JP3608591B2 - 空気入りラジアルタイヤ - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高速耐久性が良好でしかもユニフォーミティー、操縦安定性、乗心地性に優れた空気入りラジアルタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、空気入りラジアルタイヤのベルト部には、スチールコードの優れた強度および弾性率を利用したスチールコードベルト層が使われている。このスチールコードベルト層は、スチールコードがタイヤ周方向に対して比較的小さな角度(10°〜30°)で配置されかつプライ間でコードが互いに交差し、その幅方向両側端に切断破面のある構造であった。このため、その切断破面に応力が集中してスチールコードとコートゴムとの間にセパレーションが生じ易く、高速耐久性が劣るようになるといった欠点があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ベルト層にスチールコードを使用してはいるが、有機繊維カバー層等の補助手段を用いることなく高速耐久性が良好であり、しかもユニフォーミティー、操縦安定性、乗心地性に優れた空気入りラジアルタイヤを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の空気入りラジアルタイヤは、トレッドにおけるカーカス層の外側にベルト層が配置された空気入りラジアルタイヤにおいて、1本乃至複数本のスチールコードを互いに平行にマトリックスに埋設してなるテープを、前記カーカス層の外周にジグザグに折り曲げながら、タイヤ周方向にテープの幅だけずらして多数回にわたり巻き付けることにより2層構造の円筒状のスチールコードベルト層を形成してなり、該スチールコードベルト層のタイヤ周方向に対するコード角度θ、該スチールコードベルト層の幅D、該スチールコードベルト層の円筒半径r、前記テープのタイヤ1周当りのジグザグ折り曲げ回数nとしたとき、tan θ=n×D/2πrの関係を満たし、かつ前記回数nが3回又は5回で、前記コード角度θが7°<θ<20°であり、前記スチールコードがその長手方向にスパイラル状或いは波型にくせ付けされた太さ0.15〜0.5mm のスチール単線から構成されるか又は素線径0.1 〜0.25mmのa×b撚り構造(a=1〜4、b=2〜5)で構成されたことを特徴とする。
また、上記目的を達成する本発明の他の発明は、トレッドにおけるカーカス層の外側にベルト層が配置された空気入りラジアルタイヤにおいて、1本乃至複数本のスチールコードを互いに平行にマトリックスに埋設してなるテープを、前記カーカス層の外周にジグザグに折り曲げながら、タイヤ周方向にテープの幅だけずらして多数回にわたり巻き付けることにより2層構造の円筒状のスチールコードベルト層を形成してなり、該スチールコードベルト層のタイヤ周方向に対するコード角度θ、該スチールコードベルト層の幅D、該スチールコードベルト層の円筒半径r、前記テープのタイヤ1周当りのジグザグ折り曲げ回数nとしたとき、 tan θ=n×D/2πrの関係を満たし、かつ前記回数nが2回又は4回で、前記コード角度θが7°<θ< 20 °であり、前記スチールコードがその長手方向にスパイラル状或いは波型にくせ付けされた太さ 0.15 〜 0.5mm のスチール単線から構成され、該単線の径d、該単線の振幅λ、コード長手方向軸に対する該単線の傾斜角度αとしたとき、d+λ≦ 1.0mm 、 0.05 ≦ tan α≦ 0.30 の関係を満足するように構成されたことを特徴とするものである。
【0005】
ここで、円筒半径rとは、タイヤ回転軸から2層構造の円筒状のスチールコードベルト層の内側面までのタイヤ赤道線上の距離をいう。
このように、テープを折り曲げながらカーカス層の外周に巻き付けることによりスチールコードベルト層を形成するために、このスチールコードベルト層の幅方向両側端(ベルトエッジ部)には切断破面がないのでその切断破面でセパレーションが生じる恐れが小さく、高速耐久性が良好となる。
【0006】
また、テープを折り曲げながらカーカス層の外周に巻き付けることによりスチールコードベルト層を形成するために、従来におけるようにベルト層用スチールコードゴム引きシートをその長手方向両端部で互いに重ね合わせることによりベルト層を形成する場合に比して、重ね合わせ部(スプライス部)が生じないのでユニフォーミティー(UF)が良好となり、特に、タイヤが半径方向に受ける反力の変化を表わすラジアル・フォース・バリエーション(RFV)を低減することができる。
【0007】
そのうえ、剛性の高いスチールコードベルト層がそのコードが切断されることなくベルト部に配置されるため、このスチールコードベルト層によりタイヤ横剛性を確保できるから操縦安定性を損なうことがない。
さらに、上記のようにユニフォーミティー(UF)が良好となるため、乗心地性を向上できる。ただし、上記テープの幅をあまり広くすると折り曲げが困難になるばかりでなく、テープの巻き始め端(巻き終り端)等と他の箇所との間の剛性の不均一が増加し、好ましくない。したがって、テープの幅は、スチールコードベルト層の幅D(ベルト折り曲げ幅)の15%以下にするのがよい。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の空気入りラジアルタイヤの一例の子午線方向半断面説明図である。図1において、左右一対のビードコア1の廻りにタイヤ内側から外側にカーカス層2の端部が巻き上げられており、トレッド3においてはカーカス層2の外側にスチールコードベルト層4がタイヤ周方向にタイヤ1周に亘って配置されている。図1では、スチールコードベルト層4は、2層の偶数層であるが、偶数層であれば4層でも6層であってもよい。
