JP3609425B2 - 非対称検出システムを備えたらせんコンピュータ断層撮影法 - Google Patents
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Description
本発明は、概して、らせんコンピュータ断層撮影法の走査に関し、特に、非対称に配置された検出システムを使用してのらせん走査により発生する断層写真のアーティファクトを低減するための方法および装置に関する。
発明の背景
図1は、X線源12および環状のディスク16の直径方向の対向側面にそれぞれ固定されているX線検出システム14を含む、代表的な第三世代のコンピュータ断層撮影(CT)スキャナを軸方向に見た図面である。ディスクは、ガントリ支持体(図示せず)に回転できるように装着されていて、そのため、走査を行っている間、ディスクは、(図1のページ面に対して垂直で、ディスクの機械的中心の回転の走査面と交差している)Z軸を中心にして連続的に回転する。(また、ディスクの回転の機械的中心18は、再構成された画像の「同一の中心」に対応する。)一方、X線は、X線源12から出て、検出システム14の方を向いているディスクの開口部の患者用のテーブル56上に乗っている患者20のような対象物を通過する。
検出システム14は、通常、放射線がX線源12から放出される「焦点」と呼ばれる点24のところに曲率中心を持ち、円弧の形をしている一本の横列の形に配置されている個々の検出器22のアレイを含む。X線源および検出器のアレイは、X線源と各検出器との間のX線の経路が、すべてZ軸に対して垂直な「走査面」に含まれるように配置されている。X線経路は、実質的に点源から始まり、検出器に対して異なる角度で延びるので、X線経路は、「ファン状ビーム」26を形成し、検出器アレイ14上に入射する。走査中の測定の瞬間に、一つの検出器に入射したX線は通常「放射線」と呼ばれ、各検出器は、その対応する放射線の強度を示す出力信号を発生する。各放射線は、その経路内に位置するすべての質量により部分的に減衰するので、各検出器が発生した出力信号は、検出器とX線源との間に存在するすべての質量の密度(すなわち、検出器の対応する放射線経路内に存在する質量の密度)を表す。
X線検出器が発生した出力信号は、通常、CTシステムの信号処理部分(図示せず)により処理される。信号処理部分は、通常、信号/雑音比を改善するために、X線検出器が発生した出力信号を濾過するデータ取得システム(DAS)を含む。例えば、米国特許第4,547,893号が、上記DASを開示している。測定期間中に上記DASが発生する出力信号は、一般に、「投影」または「画像」と呼ばれ、特定の投影に対応するディスク16の(およびディスク16上に装着されたX線源12と検出システム14の)角度は「投影角」と呼ばれる。
図2は、投影角βおよび検出器角γで、ファン状ビーム・データ点Pf(β、γ)を発生するためのディスク16(およびディスクに装着されたX線源12および検出システム14)の向きを示す。基準の方向を示すために使用される中心線40は、X線源12の焦点から延びて、回転の機械的中心18のところでZ軸を通る。投影角βは、垂直線と中心線40の間の角度であると定義することができる。検出システム14の個々の各検出器は、中心線40に対して定義される関連検出器角度γを持つ。定義により、中心線40は、0度の基準検出器角γで、検出システムと交差する。図2に示すように、対称型検出システム14が、−γmの検出器角から+γmの検出器角に延びる。以下に詳細に説明するように、非対称型検出システムは、検出器角−γm+αから検出器角+γmへ延びているということができる。対称型検出器14が発生するファン状ビーム投影Pf(β、γ)は、投影角βに対して−γからγmへの検出器角のところに、すべての検出器が発生する一組のデータ点Pf(β、γ)を含む。
走査中、ディスク16は、走査を行っている対象物の周囲を滑らかに、連続的に回転するので、スキャナ10は、対応する一組の投影角βのところで、一組の投影Pf(β)を発生することができる。従来の走査の場合には、患者は、走査中、一定のZ軸位置のところで体を動かさないでいたが、らせん(またはスパイラル)CT走査の場合には、ディスクが、患者の周囲を回転している間に、患者はZ軸に沿って並進する。(しかし、別の言い方をすれば、患者が体を動かさないで、ディスクが回転しながら、Z軸に沿って並進するというふうに表現することもできる。)図3Aは、従来の走査中に収集したデータであり、図3Bは、らせん走査中に収集したデータである。図3Aに示すように、対象物20が固定したZ軸の位置にじっと動かないでいる間に、X線源12および検出システム14が、対象物20の周囲を回転する場合には、検出システム14が収集したすべての投影に関連する走査面は、すべて共通の「断層面」50に含まれる。図3Bに示すように、ディスクが対象物20の周囲を回転している間に、対象物20がZ軸の方向に連続的並進する場合には、どの走査面も同じ平面上には来ないで、共通の断層面に含まれる。むしろ、各投影に関連する走査面は、らせん状の一組の軌跡上の軌跡点のところで、Z軸に沿って一意の位置を占める。図3Bは、間隔(0、10π)のらせん投影角に対応する走査面のZ軸座標を示す。各投影の数値は、患者のZ軸位置により異なるので、各投影は、二つの変数βおよびzの関数であると見なすことができる。
従来の走査の場合には、患者は一定のZ軸の位置に体を動かないでいたので、このタイプの走査は、通常、「定Z軸位置走査」またはCZA走査と呼ばれる。らせん走査の場合には、投影Pf(β、γ)は、通常、zが視野角度βに直線的に関連するように入手されるので、その結果、z(β)=cβとなる。この場合、cは定数である。この形のらせん走査は、多くの場合、定速らせん(CSH)走査と呼ばれる。
逆ラドン変換のような周知のアルゴリズムを使用して、すべてが同じ走査面を共有している一組の投影から断層写真を形成することができる。この共通走査面は、すでに説明したように、「断層面」と呼ばれる。断層写真は、走査が行われている対象物の断層面に沿った二次元「薄片」の密度を示す。投影から断層写真を形成するプロセスは、通常、「濾過済み背面映写」または「再構成」と呼ばれる。何故なら、断層写真は、投影データから再構成されるものと見なすことができるからである。CTスキャナの信号処理部分は、通常、投影から断層写真を形成するための背面映写装置を含む。
CZA走査の場合には、すべての投影は、共通の走査面を共有しているので、これらの投影は、断層写真を形成するために、背面映写装置に直接適用することができる。CSH走査の場合には、各投影は、一意のZ軸座標のところに位置する一意の走査面を持つので、CSH投影は、背面映写装置に直接適用することはできない。しかし、周知のように、CSH走査に収集したデータは、すべてがZ軸に垂直に延びる共通走査面を共有している、一組の補間された投影を形成するために、種々の方法で補間することができる。例えば、補間された各投影は、等価の投影角および異なるZ軸位置で入手した、二つの投影を結合することにより発生することができる。これらの補間した投影は、CZAデータとして処理することができ、断層写真を形成するために背面映写装置に適用することができる。
都合の悪いことに、CSH走査は、断層写真を形成するためにある種の補間を必要とし、そのため、CSH走査により形成した断層写真は、画像がアーティファクトを含む傾向があるという特徴がある。また、Z軸位置の間隔の間で収集されるCSH走査投影データは、補間されたCZA走査データを形成するために結合されるので、CSH走査中に形成された断層写真は、CZA走査により形成された断層写真と比較すると、より広い「断層面幅」を持つ。しかし、都合のよいことに、CSH走査を使用した場合には、多数の患者を高速で走査することができる。例えば、一人の患者が楽に息を止めていられ、(そのため、比較的体を動かさないでいられる)短い時間の間に、CSH走査の場合、腎臓のような器官全体を完全に走査するのに十分なデータを収集することができる。実際に、例えば、ディスクを、一回のらせん走査を行っている間に、ほぼ40πラディアン(すなわち、完全な20回転)回転させることができ、収集したデータを複数の断層面のところの断層写真を形成するのに使用することができる。
一組のファン状ビーム投影Pf(β、γ)から、断層写真を形成することができる。この場合、βは、範囲(0、βmax)内に存在する。βmaxの選択は、部分的には、断層写真が必要とする信号/雑音比により、また部分的には、断層写真が必要とする断層面の幅により異なる。CTスキャナは回転するので、データ点Pf(β、γ)を測定するために使用する放射線は、データ点Pf(β+2π、γ)を測定するのに使用する放射線と一致する。そのため、Z軸に平行な方向に患者が運動しない場合には、投影データは2πの周期で周期的に変化し、データ点Pf(β、γ)は、データ点Pf(β+2π、γ)と等しくなる。CZA走査データから断層写真を形成する一つの方法は、2πに等しいβmaxを使用する。ディスク16は、患者の周囲を完全に回転するので、このタイプの走査は、多くの場合、「完全走査」と呼ばれる。βmaxを2π以上に設定する必要はない。何故なら、投影データの周期性により、結果として冗長なデータを収集することになるからである。しかし、このような冗長なデータは、断層写真の信号/雑音比を改善するために、収集し、使用することができる。
