JP2004106293A - サーマルヘッド及びそれを用いたサーマルプリンタ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】上面に多数の発熱抵抗体及び多数の回路導体を有するヘッド基板と、上面に多数の配線導体を有する配線基板とを、両者間に間隙を形成するように併設するとともに、前記多数の回路導体と多数の配線導体とを金属細線で電気的に接続し、これら金属細線を帯状の樹脂材で共通に被覆してなるサーマルヘッドであって、前記樹脂材の一部を前記ヘッド基板−配線基板間の間隙を介してヘッド基板下面及び配線基板下面まで延在させる。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ファクシミリやビデオプリンタ等に記録デバイスとして組み込まれるサーマルヘッド及びそれを用いたサーマルプリンタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ファクシミリ等の記録デバイスとしてサーマルヘッドが用いられている。
【0003】
かかる従来のサーマルヘッドとしては、図7に示すように、上面に多数の発熱抵抗体13及び多数の回路導体14を有するアルミナセラミックス製のヘッド基板11と、上面に多数の配線導体15を有するガラスエポキシ樹脂製の配線基板12とを併設するとともに、前記ヘッド基板11上の回路導体14と配線基板12上の配線導体15とを金属細線18で電気的に接続し、これら金属細線18を帯状を成すエポキシ樹脂製の樹脂材17で共通に被覆した構造のものが知られており(例えば、特許文献1乃至特許文献4参照。)、感熱紙やインクリボン等の感熱記録媒体をプラテンローラを用いて発熱抵抗体13上に搬送しながら、多数の発熱抵抗体13を個々に選択的にジュール発熱させるとともに、これらの熱を感熱記録媒体に伝達させることによって所定の印画が形成される。
【0004】
尚、前記樹脂材17は、プラテンローラ等の外力によって金属細線18が破壊されるのを有効に防止するとともに、ヘッド基板11と配線基板12とを固着するためのものであり、エポキシ樹脂の液状前駆体をヘッド基板11と配線基板12との間の境界部上に金属細線を被覆するように塗布し、これを高温で加熱・重合させることによって形成されている。
【特許文献1】
特開平11−20216号公報
【特許文献2】
特開平7−323592号公報
【特許文献3】
特開2000−211173号公報
【特許文献4】
特開2000−246936号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来のサーマルヘッドにおいては、樹脂材17の形成にあたり、ヘッド基板11や配線基板12の上面に塗布されたエポキシ樹脂の液状前駆体を加熱・重合させると、樹脂材17が熱収縮を起こしてサーマルヘッドの外形が湾曲してしまう。それ故、サーマルヘッドの平坦性が著しく喪失され、感熱紙等の感熱記録媒体をサーマルヘッドに対して略均一に押圧することが困難となり、画像が不鮮明となる欠点を有していた。
【0006】
また、前記ヘッド基板11及び配線基板12を支持板16上に両面テープを用いて接着させることにより、これら基板11,12を下面側より固定してサーマルヘッドの湾曲を防止することが考えられるが、前記両面テープの接着強度はそれほど高くないことから、樹脂材17の熱収縮によってサーマルヘッドが引っ張られて湾曲し、上述と同様の欠点を誘発する。
【0007】
本発明は上記欠点に鑑み案出されたもので、その目的は、鮮明な印画を形成することができる高品質のサーマルヘッド及びそれを用いたサーマルプリンタを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のサーマルヘッドは、上面に多数の発熱抵抗体及び多数の回路導体を有するヘッド基板と、上面に多数の配線導体を有する配線基板とを、両者間に間隙を形成するように併設するとともに、前記多数の回路導体と多数の配線導体とを金属細線で電気的に接続し、これら金属細線を帯状の樹脂材で共通に被覆してなるサーマルヘッドであって、前記樹脂材の一部を前記ヘッド基板−配線基板間の間隙を介してヘッド基板下面及び配線基板下面まで延在させたことを特徴とするものである。
