JP3609332B2 - 油脂含有廃棄物の処理方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、油脂を含有する油脂含有廃棄物をメタン発酵処理する油脂含有廃棄物の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば食堂や給食センタ、レストランなどの厨房、食肉処理場や水産加工工場、製油工場、染毛工場、皮革工場などの工業排水、合併浄化槽や下水処理場などの排水処理施設などから、動植物性の油脂を含有する廃棄物や油脂自体、油脂を含有する排水などの油脂含有廃棄物が発生する。これら油脂含有廃棄物は、活性汚泥法により微生物にて直接酸化分解することが困難であることから、従来では一般的にオイルピットなどの自然浮上装置や加圧浮上装置などの物理的方法によって排水と油脂とに分離し、排水を活性汚泥法や回転円盤法などの好気性生物処理で処理し、油脂は焼却や埋立などにて処理している。しかしながら、近年の脱焼却、リサイクル化、ゼロエミッションなどの社会風潮により、油脂を資源化処理する方法が望まれている。
【0003】
そこで、油脂を焼却や埋立したり、単に微生物や酵素などにて分解処理することなく資源化する方法として、例えば特開平10−235315号公報に記載の構成が知られている。
【0004】
この特開平10−235315号公報に記載のものは、油脂を含有する油脂含有廃棄物を90℃〜110℃で加熱して可溶化し、30℃〜60℃でメタン発酵処理し、メタンガスを回収して資源化処理する構成が採られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特開平10−235315号公報に記載の構成では、90℃〜110℃の高温で可溶化処理するため、圧力容器などの特殊な構造の装置が必要となるとともに、維持管理が煩雑となる。また、油脂含有廃棄物が汚水のような水分が比較的多い場合には、メタン発酵により発生するメタンガス量が少なく、加熱やメタン発酵の際の加温に消費されるエネルギ分が多くなり、効率よく処理できない。また、油脂自体などの高濃度で油脂を含有する油脂含有廃棄物を処理する場合には、メタン発酵するための微生物の必須栄養塩が不足し、効率よくメタン発酵処理できなくなるとともに、可溶化する際の攪拌時に油脂の疎水性および粘着性により塊状となりやすく、効率よく可溶化できないおそれがある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みて、油脂含有廃棄物を効率よく資源化処理できる油脂含有廃棄物の処理方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の油脂含有廃棄物の処理方法は、油脂を含有する油脂含有廃棄物に、混合後の総固形物濃度が7%以上20%以下となるように固形有機性廃棄物を混合し、この固形有機性廃棄物の表面に前記油脂が付着して塊状にならないように40℃以上80℃以下の加温条件で加温して前記油脂を可溶化させてスラリ状に略均一に分散させた後にメタン発酵処理するものである。
【0008】
そして、油脂を含有する油脂含有廃棄物に、混合後の総固形物濃度が7%以上20%以下となるように固形有機性廃棄物を混合し、この固形有機性廃棄物の表面に油脂が付着して塊状にならないように加温して油脂を可溶化させてスラリ状に略均一分散させた後に、メタン発酵するので、油脂含有廃棄物が効率よく資源化処理される。また、固形有機性廃棄物を総固形物濃度で7%以上20%以下となるように混合することにより、確実に油脂が塊状となることなく固形有機性廃棄物と略均一に攪拌混合され、効率よく可溶化されるとともに、メタン発酵処理のための均一分散状態が容易に得られる。ここで混合後の総固形物濃度が7%より低くなると油脂と液体とに分離して油脂が可溶化できなくなるとともにメタン発酵処理により発生するメタンガス量が低減して処理エネルギが相対的に増大して処理効率が低下するおそれがある。また、混合後の総固形物濃度が20%より高くなると可溶化の際の攪拌が極めて困難となり、均一分散状態に可溶化できなくなるおそれがある。このことから、混合後の総固形物濃度が7%以上20%以下となるように固形有機性廃棄物を混合する。さらに、40℃以上80℃以下の加温条件で可溶化することにより、油脂含有廃棄物および固形有機性廃棄物が略均一分散する状態で効率よく可溶化され、処理効率が向上する。ここで、可溶化する加温条件が40℃より低くなると油脂の粘性が増大して可溶化の際の攪拌が煩雑となるとともに均一分散が困難となる。また、可溶化する加温条件が80℃より高くなると異臭の発生が増大するので、異臭が漏れずかつ80℃より高温での熱負荷および圧力負荷に耐え得る構造とする必要があり、装置の複雑大型化を招くおそれがあるとともに、可溶化する細菌の活性が大きく低減して可溶化できなくなるおそれがある。このことから、可溶化の際の加温条件を40℃以上80℃以下とする。
【0009】
請求項2記載の油脂含有廃棄物の処理方法は、請求項1記載の油脂含有廃棄物の処理方法において、油脂含有廃棄物は、あらかじめ分離水が分離除去されたもので、前記分離水は、微生物により浄化処理するものである。
【0010】