【0009】
トレッド3の表面、すなわちトレッド面にはタイヤ周方向に延びる複数の溝5およびタイヤ幅方向に延びる複数の溝(図示せず)が設けられている。
スチールコードベルト層4は、図2に示すように、スチールコードの1本乃至複数本を、好ましくは5〜10本を互いに平行にマトリックスに埋設してなるテープ6(テープ6は図2のA部(テープ6の端部)を拡大した図14に示されるように、スチールコード11の複数本を互いに平行にマトリックスに埋設してなる)を、カーカス層2のタイヤ1周に亘って偶数回又は奇数回折り曲げてジグザグにカーカス層2の幅方向に移動させると共に、スチールコードベルト層4の幅方向相当端7、8で折り曲げながらカーカス層2の外周に巻き付けることにより形成される。この巻き付けは、テープ6相互間に隙間が生じないように、タイヤ周方向にほぼテープ6の幅だけずらして多数回行われる。この巻き付け状況を図3で説明する。
【0010】
図3は、テープ6のタイヤ1周当りのジグザグ折り曲げ回数n=2の場合を示したものである。図3において、巻き始めテープ▲1▼がスチールコードベルト層4の一方の幅方向相当端7から始まって他方の幅方向相当端8で折り曲げられ、一方の幅方向相当端7に戻って次のテープ▲2▼に連通し、巻き始めテープ▲1▼に対してほぼテープ幅だけタイヤ周方向にずらして一方のベルト層幅方向相当端7で折り曲げられる。この手順がテープ▲2▼〜▲8▼まで順序的に繰り返される。このため、全体としてテープ6は常に2枚重なった状態となるから、得られるスチールコードベルト層4は2層構造(2重層)となる。スチールコードベルト層4は、偶数層形成すればよいが、2重層を1つ形成するのが好ましい。コスト的にも重量的にも良好だからである。
【0011】
ところで、テープ6のタイヤ1周当りのジグザグ折り曲げ回数n=偶数の場合には、図4および図5に示されるように、巻き始めテープ▲1▼の巻き始め端と巻き終りテープ▲8▼の巻き終り端との間に途中のテープを介して段差が集中して生じてしまう。この段差は、タイヤのユニフォーミティーにとって好ましいものではない。
【0012】
そこで、タイヤのユニフォーミティーのさらなる向上には、テープ6のタイヤ1周当りのジグザグ折り曲げ回数n=奇数とするのがよい。このように奇数とすることにより、図6に「*」で示されるように、巻き始めテープの巻き始め端と巻き終りテープの巻き終り端との間に集中して段差が生じることなく、巻き途中のテープ相互間に段差が生じ、この段差がタイヤ1周に亘って分散することになる。
【0013】
つぎに、テープ6のタイヤ1周当りのジグザグ折り曲げ回数nとスチールコードベルト層4のタイヤ周方向に対するコード角度θとの関係を図7〜図12に示す。図7はn=1の場合を、図8はn=2の場合を、図9はn=3の場合を、図10はn=4の場合を、図11はn=5の場合を、図12はn=6の場合をそれぞれ示す。これらの図7〜図12から判るように、nが大きくなるにつれてθが大となる。そこで、本発明では、コード角度θ=7°〜20°の範囲とするために、偶数回の折り曲げ回数nを2回又は4回とし、奇数回の折り曲げ回数nを3回又は5回としている。
【0014】
また、本発明では、このように形成されるスチールコードベルト層4において、タイヤ周方向に対するコード角度θ、幅D、円筒半径rとし、テープ6のタイヤ1周当りのジグザグ折り曲げ回数nとしたとき、tan θ=n×D/2πrの関係を満たし、かつ7°<θ<20°としている。θは、回数nと幅Dと円筒半径rとによって定まるものだからである。7°<θ<20°としたのは、コード角度θをなるべく小さくしてタイヤ周方向剛性を高め、高速耐久性をいっそう向上させるためである。
【0015】
テープ6に用いるスチールコードは、その長手方向にスパイラル状或いは波型にくせ付け(型付け)された太さ0.15〜0.5mm のスチール単線から構成されるか又は素線径0.1 〜0.25mmのa×b撚り構造(a=1〜4、b=2〜5)で構成される。スチールコードをこのように構成したのは、テープ6をカーカス層の外周にジクザグに折り曲げながら巻き付けるためには、スチールコードの曲げ剛性が小さくなければならないからである。また、上記スチール単線のスチールコードをその長手方向にスパイラル状或いは波型にくせ付けしているのは、上記のようにコード角度θを7°<θ<20°のように小さくするとタイヤ加硫時のタイヤ膨径にスチールコードベルト層4が追随しにくくなるので、このようにくせ付けすることによりスチールコードの長手方向の伸びを良くし、スチールコードベルト層4をそのタイヤ膨径に追随し易くさせるためである。
【0016】
