JP3608177B2 - 椅子の座席と背凭れの傾動装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、執務姿勢から安楽姿勢までに亘って快適に座ることができるとともに、組立容易な構造とした、椅子の座席と背凭れの傾動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
執務姿勢から安楽姿勢までに亘って、椅子に快適に座るためには、背凭れと座席が後方へ傾きながら移動して安楽姿勢に移行した時に、座席が後ろに傾くのに対して、背凭れをより大きく傾かせ、この時の座席に対する背凭れの運動の見掛け上の回転中心が、着座者の骨盤付近である座席の後ろ上部に来ることと、また、大腿部と下腿部の膝での折り曲げ角度が狭められることのないように、下腿部が、足の踝部を支点に後ろに傾きながら、膝の折り曲げ角度が拡がることが望ましい。
【0003】
このような椅子の例が、特公平2ー24527号公報に記載されている。
これは、基枠の後部に背凭れの前部を軸で連結し、背凭れに座席の後部を軸で連結するとともに、座席の前部に保持した水平軸を基枠の前部に設けたほぼ水平な長孔に摺動可能に連結し、かつ座席の前部に座席の傾斜運動の支点を設定するようにし、背凭れの回動のロックを解いて、背凭れに凭れ掛かると、背凭れが座席の後部を下方に引き下げながら後ろに回動し、これに伴って、座席が後方に引っ張られ、座席の前部の水平軸が基枠の長孔に沿って後方に移動し、この時、座席が移動している前部の水平軸を支点として下向きに傾くようにすることにより、座席の前端がほとんど上昇せずに、足の浮き上がりを防止したものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記の特公平2ー24527号公報記載の椅子では、座席の後部と背凭れが、左右方向の軸で回動可能に軸で連結されているため、執務姿勢から安楽姿勢にするために、着座者が背凭れの回動のロックを解いてから、背凭れに凭れ掛かり、背凭れを後ろに倒すと、座席も連動して後ろに移動しながら傾くが、背凭れと座席の間隔は、両者が傾くに従って拡がってしまう。
【0005】
このため、座席に座った着座者の背中の動きと背凭れの動きにずれが生じ、座り心地を損なうばかりか、動きのずれにより、着座者の衣類が、背凭れにより上方に引っ張られ、まくれてしまうという問題があった。
また、座席と背凭れが一体的に連続している椅子では、材料であるクッション材や表皮材に伸縮の負荷が加わり、これらの材料が傷みやすいと言う問題点があった。
さらに、基枠、座席、及び背凭れを、組立時に、左右方向の軸で接続していくが、複数の部品に軸を通し、かつ、軸に抜け止めのための止め輪等を取り付けるため、組立に時間が掛かっていた。
【0006】
本発明の目的は、上記の問題点に鑑み、椅子の背凭れを倒しながら、執務姿勢から安楽姿勢に至る間で、座席に座った着座者の背中の動きと背凭れの動きにずれを生じることがなく、座り心地が良好であり、また、着座者の衣類が上方に引っ張られてまくれることがなく、さらに、座席と背凭れが連続している椅子でも、クッション材や表皮材に伸縮の負荷が加わることなく、それらの材料を傷めることがないようにし、しかも組立てを簡単とした椅子の座席と背凭れの傾動装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明では、上記目的を達成するために、次のような手段を採用している。