上記の完全走査の周期性または冗長性の他に、CTスキャナは、また下記式により表される関連「半走査」冗長性を持つ。
式(1)は、患者が体を動かさない場合に成立する。何故なら、データ点Pf(β、γ)を測定するのに使用する放射線は、データ点Pf(β+π−2γ、−γ)を測定するのに使用する放射線と一致し、逆平行であるからである。(上記放射線は「逆平行」である。何故なら、X軸源および検出器の相対的位置が逆になっているからである。)周知のCT「半走査」技術は、βmaxがπ+2γmの場合に、収集した一組のCZAファン状ビーム投影から断層写真を形成することができるように式(1)を使用する。しかし、半走査断層写真の信号/雑音比は、βmaxが2πに等しい場合の、全走査断層写真の信号/雑音比より悪い。
らせん補間走査、すなわち、HI走査は、CSH走査に全走査技術を適用する方法である。HI走査の場合には、(0、4π)の範囲内でβに対して投影が入手され、一方、患者はZ軸に沿って連続的に並進する。その後、このデータは、2πのらせん投影角に対応する、Z軸位置に位置する断層面の各対向側面上に、一次的にデータを補間することにより、(0、2π)の範囲内のβに対する、一組のCZA走査データを近似するために使用される。その後、全走査濾過背面映写アルゴリズムが、この近似したCZA走査データから断層写真を形成する。
HI走査の場合には、Z軸位置zspにおけるCZA走査から得られるデータ点である、データ点Pf(β1、γ1)が、下記式(2)による一次的補間により推定される。
但し、β1=β2+2πであり、γ1=γ2である。式(2)の補間加重w1およびw2は、下記式(3)により与えられる。
一つの可能な再構成方法は、上記データの濾過背面映写を行う前に式(2)の補間を行い、間隔(0、2π)のz=zspおよびβを含む、データ・セットを形成する方法である。濾過背面映写は一次的であるので、別の方法として、CSH走査データに、補間加重w(β、γ)を掛け、全(0、4π)CSH走査データ・セット上で、濾過背面映写を実行するという方法が使用される。後者の方法は、いくつかの計算上の利点を持つ。何故なら、この方法を使用した場合には、再構成プロセスをパイプラインすることができるからである。この方法は、以下に説明するすべてのらせんアルゴリズムに対して使用される。この方法に対する加重w(β、γ)は、β1=β2+2π、およびγ1=γ2という関係を式(3)に代入することにより得ることができ、下記式(4)により与えられる。
加重w(β、γ)は、どの場所においても連続していて、β=0およびβ=4πの場合にはゼロになり、β=2πの場合には1になる。
HI走査の他に、断層写真を形成するのにらせん投影データの4πを必要とする他の技術も周知であり、本明細書においては、これら技術を「らせん全走査技術」と呼ぶ。らせん全走査技術は便利な方法である。何故なら、この方法は比較的簡単で、実行するのが容易であるからである。しかし、らせん全走査技術は不便な方法である。何故なら、この方法は、一枚の断層写真を形成するのに、4πのデータを必要とするからであり、それによる、断層写真の特徴は、比較的広い断層面である。
らせん半走査、すなわち、HH走査は、CSH走査に上記半走査を適用する走査方法である。都合のよいことに、HH走査を使用すると、4πの投影データより少ないデータで、断層写真を形成することができる。HH走査の場合には、CSH走査データは、範囲(0、2π+4γm)内のβに対して、CSH走査データが入手される。範囲(0、π+2γm)内のβに対するCZA走査データが、βsp=π+2γmのCSH走査投影角に対応するZ軸位置に位置する断層面の対向側面上に、データを一次的に補間することにより近似される。その後、周知の半走査濾過背面映写アルゴリズムが、この近似したCZA走査データから断層写真を形成する。上記らせん全走査技術と比較した場合のHH走査の利点は、HH走査は、各断層写真を再構成するのに、より少ない視野、それ故、より少ない患者の体の動きを使用することである。それ故、HH走査による断層写真の有効な薄切り幅は、らせん全走査による断層写真の幅より狭い。
図4は、一つの断層写真を形成するために、HH走査が使用するデータに対するラドン空間(β対γ)を示す、またこの図は、(垂直軸に沿った)各投影角βに対応するZ軸位置も示す。図4のデータは、断層面、またはβsp=π+2γmというCSH投影角に対応するZ軸位置を持つ、断層写真を形成するために使用される。患者が並進しない場合には、(すなわち、CZA走査においては)、図4のラドン空間の領域1−4は、周知の半走査技術を使用して、一枚の断層写真を再構成するのに十分なデータを供給する。同様に、患者が並進しない場合には、領域5−8は、一枚の断層写真を再構成するのに十分なデータを供給する。HHの場合には、断層面も領域1−4に対するCZAデータを近似するために、断層面(すなわち、領域1−4)より下のデータが、断層面(すなわち、領域5−8)より上のデータと結合される。
図4の場合、冗長なデータを含む領域が、同様に縞模様状になる。この場合、冗長なデータは、(平行または逆平行の)一致する放射線に沿って入手される、データであると定義され、それ故、患者が体を動かさない場合には同一である。それ故、領域1、4、および7は冗長領域であり、領域2、5および8も冗長領域であり、領域3および6も冗長領域である。HHの場合には、領域1−4内の一組のCZAデータを近似するために、同様に縞模様状の領域の結合が行われる。同時に起こる患者の並進を結合する方法については、1990年11−12月発行の、Med.Phys.17(6)掲載の、カール R.クロホードおよびケビン F.キングの「同時に患者の並進を行うコンピュータ断層撮影走査」(Computed tomography scanning with simultaneous patient translation,Carl R.Crawford and Kevin F.King,Med.Phys.17(6),Nov/Dec 1990)に詳細に掲載されている。HH走査に対する再構成加重は、下記式(5)により表される。
らせん外挿走査、すなわち、HE走査は、CSH走査に半走査技術を適用する他の走査方法である。HE走査の場合には、CSH走査したデータは、領域(0、2π)内のβに対して収集される。(0、π+2γm)領域内の、βに対するCZA走査したデータは、上記CSH走査したデータから補間および外挿され、その後、この近似し、CZA挿入したデータから断層写真を形成するために、周知の半走査技術が使用される。図5は、CSH投影角、βsp=πに対応する断層面のところでの、一枚の断層写真を形成するために、HE走査が使用したデータに対するラドン空間である。患者が体を動かさない場合には、(すなわち、CZA走査の場合には)、図5の領域1、2および3は、周知の半走査技術を使用して、一枚の断層写真を再構成するのに、十分なデータを供給する。同様に、患者が体を動かさない場合には、領域4、5および6は、一枚の断層写真を最構成するのに十分なデータを供給する。HE走査の場合には、断層面における領域1−3に対するCZAデータを近似するために、領域1−3内のデータが、領域4−6内のデータと結合される。
(図5に示すように)、領域2および5は冗長領域であり、これら領域内のデータは、領域2に対するCZAデータを近似するために補間される。領域1および4内のデータも冗長データである。領域1および4は、両方とも断層面の同じ側に存在するので、領域1に対するCZA走査したデータの作成は、領域1および4内のCSH走査したデータを(補間ではなく)外挿することにより行われる。同様に、領域3および6内のデータも冗長データであり、断層面の同じ側に存在しているので、領域3に対するCZA走査したデータの作成は、領域3および6内にCSH走査データを外挿することにより行われる。上記HH走査方法と比較した場合のHE走査の利点は、HE走査はより少ない視野を使用することであり、そのため、各断層写真を再構成するのに、患者のZ軸に沿った並進は少なくともなくてすむことである。それ故、HE走査断層写真の有効断層面の幅は、HH走査断層写真の幅より狭い。しかし、HE走査の場合には、(領域1および3に対するCZA走査したデータを作成するために)若干の外挿を必要とするが、一方、HH走査は、全面に補間に依存している。それ故、補間が外挿より正確である範囲内で、HH走査はより正確な断層写真を形成することができる。
「同時に患者の並進を行うコンピュータ断層撮影走査」という名称の上記論文は、HE走査を詳細に記載している。HE走査に対する加重は、下記式(6)により表される。
γ=0のところを除いて、ラインβ=π−2γに沿った加重関数WHE(β、γ)は、γで不連続になっていて、個々に標本化した加重投影データは縞模様になり、外見上、第一の視野から出発し、共通の中心から遠ざかるにつれて、ますます深くなっている。上記不連続は、ラインβ=π−2γを横切ってWHE(β、γ)を薄くぼかすことにより除去することができる。
この薄くぼかすための手順は、w(x)が下記式(7)で表される位置x0のところの、関数w(x)のところの不連続を滑らかにするための一般的な手順と思えばよい。
但し、w1(x0)≠w2(x0)であるので、w(x)は、x=x0のところで不連続である。薄くぼかすためのアルゴリズムは、下記式(8)により、x=x0の両側で、距離d/2だけ、w1(x)およびw2(x)を延長することにより、上記不連続の箇所を滑らかにする。
