JP3607411B2 - 圧電トランス - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は高電圧発生回路等に用いられる圧電トランスに関する。
【0002】
【従来の技術】
圧電トランスは、車両用前照灯として用いられる高圧放電灯を点灯させる高電圧発生回路等に用いられるもので、低圧の入力電圧を高圧の出力電圧に変換する。電圧を変換するトランスとしては従来から巻線タイプのものが使用されているが、実用的な変換効率を得るためには形状を薄型にするのが困難であった。そこで近年、薄型化が可能で、プリント基板への実装に適した圧電トランスが期待されている。
【0003】
圧電トランスは圧電材料よりなる圧電体に入力電極と出力電極とを設けて、上記入力電極から入力する電気エネルギーを圧電効果を利用して機械エネルギーに変換し、機械エネルギーを再び電気エネルギーに変換して出力電極から取り出すようになっている。上記出力電極で得られる出力電圧は、上記入力電極に印加する入力電圧が昇圧されたもので、昇圧比は圧電トランスの形状等に依存する。また入力する電気エネルギーを大きくするハイパワー化を実現するため、上記入力電極と圧電体とが交互に層をなす積層構造とすることにより入力容量を大きくし、入力インピーダンスを低く抑えるようにしたものがある。
【0004】
入力電極と圧電体とを積層構造としたものには、特開平5−235434号公報記載の厚み縦振動圧電磁器トランス及びその駆動方法のように、2対の出力電極を設けて1つの圧電トランスから2つの出力電流を取り出せるようにしたものがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで入力インピーダンスを低く抑えるべく積層する層数を多くすると、1層あたりの厚さが薄くなる。この結果、入力電圧を耐電圧の関係からあまり高くはできず結局、入力エネルギーを大きくするには限界がある。圧電体の比誘電率を上げてハイパワー化する方法もあるが、ハイパワー化に見合う高い出力電圧が得られない。このため高い出力電圧を得ようとすると、圧電トランスは形状が細長いものとなり、プリント基板に実装する部品として都合が悪い。このようにハイパワー化と一緒に出力電圧の高圧化を図ることは困難であった。
【0006】
そこで本発明は、ハイパワー化と一緒に出力電圧の高圧化も実現することのできる圧電トランスを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明では、励振部に入力する入力電圧を発電部で昇圧して、出力電圧を取り出す圧電トランスの上記励振部の圧電体と上記発電部の圧電体とを板状であって比誘電率が異なる圧電材料で構成するとともに、両圧電体の並び方向を圧電体の板面に平行な方向にとって一体結合せしめ、かつ上記発電部の圧電体の比誘電率を、上記励振部の圧電体の比誘電率より小さくすることにより、励振部は、その圧電体の比誘電率に応じた電気エネルギーが入力する。上記発電部は、その圧電体の比誘電率が小さいから出力容量も小さく、高い出力電圧を取り出すことができる。
【0008】
請求項2記載の発明では、上記励振部および発電部の圧電体として成分が同じで成分の含有率のみが異なるものを用いることにより、焼成時に上記励振部と上記発電部間の上記成分の拡散が抑えられ、同一の圧電材料を用いたのと同様に良好な圧電特性が得られる。
【0009】
請求項3記載の発明では、上記励振部を、上記入力電極と圧電体とが交互に層をなす積層構造とすることにより、入力容量が大きくなり、入力する電気エネルギーが増大する。
【0010】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
本発明の圧電トランスを図1に示す。圧電トランス1Aは幅15mm×長さ56mm×厚さ3mmの薄型矩形体で、図の右側の半部が励振部たる入力部11で、左側の半部が発電部たる出力部12である。入力部11は入力電極たる電極層3Bと圧電体たる圧電磁器層2とが交互に積層している。その一番外側には一対の外部電極3A(図中、表側の外部電極のみ示す)が設けてあり、これに入力電圧が印加されるようになっている。入力部11では厚み方向に分極する。出力部12は圧電体4の右端面に出力電極5が設けてあり、長さ方向の分極により出力電圧が取り出されるようになっている。
