JP3608410B2 - 光起電力装置 - Google Patents

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    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy

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  • Photovoltaic Devices (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する光起電力装置(光起電力素子)に関し、特にSOI(silicon on insulator)構造を利用した多接合型の光起電力装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光起電力装置は良く知られており、一般にソリッドステートリレー(以下SSRと称す)のための制御信号を発生するために使用されている。かかるデバイスでは、入力端子に入力される駆動信号に応答して点灯・消灯するLEDが、間隔を有するとともに絶縁されて光起電力装置の感光面光を照射するように配置される。光起電力装置の出力は、MOSゲートデバイス、典型的にはパワーMOSFETのようなスイッチングデバイスの入力として使用することができ、そのスイッチングデバイスは上記LEDの駆動に応答してスイッチオンされる負荷端子を有している。一般に、光起電力装置は、パワースイッチングデバイスをターンオンさせるのに充分高い電圧を発生するために、多数の直列接続された光起電力セルからなっている。
【0003】
この多数の直列接続された光起電力セルからなる光起電力装置は、多くの異なった方法で作ることができるが、SSRに用いられる光起電力装置としては、誘電体分離によりお互いにアイソレートされたホトダイオードを表面電極により直列に接続したホトダイオードアレイ(以下PDAと称す)が一般的である。
【0004】
図3(a)に誘電体分離を用いて各ホトダイオードセルを分離するPDAの断面構造の例を示す。ただし、PDAの各部の特定を明確にすべく、図3に示す括弧内の符号を適宜使用する。シリコン酸化膜120に囲まれ、複数のp型不純物が軽くドープされたシリコン島130が多結晶シリコン基板110に形成されており、各シリコン島130には0.5μm程度の浅い拡散のn型不純物拡散層140が形成され、これらシリコン島130およびn型不純物拡散層140がホトダイオードセルとなっている。そして、例えば、シリコン島130(131)および不純物拡散層140(141)により成るホトダイオードセルのp型シリコン島130(131)の一部とシリコン島130(132)および不純物拡散層140(142)により成る次段のホトダイオードセルのn型不純物拡散層140(142)とが表面電極150により接続されて、各ホトダイオードセルが直列接続されている。
【0005】
図3(b)に誘電体分離を用いて複数のホトダイオードセルを直列接続するPDAの表面構造の一部を示す。各ホトダイオードセルが誘電体分離されているため、電位の違うホトダイオードセルを自由に配置することができ、表面レイアウト上の制限がないのが分かる。
【0006】
しかしながら、このような誘電体分離法では、分離部を形成するためにエッチング、埋め込みおよび平坦化研磨といった複雑な工程が必要となるため、基板の生産コストが高くなり、また基板作成に長期間を要するといった問題が生じる。
【0007】
この問題を回避すべく、上記のような誘電体分離を用いずに多数セルの直列接続を可能にする分離方法として、ジャンクション分離が知られている。
【0008】
このジャンクション分離を用いて複数のホトダイオードセルを直列接続する例としては、昭和52年度の電子通信学会総合全国大会において林豊氏により2−80貢に開示されたSOS(silicon on sapphire )基板上に形成される直列接続のホトダイオードをジャンクション分離でアイソレートする方法、および1998年3月の第45回応用物理学会関係連合講演会において高遠秀尚氏により29p−P−13に開示されたSOI基板上に形成される直列接続のホトダイオードをジャンクション分離でアイソレートする方法などがある。
【0009】
図4(a)にジャンクション分離でアイソレートされる直列接続のホトダイオードを形成する従来のSOI基板の断面構造例を示す。SOI基板のp型シリコン層230に0.5μm程度の浅い拡散のn型不純物拡散層232がn型不純物分離層231と接続されるように形成され、これらp型シリコン層230、n型不純物分離層231およびn型不純物拡散層232がホトダイオードセルとなっている。そして、ホトダイオードセルのn型不純物分離層231の一部と次段のホトダイオードセルのp型シリコン層230の一部とが表面電極250により接続されて、各ホトダイオードセルが直列に接続されている。ただし、1は半導体支持基板で2は絶縁膜である。
