JP3608208B2 - 放電灯点灯装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、放電灯点灯装置に係り、特に点灯回路に用いられる高周波トランス(以下、インバータトランスと記載)を大型にすることなく、ランプの始動電圧を大きくしてランプの始動を容易にし、且つランプ点灯後には通常の電圧レベルで供給して点灯することを可能にした放電灯点灯装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、照明用蛍光ランプの点灯方式として、全電子化の安定器が普及している。
【0003】
このような蛍光灯の点灯装置は、高周波発振手段に用いられるインバータトランスの二次巻線が安定器の機能を果たしており、発振周波数が例えば数10kHzと高いため、非常に小型のトランスでも充分な放電安定効果が得られ、しかも高周波電圧が蛍光灯電極間に印加されるため、発光効率が高く且つ放電維持力が高く、ちらつきの原因となる光の脈動も少ないという優れた利点がある。
【0004】
そこで、この蛍光灯ランプに例えば、冷陰極ランプ(CCFL)を用いた場合には、周知のようにこの冷陰極ランプの開発傾向が、管経が細く管長は長くなる方向に向かっており、このためランプ点灯後における電圧(ランプ点灯電圧Vl)に対し、前記ランプを始動するための電圧(ランプ始動電圧Vs)を高い電圧にすることが必要となる。したがってこの場合においては、当然ながらランプ始動電圧Vsを高くするためには、これを始動(点灯)する点灯装置、例えばインバータ回路の出力電圧も高くすることが必要であり、つまり、インバータ回路の出力電圧を高くすることは、インバータトランスの出力を上昇させることである。
【0005】
しかしながら、インバータトランスの出力を上昇させることは、周知のように巻線数の増加、あるいは絶縁距離の確保等と様々な問題が発生してしまい、すなわちインバータトランスの大型化につながってしまう。
【0006】
また、近年、インバータ回路の小型化の要求に伴い、従来技術としては、ランプに交流電圧を印加させ、ランプを点灯させる方式を用い、高周波化、また高周波トランスの偏平化等により、対応していたが、さらなる装置の小型化の要望が強く、しかもこの要求を満足するためには、インバータトランスの巻線数を増加することなく、このインバータ回路の出力が高出力を得ることができるようにすることが大きな課題となっている。
【0007】
そこで、このような従来の放電灯点灯装置を図に示す。
【0008】
図4に示すように、正の端子1及び負の端子2には、直流電源が接続され、これらの端子1、2に高周波インバータが接続されている。高周波インバータは定電流プッシュプル型をなすもので、インバータトランス3の一次巻線3aに共振コンデンサ4を並列に接続し、この共振コンデンサ4の電圧供給側両側に2つのスイッチング素子5、6をそれぞれ接続している。また、前記正の端子1から定電流インダクタ7を接続し、前記インバータトランス3の一次巻線3aに接続している。尚、上記直流電源は、例えば図示はしないが商用交流電源からの交流電圧を整流する整流手段によって直流電圧を得るようにしているものもある。
【0009】
一方、前記インバータトランス3の二次巻線3bにバラスト回路としてコンデンサを直列に接続し、このコンデンサの出力端側に冷陰極ランプの片側電極に接続し、一方の電極は前記インバータトランス3の二次巻線3bに接続している。つまり、前記バラスト回路のコンデンサ及び前記冷陰極ランプはインバータトランス3の二次巻線3bに直列に接続している。
【0010】
前記スイッチング素子5、6は、例えば電圧共振により素子に高電圧が印加されるため、高耐圧化が容易なバイポーラトランジスタ等が用いられており、これらのスイッチング素子5、6は直流電源投入後、交互にオン・オフするように動作する。また、前記定電流インダクタ7は、例えば前記スイッチング素子5、6の両方ともオフした場合に、一次巻線3aの巻線短絡による高周波の電流、つまり交流を流さないように阻止するものである。
【0011】
