135〜138は、図示しないケーブルで、それぞれアンプ139〜142を介してCPU143に接続される。CPU143はXY装置40の駆動方向を示す駆動信号を出力するよう制御回路145に接続され、また,切替回路144のXモータ34およびYモータ35への電源ライン上に設置されるリレーを駆動するよう接続される。
【0056】
(作用)
この実施例の作用を説明する。手術開始時には術者は顕微鏡の位置決めのためにアーム6,8を動かして鏡体1をおおよその観察位置に移動する。次に、鏡体1の観察角度の決定のためにジョイスティック30を操作してxモータ124およびyモータ125を駆動させる。このとき、術者は鏡体1から頭を遠ざけているので、レベル判別回路33からは切替回路144へ信号を出力して、接点c,dはそれぞれxモータ124およびyモータ125側へ切り替わる。これにより術者のジョイスティック30の操作により,xモータ124およびyモータ125が駆動されて、俯仰アーム121が動いて鏡体1を所望の観察角度に設定できる。
【0057】
手術中に術者が観察視野を上下左右に移動させたいときには、接眼レンズ鏡筒131,132を覗いたまま、顔を上下左右の4方向の内の動かしたい方向に動かす。例えば、顔を上に動かしたときはアイシェード133の右下およびアイシェード134の左下が術者の鼻の左側によって押されて歪ゲージ136,138が曲げられる。同様に,顔を下に動かしたときはアイシェード133,134の上部が術者の額に押されることによって歪ゲージ135,137が曲げられる。顔を左に動かしたときは左側のアイシェード133の右下、すなわち歪ゲージ136が術者の鼻によって押し曲げられる。同様に右に顔を動かしたときは歪ゲージ138のみが曲げられる。以上の動作により押し曲げられた歪ゲージ135〜138からの出力信号はそれぞれアンプ139〜142によって増幅されてCPU143に入力される。
【0058】
CPU143ではアンプ139〜142からの入力値とあらかじめ設定された一定のしきい値との比較を行う。アンプ139,141より、入力した信号値のみがしきい値より大きいと判断した場合には画面の下方向すなわちX−方向への操作入力がされたと判断する。同様にアンプ140,142からの入力信号のみがしきい値を超えていた場合は画面の上方向すなわちX+方向への操作入力、アンプ140からの出力信号のみがしきい値を超えていた場合は画面の左方向すなわちY−方向への操作入力、アンプ142からの出力信号のみがしきい値を超えていた場合は右方向すなわちX+方向への操作入力がなされたと判断する。
【0059】
CPU143は、各方向への入力があったと判断した場合は入力方向に応じた入力方向信号を制御回路145へ出力する。前記入力方向信号に応じて、制御回路145では、例えばXの正方向に入力があった場合は正電圧をXモータ24へ供給する。同様にYの正方向への入力があった場合は正電圧をYモータ35へ供給する。XYの負方向に入力があった場合は負電圧をそれぞれXモータ34およびYモータ35へ供給する。また、CPU143は各アンプからのアナログ入力値の大きさに応じたデューティ比のパルス信号にして切替回路144のリレーに出力する。切替回路のリレーはパルス信号に応じて接点のオン/オフの動作が繰り返される。例えば、各アンプからの入力値の飽和値は5Vに設定されていて、術者が顔を左に動かしたときのアンプ140の出力値が4Vのときは4/5のデューティ比のパルス信号が切替回路144のXモータ34の電源ライン側のリレーへ出力される。同様に例えば術者が顔を上に動かしたときにアンプ140,142の出力値がそれぞれ3Vおよび4Vであったときには両者の平均をとって7/10のデューティ比のパルス信号を切替回路144のYモータ35側のリレーへ出力する。
【0060】