【0009】
また本発明のサーマルヘッドは、前記樹脂材の延在部の両端が前記ヘッド基板上面及び配線基板上面に存在する樹脂材の直下領域よりも外側まで延在されていることを特徴とするものである。
【0010】
更に本発明のサーマルヘッドは、上述のサーマルヘッドと、該サーマルヘッドに感熱記録媒体を搬送する搬送手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0011】
本発明のサーマルヘッドによれば、ヘッド基板上の回路導体と配線基板上の配線導体とを金属細線で電気的に接続し、これら金属細線を帯状の樹脂材で共通に被覆するとともに、該樹脂材の一部を前記ヘッド基板−配線基板間に形成される間隙を介してヘッド基板下面及び配線基板下面まで延在させたことから、前記樹脂材を形成するにあたり、エポキシ樹脂等の液状前駆体を加熱・重合させる際に、ヘッド基板及び配線基板の上面側のみならず、下面側においても樹脂材が熱収縮を起こすようになり、これら基板の上面側、下面側に配される樹脂材で生じた収縮力が互いに相殺され、サーマルヘッドの湾曲度合いを低減することができる。従って、サーマルヘッドの平坦性が良好に高められ、感熱紙等の感熱記録媒体をサーマルヘッドに対して略均一に押圧することができ、感熱記録媒体に鮮明な画像を形成することが可能となる。
【0012】
しかもこの場合、前記ヘッド基板及び配線基板の上面に存在する樹脂材の一部を両基板間の間隙を介して下面まで延在させたことから、ヘッド基板と配線基板が、その上面側、下面側、及び両基板間の間隙に存在する樹脂材でもって強固に固着されることとなる。従って、サーマルヘッドの使用時やサーマルヘッドの搬送時等に、ヘッド基板や配線基板に強い外力が印加された場合であっても、両基板の位置関係を良好に維持することができる。
【0013】
また本発明のサーマルヘッドによれば、前記樹脂材の延在部の両端が前記ヘッド基板上面及び配線基板上面に存在する樹脂材の直下領域よりも外側まで延在させていることにより、前記エポキシ樹脂等の液状前駆体を加熱・重合する際に、ヘッド基板、配線基板の下面側で生じる樹脂材の熱収縮量を、上面側で生じる樹脂材の熱収縮量と同程度まで高めることができ、サーマルヘッドの湾曲度合いをより小さくすることでその平坦性を極めて高くすることが可能となり、更に鮮明な画像を形成することが可能なサーマルヘッドが実現される。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0015】
図1は本発明の一実施形態に係るサーマルヘッドの断面図、図2は図1のサーマルヘッドを上面側から見た平面図であり、図3は図1のサーマルヘッドを構成するヘッド基板1及び配線基板2を下面側から見た平面図であり、図1に示すサーマルヘッドは、大略的に、ヘッド基板1と配線基板2とを支持板6上で併設させて構成されている。
【0016】
前記ヘッド基板1は、アルミナセラミックス等のセラミックス材料や表面を酸化膜で被覆した単結晶シリコン等により長方形状を成すように形成されており、その上面には多数の発熱抵抗体3、回路導体4等が被着され、これらを支持するための支持母材として機能する。
【0017】
尚、前記ヘッド基板1は、アルミナセラミックスから成る場合、例えばアルミナ、シリカ、マグネシア等のセラミックス原料粉末に適当な有機溶剤、溶媒を添加・混合して泥漿状に成すとともに、これを従来周知のドクターブレード法やカレンダーロール法等を採用することによってセラミックグリーンシートを得、しかる後、得られたセラミックグリーンシートを所定の長方形状に打ち抜き、これを高温(約1600℃)で焼成することにより製作される。
【0018】
また前記ヘッド基板1の上面に設けられている多数の発熱抵抗体3は、例えば600dpi(dot per inch)の密度でヘッド基板1の一方の長辺に沿って直線状に配列されており、各発熱抵抗体3には回路導体4が電気的に接続されている。
【0019】