【0010】
なお、特開平5−267635号公報には、半導体基板上に形成された絶縁膜上に第1不純物拡散層を形成し、この第1不純物拡散層をこの層内垂直方向に形成された高濃度な第2不純物拡散層により分離するフォトダイオードアレイが開示されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のジャンクション分離を用いた従来例では、図4(b)に示す図4(a)のSOI基板の表面図から分かるように、ホトダイオードセルを直列接続した光起電力装置の最外周200は、ジャンクション分離ではないことから、誘電体分離またはエアギャップで分離しなければならないという問題がある。この理由は、例えば、図5(a)に示すように、光起電力装置の最外周をn型不純物分離層231と同じにすると、全てのn型不純物拡散層232がn型不純物分離層231で接続されてしまうからである。あるいは、図5(b)に示すように、n型不純物拡散層232がp型シリコン層230内に形成されて最外周のn型不純物分離層231と接続しない構造でも、n型不純物分離層231の電位が浮遊状態であるため、光照射時にn型不純物分離層231に発生したキャリアによりホトダイオードセル間に光電流と逆方向に電流が流れ、光起電力装置の起電圧を下げる原因となる。つまり、ジャンクション分離の場合、分離層を共通化することはできず、分離層はアノードと次段の力ソードと同電位でなければならない。
【0012】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、他の素子と集積化する場合にも、誘電体分離を用いる必要のない光起電力装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための請求項1記載の発明の光起電力装置は、半導体基板、この半導体基板上に形成される絶縁膜、およびこの絶縁膜上に形成され複数の光起電力セルを構成する半導体層により成るSOI基板と、前記複数の光起電力セルを電気的に接続する接続手段とを備え、前記複数の光起電力セルのうち、互いに隣接する一方の光起電力セルは、前記半導体層の表面から前記絶縁膜に伸びる第1導電型不純物領域、およびこの第1導電型不純物領域により囲まれる第2導電型不純物領域により構成される一方、他方の光起電力セルは、前記第1導電型不純物領域をこの第1導電型不純物領域から離間して囲む別の第1導電型不純物領域、およびこの別の第1導電型不純物領域と前記一方の光起電力セルの第1導電型不純物領域との間に挟まれる第2導電型不純物領域により構成され、前記接続手段は、互いに隣接する前記一方の光起電力セルの第1導電型不純物領域と前記他方の光起電力セルの第2導電型不純物領域とを電気的に接続し、前記複数の光起電力セルはそれぞれ同一の体積を有するものである。
【0014】
この構造では、内側の光起電力セルの第1導電型不純物領域と外側の光起電力セルの第2導電型不純物領域とが電気的に接続されるので、内側の光起電力セルの第1導電型不純物領域が光起電力セル間の分離層として機能するようになる。このように、複数の光起電力セルが電気的に直列接続される上記構造において、光起電力セル間の分離層として機能する第1導電型不純物領域が電気的に浮遊状態となることがなくなり、光照射時に光起電力セル間に光電流と逆方向に電流が流れるようなことがなくなる。これにより、他の素子と集積化する場合にも、誘電体分離を用いる必要がなくなる。さらに、各光起電力セル内で発生するキャリア量が等しくなるので、各光起電力セルで同等の光短絡電流が得られるようになる。これにより、光短絡電流の不均一によるロスを防止することが可能になる。
【0015】
なお、前記接続手段は、透光性の導電膜により成り、互いに隣接する前記一方の光起電力セルの第1導電型不純物領域と前記他方の光起電力セルの第2導電型不純物領域との境界にあたる前記半導体層の上面に設けられるとともに、前記境界のほぼ全周に形成される構造でもよい(請求項2)。この構造では、導電膜が透光性であるので、その導電膜により遮光されて光短絡電流が減少するようなことがない。また、光起電力セル間の分離層として機能する第1導電型不純物領域の電位が安定するようになり、開放電圧が降下しなくなる。
【0016】
