JP3606165B2 - ポリメチン化合物、その製造法及び用途 - Google Patents

ポリメチン化合物、その製造法及び用途 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、新規なポリメチン化合物、その製造方法及びこれを含有する近赤外線吸収剤に関する。本発明のポリメチン化合物は750〜900nmの近赤外領域に吸収を有し、820〜840nmに最大吸収波長を有しており、レーザー光を利用した画像記録に用いられる近赤外線吸収剤として、例えばレーザー光を利用した製版用途やレーザー感熱記録材料用途の近赤外線吸収剤として利用できるほか、電子写真やハロゲン化銀写真用の分光増感色素、光ディスク用色素等としても利用することができる。
【0002】
【従来の技術】
近年、レーザー技術の発達に伴い、高速記録や高密度、高画質記録を目的にレーザー光を利用して画像を記録する方式、例えばレーザー光を熱に変換して記録する方式として、レーザー感熱記録材料、レーザー熱転写記録材料等の画像形成方法が検討されている。また、コンピューターの普及やデジタル画像処理技術の向上等のエレクトロニクスの急速な発展を背景に、デジタルデータからダイレクトに印刷原版を作製する、所謂コンピューター・ツー・プレート技術(CTP製版技術)の開発が活発に検討されている。
【0003】
レーザー光を熱に変換して画像を記録する方式(レーザーサーマル記録方式)においては、レーザーの波長に合った光吸収剤を使用し、吸収した光を熱に変換し画像を形成することが行われているが、レーザーの出力を相当大きくしないと画像形成に必要な熱エネルギーが得られず、光熱変換効率のよい光吸収剤の開発が望まれている。レーザー感熱記録材料においては、一般に750nm〜900nmの近赤外域に発光領域を持つ半導体レーザーが使用されているが、レーザーの波長に合った近赤外線吸収剤は一般的に可視域の光をも吸収するため地肌が着色してしまう欠点があり、可視域の光の吸収が小さい近赤外線吸収剤が望まれている。
【0004】
CTP製版技術においては、製版方法から分類すると、レーザー光を照射する方法、サーマルヘッドで書き込む方法、ピン電極で電圧を部分的に印加する方法、インクジェットでインキ反撥またはインキ着肉層を形成する方法などが知られている。なかでも、レーザー光を用いる方法は解像度、および製版速度の面で他の方式よりも優れており、種々の画像形成方法が検討されている。
【0005】
また、最近では近赤外域(750nm〜900nm)に発光領域を持つ小型で高出力で安価な半導体レーザーが容易に入手できるようになってきており、半導体レーザーが製版する際の露光光源として有用となってきている。
【0006】
レーザー光を利用するダイレクト製版としては、感光性タイプ及び感熱性タイプがある。感光性タイプの版材としては、有機半導体(OPC)を用いる電子写真方式、銀塩を用いる銀塩方式等があるが、これらの版材は、その製造装置が大型かつ高価であり、版価格が従来のPS版(presensitized plate)に比べ割高である。また、現像液の廃棄処理問題も有する。
【0007】
感熱性タイプの版材は、感光性タイプの版材に比べ感度が低い事が欠点であるが、通常の室内(明室)で取り扱え、装置が小型で安価であることから精力的に検討されている。
【0008】
感熱性タイプの版材は、いずれも光を熱に変換するための光熱変換層を必要とする。この光熱変換層は、光熱変換剤、例えば近赤外線吸収剤を含有するが、この光熱変換剤は使用するレーザー光を吸収することが必須であり、感度を向上させるためには、使用するレーザー光の吸収能力及び光熱変換効率がより高いことが必要である。
【0009】
光熱変換剤としては、顔料タイプ及び染料タイプの物質があるが、顔料タイプの物質としては、通常カーボンブラックが用いられており、染料タイプの物質としては、種々提案されているが、通常ポリメチン化合物が用いられている。カーボンブラックは使用レーザーの選択の幅が広いが、染料タイプの物質に比べ、一般にレーザー光の吸収能力が低く、使用量を多くしなければならない。また高度な分散技術が必要となる。
【0010】
染料タイプの物質を使用する場合には、使用レーザー光の吸収能力が高いこと、画像形成成分、樹脂バインダー等の他の成分との相溶性や使用する溶剤への溶解性が良いことが必要となる。
【0011】
ポリメチン化合物は分子内に共役二重結合で結ばれたメチン鎖を有し、可視域から近赤外域(340〜1,400nm)の幅広い領域に吸収を持ち、吸収極大の吸光係数が大きいことなどから銀塩写真用感光色素、電子写真用感光色素、レーザー記録用色素、レーザー発振用色素等多くの分野で利用されている。
【0012】
ポリメチン化合物はレーザー光の吸収能力は高いが使用レーザー光とのマッチングが必要であり、一般に公知の化合物は光安定性が低く、画像形成物質、バインダー樹脂等との相性が悪いという問題が有る。
【0013】
ポリメチン化合物としてすでに多くの化合物が知られており、耐久性を向上する手段としてメチン鎖の一部に環状構造を導入した化合物が知られている。例えば、化合物Aが特開昭63−319191号公報、P3の具体例化合物9において、化合物BがJournal of Organic Chemistry,60,2392,Table1.において公知である。
【0014】
【化9】
Figure 0003606165
【0015】
【化10】
Figure 0003606165
【0016】
しかし、化合物A、化合物Bはともに最大吸収波長が785〜815nmの範囲にあり、現在最も使用が検討されている820〜840nmに発光領域を持つ小型で高出力なレーザーに対する感度が不十分である。また、化合物A、化合物Bはともには溶剤溶解性や樹脂との相溶性が低く、使用できるバインダー樹脂等が制限される欠点がある。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、可視域の光の吸収が小さく、近赤外域(750nm〜900nm)に発光領域を持つ半導体レーザー、特に820nm〜840nmのレーザーに対する感度が高く、近赤外線吸収剤、レーザーサーマル記録材料やダイレクト製版用印刷原版等の光熱変換層に好適なポリメチン化合物を提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
前記した課題を解決するために種々検討した結果、本発明者らは、新規なポリメチン化合物が、可視域の光の吸収が小さく、近赤外域(750nm〜900nm)に発光領域を持つ半導体レーザー、特に820〜840nmに最大吸収波長を有し、この発光領域に対する感度が良好で光熱変換効率が高く、種々の用途への加工が容易な近赤外線吸収剤として使用し得ることを見い出し、本発明を達成することができた。
【0019】
本願の第一の発明は、下記一般式(I)で表わされるポリメチン化合物である。
【0020】
【化11】
Figure 0003606165
(式中、Rは置換基を有してもよいアルコキシ基を示し、Rは置換基を有してもよいアルキル基を示し、R、Rはそれぞれ炭素数1〜4のアルキル基を示し、またRとRは互いに連結して環状構造を形成しても良く、Xは水素原子、ハロゲン原子または置換アミノ基を示し、Yは置換基を有してもよいアルコキシ基または置換基を有してもよいアルキル基を示し、Zは電荷中和イオンを表す。)
本願の第二の発明は、下記式で表わされるポリメチン化合物の結晶変態、結晶性メタノール付加物及び無定形物である。
【0021】
【化12】
Figure 0003606165
【0022】
