JP3607373B2 - 自動変速機の組立方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ケース内に挿通されケース内の回転部材に連結されて取付けられる回転軸の軸方向抜け止めが容易な作業で実現でき、さらに遊星ギア組の組み付けも容易に行える自動変速機の組立方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、車両用の自動変速機としては、エンジンの回転をトルクコンバータを介して入力し、遊星ギア組を有する補助変速機(変速機構)により変速し、アウトプットシャフト(回転軸)を介してプロペラシャフト(車軸側)に出力するものが普及している。そして、この種の自動変速機におけるアウトプットシャフトは、有底筒状の変速機構のケースにその底部側(リア側)から挿通されて組み付けられ、組み付け後に取付けられるスナップリングにより軸方向の抜け止めがなされるのが通常である。
また、補助変速機を構成する遊星ギア組は、このスナップリングを取り付けるために予め全体を組立てておき一体的にケース内に組み付けることは不可能であり、ケース内に作業者が手を挿入してケース内で組立てる必要があった。
【0003】
すなわち、図9の概略図に示すように、ケース1内に組付けられた変速機構の例えばプラネタリキャリア2にアウトプットシャフト3がスプラインにより連結される場合、まず、プラネタリギア等とは別にプラネタリキャリア2をケース1内に組付ける。そして、アウトプットシャフト3を、ケース1のリア側(図9において右側)に形成された底部1aに設けられた中心孔に、リア側からフロント側に向って挿通し、その先端(スプラインの外歯)をプラネタリキャリア2の中心孔(スプラインの内歯)に挿入して組付けていた。次いで、アウトプットシャフト3の先端(プラネタリキャリア2からフロント側に突出する部分)の外周に形成された溝に、外周部がプラネタリキャリア2のフロント側端面に当接するスナップリング4を取付けることにより、アウトプットシャフト3のリア側への抜け止めを行う。そしてその後、作業者がケース1内に手を挿入し、プラネタリキャリア2に対してプラネタリギア等を取り付けてケース1内で遊星ギア組を組立てていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このため、従来の自動変速機にあっては、上記アウトプットシャフトのようなケース内の回転部材に対して連結する回転軸の組み付けに関して、或いは遊星ギア組の組み付けに関して以下のような問題点があった。
(イ)すなわち、回転軸の組み付けにおいては、ケースの筒状部内に挿入された回転軸の先端外周にスナップリングを取付ける構成であったため、このスナップリングの取付け作業は、ケース内の狭い空間に作業者が工具(プライヤ等)や手を挿入して行う極めて困難なものであり、作業性が悪く、かつ面倒であった。
(ロ)また、遊星ギア組の組み付けにおいても、ケース内の狭い空間に作業者が工具や手を挿入して遊星ギア組の部分を組立てる作業を行うため、自動変速機の組立性(すなわち、組立能率)を低下させていた。
【0005】
そこで本発明は、ケース内に挿通されケース内の回転部材に連結されて取付けられる回転軸の軸方向抜け止めを容易な作業で実現でき、さらに遊星ギア組の組み付けも容易にできて、組立性を高めることのできる自動変速機の組立方法を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の自動変速機の組立方法は、
筒状部と底部とからなるケースと、
このケースの筒状部内に組付けられ、少なくとも一組の遊星ギア組を含むギアパックと、
先端側が前記ケースの底部に設けられた孔から前記筒状部内に挿通され、前記ギアパックを構成する回転部材の中心孔内に先端が挿入されて、この回転部材に連結される回転軸と、
前記回転部材に対する前記回転軸の軸方向の抜け止めを行う手段と
を備えた自動変速機を組立てるための組立方法であって、
前記抜け止めを行う手段として、前記回転軸が前記回転部材の中心孔内の所定位置まで挿入される際に、前記回転部材の中心孔内周面と前記回転軸外周面とにそれぞれ設けられた係合部に弾力的に係合する弾性係合手段を使用し、
前記ギアパックを前記ケースの外で予め組立てた後、このギアパック全体を前記ケースの底部と反対側の開口から挿入して前記ケースの筒状部内に組み付け、次いで、前記弾性係合手段を前記回転部材又は前記回転軸のうちのいずれか一方の係合部に係合させた状態で、前記回転軸の先端側を前記ケースの底部に設けられた孔から挿通して前記回転部材の中心孔内の所定位置まで挿入し、前記弾性係合手段を各係合部に係合させることを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の自動変速機の組立方法は、
前記係合部が、前記回転部材の中心孔内周面と前記回転軸外周面とに形成され、前記所定位置において相対向する溝であり、
前記弾性係合手段が、外周側と内周側とがそれぞれこれら各溝に弾力的にはまり込むサークリップであることを特徴とする。
【0010】
本願発明では、遊星ギア組がギアパックとしてケース内に組付けられる。そして、回転軸がこのギアパックを構成する回転部材の中心孔内の所定位置まで挿入された際に、弾性係合手段が、回転部材の中心孔内周面と回転軸外周面とにそれぞれ設けられた係合部に弾力的に係合し、これにより、回転軸が回転部材に取付けられ、その軸方向抜け止めがなされる。
【0012】
特に請求項2記載の発明では、回転軸が回転部材の中心孔内の所定位置まで挿入された際に、サークリップの外周側と内周側が、回転部材の中心孔内周面と回転軸外周面とにそれぞれ形成された溝に弾力的に係合し、これにより、回転軸が回転部材に取付けられ、その軸方向抜け止めがなされる。
【0013】
また本願発明では、遊星ギア組がギアパックとしてケース外で組立てられた後にケース内に組付けられる。そして、回転軸の取り付けは、弾性係合手段を回転部材又は回転軸のうちのいずれか一方の係合部に係合させた状態で、回転軸の先端側をケースの底部に設けられた孔から挿通して回転部材の中心孔内の所定位置まで挿入するという簡単な作業で行われる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、自動変速機に適用した一実施例として、図面に基づいて説明する。