(1) 脚柱の上端に固定した基枠に、上部に背凭れを備える背凭れ枠の下部を後方へ回動可能に保持し、背凭れの回動と連動して、上部に座席を備える座席受体を基枠に対して前後に摺動させるようにした椅子において、前記の背凭れ枠の下部を前記の基枠の後ろ上部に対し左右方向の軸で回動可能に保持するとともに、その軸を、前記の座席受体の前後方向のほぼ中央部に設けた、後ろ側が下に傾いて下方に開口する長溝に摺動可能に嵌合させており、前記の背凭れ枠の下部に前記の軸よりも後方に設けた軸を、前記の座席受体の後部に設けた、後ろ側が上に傾いて斜め上方に開口する長溝に摺動可能に嵌合させており、さらに、前記の座席受体の前部を前記の基枠の前部に対し左右方向の軸で、座席受体の中央部に設けた長溝よりも傾斜角度の小さい角度で後ろ側を下に傾けた方向に摺動可能に保持する。
【0008】
(2) 前項において、座席受体の中央部と後部とに設けた2個の長溝を、その座席受体の後部の下方と後方とを開口させ、この座席受体の後部の対向する左右側壁の内側に、互いに対向する1対の軸受体を取り付け、その軸受体の相対する内側面に設けた2対の長溝とする。
【0009】
(3) 前項において、座席受体の後部の相対する左右側壁に複数の穴を穿設するとともに、互いに対向する1対の軸受体の左右の外側面に前記の各穴と嵌合する軸部を設けることにより、座席受体の後部の左右側壁に軸受体を組み込む。
【0010】
【作用】
基枠と背凭れと座席との間には、3つの連結部がある。
即ち、図6において、連結部(A)は、背凭れを備える背凭れ枠の下部を、基枠の後ろ上部に対し左右方向の軸で、回動可能に保持するものであり、同時にその軸で、座席を備える座席受体の前後方向のほぼ中央部を前上方から後ろ下方に摺動可能なように保持する。
【0011】
連結部(B)は、座席受体の前部を、左右方向の軸で、基枠の前部に対して、連結部 ( A ) の場合より小さい下向き傾斜角度で、後下方に摺動しうるように保持する。
連結部(C)は、背凭れ枠を、座席受体の後部に対し左右方向の軸で前下方から後ろ上方に摺動可能に保持する。
【0012】
背凭れの基枠に対する回動のロックを解いて、着座者が背凭れに凭れ掛かると、背凭れ(枠)と座席(受体)は次のように運動する。
まず、背凭れ枠が連結部(A)を支点として後方へ傾いていく。すると、座席受体は、連結部 ( C ) において、背凭れ枠により、後ろ下向きに移動させられる。しかし、座席受体は、連結部 ( C ) 以外に2箇所で拘束されており、中央部の連結部 ( A ) では、後下方に向かって、また連結部 ( B ) では、連結部 ( A ) の場合より小さい下向き傾斜角度で後下方に向かって、それぞれ移動させられる。
【0013】
このときの連結部 ( C ) における背凭れ枠に対する座席受体の相対的な移動方向は、図6の矢印X1で示すように、後上方であり、連結部 ( A ) における背凭れ枠及び基枠に対する座席受体の移動方向は、図6の矢印X2で示すように、後下方であり、連結部 ( B ) における基枠に対する座席受体の移動方向は、図6の矢印X3で示すように、下向き傾斜角度が連結部 ( A ) の場合より小さい後下方である。
【0014】
したがって、この移動の際の背凭れ枠と座席受体との瞬間中心は、矢印X1とX2の垂直2等分線の交点であるP点となる。
【0015】
本発明では、このP点が、着座者の骨盤の近傍にあるようにしてある。従って、座席受体と背凭れ枠の相対的な動きは、着座者の大腿部と背中との相対的な動きに極めて近いことになる。そのため、執務姿勢から安楽姿勢に至る間で、背中の動きと背凭れの動きにずれが生じて、着座者の衣類がまくれることはなく、座り心地は良好である。
【0016】
また、座席と背凭れが連続した椅子でも、座席と背凭れの間で、クッション材や表皮材に伸縮の負荷が加わることはない。背凭れの後ろへの回動時の伸縮の負荷によるクッション材や表皮材の傷みもなくなる。
【0017】
