JP3606688B2 - サーマルヘッド及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ファクシミリ、プリンタ等に使用されるサーマルヘッド及びその製造方法に関連する。
【0002】
【従来の技術】
従来の一般的なサーマルヘッドは、アルミナセラミックスなどからなる絶縁基板の上に熱伝導率の低い材質で保温層を形成し、その上に記録用発熱体と電極を形成した構成となっている。しかしながら、従来のサーマルヘッドの構成では、記録初期は印字濃度が低く見た目に薄いのに対し、ある程度使用するとサーマルヘッドの温度が平衡化するため、印字濃度が一定になる。このため、印刷初期と印刷開始後一定時間経過した状態とでは印刷濃度が一定でなく、良好な印刷物が得られない問題がある。この問題は、印字濃度の安定性が重要な要因であるカラー印刷では特に重要である。
前記のような従来のサーマルヘッドを有する問題点を解決するものとして、例えば、特開平7−52430号公報には、高速で高画質の印字が可能となると共に寿命と信頼性を向上できるサーマルヘッドが開示されている。このサーマルヘッドは、PTCで形成されたヘッド基板と、ヘッド基板の記録用発熱体の表面側に並んで配置された一対の補助発熱用電極と、ヘッド基板と補助発熱体とを覆う絶縁体と、絶縁体の上にライン上に形成された記録用発熱体と、記録用発熱体に接続された記録用電極対と、記録用発熱体と、記録用電極対とを覆う保護層とを備えている。
このサーマルヘッドのヘッド基板は、BaTiO3系PTCセラミックス材料で形成され、ヘッド基板の上に表面平滑性の優れたガラス層で被覆して、絶縁体を形成すると共に、絶縁体の上に記録用発熱体及び電極層を形成している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記公報のサーマルヘッドに使用されるBaTiO3系PTCセラミックスは、123×10−7/℃と大きい線膨張係数を有するため、この線膨張係数と同等のガラス材の種類が少ない。また、この条件を満足するガラスの使用に際し、ペースト状のガラス粉末を被覆する方法では、熱処理中に発生する微細な気泡又はボイドを除去することが難しいため、研磨処理の有無に拘わらず、0.01μm以下の表面粗さを満足することは難しい。このため、ヘッド基板と補助発熱体とを覆う絶縁体は、製造工程を考慮すると、PTCを構成するBaTiO3系セラミックス材料の線膨張係数123×10−7/℃に近い線膨張係数を有するガラス材料を使用することが難しいという問題がある。このため、記録用発熱体等を形成するために必要な表面粗さ0.01μm以下の表面平滑性をガラス質の絶縁体に与えることはできなかった。更に、BaTiO3系PTCセラミックスの線膨張係数に近い線熱膨張係数を有するガラスとして知られているガラスは、補助発熱用電極と化学的に反応しやすいという問題がある。
従って、従来ではサーマルヘッドを製造する場合に、線膨張係数、表面粗さ又は補助発熱用電極との化学的安定性のいずれかを犠牲にして製造するしかなく、そのためサーマルヘッドの耐久性及び製造歩留まりが極めて悪かった。
そこで、この発明はBaTiO3系PTCセラミックス基板を使用し、耐久性及び製造歩留まりを向上できるサーマルヘッド及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
この発明によるサーマルヘッドは、BaTiO3系PTCセラミックスで形成されたヘッド基板(1)と、0.01μm以下の表面粗さ及び95×10-7/℃〜150×10-7/℃の線膨張係数を有するガラス板(3)と、ガラス板(3)に取り付けられた記録用発熱体(4)と、ヘッド基板(1)の上面に配置された補助発熱用電極(2)をヘッド基板(1)とガラス板(3)との間に挟持する状態又はヘッド基板(1)の底面に補助発熱用電極(2)を固着する状態でヘッド基板(1)とガラス板(3)との間に固着された接着材層(5)とを備えている。
この発明の実施の形態では、ガラス板(3)は、110×10-7/℃〜140×10-7/℃の線膨張係数を有する。接着材層(5)は、化学的に補助発熱用電極(2)と反応しない。
