JP3708136B2 - 顕微鏡 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、医療分野に使用される顕微鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、手術方法や手術用具の発達に伴い、微細な患部の手術であるいわゆるマイクロサージャリーが頻繁に行なわれるようになってきた。マイクロサージャリーでは、眼科、耳鼻咽喉科、脳神経外科手術、整形・形成外科手術等に例を見るように、術部を拡大観察するための手術用顕微鏡が用いられている。
【0003】
主に眼科分野で使用される手術用顕微鏡を図9に示す。
【0004】
架台1の上端部に、第1アーム2aの一端が軸Aを中心に回動自在に取付けられている。第1アーム2aの他端に軸Bと軸C(紙面に垂直な軸)を介して第2アーム2bの一端が回動自在に取付けられ、その第2アーム2bの自由端(他端)に軸Dを介してXY駆動装置3が回動自在に取付けられている。そして、XY駆動装置3に鏡体4が取付けられている。つまり、アーム2a,2bによってXY駆動装置3および鏡体4が移動自在に保持されている。
【0005】
XY駆動装置3は鏡体4を微動させるためのもので、アーム2a,2bの作用で鏡体4を3次元空間の所望の位置におおまかにセットした後、XY駆動装置3の駆動により鏡体4を正確な観察点にセットすることができる。
【0006】
このような手術用顕微鏡の倍率変更、焦点調整、鏡体微動等については、鏡体4およびXY駆動装置3に内蔵されたモーター(図示しない)によってそれぞれ行なわれ、その制御は、架台1に内蔵された図示しない制御部によりなされる。その制御部にフットスイッチ5が接続されており、フットスイッチ5を操作することで、鏡体4の倍率変更および焦点調整を行なうことができ、また鏡体4を所望の方向に動かすことができる。
【0007】
フットスイッチ5は、図10に示すように、倍率の拡大(zoom up )用および縮小(zoom down )用として一対のモメンタリースイッチ6a,6bを有するとともに、焦点位置のアップ(focus up)用およびダウン(focus down)用として一対のモメンタリースイッチ7a,7bを有する。さらに、XY駆動装置3の制御用として、ジョイスティックタイプのフットスイッチ(以下ジョイスティックと略称する)8を有する。
【0008】
ジョイスティック8は、XY駆動装置3のX軸方向(前後方向)に対応する2つの正方向駆動スイッチ(図示しない)、およびY軸方向(左右方向)に対応する2つの負方向駆動スイッチ(図示しない)を内蔵し、これらスイッチをレバー操作に応じて選択的にオンする構成である。このジョイスティック8を操作することで、鏡体4を前後、左右、斜めの合計8方向に動かすことができる。
【0009】
手術に際しては、あらかじめジョイスティック8の操作方向とXY駆動装置3の駆動方向とを初期位置合せしておくことにより、術者は鏡体4を覗いたまま足を使ってジョイスティック8を操作し、鏡体4を所望の方向に動かすことができる。
【0010】
ところで、手術用顕微鏡として特開昭62-166312 号公報および実開平3-13112 号公報に示されるものがある。また、フットスイッチの例が特開昭57-88627号公報に示されている。
【0011】
特開昭62-166312 号公報のものは、1つのフットスイッチに倍率変更、焦点調整、X−Y移動など複数の操作モードを対応させ、これら操作モードの1つを音声入力に応じて適宜に選択するようにしている。実開平3-13112 号公報のものは、倍率変更、焦点調整、X−Y移動などの各種機能に対応する複数の操作スイッチをフットスイッチに設け、各操作スイッチの機能を配線接続の変更によって互いに交換できるようにしている。特開昭57-88627号公報のものは、複数の操作スイッチをフットスイッチに設け、各操作スイッチの機能をキー入力または音声入力に応じて適宜に選択するようにしている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上記した手術用顕微鏡では、患部を様々な方向から細かく観察しようとすると、鏡体4をXY駆動装置3で動かすだけでは足りず、アーム2a,2bによって鏡体4をXY駆動装置3ごと移動する必要が生じる。