本願の第三の発明は、一般式(II)で表されるインドレニウム化合物と、下記一般式(III)で表されるジホルミル化合物または(IV)で表されるで表されるジアニル化合物を脂肪酸塩の存在下、脱水性有機酸を用いて縮合させることを特徴とする前記一般式(I)のポリメチン化合物の製造方法である。
【0023】
【化13】
Figure 0003606165
(式中、Rは置換基を有してもよいアルコキシ基を示し、Rは置換基を有してもよいアルキル基を示し、R、Rはそれぞれ低級アルキル基を示し、またRとRは互いに連結して環状構造を形成しても良く、Yは置換基を有してもよいアルコキシ基または置換基を有してもよいアルキル基を示し、Zは電荷中和イオンを表わし、nは0または1の数を表す。)
【0024】
【化14】
Figure 0003606165
(式中、Xは水素原子、ハロゲン原子または置換アミノ基を示す。)
【0025】
【化15】
Figure 0003606165
(式中、Xは水素原子、ハロゲン原子または置換アミノ基を示す。)
本願の第四の発明は、上記第一の発明のポリメチン化合物をケトンまたはアルコール溶剤で再結晶することを特徴とする高融点結晶物の製造方法である。
【0026】
本願の第五の発明は、上記第一の発明のポリメチン化合物の結晶性溶媒付加物または無定形物を特定溶剤で処理することを特徴とする低融点結晶物の製造方法である。
本願の第六の発明は、上記第一の発明のポリメチン化合物を含有することを特徴とする近赤外線吸収剤である。
【0027】
本願の第七の発明は、支持体上に光熱変換層を設けてなるダイレクト製版用印刷原版において、光熱変換層中に上記第一の発明のポリメチン化合物を含有することを特徴とするダイレクト製版用印刷原版である。
【0028】
本願の第八の発明は、上記第七の発明のダイレクト製版用印刷原版に、光源として820nm〜840nmに発光領域を持つ半導体レーザー光を照射して印刷版を作製する方法である。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳しく説明する。
[ポリメチン化合物]
まず、本発明の第一、第二の発明である下記一般式(I)で表されるポリメチン化合物及び2−(2−{2−クロロ−3−[(1,3−ジヒドロ−3,3,7−トリメチル−5−メトキシ−1−メトキシエチル−2H−インドール−2−イリデン)エチリデン]−1−シクロヘキセン−1−イル}エテニル)−3,3,7−トリメチル−5−メトキシ−1−メトキシエチルインドリウム=テトラフルオロボレート(具体例化合物(55))の結晶変態、結晶性メタノール付加物及び無定形物について以下に説明する。
【0030】
【化16】
Figure 0003606165
(式中、Rは置換基を有してもよいアルコキシ基を示し、Rは置換基を有してもよいアルキル基を示し、R、Rはそれぞれ低級アルキル基を示し、またRとRは互いに連結して環状構造を形成しても良く、Xは水素原子、ハロゲン原子または置換アミノ基を示し、Yは置換基を有してもよいアルコキシ基または置換基を有してもよいアルキル基を示し、Zは電荷中和イオンを表す。)
が無置換のアルコキシ基であるものとしては、炭素数1〜8のものが好ましく、特に炭素数1〜4のものが好ましい。
【0031】
が置換基を有するアルコキシ基である場合、置換基としては、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、水酸基、ハロゲン原子等が挙げられ、アルキルオキシ基が好ましい。Rがアルキルオキシ基を有するアルコキシであるものとしては、総炭素数2〜8のものが好ましく、特に総炭素数2〜4のものが好ましい。
【0032】
の例として、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、iso−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、n−ペントキシ基、iso−ペントキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、メトキシメトキシ基、2−メトキシエトキシ基、2−エトキシエトキシ基が挙げられる。
【0033】
が置換基を有さないアルキル基である場合は、炭素数1〜18の直鎖或いは分岐のアルキル基が好ましく、炭素数1〜8の直鎖或いは分岐のアルキル基が特に好ましい。例としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、2−エチルブチル基、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、sec−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−ペンタデシル基、n−オクタデシル基が挙げられる。
【0034】
が置換基を有するアルキル基であるものとしてはアルコキシアルキル基、スルホアルキル基、カルボキシアルキル基等が挙げられるが、アルコキシアルキル基である場合は、総炭素数2〜8のものが好ましい。例として2−メトキシエチル基、3−メトキシプロピル基、4−メトキシブチル基、2−エトキシエチル基、3−エトキシプロピル基、4−エトキシブチル基、2−n−プロポキシエチル基、2−iso−プロポキシエチル基、3−n−プロポキシプロピル基、4−n−プロポキシブチル基、2−メトキシ−2−エトキシエチル基、2−エトキシ−2−エトキシエチル基が挙げられる。
【0035】
がスルホアルキル基であるものとしては炭素数1〜18の直鎖或いは分岐のスルホアルキル基が好ましく、炭素数1〜8の直鎖或いは分岐のスルホアルキル基が特に好ましい。また、これらスルホアルキル基であるRの少なくとも一つがアルカリ金属イオンまたはアルキルアンモニウムイオンと塩を形成しているものが好ましい。例としては2−スルホエチル基、3−スルホプロピル基、3−スルホブチル基、4−スルホブチル基、4−スルホ−3−メチルブチル基、2−(3−スルホプロポキシ)エチル基、2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル基、3−スルホ−2−(2−エトキシ)エトキシプロポキシ基、5−スルホペンチル基、6−スルホヘキシル基、8−スルホオクチル基、6−スルホ−2−エチルヘキシル基が挙げられ、アルカリ金属イオンまたはアルキルアンモニウムイオンと塩を形成していてもよい。
【0036】
がカルボキシアルキル基であるものとしては、総炭素数2〜18の直鎖或いは分岐のカルボキシアルキル基が好ましく、総炭素数2〜9の直鎖或いは分岐のカルボキシアルキル基が特に好ましい。また、これらカルボキシアルキル基であるRの少なくとも一つがアルカリ金属イオンまたはアルキルアンモニウムイオンと塩を形成しているものが好ましい。例としては2−カルボキシエチル基、3−カルボキシプロピル基、3−カルボキシブチル基、4−カルボキシブチル基、4−カルボキシ−3−メチルブチル基、2−(3−カルボキシプロポキシ)エチル基、2−ヒドロキシ−3−カルボキシプロピル基、3−カルボキシ−2−(2−エトキシ)エトキシプロポキシ基、5−カルボキシペンチル基、6−カルボキシヘキシル基、8−カルボキシオクチル基、6−カルボキシ−2−エチルヘキシル基が挙げられ、アルカリ金属イオンまたはアルキルアンモニウムイオンと塩を形成していてもよい。
【0037】
、Rが低級アルキル基であるものの例としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基が挙げられる。
【0038】