このような構成の定電流プッシュプル型の放電灯点灯装置の動作を説明する。この図において、放電灯点灯装置は直流電圧が端子1、2にかけられ、前記スイッチング素子5、6の交互にオン・オフするスイッチングにより、正の入力端子1から直流電流が定電流インダクタ7を介して前記インバータトランス3の一次巻線3aに流れ、その後前記スイッチング素子5、6のオンしているスイッチング素子を介して端子2に流れる。この場合において、前記インバータトランス3の一次巻線3aにエネルギが蓄えられ、このエネルギは共振コンデンサ4によって充電される。
【0012】
一方、このインバータトランス3の二次巻線3b側においては、この高周波トランス(インバータトランス)によって、高周波の誘起電圧Veを発生する。
【0013】
そして、この二次巻線3bに直列に接続している冷陰極ランプを点灯始動させるために、前記バラスト回路のコンデンサの充電によって、例えば図5に示すようにランプ始動電圧Vsを得、前記冷陰極ランプを点灯させ、また、点灯後には前記ランプ始動電圧Vsよりも低い電圧の管電圧Vlをかけるようにして、ランプの点灯を維持するようにしている。
【0014】
しかしながら、前述したように近年の冷陰極ランプ構造の傾向において、管経が細く、且つ管長が長くなる構造の要求がなされており、このような構成の冷陰極ランプに対しては、上記した放電灯点灯装置では十分なランプ始動電圧Vs、つまり高い電圧を得ることができず、言い替えれば前記インバータトランス3の巻線数を増大することによって、従来においてはこのランプ始動電圧Vsを高くしていた。
【0015】
このため、周知のように前記インバータトランス3は、大型化になってしまい放電灯点灯装置自体も小型化の要望に反し、大型化され、これにともなってコストも高価になってしまうという不都合がある。
【0016】
そこで、前記したようなランプの始動電圧Vsが高くすることができ、ランプの始動を容易にした提案、例えば、公開特許公報(昭52−80672)に示すように、放電にコンデンサを直列に接続して主交流電源に接続し、前記コンデンサに主交流電源電圧の波高値より高い直流電圧を高インピーダンスを介して充電し、この直流充電電圧と前記主交流電圧とを加算して放電灯に印加して容易に点灯させるものがある。しかしながら、管長が長く、しかも管経が細くなる傾向の冷陰極ランプを用いた場合には、始動電圧Vsと管電圧Vlとの差が大きいため、この提案では満足することができない。
【0017】
したがって、放電灯に冷陰極ランプを用いた場合には、インバータを構成するインバータトランスの巻線の増加という問題が大きな課題となっている。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
上記の如く、従来における放電灯点灯装置では、放電灯に例えば管長が長く、しかも管経の細い構造の冷陰極ランプを用いた場合に、このランプを始動するための始動電圧に応じる高い始動電圧を得ることができず、また、これを解消するには、インバータトランスの巻線数を増大することになってしまい、インバータトランスが大型化になり、これにともない放電灯装置自体も大型化してしまうという問題点がある。
【0019】
そこで、本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、放電灯に冷陰極ランプを用いた場合でも簡単な構成で効果が得られ、インバータトランスの巻線数を増大することなく、高いランプ始動電圧を得ることができるとともにランプの点灯始動を容易にし、ランプ点灯中には通常のレベルの電圧を得るとともに維持することが可能な放電灯点灯装置の提供を目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の本発明による放電灯点灯装置は、放電灯を設け、この放電灯を点灯するための放電灯始動電圧及び点灯を維持するための放電灯点灯維持電圧を、直流電源からインバータトランスを備えた高周波インバータによる点灯装置を用いてそれぞれ電圧レベルの異なる電圧を生成し、放電灯を点灯させる時には電圧の高い前記放電灯始動電圧を印加し、点灯後には少なくとも前記放電灯始動電圧より低い電圧の前記放電灯点灯維持電圧を印加するようにして前記放電灯を点灯するようにする放電灯点灯装置であって、前記放電灯の両側電極部に接続する前記インバータトランスの一方の出力端に直列に設けられ、前記放電灯の点灯後には、前記放電灯点灯維持電圧を生成するための第1のバラスト用コンデンサと、前記第1のバラスト用コンデンサに対して並列に接続して設けられ、静電容量値が前記第1のバラスト用コンデンサよりも小さい第2の充電用コンデンサと、この第2の充電用コンデンサの出力端と前記インバータトランスの他方の出力端とに接続して設けられた整流ダイオードとで構成された回路であって、前記放電灯の点灯始動時には、交流電圧を整流して直流電圧に変換するとともに直流充放電電圧を生成し、この直流充放電電圧を主交流電圧に重畳し前記放電灯始動電圧として放電灯に供給する整流回路とを具備したことを特徴とする。