【0013】
ただし、アーム2a,2bが動くと、手術前に行なったジョイスティック8の操作方向とXY駆動装置3の駆動方向との位置合せにずれが生じ、ジョイスティック8の操作方向と鏡体4の実際の動く方向とが一致しなくなる。
【0014】
とくに、術者は通常、鏡体4を覗きながらフットスイッチ5を操作するので、操作と実際の動きとの対応がますます捕らえ難くなる。このため、フットスイッチ5の操作ごとに、いちいち鏡体4の動きを確認したり、フットスイッチ5の位置を変えるなどの処置が必要となり、大変に面倒である。術者にとっては体力的にも精神的にも大きな負担となり、手術の長時間化にもつながる。
【0015】
なお、特開昭62-166312 号公報のように、操作モードの1つを音声入力によって選択するものでは、音声認識の誤りがそのまま誤操作となって現われる。特開昭57-88627号公報のように、フットスイッチの各操作スイッチの機能をキー入力または音声入力によって選択するものでは、機能の切換状態を表示するための表示手段を設けているため、コストが高くなるとともに、術者は表示をいちいち確認しながらフットスイッチを操作することになり、操作性が悪い。
【0016】
この発明は上記の事情を考慮したもので、その目的とするところは、観察方向が様々に変化する場合でも、鏡体の動きをいちいち確認することなく、また操作手段の位置変えを要することなく、鏡体を所望の位置に確実かつ容易に動かすことができる顕微鏡を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
この発明の顕微鏡は、被検体の像を観察用に表示する表示部と、この表示部を保持する保持手段と、この保持手段に設けられ、上記表示部を略水平方向に移動可能な移動手段と、上記保持手段に設けられ、上記被検体の像に対する観察方向を変更可能な可動部と、上記表示部の移動方向を指示可能で、その指示された方向に応じた指示信号を出力する移動方向指示手段と、上記可動部の状態から上記観察方向を判別する観察方向判別手段と、上記移動方向指示手段から出力される指示信号を、上記観察方向判別手段の判別結果に基づいて上記表示部の移動方向と上記移動方向指示手段の指示方向との間に生じる初期設定に対する方向のずれを補正するように変更する指示信号変更手段と、この指示信号変更手段から出力される変更指示信号に基づいて、上記移動方向指示手段の指示方向に上記表示部が移動するように上記移動手段を駆動する駆動手段と、を有している。
【0018】
【作用】
被検体の像を観察用に表示する表示部が保持手段に保持されている。保持手段には、表示部を略水平方向に移動するための移動手段が設けられているとともに、被検体の像に対する観察方向を変更可能な可動部が設けられている。また、表示部の移動方向を指示するための指示信号を出力する移動方向指示手段があり、さらに、可動部の状態から上記観察方向を判別する観察方向判別手段がある。この観察方向判別手段の判別結果に基づいて、表示部の移動方向と移動方向指示手段の指示方向との間に生じる初期設定に対する方向のずれを補正するように、上記指示信号を変更し、その変更指示信号に基づいて、移動方向指示手段の指示方向に表示部が移動するように、上記移動手段を駆動する。
【0019】
【実施例】
初めに、この発明の参考例について図面を参照して説明する。
【0020】
図1において、架台11の上端部に、第1アーム12aの一端が軸Aを中心に回動自在に取付けられる。第1アーム12aの他端に軸Bと軸C(紙面に垂直な軸)を介して第2アーム12bの一端が回動自在に取付けられ、その第2アーム12bの自由端(他端)に軸Dを介してXY駆動装置13が回動自在に取付けられる。そして、XY駆動装置13に鏡体14が取付けられる。つまり、アーム12a,12bにより、XY駆動装置13および鏡体14を移動自在に保持する保持手段が構成される。鏡体14は、被検体の像を観察用に表示して術者(操作者)に覗かせる表示部を有している。この表示部を含む鏡体14が、XY駆動装置13によって移動可能となっている(移動手段)。また、軸A,B,C,D、アーム12a,12b、およびXY駆動装置13は、被検体の像に対する観察方向(観察軸の方向ともいう)を変更可能な可動部として機能する。