切替回路144では、入力されたパルス信号に従ってリレーがON/OFFする。このリレーの動作によりXモータ34およびYモータ35へパルス状の電源供給される。術者が顔を左に動かしたときには歪ゲージ136からの信号を受けたCPU143よりパルス状の信号が切替回路144のリレーへ出力され、信号のパルスに合わせて切替回路144のリレーが作動してYモータ35へ負のパルス状の電源電圧が供給される。これによりYモータ35は術者がアイシェード133を押した力の大きさに応じた速度で逆方向に回転して鏡体1はY−方向へ動く。術者は鏡体の移動速度を速くしたければ、アイシェード133をもっと強い力で押せば、歪ゲージ136がさらに大きく押し曲げられる。歪ゲージ136からの出力値が増すことに従い、CPU143よりXY移動装置40の駆動電源への出力信号のパルスのデューティ比が大きくなり、Yモータ35への電源が供給される時間が増えてYモータ35の回転速度が上がる。これにより鏡体1の移動速度が速くなる。
【0061】
同様に、鏡体1の移動速度を遅くしたいときは、術者のアイシェード133を押す力を弱めれば、歪ゲージ137の出力値が減ってYモータ35へのパルス信号のデューティ比が小さくなるため、Yモータ35の速度が弱まり、鏡体1の移動速度が遅くなる。鏡体1の移動を止めたいときは、アイシェード133より顔を離すことにより、歪ゲージ136が元の状態に戻って出力値がゼロになり、Yモータ35が停止することにより鏡体1の移動が止まる。
【0062】
右および前後方向に鏡体1を動かすために接眼レンズ鏡筒131,132を覗いたまま顔を右および前後方向に動かしたときも同様で、それぞれ歪ゲージ135のみ、歪ゲージ136,138、歪ゲージ135,137からの信号がCPU143に対して送られる。CPU143からは、それぞれ切替回路144のリレーに歪ゲージ135、136および138の出力値に応じたデューティ比のパルス状の信号が送られ、切替回路144のリレーが信号によりON/OFFしてYモータ35およびXモータ34へパルス状に電源が供給され、速度が変化する。
【0063】
なお、本実施例による歪ゲージは術者が誤って触れたときの誤操作を防ぐために術者がアイシェードを一定時間以上押さないと操作入力できないよう冗長設計としてもよい。
【0064】
さらには、接眼部を上下方向に可動な構造として接眼部の基底部にスイッチを設置し、接眼部を顔面で観察方向に押し込むことによりスイッチを操作することにより他の装置の操作入力としてもよい。
【0065】
(効果)
本実施例によれば、アイシェードに歪ゲージを接着しただけの小型軽量な構成にてXY移動装置の操作入力部を構成可能であるため、操作入力部を鏡体に設置することによる鏡体の重量増加がなくアームや架台も軽くすることができる。さらにアイシェードに加えた力を歪ゲージで検出して電動駆動装置の駆動速度を変化させることができるため術者が状況に応じて駆動速度を設定することができるため、移動させたい位置に確実に移動させることができる。
【0066】
さらには、術者が観察状態にあるか否かを検知して微動駆動装置と粗動駆動装置の選択を行うため安価で観察部の大きくならない操作性のよい観察装置を提供することができる。
【0067】
(付記)
1.鏡体を移動操作させるようにした手術用顕微鏡装置において、
前記鏡体を電動で移動させる移動機構と、この移動機構の動作を制御する制御回路部と、この制御回路部に前記移動機構の移動操作を行わせるための指令の入力を術者が行う操作入力手段とを有し、前記操作入力手段を前記鏡体の接眼部の近傍に設置したことを特徴とする手術用顕微鏡装置。
2.前記操作入力手段は、前記鏡体の接眼部におけるアイシェードの近傍に設け、術者の顔面で操作することを特徴とする第1項に記載の手術用顕微鏡装置。
3.前記操作入力手段は、前記接眼部の近傍における観察者の有無を検知する検知手段と、この検知手段により前記鏡体を移動する移動機構の駆動制御を行うためのスイッチ手段とを設けてなることを特徴とする第1項に記載の手術用顕微鏡装置。
4.前記移動機構の駆動制御手段は、その駆動速度を変化させるものであることを特徴とする第3項に記載の手術用顕微鏡装置。
5.前記操作入力手段は、接眼レンズのアイシェードの鏡体に対する変位量を検出するアイシェード変位検出手段であることを特徴とする第1〜2項に記載の手術用顕微鏡装置。
6.前記操作入力手段は、接眼レンズのアイシェードの変形量を検出するアイシェード変形検出手段であることを特徴とする第1〜2項に記載の手術用顕微鏡装置。