この発明によるサーマルヘッドの製造方法は、BaTiO3系PTCセラミックスで形成されたヘッド基板(1)に補助発熱用電極(2)を固定する工程と、0.01μm以下の表面粗さ及び95×10-7/℃〜150×10-7/℃の線膨張係数を有するガラス板(3)を準備する工程と、ヘッド基板(1)の上面に補助発熱用電極(2)を支持しかつヘッド基板(1)とガラス板(3)との間に補助発熱用電極(2)を挟持する状態又はヘッド基板(1)の底面に補助発熱用電極(2)を固着する状態でヘッド基板(1)とガラス板(3)との間に接着材層(5)を固着して基板組立体を形成する工程と、基板組立体を加熱炉に配置して接着材層(5)を溶融し固化させる工程と、ガラス板(3)に記録用発熱体(4)を取り付ける工程とを含む。
【0005】
0.01μm以下の表面粗さ及び95×10-7/℃〜150×10-7/℃の線膨張係数を有するガラス板(3)を接着材層(5)によりヘッド基板(1)に固着するため、表面粗さが小さくかつヘッド基板(1)の線膨張係数に近い線膨張係数のガラス板(3)を使用することができる。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、この発明によるサーマルヘッドの実施形態を図1及び図2について説明する。
この発明によるサーマルヘッドは、BaTiO3系PTCセラミックスで形成されたヘッド基板1と、ヘッド基板1の上面に固定された補助発熱用電極2と、0.01μm以下の表面粗さ及び95×10-7/℃〜150×10-7/℃の線膨張係数、好適には110×10-7/℃〜140×10-7/℃の線膨張係数を有するガラス板3と、ガラス板3に取り付けられた記録用発熱体4と、ヘッド基板1とガラス板3との間に配置されヘッド基板1とガラス板3とを固着する接着材層5とを備えている。本発明に使用されるガラス板3としては、例えば、日本電気硝子株式会社製「マイクロスペーサML−05(商品名)」又は「マイクロスペーサML−512(商品名)」として販売されている95×10-7/℃〜150×10-7/℃の線膨張係数を有するガラス材料により形成され、研磨加工により0.01μm以下の表面粗さに形成されたものが挙げられる。上記のガラスは二酸化珪素(SiO2)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化硼素(B2O3)及び酸化アルミニウム(Al2O3)を主成分とするものである。補助発熱用電極にニッケル(Ni)を使用し接着材層に特殊の樹脂を使用すると、ニッケルが接着材に化学的に反応してガスを発生し発泡する場合があるが、接着材層5は化学的に補助発熱用電極2と反応しない材料が使用される。
この発明によるサーマルヘッドの製造の際に、まず、BaTiO3系PTCセラミックスで形成されたヘッド基板1に補助発熱用電極2を固定する。次に、0.01μm以下の表面粗さ及び95×10-7/℃〜150×10-7/℃の線膨張係数を有するガラス板3とヘッド基板1との間に補助発熱用電極2を挟持する状態で接着材層5を配置して基板組立体を形成する。具体的には、ヘッド基板1上に接着材層5を構成する補助発熱用電極2と反応しない粉末を被覆し、その上にガラス板3を載せ、熱処理により接着固化させて、接着材層5でヘッド基板1上にガラス板3を貼り合わせる。その後、基板組立体を加熱炉に配置して接着材層5を溶融し固化させる。続いて、ガラス板3に記録用発熱体4を取り付ける。
0.01μm以下の表面粗さ及び95×10-7/℃〜150×10-7/℃の線膨張係数を有するガラス板3を接着材層5によりヘッド基板1に固着するため、表面粗さが小さく所望の表面平滑性を備えかつヘッド基板1の線膨張係数に近い線膨張係数のガラス板3を使用することができる。
【0007】
本実施形態の作用効果を列挙すれば次の通りである。
[1] ヘッド基板1とガラス板3との線膨張係数が近似するため、加熱時にヘッド基板1に反りが発生しない。
[2] 接着材層5が補助発熱用電極2と化学的に反応しないため、補助発熱用電極2が劣化しない。
[3] 極めて良好なサーマルヘッドを歩留まり良く得られる。
[4] ガラス板の表面粗度が小さいため、紙材等の記録媒体をサーマルヘッドに対して相対的に円滑に移動することができる。