XY駆動装置13は鏡体14を複数の方向に動かすためのもので、その駆動とアーム12a,12bの作用とで鏡体14を3次元空間の所望の位置にセットすることができる。
【0021】
倍率変更、焦点調整、鏡体移動等については、鏡体14およびXY駆動装置13に内蔵されたモーター(図示しない)によってそれぞれ行なわれ、その制御は、架台11に内蔵された図示しない各制御部によりなされる。これら制御部に操作手段であるところのフットスイッチ15が接続される。このフットスイッチ15を操作することで、鏡体14の倍率変更および焦点調整を行なうことができ、またXY駆動装置13に対する駆動方向を指定することができる。
【0022】
フットスイッチ15は、後述するステッピングモーター30を内蔵するほかは、外観および機能が図10に示した従来のフットスイッチ5と同じであり、ジョイスティック(指示部)8を操作することで鏡体14の視野をその操作方向に対応する前後、左右、斜めの合計8方向に動かすことができる。すなわち、ジョイスティック8を主体にして、鏡体(表示部含む)14の移動方向を指示可能で、その指示された方向に応じた指示信号を出力する移動方向指示手段が構成されている。
図2はアーム12aの軸A付近の内部構成を概略的に示したものである。
【0023】
まず、軸Aはアーム12aとともに架台11上で回動する。この軸Aを囲む位置にフォトインタラプタ群21が設けられる。このフォトインタラプタ群21は、90度間隔で配置された4つのフォトインタラプタ21a,21b,21c,21dからなり、架台11側に固定された状態にある。各フォトインタラプタは、光源(図示しない)から発せられる光を検知するもので、その出力信号は架台11内の後述する制御部40に送られる。
【0024】
軸Aに遮光板22が固定される。この遮光板22は、角度 120度の扇形に形成されており、軸Aの回動つまりアーム12aの回動に伴ってフォトインタラプタ21a,21b,21c,21dへの入光を選択的に遮る働きをする。
【0025】
このフォトインタラプタ群21、遮光板22、および後述する制御部40により、架台11に対するアーム12aの状態(回動位置)を検出する検出手段が構成される。同様の検出手段がアーム12bの軸B部分および軸D部分にも設けられている。軸B部分の検出手段により、アーム12aに対するアーム12bの状態(回動位置)が検出される。軸D部分の検出手段により、アーム12bに対するXY駆動装置13の状態(回動位置)が検出される。これら検出手段により、鏡体14の保持状態を判別する保持状態判別手段が構成される。
【0026】
図3に示すように、フットスイッチ15内にステッピングモーター30が設けられ、そのステッピングモーター30の回転軸にジョイスティック8が連結される。つまり、ステッピングモーター30の動作により、ジョイスティック8が回動する。
【0027】
制御回路の要部を図4に示す。
【0028】
架台11内に制御部40が設けられ、その制御部40にフォトインタラプタ群21,22,23が接続される。フォトインタラプタ群22はアーム12bの軸B部分に設けられ、フォトインタラプタ群23はアーム12bの軸D部分に設けられている。
【0029】
制御部(制御手段)40は、演算部41およびモーター駆動部42を有する。
【0030】
演算部41は、フォトインタラプタ群21,22,23の出力に基づいて、架台11に対するアーム12aの回動位置、アーム12aに対するアーム12bの回動位置、アーム12bに対するXY駆動装置13の回動位置をそれぞれ検出する手段と、これら検出結果からXY駆動装置13の駆動方向が手術前に設定される初期位置に対してどれだけの角度ずれているかを検出する手段と、この検出角度に対応する回動角指令を発する手段とを備える。すなわち、演算部41は、上記可動部の状態から被検体の像に対する観察方向(観察軸の方向ともいう)を判別する観察方向判別手段として機能する。
モーター駆動部42は、演算部41から発せられる回動角指令に応じた角度だけジョイスティック8を回動するべく、ステッピングモーター30を駆動する。このジョイスティック8の回動は、XY駆動装置13の駆動方向を間接的に補正し、ジョイスティック8の操作方向とXY駆動装置13の駆動方向との対応のずれを解消するものである。
【0031】
50はXY駆動制御部で、ジョイスティック8の各スイッチ出力に応じてXY駆動装置13を駆動制御する。
