JP3607237B2 - デジタルカメラ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、被写体像を撮影するデジタルカメラに関し、特に、デジタルカメラにおける合焦技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、デジタルカメラを用いて被写体像の撮影を行う際、ユーザが被写体像における合焦ポイントを指定することにより、その合焦ポイントに対応する画像部分が合焦状態となるように合焦制御を行うデジタルカメラが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のデジタルカメラでは、遠方にある被写体と近くある被写体とが混在するような場合、いずれか一方に合焦ポイントを合わせただけでは、双方の被写体を合焦状態に導くことは困難であった。
【0004】
その反面、ユーザにしてみれば、遠方にある被写体と近くある被写体とが混在する場合でも遠近双方の被写体像を合焦状態として、撮影を行いたいと思う場合もある。
【0005】
そこで、この発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、遠近競合する画像であっても、ユーザの意図通りとなるような合焦状態を実現して撮影を行うことができるデジタルカメラを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、撮像素子によって被写体像の撮影を行うデジタルカメラであって、撮影前の被写体像を表示可能な表示手段と、操作入力に基づき、前記表示手段の画面において複数の合焦ポイントを指定する指定手段と、前記指定手段によって指定された前記複数の合焦ポイントに基づいて、前記複数の合焦ポイントを含む合焦領域を設定する合焦領域設定手段と、前記合焦領域に含まれる画像が合焦状態となるように、前記撮像素子における撮影解像度を低下させる制御手段と、を備えている。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のデジタルカメラにおいて、絞りを含む撮影レンズをさらに備え、前記制御手段は、合焦動作時における前記絞りの絞り値が、前記複数の合焦ポイントに対応する複数の画像部分を同時に合焦状態とすることができない値である場合に、前記撮影解像度を低下させることを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0012】
<1.デジタルカメラの構成>
図1ないし図4は、本発明の一の実施形態に係るデジタルカメラ1の正面図、背面図、側面図および底面図であり、図5はデジタルカメラ1の内部構成を示すブロック図である。
【0013】
デジタルカメラ1は、図1に示すように、箱型のカメラ本体部2と直方体状の撮像部3(図1、図2および図4に太線で図示)とから構成されている。撮像部3は、ズームレンズ等で構成されるマクロ機能付きの撮影レンズ301を有するとともに、銀塩フィルムを用いるレンズシャッタカメラ(以下、「銀塩カメラ」と称する)と同様に、被写体からのフラッシュ光の反射光を受光する調光センサ305、および光学ファインダ31が設けられる。また、撮影レンズ301には、絞り値(Fナンバ)を可変させることの可能な絞り、撮影倍率を可変するためのズームレンズ、及び、被写体像の合焦状態を調整するためのレンズが含まれており、35mmフィルムを使用する銀塩カメラに換算して焦点距離35mmから70mmまでのズームが可能となっている。
【0014】
なお、撮像部3内部には撮影レンズ301の後方位置に、撮像素子として機能するCCDカラーエリアセンサであるCCD303(図5参照)を有し、CCD303は撮像回路302の一部となっている。
【0015】
カメラ本体部2の前面には、図1に示すように、左端部にグリップ部4および中央上部に内蔵フラッシュ5が設けられ、上面にはシャッタボタン8が設けられている。
【0016】
一方、図2に示すように、カメラ本体部2の背面には、略中央に撮影画像のモニタ表示(ビューファインダに相当)、記録画像の再生表示等を行うためのLCD10が設けられている。このLCD10は、例えば400×300画素数の表示画面を有する表示手段である。また、LCD10の下方に、デジタルカメラ1の操作を行うキースイッチ群221〜226および電源スイッチ227が設けられる。なお、キースイッチ224が拡大表示ボタンとして、キースイッチ225が、合焦ポイントに対応するAFカーソルをLCD10上に表示させるAFカーソルボタンとして、キースイッチ226がメニューボタンとして機能する。電源スイッチ227の左側には、電源がオン状態で点灯するLED228およびメモリカードへのアクセス中である旨を表示するLED229が配置される。
【0017】
さらに、カメラ本体部2の背面には、「撮影モード」、「再生モード」および「プリファレンスモード」の間でモードを切り替えるモード設定スイッチ14が設けられる(図3参照)。撮影モードは、写真撮影を行うモードであり、再生モードは、メモリカードに記録された撮影済み画像をLCD10に再生表示するモードであり、さらに、プリファレンスモードは、表示される表示項目(設定項目)の中から選択することにより各種の設定を行うモードである。
【0018】
モード設定スイッチ14は、3接点のスライドスイッチであり、図2において下にセットすると撮影モードに設定され、中央にセットすると再生モードに設定され、上にセットするとプリファレンスモードに設定される。
【0019】
また、カメラ背面右側には、4連スイッチ230が設けられ、撮影モードにおいてボタン231,232を押すことにより撮影レンズ301の焦点距離が変わり、ズーム倍率を変更するズーミングが行えるとともに、ボタン233,234を押すことによって露出補正を手動で行える。また、撮影モード下であっても、AFカーソルボタンとして機能するキースイッチ225の押下操作が行われた場合には、4連スイッチ230の各ボタン231〜234がAFカーソルを移動させるための操作ボタンとなる。
【0020】
撮像部3の背面には、図2に示すように、LCD10をオン/オフさせるためのLCDボタン321およびマクロボタン322が設けられる。LCDボタンが押されるとLCD表示のオン/オフが切り替わる。例えば、専ら光学ファインダ31のみを用いて撮影するときには、節電の目的でLCD表示をオフにする。マクロ撮影時には、マクロボタン322が押されることにより、AFモータ308(図5参照)が駆動され撮影レンズ301がマクロ撮影可能な状態になる。
【0021】
カメラ本体部2の側面には、図3に示すようにDC入力端子235が設けられる。
【0022】
カメラ本体部2の底面には、図4に示すように、電池装填室18と、カード装填室17(カードスロット部)とが設けられる。カード装填室17は、メモリカード91やモデムカード92などが装填できる。このカード装填室17については、クラムシェルタイプの蓋15により開閉自在になっている。
【0023】
デジタルカメラ1では、4本の単三形乾電池を電池装填室18に装填することにより、これらを直列接続してなる電源電池236(図5参照)を駆動源としている。もちろん、図4に示すDC入力端子235からアダプタからの電力を供給して使用することも可能である。
【0024】
次に、図5を参照しながら撮像部3の内部構成について順に説明する。
【0025】
撮像回路302は、撮影レンズ301によりCCD303上に結像された被写体の光像を、CCD303を用いて光電変換し、R(赤),G(緑),B(青)の色成分の画像信号(各画素で受光された画素信号の信号列からなる信号)として出力する。CCD303は、その撮像面に例えば1600×1200の画素を有している。
【0026】
デジタルカメラ1では絞りが可変絞りとなっているので、撮像部3における露出制御は、所定のプログラムラインに沿って、絞り値とシャッタスピード(CCD303の電荷蓄積時間)とを調整することにより行われる。また、被写体輝度が低輝度である場合であって適切な絞り値及びシャッタスピードを設定することができない場合には、CCD303から出力される画像信号のレベル調整を行うことにより露光不足による不適正露出が補正される。画像信号のレベル調整は、信号処理回路313内のAGC(オートゲインコントロール)回路によって行われる。
【0027】