ここで、関数f(x)は、ゼロ以下のxに対してゼロに等しく、1より大きいxに対しては、1に等しくなり、間隔0<x<1上においては、滑らかで連続している。薄くぼかすためのアルゴリズムで使用するための例示としての関数f(x)は、下記式(9)により表される。
「同時に患者の並進を行うコンピュータ断層撮影走査」という名称の上記論文は、HE走査方向を動作させるためには、10チャネルに等しい薄くぼかす距離d(すなわち、一つの検出器の長さの10倍)で十分であると報告している。
HH走査およびHE走査の他に、らせん投影データの4π以下から断層写真を形成するための他の周知の技術があり、本明細書においては、上記技術を「らせん半走査技術」と呼ぶ。例えば、1996年2月発行のMed.Phys.23(2)掲載のジアング・シエの「X線らせんコンピュータ断層撮影法の再構成への一般的なアプローチ」(A General Approach to the Reconstruction of X−ray Helical Computed Tomography,Jiang Hsieh,Med Phys.23(2),February 1996)という名称の論文が、らせん半走査技術を開示している。
図6は、非対称検出システム14を持つCTスキャナの幾何学的形状を示す。この検出システムは、検出器角度−γm+αから、γm−αまで延びる対称な部分14aと、検出器角度γm−αからγmまで延びる非対称な部分14bを含む。検出システム14は、また検出器角度−γmから−γm+αへ延びる部分14cを含まないものと見なすこともできる。検出システム14が、喪失部分14cを含んでいる場合には、検出システムは対称形になる。非対称検出システムが発生したファン状ビーム投影は、検出器角度−γm+αからγmまでの検出器角度のところのすべての検出器が形成した一組のデータ点Pf(β、γ)を含む。
上記非対称検出システムは、多くの場合、検出システムおよび関連DASのコストを有意に増大しないで、スキャナの「視野」(FOV)を広くするために、CTスキャナで使用される。スキャナのFOVは、検出システムの角度の広がりにより決定される。例えば、図2の対称検出システムを使用するスキャナのFOVは、2γmに等しく、図6の非対称検出システムを使用するスキャナのFOVは、2γm−αに等しい。このことは、非対称検出システムのFOVは、比較対称の対称検出システムのFOV(2γm)より短いことを示唆している。しかし、非対称型検出システムの対称部分の角度の広がりが、別の対称検出システムの角度の広がりに等しいか、ほぼ等しいと見なすことにより、(すなわち、非対称検出システムのγm−α部分が、別の対称検出システムのγmに等しいか、ほぼ等しいと見なすことにより)、別の対称検出システムおよび非対称検出システムとを正しく比較することができる。それ故、非対称検出システムを使用すれば、スキャナのFOVがαだけ効果的に長くなる。
非対称検出システムの他の利点は、個々の各検出器が断層写真の形成に貢献していることである。周知のように(断層写真に対するその貢献という点から見た場合)各検出器の重要性は、検出器角度が広がるにつれて低下する。それ故、その絶対値が予め定めた域値より大きい検出器角度を持つ、半分の検出器を除去することは合理的なことである。例を挙げて説明すると、マサチューセッツ州のアナロジック・コーポレーション・オブ・ピーボディ社(the Analogic Corporation of Peabody)製のアナトン・スキャナ(the Anaton Scanner)は、384の個々の検出器を含む検出システムを使用している。この検出システムの場合には、個々の各検出器は、0.125度の検出器角度の範囲を定め、γmは28.843度に等しく、αは9.687度に等しい。このような非対称検出システムは一般に使用されているが、このようなシステムを使用すると、らせん走査を発生するプロセスが複雑になる。
半走査冗長性を表す式(1)は、検出器アレイの非対称部分には適用できない。そのため、非対称検出器アレイによるHHおよびHE走査のようならせん半走査技術を使用することができない。それ故、非対称検出器アレイを含む従来技術の、CTスキャナの場合には、(HI走査のような)らせん全走査技術、および全アレイから収集したデータを使用して、らせん走査を行うことができる。別の方法としては、非対称部分からのデータを無視して、HHまたはHE走査のような技術を使用して、らせん走査を行うことができる。しかし、HHまたはHE走査を使用してらせん走査を行うことができ、非対称検出器アレイが収集したすべてのデータを使用することができれば有利である。
従来技術のらせん走査技術のもう一つの問題は、多くのCTスキャナで使用される「1/4検出器オフセット」に関連している。例えば、1994年2月3日付の(弁理士整理番号ANA−044である)「走査した画像の品質を改善するためのX線断層撮影法システムおよび方法(X−RAY TOMOGRAPHY SYSTEM FOR AND METHOD OF IMPROVING THE QUALITY OF A SCANNED IMAGE)」という名称の、米国特許出願第08/191,428号は、1/4検出器オフセットを開示している。一般的にいって、1/4検出器オフセットを使用するCTスキャナにおいては、X線源12の焦点およびZ軸を通る中心線40(図2に示す)は、検出システム14の検出器の一つの中心と交差しない。むしろ、中心線は、中央検出器の中心から少しずれている位置にある、本明細書において「中央検出器」と呼ぶ、検出器の一つと交差する。そのため、投影角βのところで、中央検出器により測定された放射線は、投影角β+πのところで、その検出器により測定された放射線と一致しない。むしろ、二つの放射線は相互にずれている。周知のように、上記の1/4検出器オフセットを使用すると、ディスクの360度の回転中に、スキャナが収集した(一意の標本化点の数を増大することにより)データの量が増大する。しかし、1/4検出器オフセットを使用すると、使用検出システムが対称であろうと、非対称であろうと、CSH走査のプロセスが複雑になる。
周知のように、CT走査中に収集したファン状ビーム数投影データは、多くの場合、一つの整理し直された投影を発生するするために使用した放射線が、相互に平行になるように、整理し直された投影データを形成するために、「再度収容される」かまたは「整理し直される」。1/4検出器オフセットを使用するシステムにおいては、整理し直された投影は、通常、平行なビーム投影データを生成するために「インターリーブ」される。図7Aは、0度のファン状ビームの投影角のところで入手した、ファン状ビーム投影100の、個々の放射線の内の何本かを示し、図7Bは、0度の平行なビームの投影角のところで入手した平行なビーム投影102の個々の放射線の内の何本かを示す。図に示すように、ファン状ビーム投影100の放射線のどれもが相互に平行ではなく、一方、平行ビーム投影102のすべての放射線は相互に平行である。すべての放射線はX線源12の焦点から出て、ファン状ビームの形成しているので、CTスキャナは、同時に平行ビームのすべての放射線を発生することはできない。しかし、周知のように、ファン状ビームの投影のデータは、平行ビーム投影を形成するために整理し直され、インターリーブされる。周知の全走査および半走査平行ビーム再構成アルゴリズムは、それぞれ、領域(0、2π)および(0、π)内のβに対するCZA平行ビーム投影Pp(β、γ)から、断層写真を形成することができる。
図8Aおよび図8Bは、整理し直された投影を形成するための方法を示す。図8Aおよび8Bは、二つの連続しているファン状ビーム投影が形成されている間の、X線源12と検出システム14の位置を示す。図8Aおよび図8Bは、七つの個々の検出器、22:1、22:2、22:3、22:4、22:5、22:6および22:7を含む検出システムを示す。大部分の検出システムは、数百の検出器を含み、すでに説明したように、アナトム・スキャナで使用されれいる検出システムは、384の検出器を含む。しかし、図をわかりやすくするために、七つ検出器からなる検出システムについて説明することにする。走査中、図8Aおよび図8Bに示すように、X線源12および検出システム14は、Z軸を中心にして反時計方向に回転し、検出システム14は、図面の表面に垂直に延びる。図8Aに示す第一の投影中、放射線114は、検出器22:4(すなわち、検出システム14の第四のチャネルの検出器)に入射する。図8Bに示す次の投影の間、放射線116は、検出装置22:3(すなわち、検出システムの第三のチャネルの検出装置)に入射する。図8Bに示す次の投影の間、放射線116は、検出装置22:3(すなわち、検出システムの第三のチャネルの検出装置)に入射する。個々の検出器間の空間は、連続しているファン状ビームの投影を形成している間の、ディスクの回転量にマッチしていて、放射線114は、放射線116と平行であるか、少しずれている。この基本的な関係が、すべてのファン状ビーム投影に対して当てはまる場合には、連続しているファン状ビームの投影中に、隣接する検出器に入射する二つの放射線は、相互に平行であるか、相互にずれている。すでに説明したように、アナトム・スキャナにおいては、個々の検出器は、0.125度だけ離れていて、そのため、そのスキャナにおいては、連続している投影は、0.125度に等しい投影角だけ分離している。それにより、スキャナが収集したファン状ビームのデータを整理し直した投影に再構成することができる。