【0032】
上記の構成の作用を説明する。
【0033】
軸A部分、軸B部分、および軸D部分にそれぞれ設けられているフォトインタラプタ群は全て同様の構成を有しているため、ここでは軸A部分を例にとって説明する。
【0034】
図2に示しているように、フォトインタラプタ群21の4つのフォトインタラプタ21a,21b,21c,21dのうち、常に1つまたは2つのフォトインタラプタへの入光が遮光板22によって遮られる。この遮光状態は、アーム12aの回動に伴う軸Aおよび遮光板22の回動により、変化する。
【0035】
遮光されたフォトインタラプタからはオフ信号、遮光されていないフォトインタラプタからはオン信号が出力される。このオン信号とオフ信号の組合せは、各フォトインタラプタと遮光板22との相対位置関係により、8通りに変化する。つまり、アーム12aの回動位置を制御部40で8段階に検出できる。
【0036】
B軸部分およびD軸部分のフォトインタラプタ群からも同様の信号が出力され、アーム12bの回動位置およびXY駆動装置13の回動位置をそれぞれ8段階に検出することができる。
【0037】
当該手術用顕微鏡を使用する場合、術者は手術前にあらかじめジョイスティック8の操作方向とXY駆動装置13の駆動方向とを初期位置合せする。
【0038】
術者が被観察部位を他の方向から観察するべく、アーム12a、アーム12b、およびXY駆動装置13のいずれかを回動させると、その回動位置が各フォトインタラプタ群の出力から検出される。この検出結果からXY駆動装置13の駆動方向が手術前に設定される初期位置に対してどれだけの角度ずれているかが45度単位で検出される。
【0039】
角度のずれが検出されると、その角度だけステッピングモーター30が動作してジョイスティック8が回動する。このジョイスティック8の回動により、XY駆動装置13の駆動方向が間接的に補正され、ジョイスティック8の操作方向とXY駆動装置13の駆動方向との対応のずれが解消される。
【0040】
つまり、術者がジョイスティック8を自身の前方側に倒せば、鏡体14は術者の前方側に確実に動くことになる。要するに、ジョイスティック8に指示された方向と対応する方向(略同一方向)に鏡体14の視野が移動する。
【0041】
したがって、術者は鏡体14の動きをいちいち確認することなく、またフットスイッチ15の位置変えを要することなく、観察を続けながら鏡体14を所望の位置に確実かつ容易に動かすことができる。これにより、術者はもちろんのこと患者にとっても手術時間の短縮により肉体的な疲労が小さくなり、また術者の精神的な疲労も大幅に軽減される。
【0042】
なお、上記参考例では各軸部分に設けるフォトインタラプタの数を4つとしたが、その数に限定はなく、たとえば数を増やすことにより、ジョイスティック8の操作方向とXY駆動装置13の駆動方向とのずれ角度をさらに細かく検出および補正することができ、精度の向上が図れる。
【0043】
以下、この発明の実施例について説明する。
【0044】
ここでは、図5に示すように、制御部40のモーター駆動部42に代えて信号変換部43が設けられる。また、ステッピングモーター30を有しない図10のフットスイッチ5が採用され、ジョイスティック8の各スイッチ出力が上記信号変換部43を介してXY駆動制御部50に送られる。
【0045】
信号変換部43は、ジョイスティック8の各スイッチ出力を演算部41の検出角度に応じた分だけ位置換えした状態で出力する機能を有する。すなわち、信号変換部43は、上記移動方向指示手段から出力される指示信号を、上記観察方向判別手段の判別結果に基づいて鏡体14の移動方向と上記移動方向指示手段の指示方向との間に生じる初期設定に対する方向のずれを補正するように変更する指示信号変更手段として機能する。これに伴い、XY駆動制御部50は、指示信号変更手段から出力される変更指示信号に基づいて、上記移動方向指示手段の指示方向に鏡体14が移動するように、上記移動手段であるところのXY駆動装置13を駆動する駆動手段として機能する。他の構成については参考例と同じである。
【0046】
作用を説明する。
【0047】
当該手術用顕微鏡を使用する場合、術者は手術前にあらかじめジョイスティック8の操作方向とXY駆動装置13の駆動方向とを初期位置合せする。
【0048】