タイミングジェネレータ314は、カメラ本体部2内のタイミング制御回路202から送信されるクロックに基づきCCD303の駆動制御信号を生成するものである。タイミングジェネレータ314は、例えば、積分開始/終了(すなわち、電荷蓄積の開始/終了)のタイミング信号、各画素の受光信号の読出制御信号(水平同期信号,垂直同期信号,転送信号等)等のクロック信号を生成し、CCD303に出力する。
【0028】
信号処理回路313は、撮像回路302から出力される画像信号(アナログ信号)に所定のアナログ信号処理を施すものである。信号処理回路313は図示しないが、その内部にCDS(相関二重サンプリング)回路とAGC回路とを有し、CDS回路により画像信号のノイズの低減を行い、AGC回路のゲインを調整することにより画像信号のレベル調整を行う。なお、AGC回路におけるゲイン設定は、カメラ本体部2の全体制御部211によって行われる。
【0029】
調光回路304は、フラッシュ撮影における内蔵フラッシュ5の発光量をカメラ本体部2の全体制御部211により設定された所定の発光量に制御するものである。フラッシュ撮影においては、CCD303の積分開始と同時に被写体からのフラッシュ光の反射光が調光センサ305により受光され、この受光量が所定の発光量に達すると、調光回路304から全体制御部211を介してカメラ本体部2のフラッシュ制御回路214へ発光停止信号が出力される。フラッシュ制御回路214は、この発光停止信号に応答して内蔵フラッシュ5の発光を強制的に停止し、これにより、内蔵フラッシュ5の発光量が所定の発光量に制御される。
【0030】
また、撮像部3の内部には、撮影レンズ301のズーム比の変更と収容位置と撮影位置との間のレンズ移動を行うためのズームモータ307、合焦を行うためのAF(オートフォーカス)モータ308、及び、絞りの開放状態を調整するための絞りモータ309が設けられる。
【0031】
次に、カメラ本体部2の内部構成について説明する。
【0032】
全体制御部211は主にCPUからなり、アドレスバス、データバス、コントロールバスで接続されている上述した撮像部3内およびカメラ本体部2内の各周辺構成の駆動を制御することによってデジタルカメラ1の撮影動作を統括制御するものである。また、全体制御部211内には、データを一時的に記憶するためのワークRAMとして機能するDRAM211a、およびプログラムを格納するためのフラッシュROM211bを内蔵している。
【0033】
次に、カメラ本体部2の内部における画像信号の処理および画像表示に関する構成について説明する。
【0034】
撮像部3の信号処理回路313から送られたアナログ画像信号はカメラ本体部2内の画像処理部200において各種画像処理が施される。図6は画像処理部200の構成を示すブロック図である。まず、画像処理部200へ送られてきたアナログ画像信号はA/D変換器205において各画素ごとに10ビットのデジタル信号に変換される。A/D変換器205は、タイミング制御回路202から入力されるA/D変換用のクロックに基づいて各画素信号(アナログ信号)を10ビットのデジタル信号に変換する。
【0035】
なお、タイミング制御回路202は、全体制御部211の制御により、基準クロックやタイミングジェネレータ314およびA/D変換器205に対するクロックを生成する。
【0036】
黒レベル補正回路206は、A/D変換された画素信号(以下、「画素データ」という。)の黒レベルを基準の黒レベルに補正するものである。また、WB(ホワイトバランス)回路207は、R,G,Bの各色成分の画素データのレベル変換を行うものであり、後工程のγ補正を考慮したホワイトバランスの自動調整(AWB)を行う。ホワイトバランスの調整は、全体制御部211からWB回路207に入力されるレベル変換テーブルを用いて行われ、レベル変換テーブルの各色成分の変換係数(特性の傾き)は全体制御部211により撮影画像毎に設定される。
【0037】
γ補正回路208は、画素データのγ特性を補正するものである。γ補正回路208からの出力は図5に示すように画像メモリ209に送られる。
【0038】
画像メモリ209は、画像処理部200から出力される画素データを記憶するメモリであり、1フレーム分の記憶容量を有している。すなわち、画像メモリ209は、CCD303が1600×1200のマトリクス状に配列した画素を有している場合、1600×1200画素分の画素データの記憶容量を有し、各画素データが対応する記憶領域(アドレス)に記憶されるようになっている。
【0039】
VRAM210は、LCD10に再生表示される画像データのバッファメモリである。VRAM210は、LCD10の400×300画素に対応した画像データの記憶容量、すなわち400×300画素分の容量を有している。
【0040】
このような構成により、撮影モードにおける撮影待機状態においては、撮像部3により所定間隔毎に撮像された画像の各画素データが画像処理部200により処理され、画像メモリ209に記憶されるとともに全体制御部211を介してVRAM210に転送され、LCD10に表示される。これにより、被写体に関する撮影前の画像をLCD10に動画的に表示するライブビュー表示が行えることとなる。
【0041】
すなわち、ライブビュー表示では、図7に示すように、1600×1200画素の画像メモリ209内の画像データを、縦横1/4に間引いて400×300画素のVRAM210に転送されることとなる。
【0042】
また、再生モードにおいては、メモリカード91から読み出された画像に全体制御部211による所定の信号処理が施された後、VRAM210に転送されてLCD10に再生表示される。なお、LCD10において画像を表示する際には、全体制御部211の制御によりバックライト16が点灯する。
【0043】
次に、カメラ本体部2内のその他の構成について順に説明する。
【0044】
カードI/F212は、カード装填室17に装填された各種の機能カードとの間で信号の受け渡しを行うインタフェースである。機能カードとは、メモリカード91やモデムカード92等であり、カードI/F212は、全体制御部211からの指令に基づいて、メモリカード91の画像データの書込みおよび画像データの読出しを行ったり、モデムカード92を介してデジタルカメラ1の外部とデータ入出力を行う。
【0045】
フラッシュ制御回路214は、前述のように、内蔵フラッシュ5の発光を制御する回路である。フラッシュ制御回路214は、全体制御部211の制御信号に基づき内蔵フラッシュ5の発光の有無、発光量および発光タイミング等を制御し、調光回路304から入力される発光停止信号に基づき内蔵フラッシュ5の発光量を制御する。
【0046】
時計回路219は、撮影日時を管理するするための時計回路である。図示しない別の電源で駆動される。
【0047】
また、カメラ本体部2内には、ズームモータ307を駆動するためのズームモータ駆動回路215、AFモータ308を駆動するためのAFモータ駆動回路216、絞りモータ309を駆動するための絞りモータ駆動回路217が設けられる。これらの回路は、全体制御部211の制御によって動作するように構成される。また、全体制御部211は、ユーザがシャッタボタン8やその他の上述した各種スイッチ、ボタンである操作部250の操作を行った際に、その操作に応じて、各駆動回路215〜217を制御して、CCD303に結像される被写体像がユーザの意図通りの画像となるように制御する。
【0048】
例えば、シャッタボタン8は銀塩カメラで採用されているような半押し状態(S1)と全押し状態(S2)とが検出可能な2段階スイッチになっており、撮影モード時の待機状態でユーザがシャッタボタン8を半押し状態にすると、AFモータ駆動回路216がAFモータ308を駆動し、合焦位置へ撮影レンズ301を移動させる。このときの合焦動作は、ユーザによって指定される合焦ポイント(すなわちAFカーソル)の位置に対応する画像部分が合焦状態となるように行われる。なお、AFカーソルの位置はユーザの操作によって移動可能なように構成され、かつ、AFカーソルの数もユーザの操作によって変化するように構成される。
【0049】
全体制御部211は、ユーザがAFカーソルボタン(キースイッチ225:図2参照)を操作した際に、LCD10に表示するライブビュー表示に重畳させた状態で、AFカーソルを表示させる。そしてユーザが4連スイッチ230の各ボタン231〜234を操作した場合に、全体制御部211は、その操作に応答してLCD10に表示するAFカーソルを画面内で移動させる。