そして、あらかじめ分離水を分離除去した油脂含有廃棄物を固形有機性廃棄物と混合してメタン発酵処理し、油脂を確実に効率よく資源化処理するとともに、油脂を分離した分離水は廃棄することなく例えば好気性微生物や嫌気性微生物などにて含有する有機物などを浄化処理することにより、二次的に廃棄物が発生することなく良好に処理する。
【0011】
請求項3記載の油脂含有廃棄物の処理方法は、請求項2記載の油脂含有廃棄物の処理方法において、分離水を微生物にて浄化処理することにより発生する余剰汚泥を固形有機性廃棄物とともに油脂含有廃棄物に混合するものである。
【0012】
そして、分離水を微生物にて浄化処理することにより二次的に発生する余剰汚泥を固形有機性廃棄物とともに油脂含有廃棄物に混合することにより、余剰汚泥の分解にてメタンガスの発生が得られ、メタンガスの発生効率が向上するとともに、余剰汚泥からのメタン発酵処理の際の微生物の栄養塩が補給されてメタン発酵処理効率が向上し、確実に二次的な廃棄物の発生を防止して資源化処理効率が向上する。
【0013】
請求項4記載の油脂含有廃棄物の処理方法は、請求項1ないし3いずれか一記載の油脂含有廃棄物の処理方法において、油脂含有廃棄物と固形有機性廃棄物との混合割合は、混合後の油脂の含有率が60%以下であるものである。
【0014】
そして、固形有機性廃棄物を混合後の油脂の含有率が60%以下となるように油脂含有廃棄物と混合することにより、可溶化にて油脂が分解されて生成しメタン発酵処理に寄与する微生物の活性を低減してしまう高級脂肪酸の生成量が抑制され、微生物の活性の低減を抑えるとともに、メタン発酵処理に寄与する微生物の負荷の増大を抑制して栄養塩の不足による活性の低減を抑え、効率よくメタン発酵処理して資源化処理効率を向上する。ここで、固形有機性廃棄物の混合後の油脂の含有率が60%を超えると、油脂の可溶化にて発生する高級脂肪酸の量が増大してメタン発酵処理に寄与する微生物の活性が低減するとともに、微生物のメタン発酵処理の負荷の増大および栄養塩の不足により微生物の活性が低減し、メタン発酵処理効率が低減するおそれがあることから、油脂の含有率を60%以下に制御する。
【0015】
求項記載の油脂含有廃棄物処理方法は、請求項1ないしいずれか一記載の油脂含有廃棄物の処理方法において、メタン発酵処理の温度条件は、35℃以上60℃以下であるものである。
【0016】
そして、35℃以上60℃以下でメタン発酵処理することにより、総固形物濃度が高い高負荷でも有機酸の大量発生によるメタン発酵処理に寄与する微生物の活性の低下を抑制し、効率よくメタン発酵処理する。ここで、35℃より低くなると十分に残留する油脂や分解された高級脂肪酸が固形化して分離し、メタン発酵処理効率が低下するおそれがある。また、60℃より高くなるとメタン発酵処理に寄与する微生物の活性が低下してメタン発酵処理効率が低下するおそれがある。このことから、メタン発酵処理の温度条件を35℃以上60℃以下とする。
【0017】
請求項記載の油脂含有廃棄物の処理方法は、請求項1ないしいずれか一記載の油脂含有廃棄物の処理方法において、固形有機性廃棄物の一部は、メタン発酵処理により発生する汚泥であるものである。
【0018】
そして、固形有機性廃棄物の一部にメタン発酵処理により発生する汚泥を用いることにより、可溶化する際の油脂や有機物の分解性が向上し、メタン発酵処理の際の微生物の栄養塩が確保されてメタン発酵処理効率が向上し、処理効率が向上するとともに、汚泥の発生を防止して資源化効率が向上する。
【0019】
請求項記載の油脂含有廃棄物の処理方法は、請求項1ないしいずれか一記載の油脂含有廃棄物の処理方法において、可溶化する際に鉄化合物、コバルト化合物およびニッケル化合物の少なくともいずれか一種を添加するものである。
【0020】
そして、可溶化する際に鉄化合物、コバルト化合物およびニッケル化合物の少なくともいずれか一種を添加することにより、微生物の活性に必要な栄養塩バランスが確保され、メタン発酵処理効率が向上する。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態における油脂含有廃棄物を処理する処理装置の構成について図1を参照して説明する。
【0022】
図1において、1は油脂分離手段で、この油脂分離手段1には油脂含有廃棄物である油脂を含有する油脂含有排水を流入する原水路2が接続され、油脂分離手段1は流入された油脂含有排水を例えば凝集や浮上分離などにて分離水と濃縮油脂とに分離する。そして、この油脂分離手段1には、分離した分離水が投入されて貯留し分離水を微生物にて浄化処理する生物処理手段としての生物処理槽3が分離水管4を介して接続されている。この生物処理槽3は、例えば好気性微生物にて分離水中の有機物を酸化分解して浄化処理したり、嫌気性微生物にて分離水中の窒素化合物を硝化脱窒して浄化処理する。そして、この生物処理槽3には、分離水を浄化処理して河川などに放水可能な状態の処理水として系外に流出する処理水排出管5が接続されている。
【0023】
また、油脂分離手段1には、分離した濃縮油脂が投入されて貯留する可溶化手段としての調質槽7が濃縮油脂管8を介して接続されている。さらに、この調質槽7には、油脂含有廃棄物である油脂廃棄物を投入する投入手段9や、例えば図示しない前処理手段にて前処理された固形有機性廃棄物を投入する生ごみ投入手段10、生物処理槽3から生じる余剰汚泥を投入する汚泥投入手段11が設けられている。なお、生物処理槽3からの余剰汚泥は、例えば遠心脱水機、回転円盤形脱水機、スクリュープレスなどの脱水手段12にて脱水分離した生物汚泥である。