前記発熱抵抗体3は、その各々がTaSiO、TiSiO等の電気抵抗材料により形成されているため、外部より回路導体4を介して電源電力が印加されるとジュール発熱を起こし、感熱記録媒体に印画を形成するのに必要な温度、例えば150℃〜250℃の温度となる。
【0020】
更に、前記発熱抵抗体3に電気的に接続される多数の回路導体4は、アルミニウムや銅等の金属材料から成り、その一端が発熱抵抗体3への通電を制御するドライバーIC9を介してヘッド基板1の他方の長辺近傍まで導出されている。
【0021】
このような回路導体4は、その導出部が前記配線基板2上に設けられる配線導体5と後述する金属細線8を介して電気的に接続されており、外部より配線導体5や金属細線8を介して供給される電源電力等を発熱抵抗体3等に印加する作用を為している。
【0022】
尚、上述した発熱抵抗体3や回路導体4は、従来周知の薄膜形成技術、例えばスパッタリング法やフォトリソグラフィー技術、エッチング技術等を採用することによってヘッド基板1の上面に所定の厚み、所定のパターンに被着・形成される。
【0023】
一方、前記ヘッド基板1に対して併設される配線基板2は、その端面がヘッド基板1の端面に対して近接するように配置されており、両基板1,2間には所定の間隙(0.5mm〜2.0mm)がヘッド基板1の長辺に沿って形成されている。
【0024】
前記配線基板2は、ガラス布基材エポキシ樹脂により長方形状を成すように形成されており、その上面に銅等の金属材料から成る多数の配線導体5が所定パターンに被着され、かかる配線基板2の一端にはサーマルヘッドをプリンタ本体の電気回路に接続させるためのコネクタ(図示せず)が取着される。
【0025】
このような配線基板2上の配線導体5には、上述したヘッド基板1上の回路導体4の導出部と電気的に接続される接続パッドが設けられており、かかる接続パッドと回路導体4の導出部とを金属細線8でボンディングすることにより、外部からの画像データや、電源電力等がヘッド基板1上の発熱抵抗体3やドライバーIC9等に供給される。
【0026】
尚、前記配線基板2は、ガラス布基材エポキシ樹脂から成る場合、まずガラス糸を用いて形成したガラス布基材エポキシ樹脂を含浸・硬化させて、これを所定形状に切断することによって形成され、その一主面に銅箔等の金属箔を貼り付けた上、これを従来周知のフォトリソグラフィー技術及びエッチング技術により所定パターンに加工することで配線導体5が形成される。
【0027】
また前記ヘッド基板1上の回路導体4と配線基板2上の配線導体5とを電気的に接続する金属細線8は、金(Au)等の金属材料によってヘッド基板1―配線基板2間の間隙を跨ぐようにしてループ状に形成されており、従来周知のワイヤボンディングを採用し、対応するもの同士を相互に接続することによって回路導体4及び配線導体5に対してボンディングされる。尚、前記金属細線8や前述したドライバーIC9は、後述する熱硬化性のエポキシ樹脂等の樹脂材料からなる帯状の樹脂材7で共通に被覆される。
【0028】
また一方、上述したヘッド基板1及び配線基板2が載置される支持板6は、アルミニウム等の良熱伝導性の金属材料により長方形状に形成されており、その上面に両面テープ等を介してヘッド基板1や配線基板2が取着される。そして、かかる両面テープは図1に示すようにヘッド基板1−配線基板2間の間隙には存在していないことから、該間隙近傍に位置するヘッド基板1及び配線基板2と支持板6との間には高さが50μm〜120μmの隙間が空いた状態となる。
【0029】
前記支持板6は、その上面でヘッド基板1及び配線基板2を支持するとともに、該ヘッド基板1の記録動作時の熱の一部を吸収し、これを大気中に放散させることによってヘッド基板1の温度が過度に高温となるのを有効に防止するためのものであり、アルミニウムから成る場合、例えばアルミニウムのインゴット(塊)を従来周知の金属加工法を採用し、所定形状に加工することによって製作される。
【0030】
そして先にも述べたように、前記ヘッド基板1上の回路導体4と配線基板2上の配線導体5とを電気的に接続する金属細線8や発熱抵抗体3への通電を制御するドライバーIC9は熱硬化性のエポキシ樹脂等の樹脂材料からなる帯状を成す樹脂材7によって共通に被覆されている。