【0050】
そしてAFカーソルが複数個設定された場合には、全体制御部211は合焦動作を行う際に、それら複数のAFカーソルが位置する画像部分が同時に合焦状態となるような合焦制御を行う。
【0051】
<2.自動合焦制御>
次に、デジタルカメラ1における自動合焦制御について詳細に説明する。図8は、画像における合焦状態を評価するAF評価ブロックを示す図である。図8(a)に示すように、1600×1200の画素で構成される画像データは、水平方向に8分割、垂直方向に15分割されて形成される各ブロックがAF評価ブロックとなる。つまり、図8(b)に示すように、1個のAF評価ブロックは200×80画素によって構成される。
【0052】
なお、上記の8分割されて形成される水平方向のAF評価ブロックの配列に対し、互いに隣接するAF評価ブロックの水平方向について半分の領域が重なるように、さらに7×15個のAF評価ブロックを設けるようにしてもよい。このように構成すれば、AF評価ブロックは水平方向に15個及び垂直方向に15個配列されることとなり、画像における合焦ポイントの位置を微細に調整することが可能になる。
【0053】
デジタルカメラ1では、上記のAF評価ブロックに対応するAFカーソルがLCD10に表示されることとなるが、これに関して以下で説明する。
【0054】
図9は、デジタルカメラ1の部分ブロック図である。また、図10は、LCD10におけるAFカーソルの表示状態を示す図である。
【0055】
全体制御部211は、カーソル発生部211fと、カーソル表示位置制御部211gと、解像度変換部211hと、画像合成部211iと、合焦領域設定部211jと、評価値演算部211kとを有している。
【0056】
カーソル発生部211fは、LCD10において、図10に示すAFカーソルCR1,CR2を発生させるためのカーソルデータをフラッシュROM211bから読出し、カーソル表示位置制御部211gに転送する。なお、AFカーソルCR1,CR2は、十字の形状を有し、そのサイズは、LCD10の画面上で16×16画素の大きさとなっている。なお、後述する合焦ポイントの優先設定を行う際には、CR1CR2と識別可能にするために、色もしくは形状を区別するか、あるいはカーソルに記号等を表示するのが望ましい。
【0057】
また、カーソル発生部211fは、AFカーソルCR1,CR2の一方を警告表示に切り換える際にも、警告表示に対応するカーソルデータをフラッシュROM211bから読出し、カーソル表示位置制御部211gに転送する。なお、AFカーソルの警告表示については後述する。
【0058】
カーソル表示位置制御部211gは、操作部250に対してユーザによって行われる操作入力に基づき、LCD10上のAFカーソルCR1,CR2の表示位置を変更する。カーソル表示位置制御部211gは、AFカーソルCR1,CR2が画像データに設定される各AF評価ブロックの位置に対応して移動するように表示位置の制御を行うように構成される。このため、AF評価ブロックが水平方向に8個設けられている場合、AFカーソルCR1,CR2は、ユーザの操作に応答して水平方向に8箇所、垂直方向に15箇所の任意の位置に移動することができる。また、AF評価ブロックが水平方向に15個設けられている場合、AFカーソルCR1,CR2は、ユーザの操作に応答して水平方向に15箇所、垂直方向に15箇所の任意の位置に移動することができる。
【0059】
より具体的には、ユーザが4連スイッチ230の左側ボタン231(図2参照)を1回操作すると、LCD10に表示されるAFカーソルCR1又はCR2がAF評価ブロックの配列に応じて1段階左方側に移動し、右側ボタン232を1回操作すると1段階右方側に移動する。同様に、上側ボタン233を1回操作すると1段階上方側に移動し、下側ボタン234を1回操作すると1段階下方側に移動する。
【0060】
また、カーソル表示位置制御部211gは、LCD10の画面上に表示するAFカーソルCR1,CR2の数も制御する。
【0061】
例えば、初期状態においてLCD10の画面上にはAFカーソルは表示せず、画像の中央部分に対応するAF評価ブロックの画像成分が合焦状態となるように設定される。そして、ユーザがAFカーソルボタン(キースイッチ225:図2参照)を操作した際に、LCD10に表示するライブビュー表示に重畳させた状態で、第1のAFカーソルCR1を表示させる。このときAFカーソルCR1の表示位置は、初期位置、例えば画面中央部のAF評価ブロックに対応する位置となる。そして、ユーザが4連スイッチ230の各ボタン231〜234を操作することにより、初期位置に表示される第1のAFカーソルCR1を、合焦状態を実現したい画像部分に移動させる。
【0062】
この状態でユーザがシャッタボタン8を半押し状態(S1)にした場合、第1のAFカーソルCR1の位置に対応するAF評価ブロックBK1の画像成分が合焦状態となるように合焦制御が行われる。
【0063】
一方、ユーザがシャッタボタン8を操作することなく、さらにAFカーソルボタンを操作した場合、カーソル表示位置制御部211gは、第1のAFカーソルCR1を画面内に表示した状態で固定し、第2のAFカーソルCR2をさらにライブビュー表示に重畳させた状態で表示させる。このときもAFカーソルCR2の表示位置は初期位置となる。そして、ユーザが4連スイッチ230の各ボタン231〜234を操作することにより、初期位置に表示される第2のAFカーソルCR2を、合焦状態を実現したい画像部分に移動させる。
【0064】
この状態でユーザがシャッタボタン8を半押し状態(S1)にした場合、第1及び第2のAFカーソルCR1,CR2の位置に対応するAF評価ブロックBK1,BK2の画像成分が合焦状態となるように合焦制御が行われる。
【0065】
そしてさらに、ユーザがシャッタボタン8を操作することなく、さらにAFカーソルボタンを操作した場合には、カーソル表示位置制御部211gは第1及び第2のAFカーソルCR1,CR2の画面上における現在位置をDRAM211a内に格納保存するとともに、LCD10の画面上におけるAFカーソルCR1,CR2を表示しない状態に切り換える。
【0066】
次に、解像度変換部211hは、CCD303で取得される画像データを1/4に間引いた画像を生成し、その画像を画像合成部211iに与えるように構成される。
【0067】
画像合成部211iでは、解像度変換部211hから入力される画像と、カーソル表示位置制御部211gから入力されるAFカーソルCR1,CR2の画像とを合成し、VRAM210に伝送する。この合成動作により、LCD10上のAFカーソルCR1,CR2の大きさは、一定のサイズとなる。
【0068】
合焦領域設定部211jは、LCD10の画面におけるAFカーソルCR1,CR2に対応し、合焦に利用する合焦領域(AFエリア)を設定する。合焦領域とは、合焦動作の際に評価値演算を行う対象となる画像領域である。
【0069】
LCD10の画面上にAFカーソルCR1,CR2が表示されていない場合には、合焦領域設定部211jは、画像の中央部分に対応するAF評価ブロックを合焦領域として設定する。また、LCD10の画面上に第1のAFカーソルCR1のみが表示されている場合には、合焦領域設定部211jは、AFカーソルCR1の位置に対応するAF評価ブロックBK1を合焦領域として設定する。
【0070】
また、LCD10の画面上に第1及び第2のAFカーソルCR1,CR2が表示されている場合、合焦領域設定部211jが合焦領域を設定する形態には2つの形態がある。第1の合焦領域設定形態は、AFカーソルCR1,CR2に対応するAF評価ブロックBK1,BK2を合焦領域として設定する形態であり、AFカーソルCR1,CR2の位置に対応しないAF評価ブロックについては合焦領域として用いられない。また、第2の合焦領域設定形態は、AFカーソルCR1,CR2に対応するAF評価ブロックBK1,BK2を含み、かつAFカーソルCR1,CR2の位置関係によって定まる評価領域に含まれる全てのAF評価ブロックを合焦領域として設定する形態である。
【0071】
なお、第1の合焦領域設定形態と、第2の合焦領域設定形態とのいずれを適用するかは、プリファレンスモード下において、ユーザにより予め設定されるものとする。
【0072】