対称検出システム14が、1/4検出器オフセットを含んでいる場合には、整理し直した平行ビーム投影は、その後、インターリーブされた平行ビーム投影を形成するために、インターリーブすることができる。一つのより密度の高い投影を形成するために、180度離れている、整理し直された投影角のところで入手した、二つの整理し直された投影からのデータを結合することにより、インターリーブされた各平行ビーム投影が形成される。図9Aおよび図9Bは、X線源12、患者20の断面、および、それぞれ0度および180度の投影角に対する、対称型検出システム14の空間的な関係を示す。図9Aおよび図9Bは、再度対称型検出システム14を示すが、この検出システムは、図を分かりやすくするために、七つの個々の検出器を含んでいる。図の検出器14は、1/4検出器オフセットを含んでいるので、Z軸を通ってX線源12の焦点から延びる中心線40は、中央の検出器22:4の中心とは交差しない。むしろ、中心線40は、検出器の幅の1/4だけ中心からずれている一点で、中央の検出器22:4と交差する。
図10は、0および180度の投影角のところの、対称型検出器14と、三つの検出器上に入射した放射線120、122、124との間の空間における関係を示す。対称型検出システム14と中心線40との間に、1/4検出器のオフセットがあるので、0度の投影角のところの検出システム14は、180度ところの検出システムからずれている。従って、180度の投影角に対する、六番目のチャネル検出器22:6上に入射する放射線120は、ゼロ度の投影角に対して、それぞれ、検出器22:2および22:3上に入射する放射線122および124の間に正確に入射する。それ故、180度のところの検出システムにより供給される一組のインターリーブされたデータは、ゼロ度のところの検出システムが供給する一組のデータに対して、検出器の幅の1/2だけ変位する。この例の場合には、検出器22:6は、「中央」検出器と見なすことができ、検出器22:2および22:3は、「対向隣接」検出器と見なすことができる。各投影角のところで、各検出器は、特定の放射線経路に沿った質量の密度全体を測定するが、一般的にいって、対向隣接検出器が使用する放射線経路は、任意の他の検出器が使用する放射線経路より、中央検出器が使用する放射線経路により近い場所に位置する。(例えば、ゼロ度の投影角のところの検出器22:2、22:3は、180度の投影角のところの検出器22:5、22:7が使用する放射線経路より、180度の投影角のところの検出器22:6が使用する放射線経路の方により近い。)180度離れた任意の二つの整理し直された投影は、一つのより密度の濃い平行ビーム投影を形成するために、中央および対向隣接検出器の間のこの関係を利用して、インターリーブすることができる。
対称型検出システムが発生した、一つのインターリーブされた平行ビーム投影は、一組のデータ点D:1、D:2、D:3、...、D:Nとして表すことができる。この表示の場合には、すべての奇数のデータ点(例えば、D:1およびD:3)は、整理し直された投影角βのところで入手した、整理し直された投影により影響を受け、すべての偶数のデータ点(例えば、D:2およびD:4)は、β+πという整理し直された投影角のところで入手し整理し直された投影により影響を受ける。
(図6に示す検出システムのような)非対称型検出システム14により整理し直され、投影角βおよびβ+πのところで形成された、二つの整理し直された投影をインターリーブして、一つのインターリーブされた平行ビーム投影を形成することができる。しかし、非対称型検出システムが収集したデータをインターリーブする手順は、対称型検出システムによる収集したデータに対する手順とは異なる。何故なら、非対称型部分14bをインターリーブするために必要なデータは、図6の喪失部分14cからだけ収集することができるからである。それ故、非対称型検出システム14を使用する場合には、結果として得られるインターリーブした平行ビーム投影は、中央領域と二つの外部領域を含む。中央領域内においては、データ点は、対称型検出システムが形成した投影と同じに組み立てられ、すべての他のデータ点は、異なる整理し直された投影により影響を受ける。外部領域の中の一方においては、すべてのデータ点は、整理し直された投影角βのところで形成され、整理し直された投影により影響を受け、他方の外部領域内においては、すべてのデータ点は、整理し直され、投影角β+πのところで形成され、整理し直された投影により影響を受ける。外部領域内のデータ点は、インターリーブされていないので、外部領域内の隣接するデータ点の間の角度空間は、中央領域内の隣接するデータ点の間の角度空間の二倍の広さを持つ。
非対称型検出システムが形成した一つのインターリーブされた平行ビーム投影は、1からNmまでのすべての整数iに対して、一組のデータ点D:iとして表すことができる。この場合、Nmは2Ns+2Naに等しく、Nsは検出システムの対称部分14aの検出器の数に等しく、Naは検出システムの非対称部分14bの検出器の数に等しい。この表示の場合、すべてのデータ点D:iは、ゼロより大きいかまたは等しく、またNa−1より小さいかまたは等しいすべての整数jに対する、i=2j+1およびi=Nm−2jに対して定義されない。これらの定義されないデータ点は、外部領域の一方の中の奇数のデータ点と、他の外部領域内の偶数のデータ点である。これらの定義されないデータ点は、検出システムの喪失部分14cによってだけ収集できたデータ点である。この表現の場合、すべての(定義された)奇数のデータ点は、整理し直された投影角βのところで形成され、整理し直された投影により影響を受け、すべての(定義された)偶数のデータ点は、整理し直され、投影角β+πのところで形成され、整理し直された投影により影響を受ける。
以後、平行ビーム投影角βのところで入手した平行ビーム投影は、一組の「奇数のデータ点」および一組の「偶数のデータ点」を含む投影と呼び、「奇数のデータ点」という用語は、整理し直した投影角βのところで測定したデータ点を指し、「偶数のデータ点」という用語は、整理し直した投影角β+πのところで測定したデータ点を指す。さらに、「奇数のデータ点」という用語は、平行ビーム投影の奇数のデータ点を形成するために、整理し直し、インターリーブすることができるファン状ビームの投影のデータ点を指し、また「偶数のデータ点」という用語は、平行ビーム投影の偶数のデータ点を形成するために、整理し直し、インターリーブすることができるファン状ビームの投影のデータ点を指す。
インターリーブされた平行ビーム投影の中央領域内においては、i番目データ点D:iを発生するために使用される放射線経路は、任意の他の放射線経路より、隣接するデータ点D:i−1およびD:i+1を形成するために使用される放射線経路の方に近い。しかし、隣接するデータ点(例えば、D:iおよびD:i−1)の測定時間の間の違いは、別のデータ点(例えば、D;iおよびD:i−2)の測定時間の間の違いより遙かに大きい。例えば、T:iがデータ点D:iを測定する時間を表す場合には、T:iからT:i−1を引いたものは、T:iからT:i−2を引いたものより遙かに大きい。これは真実である。何故なら、一つの平行ビーム投影のすべての偶数の点は、一つの整理し直された投影により影響を受け(また、整理し直された投影のすべてのデータ点は、一組の隣接するファン状ビーム投影により形成されるからである。)しかし、平行ビーム投影の中央領域内の隣接するデータ点は、相互に約180度離れて形成された、二つの異なる整理し直された投影により影響を受ける。それ故、上記の隣接するデータ点の測定時間は、ディスクが約180度回転するのに要する時間だけずれる。
患者が並進運動をしない場合には、(すなわち、その間に患者が体を動かさないCZA走査の間は)、平行ビーム投影の中央領域の、隣接するデータ点により測定される患者体の各部は、物理的に相互に近接している。しかし、CSH走査データから形成した、平行ビーム投影の中央領域内においては、隣接するデータ点により測定した患者の覚各部は、軸方向に比較的長い距離離れている。何故なら、ディスクが約180度回転するのに要する時間の間、患者は、Z軸の方向にかなりの距離だけ並進するからである。その結果、CSH走査中に行われる一回の各平行ビーム投影中、偶数のデータ点と奇数のデータ点の間にはズレが生じる。さらに、偶数および奇数のデータ点に適用されるらせん加重には、さらに大きなズレが生じる。これらのズレは、投影データの高周波ノイズのように見え、オフセット検出システムが収集したCSHデータから、断層写真を形成するプロセスを複雑にする。
特に、この高周波ノイズは、「同一中心補間」を行うプロセスを複雑にし、またCSH走査から形成した断層写真からの、縞模様のアーティファクトを抑制するプロセスを複雑にする。周知のように、同一中心補間は、平行ビーム投影のデータ点の間の、一次空間を等しくするために使用する補間プロセスを参照する。CSH走査データに適用した場合、同一中心補間および/または縞模様抑制を行うための従来技術はうまく機能せず、比較的大量の画像アーティファクスを特徴とする断層写真となる傾向がある。これらアーティファクトを低減するための一つの従来技術による方法は、1/4検出器オフセットにより生じた、高周波情報を抑制するための低域フィルタを含む濾過背面映写のための、コンボルーション・カーネルを選択する方法である。上記コンボルーション・カーネル、ある種のアーティファクトは効果的に抑制するが、結果として得られる断層写真の解像度を低下させるという困った影響も持つ。