、Rが互いに連結して形成した環状構造の例としては、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環が挙げられるが、特にシクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環が好ましい。
【0039】
Xは水素原子、F、Cl、Br、Iなどのハロゲン原子、エチルアミノ基、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、モルホリノ基などの置換アミノ基が好ましく、Cl、Br、ジフェニルアミノ基が特に好ましい。
【0040】
Yが無置換のアルコキシ基であるものとしては、炭素数1〜8のものが好ましく、特に炭素数1〜4のものが好ましい。
【0041】
Yが置換基を有するアルコキシ基である場合、置換基としては、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、水酸基、ハロゲン原子等が挙げられが、特にアルキルオキシ基が好ましい。Yがアルキルオキシ基を置換基として有するアルコキシ基である場合、総炭素数2〜8のものが好ましく、特に総炭素数2〜4のものが好ましい。
【0042】
このようなYがアルコキシ基である例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、iso−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、n−ペントキシ基、iso−ペントキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、2−メトキシエトキシ基、2−エトキシエトキシ基が挙げられる。
【0043】
Yが置換基を有さないアルキル基である場合は、炭素数1〜8の直鎖或いは分岐のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4の直鎖或いは分岐のアルキル基が特に好ましい。例としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、2−エチルブチル基、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、sec−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基が挙げられる。
【0044】
Yが置換基を有するアルキル基である場合、置換基としては、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、水酸基、ハロゲン原子等が挙げられが、特にアルキルオキシ基が好ましい。Yがアルキルオキシ基を置換基として有するアルキル基である場合は、総炭素数2〜4のものが好ましい。例として2−メトキシエチル基、3−メトキシプロピル基、4−メトキシブチル基、2−エトキシエチル基、3−エトキシプロピル基、4−エトキシブチル基、2−n−プロポキシエチル基、2−iso−プロポキシエチル基、3−n−プロポキシプロピル基、4−n−プロポキシブチル基、2−メトキシ−2−エトキシエチル基、2−エトキシ−2−エトキシエチル基が挙げられる。
【0045】
Zは電荷中和イオンを表し、例えばF、Cl、Br、I、BrO 、ClO 、p−トルエンスルホネート、CHSO 、BF 、CHCO 、CFCO 、PF 、SbF 、Na、K、トリエチルアンモニウムイオンが挙げられ、特に、Cl、Br、I、ClO 、p−トルエンスルホネート、CHSO 、BF 、CFCO 、PF 、SbF 、Na、K、トリエチルアンモニウムイオンが好ましい。
【0046】
は電荷中和イオンを表し、例えばF、Cl、Br、I、BrO 、ClO 、p−トルエンスルホネート、CHSO 、BF 、CHCO 、CFCO 、PF 、SbF が挙げられ、特に、Cl、Br、I、ClO 、p−トルエンスルホネート、CHSO 、BF 、CFCO 、PF 、SbF が好ましい。
本発明の一般式(I)で表されるポリメチン化合物の好ましい具体例を下記に示すが、その化合物の範囲はこれらに限定されるものではない。
【0047】
【化17】
Figure 0003606165
【0048】
【化18】
Figure 0003606165
【0049】
【化19】
Figure 0003606165
【0050】
【化20】
Figure 0003606165
【0051】
【化21】
Figure 0003606165
【0052】
【化22】
Figure 0003606165
【0053】
【化23】
Figure 0003606165
【0054】
【化24】
Figure 0003606165
【0055】
【化25】
Figure 0003606165
【0056】
【化26】
Figure 0003606165
【0057】
【化27】
Figure 0003606165
なお、上記具体例の化合物(1)〜(65)中、下記の一般式(V)にて表記した化合物は、一般式(VI)でも表すことができる。
【0058】
【化28】
Figure 0003606165
【0059】
【化29】
Figure 0003606165
(式中、R〜R、X及びYは前記と同じものを示し、MはNa、Kまたはトリエチルアンモニウムを表す。)
例えば、具体例化合物(51)は
【0060】
【化30】
Figure 0003606165
と表すこともできる。
【0061】
本発明の一般式(I)で表されるポリメチン化合物には結晶変態、結晶性溶媒付加物及び無定形物が存在するものがある。例えば、具体例化合物(55)にはCu−Kα線による粉末X線回折法における回折角(2θ±0.2°)11.6°、14.6°、15.6°、19.6°、22.9°に特徴的なピークを示すα晶(低融点化合物)、回折角(2θ±0.2°)8.4°に特徴的な非常に強いピークを示すβ晶(高融点化合物)、回折角(2θ±0.2°)13.3°、17.4°、19.8°、21.8°、26.9°に特徴的なピークを示す結晶性メタノール付加物及び回折角(2θ±0.2°)に特徴的なピークを示さない無定形物が存在する。
【0062】
[ポリメチン化合物及び結晶変態の製造方法]
本発明のポリメチン化合物は、例えば一般式(II)で表されるインドレニウム系化合物と、一般式(III)で表されるジホルミル系化合物または(IV)で表されるジアニル系化合物を脂肪酸塩の存在下、脱水性有機酸中にて縮合させることにより製造される。
【0063】
【化31】
Figure 0003606165
(式中、R〜R、Y、Z及びnは前記と同じものを示す。)
【0064】
【化32】
Figure 0003606165
(式中、Xは水素原子、ハロゲン原子または置換アミノ基を示す。)
【0065】
【化33】
Figure 0003606165
(式中、Xは前記と同じものを示す。)
上記縮合反応において、脂肪酸塩としては、例えば、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸カリウム等が挙げられる。
【0066】
かかる脂肪酸塩は、一般式(II)で表される化合物1モル当たり通常0.1〜5モル程度、好ましくは0.5〜2モル程度使用する。
【0067】
脱水性有機酸としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。
【0068】
かかる脱水性有機酸は、一般式(II)で表される化合物1モル当たり通常10〜100モル程度、好ましくは20〜50モル程度使用する。