【0011】
入力部11、出力部12には上下の各面の中央部に断面三角形の棒状の保持部材61,62,63,64がその角部を圧電トランス1A側にして接着してある。保持部材61〜64をこの位置に取付けるのは、この位置が圧電効果による振動の節となる位置で、振動による変位が最小であるため保持部材61〜64が振動を阻害せず、圧電トランス1Aの変換効率の低下を防止できるからである。
【0012】
図2、図3は圧電トランス1Aの製作過程を示すもので、これにより圧電トランス1Aの構造を詳細に説明する。
【0013】
まず、製品たる圧電トランス1Aと同形同大で一方の面に離型剤を塗着した合成樹脂製のフィルム7を準備する。そして離型剤を塗着した面の一方の半部71に、Pt 等のペーストをスクリーン印刷して電極層3Bを形成する。この場合、電極層3Bの幅はフィルム7の幅よりも若干小さくし、電極層3Bの一方の側縁3Baがフィルム7の一方の側縁71aと一致するもの(図2(A))と,電極層3Bの他方の側縁3Bbがフィルム7の他方の側縁71bと一致するものの、2種類を準備する。
【0014】
乾燥させた後、一方の半部71側には入力部用のPZT(チタン酸ジルコニア酸鉛)を流して圧電磁器層2をつくり、他方の半部72側に出力部用のPZTを流し、上記圧電磁器層2と面一の圧電磁器層41を形成する(図2(B))。入力部用のPZTは(Pb0.885Sr0.115)(Zr0.545Ti0.455)O3 +0.1atm%Mn O2 で、出力部用のPZTは(Pb0.96 Sr0.04 )(Zr0.538Ti0.462)O3 +0.5atm%Mn O2 とする。この2種のPZTは、成分は同じであるが、成分の含有率が異なっており、比誘電率が前者は2500で、後者は1000である。次に上記2種類のものからフィルム7を除去する。
【0015】
再び乾燥した後、上記2種類のものを交互に重ね(図3)、これを一体焼成する。しかして入力部11には、比誘電率の大きな圧電磁器層2と、電極層3Bが交互に積層する積層構造体が形成され、出力部12には、上記圧電磁器層41が一体化し、かつ上記積層構造体と一体結合する比誘電率の小さい圧電体4(図1)が形成される。上記積層構造体の長辺側の両側面には、図1に示すようにそれぞれ上下方向に帯状にAg ペーストを塗布、焼成する。これが各層の一つおきに露出する電極層3Bの端縁および外部電極3Aと導通して電極引き出し部3Cとなる(図1はその一方のみを示す)。しかして入力電圧が、隣あう電極層3B間に印加されて、これにより隣あう圧電磁器層2に逆方向の電場が生じる。
【0016】
次に圧電トランス1Aの作動を説明する。入力電圧が入力部11用のPZTを挟んで隣あう電極層3B間に印加されて、入力部11に横効果31モードで電気機械結合係数K31により横振動が励振され、圧電トランス1A全体が振動する。そして出力部12では電気機械結合係数K33により縦効果縦振動モードにより昇圧された出力電圧が出力電極5から取り出される。
【0017】
図4は圧電トランスの等価回路を示すもので、トランスTの一次側に直列にリアクタンス成分L,容量成分C,抵抗成分Rが形成され、並列に入力容量Cinが形成される。またトランスTの二次側に並列に出力容量Cout が形成される。したがって入力電圧をVin、出力電圧をVout とすると、入力する電気エネルギーEin、出力する電気エネルギーEout は次のように表せる。
Ein=Cin(Vin)2 /2
Eout =Cout (Vout )2 /2
【0018】