また、前記接続手段は、互いに隣接する前記一方の光起電力セルの第1導電型不純物領域と前記他方の光起電力セルの第2導電型不純物領域との境界にあたる前記半導体層の上面に設けられる遮光性の導電膜であり、この遮光性の導電膜は前記境界ごとに少なくとも2つ前記境界の一部に設けられる構造でもよい(請求項2)。この構造では、遮光性の導電膜が境界ごとに少なくとも2つその境界の一部に設けられるので、その全部に設けられる場合よりも遮光エリアが小さくなり、その導電膜の遮光による光短絡電流の減少量が低減するようになる。また、その遮光性の導電膜を適当な間隔をおいて配置することにより、光起電力セル間の分離層として機能する第1導電型不純物領域の電位が安定するようになる。さらに、遮光性の導電膜として安価なアルミニウムなどを使用することが可能になる。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1(a)および(b)はそれぞれ本発明の第1実施形態に係る光起電力装置の一部を示す概略平面図および(a)におけるX−X’線の概略断面図で、以下この図を用いて、第1実施形態について説明する。ただし、図1(a)にはX’を原点とした場合の第2象限に相当する部分が示されている。また、本光起電力装置の各部の特定を明確にするために図1中の括弧内の符号を適宜使用する。
【0019】
本光起電力装置は、PDAであって、単結晶シリコンなどにより成る半導体基板1、この半導体基板1の一主表面上に形成されるシリコン酸化膜などにより成る絶縁膜2、およびこの絶縁膜2上に形成され複数(図1の例では3つ)のホトダイオードセル(光起電力セル)Cを構成する半導体層3により成るSOI基板と、表面電極4と、複数のホトダイオードセルCを電気的に接続する表面電極5と、表面電極6とにより構成されている。
【0020】
複数のホトダイオードセルCのうち、互いに隣接する一方のホトダイオードセルCは、半導体層3の表面から絶縁膜2に伸びるn型不純物分離層(第1導電型不純物領域)31、およびこのn型不純物分離層31により囲まれるp型シリコン層(第2導電型不純物領域)30により構成される一方、他方のホトダイオードセルCは、上記n型不純物分離層31をこのn型不純物分離層31から離間して囲む別のn型不純物分離層31、およびこの別のn型不純物分離層31と上記一方のホトダイオードセルCのn型不純物分離層31との間に挟まれるp型シリコン層30により構成される。
【0021】
すなわち、図1(b)に示す例では、互いに隣接する一方のホトダイオードセルC1は、半導体層3の表面から絶縁膜2に伸びるn型不純物分離層311、およびこのn型不純物分離層311により囲まれるp型シリコン層301により構成されている一方、他方のホトダイオードセルC2は、n型不純物分離層311をこのn型不純物分離層311から離間して囲むn型不純物分離層312、およびこのn型不純物分離層312とn型不純物分離層311との間に挟まれるp型シリコン層302により構成されている。同様に、互いに隣接するホトダイオードセルC2,C3においも、ホトダイオードセルC3は、n型不純物分離層312をこのn型不純物分離層312から離間して囲むn型不純物分離層313、およびこのn型不純物分離層313とn型不純物分離層312との間に挟まれるp型シリコン層303により構成されている。
【0022】
表面電極4は、透光性の導電膜により四角状に形成されて成り、ホトダイオードセルC1におけるp型シリコン層301の上面中央に設けられている。第1実施形態では、この表面電極4がPDAのアノード電極となる。
【0023】
表面電極(接続手段)5は、互いに隣接する一方のホトダイオードセルCのn型不純物分離層31と他方のホトダイオードセルCのp型シリコン層30とを電気的に接続するもので、本第1実施形態では、透光性の導電膜により成り、図1(b)に示すように、互いに隣接する一方のホトダイオードセルCのn型不純物分離層31と他方のホトダイオードセルCのp型シリコン層30との境界にあたる半導体層3の上面に設けられているとともに、図1(a)に示すように、その境界の全周に形成されている。
【0024】
表面電極6は、透光性の導電膜により成り、ホトダイオードセルC3におけるn型不純物分離層31の上面に設けられている。この表面電極6がPDAのカソード電極となる。
【0025】
このように構成される本光起電力装置についてさらに詳述すると、第1実施形態では、p型シリコン層30は、厚みが約3μmで、不純物濃度が1×1015〜1×1016cm−3程度のものである。
【0026】