【0024】
ここで、前処理手段は、例えば歯幅が20±5mmの2軸または3軸あるいは4軸の破砕軸を有し収集車などにて収集された生ごみや厨芥、農水産廃棄物、食品加工廃棄物などの事業系ごみ、別途屎尿などの汚水を生物処理した際に生じる余剰汚泥など主に固形状の有機物を含有する固形有機性廃棄物を破袋あるいは破砕する図示しない解破砕装置を備えている。また、前処理手段は、解破砕装置にて解破砕された破砕物を磁気選別などにより鉄片やアルミニウムなどの金属の夾雑物を除去する図示しない金属除去手段と、固形状有機性廃棄物に含まれる合成樹脂製の袋やプラスチックなどの夾雑物を除去する図示しない分別装置とを有した選別手段を備えている。
【0025】
なお、前処理手段としては、遠心力・浮力選別にて固形有機性廃棄物を破袋、破砕し選別する破袋選別装置など、夾雑物をあらかじめ分離除去するいずれの構成でもよい。また、余剰汚泥の場合には、前処理せずに直接投入してもよい。
【0026】
また、調質槽7には、投入された油脂および固形有機性廃棄物を攪拌混合する図示しない攪拌手段と、例えば約40℃〜80℃に加温する加温手段とを備えている。そして、調質槽7は、投入された油脂を固形有機性廃棄物とともに所定の総固形物濃度(TS(Total Solids)濃度)、例えば7%〜20%程度好ましくは10%〜15%で、油脂含有率が60%以下となり、メタン発酵しやすい性状のスラリ状に可溶化および酸発酵して液状混合物に調質する。なお、調質槽7に、前処理手段にて除去されずに残留する金属や石などの夾雑物を排出する夾雑物排出手段や、pHを検出し所定のpH範囲に調整するpH調整手段などを設けてもよい。
【0027】
また、調質槽7には、微生物の栄養塩を添加する栄養塩添加手段14が設けられている。この添加する栄養塩としては、鉄、ニッケルおよびコバルトの少なくともいずれか1つの塩類で、混合液中に鉄分が10mg/l以上、好ましくは10mg/l〜300mg/l、ニッケル分として1mg/l以上、好ましくは1mg/l〜30mg/l、コバルト分として1mg/l以上、好ましくは1mg/l〜30mg/lとなるように添加する。なお、余剰汚泥を添加する場合には、栄養塩が余剰汚泥から補充されることから、栄養塩を添加しなくてもよい。
【0028】
さらに、調質槽7には、調質された液状混合物が流入されて貯留するメタン発酵手段としてのメタン発酵槽15が混合物搬送手段16を介して接続されている。このメタン発酵槽15には、貯留する液状混合物を例えば35℃以上60℃以下に維持する図示しない温度調整手段と、液状混合物を攪拌する攪拌手段とを備えている。
【0029】
また、メタン発酵槽15には、メタン発酵処理により発生するメタンガスおよび炭酸ガスを主成分とするバイオガスを回収して別途燃料として再利用するために貯留するガスタンク17がガス管18を介して接続されている。
【0030】
さらに、メタン発酵槽15には、貯留する液状混合物の一部を調質槽7に返送する返送手段20が接続されている。そして、この返送手段20には、返送する混合液に例えば水酸化ナトリウムなどのアルカリを添加してアルカリ性、例えばpHを9〜10程度に調整して液状混合物中の細菌や残留し生物にて分解しにくい有機性固形物を改質して可溶化する図示しないアルカリ調整手段と、混合液を例えばスチームにより70℃〜90℃程度、好ましくは80℃前後に加熱して混合液中の嫌気性細菌を死滅および可溶化する熱処理手段とを備えた熱アルカリ処理手段が設けられている。
【0031】
なお、この熱アルカリ処理手段の熱処理手段は、加熱のためのスチームにより、スチームストリッピングが生じて混合液中のアンモニア性窒素(NH3−N)などの窒素化合物が除去されることから、アンモニア除去手段としても機能する。
【0032】
そして、この熱アルカリ処理手段には、スチームとともにアンモニアなどの窒素化合物を回収する図示しないアンモニア回収手段が接続されている。このアンモニア回収手段は、例えば硫酸や塩酸などの無機酸水溶液である酸性水溶液を貯留し、窒素化合物を含有するスチームを酸性水溶液中に透過させて窒素化合物を硫酸アンモニウムや塩化アンモニウムなどとして析出させて回収する図示しない酸性槽を備えている。
【0033】
なお、この返送手段20は、メタン発酵槽15から調質槽7に返送する液状混合物の温度が返送中に低下しないような断熱処理が施されていることが好ましい。すなわち、調質槽7で固形有機性廃棄物を調質する際に、調質槽7の加温手段にて約40℃〜80℃に加温されるが、熱アルカリ処理手段にて70℃〜90℃程度まで加熱された液状混合物が返送されて調質槽内の液状混合物と混合されることにより、加熱するためのエネルギが低減され、加温手段を設ける必要がない、あるいは、加温手段による加温エネルギの大きな低減が図れることとなるためである。なお、この返送される液状混合物の量は、前処理手段からの固形有機性廃棄物の含水率や調質槽に投入される生物汚泥である余剰汚泥の添加量に対応して、調質槽内の液状混合物の質量に対して1〜1.5倍の範囲に設定するとよい。
【0034】