【0021】
請求項2記載の本発明による放電灯点灯装置は、請求項1記載の放電灯点灯装置であって、前記直流電源の出力を可変する放電灯調光装置を具備したことを特徴とする。
【0022】
請求項3記載の本発明による放電灯点灯装置は、請求項1記載の放電灯点灯装置であって、請求項1記載の第1のバラスト用コンデンサの静電容量値を、前記第2の充電用コンデンサの静電容量値の5倍以上であることを特徴とする。
【0023】
請求項4記載の本発明による放電灯点灯装置は、請求項第1記載の放電灯点灯装置であって、請求項1記載の第2の充電用コンデンサの出力端と前記放電灯の片側電極との間に、抵抗を設けたことを特徴とする。
【0024】
請求項5記載の本発明による放電灯点灯装置は、請求項第1及び第2記載の放電灯点灯装置であって、請求項1及び2記載の放電灯は、冷陰極放電灯であり、この放電灯の電極間距離が60mmから300mm、管径を2mmから30mmの範囲の寸法で形成されたことを特徴とする。
【0025】
【作用】
本発明においては、放電灯に冷陰極ランプを用いた場合、放電灯点灯装置を構成する高周波インバータのインバータトランスの二次側に、整流回路を構成する第2の充電コンデンサと整流ダイオードとを設けることによって、前記放電灯が点灯する前に交流電圧を直流電圧に変換し直流充放電電圧を生成する。この直流充放電電圧は電圧レベルが高く、主交流電圧に重畳し放電灯始動電圧として放電灯に印加され、放電灯が点灯するとともに容易に点灯を始動することができる。また、前記放電灯の点灯後においては、従来より用いられている第1のバラスト用コンデンサのインピーダンスの方が、前記第2の充電コンデンサよりも低くするように構成しているため、この第1のバラスト用コンデンサを介して前記放電灯始動電圧より低いレベルの放電灯点灯維持電圧(交流)を前記放電灯に供給する。これにより、放電灯の点灯を維持することができる。
【0026】
さらに、直流電源からの直流電圧を出力制御部に入力し、この出力制御部に使用者の所望する放電灯の光量に調節するように制御信号を送る調光手段を設け、この調光手段からの制御信号に基づき、前記出力制御部の出力する放電灯供給電圧の制御を行う。そして、この放電灯供給電圧としての直流電圧は前記インバータトランスにより交流に変換され、前記整流回路を用いて直流充放電電圧を生成するとともに、主交流電圧に重畳されて前記放電灯に印加することにより、放電灯の調光を行うことができる。
【0027】
【実施例】
実施例について図面を参照して説明する。
図1及び図2は本発明に係る放電灯点灯装置の一実施例を示し、図1は全体の回路構成を示す回路図、図2は図1の動作における電圧特性を示す波形図であり、図2(a)はランプ点灯前の電圧特性を示し、図2(b)はランプ点灯後の電圧特性を示している。尚、図4に示す構成用件と同様な構成用件には、同一の符号を付している。
【0028】
図1に示すように、正の端子1及び負の端子2には、直流電源Vdcが接続され、これらの端子1、2に高周波インバータが接続されている。高周波インバータは定電流プッシュプル型をなすもので、インバータトランスの一次巻線a側においては、図4に示す従来技術としての回路構成と同様であり、インバータトランス3の一次巻線3aに共振コンデンサ4を並列に接続し、この共振コンデンサ4の電圧供給側両側に2つのスイッチング素子5、6をそれぞれ接続している。また、前記正の端子1から定電流インダクタ7を接続し、前記インバータトランス3の一次巻線3aに接続している。尚、上記直流電源Vdcは、例えば商用交流電源を用いても良く、この場合には図示はしないがこの商用交流電源からの交流電圧を整流する整流手段によって直流電圧を得るようにしても良い。
【0029】