評価値演算部211kは、シャッタボタン8が半押し状態(S1)になった場合に、コントラスト方式のAFを行うための評価値演算動作が行われる。ここでは、撮影レンズ301に含まれる合焦状態を調整するためのレンズを段階的に移動させつつ、合焦領域に含まれるAF評価ブロックごとに、各AF評価ブロックの画像成分に基づき、隣接画素間での画素データの差分絶対値の総和が評価値として求められる。このようにして求められる評価値は、レンズ位置に応じて変化し、AF評価ブロックの画像成分が合焦状態となったときに最大値を示す。したがって、評価値が最大値を示すレンズ位置から、当該AF評価ブロックに含まれる被写体とデジタルカメラ1との距離(被写体距離)を一義的に求めることが可能である。
【0073】
LCD10の画面上にAFカーソルが表示されていない場合には、評価値演算部211kが画像中央部分に対応する1個のAF評価ブロックについて評価値を求め、全体制御部211が評価値の最大値を示すレンズ位置に撮影レンズを移動させるべく、AFモータ駆動回路216を駆動制御すればよい。また、LCD10の画面上に第1のAFカーソルCR1だけが表示されている場合にも、評価値演算部211kがAFカーソルCR1の位置に対応する1個のAF評価ブロックについて評価値を求め、全体制御部211が評価値の最大値を示すレンズ位置に撮影レンズを移動させるべく、AFモータ駆動回路216を駆動制御すればよい。
【0074】
一方、LCD10の画面上に第1及び第2のAFカーソルCR1,CR2が表示されている場合には、評価値演算部211kが、第1のAFカーソルCR1の位置に対応するAF評価ブロックBK1、及び、第2のAFカーソルCR2の位置に対応するAF評価ブロックBK2について評価値を求め、これらの評価値が最大値を示すレンズ位置からAF評価ブロックBK1,BK2に含まれるそれぞれの被写体までの被写体距離を求める。全体制御部211は、少なくともAF評価ブロックBK1,BK2に含まれるそれぞれの被写体が被写界深度内に収まるように制御する。
【0075】
例えば、図10に示すようにAFカーソルCR1,CR2が設定されている場合において、ユーザがシャッタボタン8を半押し状態(S1)に操作すると、評価値演算部211kはAF評価ブロックBK1,BK2のそれぞれに含まれる画像成分から評価値を算出する。
【0076】
図11は、AF評価ブロックBK1,BK2から算出される評価値C1,C2を示す図である。図11に示すように、AF評価ブロックBK1から求められる評価値C1は、レンズ位置P1で最大値を示す。また、AF評価ブロックBK2から求められる評価値C2は、レンズ位置P2で最大値を示す。そして、これらのレンズ位置P1,P2に基づいて、各AF評価ブロックBK1,BK2に含まれる被写体に関する被写体距離を求める。
【0077】
図12は、評価値C1,C2に基づいて求められる被写体距離La,Lbを示す図である。図12に示すように、AF評価ブロックBK1に関する評価値C1から被写体81とデジタルカメラ1との被写体距離Laが求められる。また、AF評価ブロックBK2に関する評価値C2から被写体82とデジタルカメラ1との被写体距離Lbが求められる。
【0078】
したがって、被写体距離Laにある被写体81と、被写体距離Lbにある被写体82とを同時に合焦状態とするためには、被写体距離Laと被写体距離Lbとが共に被写界深度内に収まることが必要である。
【0079】
図13及び図14は、被写界深度の変化の一例を説明する図である。ここで、撮影レンズ301の絞り値(Fナンバ)をF、撮影レンズ301の焦点距離をf、CCD303の画素ピッチをd、許容錯乱円に基づく係数をkとし、撮影レンズ301を距離wの位置に合焦させたとき、撮影レンズ301から距離L1から距離L2までの間にある被写体は合焦状態となる。すなわち、距離L1から距離L2までの深さが被写界深度となり、距離L1及び距離L2は被写界深度の両端位置を示すことになる。
【0080】
距離L1は、
【0081】
【数1】
Figure 0003607237
【0082】
によって求められ、距離L2は、
【0083】
【数2】
Figure 0003607237
【0084】
によって求められる。ここで、撮影レンズ301の絞りの開放径(絞り径)をDとすると、絞り値FはF=f/Dによって定義される。
【0085】
そして、撮影レンズ301の絞りを図13に示す開放径Dから図14に示す開放径D1(D1<D)に変化させると、上記数1及び数2の式より、距離L1の値は小さくなる一方、距離L2の値は大きくなる。つまり、撮影レンズ301の絞りの開放径を小さくして、絞りを絞り込むことにより、被写界深度を深くすることができる。
【0086】
したがって、図12に示すように被写体距離Laにある被写体81と、被写体距離Lbにある被写体82とを同時に合焦状態にするためには、被写界深度の両端までの距離L1,L2を考えると、L1≦La及びL2≧Lbの関係が成立するように、全体制御部211は撮影レンズ301を制御する。
【0087】
なお、全体制御部211が撮影レンズ301を制御することには、AFモータ駆動回路216に駆動信号を与えることによってAFモータ308を駆動し、それによって被写界深度の中心位置までの距離wを調整することと、絞りモータ駆動回路217に駆動信号を与えることによって絞りモータ309を駆動し、それによって被写界深度の深さを調整することとが含まれる。
【0088】
また、全体制御部211はCCD303による撮影解像度を制御することによっても被写界深度の調整を行うように構成される。例えば、撮影解像度を低下させれば、画素ピッチdが大きくなるので、距離L1の値を小さく、かつ、距離L2の値を大きくすることができ、その結果、被写界深度を深くすることが可能である。
【0089】
次に、デジタルカメラ1の動作を説明する。図15は、デジタルカメラ1の基本的な動作を示す状態遷移図である。
【0090】
撮影モードに入ると、状態ST1となる。状態ST1では、LCD10でライブビュー表示が行われるとともに、AFカーソルCRが表示されず、LCD10の画面の中央に対応するAF評価ブロックが合焦領域(AFエリア)として設定される。ここで、シャッタボタン8が半押し(S1)されると、状態ST2に移行し、シャッタボタン8が全押し(S2)されると、状態ST3に移行する。
【0091】
状態ST2では、LCD10の画面中央部(すなわち、画像の中央部)のAF評価ブロックについて合焦制御(AF)が行われる。また、AE(自動露光処理)についても画面中央部のAF評価ブロックの画像成分に基づいて行われ、AWB(オートホワイトバランス処理)については全画面の画像(すなわち撮影画像全体)に対して行われる。そして、シャッタボタン8が半押し(S1)状態から解除された場合には、状態ST1に戻る。
【0092】
状態ST3では、全体制御部211が画像記録のための本撮影動作を行うように各部を制御し、CCD303による本撮影で得られた画像データがメモリカード91に記録される。
【0093】
また、状態ST1において、AFカーソルボタンが押されると、状態ST4に移行する。状態ST4では、LCD10でライブビュー表示が行われるとともに、第1のAFカーソルCR1がLCD10の画面上に表示される。状態ST1から状態ST4への移行時において、DRAM211a内に、第1のAFカーソルCR1についての位置情報が格納されている場合には、それを読み出して、その位置情報に基づく画面上の位置に第1のAFカーソルCR1を表示する。ただし、DRAM211a内に第1のAFカーソルCR1についての位置情報が格納されていない場合には、初期状態となる画面中央の位置に第1のAFカーソルCR1を表示する。状態ST4において、シャッタボタン8が半押し(S1)されると、状態ST5に移行し、シャッタボタン8が全押し(S2)されると、状態ST3に移行する。また、4連スイッチ230が操作されると、状態ST6に移行する。
【0094】
状態ST5では、LCD10に表示される第1のAFカーソルCR1のカーソル位置に対応するAF評価ブロックBK1について合焦制御(AF)が行われる。また、AE(自動露光処理)についても第1のAFカーソルCR1に対応するAF評価ブロックBK1の画像成分に基づいて行われ、AWB(オートホワイトバランス処理)については全画面の画像(すなわち撮影画像全体)に対して行われる。そして、シャッタボタン8が半押し(S1)状態から解除された場合には、状態ST4に戻る。
【0095】