【0031】
前記樹脂材7は、金属細線8やドライバーIC9を大気中に含まれる水分等の接触による腐食から保護するとともに、感熱記録媒体の摺接に伴い印加されるプラテンローラ20等の外力から金属細線8やドライバーIC9を良好に保護し、加えてヘッド基板1と配線基板2とを固着するためのものであり、その一部が前記間隙を介してヘッド基板1及び配線基板2の下面側まで延在され、これによって両基板1,2の下面側の樹脂材7も前記上面側の樹脂材7と同様にヘッド基板1−配線基板2間の間隙に沿って帯状に形成され、これら両基板1,2の上面側、下面側、並びに両基板1、2間の間隙内に樹脂材7が配された形となる。
【0032】
このため、前記樹脂材7を形成するにあたり、エポキシ樹脂等の液状前駆体を加熱・重合させる際に、ヘッド基板1及び配線基板2の上面側の樹脂材7のみならず、下面側の樹脂材7も熱収縮を起こすようになり、これら基板の上面側、下面側の樹脂材7で生じる収縮力が互いに相殺され、サーマルヘッドの湾曲度合いが低減される。従って、サーマルヘッドの平坦性が良好に高められ、感熱紙等の感熱記録媒体をサーマルヘッドに対して略均一に押圧することができ、感熱記録媒体に鮮明な画像を形成することが可能となる。
【0033】
しかもこの場合、ヘッド基板1及び配線基板2の上面に存在する樹脂材を両基板間の間隙を介して下面まで延在させたことから、ヘッド基板1と配線基板2が、その上面側、下面側、及び両基板間の間隙に存在する樹脂材7でもって強固に固着されることとなる。従って、サーマルヘッドの使用時やサーマルヘッドの搬送時等に、ヘッド基板1や配線基板2に外力が印加された場合であっても、両基板の位置関係を良好に維持することができる。
【0034】
尚、前記樹脂材7は、例えばエポキシ樹脂からなる所定の液状前駆体を、ヘッド基板1−配線基板2間の間隙近傍に位置するヘッド基板1及び配線基板2上の所定領域にディスペンサ等を用いて帯状に塗布するとともに、液状前駆体の一部を前記間隙を介してヘッド基板1、配線基板2の下面まで流し込み、しかる後、これを高温(130℃〜150℃)で加熱・重合させることによって形成される。
【0035】
前記液状前駆体としては、ヘッド基板1−配線基板2間の狭い間隙内や両基板1,2と支持板6との間の間隙内に良好に流し込まれ、且つヘッド基板1と配線基板2とを強固に固着するのに必要な粘度、チクソ性を備えたもの、例えば粘度を6Pa・S〜8Pa・S(25℃)に、チクソ指数(流体を或る一定の回転数で攪拌させたときの粘度と、その10倍の回転数で攪拌させたときの粘度の比)を1.3〜1.6程度(25℃)に調整したものが好適に使用され、かかる液状前駆体の粘度、チクソ性は、液状前駆体に含有させるジアミノジフェニルメタン、ジアミノフェニルスルホン、メタフェニレンジアミン等の硬化剤の量を可変させることにより調整される。
【0036】
また液状前駆体を塗布するのに用いるディスペンサとしては、ノズル径が0.3mm〜0.5mm程度に設定された細めのものが好適に使用され、かかるディスペンサで液状前駆体の塗布量を0.3g/sec〜0.5g/secに設定しながら、ヘッド基板1と配線基板2の所定領域に塗布される。
【0037】
次に上述したサーマルヘッドを組み込んだサーマルプリンタについて図4を用いて説明する。
【0038】
図4に示すサーマルプリンタは、筐体30内に上述のサーマルヘッドと、感熱記録媒体を発熱抵抗体3上に搬送する搬送手段としてのプラテンローラ20や搬送ローラ10A,10B,10C,10D等とを配置させて構成されている。
【0039】
前記プラテンローラ20は、SUS等の金属から成る軸心の周りにシリコーンゴム等の弾性材料を巻きつけた構造を有し、サーマルヘッド上の所定位置に回転可能に支持され、モーター等(図示せず)によってその回転が制御される。
【0040】
かかるプラテンローラ20は、印画動作時、感熱記録媒体をヘッド基板1上の発熱抵抗体3に押圧して感熱記録媒体に略均一に接触させつつ感熱記録媒体を発熱抵抗体3の配列と直交する方向(副走査方向)に所定の速度で搬送させるためのものであり、感熱記録媒体をサーマルヘッドに対して良好に摺接させるのに適度な肉厚を持つもの、例えば外径が約20mmで、シリコーンゴム肉厚が5mm程度のプラテンローラ20が好適に用いられる。