SOI基板の形成方法には、絶縁層上に気相、液相および固相の各相で単結晶シリコンを成長させるSOI成長法、基板を張り合わせる張り合わせSOI法、および単結晶シリコン中に酸素をイオン注入して内部に絶縁層を形成するSIMOX(separation by implanted oxygen)法などがある。
【0027】
SOI基板上にX’を中心としてp型シリコン層30を囲む3重のn型不純物分離層31が形成されている。これら3重のn型不純物分離層31は互いに離間されており、n型不純物分離層31に挟まれたp型シリコン層30がそれぞれホトダイオードセルCとなっている。各ホトダイオードセルCのp型シリコン層30の表面には、n型不純物分離層31と接続される1.0μm程度の浅い拡散のn型不純物拡散層32が形成されている。これにより、p型シリコン層30がホトダイオードセルCのアノードとして、そして互いに接続しているn型不純物分離層31およびn型不純物拡散層32がホトダイオードセルCの力ソードとして機能する。
【0028】
そして、ホトダイオードセルCのn型不純物分離層31の一部と外側のホトダイオードセルCのp型シリコン層30一部とが表面電極5により接続されて、各ホトダイオードセルCが直列に接続されている。
【0029】
表面電極5は、厚さが100nm程度のITO(indium tin oxide:酸化インジウム錫)により成り、p型シリコン層30およびn型不純物分離層31の境界部(境界およびこの近傍部分)の全周に形成されている。これら表面電極5は、まず、半導体層3の上層に形成されるシリコン酸化膜33における上記境界部に該当する部分の除去を行い、次いで、その除去により得られる溝にITOを例えば電子ビーム蒸着法によって埋め込むことにより形成される。なお、上述の表面電極4,6もこれと同様にして形成される。
【0030】
隣接したホトダイオードセルのp型シリコン層30とn型不純物分離層31によりpnpトランジスタが形成されるため、表面電極5はp型シリコン層30およびn型不純物分離層31の境界部のほぼ全周に形成されることが望ましい。これは、表面電極5によるp型シリコン層30およびn型不純物分離層31の接続が不十分であると、pnpトランジスタのベース領域にあたるn型不純物分離層31が電気的に浮遊状態となり、トランジスタ電流が流れてホトダイオードセルの起電圧を下げる場合があるためである。
【0031】
また、透明な電極4〜6を用いるのは、不透明な電極による遮光に起因するp型シリコン層30およびn型不純物分離層31への入射光量の減少を防止するためである。
【0032】
さらに、p型シリコン層30、n型不純物分離層31およびn型不純物拡散層32を合わせたホトダイオードセルの体積は3つのホトダイオードセルで同等になっている。このように体積を同等にすると、キャリアの拡散長が充分に大きい場合、ホトダイオードセル内のp型シリコン層30、n型不純物分離層31およびn型不純物拡散層32で光により生成されるキャリアの総量が各ホトダイオードセルで同等になる。そうすると、ホトダイオードセルで発生する光短絡電流はそのキャリアの総量で決まるので、各ホトダイオードセルで発生する光短絡電流が等しくなる。直列接続のホトダイオードセルでは、1つでも光短絡電流が小さいとその小さい光短絡電流によって直列接続のホトダイオードセル全体の光短絡電流が律速されることになるが、上記のように体積を同等にすることで各ホトダイオードセルで発生する光短絡電流を等しくすることができ、小さい光短絡電流による全体の光短絡電流の律速を防止することができる。これにより、光短絡電流の不均一によるロスを防止することが可能になる。
【0033】
以上、第1実施形態によれば、図1に示す構造により、ホトダイオードセル間の分離層として機能するn型不純物分離層31が電気的に浮遊状態になることがないので、光照射時にホトダイオードセル間に光電流と逆方向に電流が流れなくなり、他の素子と集積化する場合にも、誘電体分離を用いる必要がない。
【0034】
図2(a)および(b)はそれぞれ本発明の第2実施形態に係る光起電力装置の一部を示す概略平面図および(a)におけるX−X’線の概略断面図で、以下この図を用いて、第2実施形態について説明する。
【0035】
本光起電力装置は、半導体基板1および絶縁膜2を第1実施形態と同様に備えているほか、第1実施形態と相違する点として、表面電極4a,5a,6a、およびこれらの各表面電極により構造が第1実施形態とは異なる上層のシリコン酸化膜33a以外は半導体層3と同様に形成される半導体層3aを備えている。
【0036】
表面電極4aは、遮光性の導電膜により四角状に形成されて成り、ホトダイオードセルC1におけるp型シリコン層301の上面中央に設けられている。この表面電極4aはPDAのアノード電極となる。
【0037】