スチールコードが長手方向にスパイラル状或いは波型にくせ付けされた太さ0.15〜0.5mm のスチール単線から構成される場合には、単線10の径d(mm)とし、図13に示すように単線10の振幅λ(mm)、コード長手方向軸に対する単線10の傾斜角度αとしたとき、1.0(mm) ≧d+λ、0.05≦tan α≦0.30の関係を満足する。d+λが1.0(mm) を超えるとコード径が太くなり過ぎ或いは波形も大きくなるため、コートゴム厚みが大きくなるためタイヤ重量が増加するので好ましくない。tan αが0.05未満ではコードの曲げ剛性が高くなり、一方、0.30超ではスパイラル状或いは波型の片付け割合が多くなり生産性が悪化すると共に、コードの伸びが大きくなって弾性率が低下してしまう。
【0017】
スチールコードがa×b撚り構造(a=1〜4、b=2〜5)で構成される場合には、素線径は0.1 〜0.25mmである。素線径が0.1mm 未満では細過ぎて強度が劣ることになり、一方、0.25mm超では曲げ剛性が高くなってしまう。この構造としては、例えば、3×3(0.15) がある。
テープ6は、このようなスチールコードの1本乃至複数本を互いに平行にマトリックスに埋設することにより構成される。この場合のマトリックスとしては、ゴムに限ることなくウレタン樹脂などのプラスチックを用いることができる。
【0018】
【実施例】
(1)下記の本発明タイヤ1〜3、対比タイヤ1、従来タイヤ1につき、下記条件で高速耐久性、ユニフォーミティー、乗心地性、操縦安定性を評価した。この結果を表1に示す。
条件
空気圧;1.9kg/cm2 、リム;14×51/2JJ、荷重;500kg
タイヤサイズ;195/70 R14
本発明タイヤ1
スチールコードベルト層2層構造、スチールコード3×3(0.15) を10本平行にゴム中に埋設した幅10mmのテープを用い、これをカーカス層の外周に2層巻回で、n=2、θ=8°として巻き付けた。
【0019】
タイヤ外形 655mm、ベルト層の幅D=135mm 、ベルト層の半径r=315mm
tan θ=n×D/2πr=n×135mm/(2π×315mm)
本発明タイヤ2
n=4、θ=16°であることを除いて、本発明タイヤ1と同じ。
本発明タイヤ3
波形に型付けした単線ワイヤ(d=0.30mm、d+λ=0.60mm、tan α=0.18) を5本平行に引き揃えてゴム中に埋設した5mm幅のテープを用い、これをカーカス層の外周に2層巻回、n=2、θ=8°として巻き付けた。その他は本発明タイヤ1と同じ。
【0020】
対比タイヤ1
n=6、θ=23°であることを除いて、本発明タイヤ1と同じ。
従来タイヤ1
スチールコードベルト層2枚、タイヤ周方向に対するコード角度=20°、プライ間でコードが互いに交差。
【0021】
内側スチールコードベルト層;スチールコード2+2(0.25) 、40本/50mm 、幅130mm 。
外側スチールコードベルト層;スチールコード2+2(0.25) 、40本/50mm 、幅120mm 。
ベルト補強層1枚;ナイロン繊維840 デニール2本撚りコードの55本/50mm のシートを外側スチールコードベルト層の外周にタイヤ周方向に微小角度で幅10mmで螺旋状に連続して巻回することにより形成、幅140mm 。
【0022】
ユニフォーミティー:
JASO C607 「自動車用タイヤのユニフォーミティー試験方法」に準拠。この結果を従来タイヤ1を100 とする指数で示す。数値が大きい方がよい。
高速耐久性:
ドラム径1707mmでJATMA 高速耐久性試験終了後、10km/hr 毎加速してタイヤが破壊するまで試験を続行した。この結果を従来タイヤ1を100 とする指数で示す。数値が大きい方がよい。
【0023】
コード角度θが小さいほど(nが小さいほど)高速耐久性が良好であることが判る。
操縦安定性および乗心地性能:
実車操縦安定性能フィーリングテストを行った。この場合、国産2.5 リットルクラスの車にタイヤを装着して、車を3回幅方向に移動させることにより3名のテストパネラーが操舵フィーリング評価した。表1中、「○」は良いを、「◎」は極めて良いを、「△」は若干悪いを、「×」は悪いをそれぞれ表わす。
【0024】
乗心地性能フィーリングテストを行った。この場合、国産2.5 リットルクラスの車にタイヤを装着して、不整路面を走行し、3名のテストパネラーが乗心地性能フィーリング評価した。表1中、「○」は良いを、「◎」は極めて良いを、「△」は若干悪いを、「×」は悪いをそれぞれ表わす。
【0025】
【表1】
【0026】
表1から明らかなように、本発明タイヤタイヤ1〜3は高速耐久性、ユニフォーミティー、乗心地性、操縦安定性のいずれにおいても優れていることが判る。
(2)下記の本発明タイヤ4〜6、対比タイヤ2、従来タイヤ2につき、下記条件で前記と同様に高速耐久性、ユニフォーミティー、乗心地性(突起乗り越し試験)、操縦安定性を評価した。この結果を表2に示す。
【0027】
条件
空気圧;1.9kg/cm2 、リム;14×51/2JJ、荷重;500kg
タイヤサイズ;195/70 R14
本発明タイヤ4
スチールコードベルト層2層構造、スチールコード3×3(0.15) を10本平行にゴム中に埋設した幅10mmのテープを用い、これをカーカス層の外周に2層巻回で、n=3、θ=12°として巻き付けた。
【0028】
タイヤ外形 655mm、ベルト層の幅D=135mm 、ベルト層の半径r=315mm
tan θ=n×D/2πr=n×135mm/(2π×315mm)
本発明タイヤ5
n=5、θ=19°であることを除いて、本発明タイヤ4と同じ。
本発明タイヤ6