術者が被観察部位を他の方向から観察するべく、アーム12a、アーム12b、およびXY駆動装置13のいずれかを回動させると、その回動位置が各フォトインタラプタ群の出力から検出される。この検出結果からXY駆動装置13の駆動方向が手術前に設定される初期位置に対してどれだけの角度ずれているかが45度単位で検出される。
【0049】
ジョイスティック8が操作されると、その操作方向に応じた信号がジョイスティック8内の各スイッチから出力される。このとき、初期位置とXY駆動装置13の駆動方向との間の角度ずれが検出されていれば、その角度分だけジョイスティック8の各スイッチ出力が位置換えされてXY駆動制御部50に送られる。この位置換えにより、XY駆動装置13の駆動方向が間接的に補正され、ジョイスティック8の操作方向とXY駆動装置13の駆動方向との対応のずれが解消される。
【0050】
つまり、術者がジョイスティック8を自身の前方側に倒せば、鏡体14は術者の前方側に確実に動くことになる。
【0051】
したがって、術者は鏡体14の動きをいちいち確認することなく、またフットスイッチ15の位置変えを要することなく、観察を続けながら鏡体14を所望の位置に確実かつ容易に動かすことができる。これにより、術者はもちろんのこと患者にとっても手術時間の短縮により肉体的な疲労が小さくなり、また術者の精神的な疲労も大幅に軽減される。
【0052】
しかも、制御部40に信号変換部43を設けるだけの簡単な構成であるから、フットスイッチ15にモーターを設けるものに比べ、コストを安く押さえることができる。
【0053】
別の参考例について説明する。
【0054】
ここでは、図6に示すように、鏡体14にマイクロフォン60が取付けられ、そのマイクロフォン60から導出されたマイクコード61がボイスコントローラー62に接続される。このボイスコントローラー62にフットスイッチ5が接続される。そして、ボイスコントローラー62は、インターフェースケーブル63を介して架台1内のXY駆動制御部50、フォーカス制御部51、およびズーム制御部52に接続される。
【0055】
フットスイッチ5は、図10で示したものと同じで、倍率変更用のモメンタリースイッチ6a,6b、焦点調整用のモメンタリースイッチ7a,7b、およびジョイスティック8を有し、XY駆動装置13を前後左右に駆動するための信号、鏡体14のズーム機構(図示しない)に対するアップ・ダウン信号、鏡体14のフォーカス機構(図示しない)のアップ・ダウン信号の合計8種類の制御信号を出力可能である。
【0056】
フォーカス制御部51は、鏡体14の焦点調整を行なう。ズーム制御部52は、鏡体14の倍率変更を行なう。
【0057】
ボイスコントローラー62は、図7に示すように、インターフェース部70および音声認識装置74を有する。音声認識装置74は、マイクロフォン60への入力音声を認識し、認識内容に応じてフットスイッチ5と同じ8種類の制御信号を出力する。
【0058】
インターフェース部70は、音声認識装置74に接続の信号入出力部71、フットスイッチ5に接続の信号入出力部72、各制御部50,51,52に接続の信号入出力部73を有する。さらに、インターフェース部70は、図8に示すように、オア回路81,82,83を有する。
【0059】
信号入出力部71は、音声認識装置74からの各種信号をパラレルにインターフェース部70に入力する。このうち、フォーカス用のアップ信号がオア回路81の一方の入力端に供給され、フォーカス用のダウン信号がオア回路82の一方の入力端に供給される。図示していないが、他の信号についても同様に複数のオア回路に供給される。
【0060】
信号入出力部72は、フットスイッチ5からの各種信号をパラレルにインターフェース部70に入力する。このうち、フォーカス用のアップ信号がオア回路81の他方の入力端に供給され、フォーカス用のダウン信号がオア回路82の他方の入力端に供給される。図示していないが、他の信号についても同様に複数のオア回路に供給される。
【0061】
オア回路81,82を含むすべてのオア回路の出力は信号入出力部73に供給される。
【0062】
信号入出力部72に入力されるフットスイッチ5からの全ての制御信号がオア回路83に供給される。
【0063】
