JP3609014B2 - 気体溶解装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、河川及び湖沼における水中の溶存酸素不足を補うために酸素や空気等の気体を水に効率的に溶解させるための気体溶解装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
河川や湖沼において水中の溶存酸素不足を補うため、従来から散気管を用いた曝気法が広く採用されている。しかしながら、散気管による曝気では、圧入空気の吐出圧,散気管の孔の大きさ,水の粘度などによって、水の混合攪拌の程度や気泡の大きさが決定される。気泡を微細化するためには、散気管の目を細かくすればよいが、これによって散気管が閉塞しやすくなり、また散気管の通気抵抗も増加するのでブロワの消費動力も増加し、消費エネルギも大きくなるという問題がある。
【0003】
一方、気泡を効率的に微細化するために、たとえば特開昭60−68037号公報に記載のように、水中への空気の溶解量が空気に加える圧力に依存することを利用して、加圧した空気を加圧タンク内に供給して混合し、これを大気中へ減圧吐出させることにより、水中に溶解していた空気を現出させ、微小気泡の分散した空気溶解水を得る構成としたものがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、先の公報に記載の構成では、空気と混合するタンクは加圧に耐える構造とする必要があるため、装置が大がかりなものとなり、装置のコストも高くなる。また、加圧した空気を得るためにはコンプレッサを用いる必要があり、このコンプレッサを運転するための動力も相当に大きなものとなる。
【0005】
また、空気を加圧してタンク内に吐出すると、圧力を加えない状態で吐出するよりも時間当たりの吐出量が減少してしまい、圧力を加えない状態と同じ吐出量を得るためには、モータ出力またはポンプ出力を上げる必要がある。すなわち、吐出空気の圧力を上げるためには、空気を加圧するエネルギに加えてさらに必要なエネルギが増えることになる。
【0006】
そこで、本発明は、比較的簡単な構造でしかも低エネルギで作動でき酸素や空気等の気体を効率的に水等の液中に溶解させることができる気体溶解装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の気体溶解装置は、内部流路の始端に配置され外部から水等の液体を吸引する水中ポンプと、前記水中ポンプの下流の内部流路に形成され内部負圧によって気体を外部から吸引可能なインジェクション流路と、前記インジェクション流路の下流に接続された溶解流路と、前記溶解流路の下流であって内部流路の終端に配置された吐出ヘッドとを備え、前記溶解流路の内周には流れを強制螺旋流化する螺旋条を形成していることを特徴とする。
【0008】
本発明では、水中ポンプにより外部から水等の液体を吸引してインジェクション流路に送るとき、内部圧力の低下によってこのインジェクション流路に酸素やオゾンまたは空気等の気体を高速で液体に流入混合させることができ、下流の溶解流路での強制螺旋流化によって気体を液体中に速やかに溶解させることができる。
【0009】
本発明においては、前記溶解流路の終端部分に気体の溶解濃度を検出するガス濃度センサを設けるとともに、前記吐出ヘッドには電動式の流量調整弁を設け、更に前記ガス濃度センサによる濃度検出に基づいて前記流量調整弁の弁開度を設定するコントローラを備えた構成とすることができる。
【0010】
この構成では、溶解流路中のガス濃度が低ければコントローラによって流量調整弁の弁開度を小さくして溶解流路内の内圧を上げる操作ができるので、気体の溶解量を増やす制御が可能となる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
図1は本発明の気体溶解装置の全体を示す概略縦断面図である。
【0013】
図において、円筒状のポンプケーシング1の内部に水中ポンプ2が同軸上に組み込まれ、ポンプケーシング1の左端にはインジェクションチューブ3が同軸上に連結されている。また、インジェクションチューブ3の左端には溶解チューブ4が同軸上に連結され、溶解チューブ4の末端には吐出ヘッド5が同軸上に連結されている。これらのポンプケーシング1〜吐出ヘッド5によって構成される本発明の気体溶解装置は河川や湖沼等の水中に浸漬されて使用される。
【0014】
ポンプケーシング1は図において右端を開口したもので、内蔵した水中ポンプ2のインペラ2aの回転によって水がポンプケーシング1の右端開口から吸引される。水中ポンプ2は地上側の電源設備及びコントローラに接続されたもので、地上側からの操作によって運転される。インジェクションチューブ3は流路の中途を絞ってスロート3aとしたノズル状のもので、スロート3aの直ぐ下流に開けた開口3bに酸素やオゾンまたは空気の供給管6を接続している。このようにスロート3aの直ぐ下流に開けた開口3bに供給管6を接続することにより、スロート3aで水の流れが増速されスロート3aの下流で負圧になった部分に酸素やオゾンまたは空気を吸引するようにして供給することができる。溶解チューブ4は内周に螺旋条4aを全長に亘って形成するとともに流路端にガス濃度センサ7を配置したもので、図2に軸線と直交する断面図を示す。螺旋条4aは溶解チューブ4の内周面から突起状に形成され、インジェクションチューブ3からの水を図3に示すように螺旋流F化して吐出ヘッド5側へ送り出す。また、吐出ヘッド5には電動式の流量調整弁8を備え、内蔵したモータによって弁体の開度を調整可能とする。
【0015】