図1は本実施例の自動変速機全体の断面図、図2はこの自動変速機を構成する補助変速機(変速機構)のスケルトンを示す図、図3乃至図5は図1の部分拡大図であり、このうち図5は本発明の要部を示している。なお便宜上、図1乃至図5において、左側(エンジン側)をフロント側、右側(エンジンから遠い側)をリア側とする。
(A)全体構成
本実施例の自動変速機は、図1に示すように、一体のケース10内にトルクコンバータ20、オイルポンプ50、及び補助変速機100(変速機構)を備え、ケース10の下部にコントロールバルブユニット300を備える。ここで、ケース10は、図4に示すようにリア側に軸直角方向の壁状部10a(底部)が形成され、フロント側が開口した有底筒状のものである。
【0015】
トルクコンバータ20は、エンジンのクランクシャフトに連結されて回転するフロントカバー21と、フロントカバー21の後部に連結されたリヤカバー22と、リヤカバー22の内側に形成されたポンプインペラ23と、ポンプインペラ23に対向して配設されたタービンランナ24と、タービンランナ24を保持するタービンシェル25と、ポンプインペラ23とタービンランナ24との間に配設されたステータ26と、ステータ26を支持するワンウエイクラッチ27と、フロントカバー21とタービンシェル25との間に配設されたロックアップピストン28とを備える。
トルクコンバータ20の中心軸線上には、補助変速機100のインプットシャフト110のフロント側端部が挿通され、タービンシェル25とロックアップピストン28とは、その内周部においてこのインプットシャフト110のフロント側端部に連結されている。ステータ26の内周は、ワンウエイクラッチ27のアウタレースに連結され、ワンウエイクラッチ27のインナレースは、後述するオイルポンプカバー52のフロント側ボス53の外周に連結され、固定状態とされている。リヤカバー22には、前記フロント側ボス53の外周に隙間を有して嵌挿されたボス29が固設されている。
【0016】
オイルポンプ50は、オイルポンプハウジング51とオイルポンプカバー52とよりなる外枠内にロータ等が収納されたベーン式のポンプで、トルクコンバータ20のボス29の先端にロータが連結されて駆動され、ケース10の下面側に取付けられたオイルパン301内の油を吸引して所定油圧を発生させる。オイルポンプカバー52には、インプットシャフト110の外周に沿ってフロント側に伸びるフロント側ボス53と、インプットシャフト110の外周に沿ってリア側に伸びるリア側ボス54とが形成され、フロント側ボス53の先端部には前述のようにワンウエイクラッチ27のインナレースが連結されている。
このオイルポンプ50のオイルポンプハウジング51とオイルポンプカバー52は、ボルト55によりケース10に固定されている。
【0017】
補助変速機100は、図1及び図2に示すように、インプットシャフト110、中間シャフト120、アウトプットシャフト130(回転軸)、第1プラネタリーギア140、第2プラネタリーギア150、第3プラネタリーギア160、ロークラッチ(L/C)170、ハイクラッチ(H/C)180、リバースクラッチ(R/C)190、サードブレーキ(3rd/B)200、サードワンウエイクラッチ(3rd/OWC)210、オーバードライブブレーキ(OD/B)220、セカンドブレーキ(2nd/B)230、セカンドワンウエイクラッチ(2nd/OWC)240、リバースブレーキ(R/B)250、ローコーストブレーキ(LOWコースト/B)260、ローブレーキ(LOW/B)270、及びローワンウエイクラッチ(LOW/OWC)280を備える。
なおこの場合、アウトプットシャフト130が本発明の回転軸に相当する。また、第1プラネタリーギア140、第2プラネタリーギア150、或いは第3プラネタリーギア160、が本発明の遊星ギア組に相当する。
【0018】
インプットシャフト110,中間シャフト120及びアウトプットシャフト130は、図1に示すように、ケース10内の中心軸線上に、フロント側からリア側に向って順次配設され、それぞれ独立に回転できるよう支持されている。中間シャフト120の外周側には、図2及び図4に示すように、中空軸部材121,122が順次同心円状に配設され、それぞれ独立に回転するよう支持されている。
ここで、中空軸部材121のフロント側は、後述するハブ182に連結され、またそのリア側には後述する第1キャリア144がスプラインにより連結されている。また、中空軸部材122のフロント側は、後述するハブ192,222に連結されるとともに、サードワンウエイクラッチ210のインナーレースとして機能しており、またそのリア側には後述する第1サンギア141が一体に形成されている。
【0019】
なお、アウトプットシャフト130のリア側端部は、ケース10のリア側に取付けられたリア側ケース11内を通ってリア側に伸びており、出力フランジ部材131を介して車両のプロペラシャフトに連結される。また、アウトプットシャフト130の略中央部外周には、パーキングギア132がスプラインにより連結され、パーキング操作時にセレクトレバーと連動するパーキングポール(図示省略)がこのパーキングギア132と噛み合うことにより、アウトプットシャフト130を機械的にロックする構成となっている。そして、このパーキングギア132の外周面に望む位置には、パーキングギア132の外周面の歯を検出することにより、アウトプットシャフト130の回転数に応じた周波数のパルス信号を出力する車速センサー133が取付けられている。
また、アウトプットシャフト130のフロント側端部は、後述するように、第3キャリア(C3)164にスプラインにより連結され、さらにサークリップ135(図4及び図5に示す)により第3キャリア(C3)164に対する軸方向抜け止めがなされている。
【0020】
第1プラネタリーギア140は、図2及び図4に示すように、第1サンギア(S1)141と、第1ピニオンギア(P1)142と、第1リングギア(R1)143とよりなる。第1サンギア141は、図4に示すように、前述の中空軸部材122のリア側端部に一体に形成されている。また、第1ピニオンギア142を支持する第1キャリア(C1)144は、そのリア側端部内周が、前述の中空軸部材121のリア側端部外周にスプラインにより連結され、またそのフロント側端部内周側が、セカンドワンウエイクラッチ240の後述のインナーレース241にスプラインにより連結され、さらにそのフロント側端部外周側が、後述のリバースブレーキドラム251に連結されている。
【0021】