信号入出力部73には、XY駆動制御部50、フォーカス制御部51、およびズーム制御部52から、それぞれの駆動部が駆動限界に達したことを表わすリミット信号が入力される。これらリミット信号は信号入出力部73からオア回路 83に供給される。オア回路83の出力は、信号入出力部71を介して、音声認識装置74をコントロールするためのCPU(図示しない)の割込み入力端子に送られる。
【0064】
こうして、音声認識装置74およびフットスイッチ5からの2系統の制御信号は、インターフェース部70で各制御機能別にオア演算されて1系統の制御信号に統合され、XY駆動制御部50、フォーカス制御部51、およびズーム制御部52へと送られる構成となっている。
【0065】
作用を説明する。
【0066】
術者が鏡体14に取付けられたマイクロフォン60に対し、たとえばフォーカス機構をアップさせるための命令音声である「フォーカスアップ」を発声すると、その音声波形がマイクロフォン60で電気信号に変換され、マイクコード61を介してボイスコントローラ62の音声認識装置74に入力される。
【0067】
音声認識装置74では、入力された電気信号を周波数分析してパターンデータ化し、それとあらかじめ登録されている複数の命令音声の各標準パターンデータとの類似度を単純類似度法を用いて演算する。こうして演算される類似度のうち、最も類似度の高い標準パターンデータの命令音声に対応する制御信号、この例ではフォーカスアップ信号がインターフェース部70に送られる。
【0068】
インターフェース部70では、音声認識装置74からのフォーカスアップ信号が信号入出力部71から取込まれ、それがオア回路81および信号入出力部73を介してフォーカス制御部51へ送られる。このとき、フォーカス制御部51は、鏡体14内のフォーカス制御用モータを駆動し、フォーカスアップを行なうことになる。
【0069】
術者がフットスイッチ5でフォーカスアップ操作を行なうと、そのフットスイッチ5から発せられるフォーカスアップ信号が信号入出力部72から取込まれ、それがオア回路81および信号入出力部73を介してフォーカス制御部51へ送られる。これにより、上記同様にフォーカスアップが行なわれる。
【0070】
このとき、信号入出力部72から入力されるフォーカスアップ信号はオア回路83にも入力され、そこから信号入出力部71を介して音声認識装置74に対するコントロール用のCPUにも送られる。CPUは、入力に応答して音声認識装置74を割込み処理に切換える。この割込み処理のプログラムは、その時点の音声入力による制御信号出力を停止させる。
【0071】
したがって、XY駆動制御部50、フォーカス制御部51、およびズーム制御部52を音声認識装置74とフットスイッチ5の両方で制御することが可能であるが、両者が同時に操作された場合は、フットスイッチ5による操作入力が優先され、音声認識装置74による操作入力はキャンセルされる。
【0072】
また、たとえばフォーカス機構が駆動限界に達した場合、そのリミット信号がフォーカス制御部51から信号入出力部73、オア回路83、および信号入出力部71を介して上記CPUに送られる。これにより、音声認識装置74が割込み処理に切換わって音声入力による制御信号出力が停止する。これは、フォーカスダウン信号、ズームアップ信号、ズームダウン信号、およびXY駆動制御信号のいずれについても同様である。
【0073】
このように、XY駆動装置13、フォーカス機構、およびズーム機構を音声入力とフットスイッチ操作の2系統で制御できることにより、たとえば主術者が音声入力を担当し、副術者がフットスイッチ操作を担当すれば、主術者および副術者の双方が手術用顕微鏡を制御することができる。つまり、主術者と副術者が入れ替わった場合でもいちいちフットスイッチ5の位置を変える必要がない。
【0074】
主術者の発声した音声命令を音声認識装置74が誤認識したとしても、音声入力よりもフットスイッチ操作の方が優先度が高いため、フットスイッチ5を用いる副術者が即座に誤動作を止め、正しい操作入力を行うことができる。なお、フットスイッチ5における各操作スイッチの少なくとも1つの操作に際し、音声入力に基づく駆動を停止する機能を設けることも考えられる。
【0075】
手術用顕微鏡を操作する術者が一人の場合、たとえばシェーバーやバイポーラ等の大きなノイズを発生する機器が用いられ、そのノイズの影響で音声認識が不能となったとしても、即座にフットスイッチ5による制御に変えることができので、安全である。