【0069】
一般式(II)で表される化合物と一般式(III)または(IV)で表される化合物との使用割合は、通常前者1モルに対し後者を0.2〜1.5モル程度、好ましくは0.4〜0.7モル程度使用する。
【0070】
上記反応は通常10〜150℃程度、好ましくは室温〜120℃で好適に進行し、一般に数分〜3時間程度で完結する。
【0071】
反応後、例えば、水やメタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール等の貧溶媒を注入したり、あるいは水やメタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール等の貧溶媒へ排出するにより反応混合物から目的物を容易に単離することがでる。また、慣用の精製手段、例えば、再結晶、カラム分離等により容易に精製することができる。
【0072】
本発明の一般式(I)で表されるポリメチン化合物には結晶変態、結晶性溶媒付加物及び無定形物が存在するものがあり、精製前の単離方法及び/または精製方法によっては、結晶変態、結晶性溶媒付加物及び無定形物となったり、結晶変態、結晶性溶媒付加物及び無定形物の混合物となったりする。
【0073】
本発明のポリメチン化合物において、例えば、低融点化合物は、結晶性溶媒付加物または無定形物を特定の溶剤、すなわちケトン、アルコール、またはこれらとエステル及び/またはエーテルとの混合溶剤と接触させるなどの溶剤処理を行うことにより製造できる。かかる処理を行うには、例えば再結晶操作とならない条件、すなわち固形のポリメチン化合物が完溶しない溶媒使用量と温度に設定した溶剤中にポリメチン化合物を分散するのが好ましい。接触処理としてはポリメチン化合物を溶剤中に分散させるほか、単にポリメチン化合物と溶剤を接触させるだけであってもよい。
【0074】
高融点化合物は熱的に安定な結晶形であり、低融点化合物、結晶性溶媒付加物、無定形物、または低融点化合物、高融点化合物、結晶性溶媒付加物、無定形物の混合物を完全に溶解することのできる溶剤、例えばケトン、アルコール、またはケトンとアルコールの混合溶剤を用いた再結晶法により製造できる。再結晶を行うには、ポリメチン化合物を溶剤に完全に溶解させた後、ゆっくりと熟成させながら晶析させたり、種晶を添加することが好ましい。
【0075】
かかる接触処理、再結晶に用いるケトンとしては、カルボニル基を有する種々の溶剤、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルアミルケトン、ジエチルケトン、エチルブチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソプロピルケトン、ジアセトンアルコール、シクロヘキサノンなどが挙げられる。またアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−アミルアルコール、メチルアミルアルコール、2−エチルヘキサノール、n−オクタノール、シクロヘキサノール、2−エチルシクロヘキサノールなどが挙げられる。また、接触処理に用いるエステルとしては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソアミル、酪酸n−ブチルなどが挙げられ、エーテルとしては、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、n−ブチルエーテル、ジグライムなどが挙げられる。
【0076】
低融点化合物を作製するにあたり接触処理に用いる溶剤の使用量は、ポリメチン化合物に対する溶解度によって異なり、ポリメチン化合物が完溶しない範囲で、ポリメチン化合物に対し2〜70倍重量比、好ましくは3〜50倍重量比使用する。使用量がこれより多いと収量が少なくなり効率が悪い。処理温度は使用溶剤によって異なるが、一般に−10°〜70℃程度、好ましくは0°〜50℃である。分散処理溶剤にはエステル及び/またはエーテル等の貧溶剤を混合して用いることもできる。
【0077】
高融点化合物を作製する場合の再結晶溶媒の使用量も、ポリメチン化合物に対する溶解度によって異なり、ポリメチン化合物が完溶する範囲で、ポリメチン化合物に対し3〜100倍重量比、好ましくは5〜70倍重量比使用する。使用量が少なすぎると結晶性溶媒付加物となる場合がある。使用量がこれより多いと収量が少なくなり効率が悪くなる。再結晶温度は使用溶剤によって異なるが、一般に20°〜150℃程度、好ましくは30°〜120℃である。再結晶溶剤にはケトンとアルコールの混合溶剤を用いることもできる。
【0078】
本発明の式(I)で表される化合物のうち、例えば
【0079】
【化34】
Figure 0003606165
は、粉末X線の回折パターンの異なる低融点化合物(融点;195〜197℃ α晶)、高融点化合物(融点;204〜206℃ β晶)、結晶性メタノール付加物及び無定形物が存在する。上記ポリメチン化合物は、精製前の単離方法及び/または精製方法によって、低融点化合物、高融点化合物となるほか、結晶性溶媒付加物や無定形物となったり、低融点化合物、高融点化合物、結晶性溶媒付加物及び無定形物の混合物となったりする。
【0080】
低融点化合物及び高融点化合物は前記の方法により製造することができる。また、結晶性メタノール付加物は、高融点化合物、低融点化合物、無定形物及び/またはそれらの混合物をメタノールに溶解後、減圧下濃縮し、濃縮残量を固形物に対し2〜5倍量とした後、濾取することにより製造できる。無定形物は単離した高融点化合物、低融点化合物、結晶性メタノール付加物、無定形物またはそれらの混合物をアセトンに完全に溶解後、減圧下で濃縮、乾燥することにより製造できる。
【0081】
一般式(II)で表される化合物は、例えば特開平1−131277号公報等に記載の方法で合成することができる。
【0082】
一般式(III)で表されるジホルミル系化合物は、例えばJournal of Organic Chemistry,42,885−888(1977)等に記載の方法で合成することができる。一般式(IV)のジアニル系化合物は一般式(III)のジホルミル系化合物とアニリン塩酸塩を反応させることにより容易に合成することができる。
【0083】
[近赤外線吸収剤]
本発明の近赤外線吸収剤は、式(I)のポリメチン化合物以外にバインダー樹脂等を含有してもよい。
【0084】
近赤外線吸収剤としては一般式(I)のポリメチン化合物以外に、本発明の目的を逸脱しない範囲で、公知の種々の近赤外線吸収剤が併用できる。
【0085】
併用できる近赤外線吸収剤としては、カーボンブラック、アニリンブラック等の顔料や『化学工業(1986年、5月号)』の「近赤外吸収色素」(P45〜51)や『90年代 機能性色素の開発と市場動向』シーエムシー(1990)第2章2.3に記載されているポリメチン系色素(シアニン色素)、フタロシアニン系色素、ジチオール金属錯塩系色素、ナフトキノン、アントラキノン系色素、トリフェニルメタン(類似)系色素、アミニウム、ジインモニウム系色素等、またアゾ系色素、インドアニリン金属錯体色素、分子間型CT色素等の顔料、染料系の色素が挙げられる。
【0086】
バインダー樹脂としては、特に制限はないが、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等のアクリル酸系モノマーの単独重合体または共重合体、メチルセルロース、エチルセルロース、セルロースアセテートのようなセルロース系ポリマー、ポリスチレン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコールのようなビニル系ポリマー及びビニル化合物の共重合体、ポリエステル、ポリアミドのような縮合系ポリマー、ブタジエン−スチレン共重合体のようなゴム系熱可塑性ポリマー、エポキシ化合物などの光重合性化合物を重合・架橋させたポリマーなどを挙げることができる。