第2プラネタリーギア150は、図2及び図4に示すように、第2サンギア(S2)151と、第2ピニオンギア(P2)152と、第2リングギア(R2)153とよりなる。第2サンギア151は、図4に示すように、第3プラネタリーギア160を構成する後述の第3サンギア161に連結されて一体に回転する。また、第2ピニオンギア152を支持する第2キャリア(C2)154は、そのリア側端部が後述の第3キャリア(C2)164に一体に連結され、またそのフロント側端部が第1リングギア143に一体に連結されている。
【0022】
第3プラネタリーギア160は、図2及び図4に示すように、第3サンギア(S3)161と、第3ピニオンギア(P3)162(図1に示す)と、第3リングギア(R3)163とよりなる。第3サンギア161は、図4に示すように、スプラインにより中間シャフト120に連結されるとともに、第2サンギア151に連結されて一体に回転する。また、第3ピニオンギア162を支持する第3キャリア(C3)164は、そのリア側端部内周がアウトプットシャフト130のフロント側端部外周にスプラインにより連結され、またそのフロント側端部が第2キャリア154に連結されている。
【0023】
ロークラッチ(L/C)170は、図3に示すように、後述する壁部材171の円筒部にスプラインで連結されたドリブンプレートと、ハブ172にスプラインで連結されたドライブプレートとを交互に積層してなる多板式のもので、図3において左右に(軸方向に)摺動するピストン173により各プレートが密着方向に押し付けられて発生する摩擦力により、壁部材171とハブ172とを接続する。壁部材171はインプットシャフト110に連結され、ハブ172は中間シャフト120に連結されているため、結局このロークラッチ170は、インプットシャフト110と第2サンギア151又は第3サンギア161とを接続する機能を有する。
なお、ピストン173は、壁部材171とこのピストン173との間に形成された油室に、インプットシャフト110に形成された油路111を介して圧油が供給されることにより作動位置に移動し、リテーナ174とこのピストン173との間に圧縮状態に介装されたスプリング175の復元力により非作動位置に復帰する。
【0024】
ハイクラッチ(H/C)180は、図3に示すように、シリンダ181の後述する外周側円筒部181aにスプラインで連結されたドリブンプレートと、ハブ182にスプラインで連結されたドライブプレートとを交互に積層してなる多板式のもので、図3において左右に摺動するピストン183により各プレートが密着方向に押し付けられて発生する摩擦力により、シリンダ181とハブ182とを接続する。シリンダ181は、インプットシャフト110に連結され、ハブ182は、このハブ182と一体的に形成された前述の中空軸部材121を介して第1キャリア144に連結されている。このため、結局このハイクラッチ180は、インプットシャフト110と第1キャリア144とを接続する機能を有する。
なお、ピストン183は、シリンダ181の後述の壁状部181cとこのピストン183との間に形成された油室に、シリンダ181の後述の内周側円筒部181bに形成された油路184を介して圧油が供給されることにより作動位置に移動し、リテーナ188とこのピストン183との間に圧縮状態に介装された第1図に示すスプリング187の復元力により非作動位置に復帰する。壁部材171とこのピストン183との間に形成された油室には、シリンダ181の内周側円筒部181bに形成された油路185を介して油が供給される。これにより、壁状部181cとピストン183との間に形成された油室に発生する遠心油圧を打ち消すことができ、円滑な変速のための油圧制御が容易になる。
【0025】
リバースクラッチ(R/C)190は、図3に示すように、シリンダ181にスプラインで連結されたドリブンプレートと、ハブ192にスプラインで連結されたドライブプレートとを交互に積層してなる多板式のもので、図3において左右に摺動するピストン193により押圧フランジ194を介して各プレートが相互に押し付けられ、これにより発生する摩擦力により、シリンダ181とハブ192とを接続する。ここで、シリンダ181は、インプットシャフト110に連結され、ハブ192は、このハブ192と一体的に形成された前述の中空軸部材122を介して第1サンギア141に連結されている。このため、結局このリバースクラッチ190は、インプットシャフト110と第1サンギア141とを接続する機能を有する。
また、ピストン193は、シリンダ181の後述の壁状部181cとこのピストン193との間に形成された油室に、シリンダ181の内周側円筒部181bに形成された油路186を介して圧油が供給されることにより作動位置に移動し、リテーナ195とこのピストン193との間に圧縮状態に介装されたリターンスプリング196の復元力により非作動位置に復帰する。
【0026】
なお、ハイクラッチ180とともにリバースクラッチ190を支持するシリンダ181は、外周側円筒部181aと、内周側円筒部181bと、この内周側円筒部181bから外周方向に伸びて外周側円筒部181aに連結された底部181cとよりなり、底部181cには、ハイクラッチ180のピストン183等を高密度に収納するために、内周側が張出す方向の段部181dが形成されたもので、内周側円筒部181bのリア側においてインプットシャフト110にスプラインで連結され、内周側円筒部181bのフロント側がオイルポンプカバー52のリア側ボス54の外周に摺接しつつ回転する部材となっている。
そして、このシリンダ181の外周側円筒部181aのフロント側端部は、矩形の切り欠き181eが周方向に複数形成された、くし歯状の形状とされ、くし歯の部分が爪状部181fを構成している。
【0027】
また、ピストン193は、外周部がくし歯状とされて、シリンダ181の切り欠き181eに対応する位置に矩形の爪状部193aを有し、シリンダ181の底部181cの形状に沿うように段部193bを有する形状となっている。そして、このピストン193を作動させる油室は、シールリング193c及び193dでシールされた空間、すなわちピストン193の移動に伴い摺接又は離間する段部181d及び193bの内面間に形成されている。