状態ST6では、撮影者による4連スイッチ230の操作入力により、第1のAFカーソルCR1がLCD10の画面上で水平・垂直方向に移動し、第1の合焦ポイントが変更される。ここで、4連スイッチ230の操作に応じた第1のAFカーソルCR1の表示位置を移動させる処理が終了すると、再度状態ST4に移行する。そして状態ST4において再びAFカーソルボタンが押されると、第1のAFカーソルCR1の表示状態を維持したまま、状態ST7に移行する。
【0096】
状態ST7では、LCD10でライブビュー表示が行われるとともに、第1のAFカーソルCR1が表示されているLCD10の画面上に、さらに第2のAFカーソルCR2が表示される。状態ST4から状態ST7への移行時において、DRAM211a内に、第2のAFカーソルCR2についての位置情報が格納されている場合には、それを読み出して、その位置情報に基づく画面上の位置に第2のAFカーソルCR2を表示する。ただし、DRAM211a内に第2のAFカーソルCR2についての位置情報が格納されていない場合には、初期状態となる画面中央の位置に第2のAFカーソルCR2を表示する。
【0097】
状態ST7において、シャッタボタン8が半押し(S1)されると、状態ST8に移行し、シャッタボタン8が全押し(S2)されると、状態ST3に移行する。また、4連スイッチ230が操作されると、状態ST9に移行する。
【0098】
状態ST8では、LCD10に表示される第1のAFカーソルCR1のカーソル位置に対応するAF評価ブロックBK1、及び、第2のAFカーソルCR2のカーソル位置に対応するAF評価ブロックBK2について合焦制御(AF)が行われる。つまり、AF評価ブロックBK1,BK2が同時に合焦状態となるように合焦制御が行われるのである。また、AE(自動露光処理)については、第1のAFカーソルCR1に対応するAF評価ブロックBK1と、第2のAFカーソルCR2に対応するAF評価ブロックBK2とによって定義される画像領域の画像成分に基づいて行われ、AWB(オートホワイトバランス処理)については全画面の画像(すなわち撮影画像全体)に対して行われる。
【0099】
そして、状態ST8では、AF評価ブロックBK1,BK2が同時に合焦状態となるように合焦制御が行われるため、絞り、シャッタスピード、又は、AGC回路のゲイン等が全体制御部211によって調整され、各AF評価ブロックBK1,BK2に含まれる被写体が同時に被写界深度内に収まるような合焦動作が行われる。なお、シャッタスピード又はAGC回路のゲインを調整するのは、絞りの開放径を調整して被写界深度を調整したことにより、露出レベルが変化することを防止するためであり、絞りの開放径の調整量に応じてシャッタスピードやゲインが設定される。
【0100】
状態ST8で、シャッタボタン8が半押し(S1)状態から解除された場合には、再び状態ST7に戻る。
【0101】
状態ST9では、撮影者による4連スイッチ230の操作入力により、第2のAFカーソルCR2がLCD10の画面上で水平・垂直方向に移動し、第2の合焦ポイントが変更される。ここで、4連スイッチ230の操作に応じた第2のAFカーソルCR2の表示位置を移動させる処理が終了すると、再び状態ST7に移行する。
【0102】
そして状態ST7において再びAFカーソルボタンが押されると、状態ST10に移行する。状態ST10では、第1のAFカーソルCR1の表示位置、及び、第2のAFカーソルCR2の表示位置をDRAM211aに記憶する。そして、各AFカーソルCR1,CR2のカーソル位置の記憶処理が終了すると、LCD10の画面上から、AFカーソルCR1,CR2のカーソル表示を消去し、通常のライブビュー表示だけを表示するようにLCD10の表示状態を変更する。そして、その後、状態ST10から状態ST1に移行する。
【0103】
このように、デジタルカメラ1では、ユーザがAFカーソルボタンの押下操作するごとにLCD10に表示されるAFカーソルの数が増加するように構成され、かつ、ユーザがAFカーソルボタンを所定回数押下した時点で、再びLCD10の画面上からAFカーソルの表示が消えるように構成される。そして、AFカーソルを増加させたときに、新たに画面上に表示されたAFカーソルの位置を4連スイッチ230を操作することによってAFカーソルの位置(すなわち合焦ポイント)を移動させることができるように構成されている。
【0104】
したがって、ユーザは画面上に表示される複数のAFカーソルのうち、いずれが移動対象となっているかを容易に把握することができ、AFカーソルなどの指定において利便性が向上することとなる。
【0105】
次に、複数のAFカーソル位置に対応する複数のAF評価ブロックを同時に合焦状態とするための各種処理について説明する。図16及び図17は、プリファレンスモード時における合焦領域の設定形態(合焦動作モード)を予め設定する際のLCD10における表示画面を示す図である。
【0106】
まず、図16に示すように合焦動作モードの設定画面がLCD10に表示され、ユーザは、ボタン233,234等を操作することにより、上述した第1の合焦領域設定形態(合焦ポイントでの合焦制御を行うモード)と、第2の合焦領域設定形態(評価領域での合焦制御を行うモード)とのいずれか一方を選択する。なお、図16では選択された合焦モードを黒塗りで示している。
【0107】
ところが、ユーザによって指定される複数のAFカーソルに対応する合焦ポイントの全てで絞り等を調整することで合焦状態を実現することが困難な場合もある。例えば、無限遠方の被写体と、デジタルカメラから数十cmのところにある近側被写体とを同時に合焦状態とすることは困難である。
【0108】
そのため、プリファレンスモード時には、複数の合焦ポイントで合焦状態を実現することが困難な場合に、いずれの合焦ポイントを優先させて合焦制御を行うかを予め設定しておくことができるように構成されている。つまり、図16の設定画面に表示される、「優先設定無し」と「優先設定有り」とのうちの「優先設定有り」を選択することにより、複数の合焦ポイントで合焦状態を実現することが困難な場合でも、いずれかの合焦ポイントを優先させて合焦制御を行うための設定を行うことができるように構成されている。
【0109】
「優先設定有り」が選択されると、図17に示す設定画面に画面表示が切り替わり、ユーザは、図17の画面表示に基づいて、どのような合焦ポイントを優先させて合焦制御を行うかの設定を行う。
【0110】
例えば、第1ポイント優先は、第1のAFカーソルCR1に対応するAF評価ブロックBK1が合焦状態となるように合焦制御を行う優先モードであり、第2ポイント優先は、第2のAFカーソルCR2に対応するAF評価ブロックBK2が合焦状態となるように合焦制御を行う優先モードである。また、近側被写体優先は、第1及び第2のAFカーソルCR1,CR2を含む合焦領域のうちで、最もデジタルカメラ1に近い位置にある被写体が含まれているAF評価ブロックが合焦状態となるように合焦制御を行う優先モードであり、遠側被写体優先は、第1及び第2のAFカーソルCR1,CR2を含む合焦領域のうちで、最もデジタルカメラ1から遠い位置にある被写体が含まれているAF評価ブロックが合焦状態となるように合焦制御を行う優先モードである。
【0111】
そしてユーザはプリファレンスモード時に、上記のような優先モードのうちから一のモードを選択しておくことにより、撮影モード時に複数の合焦ポイントで合焦状態を実現することが困難な場合、選択された優先モードに応じた合焦ポイントが優先されて合焦制御が行われる。
【0112】
以下、デジタルカメラ1のLCD10に複数のAFカーソルCR1,CR2が表示されている場合における合焦動作についてフローチャートを参照しつつ、説明する。
【0113】
<2−1.合焦ポイントによる合焦制御>
まず、合焦ポイントで合焦制御を行う場合であって、優先設定が行われていない場合での状態ST8(図15参照)における合焦動作ついて説明する。
【0114】
図18及び図19は合焦ポイントによる合焦制御の動作を示すフローチャートである。まず、撮影モード時において、全体制御部211はシャッタボタン8が半押し(S1)状態とされたか否かを判断する(ステップS100)。そしてシャッタボタン8の半押し状態を検知すると、ステップS102に進む。
【0115】