操作入力の際の角度検出または押圧検出により速度を変化させる一般的な装置を利用したとしても、手術用顕微鏡においては、使用する速度を意識した状態で、手または足により制御せねばならず、観察に専念できない。また、ピントズレ量の検出により粗動、微動の切り換えを行う装置においては、鏡基に合焦点検出手段を設けねばならず、鏡基の大型化、高価格を招く。合焦点とする観察点は観察される中央部とは限らず、その周辺であったりする。特に、脳神経外科の手術において観察部は深い穴となることが多く観察部の位置が多少ずれた場合でも合焦点の位置は変化し期待通りの位置に合焦しないことがあった。そのため、視線検出なる装置により合焦点の位置を検出することも可能であるが、鏡体は、ますます大型化高価格となってしまう。しかしながら、この付記のものによれば、それの問題を解決できる。
【0068】
【発明の効果】
上述の如く、本発明によれば、鏡体移動の操作入力を手足を用いずに、かつ頭部の自由を損なうことなく迅速に行うことができる。また、操作入力に手足を用いることによる手術の中断がないために、手術の迅速化が図れ、手術時間の短縮が実現でき、患者への負担が少ない。また、入力操作に要する動作も、例えば顔を動かすという程度の最小限のもので済むため、術者に対する負担も少なくて済む。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に係る手術用顕微鏡装置の接眼部を示す外観斜視図。
【図2】同じくその手術用顕微鏡装置の電気系の回路図。
【図3】同じくその手術用顕微鏡装置の概略的な全体構成を示す側面図。
【図4】同じくその手術用顕微鏡装置のXY移動装置の概略的な構成を示す斜視図。
【図5】本発明の第2の実施例に係る手術用顕微鏡装置の接眼部を示す外観斜視図。
【図6】同じくその接眼部における図7中VI−VIの一点鎖線に沿う断面図。
【図7】同じくその接眼部における図6中VII−VIIの一点鎖線に沿う断面図。
【図8】同じくその支柱と上下動軸との接続部の内部の構成の一部を示す断面図。
【図9】同じくその鏡体の内部構成の一部を示した説明図。
【図10】同じくその手術用顕微鏡装置の電気系の回路図。
【図11】同じくその制御回路部の動作を示すフローチャート。
【図12】本発明の第3の実施例に係る手術用顕微鏡装置の概略的な全体構成を示す側面図。
【図13】同じくその鏡体における接眼部の外観を示す斜視図。
【図14】同じくその手術用顕微鏡装置の電気系の回路図。
【符号の説明】
1…鏡体、2…架台、11…接眼鏡筒、12,13…接眼レンズ鏡筒、14,15…アイシェード、16〜21…押釦スイッチ、22…赤外発光ダイオード、23…フォトダイオード、30…ジョイスティック、31…制御回路、34…Xモータ、35…Yモータ、40…電動式のXY移動装置(移動機構)、41…Xガイド、42…Xボールネジ、43…Xテーブル、44…Yガイド、45…Yボールネジ、46…Yテーブル。

Claims (3)

  1. 観察対象を観察するための接眼部が設けられる鏡体を有する顕微鏡と、
    前記鏡体を支持する支持手段と、
    前記鏡体に変位が生じるように前記支持手段を移動可能な移動手段と、
    前記接眼部に設けられて、前記鏡体に所望の変位が生じるように前記移動手段を駆動して前記支持手段を移動させるための指令を入力可能な入力手段と、
    前記入力手段に入力された指令に応じて前記移動手段の駆動を制御する制御手段と、
    を備えることを特徴とする手術用顕微鏡装置。
  2. 前記鏡体の移動速度を前記入力手段に与える押力によって調節する調節手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の手術用顕微鏡装置。
  3. 前記入力手段に与える指示を所定時間行うことにより前記鏡体が移動可能となるように制御する移動制御手段を設けたことを特徴とする請求項1及び請求項2のいずれか一方に記載の手術用顕微鏡装置。
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