一方、押圧フランジ194のフロント側端部には、図3に示す如く、シリンダ181の切り欠き181eに対応する位置に矩形の切り欠き194aが形成されている。そして、ピストン193の爪状部193aは、シリンダ181の切り欠き181eを突き抜けてこの押圧フランジ194の切り欠き194aにはめ込まれ、スナップリング194bにより押圧フランジ194のフロント側端部に取付けられ、これにより、ピストン193と押圧フランジ194が一体に連結されている。また結果として、シリンダ181の爪状部181fは、ピストン193の隣り合う爪状部193aの間に形成された開口を貫通して、ピストン193のフロント側外方に延在する構成となっている。
【0028】
そして、この外方に延在する爪状部181fに、スナップリング195aによりリテーナ195が取付けられ、このリテーナ195の内周側とピストン193の背面上部(段部193bの外周側凹部分)との間に、ピストン193を復帰させるリターンスプリング196が圧縮状態に介装されている。
こうして、リターンスプリング196は、段部193bの外周側の空間であって、シリンダ181の外周側円筒部181aの外径よりも内側(内周側)に配置され、ピストン193とともに僅かな空間に高密度に配置され、径方向にも軸方向にも余分に張出す部分を形成しない。
【0029】
また、リターンスプリング196のリテーナ195の外周側端部は、逆L字状のくし歯状部195bが複数形成されたくし歯状の形状とされ、その逆L字状のくし歯状部195bがシリンダ181の切り欠き181eを突き抜けている。そして、リテーナ195のくし歯状部195bの外周面に望む位置には、爪状部195bを検出することにより、インプットシャフト110(すなわち、タービンランナー24)の回転数に応じた周波数のパルス信号を出力する入力軸回転速度センサー197が取付けられている。このため、リテーナ195が入力軸回転速度検出のためのロータとしても機能している。
【0030】
また、図3に示すように、リバースクラッチ190のハブ192は、ロークラッチ170の壁部材171に対してリア方向及び外周方向に僅かに位置をずらして近接して配置され、さらにハイクラッチ180のハブ182が、これら壁部材171及びハブ192の部材間に挟まれるようにして、壁部材171の円筒部の外周側からハブ192の円筒部の内周側に伸びるように近接して配置されている。
そしてこのような構成としたうえで、ハブ182における壁部材171とハブ192の端面間の位置には、軸方向に対して斜方向の傾斜部182aが形成されており、壁部材171とハブ192の端部は、図3に示す如く、このハブ182の傾斜部182aに沿うようにテーパ状とされ、その端部外周にはそれぞれ傾斜面171a,192aが形成されている。
これにより、壁部材171とハブ192の端面とハブ182との干渉が起き難く、これら部材をより近接させて配置することが可能となり、各クラッチ170,180,190を高密度に配置している。
【0031】
サードブレーキ(3rd/B)200は、図4に示すように、ケース10に固定された固定ドラム70にスプラインで連結されたドリブンプレートと、ハブ202にスプラインで連結されたドライブプレートとを交互に積層してなる多板式のもので、固定ドラム70のフロント外周側に形成された凹部に収納されて図4において左右に摺動するピストン203により、各プレートが密着方向に押し付けられ、これにより発生する摩擦力により、ハブ202に制動力を働かせる。ここでハブ202は、サードワンウエイクラッチ210のアウターレース211に固定されており、結局このサードブレーキ200は、サードワンウエイクラッチ210を介して第1サンギア141が形成された中空軸部材122の一方向の回転に対して制動力を働かせる機能を有する。
なお、ピストン203は、固定ドラム70とこのピストン203との間に形成された油室に、固定ドラム70に形成された油路71を介して圧油が供給されることにより作動位置に移動し、バネ204の復元力により非作動位置に復帰する。
また、サードワンウエイクラッチ(3rd/OWC)210は、4速へのシフトアップ時の変速制御を容易にするもので、後述のようにロークラッチ170とサードブレーキ200が作動させられて3速となっている時に、ハイクラッチ180を作動させると、このサードワンウエイクラッチ210が開放され、サードブレーキ200が作動したままで4速に変速することができる。
【0032】
オーバードライブブレーキ(OD/B)220は、図4に示すように、ケース10に固定された固定ドラム70にスプラインで連結されたドリブンプレートと、ハブ222にスプラインで連結されたドライブプレートとを交互に積層してなる多板式のもので、固定ドラム70のフロント内周側に形成された凹部に収納されて図4において左右に摺動するピストン223により、各プレートが密着方向に押し付けられ、これにより発生する摩擦力により、ハブ222に制動力を働かせる。ここでハブ222は、第1サンギア141が形成された中空軸部材122のフロント側端部に連結されており、結局このオーバードライブブレーキ220は、第1サンギア141に対して制動力を働かせる機能を有する。
なお、ピストン223は、固定ドラム70とこのピストン223との間に形成された油室に、固定ドラム70に形成された油路72を介して圧油が供給されることにより作動位置に移動し、バネ224の復元力により非作動位置に復帰する。
【0033】
セカンドブレーキ(2nd/B)230は、図4に示すように、ケース10に固定された固定ドラム70にスプラインで連結されたドリブンプレートと、セカンドワンウエイクラッチ240のアウターレース242にスプラインで連結されたドライブプレートとを交互に積層してなる多板式のもので、固定ドラム70のリア側に形成された凹部に収納されて図4において左右に摺動するピストン233により、各プレートが密着方向に押し付けられ、これにより発生する摩擦力により、アウターレース242に制動力を働かせる。セカンドワンウエイクラッチ240のインナーレース241は、前述したように第1キャリア144に連結されているから、結局このセカンドブレーキ230は、セカンドワンウエイクラッチ240を介して第1キャリア144及び第2リングギア153の一方向の回転に対して制動力を働かせる機能を有する。
なお、ピストン233は、固定ドラム70とこのピストン233との間に形成された油室に、固定ドラム70に形成された油路73を介して圧油が供給されることにより作動位置に移動し、バネ234の復元力により非作動位置に復帰する。
また、セカンドワンウエイクラッチ(2nd/OWC)240は、3速へのシフトアップ時の変速制御を容易にするためのもので、ロークラッチ170とセカンドブレーキ230が作動させられて2速となっている時に、サードブレーキ200を作動させると、このセカンドワンウエイクラッチ240が開放され、セカンドブレーキ230を作動したままで3速に変速することができる。