波形に型付けした単線ワイヤ(d=0.30mm、d+λ=0.60mm、tan α=0.18) を5本平行に引き揃えてゴム中に埋設した5mm幅のテープを用い、これをカーカス層の外周に2層巻回、n=3、θ=12°として巻き付けた。その他は本発明タイヤ4と同じ。
【0029】
対比タイヤ2
n=7、θ=26°であることを除いて、本発明タイヤ4と同じ。
従来タイヤ2
従来タイヤ1に同じ。
【0030】
【表2】
表2から明らかなように、本発明タイヤ4〜6は高速耐久性、ユニフォーミティー、乗心地性、操縦安定性のいずれにおいても優れていることが判る。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の空気入りラジアルタイヤは、1本乃至複数本のスチールコードを互いに平行にマトリックスに埋設してなるテープを、カーカス層の外周にジグザグに折り曲げながら巻き付けることにより2層構造の円筒状のスチールコードベルト層を形成してなり、該スチールコードベルト層のタイヤ周方向に対するコード角度θ、該スチールコードベルト層の幅D、該スチールコードベルト層の円筒半径r、前記テープのタイヤ1周当りのジグザグ折り曲げ回数nとしたとき、tan θ=n×D/2πrの関係を満たし、かつ7°<θ<20°であり、前記スチールコードがその長手方向にスパイラル状或いは波型にくせ付けされた太さ0.15〜0.5mm のスチール単線から構成されるか又は素線径0.1 〜0.25mmのa×b撚り構造(a=1〜4、b=2〜5)で構成されたたために、高速耐久性が良好でしかもユニフォーミティー、操縦安定性、乗心地性の向上が可能となる。
【0032】
さらに、本発明では、スチールコードベルト層はカーカス層の外側にテープをタイヤ1周に亘って折り曲げながら巻き付けることにより形成されるため、従来から使用されているベルト成型ドラムでスチールコードベルト層の製造が可能となるので、新たに設備を設けなくともよいから空気入りラジアルタイヤを安価に製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の空気入りラジアルタイヤの一例の子午線方向半断面説明図である。
【図2】本発明におけるスチールコードベルト層の形成状況を示す斜視説明図である。
【図3】本発明におけるスチールコードベルト層の形成に際してカーカス層にテープを巻き付ける状況を示す説明図である。
【図4】テープの巻き始め端と巻き終り端との間に途中のテープを介して段差が生じる様子を示す断面説明図である。
【図5】テープの巻き始め端と巻き終り端との間に途中のテープを介して段差が生じる様子を示す平面視説明図である。
【図6】本発明におけるスチールコードベルト層の形成に際してカーカス層にテープを巻き付ける状況を示す別の説明図である。
【図7】テープのタイヤ1周当りのジグザグ折り曲げ回数n=1とスチールコードベルト層のタイヤ周方向に対するコード角度θとの関係図である。
【図8】テープのタイヤ1周当りのジグザグ折り曲げ回数n=2とスチールコードベルト層のタイヤ周方向に対するコード角度θとの関係図である。
【図9】テープのタイヤ1周当りのジグザグ折り曲げ回数n=3とスチールコードベルト層のタイヤ周方向に対するコード角度θとの関係図である。
【図10】テープのタイヤ1周当りのジグザグ折り曲げ回数n=4とスチールコードベルト層のタイヤ周方向に対するコード角度θとの関係図である。
【図11】テープのタイヤ1周当りのジグザグ折り曲げ回数n=5とスチールコードベルト層のタイヤ周方向に対するコード角度θとの関係図である。
【図12】テープのタイヤ1周当りのジグザグ折り曲げ回数n=6とスチールコードベルト層のタイヤ周方向に対するコード角度θとの関係図である。
【図13】長手方向にスパイラル状或いは波型に片付けされた単線から構成されるスチールコードの側面視説明図である。
【図14】図2のA部を拡大して示す斜視説明図である。
【符号の説明】
1 ビードコア 2 カーカス層 3 トレッド 4 スチールコード
ベルト層 5 有機繊維コードベルト層 7 テープ
【発明の属する技術分野】
本発明は、高速耐久性が良好でしかもユニフォーミティー、操縦安定性、乗心地性に優れた空気入りラジアルタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、空気入りラジアルタイヤのベルト部には、スチールコードの優れた強度および弾性率を利用したスチールコードベルト層が使われている。このスチールコードベルト層は、スチールコードがタイヤ周方向に対して比較的小さな角度(10°〜30°)で配置されかつプライ間でコードが互いに交差し、その幅方向両側端に切断破面のある構造であった。このため、その切断破面に応力が集中してスチールコードとコートゴムとの間にセパレーションが生じ易く、高速耐久性が劣るようになるといった欠点があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ベルト層にスチールコードを使用してはいるが、有機繊維カバー層等の補助手段を用いることなく高速耐久性が良好であり、しかもユニフォーミティー、操縦安定性、乗心地性に優れた空気入りラジアルタイヤを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の空気入りラジアルタイヤは、トレッドにおけるカーカス層の外側にベルト層が配置された空気入りラジアルタイヤにおいて、1本乃至複数本のスチールコードを互いに平行にマトリックスに埋設してなるテープを、前記カーカス層の外周にジグザグに折り曲げながら、タイヤ周方向にテープの幅だけずらして多数回にわたり巻き付けることにより2層構造の円筒状のスチールコードベルト層を形成してなり、該スチールコードベルト層のタイヤ周方向に対するコード角度θ、該スチールコードベルト層の幅D、該スチールコードベルト層の円筒半径r、前記テープのタイヤ1周当りのジグザグ折り曲げ回数nとしたとき、tan