また、返送手段20の熱アルカリ処理手段は、返送する液状混合物の一部を調質槽7内の液状混合物のpHに対応して適宜投入するpH調整手段としても機能する。すなわち、調質槽7では、可溶化および酸発酵により有機酸が生成されて液状混合物のpHが例えば5程度の酸性となるが、pHがさらに酸性となると、調質槽7での生物活性が低減して有機酸発酵などの可溶化処理効率が低減し、さらには後工程でのメタン発酵処理効率が低下するため、酸性度合いをある程度中性側に中和する必要があるため、pHが9〜10程度に熱アルカリ処理された液状混合物を投入することによりpHが調整される。
【0035】
また、メタン発酵槽15には、メタン発酵処理した混合液を分離濾液と脱水ケーキとに脱水などにて固液分離する例えば遠心脱水機、回転円盤形脱水機、スクリュープレスなどの固液分離手段22が流出管23を介して接続されている。なお、この固液分離手段22に、例えばポリアミジンおよびポリ鉄などの高分子凝集剤を添加する図示しない凝集剤添加手段を設けてもよい。また、固液分離手段22には、脱水分離された分離濾液を生物処理槽3に返送する濾液送水手段25が接続されている。さらに、固液分離手段22には、脱水ケーキを例えば乾燥して肥料などに処理するコンポスト化する汚泥処理手段26が汚泥搬送手段27を介して接続されている。
【0036】
次に、上記実施の一形態の動作を説明する。
【0037】
まず、油脂含有排水を原水路2を介して油脂分離手段1に流入し、分離水と濃縮油脂とに分離する。そして、分離した分離水は、分離水管4を介して生物処理槽3に流入させ微生物にて処理水に浄化処理し、処理水排出管5を介して系外に流出する。
【0038】
また、油脂分離手段1で分離した濃縮油脂を濃縮油脂管8を介して調質槽7に投入するとともに、調質槽7に油脂廃棄物および前処理した固形有機性廃棄物を投入する。さらに、調質槽7に、生物処理槽3で生じ脱水手段12にて脱水分離された余剰汚泥および返送手段20で返送される液状混合物を適宜投入する。なお、通常収集される固形有機性廃棄物の性状は、あまり大きく変動するものではなく水分量もある程度安定していることから、返送する液状混合物の量は、調質槽7内の液状混合物の質量に対して通常1〜1.5倍の範囲に設定するとよい。
【0039】
そして、調質槽7で、適宜加温して40℃以上80℃以下に保温しつつ約1時間から3日程度攪拌混合し、必要に応じて栄養塩添加手段14から微生物の栄養塩を添加し、全蒸発残留物濃度である総固形物濃度(Total Solids:TS)が7%以上20%以下好ましくは10%以上15%以下で、油脂含有率が60%以下となる塊状物も混入するようなスラリ状の液状有機性廃棄物を調質する。すなわち、油脂は塊状に分離することなく固形有機性廃棄物の表面に油膜状に付着する状態となって略均一に混合されて調質される。ここで、この調質槽7での可溶化率は、約30%〜60%となる。なお、油脂含有率が高い方が処理効率が高くなるので、油脂濃度としては、10g/l以上100g/l以下となるようにするとよい。
【0040】
ここで、排水や廃棄物における油脂として、中性脂肪および脂肪酸が大半を占め、これらほとんどがパルミチン酸やオレイン酸、ステアリン酸などの40℃〜80℃の範囲に融点を有するものであり、水より軽く浮上する特性を有している。
【0041】
そして、TS濃度が20%より高くなると、調質の際および後段でのメタン発酵処理の際の攪拌混合が不十分となり効率よく後工程のメタン発酵処理ができなくなるとともに、メタン発酵の際に生じ濃度が約4500mg/lを超えるとメタン発酵を阻害するアンモニア性窒素(NH3−N)は投入TS濃度に比例することから、メタン発酵処理が阻害されないアンモニア性窒素の生成量に抑えるため、TS濃度を20%以下、好ましくは15%以下にする。さらに、TS濃度が7%より低くなると、水分量が多くなって油脂が分離して油脂スカムとして塊状に分離して均一混合できなくなるとともに、有機物の割合が少なくなった状態となり、後工程でのメタン発酵処理の効率が低下するため、7%以上、好ましくは10%以上に設定する。また、後段での微生物によるメタン発酵処理がより効率よく進行するように、塊状物などが少ないもしくはほとんどないような状態のスラリ状に調質することが好ましい。
【0042】
また、油脂含有率が60%より高くなると、油脂の可溶化にて発生する高級脂肪酸の量が増大してメタン発酵処理に寄与する微生物の活性が低減するとともに、微生物のメタン発酵処理の負荷の増大および栄養塩の不足により微生物の活性が低減し、メタン発酵処理効率が低減するおそれがあることから、油脂の含有率を60%以下に制御する。
【0043】
さらに、可溶化する加温条件が40℃より低くなると油脂の粘性が増大して可溶化の際の攪拌が煩雑となるとともに油脂スカムとして分離し均一分散が困難となるおそれがある。また、可溶化する加温条件が80℃より高くなると異臭の発生が増大するので、異臭が漏れずかつ80℃より高温での熱負荷および圧力負荷に耐え得る構造とする必要があり、装置の複雑大型化を招くおそれがある。さらに、80℃より高温に加温するためのエネルギも大きくなり、エネルギ収支が悪くなるおそれがある。そしてさらには、80℃より高温となると、可溶化する細菌の活性が大きく低減して可溶化できなくなり、後段でのメタン発酵処理効率が低減してしまうおそれがある。このことから、可溶化の際の加温条件を40℃以上80℃以下に設定する。
【0044】