次に、背凭れ枠の後方への回動時における着座者の足の動きについて考察する。
上記の移動の際における基枠と座席受体との瞬間中心は、矢印X2とX3の垂直2等分線の交点であるQ点となり、着座者の足の踝の位置に近づいてくる。足の踝を中心とする大腿部の後方への傾きながらの移動に近づくから、膝から下の下腿部の上方への引っ張りもほとんどなくなり、膝の折り曲げ角度も拡がるから、座り心地は快適である。
【0018】
次に、組立方法について考察する。
先ず、座席受体に背凭れ枠を組み、次に、そのアセンブリを基枠に組む。その場合に、第1の工程では、背凭れ枠の2個の軸を座席受体の2個の長溝にその開口部から挿入するだけで簡単に組むことができる。従来の、長い軸を複数の部品に横から貫通させ、抜け止めのための止め輪等を取り付けるのと比べるとずっと効率的である。
【0019】
前項において、座席受体と1対の軸受体とを別体にしたことにより、座席受体は、形が複雑で強度を必要とするために、例えばアルミダイカスト等で作り、軸受体は、軸保持の潤滑性を必要とするために、合成樹脂等で成形するというように、適正な材料を使い分けることができる。
また、座席受体と1対の軸受体との組立は、その対応する軸と穴を嵌め込むだけであるからきわめて簡単である。さらに、そのアセンブリに背凭れ枠を組むことは、第1項の場合と全く同じである。
【0020】
【実施例】
本発明による実施例を、図1から図6を用いて説明する。
図において、(2)は椅子の脚部であり、その複数の先端部(通常は4から5個)にはキャスタ(4)を取付けて、着座したまま床上を移動可能としてある。(6)は、脚部(2)に立てて固定された脚柱で、その内部に、公知のガススプリング(8)を収容し、ガススプリング(8)を操作することにより、脚柱(6)の先端部の高さ即ち座席の高さを調節可能とし、任意の高さで固定することができる。
ガススプリング(8)の操作は、その端部にあるプッシュバルブ(10)をケーブル(12)、レバー(14)を介して押すことにより行われる。
【0021】
(16)は基枠で、脚柱(6)の上端(ガススプリング(8)の上端)に固定されており、全体として上方に開いた箱形をしている。基枠(16)の左右側壁の上面には、左右方向に向く軸を保持するための2組のU溝が設けられている。
【0022】
その1組は、基枠(16)の後ろ上部に設けられたU溝(18)であり、断面U字状の下部軸受(20)、上部軸受(22)、基枠(16)の上面と接合する取付板(24)と共に軸を回動可能に保持する。他の1組のU溝(26)は、基枠(16)の前部に設けられた、前上から後ろ下方に斜めに伸びた溝であって、2個の下部軸受(28)、2個の上部軸受(29)、取付板(24)と共に、軸を前上から後ろ下方の斜めに摺動可能に保持する。
【0023】
(30)は背凭れ枠で、横から見ておおよそ前向L字状に曲がっており、その上部に、図示しない背凭れを固定し、下側先端部には、左右方向の軸(32)が固定されている。軸(32)を基枠(16)の後ろ上部に設けられたU溝(18)に保持させることによって、これを支点とし、基枠(16)に対して後方に回動(傾動)可能となっている。
背凭れ枠(30)の下側中頃には、左右外側に突き出る1対の軸部(68)が設けられている。
【0024】
(34)はガススプリングで、その両端部を、基枠(16)の後ろ下の穴(36)に左右方向に挿入された軸(38)と、背凭れ枠(30)の下側後端部(曲がり角部)の穴(40)に左右方向に貫通された軸(42)とにより、回動可能に保持されて、背凭れ枠(30)の基枠(16)に対する回動による後方への傾きを調節可能とし、任意の角度で固定することができる。
ガススプリング(34)の操作は、その端部にあるプッシュバルブ(44)をケーブル(46)、レバー(48)を介して押すことにより行われる。