【0041】
また、前記搬送ローラ10A,10B,10C,10Dは、その外周部が金属やゴム等によって形成されており、サーマルヘッドに対し、感熱記録媒体の搬送方向上流側と下流側に分かれて配設され、これらの搬送ローラ10A,10B,10C,10Dと前述のプラテンローラ20とで感熱記録媒体の走行を支持している。
【0042】
そして、これらプラテンローラ20や搬送ローラ10A,10B,10C,10D等の搬送手段によって感熱記録媒体をサーマルヘッド上に搬送しながら、多数の発熱抵抗体3を画像データに基づいて個々に選択的にジュール発熱させるとともに、該発熱した熱を感熱記録媒体に伝導させ、感熱記録媒体に所定の印画を形成することによってサーマルプリンタとして機能する。
【0043】
尚、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。
【0044】
例えば上述の実施形態において、前記樹脂材7’の延在部の両端を前記ヘッド基板1上面及び配線基板2上面に存在する樹脂材7’の直下領域よりも外側まで延在させておけば、前記エポキシ樹脂等の液状前駆体を加熱・重合する際に、ヘッド基板1、配線基板2の下面側で生じる樹脂材7’の熱収縮量を、上面側で生じる樹脂材7’の熱収縮量と同程度まで高めることができ、サーマルヘッドの湾曲度合いをより小さくすることでその平坦性を極めて高く維持することが可能となり、より鮮明な画像を形成することが可能となる。従って前記樹脂材7’の延在部の両端を前記ヘッド基板1上面及び配線基板2上面に存在する樹脂材7’の直下領域よりも外側まで延在させておくことが好ましい。
【0045】
また、上述の実施形態において、前記間隙を形成するヘッド基板1や配線基板2の端面のいずれか一方の表面粗さを、算術平均粗さRaで0.01μm〜0.05μmに設定しておけば、前記ヘッド基板1−配線基板2間の間隙に流し込まれる前記エポキシ樹脂の液状前駆体が前記間隙内を速やかに通り抜けて両基板1,2の下面まで流れ出ることとなり、樹脂材7’の形成に要する時間を短縮してサーマルヘッドの生産性を高く維持することができる。
【0046】
更に上述の実施形態において、図5に示す如く前記間隙近傍に位置する前記ヘッド基板1及び/または配線基板2の下面角部にC面やR面等の面取り部を設けるようにしておけば、前記ヘッド基板1−配線基板2間の間隙に流し込まれる前記エポキシ樹脂等の液状前駆体が両基板1,2の下面まで速やかに流れ出ることとなり、これによっても樹脂材7’の形成に要する時間を短縮してサーマルヘッドの生産性を高く維持することができる。
【0047】
更に上述の実施形態においては、配線基板2をガラス布基材エポキシ樹脂により形成するようにしたが、これに代えて、配線基板を他の有機材料からなるプラスティックやポリイミド樹脂のフィルムにより形成しても構わない。
また更に上述の実施形態においては、前記樹脂材7としてエポキシ樹脂を用いたが、これに代えて樹脂材としてシリコーン樹脂を用いてもよい。
【0048】
更にまた上述の実施形態においては、ヘッド基板1及び配線基板2と支持板6とを接着するために両面テープを用いるようにしたが、これに代えて、図6に示す如く、前記ヘッド基板1−配線基板2間の間隙近傍の下面に存在する樹脂材7’’を、支持板6の上面と対向しているヘッド基板1及び配線基板2の下面の略全域(領域A)に配されるように延在させ、該延在部で両基板1,2と支持板6とを接着してもよい。この両面テープを省いてサーマルヘッドの構成を簡略化することができる上に、低コストのサーマルヘッドの製造ができるという利点がある。
【0049】
尚、このような樹脂材7’’は、ヘッド基板1及び配線基板2と支持板6との間にスペーサ部材を介在させて前記領域Aに高さが50μm〜300μmの空間を設けるとともに、この状態で上述したエポキシ樹脂の液状前駆体をディスペンサ等を用いてヘッド基板1−配線基板2間の間隙より流し込むことにより液状前駆体を前記領域Aの空間全体に充填させ、しかる後、これを高温で加熱・重合させることにより形成される。