インジェクションチューブ3及び溶解チューブ4はいずれも内周面を鏡面仕上げとしたものとする。このような鏡面仕上げとすることによって、内周面に沿う水の流れの剥離を抑えることができ、気体の溶解を更に促すことができる。
【0016】
一方、酸素供給ユニット9,オゾン供給ユニット10,空気供給ユニット11及びコントローラ12をそれぞれ備える。これらの酸素供給ユニット9,オゾン供給ユニット10,空気供給ユニット11及びコントローラ12はソーラーパネル(図示せず)等を電源として作動可能としたもので、酸素供給ユニット9,オゾン供給ユニット10,空気供給ユニット11には供給管6との接続部分に電磁弁式の開閉弁9a,10a,11aをそれぞれ備えている。コントローラ12はこれらの開閉弁9a,10a,11aの開閉操作を制御すると同時に、ガス濃度センサ7からの信号を受けて流量調整弁8の開度を設定する信号を出力する。
【0017】
以上の構成において、気体溶解装置を湖沼等の水の中に浸漬させて、酸素またはオゾンまたは空気を水中に溶解させる。すなわち、地上側の電源によって水中ポンプ2を作動させてインペラ2aを回転させてポンプケーシング1の右端開口から水を吸引する。これと同時に、酸素の吹き込みが必要な場合には、コントローラ12によって開閉弁9aを開き酸素供給ユニット9と供給管6とを連通させ、酸素をインジェクションチューブ3に送り込む。供給管6はインジェクションチューブ3のスロート3aのすぐ下流の開口3bに接続されているので、水中ポンプ2により圧送されてくる水の流速の増加による減圧効果により、酸素がインジェクションチューブ3に入り込む。そして、供給された酸素は水に含まれながら溶解チューブ4に向かって流れる。
【0018】
溶解チューブ4内では螺旋条4aによって流れが図3に示すように強制的に螺旋流F化される。したがって、インジェクションチューブ3から高速で吹き込まれる酸素は溶解チューブ4内で強制攪拌され、酸素の水中への溶解が促進される。このとき、ガス濃度センサ7は水中に溶解した酸素の濃度を測定してその信号をコントローラ12に入力する。そして、酸素濃度が設定値となるようにコントローラ12によって流量調整弁8の弁開度を設定し、酸素の溶解が進むように溶解チューブ4内の内圧を高くする。すなわち、流量調整弁8の弁開度を小さくすることによって、水中ポンプ2によって圧送される水の圧力を上げることにより、吹き込まれた酸素の水中への溶解を促進する。また、インジェクションチューブ3及び溶解チューブ4の内周面は鏡面仕上げとしているので、内周面に沿う水の剥離を抑えることができ、気泡の発生を防止する。したがって、酸素の溶解が更に促進されることになる。
【0019】
このように、溶解チューブ4内では流れの螺旋流化による強制攪拌を利用した酸素の溶解と加圧による溶解とが同時に進行していき、インジェクションチューブ3から吹き込まれた酸素を水中に十分に溶解させることができる。このような酸素の溶解操作には、水中ポンプ2を駆動させるだけでよく、インジェクションチューブ3への酸素の供給には駆動力は必要なく、しかも溶解チューブ4内では螺旋条4aによる強制螺旋流化が促される。したがって、酸素の溶解に必要な動力は水中ポンプ2を駆動するエネルギだけで済み、従来の溶解装置に比べてエネルギを格段に低減できる。
【0020】
溶解チューブ4内で酸素を溶解した水は、内部流れの圧送によって吐出ヘッド5から水中に吐出され、溶存酸素を増やした水に改質することができる。
【0021】
なお、酸素を供給するだけでなく、オゾン供給ユニット10または空気供給ユニット11によりオゾンまたは空気を供給することによっても、水の改質が可能である。特に、オゾンを供給する場合では、水中に含まれるアオコ等の植物プランクトンの細胞を破壊できるので、水質の浄化が可能となる。
【0022】
【発明の効果】
本発明では、酸素やオゾンまたは空気等の気体をインジェクションチューブに吹き込んだ後に溶解チャンバで加圧されながら水中ポンプで圧送された水が旋回流化されるので、吹き込んだ気体を水中に速やかに溶解させることができ、水中ポンプだけを作動させればよいので、エネルギの節減が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の気体溶解装置の全体を示す概略縦断面図である。
【図2】溶解チューブを軸線と直交する方向に切った断面図である。
【図3】溶解チューブ内での水の螺旋流を示す概略図である。
【符号の説明】
1 ポンプケーシング
2 水中ポンプ
2a インペラ
3 インジェクションチューブ(インジェクション流路)
3a スロート
3b 開口
4 溶解チューブ(溶解流路)
4a 螺旋条
5 吐出ヘッド
6 供給管
7 ガス濃度センサ
8 流量調整弁
9 酸素供給ユニット
9a 開閉弁
10 オゾン供給ユニット
10a 開閉弁
11 空気供給ユニット
11a 開閉弁
12 コントローラ
F 螺旋流

Claims (1)

  1. 内部流路の始端に配置され外部から水等の液体を吸引する水中ポンプと、前記水中ポンプの下流の内部流路に形成され内部負圧によって気体を外部から吸引可能なインジェクション流路と、前記インジェクション流路の下流に接続された溶解流路と、前記溶解流路の下流であって内部流路の終端に配置された吐出ヘッドとを備え、前記溶解流路の内周には流れを強制螺旋流化する螺旋条を形成し、前記溶解流路の終端部分に気体の溶解濃度を検出するガス濃度センサを設けるとともに、前記吐出ヘッドには電動式の流量調整弁を設け、更に前記ガス濃度センサによる濃度検出に基づいて前記流量調整弁の弁開度を設定するコントローラを備えていることを特徴とする気体溶解装置。
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