【0087】
本発明の近赤外線吸収剤を光カード等の光記録材料に用いる場合は、例えばガラス、プラスチック樹脂等の基板上に、近赤外線吸収剤と有機溶剤を溶解した液をスピンコート法等の従来から種々検討されている方法で塗布することにより作製できる。基板に使用できる樹脂としては、特に制限はないが、例えばアクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、塩化ビニール樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。スピンコートに用いる溶剤としては、特に制限はないが、例えば炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、エーテル類、ケトン類、アルコール類、セロソルブ類が挙げられるが、特にメタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶剤やメチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ系溶剤が好ましい。
【0088】
本発明の近赤外線吸収剤を近赤外線吸収フィルター、熱線遮断材、農業用フィルムに用いる場合は、近赤外線吸収剤にプラスチック樹脂及び場合により有機溶剤と混合し、射出成形法やキャスト法等の従来から種々検討されている方法で板状若しくはフィルム状にすることにより作製できる。使用できる樹脂としては、特に制限はないが、例えばアクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、塩化ビニール樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。用いる溶剤としては、特に制限はないが、例えば炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、エーテル類、ケトン類、アルコール類、セロソルブ類が挙げられるが特に、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶剤やメチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ系溶剤が好ましい。
【0089】
本発明の近赤外線吸収剤をレーザー熱転写記録材料、レーザー感熱記録材料等の記録材料に用いる場合は、近赤外線吸収剤に発色成分または着色成分等を配合して使用してもよいし、発色成分または着色成分等を含有する層を別途設けてもよい。発色成分または着色成分としては、昇華性染顔料や電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物、重合性ポリマー等の熱によって物理的、化学的な変化で画像を形成するもので、従来から種々検討されているものが使用できる。 例えば、レーザー熱転写記録材料の着色成分としては、特に限定するものではないが、顔料タイプのものとして、二酸化チタン、カーボンブラック、酸化亜鉛、プルシアンブルー、硫化カドミウム、酸化鉄ならびに鉛、亜鉛、バリウム及びカルシウムのクロム酸塩等の無機顔料やアゾ系、チオインジゴ系、アントラキノン系、アントアンスロン系、トリフェンジオキサン系、フタロシアニン系、キナクリドン系等の有機顔料が挙げられる。染料としては、酸性染料、直接染料、分散染料、油溶性染料、含金属油溶性染料等が挙げられる。
【0090】
レーザー感熱記録材料の発色成分としては、特に限定されるものではないが、従来から感熱記録材料に用いられているものを使用できる。電子供与性染料前駆体としては、すなわちエレクトロンを供与してまたは酸等のプロトンを受容して発色する性質を有するものであって、ラクトン、ラクタム、サルトン、スピロピラン、エステル、アミド等の部分骨格を有し、電子受容性化合物と接触してこれらの部分骨格が開環若くは開裂する化合物が用いられる。例えば、トリフェニルメタン系化合物、フルオラン系化合物、フェノチアジン系化合物、インドリルフタリド系化合物、ロイコオーラミン系化合物、ローダミンラクタム系化合物、トリフェニルメタン系化合物、トリアゼン系化合物、スピロピラン系化合物、フルオレン系化合物等が挙げられる。電子受容性化合物としては、フェノール性化合物、有機酸若くはその金属塩、オキシ安息香酸エステル等が挙げられる。
【0091】
[ダイレクト製版用印刷原版]
本発明のポリメチン化合物は、ダイレクト製版用印刷原版の近赤外線吸収剤として好適に用いることができる。ダイレクト製版用印刷原版は、支持体上に光熱変換層を設けてなる。また、光熱変換層上にシリコンゴム層を積層してもよいし、更に、保護層等を積層してもよい。
【0092】
光熱変換層を構成する成分としては、上記の本発明のポリメチン化合物以外に、画像形成成分、バインダー樹脂等がある。あるいは画像形成成分を含む層を光熱変換層の上に積層して設けてもよい。
【0093】
画像形成成分としては、熱によって物理的、化学的な変化で画像を形成するもので、従来から種々検討されているものが使用できる。例えば、特開平3−108588号公報に開示されているマイクロカプセル化された熱溶融性物質と結着性樹脂等を含有するもの、昭62−164049号公報に開示されている親水性表面を有する支持体上に活性水素含有バインダーと共にブロックイソシアネート等を含有するもの、特開平7−1849号公報に開示されているマイクロカプセル化された親油性成分と親水性バインダーポリマー等を含有するもの、特開平8−220752号公報に開示されている酸前駆体、ビニルエーテル基を有する化合物、及びアルカリ可溶性樹脂等を含有するもの、特開平9−5993号公報に開示されている水酸基を有する高分子化合物とo−ナフトキノンジアジド化合物等を含有するもの、特開平9−131977号公報に開示されているニトロセルロース等を含有するもの、特開平9−146264号公報に開示されている重合開始剤及びエチレン性不飽和モノマー、オリゴマー、マクロモノマー等を含有するもの等が挙げられ、特に制限はない。
【0094】
場合によっては、特開平9−80745号公報、特開平9−131977号公報、特開平9−146264号公報等に開示されているように光熱変換層(感光層または感熱記録層)上にシリコンゴム層を積層し、露光後、シリコンゴム層を密着または剥離することにより画像部を形成してもよい。
【0095】
光熱変換層に用いられるバインダー樹脂としては、特に制限はないが、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等のアクリル酸系モノマーの単独重合体または共重合体、メチルセルロース、エチルセルロース、セルロースアセテートのようなセルロース系ポリマー、ポリスチレン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコールのようなビニル系ポリマー及びビニル化合物の共重合体、ポリエステル、ポリアミドのような縮合系ポリマー、ブタジエン−スチレン共重合体のようなゴム系熱可塑性ポリマー、エポキシ化合物などの光重合性化合物を重合・架橋させたポリマーなどを挙げることができる。
【0096】