【0025】
(50)は座席受体で、その上部に図示しない座席を備えている。この座席受体(50)は、背凭れ枠(30)の後方への回動と連動し、後ろに移動しながら後ろ下方に傾く運動をする。座席受体(50)にこの運動をさせるために、基枠(16)と背凭れ枠(30)と座席受体(50)との間には、3つの連結部がある。ここに本発明の第1の特徴がある。
第2の特徴は組立を容易にするための座席受体(50)の形状、組立構造である。以下順を追って説明する。
【0026】
座席受体(50)の後部の下方と後方とは開口しており、この座席受体(50)の後部の対向する左右側壁の内側に、互いに対向する1対の軸受体(52)(54)が取り付けられている。座席受体(50)の後部の対向する左右側壁には、前後に2組の穴(56)(58)があり、軸受体(52)(54)の外側側面には、それぞれ軸(60)(62)を突き出して設け、それらの穴と軸を嵌め合わすことにより、座席受体(50)に1対の軸受体(52)(54)を取り付けてある。
座席受体(50)は、形が複雑であり強度を必要とするために、例えばアルミダイカスト等で作られ、軸受体(52)(54)は、軸保持の潤滑性を必要とするために、合成樹脂等で成形されて組まれている。
軸受体(52)(54)の相対する内側面に、前部に後ろ側が下に傾いて下方に開口する1対の長溝(64)と、後部に後ろ側が上に傾いて斜め上方に開口する1対の長溝(66)とを設けてある。
【0027】
組立順序としては、まず座席受体(50)に軸受体(52)(54)を組み込んだ後で、それに背凭れ枠(30)を組み込む。その場合、軸受体(52)(54)の前部の1対の長溝(64)には、背凭れ枠(30)の下側先端部に固定された左右方向の軸(32)が嵌め込まれ、後部にある1対の長溝(66)には、背凭れ枠(30)の下側中頃に左右外側に突き出る1対の軸部(68)が嵌まる。
背凭れ枠(30)の下部にあるこれらの前後の軸は、それぞれ軸受体(52)(54)の2対の長溝(64)(66)に摺動自在に保持されて、図6における連結部(A)(C)を形成する。連結部(A)の軸(32)は、基枠(16)に組み立てられて、背凭れ枠(30)の回動の支点にもなることはすでに述べた。
【0028】
また、座席受体(50)の前部には、左右方向の軸(70)が固定されている。
座席受体(50)と背凭れ枠(30)の組立品を、基枠(16)に対し組むために乗せると、座席受体(50)の前部の軸(70)は、基枠(16)の前部のU溝(26)に嵌合し、中央部にある座席受体(50)と背凭れ枠(30)の組立品の連結部(A)の軸(32)は、基枠(16)の後ろ上部にあるU溝(18)に嵌合する。なお、U溝(18)及びU溝(26)には、前もって下部軸受(20)(28)(28)が嵌められている。
【0029】
ついで、上部軸受(22)(29)(29)、及び取付板(24)を乗せて、基枠(16)にねじ止めすれば、基枠(16)、座席受体(50)と背凭れ枠(30)の組立品ができる。この状態で、座席受体(50)の前部の軸(70)は、基枠(16)の前部のU溝(26)に摺動可能に保持されて、第3の連結部(図6の連結部(B))となる。
ここで、連結部(A)(B)は共に、座席受体(50)を、基枠(16)に対し前上から後ろ下へ斜めに摺動するように保持するが、その摺動方向の傾斜角度は、連結部(B)の方が連結部(A)よりも小さく設定されている。
【0030】
この3つの連結部(A)(B)(C)を設けたことによる、背凭れの傾動に伴う座席の運動とその効果は、作用の項で説明した通りである。
また、組立も極めて容易である。
【0031】
座席受体(50)の軸(70)よりも前の前部には、背凭れの傾動緩衝装置が組み込まれている。