そして、40℃以上80℃以下での攪拌混合時間が1時間より短くなると、可溶化が不十分で後段でのメタン発酵処理効率が低減するおそれがある。また、3日程度攪拌混合することにより良好な状態に可溶化することから、3日以上攪拌混合してもさらなる可溶化が望めないとともにエネルギ収支が悪くなることから、1時間以上3日以下に設定することが好ましい。
【0045】
また、栄養塩の添加の際には、混合液中に鉄分が10mg/l以上、好ましくは10mg/l〜300mg/l、ニッケル分として1mg/l以上、好ましくは1mg/l〜30mg/l、コバルト分として1mg/l以上、好ましくは1mg/l〜30mg/lとなるように添加する。
【0046】
ここで、鉄添加量が10mg/lより少なくなると、後段でのメタン発酵処理の改善が認められず、300mg/lより多くなっても鉄添加による効果の差異が認められずコストが増大するため、鉄添加量が10mg/l以上、好ましくは10mg/l以上300mg/l以下となるように鉄化合物を添加する。また、同様に、ニッケル添加量が1mg/lより少なくなると、後段でのメタン発酵処理の改善が認められず、30mg/lより多くなってもニッケル添加による効果の差異が認められずコストが増大するため、ニッケル添加量が1mg/l以上、好ましくは1mg/l以上30mg/l以下となるようにニッケル化合物を添加する。さらに、同様に、コバルト添加量が1mg/lより少なくなると、後段でのメタン発酵処理の改善が認められず、30mg/lより多くなってもコバルト添加による効果の差異が認められずコストが増大するため、コバルト添加量が1mg/l以上、好ましくは1mg/l以上30mg/l以下となるようにコバルト化合物を添加する。
【0047】
そして、調質槽7で調質した液状混合物を混合物搬送手段16を介してメタン発酵槽15に流入させる。なお、このメタン発酵槽15への液状混合物の流入の際、図示しない夾雑物除去手段にて夾雑物を除去してもよい。そして、メタン発酵槽15で例えば35℃以上60℃以下好ましくは50℃以上55℃以下で適宜攪拌しつつ5〜30日間好ましくは7〜15日間滞留させて、メタン生成菌などにて液状混合物をメタン発酵処理する。なお、メタン発酵処理により発生する有価物のメタンガスは、図示しないメタンガス回収手段にて回収してガス管18を介してガスタンク17に貯溜し、発電などにて固形有機性廃棄物の処理の際の運転エネルギやその他の汚水処理のための運転エネルギ、冷暖房などに利用する。
【0048】
ここで、メタン発酵処理の温度条件が35℃より低くなると十分に残留する油脂や分解された高級脂肪酸が固形化して分離し、メタン発酵処理効率が低下するおそれがある。また、60℃より高くなるとメタン発酵処理に寄与する微生物の活性が低下してメタン発酵処理効率が低下するおそれがある。このことから、メタン発酵処理の温度条件を35℃以上60℃以下に設定することが好ましい。
【0049】
また、メタン発酵処理の際の35℃以上60℃以下で攪拌混合して滞留させる時間が5日より短くなると、メタン発酵処理が不十分で、30日を超えてもさらなるメタン発酵処理の進行が望めずエネルギ収支が悪くなることから、5〜30日好ましくは7〜15日間に設定することが好ましい。
【0050】
このメタン発酵により、メタン発酵槽15内の液状混合物は、十分な菌体量および攪拌しやすい状態のTS濃度が3%〜6%程度となる。また、アンモニア性窒素濃度は、約3500mg/l以下となる。なお、この程度のアンモニア性窒素濃度であれば、アンモニア性窒素による有機酸の大量蓄積にて処理阻害を生じることを抑制できる。
【0051】
そして、メタン発酵処理された液状混合物の少なくとも一部は、返送手段20を介して調質槽7に返送され、調質槽7内で油脂や固形有機性廃棄物と混合されて液状混合物に調質される。なお、調質槽7にメタン発酵槽15から液状混合物を返送する際、返送手段20の熱アルカリ処理手段のアルカリ調整手段にて例えば水酸化ナトリウムなどのアルカリを添加してpH9〜10程度に調整し、液状混合物中の細菌を死滅および可溶化させるとともに残留するメタン発酵処理で分解されにくい有機物などを改質して可溶化させる。さらに、返送手段20の熱アルカリ処理手段の熱処理手段にて液状混合物をスチームにより70℃〜90℃程度に加熱し、液状混合物中の嫌気性細菌を死滅および可溶化させるとともに、液状混合物中のアンモニア性窒素などの窒素化合物をスチームストリッピングして除去する。なお、窒素化合物を含有するスチームは、アンモニア回収手段の酸性槽内に貯留する酸性水溶液中を透過させ、窒素化合物を硫酸アンモニウムや塩化アンモニウムなどとして析出させて回収する。
【0052】
なお、この返送は、調質槽7でpH調整手段にてpHが約5より酸性となることを検出した場合に、熱アルカリ処理手段から返送手段20を介して熱アルカリ処理した液状混合物の一部を返送して中和させ、pHが約5より酸性とならないようにしてもよい。
【0053】
そして、メタン発酵処理した液状混合物の残りは流出管23を介して固液分離手段22に流出し、例えば凝集剤添加手段にて高分子凝集剤を添加して固形分を凝集させた後に脱水し、分離濾液と脱水ケーキとに固液分離する。この後、分離した分離濾液は濾液送水手段25を介して生物処理槽3にて生物処理して浄化し、脱水分離した脱水ケーキは汚泥搬送手段27を介して汚泥処理手段26でコンポスト化して有価物とする。
【0054】
次に、上記実施の一形態の作用を説明する。
【0055】