本発明の製版用印刷原版は通常の印刷機にセットできる程度のたわみ性を有し、同時に印刷時にかかる加重に耐ええるものでなければならない。すなわち、用いる支持体としては、例えば、紙、プラスチック(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、例えばアルミニウム(アルミニウム合金も含む)、亜鉛、銅等のような金属の板、例えば二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、酪酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等のようなプラスチックフィルム等が挙げられるが、代表的なものとして、コート紙、アルミニウムのような金属板、ポリエチレンテレフタレートのようなプラスチックフィルム、ゴム、あるいはそれらを複合させたものを挙げることができ、好ましくは、アルミニウム、アルミニウム含有合金及びプラスチックフィルムである。支持体の膜厚は25μm〜3mm、好ましくは100μm〜500μmである。
【0097】
通常は、ポリメチン化合物、画像形成成分、バインダー樹脂等を有機溶剤等に分散または溶解させ支持体に塗布し、製版用印刷原版を作製する。
【0098】
塗布する溶剤としては、水、メチルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、ジアセトンアルコール等のアルコール類、メチルセルソルブ、エチルセルソルブなどのセルソルブ類、トルエン、キシレン、クロロベンゼンなどの芳香族類、酢酸エチル、酢酸ブチル酢酸イソアミル、プロピオン酸メチルなどのエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、塩化メチレン、クロロホルム、トリクロロエチレンなどの塩素系炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどの非プロトン性極性溶剤等を挙げることができる。
【0099】
支持体と光熱変換層との間には、接着性向上や印刷特性向上のためのプライマー層を設けてもよいし、支持体自身を表面処理してもよい。用いるプライマー層としては、例えば、特開昭60−22903号公報に開示されているような種々の感光性ポリマーを光熱変換層を積層する前に露光して硬化せしめたもの、特開昭62−50760号公報に開示されているエポキシ樹脂を熱硬化せしめたもの、特開昭63−133151号公報に開示されているゼラチンを硬膜せしめたもの、更に特開平3−200965号公報に開示されているウレタン樹脂とシランカップリング剤を用いたものや特開平3−273248号公報に開示されているウレタン樹脂を用いたもの等を挙げることができる。
【0100】
光熱変換層またはシリコンゴム層の表面保護のための保護膜としては、透明なフィルム、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタレート、セロファン等をラミネートしたり、これらのフィルムを延伸して用いてもよい。
【0101】
本発明のダイレクト製版用印刷原版は、特定発光領域を有する半導体レーザーに対応する。すなわち、この印刷原版を用いて印刷版(刷版)を作製するには、750〜900nm、好ましくは770〜850nmに発光領域を有する半導体レーザー光源を用いて、従来の公知の製版方法により原版にレーザー光の照射を行い、画像部または非画像部を形成することによりコンピューターなどのデジタルデータを刷版として記録する。
【0102】
【実施例】
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0103】
[実施例1] ポリメチン化合物(具体例化合物(11)の合成)
一般式(II)で表される化合物(R=メトキシ基、R=メトキシエチル基、R=R=メチル基、Y=7−メトキシ基、Z=ClO 、n=1)3.79g、一般式(III)で表される化合物(X=Cl)0.86g及び酢酸カリウム3.36gを無水酢酸50mlに加え、45〜50℃で60分攪拌した後、2%KClO水溶液300mlへ排出した。析出した結晶物を濾別、水洗後、イソプロパノールで再結晶して、具体例化合物(11)2.95gを得た。
【0104】
この化合物の元素分析値、融点、吸収極大波長(λmax)及びグラム吸光係数(εg)は以下の通りであった。
Figure 0003606165
融点(℃) :152〜153℃
λmax :832nm(ジアセトンアルコール溶液)
εg :2.80×10 ml/g・cm
得られた化合物のIRスペクトルを図1に示す。
【0105】
得られた化合物のVIS−NIR吸収スペクトルを図9に示す。
【0106】
[実施例2] ポリメチン化合物(具体例化合物(12)の合成)
一般式(II)で表される化合物(R=メトキシ基、R=メトキシエチル基、R=R=メチル基、Y=7−メトキシ基、Z=I、n=1)4.05g、一般式(IV)で表される化合物(X=Cl)1.80g及び酢酸カリウム3.36gを無水酢酸50mlに加え、45〜50℃で60分攪拌した後、2%KI水溶液300mlへ排出した。析出した結晶物を濾別、水洗後、イソプロパノールで再結晶して、具体例化合物(12)2.56gを得た。
【0107】
この化合物の元素分析値、融点、吸収極大波長(λmax)及びグラム吸光係数(εg)は以下の通りであった。
Figure 0003606165
融点(℃) :167〜168℃
λmax :832nm(ジアセトンアルコール溶液)
εg :2.65×10 ml/g・cm
得られた化合物のIRスペクトルを図2に示す。
【0108】
[実施例3] ポリメチン化合物(具体例化合物(13)の合成)
実施例1において、一般式(II)で表される化合物として(R=メトキシ基、R=メトキシエチル基、R=R=メチル基、Y=7−メトキシ基、Z=BF 、n=1)3.65gを、2%KClO水溶液300mlの代わりに2%KBF水溶液300mlを使用した以外は実施例1と同様な操作を行って、具体例化合物(13)2.92gを得た。
【0109】
この化合物の元素分析値、融点、吸収極大波長(λmax)及びグラム吸光係数(εg)は以下の通りであった。
Figure 0003606165
融点(℃) :150〜152℃
λmax :832nm(ジアセトンアルコール溶液)
εg :2.85×10 ml/g・cm
得られた化合物のIRスペクトルを図3に示す。
【0110】
[実施例4] ポリメチン化合物(具体例化合物(17)の合成)
実施例1において、一般式(II)で表される化合物として(R=メトキシ基、R=R=R=メチル基、Y=6−メトキシ基、Z=p−トルエンスルホネート、n=1)4.06g、2%KClO水溶液300mlの代わりに2%p−トルエンスルホン酸水溶液300mlを使用した以外は実施例1と同様な操作を行って、具体例化合物(17)2.72gを得た。
【0111】
この化合物の元素分析値、融点、吸収極大波長(λmax)及びグラム吸光係数(εg)は以下の通りであった。
Figure 0003606165
融点(℃) :169〜171℃
λmax :831nm(ジアセトンアルコール溶液)
εg :2.60×10 ml/g・cm
得られた化合物のIRスペクトルを図4に示す。
【0112】
[実施例5] ポリメチン化合物(具体例化合物(19)の合成)
実施例2において、一般式(II)で表される化合物として(R=メトキシ基、R=メトキシエチル基、R=R=メチル基、Y=7−メチル基、Z=ClO 、n=1)3.61g、2%KI水溶液300mlの代わりに2%KClO水溶液300mlを使用した以外は実施例2と同様な操作を行って、具体例化合物(19)3.05gを得た。