一方、前記インバータトランス3の二次巻線3bには、本実施例の特徴とする第2の充電用コンデンサとしての充電コンデンサ11と抵抗12とを、バラスト回路として第1のコンデンサ8に並列に接続し、これらの接続点eを介して放電灯としての冷陰極ランプ9の片側電極に接続しており、また、一方の電極は前記インバータトランス3の二次巻線3bに接続している。さらに、この冷陰極ランプ8の他端からは、前記充電コンデンサ11と構成することによって整流回路となす整流ダイオード10のアノードに接続し、カソード側には、前記充電コンデンサ11と前記抵抗12との間の入力端に接続している。つまり、前記充電コンデンサ11、抵抗12及び前記冷陰極ランプ8はインバータトランス3の二次巻線3bに直列に接続しており、また、前記バラストコンデンサ8は前記充電コンデンサ11及び抵抗12に並列に接続されるとともに、前記整流ダイオード10も前記冷陰極ランプ9に対して並列に接続している。尚、上記の整流回路を構成する整流ダイオード10の接続は、例えばアノードを前記充電コンデンサ11の出力端に接続し、カソードを前記冷陰極ランプの他端に接続しても良く、陰極・陽極の極性いずれでも効果を得るようにしている。
【0030】
前記インバータトランス3の一次側に設けられた前記スイッチング素子5、6は、例えば電圧共振により素子に高電圧が印加されるため、高耐圧化が容易なバイポーラトランジスタ等が用いられており、これらのスイッチング素子5、6は直流電源投入後、交互にオン・オフするように動作する。また、前記定電流インダクタ7は、例えば前記スイッチング素子5、6の両方ともオフした場合に、一次巻線3aの巻線短絡による高周波の電流、つまり交流を流さないように阻止するものである。
【0031】
また、前記インバータトランス3の二次側において、前記整流ダイオード10及び充電コンデンサ11は交流を直流に整流するための整流回路として各々設けられている。前記バラストコンデンサ8と及び記充電コンデンサ11は、例えば静電容量値の比が、C1:C2=10:1 となるように構成され、つまり、インピーダンスは、充電コンデンサ11よりもバラストコンデンサ8の方が小さく、すなわち、これらの充電コンデンサ11及びバラストコンデンサ8を用いることによって、ランプに対する電圧の調整を行っている。尚、上記C1とC2との比を5:1にしても良く、つまり前記C1はC2の5倍以上の静電容量値有していれば良い。
【0032】
また、前記抵抗12は、この抵抗12を前記充電コンデンサ11に直列に接続することによって、始動時のランプ9に対するインピーダンスを上げる役割を果たしている。尚、本実施例に用いる冷陰極ランプ9は、管長が長く且つ管径が細くなる要求に対応するように、例えば管長(電極間距離)が60mmから300mmの範囲で形成され、且つ管径が2mmから30mmの範囲で形成される冷陰極ランプを用いている。
【0033】
次に、このような構成の放電灯点灯装置の動作を図2を参照しながら詳細に説明する。
【0034】
この図において、放電灯点灯装置は直流電圧が端子1、2にかけられ、前記スイッチング素子5、6の交互にオン・オフするスイッチングにより、正の入力端子1から直流電流が定電流インダクタ7を介して前記インバータトランス3の一次巻線3aに流れ、その後前記スイッチング素子5、6のオンしているスイッチング素子を介して端子2に流れる。この場合においては、前記インバータトランス3の一次巻線3aによって共振コンデンサ4に充電され、エネルギが蓄えられとともにインバータトランス3を介して誘起電圧Veをの二次側に供給する。
【0035】
一方、このインバータトランス3の二次巻線3b側においては、この高周波トランス3(インバータトランス)により得られた高周波の誘起電圧Veが供給されている。
【0036】
そこで、本実施例においては、先ず、冷陰極ランプ9を点灯するためのランプ始動電圧Vsを得るために、交流を直流に平滑する整流回路としての整流ダイオード10及び充電コンデンサ11を用いて充放電を行い、高い直流充放電圧を得るようにし、この直流充放電電圧が主交流電圧に重畳されランプ始動電圧Vsとして前記冷陰極ランプ9に供給することによって、この冷陰極ランプ9を点灯するようする。また、この冷陰極ランプ9が点灯した後には、従来技術として用いられているバラストコンデンサ11を用いて、ランプの点灯を維持するための電圧Vl、つまり、前記ランプ始動電圧Vsよりも低い電圧が得られるため、この冷陰極ランプ9の点灯を維持することをできるようにすることを特徴としている。
【0037】