(72)は、前後方向を向き左右に離して設けた1対の圧縮ばねであり、その前後端は、前部ばね受体(74)及び後部ばね受体(76)で保持されている。後部ばね受体(76)は、基枠(16)の前壁に保持されている。前部ばね受体(74)は、その左右方向の中央に下方に開口する開口部(78)を有している。
座席受体(50)の前部を前面から見た断面は上方が開口するコの字形をしており、その左右側壁と底壁との内面により、前部ばね受体(74)の側面と底面とを、前後に摺動可能に保持している。
【0032】
座席受体(50)は、その前端部に直立する前壁(80)を有し、その前壁(80)と前部ばね受体(74)とにより前後を挟まれて、くさび形調整片(82)がある。くさび形調整片(82)は、その前面を座席受体(50)の前壁(80)により上下に摺動可能に保持されている。前部ばね受体(74)とくさび形調整片(82)との合わせ面は、前下から後ろ上方向の斜面である。
前部ばね受体(74)とくさび形調整片(82)とは、くさび機構を構成しており、くさび形調整片(82)を下方に移動させると、前部ばね受体(74)は圧縮ばね(72)の付勢力に抗して後方に移動し、くさび形調整片(82)を上方に移動させると、前部ばね受体(74)は圧縮ばね(72)の付勢力により前方に移動する。
【0033】
くさび形調整片(82)は、前部ばね受体(74)の開口部(78)を通って後方に伸びるアーム部(84)を有し、そのアーム部(84)の先端に、上下に貫通する雌ねじ(86)を有しており、この雌ねじ(86)に、くさび形調整片(82)を上下に操作するためのハンドル(88)の雄ねじ(90)が嵌まり合っている。ハンドル(88)の雄ねじ(90)の位置は、上から見て1対の圧縮ばね(72)の間にある。
【0034】
座席受体(50)は、ハンドル(88)を保持するため、その前部底壁に前方の小径孔と後方の大径孔とを連設した段付き孔(92)を有している。ハンドル(88)は、その軸部に、段付き孔(92)の大径孔よりは小径で、小径孔よりは大径の、上下に離れた1対のつば部(94)と、その1対のつば部(94)の間に段付き孔(92)の小径孔より小径の軸部(96)と、軸部の先端側に前述の雄ねじ(90)とを設けている。
【0035】
座席受体(50)に対するハンドル(88)の組立は、ハンドル(88)の軸部を段付き孔(92)の大径孔に下方から挿入し、横にずらして、1対のつば部(94)が座席受体(50)の底壁を上下から挟み、つば部(94)の間の軸部(96)を、小径孔に嵌合させるものであり、それにより、ハンドル(88)を座席受体(50)に回動可能に保持させることができる。
【0036】
上記のように構成された背凭れの傾動緩衝装置の機能は、次の通りである。
1対の圧縮ばね(72)は、後端を基枠(16)の前壁に保持されて、くさび機構を介して座席受体(50)を前方に付勢している。
座席受体(50)は、背凭れ枠(30)に対し連結部(C)により前後方向の動きを連結されているから、圧縮ばね(72)の付勢力は、座席受体(50)を介して背凭れ枠(30)に対しその傾きを前方に起こすように働き、ガススプリング(34)のガス圧と共に、背凭れを後方へ傾動させる時の抵抗力即ち緩衝力として働く。但し、ガススプリング(34)のガス圧は一定であるから、緩衝力を調整できるものは圧縮ばね(72)の力のみであり、圧縮ばね(72)の力をくさび機構とハンドル(88)とにより操作調整する。
【0037】
【発明の効果】
本発明は、上記の構成としたことにより、次の効果を発揮する。