発明の目的
本発明の一つの目的は、従来技術の上記問題を実質的に軽減または克服することである。
本発明の他の目的は、らせん半走査技術を使用する非対称型検出システムが収集したすべてのデータから、断層写真を形成することができるらせん走査を行うための改良型の方法および装置を提供することである。
本発明のさらに他の目的は、非対称型検出システムが収集したすべてのデータから、断層面の幅が狭い断層写真を形成することができる、らせん走査を行うための改良型の方法および装置を提供することである。
本発明のさらに他の目的は、検出器オフセットを使用する非対称型検出器アレイと一緒に使用するための、らせん走査用の改良型の方法および装置を提供することである。
本発明のさらに他の目的は、らせん走査中に収集したデータに対して、同一中心補間を行うための改良型の方法および装置を提供することである。
本発明のさらに他の目的は、らせん走査中に収集したデータに対して、縞模様のアーティファクト抑制を行うための、改良型の方法および装置を提供することである。
発明の概要
上記および他の目的は、非対称型検出システムの対称部分が収集したデータに、らせん半走査技術を適用し、非対称型検出システムの非対称部分が収集したデータに、らせん全走査技術を適用する、改良型らせん加重システムにより達成される。上記目的は、さらに、等角補間装置、縞模様のアーティファクト抑制フィルタ、および平行ビーム投影データの偶数のデータ点を奇数のデータ点の間の相違を記憶する同一中心補間装置により達成される。
当業者なら、以下の詳細な説明を読めば、本発明のさらに他の目的および利点を容易に理解することができるだろう。図示し説明するいくつかの実施形態は、本発明の最善の実施方法を説明するための例示としてのものに過ぎない。理解してもらえると思うが、本発明は、他の異なる実施形態により実行することができ、本発明から逸脱することなしに、その詳細な点を種々の面を修正することができる。従って、図面および説明は、例示としてのものと見なすべきであり、本発明を制限または限定するものではない。本発明の範囲は請求の範囲内に記載してある。
【図面の簡単な説明】
本発明の本質および目的をさらよく理解するためには、添付の図面を参照しながら、以下の詳細な説明を参照されたい。添付の図面では、同じまたは類似の部品を示すのに同じ参照番号を使用している。
図1は、従来技術CTスキャナを軸方向に見た図面である。
図2は、投影角βのところに投影を形成するための、ディスク、X線源および検出システムの向きを示す図1のCTスキャナを軸方向に見た簡単な略図である。
図3Aは、CZA走査中に収集したデータの断層面の等角図である。
図3Bは、領域(0、10π)内のファン状ビーム投影中にCSHに発生する、各ファン状ビーム投影のZ軸位置の一組の軌跡の等角図である。
図4は、ファン状ビーム投影角π+2γmに対応する断層面における、断層写真を形成するために、HH走査が使用するラドン空間のグラフを示す図である。
図5は、ファン状ビーム投影角πに対応する断層面における、断層写真を形成するために、HE走査が使用するラドン空間のグラフを示す図である。
図6は、非対称型検出システムを持つCTスキャナを軸方向に見た簡単な略図である。
図7Aは、一つのファン状ビーム投影を形成する放射線の内の何本かを示す、従来技術のCTスキャナを軸方向に見た簡単な略図である。
図7Bは、一つの平行ビーム投影の放射線の内の何本かを示す従来技術のCTスキャナを軸方向に見た簡単な略図である。
図8Aおよび8Bは、ファン状ビーム投影データを整理し直された投影データに再度収容するための一つの方法を示すである。
図9Aおよび9Bは、それぞれ、投影角0度および180度のところの、従来技術検出システムを軸方向に見た簡単な略図である。
図10は、投影角0度および180度のところでの、図9Aおよび図9Bの検出システムの間の空間内での関係を示す図である。
図11は、投影角2πに対応する断層面のところに、断層写真を形成するための、本発明の「らせん非対称型」(HA)走査が使用するラドン空間のグラフを示す図である。
図12は、投影角2π−φに対応する断層面のところに、断層写真を形成するための、本発明の(HA)が使用するラドン空間のグラフを示す図である。
図13Aは、検出システムの非対称部分が収集した投影の一部の簡単な略図である。
図13Bは、喪失部分が存在する場合に、検出システムの喪失部分が収集することができる投影の一部と同様に検出システムの非対称部分が収集した投影の一部の簡単な略図である。
図14は、非対称型検出システムと一緒に使用するための本発明に従って組み立てた好適なCTスキャナの一部の、ブロック図である。
図15は、平行ビーム投影の直線状の空間および同一中心補間装置が形成した投影の偶数の空間を示すである。
図16は、1/4検出器オフセットを持つ、非対称型検出システムと一緒に使用するための本発明に従って組み立てた他の好適なCTスキャナの一部のブロック図である。
図17は、CSH走査と一緒に使用するための本発明に従って組み立てた縞模様のアーティファクト抑制フィルタのブロック図である。
図面の詳細な説明
本発明は、CSH走査中に収集したデータから断層写真を形成するための改良型方法および装置を提供する。本明細書においては、本発明が提供する一つの改良型の方法を、「らせん非対称型」またはHA走査と呼ぶ。HA走査は、非対称型検出器アレイ(例えば、図6に示す非対称型検出器アレイ)が、投影データを収集するために使用するものと見なす。HA走査の場合には、領域(0、4π)内のβ、および領域(−γm+α、γm)内のγに対するCSHデータPf(β、γ)が入手される。HA走査は、検出器アレイの非対称部分が収集したCSH走査データを処理するために、(HIまたはある種の他のらせん全走査技術のような)らせん全走査技術を使用し、検出器アレイの対称部分が収集したCSH走査データを処理するために、(HH走査、HE走査またはある種の他のらせん半走査技術のような)らせん半走査技術を使用する。より詳しく説明すると、HA走査は、領域(0、2π)内のβに対するCZA走査データ、および領域(γm−α、γm)内のγに対するCZA走査データを近似するために、領域(γm−α、γm)(すなわち、非対称型部分)内のγ、および領域(0、4π)内のβに対する、ファン状ビーム投影データ点Pf(β、γ)を処理するためにらせん全走査技術を使用する。HA走査は、また領域(2π−Ψ/2、2π)内のβに対するCZA走査済みデータ、および領域(−γm+α、γm−α)内のγに対するCZA走査データを近似するために、領域(−γ+α、γm−α)(すなわち、対称型部分)内のγ、および領域(2π−Ψ/2、2π+Ψ/2)(この場合、Ψは、半走査らせん技術を実行する場合に必要なファン状ビームの投影の範囲であり、例えば、HH走査の場合には、Ψは2π+4γmに等しく、HE走査の場合には、Ψは2πに等しい)内のβに対する、ファン状ビーム投影データ点Pf(β、γ)を処理するために、らせん半走査技術を使用する。その後、HA走査は、CSH投影角2πに対応する断層面のところに、一つの断層写真を形成するために、二組の近似したCZA走査済みデータ(すなわち、検出システムの非対称部分が収集したデータから形成した一組、および検出システムの対称部分が収集したデータから形成したもう一つの組)を使用する。
当業者なら理解することができると思うが、一枚の断層写真は、らせん半走査技術を使用して、検出システムの対称部分が収集したデータから形成することができる。同様に、もう一枚の断層写真もまた、らせん全走査技術を使用して、検出システムの非対称部分が収集したデータから形成することができる。これら断層写真の信号/雑音比は、実際には制限されている。何故なら、各断層写真は、検出システムの限定された部分が収集したデータだけを使用して、形成されるからである。HA走査は、改善された信号/雑音比を持つ一つの断層写真を形成するために、データのこれら二つの部分(すなわち、検出システムの対称部分および非対称部分が形成する部分)を有利に使用する。らせん半走査技術は、検出システムの対称部分が収集したデータに適用されるので、このデータから形成された断層写真の一部は、上記らせん半走査技術により決定される関連断層面の幅を持つ。同様に、らせん全走査技術は、検出システムの非対称部分が収集したデータに適用されるので、このデータから形成された断層写真の一部は、上記らせん全走査技術により決定される関連断層面の幅を持つ。それ故、HA走査は、(1)断層写真の少なくとも一部の断層面の幅を有利に最小にし、(2)非対称型検出システムが収集したすべてのデータを使用して、断層写真を有利に再構成することができ、(3)上記再構成した断層写真の信号/雑音比を改善する。