【0076】
カメラのレリーズや照明のオン,オフ等の操作機構を設けるに当たっては、その操作が必ずしも術者によってなされる必要のないものであることを考慮すれば、その操作機構を助手用としてフットスイッチ5に設けることが可能であり、音声認識装置74の登録語数を増やすような処置が不要となって音声認識率の向上が図れる。
【0077】
【発明の効果】
以上述べたようにこの発明によれば、観察方向が様々に変化する場合でも、鏡体の動きをいちいち確認することなく、また操作手段の位置変えを要することなく、鏡体を所望の位置に確実かつ容易に動かすことができる顕微鏡を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の参考例の全体的な構成図。
【図2】 参考例における状態検出のための要部の構成図。
【図3】 参考例におけるフットスイッチの要部の構成図。
【図4】 参考例における制御回路の要部の構成図。
【図5】 この発明の実施例における制御回路の要部の構成図。
【図6】 この発明の別の参考例の全体的な構成図。
【図7】 別の参考例における制御回路の要部の構成図。
【図8】 別の参考例におけるインターフェース部の要部の構成図。
【図9】 従来の手術用顕微鏡の全体的な構成図。
【図10】 従来の手術用顕微鏡のフットスイッチの構成図。
【符号の説明】
11…架台、12a…第1アーム、12b…第2アーム、13…XY駆動装置、14…鏡体、15…フットスイッチ、30…ステッピングモータ、40…制御部、50…XY駆動制御部。
Claims (1)
- 被検体の像を観察用に表示する表示部と、
前記表示部を保持する保持手段と、
前記保持手段に設けられ、前記表示部を略水平方向に移動可能な移動手段と、
前記保持手段に設けられ、前記被検体の像に対する観察方向を変更可能な可動部と、
前記表示部の移動方向を指示可能で、その指示された方向に応じた指示信号を出力する移動方向指示手段と、
前記可動部の状態から前記観察方向を判別する観察方向判別手段と、
前記移動方向指示手段から出力される指示信号を、前記観察方向判別手段の判別結果に基づいて前記表示部の移動方向と前記移動方向指示手段の指示方向との間に生じる初期設定に対する方向のずれを補正するように変更する指示信号変更手段と、
前記指示信号変更手段から出力される変更指示信号に基づいて、前記移動方向指示手段の指示方向に前記表示部が移動するように前記移動手段を駆動する駆動手段と、
を有することを特徴とする顕微鏡。
Priority Applications (1)
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JP01413993A JP3708136B2 (ja) | 1993-01-29 | 1993-01-29 | 顕微鏡 |
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JP01413993A JP3708136B2 (ja) | 1993-01-29 | 1993-01-29 | 顕微鏡 |
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JPH06230289A JPH06230289A (ja) | 1994-08-19 |
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Family Applications (1)
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JP7423562B2 (ja) * | 2021-02-16 | 2024-01-29 | 株式会社モリタ製作所 | 制御装置、診療システムおよび制御方法 |
-
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- 1993-01-29 JP JP01413993A patent/JP3708136B2/ja not_active Expired - Fee Related
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