θ=n×D/2πrの関係を満たし、かつ前記回数nが3回又は5回で、前記コード角度θが7°<θ<20°であり、前記スチールコードがその長手方向にスパイラル状或いは波型にくせ付けされた太さ0.15〜0.5mm のスチール単線から構成されるか又は素線径0.1 〜0.25mmのa×b撚り構造(a=1〜4、b=2〜5)で構成されたことを特徴とする。
また、上記目的を達成する本発明の他の発明は、トレッドにおけるカーカス層の外側にベルト層が配置された空気入りラジアルタイヤにおいて、1本乃至複数本のスチールコードを互いに平行にマトリックスに埋設してなるテープを、前記カーカス層の外周にジグザグに折り曲げながら、タイヤ周方向にテープの幅だけずらして多数回にわたり巻き付けることにより2層構造の円筒状のスチールコードベルト層を形成してなり、該スチールコードベルト層のタイヤ周方向に対するコード角度θ、該スチールコードベルト層の幅D、該スチールコードベルト層の円筒半径r、前記テープのタイヤ1周当りのジグザグ折り曲げ回数nとしたとき、 tan θ=n×D/2πrの関係を満たし、かつ前記回数nが2回又は4回で、前記コード角度θが7°<θ< 20 °であり、前記スチールコードがその長手方向にスパイラル状或いは波型にくせ付けされた太さ 0.15 〜 0.5mm のスチール単線から構成され、該単線の径d、該単線の振幅λ、コード長手方向軸に対する該単線の傾斜角度αとしたとき、d+λ≦ 1.0mm 、 0.05 ≦ tan α≦ 0.30 の関係を満足するように構成されたことを特徴とするものである。
【0005】
ここで、円筒半径rとは、タイヤ回転軸から2層構造の円筒状のスチールコードベルト層の内側面までのタイヤ赤道線上の距離をいう。
このように、テープを折り曲げながらカーカス層の外周に巻き付けることによりスチールコードベルト層を形成するために、このスチールコードベルト層の幅方向両側端(ベルトエッジ部)には切断破面がないのでその切断破面でセパレーションが生じる恐れが小さく、高速耐久性が良好となる。
【0006】
また、テープを折り曲げながらカーカス層の外周に巻き付けることによりスチールコードベルト層を形成するために、従来におけるようにベルト層用スチールコードゴム引きシートをその長手方向両端部で互いに重ね合わせることによりベルト層を形成する場合に比して、重ね合わせ部(スプライス部)が生じないのでユニフォーミティー(UF)が良好となり、特に、タイヤが半径方向に受ける反力の変化を表わすラジアル・フォース・バリエーション(RFV)を低減することができる。
【0007】
そのうえ、剛性の高いスチールコードベルト層がそのコードが切断されることなくベルト部に配置されるため、このスチールコードベルト層によりタイヤ横剛性を確保できるから操縦安定性を損なうことがない。
さらに、上記のようにユニフォーミティー(UF)が良好となるため、乗心地性を向上できる。ただし、上記テープの幅をあまり広くすると折り曲げが困難になるばかりでなく、テープの巻き始め端(巻き終り端)等と他の箇所との間の剛性の不均一が増加し、好ましくない。したがって、テープの幅は、スチールコードベルト層の幅D(ベルト折り曲げ幅)の15%以下にするのがよい。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の空気入りラジアルタイヤの一例の子午線方向半断面説明図である。図1において、左右一対のビードコア1の廻りにタイヤ内側から外側にカーカス層2の端部が巻き上げられており、トレッド3においてはカーカス層2の外側にスチールコードベルト層4がタイヤ周方向にタイヤ1周に亘って配置されている。図1では、スチールコードベルト層4は、2層の偶数層であるが、偶数層であれば4層でも6層であってもよい。
【0009】
トレッド3の表面、すなわちトレッド面にはタイヤ周方向に延びる複数の溝5およびタイヤ幅方向に延びる複数の溝(図示せず)が設けられている。
スチールコードベルト層4は、図2に示すように、スチールコードの1本乃至複数本を、好ましくは5〜10本を互いに平行にマトリックスに埋設してなるテープ6(テープ6は図2のA部(テープ6の端部)を拡大した図14に示されるように、スチールコード11の複数本を互いに平行にマトリックスに埋設してなる)を、カーカス層2のタイヤ1周に亘って偶数回又は奇数回折り曲げてジグザグにカーカス層2の幅方向に移動させると共に、スチールコードベルト層4の幅方向相当端7、8で折り曲げながらカーカス層2の外周に巻き付けることにより形成される。この巻き付けは、テープ6相互間に隙間が生じないように、タイヤ周方向にほぼテープ6の幅だけずらして多数回行われる。この巻き付け状況を図3で説明する。
【0010】