【0034】
リバースブレーキ(R/B)250は、図4に示すように、リバースブレーキドラム251の外周に巻回されたブレーキバンドよりなるバンド式のもので、図示省略したサーボピストンによりブレーキバンドが締め付けられることにより、リバースブレーキドラム251に制動力を働かせる。リバースブレーキドラム251は、前述したように第1キャリア144に連結され、しかも第2リングギア153が一体に形成されているので、結局このリバースブレーキ250は、第1キャリア144及び第2リングギア153に対して制動力を働かせる機能を有する。
【0035】
ローコーストブレーキ(LOWコースト/B)260は、図4に示すように、ケース10にスプラインで連結されたドリブンプレートと、ハブ262にスプラインで連結されたドライブプレートとを交互に積層してなる多板式のもので、ピストン263により、各プレートが密着方向に押し付けられ、これにより発生する摩擦力により、ハブ262に制動力を働かせる。ハブ262は、ローワンウエイクラッチ280のインナーレース281に固定されており、さらにインナーレース281は第3リングギア163にスプラインで連結されているため、結局このローコーストブレーキ260は、第3リングギア163に対して制動力を働かせる機能を有する。
ここでピストン263は、ケース10のリア側に軸直角方向に形成された壁状部10aと、この壁状部10aの内周端部からアウトプットシャフト130の外周に沿ってフロント側へ伸びるように形成された内側円筒状部10bとで囲まれた凹部に、後述のローブレーキ270のピストン273と直列に収納されて、図4において左右に摺動する。そしてこのピストン263は、ピストン273とこのピストン263との間に形成された油室に、ピストン273に形成された油路273a(図1に示す)を介して圧油が供給されることにより作動位置に移動し、リテーナ264とこのピストン263との間に介装されたスプリング265の復元力により非作動位置に復帰する。
【0036】
ローブレーキ(LOW/B)270は、図4に示すように、ケース10にスプラインで連結されたドリブンプレートと、ローワンウエイクラッチ280のアウターレース282にスプラインで連結されたドライブプレートとを交互に積層してなる多板式のもので、ピストン273により各プレートが密着方向に押し付けられて発生する摩擦力により、アウターレース282に制動力を働かせる。ローワンウエイクラッチ280のインナーレース281は、前述したように第3リングギア163に連結されているから、結局このローブレーキ270は、ローワンウエイクラッチ280を介して第3リングギア163の一方向の回転に対して制動力を働かせる機能を有する。
ここでピストン273は、ケース10の前述の壁状部10aと内側円筒状部10bとで囲まれた凹部に収納されて図4において左右に摺動するもので、前述の壁状部10aとこのピストン273との間に形成された油室に、前述の壁状部10aに形成された油路274(図1に示す)を介して圧油が供給されることにより作動位置に移動し、スプリング265の復元力により非作動位置に復帰する。なお、ピストン273の押圧部(各プレートを押圧する部分)273bは、ローコーストブレーキ260の各プレートの隙間を突き抜けてローブレーキ270のプレート側面(厳密にはディッシュプレート側面)に当接している。
また、ローワンウエイクラッチ(LOW/OWC)280は、2速へのシフトアップ時の変速制御を容易にするためのもので、ロークラッチ170とローブレーキ270が作動させられて1速となっているときに、セカンドブレーキ230を作動させると、このローワンウエイクラッチ280が開放され、ローブレーキ270が作動したままで2速に変速できる。
【0037】
コントロールバルブユニット300は、制御用の油路が形成されたボディ内に、図示省略したコントロールユニット(電気回路)により制御される各種ソレノイドバルブや、セレクトレバーの操作に応じて作動するマニュアルバルブ等を含む複数のバルブが取付けられて、油圧制御回路を構成するもので、ケース10の下面側にオイルパン301に覆われた状態で取付けられ、セレクトレバーの操作やコントロールユニットの制御に基づき、油圧ポンプ50で発生する圧油を、必要に応じて圧力を調整しつつ、ケース10等に形成された所定の油路を介して、適宜トルクコンバータ20や補助変速機100の所定の油室等に供給するものである。これにより、補助変速機100の各部位の潤滑や冷却等が行われるとともに、トルクコンバータ20のロックアップピストン28や、補助変速機100の各クラッチ又はブレーキのピストンが適宜作動する構成となっている。
なおこの場合、主なセレクトレバーの操作位置(レンジ)又はDレンジでのシフト位置に対する補助変速機100の各クラッチ又はブレーキの作動状態は、図7の如く設定されている。
【0038】
(B)要部詳細構成
次に、本発明が適用された要部の詳細構成について、図4及び図5により説明する。
本実施例の場合、本発明の回転軸はアウトプットシャフト130に相当し、本発明の回転部材は第3キャリア164に相当する。また、本発明の遊星ギア組としては、第1プラネタリーギア140と、第2プラネタリーギア150と、第3プラネタリーギア160とがある。そして、本発明の思想は、このアウトプットシャフト130の組付け構造や組付け方法、さらには各プラネタリーギア140,150,160の組付け構造や組付け方法に適用されている。
すなわち、アウトプットシャフト130は、ケース10の底部に相当する壁状部10aに形成された中心孔(内側円筒状部10bの内周側貫通孔)に、リア側からフロント側に向って所定位置まで挿通され、本発明の回転部材である第3キャリア164の中心孔内にフロント側先端が挿入されて、第3キャリア164にスプラインにより連結されている。
そして図5に示すように、このアウトプットシャフト130の外周面と第3キャリア164の中心孔内周面とには、所定位置において相対向する溝(係合部)130a,164aがそれぞれ形成され、アウトプットシャフト130が所定位置まで挿入された際に、これら各溝に弾力的に係合して、第3キャリア164に対するアウトプットシャフト130の軸方向の抜け止めを行うサークリップ(弾性係合手段)135が設けられている。