シャッタボタン8が半押し状態にされると、全体制御部211は、第1のAFカーソルCR1に対応するカーソル位置の被写体を測距し、被写体距離Laを算出する(ステップS102)。また、全体制御部211は、第2のAFカーソルCR2に対応するカーソル位置の被写体を測距し、被写体距離Lbを算出する(ステップS104)。具体的には、全体制御部211がAFモータ駆動回路216に駆動信号を与えることにより、撮影レンズ301を微小ピッチで段階的に移動させ、各レンズ位置において得られる画像信号から、各カーソル位置に対応するAF評価ブロックについて図11に示すような評価値を求め、その評価値の最大値を示すレンズ位置から被写体距離La,Lbを求める(図12参照)。
【0116】
そして、全体制御部211はステップS102及びS104で得られる被写体距離La,Lbの大小関係を求める(ステップS106)。これにより、第1のAFカーソルCR1に対応する被写体と、第2のAFカーソルCR2に対応する被写体とのいずれの被写体がデジタルカメラ1に近い位置にあるかを判定することができる。
【0117】
全体制御部211は、距離La,Lbの中間点を求めることにより、被写体距離wを求める(ステップS108)。例えば、w=(La+Lb)/2の演算を行うことにより、被写体距離wを求めることができる。ここで求められる被写体距離wが、図13及び図14に示す被写体距離wであり、被写界深度の中心位置となる。
【0118】
また、被写体距離wが求まれば、被写体距離wの位置にある被写体を合焦状態に設定するためのレンズ位置を一義的に求めることができる。そのため、全体制御部211は、被写体距離wの位置が合焦状態となるように撮影レンズ301を駆動する(ステップS110)。なお、より簡単には、図11に示すように得られる各AFカーソル位置に対応する評価値C1,C2の中間点を求め、その中間点に対して撮影レンズ301を駆動するようにしてもよい。
【0119】
そして全体制御部211は、デジタルカメラ1における現在の設定値(特に絞り値F)に基づいて、被写界深度の両端位置L1,L2を求め(ステップS112,図13)、撮影レンズ301の絞り等の設定値が現在の設定値のままで全てのAFカーソル位置の合焦が可能か否かを判断する(ステップS114)。
【0120】
具体的には、上述した数1及び数2の式に基づく演算を行うことによって、現在の設定値による被写界深度の両端までの距離L1,L2を求め、L1≦La及びL2≧Lbの関係が成立するか否かを判断する。ここで、L1≦La及びL2≧Lbの関係が成立する場合には、AFカーソルCR1,CR2に対応する位置にある被写体が被写界深度内に収まっていることになるので、現状のままで各AFカーソルCR1,CR2の被写体が合焦状態として得られていることになる。そのため、L1≦La及びL2≧Lbの関係が成立する場合には、特別な処理を行うことなく、合焦動作を終了する。
【0121】
一方、L1≦La及びL2≧Lbの関係が成立しない場合には、AFカーソルCR1,CR2に対応する位置にある被写体が被写界深度内に収まっていないことになるので、各AFカーソルCR1,CR2の被写体を合焦状態に導くために、複数ポイントの合焦処理(ステップS116)が行われる。
【0122】
ステップS116の処理の詳細を、図19のフローチャートに示す。複数の合焦ポイントを合焦状態に導くために、絞り値Fを現在の設定値よりも大きくして、絞りを絞り込む(ステップS122)。つまり、絞りの開放径を小さくすることにより、距離L1の値を小さく、かつ、距離L2の値を大きくして、被写界深度をより深くする(数1及び数2の式を参照)。この結果、ステップS114(図18参照)においてL1≦La及びL2≧Lbの関係が成立しなかった場合でも、被写界深度を深くすることで、L1≦La及びL2≧Lbの関係が成立するように設定変更を行うことができる。ただし、絞りを絞り込む際には、L1≦La及びL2≧Lbの関係が成立するように絞り値Fの値を決定することが必要である。
【0123】
そしてステップS124に進み、絞り値Fを変更した後、その変更後の絞り値Fに基づいて、シャッタスピードを現在の設定値よりも遅く設定する。一般に、絞りを絞り込んだ場合は露出レベルが低下するため、絞り値Fを変更したことによる露出レベルの補償を行うことが必要である。そこで、この実施の形態では、絞りを絞り込むことで被写界深度を深くした場合に、それに伴う露出レベルの低下を抑制するために、変更後の絞り値Fに応じてシャッタスピードが遅くなるように設定される。これにより、絞り値Fを変化させる前後で同程度の露出レベルを実現することができ、適切な露出レベルでの撮影動作を行うことが可能になる。
【0124】
ところで、シャッタスピードが所定の限界値よりも遅くなるような場合には、手ブレ現象が発生することも予想される。そのため、ステップS126では、シャッタスピードが所定の限界値よりも遅くなるか否かを判断することにより、手ブレ現象の発生の有無を検査する。ここでシャッタスピードが所定の限界値よりも遅くなる場合にはステップS128に進む。その一方、シャッタスピードが所定の限界値よりも遅くならない場合には、複数の合焦ポイントが同時に合焦状態とされ、かつ、露出レベルも適正レベルに維持されるので、複数ポイントの合焦処理を終了する。
【0125】
ステップS128では、シャッタスピードを限界値に設定し、手ブレ現象が発生することを防止する。そしてステップS130に進み、全体制御部211は信号処理回路313に含まれるAGC回路のゲインをゲインアップさせる。すなわち、シャッタスピードの低下が限界値で制限されるため、AGC回路のゲイン値を現在の設定値よりも高い値に設定することで、露出レベルを適正レベルに補償するのである。
【0126】
ところがゲインアップを行う場合でも、ゲインの設定不可能な値にまでゲインアップを行うことはできない。また、ゲインアップによってノイズ成分が目立つようになることは避けなければならない。このため、ステップS132では、ゲイン値がゲインアップの上限値であるか否かを判断する。この上限値としては、ゲインアップの限界値、又は、ノイズ成分が所定レベル以上となるゲイン値等が用いられる。ここで、ゲインアップ後のゲイン値が上限値を超えない場合には、複数の合焦ポイントが同時に合焦状態とされ、かつ、露出レベルも適正レベルに維持されるので、複数ポイントの合焦処理を終了する。一方、ゲインアップの上限値を超える場合には、ステップS134に進む。
【0127】
ステップS134では、絞りを絞り込むだけでは、複数の合焦ポイントを同時に合焦状態とし、かつ、露出レベルも適正レベルに維持することができないので、全体制御部211が警告を発生させる。例えば、LCD10の画面上に画質を劣化させることなく複数の合焦ポイントを同時に合焦状態とすることが出来ない旨の警告表示を行う。
【0128】
そして全体制御部211は、撮影解像度を低下させる(ステップS136)。このとき、撮影レンズ301における絞りの開放径は絞り込んだ状態から若干大きくされ(すなわち、絞り値Fは若干小さくされ)、シャッタスピード及びゲイン値の調整だけでは適正露出とすることができなかった露出レベルを適正レベルに調整する。このとき、絞り値Fが小さくなるので、複数の合焦ポイントに対応する被写体が被写界深度内から外れる可能性がある。そのため、全体制御部211が撮影解像度を制御することによって撮影解像度を低下させ、複数の合焦ポイントに対応する被写体を被写界深度内に収めるようにする。
【0129】
すなわち、ステップS136では、数1及び数2の式の画素ピッチdを大きくすることによって複数の合焦ポイントに対応する被写体を被写界深度内に収めるようにし、かつ、露出レベルの適正化を図っているのである。
【0130】
このような合焦ポイントによる合焦制御の動作を行うことにより、指定された複数の合焦ポイントに対応する各被写体までの距離に応じて被写界深度が調整され、各被写体が被写界深度内に収まるようにデジタルカメラ1の内部状態が制御されるので、遠近競合する画像であっても、ユーザの意図通りとなるような合焦状態を実現して撮影を行うことが可能になる。また、撮影して得られる画像は常に適正露出となるようにも制御される。
【0131】
なお、図19のフローチャートでは、シャッタスピードが所定の限界値よりも遅く場合に、ゲインアップを行うように動作手順が構築される例を示したが、シャッタスピードが所定の限界値よりも遅く場合はユーザがシャッタボタン8を全押し(S2)操作すること、すなわちレリーズ操作を行うことを禁止するように構築してもよい。
【0132】
また、図19のフローチャートでは、ゲインアップの上限値を超える場合に、警告を発生して撮影解像度を制御するように動作手順が構築される例を示したが、ゲインアップの上限値を超える場合もユーザがレリーズ操作を行うことを禁止するように構築してもよい。