図3は、テープ6のタイヤ1周当りのジグザグ折り曲げ回数n=2の場合を示したものである。図3において、巻き始めテープ▲1▼がスチールコードベルト層4の一方の幅方向相当端7から始まって他方の幅方向相当端8で折り曲げられ、一方の幅方向相当端7に戻って次のテープ▲2▼に連通し、巻き始めテープ▲1▼に対してほぼテープ幅だけタイヤ周方向にずらして一方のベルト層幅方向相当端7で折り曲げられる。この手順がテープ▲2▼〜▲8▼まで順序的に繰り返される。このため、全体としてテープ6は常に2枚重なった状態となるから、得られるスチールコードベルト層4は2層構造(2重層)となる。スチールコードベルト層4は、偶数層形成すればよいが、2重層を1つ形成するのが好ましい。コスト的にも重量的にも良好だからである。
【0011】
ところで、テープ6のタイヤ1周当りのジグザグ折り曲げ回数n=偶数の場合には、図4および図5に示されるように、巻き始めテープ▲1▼の巻き始め端と巻き終りテープ▲8▼の巻き終り端との間に途中のテープを介して段差が集中して生じてしまう。この段差は、タイヤのユニフォーミティーにとって好ましいものではない。
【0012】
そこで、タイヤのユニフォーミティーのさらなる向上には、テープ6のタイヤ1周当りのジグザグ折り曲げ回数n=奇数とするのがよい。このように奇数とすることにより、図6に「*」で示されるように、巻き始めテープの巻き始め端と巻き終りテープの巻き終り端との間に集中して段差が生じることなく、巻き途中のテープ相互間に段差が生じ、この段差がタイヤ1周に亘って分散することになる。
【0013】
つぎに、テープ6のタイヤ1周当りのジグザグ折り曲げ回数nとスチールコードベルト層4のタイヤ周方向に対するコード角度θとの関係を図7〜図12に示す。図7はn=1の場合を、図8はn=2の場合を、図9はn=3の場合を、図10はn=4の場合を、図11はn=5の場合を、図12はn=6の場合をそれぞれ示す。これらの図7〜図12から判るように、nが大きくなるにつれてθが大となる。そこで、本発明では、コード角度θ=7°〜20°の範囲とするために、偶数回の折り曲げ回数nを2回又は4回とし、奇数回の折り曲げ回数nを3回又は5回としている。
【0014】
また、本発明では、このように形成されるスチールコードベルト層4において、タイヤ周方向に対するコード角度θ、幅D、円筒半径rとし、テープ6のタイヤ1周当りのジグザグ折り曲げ回数nとしたとき、tan θ=n×D/2πrの関係を満たし、かつ7°<θ<20°としている。θは、回数nと幅Dと円筒半径rとによって定まるものだからである。7°<θ<20°としたのは、コード角度θをなるべく小さくしてタイヤ周方向剛性を高め、高速耐久性をいっそう向上させるためである。
【0015】
テープ6に用いるスチールコードは、その長手方向にスパイラル状或いは波型にくせ付け(型付け)された太さ0.15〜0.5mm のスチール単線から構成されるか又は素線径0.1 〜0.25mmのa×b撚り構造(a=1〜4、b=2〜5)で構成される。スチールコードをこのように構成したのは、テープ6をカーカス層の外周にジクザグに折り曲げながら巻き付けるためには、スチールコードの曲げ剛性が小さくなければならないからである。また、上記スチール単線のスチールコードをその長手方向にスパイラル状或いは波型にくせ付けしているのは、上記のようにコード角度θを7°<θ<20°のように小さくするとタイヤ加硫時のタイヤ膨径にスチールコードベルト層4が追随しにくくなるので、このようにくせ付けすることによりスチールコードの長手方向の伸びを良くし、スチールコードベルト層4をそのタイヤ膨径に追随し易くさせるためである。
【0016】
スチールコードが長手方向にスパイラル状或いは波型にくせ付けされた太さ0.15〜0.5mm のスチール単線から構成される場合には、単線10の径d(mm)とし、図13に示すように単線10の振幅λ(mm)、コード長手方向軸に対する単線10の傾斜角度αとしたとき、1.0(mm) ≧d+λ、0.05≦tan α≦0.30の関係を満足する。d+λが1.0(mm) を超えるとコード径が太くなり過ぎ或いは波形も大きくなるため、コートゴム厚みが大きくなるためタイヤ重量が増加するので好ましくない。tan αが0.05未満ではコードの曲げ剛性が高くなり、一方、0.30超ではスパイラル状或いは波型の片付け割合が多くなり生産性が悪化すると共に、コードの伸びが大きくなって弾性率が低下してしまう。
【0017】
スチールコードがa×b撚り構造(a=1〜4、b=2〜5)で構成される場合には、素線径は0.1 〜0.25mmである。素線径が0.1mm 未満では細過ぎて強度が劣ることになり、一方、0.25mm超では曲げ剛性が高くなってしまう。この構造としては、例えば、3×3(0.15) がある。
テープ6は、このようなスチールコードの1本乃至複数本を互いに平行にマトリックスに埋設することにより構成される。この場合のマトリックスとしては、ゴムに限ることなくウレタン樹脂などのプラスチックを用いることができる。
【0018】
【実施例】
(1)下記の本発明タイヤ1〜3、対比タイヤ1、従来タイヤ1につき、下記条件で高速耐久性、ユニフォーミティー、乗心地性、操縦安定性を評価した。この結果を表1に示す。
条件
空気圧;1.9kg/cm2 、リム;14×51/2JJ、荷重;500kg
タイヤサイズ;195/70 R14
本発明タイヤ1
スチールコードベルト層2層構造、スチールコード3×3(0.15) を10本平行にゴム中に埋設した幅10mmのテープを用い、これをカーカス層の外周に2層巻回で、n=2、θ=8°として巻き付けた。