【0113】
この化合物の元素分析値、融点、吸収極大波長(λmax)及びグラム吸光係数(εg)は以下の通りであった。
Figure 0003606165
融点(℃) :197〜198℃
λmax :822nm(ジアセトンアルコール溶液)
εg :3.12×10 ml/g・cm
得られた化合物のIRスペクトルを図5に示す。
【0114】
得られた化合物のVIS−NIR吸収スペクトルを図10に示す。
【0115】
[実施例6] ポリメチン化合物(具体例化合物(47)の合成)
実施例1において、一般式(II)で表される化合物として(R=メトキシ基、R=メトキシエチル基、R=R=メチル基、Y=7−メチル基、Z=p−トルエンスルホネート、n=1)4.34g、2%KClO水溶液300mlの代わりに2%p−トルエンスルホン酸水溶液300mlを使用した以外は実施例1と同様な操作を行って、具体例化合物(47)の化合物2.70gを得た。
【0116】
この化合物の元素分析値、融点、吸収極大波長(λmax)及びグラム吸光係数(εg)は以下の通りであった。
Figure 0003606165
融点(℃) :205〜207℃
λmax :822nm(ジアセトンアルコール溶液)
εg :2.80×10 ml/g・cm
得られた化合物のIRスペクトルを図6に示す。
【0117】
[実施例7] ポリメチン化合物(具体例化合物(51)の合成)
一般式(II)で表される化合物(R=メトキシ基、R=3−スルホプロピル基、R=R=メチル基、Y=7−メチル基、n=0)3.25gを、一般式(IV)で表される化合物(X=Cl)1.80g及び酢酸カリウム3.36gを無水酢酸50mlに加え、65〜70℃で60分攪拌した後、イソプロパノール200mlを加え、更に同温度で60分攪拌した。蒸発乾固後、酢酸エチル100mlを加え、室温で1時間攪拌した。析出した結晶物を濾別し、酢酸エチル10mlで洗浄後、メタノール100mlで再結晶した。得られた結晶物を、酢酸ナトリウム2g、メタノール100ml、イソプロパノール100mlの溶液に溶解させ、常圧下溶媒を留去した。析出した結晶物を濾別、乾燥して、具体例化合物(51)2.30gを得た。
【0118】
この化合物の元素分析値、吸収極大波長(λmax)及びグラム吸光係数(εg)は以下の通りであった。
Figure 0003606165
融点(℃) :260〜261℃以上(分解)
λmax :824nm(ジアセトンアルコール溶液)
εg :2.82×10 ml/g・cm
得られた化合物のIRスペクトルを図7に示す。
【0119】
得られた化合物のVIS−NIR吸収スペクトルを図11に示す。
【0120】
[実施例8] ポリメチン化合物(具体例化合物(55)の合成)
実施例2において、一般式(II)で表される化合物(R=メトキシ基、R=メトキシエチル基、R=R=メチル基、Y=7−メチル基、Z=BF 、n=1)3.62g、2%KI水溶液300mlの代わりに2%KBF水溶液300mlを使用したを用いた以外は実施例2と同様な操作を行って、具体例化合物(55)2.20gを得た。
【0121】
この化合物の元素分析値、融点、吸収極大波長(λmax)及びグラム吸光係数(εg)は以下の通りであった。
Figure 0003606165
融点(℃) :198〜199℃
λmax :822nm(ジアセトンアルコール溶液)
εg :3.20×10 ml/g・cm
得られた化合物のIRスペクトルを図8に示す。
【0122】
[実施例9] ポリメチン化合物(具体例化合物(55)の無定形物の作製)
実施例8で得られた具体例化合物(55)2.0gをアセトン20mlに溶解し、濃縮、乾燥することにより、具体例化合物(55)の無定形物1.95gを得た。
【0123】
この化合物の元素分析値、融点、吸収極大波長(λmax)及びグラム吸光係数(εg)は以下の通りであった。
Figure 0003606165
融点(℃) :不明瞭
λmax :822nm(ジアセトンアルコール溶液)
εg :3.18×10 ml/g・cm
得られた化合物の粉末X線回折図を図12に示す。
【0124】
[実施例10] ポリメチン化合物(具体例化合物(55)のβ晶の作製)
実施例8で得られた具体例化合物(55)2.0gをメタノール30mlより再結晶することにより、具体例化合物(55)のβ晶1.42gを得た。
【0125】
この化合物の元素分析値、融点、吸収極大波長(λmax)及びグラム吸光係数(εg)は以下の通りであった。
Figure 0003606165
融点(℃) :204〜206℃
λmax :822nm(ジアセトンアルコール溶液)
εg :3.21×10 ml/g・cm
得られた化合物の粉末X線回折図を図13に示す。
【0126】
[実施例11] ポリメチン化合物(具体例化合物(55)のメタノール溶媒和物の作製)
実施例8で得られた具体例化合物(55)2.0gをメタノール50mlに溶解し、エバポレーターにて濃縮残量7gまで減圧濃縮し、冷却、濾取、乾燥することにより、具体例化合物(55)のメタノール溶媒和物1.92gを得た。
【0127】
この化合物の融点、吸収極大波長(λmax)及びグラム吸光係数(εg)は以下の通りであった。
融点(℃) :〜180℃
λmax :822nm(ジアセトンアルコール溶液)
εg :2.92×10 ml/g・cm
得られた化合物の粉末X線回折図を図14に示す。
実施例12 ポリメチン化合物(具体例化合物(55)のα晶の作製)
実施例9で得られた具体例化合物(55)の非結晶物1.5gをメタノール20mlに室温下分散することにより、具体例化合物(55)のα晶1.23gを得た。
【0128】
この化合物の元素分析値、融点、吸収極大波長(λmax)及びグラム吸光係数(εg)は以下の通りであった。
Figure 0003606165
融点(℃) :195〜197℃
λmax :822nm(ジアセトンアルコール溶液)
εg :3.20×10 ml/g・cm
得られた化合物の粉末X線回折図を図15に示す。
【0129】
[最大吸収波長]
本発明のポリメチン化合物のジアセトンアルコール溶液中での最大吸収波長(λmax)を公知の化合物である前記化合物A、化合物Bとともに測定した。これらの結果を表1に示す。
【0130】
【表1】
Figure 0003606165
【0131】
[溶解度試験]
本発明のポリメチン化合物のメチルエチルケトンに対する溶解度を公知の化合物である前記化合物A、化合物Bとともに測定した。溶解度の測定は下記の方法に従って行った。
【0132】
溶解度の測定方法
5mlのスクリュー管へ各ポリメチン化合物200mg及びメチルエチルケトン1mlを入れ、Mix−Rotorにて、25℃で一晩攪拌溶解し、不溶物の有無を目視で確認した。不溶物が無い場合を溶解度20%以上、不溶物が残存している場合を20%未満とした。
【0133】
ポリメチン化合物200mgの代わりに、各ポリメチン化合物150mg、100mg、50mg、30mg及び10mgを用いた以外は同じ操作を行って、同様にして溶解度を測定した。これらの結果を表2に示す。
【0134】
【表2】
Figure 0003606165
表1、表2の具体例化合物(55)は実施例8で合成した化合物を用いて測定した。
【0135】
[実施例13] 近赤外線吸収剤の製造
平均厚さ5μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムにバインダーとしてデルペット80N(旭化成工業(株)製;アクリル系樹脂);10g、具体例の化合物(11);0.2gをトルエン/メチルエチルケトン(1/1)混合溶媒90gに溶解した液を、ワイヤーバーで乾燥後の膜厚が約5μmとなるよう塗布して試料とした。