【0050】
【発明の効果】
本発明のサーマルヘッドによれば、ヘッド基板上の回路導体と配線基板上の配線導体とを金属細線で電気的に接続し、これら金属細線を帯状の樹脂材で共通に被覆するとともに、該樹脂材の一部を前記ヘッド基板−配線基板間に形成される間隙を介してヘッド基板下面及び配線基板下面まで延在させたことから、前記樹脂材を形成するにあたり、エポキシ樹脂等の液状前駆体を加熱・重合させる際に、ヘッド基板及び配線基板の上面側のみならず、下面側においても樹脂材が熱収縮を起こすようになり、これら基板の上面側、下面側に配される樹脂材で生じた収縮力が互いに相殺され、サーマルヘッドの湾曲度合いを低減することができる。従って、サーマルヘッドの平坦性が良好に高められ、感熱紙等の感熱記録媒体をサーマルヘッドに対して略均一に押圧することができ、感熱記録媒体に鮮明な画像を形成することが可能となる。
【0051】
しかもこの場合、前記ヘッド基板及び配線基板の上面に存在する樹脂材の一部を両基板間の間隙を介して下面まで延在させたことから、ヘッド基板と配線基板が、その上面側、下面側、及び両基板間の間隙に存在する樹脂材でもって強固に固着されることとなる。従って、サーマルヘッドの使用時やサーマルヘッドの搬送時等に、ヘッド基板や配線基板に強い外力が印加された場合であっても、両基板の位置関係を良好に維持することができる。
【0052】
また本発明のサーマルヘッドによれば、前記樹脂材の延在部の両端が前記ヘッド基板上面及び配線基板上面に存在する樹脂材の直下領域よりも外側まで延在させていることにより、前記エポキシ樹脂等の液状前駆体を加熱・重合する際に、ヘッド基板、配線基板の下面側で生じる樹脂材の熱収縮量を、上面側で生じる樹脂材の熱収縮量と同程度まで高めることができ、サーマルヘッドの湾曲度合いをより小さくすることでその平坦性を極めて高くすることが可能となり、更に鮮明な画像を形成することが可能なサーマルヘッドが実現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るサーマルヘッドの断面図である。
【図2】図1のサーマルヘッドを上面側から見た平面図である。
【図3】図1のサーマルヘッドを構成するヘッド基板及び配線基板を下面側から見た平面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るサーマルプリンタの概略図である。
【図5】本発明の他の実施形態に係るサーマルヘッドの断面図である。
【図6】本発明の他の実施形態に係るサーマルヘッドの断面図である。
【図7】従来のサーマルヘッドの断面図である。
【符号の説明】
1・・・ヘッド基板
2・・・配線基板
3・・・発熱抵抗体
4・・・回路導体
5・・・配線導体
6・・・支持板
7、7’、7’’・・・樹脂材
8・・・金属細線
9・・・ドライバーIC
10A,10B,10C,10D・・・搬送ローラ
20・・・プラテンローラ
30・・・筐体
Claims (3)
- 上面に多数の発熱抵抗体及び多数の回路導体を有するヘッド基板と、上面に多数の配線導体を有する配線基板とを、両者間に間隙を形成するように併設するとともに、前記多数の回路導体と多数の配線導体とを金属細線で電気的に接続し、これら金属細線を帯状の樹脂材で共通に被覆してなるサーマルヘッドであって、前記樹脂材の一部を前記ヘッド基板−配線基板間の間隙を介してヘッド基板下面及び配線基板下面まで延在させたことを特徴とするサーマルヘッド。
- 前記樹脂材の延在部の両端が前記ヘッド基板上面及び配線基板上面に存在する樹脂材の直下領域よりも外側まで延在されていることを特徴とする請求項1に記載のサーマルヘッド。
- 請求項1または請求項2に記載のサーマルヘッドと、該サーマルヘッドに感熱記録媒体を搬送する搬送手段とを備えたことを特徴とするサーマルプリンタ。
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2002
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