表面電極(接続手段)5aは、互いに隣接する一方のホトダイオードセルCのn型不純物分離層31と他方のホトダイオードセルCのp型シリコン層30とを電気的に接続するもので、本第2実施形態では、互いに隣接する一方のホトダイオードセルCのn型不純物分離層31と他方のホトダイオードセルCのp型シリコン層30との境界にあたる半導体層3の上面に設けられる遮光性の導電膜により成り、この遮光性の導電膜は上記境界ごとに4つその境界の一部に設けられている。
【0038】
表面電極6aは、ホトダイオードセルC3のn型不純物分離層31の上面に設けられる遮光性の導電膜により成り、ホトダイオードセルC3の四隅に形成されている。この表面電極6aはPDAのカソード電極となる。
【0039】
このように構成される本光起電力装置についてさらに詳述すると、第2実施形態では、p型シリコン層30は、厚みが約3μmで、不純物濃度が1×1015〜1×1016cm−3程度のものである。
【0040】
SOI基板上にX’を中心としてp型シリコン層30を囲む3重のn型不純物分離層31が形成されている。これら3重のn型不純物分離層31は互いに離間されており、n型不純物分離層31に挟まれたp型シリコン層30がそれぞれホトダイオードセルCとなっている。各ホトダイオードセルCのp型シリコン層30の表面には、n型不純物分離層31と接続される1.0μm程度の浅い拡散のn型不純物拡散層32が形成されている。これにより、p型シリコン層30がホトダイオードセルCのアノードとして、そして互いに接続しているn型不純物分離層31およびn型不純物拡散層32がホトダイオードセルCの力ソードとして機能する。
【0041】
そして、ホトダイオードセルCのn型不純物分離層31の一部と外側のホトダイオードセルCのp型シリコン層30一部とが表面電極5aにより接続されて、各ホトダイオードセルCが直列に接続されている。
【0042】
表面電極5aは、1μm程度の厚さのアルミニウムにより成り、p型シリコン層30およびn型不純物分離層31の境界部であってホトダイオードセルC1,C2の四隅に形成されている。これら表面電極5aは、まず、半導体層3の上層に形成されるシリコン酸化膜33aにおける上記四隅に該当する部分の除去を行い、次いで、その除去により得られる溝にアルミニウムを例えばスパッタ法で埋め込むことにより形成される。なお、上述の表面電極4a,6aもこれと同様にして形成される。
【0043】
表面電極5a,6aを四隅に配置するのは、遮光性の電極により遮光される面積をなるべく少なくし、かつベース領域であるn型不純物分離層31が電気的に浮遊状態になる程度を小さくし、開放電圧が下がることを防止するためである。
【0044】
さらに、PDAから得られる光短絡電流が他よりも小さなホトダイオードセルによって律速されないようにすべく、p型シリコン層30、n型不純物分離層31およびn型不純物拡散層32を合わせたホトダイオードセルの体積は3つのホトダイオードセルで同等になっている。これにより、光短絡電流の不均一によるロスを防止することが可能になる。
【0045】
以上、第2実施形態によれば、図2に示す構造により、ホトダイオードセル間の分離層として機能するn型不純物分離層31が電気的に浮遊状態になることがないので、光照射時にホトダイオードセル間に光電流と逆方向に電流が流れなくなり、他の素子と集積化する場合にも、誘電体分離を用いる必要がない。
【0046】
なお、第1および第2実施形態では、第1および第2導電型は、それぞれ、n型およびp型になっているが、p型およびn型でもよい。この場合、アノードおよびカソードの関係が逆になる。
【0047】
【発明の効果】
以上のことから明らかなように、請求項1記載の発明によれば、半導体基板、この半導体基板上に形成される絶縁膜、およびこの絶縁膜上に形成され複数の光起電力セルを構成する半導体層により成るSOI基板と、前記複数の光起電力セルを電気的に接続する接続手段とを備え、前記複数の光起電力セルのうち、互いに隣接する一方の光起電力セルは、前記半導体層の表面から前記絶縁膜に伸びる第1導電型不純物領域、およびこの第1導電型不純物領域により囲まれる第2導電型不純物領域により構成される一方、他方の光起電力セルは、前記第1導電型不純物領域をこの第1導電型不純物領域から離間して囲む別の第1導電型不純物領域、およびこの別の第1導電型不純物領域と前記一方の光起電力セルの第1導電型不純物領域との間に挟まれる第2導電型不純物領域により構成され、前記接続手段は、互いに隣接する前記一方の光起電力セルの第1導電型不純物領域と前記他方の光起電力セルの第2導電型不純物領域とを電気的に接続し、前記複数の光起電力セルはそれぞれ同一の体積を有するので、他の素子と集積化する場合にも、誘電体分離を用いる必要がなくなる。しかも、各光起電力セルで同等の光短絡電流を得ることが可能になり、光短絡電流の不均一によるロスを防止することが可能になる。