第1に、基枠と背凭れと座席との間に3つの連結部を設けたことにより、背凭れを後ろに傾動させた場合に、座席は背凭れに対して着座者の骨盤の近傍を中心に後ろに回転することになり、この座席と背凭れの相対的な動きは、着座者の大腿部と背中との相対的な動きに極めて近いことになる。そのため、執務姿勢から安楽姿勢に至る間で、背中の動きと背凭れの動きにずれが生じて、着座者の衣類がまくれることはなく、座り心地が良好である。
【0038】
また、座席と背凭れが連続した椅子でも、座席と背凭れの間で、クッション材や表皮材に伸縮の負荷が加わらない。背凭れの後ろへの回動時の伸縮の負荷によるクッション材や表皮材の傷みもなくなる。
さらに、足の運動を見た場合に、座席の運動中心は着座者の足の踝の位置に近づいている。足の踝を中心とする大腿部の後方への傾きながらの移動に近づくから、膝から下の下腿部の上方への引っ張りもほとんどなくなり、膝の折り曲げ角度も拡がるから、座り心地は快適である。
【0039】
第2には、簡単な組立方法を実現したということである。最初の座席受体と1対の軸受体との組立は、その対応する軸と穴を嵌め込むだけであるからきわめて簡単である。
次の座席受体と軸受体とのアセンブリに背凭れ枠を組む工程では、背凭れ枠の2個の軸を座席受体側の2個の長溝にその開口部から挿入するだけで簡単に組むことができる。従来の、長い軸を複数の部品に横から貫通させ、抜け止めのための止め輪等を取り付けるのと比べるとずっと効率的である。
座席受体と1対の軸受体とを別体にしたことにより、適正な材料の使い分けをすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例である椅子の執務状態の縦断側面図である。
【図2】図1に示す椅子の安楽状態の縦断側面図である。
【図3】図1に示す椅子の要部の拡大縦断側面図である。
【図4】図1に示す椅子の要部の拡大平面図である。
【図5】図1に示す椅子の要部の分解斜視図である。
【図6】図1に示す椅子の背凭れの傾動時における各部の運動説明図である。
【符号の説明】
(6)脚柱
(16)基枠
(30)背凭れ枠
(32)背凭れ枠の下部の軸
(50)座席受体
(52)軸受体
(56)(58)穴
(60)(62)軸部
(64)長溝
(66)長溝
(68)軸
(70)軸
(A)(B)(C)連結部
Claims (3)
- 脚柱の上端に固定した基枠に、上部に背凭れを備える背凭れ枠の下部を後方へ回動可能に保持し、背凭れの回動と連動して、上部に座席を備える座席受体を基枠に対して前後に摺動させるようにした椅子において、
前記の背凭れ枠の下部を前記の基枠の後ろ上部に対し左右方向の軸で回動可能に保持するとともに、その軸を、前記の座席受体の前後方向のほぼ中央部に設けた、後ろ側が下に傾いて下方に開口する長溝に摺動可能に嵌合させており、前記の背凭れ枠の下部に前記の軸よりも後方に設けた軸を、前記の座席受体の後部に設けた、後ろ側が上に傾いて斜め上方に開口する長溝に摺動可能に嵌合させており、さらに、前記の座席受体の前部を前記の基枠の前部に対し左右方向の軸で、座席受体の中央部に設けた長溝よりも傾斜角度の小さい角度で後ろ側を下に傾けた方向に摺動可能に保持したことを特徴とする椅子の座席と背凭れの傾動装置。 - 座席受体の中央部と後部とに設けた2個の長溝を、その座席受体の後部の下方と後方とを開口させ、この座席受体の後部の対向する左右側壁の内側に、互いに対向する1対の軸受体を取り付け、その軸受体の相対する内側面に設けた2対の長溝とした請求項1記載の椅子の座席と背凭れの傾動装置。
- 座席受体の後部の相対する左右側壁に複数の穴を穿設するとともに、互いに対向する1対の軸受体の左右の外側面に前記の各穴と嵌合する軸部を設けることにより、座席受体の後部の左右側壁に軸受体を組み込んだ請求項2記載の椅子の座席と背凭れの傾動装置。
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