【0133】
また、ステップS136で撮影解像度を低下させることを設定した場合、ユーザがシャッタボタン8の全押し操作(S2)を行って、本撮影動作を行うと、ユーザが希望する解像度の画像が得られないことになる。そのため、ステップS136において撮影解像度を低下させた場合には、本撮影動作によって得られる画像に対して画素補間処理を施すことによって擬似的に撮影解像度を上昇させて、メモリカード91に記録することが好ましい。
【0134】
<2−2.評価領域による合焦制御>
次に、AFカーソルCR1,CR2に対応するAF評価ブロックBK1,BK2を含み、かつAFカーソルCR1,CR2の位置関係によって定まる評価領域で合焦制御を行う場合であって、優先設定が行われていない場合での状態ST8(図15参照)における合焦動作ついて説明する。
【0135】
図20は評価領域による合焦制御の動作を示すフローチャートである。まず、撮影モード時において、全体制御部211はシャッタボタン8が半押し(S1)状態とされたか否かを判断する(ステップS200)。そしてシャッタボタン8の半押し状態を検知すると、ステップS202に進む。
【0136】
ステップS202では、第1のAFカーソルCR1の位置と、第2のAFカーソルCR2の位置とから、評価領域を設定する。図21は評価領域ERの設定の一例を示す図である。例えば、第1のAFカーソルCR1及び第2のAFカーソルCR2の位置を焦点とする楕円を設定し、その楕円がブロック内の領域に半分以上含まれているAF評価ブロックを全て抽出して評価領域ERを設定する。また、最も簡単には、第1のAFカーソルCR1及び第2のAFカーソルCR2の位置を頂点とし、第1のAFカーソルCR1及び第2のAFカーソルCR2を結ぶ線分を対角線とする矩形領域を設定し、その矩形領域を評価領域ERとして設定してもよい。なお、これら以外の例えばBK1、BK2を含む矩形エリアを評価領域とする方法によって評価領域ERを設定してもよい。
【0137】
このようにステップS202では、AFカーソルCR1,CR2に対応するAF評価ブロックBK1,BK2を含み、かつAFカーソルCR1,CR2の位置関係によって定まる評価領域ERが設定される。そして、その評価領域ERに含まれる全てのAF評価ブロックが合焦領域(AFエリア)として設定される。
【0138】
次に、全体制御部211は、評価領域ERに含まれる全てのAF評価ブロックについて、被写体を測距することにより、各AF評価ブロックに含まれる各被写体までの距離を求める(ステップS204)。
【0139】
そして全体制御部211は、評価領域ERに含まれる各AF評価ブロックについて求められる被写体までの距離のうちから、最大値と最小値とを求める(ステップS206)。ここで求められる最大値が図12に示す被写体距離Lbに対応し、最小値が図12に示す被写体距離Laに対応する。つまり、ステップS206において被写体までの距離の最大値と最小値とが求められることにより、被写体距離La,Lbが求められる。
【0140】
そして全体制御部211は、距離La,Lbの中間点を求めることにより、被写体距離wを求める(ステップS208)。例えば、w=(La+Lb)/2の演算を行うことにより、被写界深度の中心位置に相当する被写体距離wを求めることができる。そして、この被写体距離wに基づいて、被写体距離wの位置にある被写体を合焦状態に設定するためのレンズ位置を求め、そのレンズ位置に撮影レンズ301を駆動する(ステップS210)。この結果、被写体距離wの位置にある被写体の合焦状態が実現される。
【0141】
そして全体制御部211は、デジタルカメラ1における現在の設定値(特に絞り値F)に基づいて、被写界深度の両端位置L1,L2を求め(ステップS212,図13)、撮影レンズ301の絞り等の設定値が現在の設定値のままで、評価領域ERに含まれる全てのAF評価ブロックの合焦が可能か否かを判断する(ステップS214)。
【0142】
そして、評価領域ERに含まれる全てのAF評価ブロックの合焦が可能な場合には、現状のままで各AF評価ブロックの被写体が合焦状態として得られていることになり、特別な処理を行うことなく、合焦動作を終了する。
【0143】
その一方、評価領域ERに含まれる全てのAF評価ブロックの合焦が不可能な場合には、各AF評価ブロックに対応する位置にある被写体が被写界深度内に収まっていないことになるので、各AF評価ブロックの被写体を合焦状態に導くために、複数ポイントの合焦処理(ステップS216)が行われる。
【0144】
なお、ステップS216における複数ポイントの合焦処理の詳細は、図19に示したフローチャートと同様である。
【0145】
このような評価領域ERによる合焦制御の動作を行うことにより、指定された複数の合焦ポイントを含み、かつ、複数の合焦ポイントの位置関係によって定まる一つの評価領域ERに含まれる全ての被写体が被写界深度内に収まるように調整されるので、遠近競合する画像であっても、ユーザの意図通りとなるような合焦状態を実現して撮影を行うことが可能になる。また、評価領域ERはAF評価ブロックよりも広い一つの領域として設定されるので、広い範囲で合焦状態が実現された撮影画像を得ることが可能になる。
【0146】
<2−3.優先設定に基づく合焦制御>
次に、合焦ポイントで合焦制御を行う場合であって、優先設定が行われている場合での状態ST8(図15参照)における合焦動作、すなわち優先設定に基づく合焦動作ついて説明する。
【0147】
図22及び図23は優先設定に基づく合焦制御の動作を示すフローチャートである。まず、撮影モード時において、全体制御部211はシャッタボタン8が半押し(S1)状態とされたか否かを判断する(ステップS300)。そしてシャッタボタン8の半押し状態を検知すると、ステップS302に進む。
【0148】
シャッタボタン8が半押し状態にされると、全体制御部211は、第1のAFカーソルCR1に対応するカーソル位置の被写体を測距し、被写体距離Laを算出する(ステップS302)。また、全体制御部211は、第2のAFカーソルCR2に対応するカーソル位置の被写体を測距し、被写体距離Lbを算出する(ステップS304)。
【0149】
そして、全体制御部211はステップS302及びS304で得られる被写体距離La,Lbの大小関係を求め(ステップS306)、距離La,Lbの中間点を求めることにより、被写体距離wを求める(ステップS308)。なお、被写体距離La,Lbの大小関係を求めることにより、第1及び第2のAFカーソルCR1,CR2のうちで近側被写体及び遠側被写体を特定することができる。また、被写体距離wにある被写体を合焦させるためのレンズ位置は、被写体距離La,Lbの双方にある被写体を同時に合焦させるための合焦位置となる。
【0150】
そして全体制御部211は、デジタルカメラ1における現在の設定値(特に絞り値F)に基づいて、被写界深度の両端位置L1,L2を求め(ステップS310)、撮影レンズ301の絞り等の設定値が現在の設定値のままで全てのAFカーソル位置の合焦が可能か否かを判断する(ステップS312)。
【0151】
そして、各AFカーソル位置の合焦が可能な場合には、現状のままで各AF評価ブロックの被写体が合焦状態として得られていることになり、特別な処理を行うことなく、合焦動作を終了する。
【0152】
その一方、各AFカーソル位置の合焦が不可能な場合には、各AF評価ブロックに対応する位置にある被写体が被写界深度内に収まっていないことになる。したがって、この実施の形態では、各AFカーソル位置の被写体を同時に合焦させることが不可能な場合に、優先設定に基づく合焦処理(ステップS314)が行われる。
【0153】
ステップS314の処理の詳細を、図23のフローチャートに示す。優先設定に基づく合焦処理(ステップS314)では、まず、優先設定の内容が判断される(ステップS320)。すなわち、プリファレンスモードで設定された優先設定の内容が全体制御部211によって判断され、「第1ポイント優先」が設定されている場合にはステップS322に進み、「第2ポイント優先」が設定されている場合にはステップS324に進み、「近側被写体優先」が設定されている場合には、ステップS326に進み、「遠側被写体優先」が設定されている場合には、ステップS328に進む。
【0154】