本実施形態では、ガラス板3とヘッド基板1との間に補助発熱用電極2を挟持する状態で接着材層5を配置して基板組立体を形成する例を示したが、補助発熱用電極2を接着材層5とは反対側のヘッド基板1の底面に固着して、基板組立体を形成してもよい。
【0008】
【実施例】
自己温度制御可能で且つ正の抵抗温度係数を有する感温素子(PTC)材料を用いて、成形・焼成により縦50mm、横50mm、厚さ0.6mmのヘッド基板1を作製する。ヘッド基板1上に、全体的又は部分的に発熱させる補助発熱用電極2を銀(Ag)、ニッケル(Ni)又はアルミニウム(Al)等の金属で形成する。その後、補助発熱用電極2と化学的に反応しない接着材層5をヘッド基板1上に印刷する。接着材層5は、BaTiO3系セラミックスで構成されるヘッド基板1の線膨張係数123×10−7/℃を含む範囲で線膨張係数95×10−7/℃〜150×10−7/℃を有するガラス粉末をペースト化したガラス接着剤、例えば日本電気硝子株式会社の磁気ヘッド封着ガラス「SB−524(商品名)」又は「SB−601(商品名)」を使用できる。このガラス接着剤は、二酸化珪素(SiO2)、酸化マグネシウム(MgO)及び酸化アルミニウム(Al2O3)を主成分とし、成分中に酸化硼素(B2O3)を含まない。次に、ガラス板3をヘッド基板1に貼り合わせ、熱処理する。ガラス板3は、ヘッド基板1の線膨張係数と近似した線膨張係数95×10−7/℃〜150×10−7/℃を有する。得られたサーマルヘッドは、0.05mm/幅50mm以下の反りで、ガラス3の表面粗さ0.008μmを実現できる。
【0009】
【発明の効果】
前記のように、この発明によるサーマルヘッドは、ヘッド基板とガラス板との線膨張係数が近似するため、使用時に加熱されても機械的変形が小さい。また、接着材層が補助発熱用電極と化学的に反応しないため、補助発熱用電極が劣化しない。このため、サーマルヘッドの寿命が延長され、極めて良好なサーマルヘッドを歩留まり良く得られる。また、ガラス板の表面粗度が小さいため、使用時に記録媒体をサーマルヘッドに対して相対的に円滑に移動することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるサーマルヘッドの断面図
【図2】図1のサーマルヘッドの平面図
【符号の説明】
1・・ヘッド基板、 2・・補助発熱用電極、 3・・ガラス板、 4・・記録用発熱体、 5・・接着材層、
Claims (6)
- BaTiO3系PTCセラミックスで形成されたヘッド基板と、
0.01μm以下の表面粗さ及び95×10-7/℃〜150×10-7/℃の線膨張係数を有するガラス板と、
ガラス板に取り付けられた記録用発熱体と、
ヘッド基板の上面に配置された補助発熱用電極をヘッド基板とガラス板との間に挟持する状態又はヘッド基板の底面に補助発熱用電極を固着する状態でヘッド基板とガラス板との間に固着された接着材層とを備えたことを特徴とするサーマルヘッド。 - ガラス板は、110×10-7/℃〜140×10-7/℃の線膨張係数を有する請求項1に記載のサーマルヘッド。
- 接着材層は、化学的に補助発熱用電極と反応しない請求項1に記載のサーマルヘッド。
- BaTiO3系PTCセラミックスで形成されたヘッド基板に補助発熱用電極を固定する工程と、
0.01μm以下の表面粗さ及び95×10-7/℃〜150×10-7/℃の線膨張係数を有するガラス板を準備する工程と、
ヘッド基板の上面に補助発熱用電極を支持しかつヘッド基板とガラス板との間に補助発熱用電極を挟持する状態又はヘッド基板の底面に補助発熱用電極を固着する状態でヘッド基板とガラス板との間に接着材層を固着して基板組立体を形成する工程と、
基板組立体を加熱炉に配置して接着材層を溶融し固化させる工程と、
ガラス板に記録用発熱体を取り付ける工程とを含むことを特徴とするサーマルヘッドの製造方法。 - ガラス板は110×10-7/℃〜140×10-7/℃の線膨張係数を有する請求項4に記載のサーマルヘッドの製造方法。
- 接着材層は化学的に補助発熱用電極と反応しない請求項4に記載のサーマルヘッドの製造方法。
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