図11は、HA走査が使用するデータ用のラドン空間である。図11に示すデータが、図6に示すタイプの非対称型検出システムにより収集される場合には、領域2、4および5は、検出システムの対称部分14aが収集したデータを表す。領域3は、検出システムの非対称部分14bが収集したデータを表す。最後に、上記部分が存在していた場合には、検出システムの喪失部分14cが収集したデータを表す。HA走査の場合には、(例えば、HH走査またはHE走査のような)らせん全走査技術は、検出システムの対称部分(すなわち、領域2、4および5)が収集したデータに適用され、らせん全走査技術は、検出システムの非対称部分(すなわち、領域3)が収集したデータに適用される。らせん半走査技術は、領域(2π−Ψ/2、2π+Ψ/2)内のβを含む、CSHファン状ビーム投影データだけを必要とするので、領域2内のデータでは、断層写真を形成するにの十分であり、領域4および5内のデータは捨てることができる。領域4および5内のデータを捨てると、検出器アレイの対称部分が形成する断層写真の一部の断層面の幅が効果的に狭くなる。
HA走査を実行する一つの方法は、濾過背面映写を行う前に、(図11に示す)ラドン空間内のデータに、一組の加重を掛けるという方法である。領域1に対する加重はゼロである。何故なら、領域1は、非対称型検出システムが、実際に収集しないデータを表すからである。領域4および5に対する加重もゼロである。何故なら、これら領域内のデータは、断層写真の少なくとも一部に対する断層面の幅を狭くするために、好適には捨てることが好ましいからである。領域2に対する加重は、らせん半走査技術により決定され、領域3に対する加重は、らせん全走査技術により決定される。走査技術HIが、らせん全走査技術として使用される場合には、領域3に対する加重は、式(4)により与えられ、HHまたはHE走査技術が、らせん半走査技術に対する使用される場合には、領域2に対する加重は、それぞれ、式(5)または(6)により部分的に決定される。式(5)および(6)は、それぞれ、間隔(0、Ψ)のβに対して、それぞれ、HHおよびHE走査技術に対する加重WHH(β、γ)およびWHE(β、γ)を示す。しかし、領域2内においては、βは間隔(2π−Ψ/2、2π+Ψ/2)を超えて延びる。それ故、この加重は、領域2のデータと一緒に使用するためのHHおよびHE加重が、それぞれ、WHH(β−Ψ/2、γ)およびWHE(β−Ψ/2、γ)により与えられるように、βをズラすことにより、領域3と一緒に使用することができるようにすることができる。
HA走査に関連する一つの潜在的な問題は、図11に示すように、ラドン空間に適用される加重が、垂直ラインγ=−γm+α、およびγ=γm−αに沿った二つの連続部分である。重量のこれらの不連続は、断層写真の中心をはずれた対象物から出ている縞模様を発生する恐れがある。加重のこの二つの連続部分は、半走査加重(すなわち、領域2のデータに適用される加重)を、不連続のこれら二つのラインに沿って、全走査加重(すなわち、領域3のデータに適用される加重)およびゼロ加重(すなわち、領域1に関する加重)で薄くぼかすことにより除去することができる。好適には、上記のぼかしは、−γm+α<γ<−γm+α+ζ、およびγm−α−ζ<γ<γm−α、である領域内で行うことが好ましい。この場合、ζは、薄くぼかす領域の角度範囲を示す。薄くぼかす領域の境界は、γ=γm+α、γ=−γm+α+ζ、γ=γm−α−ζ、およびγ=γm−αである場所に位置する、図11の垂直線で示す。この薄くぼかす作業は、式(8)のところで説明したように行うことができる。ある好適な実施形態の場合には、ζは、薄くぼかす領域が、約20の検出器の領域上を延びるように選択される。
すでに説明したように、ディスク(およびX線源および検出システム)は、例えば、一回のCSH走査中に患者の周囲を、完全に20回転するような速度(すなわち、40π)で、回転することができる。この走査中に収集されるデータは、対応する複数の断層面のところに、複数の断層写真を形成するように使用することができる。それ故、今まで説明してきたように、HA走査は、領域(x、x+4π)内のβに対するファン状ビーム投影データを必要とする。この場合、xは、投影角x+2πに対応する切断面のところで、断層写真を形成するための任意の出発角度である。間隔(0、10π)の投影角に対する、HAらせん走査の各投影角に対応するZ軸位置を示す)図3Bについて説明すると、今まで説明してきたように、HA走査を、領域(2π、8π)内の投影角に対応する任意の断層面(すなわち、Z軸位置)において、断層写真を形成するために使用することができる。しかし、今まで説明してきたように、HA走査は、領域(0、2π)(すなわち、走査のスタート位置)および領域(8π、10π)(すなわち、走査の終了位置)内の投影角に対応する断層面のところに、任意の断層写真を形成するために使用することができる。
さらに、図3Bについて説明すると、領域(π、2π)(すなわち、走査のスタート位置)および領域(8π、9π)(すなわち、走査の終了位置)内の投影角に対応する断層面のところに、断層写真を形成するためにHA走査を修正することができる。図12は、領域(π、2π)内の投影角に対応する断層面のところに、断層写真を形成するために使用することができる、ラドン空間を修正したものである。図11と比較した場合、図12の場合には、領域2は、φだけ下方にシフトされていて、そのため、領域5の範囲が収縮し、領域4の範囲が拡張している。しかし、領域2がΨ投影角の範囲上を延びているので、領域2からのデータから、2π−φの投影角に対応する断層面のところに、断層写真を再構成するために、らせん半走査技術を使用することができる。同様に、領域3内の投影データの4πも、上記断層写真に貢献するように使用することができる。領域2および3に適用される加重は、φに等しい量にズラさなければならない。それ故、HHまたはHE走査技術は、らせん半走査技術用に使用され、領域2に対する加重は、それぞれ、WHH(β−π−2γm+φ、γ)またはWHE(β−π+φ、γ)で表される。同様に、HI走査技術が、らせん全走査技術に対して使用される場合には、領域3に対して加重は、下記式(10)で表される。
φをπに等しくなるように選択すると、投影角πに対応する断層面のところに、断層写真を再構成することができる。それ故、間隔(π、2π)の投影角に対応する断層面のところに、断層写真を形成するために、走査の開始の時点でこの手順を使用することができる。当業者であれば、(ラドン空間を下げるのではなく、ラドン空間を上げるステップを含む)類似の手順を、走査の終わりの時点で断層写真を形成するために、使用することができることを理解することができるだろう。
ここまでは、本発明のファン状ビーム投影データから断層写真を形成する濾過背面映写アルゴリズムに関連して説明してきた。HA走査をファン状ビームCTシステムに関連して説明してきたが、当業者であれば、平行ビームCTシステムと一緒にHA走査を使用することができることを理解することができるだろう。HA走査の動作は、平行ビーム再構成アルゴリズムにより、直感的に理解することができるだろう。図11の領域2内のデータは、領域(0、π)内のβに対する、CZA平行ビーム投影Pp(β、γ)を形成するために、再度収容し、インターリーブすることができ、図11の領域3内のデータは、領域(0、2π)内のβに対する、CZA平行ビーム投影Pp(β、γ)を形成するために、再度収容し、インターリーブすることができる。最初に、二つの要因の中の一方の要因が、二組の加重の一方から喪失しているように見えるかもしれない。しかし、領域1に対しては、ファン状ビームデータの収集は行われず、領域3内の二組のデータは、領域1内の喪失データを補償するために使用される。図13Aおよび図13Bは、この関係を示す。
図13Aは、検出器4の非対称部分14bにより測定される、平行ビーム投影の一部に対する放射線経路R1である。放射線経路R1の他に、図13Bは、喪失部分が存在している場合には、検出システムの上記喪失部分により測定可能であった、平行ビーム投影の一部に対する放射線経路R2を示す。当業者であれば、患者が並進運動をしない場合には、領域(0、2π)内の平行ビーム投影角に対する、非対称部分14bにより収集したデータは、領域(0、π)内の平行ビーム投影角に対する、検出器部分14b、14cが収集したデータと同じものであることを理解することができるだろう。それ故、非対称部分14bに対して収集した投影データの余分なπは、喪失部分14cが収集しないデータを補償する。
HA走査が、平行ビーム濾過バック投影アルゴリズムと一緒に使用される場合には、再度の収容および/またはインターリーブを行う前後に、上記加重を(図11に示すように)ラドン空間に適用することができる。上記加重が、再度の収容の前に適用される場合には、好適には、βが2π+Ψ/2に等しい場所の水平線の近くの領域2および4の間、およびβが2π−Ψ/2に等しい場所の水平線に近い領域2および5の間で、この加重を薄くぼかすことが好ましい。この薄くぼかす作業は、CZA走査の場合に使用される周知の過度走査手順に類似の手順である。過度走査は、CZA走査中に発生する患者の並進運動を補償し、最初の投影角のところの投影データを、(例えば、最終角度が最初の角度+2πに等しい場合の)最終角度のところの投影データと異なるものにする。例えば、(1981年)発行のMedical Physics、8巻、706−711頁掲載の、D.L.パーカ、V.スミスおよびJ.H.スタンリの「コンピュータ断層撮影法過度走査の線量の最小化」(D.L.Parker,V.Smith,and J.H.Stanley,Dose minimization in computed tomography overscanning,Medical Physics,vol.8,706−711(1981))が、過度走査について記載している。