なお、ここで所定位置とは、図5に示す如く、この場合アウトプットシャフト130のフロント側先端面と第3キャリア164の内周部端面とが略同一平面上に位置する位置である。
【0039】
このサークリップ135は、図6に示すように、断面円形の線材(バネ鋼等の弾性を有するもの)をリング状に曲げ加工してなるもので、自然状態においては内周側のみがアウトプットシャフト130の溝130a内にはまり込み、圧縮状態(縮径状態)においては全体がアウトプットシャフト130の溝130a内に沈み込む寸法形状とされている。
このため、サークリップ135を予めアウトプットシャフト130の溝130aにはめ込んでおき、その後アウトプットシャフト130のフロント側をケース10の壁状部10aの中心孔から所定位置まで挿通し、その先端を第3キャリア164の中心孔内に挿入すれば、この挿入の過程で、一旦サークリップ135が第3キャリア164の内周(スプライン内歯の歯先)により押され縮径して溝130a内に全体が沈み込み、その後アウトプットシャフト130と第3キャリア164の溝130a,164aが対向する所定位置において拡径して、サークリップ135の外周側が第3キャリア164の溝164aにはまり込み、最終的にはサークリップ135の内周側と外周側がそれぞれ各溝130a,164aにはまり込んで係合した状態(図5に示す状態)となる。
【0040】
一方、第1プラネタリーギア140、第2プラネタリーギア150、及び第3プラネタリーギア160を構成又は支持する各部品は、この場合中空軸部材122に一体に形成された第1サンギア141を除き、予めサブアセンブリであるギアパックとして、組立ての際に一体品として取扱うことができる。
例えば、図4中において、第1ピニオンギア142、第1リングギア143、第1キャリア144、第2サンギア151、第2ピニオンギア152、第2リングギア153、第2キャリア154、第3サンギア161、第3ピニオンギア162(図1に示す)、第3リングギア163、及び第3キャリア164は、予めサブアセンブリであるギアパックとして、ケース10の外で組立て、一体品としてケース10内に組み付けることができる。
【0041】
このため、本実施例の自動変速機(特に各プラネタリーギア140,150,160の部分)は、以下の様な手順により、プラネタリーギアを構成又は支持する各部品をケース10内で組立てるというめんどうな作業を伴うことなく、容易に組立てられる。
すなわち、まず各プラネタリーギア140,150,160を構成又は支持する上記各部品を、ケース10の外で相互に組み付けてギアパックとして組立てる。そして、第3プラネタリーギア160よりもリア側の部品、即ちローコーストブレーキ260,ローブレーキ270,ローワンウエイクラッチ280,及びその周辺部品をケース10内に組み付けた状態で、このギアパックの第3リングギア163のリア側ボス部(スプライン外歯)を、ローワンウエイクラッチ280のインナーレース281の内周(スプライン内歯)にはめ込むことにより、ギアパック全体をケース10内に組み付ける。その後、前述したように、サークリップ135を予めアウトプットシャフト130の溝130aにはめ込んでおき、その状態でアウトプットシャフト130のフロント側をケース10の壁状部10aの中心孔から所定位置まで挿通し、その先端を第3キャリア164の中心孔内に挿入することで、アウトプットシャフト130を上記ギアパックの第3キャリア164に対して抜け止めされた状態に取り付ける。
そしてその後、第1プラネタリーギア140よりもフロント側の部品をケース10内に組み付けるとともに、ケース10の壁状部10aよりもリア側の部品を取り付ければ上記自動変速機が組みあがる。
【0042】
したがって、本実施例の構造又は組立て方法であれば、以下のような効果が奏される。
(a)アウトプットシャフト130を所定位置まで挿入するだけの簡単な作業で、アウトプットシャフト130が取付けられ、かつその軸方向抜け止めがなされるため、従来のようにケース内の狭い空間に工具や手を挿入してスナップリングを取付けるという困難かつめんどうな作業が不要となる。したがって、自動変速機の組立性(組立能率)が格段に向上する。
(b)上記のようなサークリップで止める構造の場合には、アウトプットシャフト130を軸方向のいずれの側にも止める抜け止め効果を発揮するので、組み付け後にアウトプットシャフト130がフロント側にも抜けなくなり、その後の組立作業が行い易くなる。
(c)上記のようなサークリップで止める構造の場合には、従来のスナップリングの場合のように軸端を突出させる必要がない。すなわち、この場合、アウトプットシャフト130のフロント側端部を第3キャリア164の内周部端面よりフロント側に突出させる必要がない。このため、設計の自由度が向上するとともに、その分空きスペースができて、変速機構を構成する各要素の高密度配置に貢献できる。
(d)第1プラネタリーギア140、第2プラネタリーギア150、及び第3プラネタリーギア160を構成又は支持する各部品を、予めギアパックとしてケース外で組立てた後に、一体品としてケース10内に、組み付ける構成であるため、ケース内の狭い空間に工具や手を挿入してこれら各部品をケース10内で組立てるというめんどうな作業が不要となり、この点からも、自動変速機の組立性(組立能率)がさらに向上する。
(e)また、上記プラネタリーギアを構成又は支持する各部品を予めギアパックとして組立てて保管したり、最終組立て現場に搬送するようにすれば、部品の保管や取扱いが容易となる効果もある。
【0043】
(C)全体の動作
次に、上記自動変速機の全体の動作の概略について説明する。
セレクトレバーがPレンジ又はNレンジにあるときには、コントロールユニット及びコントロールバルブユニット300の制御により、図5に示すように全てのクラッチ又はブレーキが非作動状態に維持される。このため、インプットシャフト110の回転がアウトプットシャフト130に伝達されず、車両は停止状態に維持される。なお、セレクトレバーがPレンジに操作されると、前述したようにパーキングボール(図示略)がパーキングギア132と噛み合い、アウトプットシャフト130が機械的に固定される。
【0044】
次に、セレクトレバーがDレンジにあるときには、コントロールユニットが、車速センサ133等に基づく車速信号や、車両のエンジンに取付けられたスロットルセンサ等からのスロットル開度信号等を受けて、予め設定された変速特性パターンに基づいてシフト位置(1速乃至5速)を決定し、コントロールユニット及びコントロールバルブユニット300の制御により、図7の如く各シフト位置に応じて補助変速機100の所定のクラッチ又はブレーキを作動させる。