まず最初に、このインバータトランス3の二次側においては、前記冷陰極ランプ9は点灯していないため無負荷の状態であり、当然ながら前記バラストコンデンサ11には電流が流れず、前記した二次巻線3bから整流回路としての整流ダイオード10及び充電コンデンサ11に流れる。つまり、この場合には交流が直流に平滑され、且つこの直流が充電コンデンサ11によって充放電し、抵抗12を介することによって直流充放電電圧が得られる。
【0038】
すなわち、この直流充放電電圧は、前記冷陰極ランプ9における点灯するためのランプ始動電圧Vsが、周知のようにランプの点灯を維持するための管電圧Vlに対して、およそ2〜3倍の電圧を必要としていることから、例えばインバータトランス3の二次巻線3bに供給された電圧Veが、交流を直流に平滑する整流ダイオード10、充電コンデンサ11及び抵抗12によって、√2Veの電圧を地点において得るようにすれば良い。
【0039】
したがって、ランプ始動電圧Vsを満足する例えば図2(a)に示すようなこの√2Veの直流充放電電圧が前記冷陰極ランプ9に瞬時かけられ、その結果、この冷陰極ランプ9は点灯することになる。
【0040】
一方、前記冷陰極ランプ9が前記直流充放電電圧(ランプ始動電圧Vs)によって点灯した後には、前記したようにこのランプ点灯を維持するための管電圧Vlを、例えば冷陰極ランプ9においては、前記ランプ始動電圧Vsの1/2、あるいは1/3の電圧をかけて上げればよく、この管電圧Vlによって、この冷陰極ランプ9の点灯を維持するようにしている。
【0041】
つまり、回路的には、インバータトランス3の二次側に交流が相互に流れており、そのうえ前記充電コンデンサ11のインピーダンスは大きく、前記バラストコンデンサ8のインピーダンスは小さく構成しているため、当然ながら交流はインピーダンスの小さい前記バラストコンデンサ11を介して流れるようになり、すなわちインバータトランス3の二次巻線3b、バラストコンデンサ8、冷陰極ランプ9、前記二次巻線3bとで相互に交流が流れ、この冷陰極ランプ9の点灯を維持するための管電圧Vlがランプにかけられることによって、点灯状態を維持している。
【0042】
また、この場合には、図1における整流ダイオード10、充電コンデンサ11及び抵抗12の影響による直流分の電圧が、若干交流に重畳されることが想定されるが、例えば図2(b)に示すように、0〜0′分のみであるため影響はなく、交流が主としてこの図に示す電圧が前記冷陰極ランプ9に印加されることになる。 尚、通常、冷陰極ランプの点灯中においては、前記バラストコンデンサと前記充電コンデンサ11との静電容量値の比は、例えば、C1>>C2 にすることが望ましく、言い替えればこの状態にすることによって、冷陰極ランプ9に対する電流の正負のアンバランスから生じてしまうカタフォリシス(片側が明るく、他方側が暗くなってしまう状態)等を防止することができるとともに、しかも実用的に効果を得ることができる。
【0043】
したがって、本実施例によれば、放電灯に冷陰極ランプ9を用いた場合に、インバータ回路を構成するインバータトランスの二次側に、交流を直流に平滑し、充放電を行う整流ダイオード10及び充電コンデンサと、ランプに対するインピーダンスを上げるための抵抗12を設けることにより、前記インバータトランス3の巻線数を増大することなく、前記冷陰極ランプ9を点灯するために必要な高い直流充放電電圧、すなわちランプ始動電圧Vsを得ることができ、これにより、冷陰極ランプの始動点灯を容易にすることができ、ランプの始動性に対して効果を得ることができることは明かである。
【0044】
また、前記冷陰極ランプ9の点灯後には、従来から用いられているバラストコンデンサ8を用いて、ランプ始動電圧Vsよりも低い電圧を得、すなわち管電圧Vlとして冷陰極ランプ9に印加することにより、このランプの点灯を維持することができる。これにより、インバータ回路の回路規模を大きくすることなく、点灯装置の性能を向上することができ、装置の小型化、あるいはコストの安価等の要求を満足することができることは勿論である。
【0045】
ところで、放電灯点灯装置には、一般にランプ光量を調光するランプ調光手段備えているものもある。
【0046】
このランプの光量を調光するランプ調光方式には、例えばインバータ発振回路の入力電圧を変化させ、ランプ供給電圧を変えて連続調光を行う電圧調光方式と、インバータ発振を間欠発振させ、ランプ供給電圧をオン/オフするように調光を行うPWM調光方式とがあり、通常このように大別されている。