図14は、CSH走査データから断層写真を形成するための、本発明により組み立てた好適なCTスキャナ200の一部のブロック図である。スキャナ200は、非対称型検出システム14、らせん加重システム210、平行ビーム・コンバータ212、従来技術の等角補間装置214、従来技術の同一中心補間装置216、および背面映写装置220を含む。非対称型検出システム14は、ファン状ビーム投影データを収集し、それをらせん加重システム210に適用する。このらせん加重システムは、HA走査用の薄くぼかした加重を図11および図12のところですでに説明したように、ファン状ビーム投影データに適用する。加重が行われた投影データは、その後、平行ビーム投影データを作成するために、ファン状ビーム投影データを整理し直し、インターリーブする平行ビーム・コンバータ212に適用される。等角補間装置214は、平行ビーム投影を受け取り、平行ビーム投影の外部領域内の定義してない点を満たすことにより、そこから等角投影を発生する。同一中心補間装置216は、等角投影を受け取り、そこから同一中心投影を形成する。背面映写装置220は、同一中心投影を受け取り、平行ビーム再構成アルゴリズムを使用して、このデータから断層写真を形成する。スキャナ200の他の実施形態の場合には、平行ビーム・コンバータ212、等角補間装置214、および同一中心補間装置216が設置されていないで、背面映写装置214が、ファン状ビーム再構成アルゴリズムを使用して、断層写真を形成する。
スキャナ200は、非対称型検出システムを含んでいるので、平行ビーム・コンバータ212が形成した各平行ビーム投影は、中央領域および二つの外部領域を含む。さらに、すでに説明したように、外部領域内の他の各データ点は定義されていない。等角補間装置214は、平行ビーム投影の定義されていない各データ点を補間した点で置き換えることにより、平行ビーム投影から等角投影を形成する。当業者なら周知のように、補間装置214は、隣接するデータ点の加重平均に従って、これら補間されたデータ点を形成することができる。例えば、補間装置214は、定義された隣接データ点、D:i−1およびD:i+1の加重平均に従って、定義されていないデータ点D:iに対する数値を計算することができる。定義されていない点を補間したデータ点により置き換えることにより、補間装置214は、等角投影のすべての隣接するデータ点の間の角度空間を確実に等しいものにる。
同一中心補間装置216は、同一中心投影のすべての隣接するデータ点の間の直線距離が、すべて等しくなるように、等角投影から同一中心投影を形成する。図15は、1から17までのすべてのiに対するデータ点D:iを含む等角投影250を示す。投影250は、等角投影であるので、すべてのデータ点、D:iは定義される。大部分の等角投影は、数百のデータ点を含むが、図を簡単にするために、17のデータ点を含む投影250について説明することにする。図15は、投影250の各データ点D:i(すなわち、データ点を形成するために使用した放射線の間の一次空間)の間の空間を示す。図に示すように、投影250の中心近くのデータ点間の上記空間は、投影の端部付近のデータ点の間の空間より遙かに広い。このような不均等空間は、ファン状ビーム投影を平行ビーム投影に変換した場合に現れる周知の結果である。同一中心補間装置216は、等角投影250から、データ点C:iの同一中心投影260を形成する。図に示すように、投影260のすべてのデータ点相互間の空間は同一である。従来技術において周知のように、同一中心補間装置216は、下記式(11)により、投影250に関連するのデータ点の近くの加重平均に従って、各データ点C:iを形成することができる。
背面映写装置220は、同一中心投影から断層写真を形成する。らせん加重システム210の動作により、スキャナ200は改善された断層写真を形成することができる。非対称型検出システム14が、検出器オフセット(例えば、1/4検出器オフセット)を使用しない場合に、スキャナ200はよく機能する。しかし、本発明は、また検出器オフセットを使用する非対称型検出器が収集したCSH走査データから、断層写真を形成するための方法および装置を提供する。図16は、1/4検出器オフセットを含む非対称型検出システムが収集したCSH走査データから、断層写真を形成するための、本発明に従って組み立てた、好適なスキャナ300のブロック図である。改良型スキャナ300は、非対称型検出システム14、らせん加重システム210、平行ビーム・コンバータ212、改良型らせん等角補間装置314、改良型らせん縞模様抑制フィルタ318、改良型らせん同一中心補間装置316、および背面映写装置220を含む。
スキャナ300においては、非対称型オフセット検出システム14が、ファン状ビーム投影データを収集し、そのデータをらせん加重システム210に適用する。らせん加重システム210は、HA用の薄くぼかした加重をファン状ビーム・データに適用し、その後、上記加重ファン状ビーム投影データを平行ビーム・コンバータ212に適用する。コンバータ212は、平行ビーム投影を形成するために、上記ファン状ビーム・データを整理し直し、インターリーブする。上記各平行ビーム投影は、中央領域と二つの外部領域を特徴とする。改良型等角補間装置316は、上記外部領域内のすべてのデータ点の数値を二倍にし、すべての定義していないデータ点を、ゼロの数値を持つデータ点により置き換えることにより等角投影を形成する。補間装置314が形成した等角投影は、縞模様抑制フィルタ318に適用され、このフィルタは、結果として得られる断層写真の縞模様を抑制するように、投影の振幅が大きく、空間周波数が高い成分を抑制する。縞模様抑制フィルタ318が形成した濾過投影は、改良型同一中心補間装置316に送られ、この補間装置は等角中心投影を形成する。背面映写装置214は、等角中心補間装置316が形成した等角投影を受け取り、このデータから断層写真を形成する。
スキャナ300においては、コンバータ212が形成した平行ビーム投影が、改良型らせん等角補間装置214に送られる。従来技術の場合には、等角補間は、通常、各外部領域内の隣接するデータ点の各組の間に、新しいデータ点を補間することにより行われた。しかし、従来技術の等角補間を行わないで、改良型等角補間装置314は、定義していないデータ点を、ゼロの数値を持つデータ点で置き換え、外部領域内のすべてのデータ点の数値を二倍にする。等角補間の従来技術の方法は、必ず、その領域に対する奇数のデータ点の補間した組を形成するために、一つの外部領域内の偶数のデータ点を使用し、また、その領域に対する偶数のデータ点の補間した組を形成するために、他の外部領域内の奇数のデータ点を使用する。さらに、改良型等角補間装置314が行う動作は、補間装置214が行う動作より、簡単なものである。(すなわち、計算が簡単である。)
縞模様抑制フィルタ318は、等角補間装置314が形成した等角投影を受け取り、そこから、修正した投影を形成するが、上記修正した投影は、等角補間装置316に送られる。縞模様抑制フィルタ318は、結果として得られる断層写真の縞模様アーティファクトを低減するように、投影から振幅が大きく、空間周波数が高い成分を抑制する。1996年1月17日付の「コンピュータ断層撮影システムと一緒に使用するための縞模様抑制フィルタ(STREAK SUPPRESSION FILTER FOR USE WITH COMPUTED TOMOGRAPHY SYSTEM)」という名称の、米国特許出願第08/587,468号(弁理士整理番号ANA−081)が、CZA走査に対して役に立つ縞模様抑制フィルタ318の一つの形を開示している。上記米国特許出願は、引用によって本明細書の記載に援用する。
図17は、本発明に従って組み立てられた、縞模様抑制フィルタ318のブロック図である。フィルタ318は、等角補間装置316が形成した投影を受け取る。これらの各投影は、N個のデータ点D:1からD:Nを含む。これらのデータ点から、縞模様抑制フィルタ318は、一組の縞模様修正データ点SC:1からSC:Nを形成し、これらデータ点は、等角補間装置316に適用される。フィルタ318は、空間フィルタ410、一組のN個の域値装置420:1から420:N、および一組のN個の加算装置430:1から430:Nを含む。空間フィルタ410は、1からNまでのすべてのiに対するすべてのデータ点D:iを受け取る。各データ点C:iに対して、空間フィルタは、高周波データ点HF:iおよび低周波データ点LF:iを形成する。高周波データ点および低周波データ点HF:iおよびLF:iは、xが隣接距離の長さを定義する、データ点D:iの周囲のデータ点D:i−x/2からD:i+x/2の近くの、空間での高周波数内容および低周波数内容をそれぞれ表す。各高周波データ点HF:iは、1からNまでのすべてのiに対する、対応する域値装置420:iに適用される。域値装置420:iは、クリップしたデータ点を形成し、そのデータ点を1からNまでのすべてのiに対する、加算装置430:iの一つの入力ターミナルへのこのデータ点に適用する。低周波データ点LF:iは、1からNまでのすべてのiに対する、加算装置430:iの他方の入力ターミナルに送られる。加算装置430:iは、1からNまでのすべてのiに対する、縞模様が修正されたデータ点SC:iを形成するために、その二つの入力ターミナルのところのデータ点を加算する。