【0019】
タイヤ外形 655mm、ベルト層の幅D=135mm 、ベルト層の半径r=315mm
tan θ=n×D/2πr=n×135mm/(2π×315mm)
本発明タイヤ2
n=4、θ=16°であることを除いて、本発明タイヤ1と同じ。
本発明タイヤ3
波形に型付けした単線ワイヤ(d=0.30mm、d+λ=0.60mm、tan α=0.18) を5本平行に引き揃えてゴム中に埋設した5mm幅のテープを用い、これをカーカス層の外周に2層巻回、n=2、θ=8°として巻き付けた。その他は本発明タイヤ1と同じ。
【0020】
対比タイヤ1
n=6、θ=23°であることを除いて、本発明タイヤ1と同じ。
従来タイヤ1
スチールコードベルト層2枚、タイヤ周方向に対するコード角度=20°、プライ間でコードが互いに交差。
【0021】
内側スチールコードベルト層;スチールコード2+2(0.25) 、40本/50mm 、幅130mm 。
外側スチールコードベルト層;スチールコード2+2(0.25) 、40本/50mm 、幅120mm 。
ベルト補強層1枚;ナイロン繊維840 デニール2本撚りコードの55本/50mm のシートを外側スチールコードベルト層の外周にタイヤ周方向に微小角度で幅10mmで螺旋状に連続して巻回することにより形成、幅140mm 。
【0022】
ユニフォーミティー:
JASO C607 「自動車用タイヤのユニフォーミティー試験方法」に準拠。この結果を従来タイヤ1を100 とする指数で示す。数値が大きい方がよい。
高速耐久性:
ドラム径1707mmでJATMA 高速耐久性試験終了後、10km/hr 毎加速してタイヤが破壊するまで試験を続行した。この結果を従来タイヤ1を100 とする指数で示す。数値が大きい方がよい。
【0023】
コード角度θが小さいほど(nが小さいほど)高速耐久性が良好であることが判る。
操縦安定性および乗心地性能:
実車操縦安定性能フィーリングテストを行った。この場合、国産2.5 リットルクラスの車にタイヤを装着して、車を3回幅方向に移動させることにより3名のテストパネラーが操舵フィーリング評価した。表1中、「○」は良いを、「◎」は極めて良いを、「△」は若干悪いを、「×」は悪いをそれぞれ表わす。
【0024】
乗心地性能フィーリングテストを行った。この場合、国産2.5 リットルクラスの車にタイヤを装着して、不整路面を走行し、3名のテストパネラーが乗心地性能フィーリング評価した。表1中、「○」は良いを、「◎」は極めて良いを、「△」は若干悪いを、「×」は悪いをそれぞれ表わす。
【0025】
【表1】
【0026】
表1から明らかなように、本発明タイヤタイヤ1〜3は高速耐久性、ユニフォーミティー、乗心地性、操縦安定性のいずれにおいても優れていることが判る。
(2)下記の本発明タイヤ4〜6、対比タイヤ2、従来タイヤ2につき、下記条件で前記と同様に高速耐久性、ユニフォーミティー、乗心地性(突起乗り越し試験)、操縦安定性を評価した。この結果を表2に示す。
【0027】
条件
空気圧;1.9kg/cm2 、リム;14×51/2JJ、荷重;500kg
タイヤサイズ;195/70 R14
本発明タイヤ4
スチールコードベルト層2層構造、スチールコード3×3(0.15) を10本平行にゴム中に埋設した幅10mmのテープを用い、これをカーカス層の外周に2層巻回で、n=3、θ=12°として巻き付けた。
【0028】
タイヤ外形 655mm、ベルト層の幅D=135mm 、ベルト層の半径r=315mm
tan θ=n×D/2πr=n×135mm/(2π×315mm)
本発明タイヤ5
n=5、θ=19°であることを除いて、本発明タイヤ4と同じ。
本発明タイヤ6
波形に型付けした単線ワイヤ(d=0.30mm、d+λ=0.60mm、tan α=0.18) を5本平行に引き揃えてゴム中に埋設した5mm幅のテープを用い、これをカーカス層の外周に2層巻回、n=3、θ=12°として巻き付けた。その他は本発明タイヤ4と同じ。
【0029】
対比タイヤ2
n=7、θ=26°であることを除いて、本発明タイヤ4と同じ。
従来タイヤ2
従来タイヤ1に同じ。
【0030】
【表2】
表2から明らかなように、本発明タイヤ4〜6は高速耐久性、ユニフォーミティー、乗心地性、操縦安定性のいずれにおいても優れていることが判る。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の空気入りラジアルタイヤは、1本乃至複数本のスチールコードを互いに平行にマトリックスに埋設してなるテープを、カーカス層の外周にジグザグに折り曲げながら巻き付けることにより2層構造の円筒状のスチールコードベルト層を形成してなり、該スチールコードベルト層のタイヤ周方向に対するコード角度θ、該スチールコードベルト層の幅D、該スチールコードベルト層の円筒半径r、前記テープのタイヤ1周当りのジグザグ折り曲げ回数nとしたとき、tan θ=n×D/2πrの関係を満たし、かつ7°<θ<20°であり、前記スチールコードがその長手方向にスパイラル状或いは波型にくせ付けされた太さ0.15〜0.5mm のスチール単線から構成されるか又は素線径0.1 〜0.25mmのa×b撚り構造(a=1〜4、b=2〜5)で構成されたたために、高速耐久性が良好でしかもユニフォーミティー、操縦安定性、乗心地性の向上が可能となる。
【0032】