【0045】
すなわち、1速では、ロークラッチ(L/C)170と、ローブレーキ(LOW/B)270及びローワンウエイクラッチ(LOW/OWC)280とを無条件で作動させ、さらに所定のエンジンブレーキ作動条件が満足された場合にローコーストブレーキ(LOWコースト/B)260を作動させる。
これにより、インプットシャフト110の駆動力は、中間シャフト120を介して第3サンギア161に伝達され、第3リングギア163が停止した状態での第3サンギア161の回転に伴う第3ピニオンギア162の公転(第3キャリア164の公転)として、アウトプットシャフト130に大きくトルク増幅(減速)されて出力される。
なお、図8は、入力(インプットシャフト110)の回転数を一定とした場合に、縦軸に各プラネタリギアの各要素の回転数を示した共線図であり、この1速の場合の出力軸(アウトプットシャフト130)の回転数は、符合D1で示す点が表わしている。
【0046】
またこの際、ローコーストブレーキ(LOWコースト/B)260が非作動状態の場合には、第3リングギア163の一方向への空転により、アウトプットシャフト130からの逆駆動力がインプットシャフト110に伝達されないので、いわゆるエンジンブレーキは働かず、この1速へのシフトダウンもショックなく円滑に行われる。ただし、エンジンブレーキ作動条件が満足されローコーストブレーキ260が作動すると、第3リングギア163はいずれの方向にも制動されるため、車両の走行状況や操作状況によってはエンジンブレーキが働くようになる。エンジンブレーキ作動条件は、例えばセレクトレバーに設けられたパワースイッチによりコントロールユニットに対してパワーモード等の特殊モードが設定され、かつアクセル開度が所定値以下である場合である。
【0047】
また、2速では、ロークラッチ(L/C)170と、セカンドブレーキ(2nd/B)230及びセカンドワンウエイクラッチ(2nd/OWC)240とを無条件で作動させ、さらに所定のエンジンブレーキ作動条件が満足された場合にリバースブレーキ(R/B)250を作動させる。
これにより、インプットシャフト110の駆動力は、中間シャフト120を介して第2サンギア151に伝達され、第2リングギア153が停止した状態での第2サンギア151の回転に伴う第2ピニオンギア152の公転(第2キャリア154の公転)として、アウトプットシャフト130にある程度トルク増幅(減速)されて出力される。
なお、図8の共線図において、この2速の場合の出力軸(アウトプットシャフト130)の回転数は、符合D2で示す点が表わしている。
【0048】
またこの際、リバースブレーキ(R/B)250が非作動状態の場合には、第2リングギア153の一方向への空転により、アウトプットシャフト130からの逆駆動力がインプットシャフト110に伝達されないので、いわゆるエンジンブレーキは働かず、この2速へのシフトダウンもショックなく円滑に行われる。ただし、エンジンブレーキ作動条件が満足されリバースブレーキ(R/B)250が作動すると、第2リングギア153はいずれの方向にも制動されるため、車両の走行状況や操作状況によってはエンジンブレーキが働くようになる。
【0049】
次に、3速では、ロークラッチ(L/C)170と、サードブレーキ(3rd/B)200及びサードワンウエイクラッチ(3rd/OWC)210とを無条件で作動させ、さらに所定のエンジンブレーキ作動条件が満足された場合にオーバードライブブレーキ(OD/B)220を作動させる。
これにより、インプットシャフト110の駆動力は、中間シャフト120を介して第2サンギア151に伝達され、第1サンギア141が停止した状態での第2サンギア151の回転に伴う第2ピニオンギア152の公転(第1リングギア143の回転、第2キャリア154の回転)として、アウトプットシャフト130に僅かにトルク増幅(減速)されて出力される。
なお、図8の共線図において、この3速の場合の出力軸(アウトプットシャフト130)の回転数は、符合D3で示す点が表わしている。
【0050】
またこの際、オーバードライブブレーキ(OD/B)220が非作動状態の場合には、第1サンギア141の一方向への空転により、アウトプットシャフト130からの逆駆動力がインプットシャフト110に伝達されないので、いわゆるエンジンブレーキは働かず、この3速へのシフトダウンもショックなく円滑に行われる。ただし、エンジンブレーキ作動条件が満足されオーバードライブブレーキ(OD/B)220が作動すると、第1サンギア141はいずれの方向にも制動されるため、車両の走行状況や操作状況によってはエンジンブレーキが働くようになる。
【0051】
また、4速では、ロークラッチ(L/C)170とハイクラッチ(H/C)180とを無条件で作動させる。これにより、インプットシャフト110の駆動力は、中間シャフト120及び中空軸部材121を介して第2サンギア151,第3サンギア161,第1キャリア144及び第2リングギア153に伝達され、そのままアウトプットシャフト130から出力される。この際、結果的に各プラネタリギア140,150,160の全てのギア、及びアウトプットシャフト130が、インプットシャフト110と一体的に回転することになる。
なお、図8の共線図において、この4速の場合の出力軸(アウトプットシャフト130)の回転数は、符合D4で示す点が表わしている。
【0052】
また、5速では、ハイクラッチ(H/C)180とオーバードライブブレーキ(OD/B)220とを無条件で作動させる。これにより、インプットシャフト110の駆動力は、中空軸部材121を介して第1キャリア144に伝達され、第1サンギア141が停止した状態での第1ピニオンギア142の回転に伴う第1リングギア143の回転(第2キャリア154の回転)として、アウトプットシャフト130にトルク減幅(増速)されて出力される。
なお、図8の共線図において、この5速の場合の出力軸(アウトプットシャフト130)の回転数は、符合D5で示す点が表わしている。
【0053】
また、Dレンジの各変速段においては、所定のロックアップ作動条件が満足されると、トルクコンバータ20のロックアップピストン28を作動させ、エンジンのクランク軸とインプットシャフト110とを直結することにより、伝達効率向上、燃費向上が図られる。この際、ロックアップピストン28を作動させる油圧は、例えば入力軸回転速度センサー197の出力信号によりトルクコンバータ20のタービンランナー24の回転数を検知しつつ、締結(ポンプインペラー23とタービンランナー24との回転数の一致)が徐々に行われるように制御される。また、ロックアップ作動条件は、例えばパワーモードが設定されておらず、かつ設定車速以上で設定スロットル開度以下の場合である。