空間フィルタ410は、通常、データ点D:iの周囲のデータ点の付近に低域フィルタを設置することにより、低周波データ点LF:iを形成し、通常、データ点D:iから低周波データ点LF:iを差し引くことにより、高周波データ点HF:iを形成する。このような方法で、高周波データ点および低周波データ点の形成が行われた場合には、高周波データ点HF:iおよび低周波データ点LF:iを合計することにより、データ点D:iを正確に回収することができる。
域値装置420:iは、高周波データ点に域値を適用することにより、または縞模様が修正された投影の振幅が大きく、空間周波数が高い部分が少なくなるように、高周波データ点を圧縮することにより、クリップしたデータ点を形成する。高周波データ点HF:iの振幅が、比較的狭い場合には、域値装置420:iは、それが高周波データ点HF:iに正確に等しくなるように、そのクリップしたデータ点を形成する。この場合、加算装置430:iは、元のデータ点D:iと等しい、縞模様が修正されたデータ点SC:iを形成する。(何故なら、加算装置430:iは、低周波データ点LF:iと、域値装置420:iが形成したクリップしたデータ点を合計し、このクリップしたデータ点は、高周波データ点HF:iと等しいからである。)しかし、高周波データ点HF:iの振幅が比較的広い場合には、域値装置420:iは、その振幅が高周波データ点HF:iの振幅より狭くなるように、そのクリップしたデータ点を形成する。この場合、加算装置430:iは、データ点D:iと等しくなるように、縞模様が修正されたデータ点SC:iを形成する。むしろ、縞模様が修正されたデータ点SC:iを形成するために、データ点D:iの周囲のデータ点の近くの振幅が大きく、空間周波数が高い成分が抑制される。それ故、一般的にいって、縞模様抑制フィルタは、振幅が大きく、周波数が高い成分を抑制する。
上記米国特許出願第08/587,468号は、本質的には、下記式(12)により、データ点D:iの周囲のデータ点の付近の加重平均として、低周波データ点LF:iを形成する空間フィルタ410を開示している。
式(12)を使用すれば、縞模様抑制フィルタ318は、CZA走査データの縞模様を効果的に抑制する。しかし、このようなフィルタ318が動作した場合、このフィルタは、不必要なアーティファクトをCSH走査データから形成した断層写真に導入する傾向がある。すでに説明したように、らせん走査中に形成した任意の一つの平行ビーム投影の、奇数のデータ点および偶数のデータ点との間に喰い違いが生じる傾向があり、この喰い違いは高周波ノイズとなって現れる。この高周波ノイズのために、縞模様抑制フィルタ318が、すでに説明したように動作すると、事実上、各高周波データ点は域値以上になり、域値装置420:iにより圧縮される。しかし、この圧縮は、患者の高いコントラスト(縞模様のアーティファクトを形成する)特徴によってではなく、らせん走査中に形成する患者の体の運動により導入される。
改良型らせん縞模様抑制フィルタ318の好適な実施形態の場合には、空間フィルタ410は、それぞれ、奇数のデータ点だけを使用して、奇数の低周波および高周波データ点LF:2i+1およびHF:2i+1を発生し、また、それぞれ、偶数のデータ点だけを使用して、偶数の低周波および高周波のデータ点LF:2iおよびHF:2iを発生する。例えば、空間フィルタ410は、下記式(13)により、低周波データ点LF:iを形成することができる。
このようにして、改良型らせん縞模様抑制フィルタ318は、一つの投影の偶数および奇数のデータ点の結合を避け、それにより、任意のらせん走査中の患者の体の動きが、フィルタ318の動作を劣化させるのを防止する。縞模様抑制フィルタ318がこのように動作した場合、このフィルタは、患者の体の動きにではなく、患者の縞模様を形成する構造体(すなわち、高いコントラスト特徴)に反応し、そのため、CSH走査データから形成した結果として得た断層写真のアーティファクトを減少させる傾向がある。
フィルタ318が形成した、縞模様が修正されたデータ点は、その後、(図16の)改良型らせん同一中心補間装置316に適用される。同一中心補間装置316は、縞模様が修正された投影から同一中心投影を形成する。図15に示すように、各同一中心投影260は、一組のデータ点C1を含む。しかし、改良型同一中心補間装置316は、補間装置216のように、式(11)によりデータ点C1を形成しない。むしろ、補間装置316は、下記式(14)により、データ点C1を形成する。
基本的には、式(11)は不満足な物である。何故なら、この式は各データ点C:iを奇数および偶数のデータ点の加重平均として形成するからである。すでに説明したように、このような奇数および偶数のデータ点からの情報を結合すると、断層写真にアーティファクトが導入される傾向がある。それ故、改良型同一中心補間装置316は、好適には、各データ点C:iを奇数のデータ点の付近の加重平均として、または式(14)による偶数のデータ点の付近の加重平均として形成することが好ましい。この形の同一中心補間を行うと、CSH走査が形成した、結果としての断層写真のアーティファクトが減少する。ある実施形態の場合には、データ点C:iが六点ラグランジェ補間(または、エベレット補間とも呼ばれる)に従って形成するように、加重b:iの選択が行われる。(1970年)ニューヨークのドバー出版から発行された、M.アブラモウィッツおよびI.A.ステガン編集の「数学適関数ハンドブック」(Handbook of Mathematical Functions,edited by M.Abramowitz and I.A.Stegun,Dover Publications,New York(1970))に、六点ラグランジェ補間が詳細に記載されている。
(図16の)スキャナ300は、本発明の好適な実施形態であるが、当業者であれば、多くの異なる形のスキャナ300も本発明の範囲に含まれることを理解することができるだろう。例えば、多くの他のタイプのフィルタおよび装置も、通常、CTスキャナに含まれる。例示としての上記スキャナは、通常、検出システムと、らせん加重システムとの間に配置されたDASを含む。温度補償または残光補償を行うフィルタのような、多くの他のタイプのフィルタも含まれる。また、好適なスキャナは、HA走査加重を、投影データに適用するらせん加重システム210を含み、結果としての断層写真の質を改善するために、従来技術の加重システムのような加重システムも、また等角補間装置314、縞模様抑制フィルタ318、および同一中心補間装置316も、それぞれ使用することができる。また、今まで、1/4検出器オフセットを含む検出システムについて、主として説明してきたが、当業者であれば、本発明を、他のタイプのオフセットを特徴とする検出システムと一緒に、使用するようにすることができることを容易に理解することができるだろう。さらに、本発明をCSH走査に関連して説明してきたが、当業者であれば、本発明を、容易に、定速でないらせん走査と一緒に使用することができるようにすることができることを理解することができるだろう。
上記本発明の範囲から逸脱することなしに、上記装置を種々に変更することができるので、上記説明中に記載し、添付の図面に示すすべての事項は、例示としてのものであって、本発明を制限するものではないと解釈すべきである。
Claims (1)
- 対象物の断層写真の画像を生成するための断層写真画像化システムであって、
(a)画像化面内の回転の機械的中心付近の、Z軸を中心にしてX線源が回転するにつれて、複数のファン状ビーム投影を形成する手段であって、各ファン状ビーム投影が、ファン状ビームの頂点と回転の機械的中心とを結ぶ線に対して、それぞれ、最大角φ1およびφ2をなすようになっている手段と、
(b)Z軸に沿って前記対象物および画像化面とを相互に並進させるための手段と、
(c)前記X線源が、回転の機械的中心付近の前記Z軸を中心にして回転し、前記対象物および画像化面が相互に並進するにつれて、Z軸を中心にした複数の角度のところで、一連のファン状ビーム投影から一組の断層写真の投影データを取得するための手段と、
(d)複数の検出器を含み、φが一つの検出器と、前記ファンの頂点と機械的回転の中心とを結ぶ線とが形成する前記角度を示し、φmaxが、φ1およびφ2の二つの数値より大きく、φminがφ1およびφ2の二つの数値より小さいものであり、前記システムはさらに、
(e)|φ|<φminの条件下で検出器が取得したデータ(例えば、図11の領域2、4及び5)の一部(例えば、領域2)にはらせん半走査技術により決定された加重を掛けるとともに該データの一部以外のデータ(例えば領域4及び5)には零の加重を掛け、そして、φmin<φ<φmaxの条件下で検出器が取得したデータ(例えば、領域3)にらせん全走査技術により決定された加重を掛けるための手段とを備え、前記検出器が取得したデ ータの一部は、2π−Ψ/2<β<2π+Ψ/2(βは前記 X線源の投影角であり、Ψは前記らせん半走査技術を実 行するのに必要な前記ファン状ビーム投影の範囲であっ て、2π≦Ψ)の領域に対応するデータであり、そして
(f)前記の取得したデータから断層写真の画像を再構成するための手段とを備えるシステム。
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