さらに、本発明では、スチールコードベルト層はカーカス層の外側にテープをタイヤ1周に亘って折り曲げながら巻き付けることにより形成されるため、従来から使用されているベルト成型ドラムでスチールコードベルト層の製造が可能となるので、新たに設備を設けなくともよいから空気入りラジアルタイヤを安価に製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の空気入りラジアルタイヤの一例の子午線方向半断面説明図である。
【図2】本発明におけるスチールコードベルト層の形成状況を示す斜視説明図である。
【図3】本発明におけるスチールコードベルト層の形成に際してカーカス層にテープを巻き付ける状況を示す説明図である。
【図4】テープの巻き始め端と巻き終り端との間に途中のテープを介して段差が生じる様子を示す断面説明図である。
【図5】テープの巻き始め端と巻き終り端との間に途中のテープを介して段差が生じる様子を示す平面視説明図である。
【図6】本発明におけるスチールコードベルト層の形成に際してカーカス層にテープを巻き付ける状況を示す別の説明図である。
【図7】テープのタイヤ1周当りのジグザグ折り曲げ回数n=1とスチールコードベルト層のタイヤ周方向に対するコード角度θとの関係図である。
【図8】テープのタイヤ1周当りのジグザグ折り曲げ回数n=2とスチールコードベルト層のタイヤ周方向に対するコード角度θとの関係図である。
【図9】テープのタイヤ1周当りのジグザグ折り曲げ回数n=3とスチールコードベルト層のタイヤ周方向に対するコード角度θとの関係図である。
【図10】テープのタイヤ1周当りのジグザグ折り曲げ回数n=4とスチールコードベルト層のタイヤ周方向に対するコード角度θとの関係図である。
【図11】テープのタイヤ1周当りのジグザグ折り曲げ回数n=5とスチールコードベルト層のタイヤ周方向に対するコード角度θとの関係図である。
【図12】テープのタイヤ1周当りのジグザグ折り曲げ回数n=6とスチールコードベルト層のタイヤ周方向に対するコード角度θとの関係図である。
【図13】長手方向にスパイラル状或いは波型に片付けされた単線から構成されるスチールコードの側面視説明図である。
【図14】図2のA部を拡大して示す斜視説明図である。
【符号の説明】
1 ビードコア 2 カーカス層 3 トレッド 4 スチールコード
ベルト層 5 有機繊維コードベルト層 7 テープ
Claims (5)
- トレッドにおけるカーカス層の外側にベルト層が配置された空気入りラジアルタイヤにおいて、1本乃至複数本のスチールコードを互いに平行にマトリックスに埋設してなるテープを、前記カーカス層の外周にジグザグに折り曲げながら、タイヤ周方向にテープの幅だけずらして多数回にわたり巻き付けることにより2層構造の円筒状のスチールコードベルト層を形成してなり、該スチールコードベルト層のタイヤ周方向に対するコード角度θ、該スチールコードベルト層の幅D、該スチールコードベルト層の円筒半径r、前記テープのタイヤ1周当りのジグザグ折り曲げ回数nとしたとき、tan θ=n×D/2πrの関係を満たし、かつ前記回数nが3回又は5回で、前記コード角度θが7°<θ<20°であり、前記スチールコードがその長手方向にスパイラル状或いは波型にくせ付けされた太さ0.15〜0.5mm のスチール単線から構成されるか又は素線径0.1 〜0.25mmのa×b撚り構造(a=1〜4、b=2〜5)で構成された空気入りラジアルタイヤ。
- 前記スチールコードがその長手方向にスパイラル状或いは波型にくせ付けされた太さ0.15〜0.5mm のスチール単線から構成され、該単線の径d、該単線の振幅λ、コード長手方向軸に対する該単線の傾斜角度αとしたとき、d+λ≦1.0mm 、0.05≦tan α≦0.30の関係を満足する請求項1に記載の空気入りラジアルタイヤ。
- トレッドにおけるカーカス層の外側にベルト層が配置された空気入りラジアルタイヤにおいて、1本乃至複数本のスチールコードを互いに平行にマトリックスに埋設してなるテープを、前記カーカス層の外周にジグザグに折り曲げながら、タイヤ周方向にテープの幅だけずらして多数回にわたり巻き付けることにより2層構造の円筒状のスチールコードベルト層を形成してなり、該スチールコードベルト層のタイヤ周方向に対するコード角度θ、該スチールコードベルト層の幅D、該スチールコードベルト層の円筒半径r、前記テープのタイヤ1周当りのジグザグ折り曲げ回数nとしたとき、 tan θ=n×D/2πrの関係を満たし、かつ前記回数nが2回又は4回で、前記コード角度θが7°<θ< 20 °であり、前記スチールコードがその長手方向にスパイラル状或いは波型にくせ付けされた太さ 0.15 〜 0.5mm のスチール単線から構成され、該単線の径d、該単線の振幅λ、コード長手方向軸に対する該単線の傾斜角度αとしたとき、d+λ≦ 1.0mm 、 0.05 ≦ tan α≦ 0.30 の関係を満足するように構成された空気入りラジアルタイヤ。
- 前記マトリックスがゴム、プラスチックからなる群から選択される1種である請求項1乃至3のいずれか1項記載の空気入りラジアルタイヤ。
- 前記1本乃至複数本のスチールコードを埋設してなるテープの幅は、スチールコードベルト層の幅Dの15%以下である請求項1乃至4のいずれか1項記載の空気入りラジアルタイヤ。
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