【0047】
しかしながら、このような調光方式においては、前記したPWM方式は、ランプを調光する調光範囲を比較的大きくすることができるが、調光時における騒音、あるいは雑音を減少するために手間がかかるという欠点を有している。また、インバータ発振回路の入力電圧を変化させ、ランプ供給電圧を変えて連続調光を行う電圧調光方式回路は、ランプの調光時における騒音、あるいは雑音(高周波雑音)が少ないという利点を有している。しかし、ランプ供給電圧の先頭値が変化するため、光量低下調整時にランプの立ち消えが発生し易くなり、このためランプの調光範囲が限定されてしまい、従来技術では調光範囲を大きくすることが困難であるという問題がある。
【0048】
そこで、ランプを調光する調光手段において、調光時のランプの立ち消えを抑制し且つの調光範囲を大きくすることを可能にする調光手段を備えた放電灯点灯装置を図3に示す。
【0049】
図3は本発明に係る放電灯点灯装置の他の実施例を示し、図1の放電灯点灯装置に電圧調光方式の調光手段を備えた場合の回路ブロック図である。
【0050】
尚、図1における構成要件と同様な構成要件には、同一の符号を付すとともに、構成要件、動作の説明省略し、異なる部分のみ説明する。
【0051】
図3に示すように、本実施例の放電灯点灯装置は、図1に示す放電灯点灯装置に、直流電圧を供給する直流電源1と、この直流電源1から直流電圧が供給され、インバータ回路に供給する駆動電圧を制御する出力制御部2と、この出力制御部2に所望するランプの調光を行うためのコントロール信号を供給する調光手段2aとを備えて構成したことを特徴としている。
【0052】
図3において、調光手段は、例えばランプの調光状態を表示しているキーを複数設け、これらの中から所望する調光状態を選択して調光を行うようする押しボタン式のキーを用いたものや、あるいはランプの調光状態をスライドすることによって調節を行うスライド式調節スィッチ等を用いて構成されている。
【0053】
また、前記出力制御部2は前記調光手段2aによって所望の調光状態が選択され、この選択されたコントロール信号に基づき、直流電源1からの直流電圧を制御するとともに、インバータトランス3の一次巻線3aにこの制御された電圧を供給するものである。
【0054】
したがって、このような構成によれば、前述したように図1に示すインバータトランス3の一次巻線3aに供給する電圧を、前記調光手段2a及び出力制御部2によって所望する調光に応じて制御し、インバータトランス3の一次巻線3aに供給することができる。また、インバータトランス3の二次側においては、前記実施例と同様に、制御された電圧に応じて出力される交流出力に、整流ダイオード10及び充電コンデンサによって直流に変換された直流を重畳させて冷陰極ランプ9に印加することにより、ランプの立ち消えが発生する際のランプ立ち消え電圧よりも高い電圧供給時間が多くすること(再点孤電圧)ができ、これにより、従来技術における交流出力のみでランプに電力供給をした場合より、インバータトランスの規模を大きくすることなく、ランプの立ち消えを抑制することができ、ランプの調光範囲を大きくすることができるとともに、ランプの調光を制御することができることは勿論である。
【0055】
尚、本発明に係る実施例においては、インバータ回路方式が定電流プッシュプル型を用いた場合について説明したが、例えば、巻線数が少なく出力制御の容易なハーフブリッジ型に用いて構成した場合においても効果を得ることができる。
【0056】
また、本発明に係る実施例では、冷陰極ランプの構造に関して、管長が長くしかも管径が短く構成されるランプに効果的であり、例えば電極間距離を示す管長が60mmから300mmの範囲で形成され、且つ管径が2mmから30mmの範囲で形成される冷陰極ランプに対して、特に効果を得ることができる。
【0057】
また、ランプ始動電圧を高くするために、前記バラストコンデンサC1と、充電コンデンサC2との静電容量値の比を、例えばC1:C2=10:1の場合について説明したが、前記バラストコンデンサC1の静電容量値を前記充電コンデンサC2の5倍以上にすれば良く、また、ランプ点灯後においては、カタフォリシスの発生を防止するために前記バラストコンデンサC1の静電容量値を前記充電コンデンサC2よりさらに大きくし、且つこの状態を保持するようにすれば良い。