まず、油脂含有廃棄物として、ラードおよび排水から回収した動物性の油脂スカムの混合物である動物性油脂および食用サラダ油である植物性油脂を質量比で1:1で混合したものを用いた。また、固形有機性廃棄物として、食堂や給食センタ、仕出し弁当を製造する工場などからの厨芥である野菜、果実、肉、魚、米飯などの残飯を用いた。そして、これら油脂含有廃棄物と固形有機性廃棄物とを水道水とともに、容積が3リットルの調質槽7にてTS濃度11%で油脂含有率40%となるように混合し、40〜45℃で3日間調質後、容積5リットルのメタン発酵槽で55℃7.5日間攪拌しつつメタン発酵処理した。
【0056】
また、油脂含有廃棄物として、食堂やレストランの排水から回収した動物性の油脂スカムを用い、同様の固形有機性廃棄物と水道水とともに容積が3リットルの調質槽にてTS濃度14%、油脂含有率55%となるように混合し、同様に40〜45℃で3日間調質後、容積5リットルのメタン発酵槽で55℃15日間攪拌しつつメタン発酵処理した。これらの結果を表1および表2に示す。
【0057】
【表1】
Figure 0003609332
【0058】
【表2】
Figure 0003609332
【0059】
そして、表1に示す動物性油脂および植物性油脂とを混合したものを用いた実験の結果から、油脂が投入濃度44.3g/lの高濃度であるにもかかわらず分解率86%が得られ、高効率で油脂を分解できることが認められた。また、メタン発酵処理により、投入TS1kg当たりバイオガスの生成量は0.892m3でメタン含有率が66%で、メタン発酵槽15への液状混合物1000kg当たりのバイオガス発生量は98m3であった。
【0060】
また、表2に示す油脂スカムを用いた実験の結果から、油脂が投入濃度77.1g/lの高濃度であるにもかかわらず分解率93%が得られ、高効率で油脂を分解できることが認められた。また、メタン発酵処理により、投入TS1kg当たりバイオガスの生成量は0.74m3でメタン含有率が71%で、メタン発酵槽15への液状混合物1000kg当たりのバイオガス発生量は104m3であった。
【0061】
これら実験結果から、メタンガスの高い回収率が得られることから、油脂を高濃度で含有する条件でも高効率でメタン発酵処理でき、油脂含有廃棄物の減量化および資源化できることが認められた。
【0062】
さらに、上記表1に示す実験および表2に示す実験において、油脂含有率を適宜可変して同様に実験した。その結果を図2ないし図4に示す。
【0063】
これら図2ないし図4に示す結果から、油脂含有率を65%として処理した場合、油脂除去率およびCODCrが急激に低下するとともに、残留する総脂肪酸量(T−VFA)が急激に増大することが認められた。これらの結果から、油脂含有率を60%以下に抑える必要があることがわかる。
【0064】
上述したように、油脂を含有する油脂含有廃棄物に固形有機性廃棄物を混合し、油脂を固形有機性廃棄物の表面に付着させて油脂が塊状になることを防止しつつ加温にて可溶化してスラリ状に均一分散させた後に、メタン発酵により油脂含有廃棄物を固形有機性廃棄物とともにメタンガスおよび炭酸ガスを主成分とするバイオガスに分解処理するため、生物にて分解しにくい油脂でも別途特別に処理して減量化することなく効率よく資源化処理できる。
【0065】
そして、固形有機性廃棄物を総固形物濃度(TS濃度)で7%以上20%以下となる条件で混合するため、確実に油脂が塊状となることなく固形有機性廃棄物と略均一に攪拌混合でき効率よく可溶化できるとともに、メタン発酵処理のための均一分散状態が容易に得られ、メタン発酵処理効率を向上できる。
【0066】
また、あらかじめ分離水を分離除去した油脂含有廃棄物を固形有機性廃棄物と混合するため、油脂が分離することなく略均一分散できメタン発酵処理にて油脂を確実に効率よく資源化処理できるとともに、油脂を分離した分離水を廃棄することなく例えば好気性微生物や嫌気性微生物などにて含有する有機物などを浄化処理するため、二次的に廃棄物が発生することなく良好に油脂含有廃棄物を処理できる。
【0067】
さらに、分離水を微生物にて浄化処理することにより二次的に発生する余剰汚泥を固形有機性廃棄物とともに油脂含有廃棄物と混合するため、余剰汚泥の分解によるメタンガスの発生が得られ、メタンガスの回収効率を向上できるとともに、余剰汚泥からのメタン発酵処理の際の微生物の栄養塩が補給されてメタン発酵処理効率を向上でき、確実に二次的な廃棄物の発生を防止して資源化処理効率を向上できる。
【0068】
そして、固形有機性廃棄物を混合後の油脂の含有率が60%以下となるように油脂含有廃棄物と混合するため、可溶化で油脂の分解にて生成しメタン発酵処理に寄与する微生物の活性を低減してしまう高級脂肪酸の生成量を抑制でき、微生物の活性の低減を抑制できるとともに、メタン発酵処理に寄与する微生物の負荷の増大を抑制して栄養塩の不足による活性の低減を抑え、効率よくメタン発酵処理して資源化処理効率を向上できる。
【0069】
また、40℃以上80℃以下で可溶化するため、油脂含有廃棄物および固形有機性廃棄物が略均一分散する状態で効率よく可溶化でき、処理効率を向上できる。
【0070】
さらに、35℃以上60℃以下でメタン発酵処理するため、TS濃度が高い高負荷でも有機酸の大量発生によるメタン発酵処理に寄与する微生物の活性の低下を抑制でき、効率よくメタン発酵処理できる。
【0071】