ステップS322では、第1ポイント、すなわち第1のAFカーソルCR1に対応するAF評価ブロックを、優先して合焦状態とすることをユーザに報知するために第2のAFカーソルCR2を警告表示に切り換える。
【0155】
図24は、AFカーソルの警告表示の一例を示す図である。図24では、一例として第2のAFカーソルCR2が警告表示のために、第1のAFカーソルとは別の色(例えば白抜き等)で表示される例を示している。このように合焦状態を実現するために有効なカーソル表示(AFカーソルCR1の表示)と、合焦状態を実現するために無効なカーソル表示(AFカーソルCR1の表示)とを区別して表示することにより、ユーザはLCD10の画面を視認するだけで、合焦状態を実現することのできない被写体を容易に特定することができる。なお、AFカーソルの警告表示の形態は表示色を変更するだけでなく、他の表示形態を採用してもよい。
【0156】
また、ステップS324では、第2ポイント、すなわち第2のAFカーソルCR2に対応するAF評価ブロックを、優先して合焦状態とすることをユーザに報知するために第1のAFカーソルCR1を警告表示に切り換える。
【0157】
また、ステップS326では、近側被写体を優先して合焦状態とするため、第1及び第2のAFカーソルCR1,CR2のうちの近側被写体に対応するAFカーソルを有効表示とし、遠側被写体に対応するAFカーソルを警告表示に切り換える。
【0158】
さらに、ステップS328では、遠側被写体を優先して合焦状態とするため、第1及び第2のAFカーソルCR1,CR2のうちの遠側被写体に対応するAFカーソルを有効表示とし、近側被写体に対応するAFカーソルを警告表示に切り換える。
【0159】
つまり、ステップS322,S324,S326,S328のそれぞれでは、予め設定された優先設定に基づいて合焦動作を行うために、合焦動作に反映されないAFカーソルを警告表示に切り換えることで、ユーザにその旨の通知を行うように構成されている。
【0160】
そして、ステップS330に進み、優先設定に基づいて第1及び第2のAFカーソルのうちの一方のAF評価ブロックについて合焦状態を実現するレンズ位置(合焦位置)が特定される。
【0161】
図22のフローチャートに戻り、全体制御部211が合焦位置に対して撮影レンズ301を駆動させることにより、被写体の合焦状態を実現する(ステップS316)。ステップS314の処理が行われた場合には、このとき、優先設定に基づいて特定されたレンズ位置に撮影レンズ301が駆動される。
【0162】
このような優先設定に基づく合焦制御の動作を行うことにより、指定された複数の合焦ポイントについて適切に合焦状態を実現することが困難な場合にも、優先設定された合焦ポイントだけは合焦状態を実現することが可能であるので、撮影の失敗等を防止することが可能になる。
【0163】
なお、上記の優先設定に基づく合焦処理(ステップS314)は、図18及び図19のフローチャート、並びに、図20のフローチャートにおいて複数ポイントの合焦処理(ステップS116,S216)が行われた後で、合焦状態を実現することが困難であることが判明した場合にも適用することができる。
【0164】
<3.変形例>
以上、この発明の具体的実施形態について説明したが、この発明は上記に説明した内容のものに限定されるものではない。
【0165】
例えば、上記実施形態では主としてデジタルスチルカメラにおける合焦技術について説明したが、これに限定されるものではなく、デジタルビデオカメラ等にも上述した合焦技術を適用することは可能である。
【0166】
さらに、本発明は、パーソナルコンピュータの指示に従ってパーソナルコンピュータに接続された撮像部から画像データを取得する、いわゆるPCカメラやインターネットにも適応でき、このようなシステムも本発明のデジタルカメラの範疇に含まれる。
【0167】
また、上記実施形態ではシャッタボタン8が半押し状態(S1)とされたときに合焦動作を行う例について説明したが、合焦動作を行うタイミングはこれに限定されるものではない。例えば、ライブビュー表示時に常時合焦動作が行われるように構成してもよいし、シャッタボタン8が全押し(S2)されたときの本撮影動作を行う直前に合焦動作を行うように構成してもよい。
【0187】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の発明によれば、操作入力に基づいて、表示手段の画面において複数の合焦ポイントを指定し、その複数の合焦ポイントに基づいて、複数の合焦ポイントを含む合焦領域を設定し、その合焦領域に含まれる画像が合焦状態となるように、撮像素子の撮影解像度を低下させるため、被写界深度の深さが調整されて各合焦ポイントに対応する被写体を合焦させることができ、ユーザの意図通りとなるような合焦状態を実現して撮影を行うことが可能である。
【0188】
請求項2に記載の発明によれば、複数の合焦ポイントに対応する被写体を同時に被写界深度内に収めることが可能になり、遠近競合する画像であっても、ユーザの意図通りとなるような合焦状態を実現して撮影を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一の実施形態に係るデジタルカメラの正面図である。
【図2】この発明の一の実施形態に係るデジタルカメラの背面図である。
【図3】この発明の一の実施形態に係るデジタルカメラの側面図である。
【図4】この発明の一の実施形態に係るデジタルカメラの底面図である。
【図5】デジタルカメラの内部構成を示すブロック図である。
【図6】画像処理部の構成を示すブロック図である。
【図7】ライブビュー表示における画像データの変換を示す図である。
【図8】合焦状態を評価するAF評価ブロックを示す図である。
【図9】デジタルカメラ内部の部分ブロック図である。
【図10】LCDにおけるAFカーソルの表示状態を示す図である。
【図11】AF評価ブロックから算出される評価値を示す図である。
【図12】評価値に基づいて求められる被写体距離を示す図である。
【図13】被写界深度の変化の一例を説明する図である。
【図14】被写界深度の変化の一例を説明する図である。
【図15】デジタルカメラの基本的な動作を示す状態遷移図である。
【図16】合焦動作モードを設定する際の表示画面を示す図である。
【図17】合焦動作モードを設定する際の表示画面を示す図である。
【図18】合焦ポイントによる合焦制御の動作を示すフローチャートである。
【図19】合焦ポイントによる合焦制御の動作を示すフローチャートである。
【図20】評価領域による合焦制御の動作を示すフローチャートである。
【図21】評価領域の設定の一例を示す図である。
【図22】優先設定に基づく合焦制御の動作を示すフローチャートである。
【図23】優先設定に基づく合焦制御の動作を示すフローチャートである。
【図24】AFカーソルの警告表示の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 デジタルカメラ
8 シャッタボタン
10 LCD(表示手段)
211 全体制御部(合焦領域設定手段,制御手段)
211a DRAM(記憶手段)
230 4連スイッチ(ポイント移動手段)
225 キースイッチ、AFカーソルボタン(ポイント数変更手段)
301 撮影レンズ
303 CCD(撮像素子)
CR1,CR2 AFカーソル(合焦ポイント)
BK1,BK2 AF評価ブロック
ER 評価領域

Claims (2)

  1. 撮像素子によって被写体像の撮影を行うデジタルカメラであって、
    撮影前の被写体像を表示可能な表示手段と、
    操作入力に基づき、前記表示手段の画面において複数の合焦ポイントを指定する指定手段と、
    前記指定手段によって指定された前記複数の合焦ポイントに基づいて、前記複数の合焦ポイントを含む合焦領域を設定する合焦領域設定手段と、
    前記合焦領域に含まれる画像が合焦状態となるように、前記撮像素子における撮影解像度を低下させる制御手段と、
    を備えるデジタルカメラ。
  2. 請求項1に記載のデジタルカメラにおいて、
    絞りを含む撮影レンズをさらに備え、
    前記制御手段は、合焦動作時における前記絞りの絞り値が、前記複数の合焦ポイントに対応する複数の画像部分を同時に合焦状態とすることができない値である場合に、前記撮影解像度を低下させることを特徴とするデジタルカメラ。
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