【0048】
請求項2記載の発明によれば、前記接続手段は、透光性の導電膜により成り、互いに隣接する前記一方の光起電力セルの第1導電型不純物領域と前記他方の光起電力セルの第2導電型不純物領域との境界にあたる前記半導体層の上面に設けられるとともに、前記境界のほぼ全周に形成されるので、導電膜による遮光に起因する光短絡電流の減少を防止することが可能になる。また、光起電力セル間の分離層として機能する第1導電型不純物領域の電位を安定させることが可能になり、開放電圧の降下を防止することができる。
【0049】
請求項3記載の発明によれば、前記接続手段は、互いに隣接する前記一方の光起電力セルの第1導電型不純物領域と前記他方の光起電力セルの第2導電型不純物領域との境界にあたる前記半導体層の上面に設けられる遮光性の導電膜であり、この遮光性の導電膜は前記境界ごとに少なくとも2つ前記境界の一部に設けられるので、導電膜による遮光に起因する光短絡電流の減少量を低減することができる
【0050】
また、光起電力セル間の分離層として機能する第1導電型不純物領域の電位を安定させることが可能になる。さらに、遮光性の導電膜として安価なアルミニウムなどを使用することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)および(b)はそれぞれ本発明の第1実施形態に係る光起電力装置の一部を示す概略平面図および(a)におけるX−X’線の概略断面図である。
【図2】(a)および(b)はそれぞれ本発明の第2実施形態に係る光起電力装置の一部を示す概略平面図および(a)におけるX−X’線の概略断面図である。
【図3】(a)および(b)はそれぞれ誘電体分離を用いて各ホトダイオードセルを分離するPDAの断面構造の例を示す図および(a)に示すPDAの表面構造の一部を示す図である。
【図4】(a)および(b)はそれぞれジャンクション分離でアイソレートされる直列接続のホトダイオードを形成する従来のSOI基板の断面構造例を示す図および(a)に示すSOI基板の表面構造の一部を示す図である。
【図5】(a)および(b)はともに図4(b)に示す最外周の分離構造が誘電体分離またはエアギャップに制限されることの説明図である。
【符号の説明】
1 半導体基板
2 絶縁膜
3,3a 半導体層
4,5,6 表面電極
4a,5a,6a 表面電極
30,301〜303 p型シリコン層
31,311〜313 n型不純物分離層
32,321〜323 n型不純物拡散層
33,33a シリコン酸化膜
C ホトダイオードセル

Claims (3)

  1. 半導体基板、この半導体基板上に形成される絶縁膜、およびこの絶縁膜上に形成され複数の光起電力セルを構成する半導体層により成るSOI基板と、
    前記複数の光起電力セルを電気的に接続する接続手段と
    を備え、
    前記複数の光起電力セルのうち、互いに隣接する一方の光起電力セルは、前記半導体層の表面から前記絶縁膜に伸びる第1導電型不純物領域、およびこの第1導電型不純物領域により囲まれる第2導電型不純物領域により構成される一方、他方の光起電力セルは、前記第1導電型不純物領域をこの第1導電型不純物領域から離間して囲む別の第1導電型不純物領域、およびこの別の第1導電型不純物領域と前記一方の光起電力セルの第1導電型不純物領域との間に挟まれる第2導電型不純物領域により構成され、
    前記接続手段は、互いに隣接する前記一方の光起電力セルの第1導電型不純物領域と前記他方の光起電力セルの第2導電型不純物領域とを電気的に接続し、
    前記複数の光起電力セルはそれぞれ同一の体積を有する
    光起電力装置。
  2. 前記接続手段は、透光性の導電膜により成り、互いに隣接する前記一方の光起電力セルの第1導電型不純物領域と前記他方の光起電力セルの第2導電型不純物領域との境界にあたる前記半導体層の上面に設けられるとともに、前記境界のほぼ全周に形成される請求項1記載の光起電力装置。
  3. 前記接続手段は、互いに隣接する前記一方の光起電力セルの第1導電型不純物領域と前記他方の光起電力セルの第2導電型不純物領域との境界にあたる前記半導体層の上面に設けられる遮光性の導電膜であり、この遮光性の導電膜は前記境界ごとに少なくとも2つ前記境界の一部に設けられる請求項1記載の光起電力装置
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