また、固形有機性廃棄物の一部にメタン発酵処理により発生する汚泥を用いるため、可溶化する際の油脂や有機物の分解性を向上でき、メタン発酵処理の際の微生物の栄養塩が確保されてメタン発酵処理効率を向上でき、処理効率を向上できるとともに、汚泥の発生を防止して資源化効率を向上できる。
【0072】
さらに、可溶化する際に鉄化合物、コバルト化合物およびニッケル化合物の少なくともいずれか一種を添加するため、微生物の活性に必要な栄養塩バランスが確保され、メタン発酵処理効率を向上できる。
【0073】
また、メタン発酵処理された液状混合物から窒素化合物を除去した後に調質槽7に返送して混合することにより、窒素化合物の蓄積を防止でき、メタン発酵処理が阻害されずに処理効率を向上できる。
【0074】
そして、この窒素化合物の除去としてストリッピング処理することにより、添加剤を加えることなく簡単な構成で容易に分離除去でき、処理効率を向上できる。
【0075】
さらに、液状混合物にスチームを接触して窒素化合物をスチームによるストリッピング処理にて除去することにより、簡単な構成で容易に窒素化合物を除去できるとともに、スチームにより汚泥が加熱され、調質の際の加温するエネルギを低減でき、また液状混合物中の細菌が死滅および可溶化されて後段でのメタン発酵処理により処理されることとなることから、メタン発酵処理により発生する余剰汚泥量を低減でき、効率よく資源化処理できる。
【0076】
また、メタン発酵処理された液状混合物に加熱しつつアルカリを添加して細菌を死滅および可溶化するとともに残留する分解しにくい有機物を改質して可溶化した後に調質槽7へ返送することにより、細菌および残留する有機物を後段のメタン発酵処理にて分解でき、メタン発酵処理により発生する余剰汚泥の量を低減でき、効率よく資源化処理できる。
【0077】
そして、アルカリを添加する際にスチームを接触して加熱することにより、簡単な構成で容易に加熱できるとともに、スチームの接触により液状混合物中の窒素化合物をストリッピング処理して容易に分離除去して窒素化合物の蓄積を防止でき、メタン発酵処理の際の負荷を低減でき効率よくメタン発酵処理が進行して処理効率を向上できる。
【0078】
また、調質の際に、メタン発酵処理された液状混合物を加熱およびアルカリ処理して返送することにより、メタン発酵処理の際に生成する有機酸にて酸性度合いが進行して生物活性が低下し処理効率が低減することを防止できる。
【0079】
また、メタン発酵処理された液状混合物を保温した状態で返送することにより、調質の際の加熱するエネルギをより低減でき、処理効率を向上できる。
【0080】
そして、夾雑物を除去して前処理した固形有機性廃棄物を混合するため、TS濃度を容易に調整できるとともに、TS濃度の調整の際に夾雑物分を加熱する必要がなく、加熱するエネルギ効率を向上でき、処理効率を向上できる。さらには、夾雑物によるスカムの発生を防止でき、スカムの発生による処理容積の減少を防止するためにスカムを除去する作業が不要となり、容易で効率よく処理できる。
【0081】
なお、上記実施の形態において、前処理手段により前処理したが、前処理することなく固形有機性廃棄物を混合してもよく、夾雑物の量が少ないなど、処理する固形有機性廃棄物の性状により、メタン発酵処理する前のいずれかの位置で夾雑物を除去してもよい。
【0082】
また、返送手段20を設けたが、設けなくてもよく、返送手段20に熱アルカリ処理の構成を設けなくてもよい。なお、熱アルカリ処理の構成を設けない場合、油脂を可溶化する細菌が返送されるため、可溶化効率を向上できる。
【0083】
さらに、生物処理槽3を設けなくてもよい。
【0084】
また、メタン発酵処理後の脱水ケーキを調質槽7に返送してもよい。
【0085】
そして、処理対象の固形有機性廃棄物は、生ごみなどに限られない。
【0086】
また、鉄化合物、コバルト化合物およびニッケル化合物のいずれか一方の栄養源を添加して説明したが、処理する性状により不活性効果が増大しない場合には、添加しなくてもよく、固形有機性廃棄物の性状により、鉄化合物、コバルト化合物およびニッケル化合物のいずれかのみでもよい。
【0087】
【発明の効果】
請求項1記載の油脂含有廃棄物の処理方法によれば、油脂を含有する油脂含有廃棄物に固形有機性廃棄物を混合し、この固形有機性廃棄物の表面に油脂が付着して塊状にならないように加温して油脂を可溶化させてスラリ状に略均一分散させた後にメタン発酵処理するため、生物分解が困難な油脂でも固形有機性廃棄物とともにバイオガスに分解処理でき、油脂含有廃棄物を効率よく資源化処理できる。ここで、混合後の総固形物濃度が7%より低くなると油脂と液体とに分離して油脂が可溶化できなくなるとともにメタン発酵処理により発生するメタンガス量が低減して処理エネルギが相対的に増大して処理効率が低下するおそれがある。また、混合後の総固形物濃度が20%より高くなると可溶化の際の攪拌が極めて困難となり、均一分散状態に可溶化できなくなるおそれがある。このことから、固形有機性廃棄物を総固形物濃度で7%以上20%以下となるように混合することにより、確実に油脂が塊状となることなく固形有機性廃棄物と略均一に攪拌混合でき、効率よく可溶化できるとともに、確実に効率よくメタン発酵処理できる。さらに、40℃以上80℃以下の加温条件で可溶化するため、油脂含有廃棄物および固形有機性廃棄物が略均一分散する状態で効率よく可溶化でき、処理効率を向上できる。