【0054】
そして、セレクトレバーがRレンジに操作されると、コントロールユニット及びコントロールバルブユニット300の制御により、リバースクラッチ(R/C)190及びリバースブレーキ(R/B)250が無条件で作動する。すると、インプットシャフト110の駆動力は、中空軸部材122を介して第1サンギア141に伝達され、第1キャリア144(第1ピニオンギア142の公転)が停止した状態での第1サンギア141の回転に伴う第1リングギア143の逆転(第2キャリア154の逆転)として、アウトプットシャフト130に回転方向が反転されかつトルク増幅(減速)されて出力される。このため、車両の後退が可能となる。
なお、図8の共線図において、このRレンジの場合の出力軸(アウトプットシャフト130)の回転数は、符合Rで示す点が表わしている。
【0055】
なお、本発明は上記実施例の態様に限られず、各種の態様がありうる。例えば、サークリップ135の外周側を、ギアパック組み付け前に第3キャリア164の溝164aにはめ込んでおき、その後アウトプットシャフト130のフロント側をケース10の壁状部10aの中心孔から所定位置まで挿通し、その先端を第3キャリア164の中心孔内に挿入する過程で、一旦サークリップ135がアウトプットシャフト130の外周(スプライン外歯の歯先)により押され拡径して溝164a内に全体が沈み込み、その後アウトプットシャフト130と第3キャリア164の溝130a,164aが対向する所定位置において縮径して、サークリップ135の内周側がアウトプットシャフト130の溝130a内にはまり込む構成とすることもできる。
【0056】
【発明の効果】
本願発明によれば、回転軸を所定位置まで挿入するだけの簡単な作業で、ギアパックを構成する回転部材に対して、回転軸が取付けられ、かつその軸方向抜け止めがなされる。また、遊星ギア組は、予めギアパックとしてケース外で組立てた後、全体がケース内に組付けられる。したがって、従来のようにケース内の狭い空間に工具や手を挿入して、スナップリングを取付けたり、遊星ギア組を組立てるという困難かつめんどうな作業を不要にすることができ、自動変速機の組立性を格段に向上させることができる。
【0058】
特に請求項2記載の発明によれば、弾性係合手段を、回転部材の中心孔内周面と回転軸外周面とにそれぞれ形成された溝に弾力的に係合するサークリップにより構成したから、スナップリングと異なり、回転軸を両方向に抜け止めすることができ、回転軸を組み付けた後の組立作業が行い易くなり、さらに自動変速機の組立性が向上する。
また、この場合には、従来のスナップリングの場合のように回転軸の軸端を回転部材の側端面よりも突出させる必要がないため、設計の自由度が向上するとともに、その分空きスペースができて、変速機構を構成する各要素の高密度配置に貢献できる効果もある。
【0059】
また本願発明によれば、遊星ギア組を構成する各部品をギアパックとして組立てて扱うことで、これら部品の保管,運搬等の扱いが容易になる効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例である自動変速機の全体構成を示す断面図である。
【図2】本発明の第1実施例である自動変速機の補助変速機のスケルトンを示す図である。
【図3】本発明の第1実施例である自動変速機の部分断面図であって、図1の部分拡大図である。
【図4】本発明の第1実施例である自動変速機の部分断面図であって、図1の部分拡大図である。
【図5】本発明の第1実施例である自動変速機の要部断面図であって、図1の部分拡大図である。
【図6】本発明の第1実施例である自動変速機におけるサークリップ(弾性係合手段)を示す斜視図である。
【図7】本発明の第1実施例である自動変速機の各摩擦係合要素の作動状態を示す図である。
【図8】本発明の第1実施例である自動変速機の変速状態(プラネタリギアにおける各要素の回転数の関係)を示す共線図である。
【図9】従来の自動変速機の回転軸取付け構造を示す断面図である。
【符号の説明】
10 ケース
10a 壁状部(ケースの底部)
100 補助変速機(変速機構)
130 アウトプットシャフト(回転軸)
135 サークリップ(弾性係合手段)
130a,164a 溝(係合部)
140 第1プラネタリーギア(遊星ギア組)
150 第2プラネタリーギア(遊星ギア組)
160 第3プラネタリーギア(遊星ギア組)
164 第3キャリア(回転部材)

Claims (2)

  1. 筒状部と底部とからなるケースと、
    このケースの筒状部内に組付けられ、少なくとも一組の遊星ギア組を含むギアパックと、
    先端側が前記ケースの底部に設けられた孔から前記筒状部内に挿通され、前記ギアパックを構成する回転部材の中心孔内に先端が挿入されて、この回転部材に連結される回転軸と、
    前記回転部材に対する前記回転軸の軸方向の抜け止めを行う手段と
    を備えた自動変速機を組立てるための組立方法であって、
    前記抜け止めを行う手段として、前記回転軸が前記回転部材の中心孔内の所定位置まで挿入される際に、前記回転部材の中心孔内周面と前記回転軸外周面とにそれぞれ設けられた係合部に弾力的に係合する弾性係合手段を使用し、
    前記ギアパックを前記ケースの外で予め組立てた後、このギアパック全体を前記ケースの底部と反対側の開口から挿入して前記ケースの筒状部内に組み付け、次いで、前記弾性係合手段を前記回転部材又は前記回転軸のうちのいずれか一方の係合部に係合させた状態で、前記回転軸の先端側を前記ケースの底部に設けられた孔から挿通して前記回転部材の中心孔内の所定位置まで挿入し、前記弾性係合手段を各係合部に係合させることを特徴とする自動変速機の組立方法。
  2. 前記係合部は、前記回転部材の中心孔内周面と前記回転軸外周面とに形成され、前記所定位置において相対向する溝であり、
    前記弾性係合手段は、外周側と内周側とがそれぞれこれら各溝に弾力的にはまり込むサークリップであることを特徴とする請求項1に記載の自動変速機の組立方法。
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