【0058】
さらに本実施例においては、前記調光手段を例えば、リモコン信号を用いて所望するランプの調光を行うように無線方式のリモコン操作部に構成しても良く、遠隔操作制御した場合においても良好な効果を得ることは勿論のこと、使用者にとっても満足するランプの調光を行うことができることは明かである。
【0059】
【発明の効果】
以上、述べたように本発明によれば、放電灯を点灯させる点灯装置において、インバータトランスの巻線数を増大することなく、従来のトランスを用いてランプの始動電圧を高くすることができ、これによりランプの点灯を容易に始動することができる。これにより、点灯装置の小型化は勿論のこと、放電灯装置自体の小型化を図ることができるとともに、コストを安価にすることができる。
【0060】
また、調光手段を設けてランプの調光を行う場合には、ランプの立ち消えを発生することなく、ランプの調光範囲を大きくすることができ、装置自体の小型化を可能とし、使用者にとって満足する放電灯点灯装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1及び図2は本発明に係る放電灯点灯装置の一実施例を示し、図1は全体の回路構成を示す回路図。
【図2】図2は図1の動作を説明する説明図。
【図3】図3は本発明に係る放電灯点灯装置の他の実施例を示す全体回路図。
【図4】図4及び図5は従来における放電灯点灯装置を示し、図4は定電流ブッシュフル型を用いた場合の回路図。
【図5】図5は図4の動作を説明する説明図。
【符号の説明】
1、2…直流電源端子
3…インバータトランス(高周波トランス)
3a…一次巻線
3b…二次巻線
4…共振コンデンサ
5、6…スッチング素子(トランジスタ)
7…定流インダクタ
8…バラストコンデンサ
9…冷陰極ランプ(CCFL)
10…整流ダイオード
11…充電コンデンサ
12…抵抗(インピーダンス素子)
Vdc…直流電圧
Ve…二次側発生電圧
Vs…ランプ始動電圧
Vl…管電圧

Claims (5)

  1. 放電灯を設け、この放電灯を点灯するための放電灯始動電圧及び点灯を維持するための放電灯点灯維持電圧を、直流電源からインバータトランスを備えた高周波インバータによる点灯装置を用いてそれぞれ電圧レベルの異なる電圧を生成し、放電灯を点灯させる時には電圧の高い前記放電灯始動電圧を印加し、点灯後には少なくとも前記放電灯始動電圧より低い電圧の前記放電灯点灯維持電圧を印加するようにして前記放電灯を点灯するようにする放電灯点灯装置であって、
    前記放電灯の両側電極部に接続する前記インバータトランスの一方の出力端に直列に設けられ、前記放電灯の点灯後には、前記放電灯点灯維持電圧を生成するための第1のバラスト用コンデンサと、
    前記第1のバラスト用コンデンサに対して並列に接続して設けられ、静電容量値が前記第1のバラスト用コンデンサよりも小さい第2の充電用コンデンサと、この第2の充電用コンデンサの出力端と前記インバータトランスの他方の出力端とに接続して設けられた整流ダイオードとで構成された回路であって、前記放電灯の点灯始動時には、交流電圧を整流して直流電圧に変換するとともに直流充放電電圧を生成し、この直流充放電電圧を主交流電圧に重畳し前記放電灯始動電圧として放電灯に供給する整流回路と、
    を具備したことを特徴とする放電灯点灯装置。
  2. 請求項1記載の放電灯点灯装置において、前記直流電源の出力を可変する放電灯調光装置を具備したことを特徴とする放電灯点灯装置。
  3. 請求項1記載の第1のバラスト用コンデンサの静電容量値は、前記第2の充電用コンデンサの静電容量値の5倍以上であることを特徴とする請求項1記載の放電灯点灯装置。
  4. 請求項1記載の第2の充電用コンデンサの出力端と前記放電灯の片側電極との間に、抵抗を設けたことを特徴とする請求項第1記載の放電灯点灯装置。
  5. 請求項1及び2記載の放電灯は、冷陰極放電灯であり、この放電灯の電極間距離が60mmから300mm、管径を2mmから30mmの範囲の寸法で形成されたことを特徴とする請求項第1及び第2記載の放電灯点灯装置。
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