【0088】
請求項2記載の油脂含有廃棄物の処理方法によれば、請求項1記載の油脂含有廃棄物の処理方法の効果に加え、あらかじめ分離水を分離除去した油脂含有廃棄物を固形有機性廃棄物と混合してメタン発酵処理するため、油脂を確実に効率よく資源化処理できるとともに、油脂を分離した分離水は廃棄することなく例えば好気性微生物や嫌気性微生物などにて含有する有機物などを浄化処理するため、二次的に廃棄物が発生することなく良好に処理できる。
【0089】
請求項3記載の油脂含有廃棄物の処理方法によれば、請求項2記載の油脂含有廃棄物の処理方法の効果に加え、分離水の微生物処理による余剰汚泥を固形有機性廃棄物とともに油脂含有廃棄物に混合するため、二次的に発生する余剰汚泥の分解にてメタンガスの発生が得られ、メタンガスの回収効率を向上できるとともに、余剰汚泥からのメタン発酵処理の際の微生物の栄養塩が補給されてメタン発酵処理効率を向上でき、別途栄養塩を添加することなく確実に二次的な廃棄物の発生を防止して資源化処理効率を向上できる。
【0090】
請求項4記載の油脂含有廃棄物の処理方法によれば、請求項1ないし3いずれか一記載の油脂含有廃棄物の処理方法の効果に加え、固形有機性廃棄物を混合後の油脂含有率が60%以下となるように油脂含有廃棄物と混合するため、油脂の分解にて生成しメタン発酵処理に寄与する微生物の活性を低減してしまう高級脂肪酸の生成量を抑制できるとともに、メタン発酵処理に寄与する微生物の負荷の増大を抑制して栄養塩の不足による活性の低減を抑制でき、メタン発酵処理効率が向上して資源化処理効率を向上できる。
【0091】
求項記載の油脂含有廃棄物の処理方法によれば、請求項1ないしいずれか一記載の油脂含有廃棄物の処理方法の効果に加え、35℃以上60℃以下でメタン発酵処理するため、総固形物濃度が高い高負荷でも有機酸の大量発生によるメタン発酵処理に寄与する微生物の活性の低下を抑制でき、効率よくメタン発酵処理できる。
【0092】
請求項記載の油脂含有廃棄物の処理方法によれば、請求項1ないしいずれか一記載の油脂含有廃棄物の処理方法の効果に加え、固形有機性廃棄物の一部にメタン発酵処理により発生する汚泥を用いるため、可溶化する際の油脂や有機物の分解性が向上し、メタン発酵処理の際の微生物の栄養塩が確保されてメタン発酵処理効率が向上し、処理効率を向上できるとともに、汚泥の発生を防止して資源化効率を向上できる。
【0093】
請求項記載の油脂含有廃棄物の処理方法によれば、請求項1ないしいずれか一記載の油脂含有廃棄物の処理方法の効果に加え、可溶化する際に鉄化合物、コバルト化合物およびニッケル化合物の少なくともいずれか一種を添加するため、微生物の活性に必要な栄養塩バランスが確保され、メタン発酵処理効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態における油脂含有廃棄物を処理する構成を示すブロック図である。
【図2】同上油脂含有廃棄物を処理した実験結果の油脂含有率と油脂除去率との関係を示すグラフである。
【図3】同上油脂含有廃棄物を処理した実験結果の油脂含有率とCODCr除去率との関係を示すグラフである。
【図4】同上油脂含有廃棄物を処理した実験結果の油脂含有率とT−VFAとの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 油脂分離手段
3 生物処理手段としての生物処理槽
7 可溶化手段としての調質槽
11 汚泥投入手段
14 栄養塩添加手段
15 メタン発酵手段としてのメタン発酵槽
20 返送手段

Claims (7)

  1. 油脂を含有する油脂含有廃棄物に、混合後の総固形物濃度が7%以上20%以下となるように固形有機性廃棄物を混合し、この固形有機性廃棄物の表面に前記油脂が付着して塊状にならないように40℃以上80℃以下の加温条件で加温して前記油脂を可溶化させてスラリ状に略均一に分散させた後にメタン発酵処理する
    ことを特徴とする油脂含有廃棄物の処理方法。
  2. 油脂含有廃棄物は、あらかじめ分離水が分離除去されたもので、
    前記分離水は、微生物により浄化処理する
    ことを特徴とする請求項1記載の油脂含有廃棄物の処理方法。
  3. 分離水を微生物にて浄化処理することにより発生する余剰汚泥を固形有機性廃棄物とともに油脂含有廃棄物に混合する
    ことを特徴とする請求項2記載の油脂含有廃棄物の処理方法。
  4. 油脂含有廃棄物と固形有機性廃棄物との混合割合は、混合後の油脂の含有率が60%以下である
    ことを特徴とする請求項1ないし3いずれか一記載の油脂含有廃棄物の処理方法。
  5. メタン発酵処理の温度条件は、35℃以上60℃以下である
    ことを特徴とする請求項1ないしいずれか一記載の油脂含有廃棄物の処理方法。
  6. 固形有機性廃棄物の一部は、メタン発酵処理により発生する汚泥である
    ことを特徴とする請求項1ないしいずれか一記載の油脂含有廃棄物の処理方法。
  7. 可溶化する際に鉄化合物、コバルト化合物およびニッケル化合物の少なくともいずれか一種を添加する
    ことを特徴とする請求項1ないしいずれか一記載の油脂含有廃棄物の処理方法。
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