ここで入力容量Cinは圧電磁器層2の比誘電率と積層する層数とに比例し、出力容量Cout はPZTの比誘電率に比例する。入力部11は、圧電磁器層2の比誘電率を大きくしてあるから入力インピーダンスが小さくなって入力する電気エネルギーを大きくでき、出力部12は、圧電体4の比誘電率を小さくしてあるから高い出力電圧を取り出すことができる。しかも圧電材料の組成が、成分を同一としてあるため焼成時に元素の拡散が抑えられ、同一の圧電材料を用いたのと同じように良好な圧電特性が得られる。
【0019】
(第2実施形態)
本発明の別の実施形態を図5に示す。図中、図1と同一番号を付したものは実質的に同じ作用をするので相違点を中心に説明する。
【0020】
圧電トランス1Bは、入力部11の両側に出力部12L,12Rが設けてある。各出力部12L,12Rは図1の出力部12と実質的に同一の構造で、図1の圧電体4に相当する圧電体4L,4Rが設けてあり、また図1の出力電極5に相当する出力電極5L,5Rが設けてあり、互いに導通している。すなわち出力部12L,12Rを並列に接続した構造としてある。
【0021】
これにより大きな電気エネルギーが入力しても入力部11と出力部12L,12Rの接合部1a,1bにおける応力が緩和されて耐性が高くなる。しかして接合部1a,1bに割れが生じるおそれがなく、信頼性が向上する。そして出力部12L,12Rの圧電材料の比誘電率を入力部11の圧電材料の比誘電率より小さくしてあるから、出力部12L,12Rが並列に接続されていても出力容量が倍増するようなことはなく、高い出力電圧を得ることができる。
【0022】
なお上記各実施形態において、圧電材料としてのPZTは実施形態中に記載のものに限定されるものではなく、入力電圧や必要とする出力電圧によって適宜、成分の比率を設定することができる。例えば(Pb0.96 Sr0.04 )(Zr0.538Ti0.462)O3 +0.1atm%Mn O2 とすれば比誘電率は1800となる。励振部と発電部の圧電材料は、PZT以外のものも用いることができる。この場合、成分が同一で含有率が異なる材料が用いられ得る。また成分を異にし、比誘電率が相違する圧電材料が用いられ得る。
【0023】
また上記各実施形態では励振部を積層構造体としたが、単一の圧電体の上下面に入力電極を形成し、この圧電体と、これよりも比誘電率の小さい発電部の圧電体を一体結合せしめるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の圧電トランスの全体斜視図である。
【図2】(A),(B)は本発明の第1の圧電トランスの要部の製作過程を示す第1、第2の図である。
【図3】本発明の第1の圧電トランスの製作過程を示す第3の図である。
【図4】本発明の第1の圧電トランスの等価回路図である。
【図5】本発明の第2の圧電トランスの全体斜視図である。
【符号の説明】
1A,1B 圧電トランス
11 入力部(励振部)
12,12L,12R 出力部(発電部)
2 圧電磁器層(圧電体)
3A 外部電極(入力電極)
3B 電極層(入力電極)
4,4L,4R 圧電体
5,5L,5R 出力電極
Claims (3)
- 入力電極と圧電体を備えた励振部と、出力電極と圧電体を備えた発電部とよりなり、上記入力電極に印加する入力電圧を昇圧せしめて上記出力電極から出力電圧を取り出す圧電トランスにおいて、上記励振部の圧電体と上記発電部の圧電体とを板状であって比誘電率が異なる圧電材料で構成するとともに、両圧電体の並び方向を圧電体の板面に平行な方向にとって一体結合せしめ、かつ上記発電部の圧電体の比誘電率を、上記励振部の圧電体の比誘電率より小さくしたことを特徴とする圧電トランス。
- 請求項1記載の圧電トランスにおいて、上記励振部の圧電材料と上記発電部の圧電材料の組成は、成分を同一とし、かつ成分の含有率を上記比誘電率に応じて設定した圧電トランス。
- 請求項1または2いずれか記載の圧電トランスにおいて、上記励振部は、上記入力電極と圧電体とが交互に層をなす積層構造とし、上記入力電極を挟んで隣あう上記圧電体に上記入力電圧による電場が逆方向に生ずるようにした圧電トランス。
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