【0136】
単一モード半導体レーザー(波長830nm)のレーザー光をレンズで集光し、上記試料の表面でビーム径10μmとなるように配置した。表面に到達するレーザーのパワーが50〜200mWの範囲で変化できるように半導体レーザーを調整し、20μsのパルス幅で単一のパルスを試料に照射した。照射を完了した試料を光学顕微鏡で観察したところ、表面に到達するレーザーのパワーが50mW時、直径約10μmの貫通した孔が形成されていることが確認できた。
【0137】
[実施例14] 近赤外線吸収剤の製造
実施例13において、具体例の化合物(11);0.2gの代わりに具体例の化合物(19);0.2gを用いた以外は実施例9と同様の操作を行った。照射を完了した試料を光学顕微鏡で観察したところ、表面に到達するレーザーのパワーが50mW時、直径約10μmの貫通した孔が形成されていることが確認できた。
【0138】
[実施例15] ダイレクト製版用印刷原版の作製
(下塗り層の形成)
厚さ175μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上にプライマー層として、乾燥膜厚0.2μmとなるようにゼラチン下塗り層を形成した。
【0139】
(光熱変換層の形成)
下記の成分で作成した塗布液を前記のゼラチン下塗りポリエチレンテレフタレート上に乾燥膜厚2μmとなるように塗布し、光熱変換層を形成した。
具体例の化合物(11) 0.1重量部
クリスボン3006LV 5.0重量部
(大日本インキ化学工業(株)製ポリウレタン)
ソルスパースS27000(ICI社製) 0.4重量部
ニトロセルロース(n−プロパノール30%含有) 4.2重量部
キシリレンジアミン1モル/グリシジルメタクリレート4モルの付加物2.0重量部
エチルミヒラーズケトン 0.2重量部
テトラヒドロフラン 90 重量部
【0140】
(シリコンゴム層の形成)
下記の成分で作成した塗布液を前記の光熱変換層上に乾燥膜厚2μmとなるように塗布し、シリコンゴム層を形成した。
α,ω−ジビニルポリジメチルシロキサン(重合度約700) 9.0重量部
(CHSi−O−(SiH(CH)−O)−Si(CH 0.6重量部
ポリジメチルシロキサン(重合度約8000) 0.5重量部
オレフィン−塩化白金酸 0.08重量部
抑制剤 HC≡C−C(CH−O−Si(CH 0.07重量部
アイソパーG(エッソ化学(株)製) 55 重量部
【0141】
上記のようにして得られた印刷用原版に、版面上のパワーが110mWとなるようにビーム径10μm、発振波長830nmの半導体レーザーを用いて書き込みを行った。レーザー記録感度は200mJ/cm、解像力8μmでシャープなエッジの印刷版が形成できた。
【0142】
[実施例16] ダイレクト製版用印刷原版の作製
実施例15において、具体例の化合物(11);0.1重量部の代わりに具体例の化合物(47);0.1重量部を用いた以外は実施例11と同様の操作で印刷用原版を作製した。
【0143】
上記のようにして得られた印刷用原版に、版面上のパワーが110mWとなるようにビーム径10μm、発振波長830nmの半導体レーザーを用いて書き込みを行った。レーザー記録感度は200mJ/cm、解像力8μmでシャープなエッジの印刷版が形成できた。
【0144】
[実施例17] ダイレクト製版用印刷原版の作製
実施例15において、具体例の化合物(11);0.1重量部の代わりに表1の化合物(55);0.1重量部を用いた以外は実施例11と同様の操作で印刷用原版を作製した。
【0145】
上記のようにして得られた印刷用原版に、版面上のパワーが110mWとなるようにビーム径10μm、発振波長830nmの半導体レーザーを用いて書き込みを行った。レーザー記録感度は200mJ/cm、解像力8μmでシャープなエッジの印刷版が形成できた。
【0146】
[比較例1]
実施例13において、具体例の化合物(11);0.2gの代わりに特開昭63−319191号公報記載の下記構造式のポリメチン化合物;0.2gを用いた以外は実施例13と同様の操作を行った。照射を完了した試料を光学顕微鏡で観察したところ、表面に到達するレーザーのパワーが100mWにおいても貫通した孔は形成されなかった。
【0147】
【化35】
Figure 0003606165
【0148】
[比較例2]
実施例13において、具体例の化合物(11);0.2gの代わりにJournal of Organic Chemistry,60,2392,Table1.記載の下記構造式のポリメチン化合物;0.2gを用いた以外は実施例13と同様の操作を行った。照射を完了した試料を光学顕微鏡で観察したところ、表面に到達するレーザーのパワーが50mWにおいては貫通した孔は形成されなかった。
【0149】
【化36】
Figure 0003606165
【0150】
【発明の効果】
一般式(I)のポリメチン化合物は、可視域の吸収が小さく、この化合物を含有する近赤外線吸収剤は、レーザー光に対する感度が良好で光熱変換効率が高く、例えば、高速記録ができ、高密度、高画質の画像を与えるレーザー熱転写記録材料、レーザー感熱記録材料等に好適に用いることができる。また、一般式(I)のポリメチン化合物は、ダイレクト製版用印刷原版の光熱変換層の作製に用いる種々の溶剤に対する溶解性が極めて高く、種々のバインダー樹脂等との相溶性が良いため塗工液が調整しやすく、均一な光熱変換層を形成できるため、ダイレクト製版用印刷原版の製造に特に適している。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のポリメチン化合物のIR吸収スペクトルである。
【図2】実施例2のポリメチン化合物のIR吸収スペクトルである。
【図3】実施例3のポリメチン化合物のIR吸収スペクトルである。
【図4】実施例4のポリメチン化合物のIR吸収スペクトルである。
【図5】実施例5のポリメチン化合物のIR吸収スペクトルである。
【図6】実施例6のポリメチン化合物のIR吸収スペクトルである。
【図7】実施例7のポリメチン化合物のIR吸収スペクトルである。
【図8】実施例8のポリメチン化合物のIR吸収スペクトルである。
【図9】実施例1のポリメチン化合物のジアセトンアルコール中のVIS−NIR吸収スペクトルである。
【図10】実施例5のポリメチン化合物のジアセトンアルコール中のVIS−NIR吸収スペクトルである。
【図11】実施例7のポリメチン化合物のジアセトンアルコール中のVIS−NIR吸収スペクトルである。
【図12】実施例9のポリメチン化合物の粉末X線回折図である。
【図13】実施例10のポリメチン化合物の粉末X線回折図である。
【図14】実施例11のポリメチン化合物の粉末X線回折図である。
【図15】実施例12のポリメチン化合物の粉末X線回折図である。

Claims (15)

  1. 下記一般式(I)で表されるポリメチン化合物。
    Figure 0003606165
    (式中、Rは置換基を有してもよいアルコキシ基を示し、Rは置換基を有してもよいアルキル基を示し、R、Rはそれぞれ炭素数1〜4のアルキル基を示し、またRとRは互いに連結して環状構造を形成しても良く、Xは水素原子、ハロゲン原子または置換アミノ基を示し、Yは置換基を有してもよいアルコキシ基または置換基を有してもよいアルキル基を示し、Zは電荷中和イオンを表す。)
  2. が炭素数1〜4のアルコキシ基であり、Rが炭素数1〜8のアルキル基、総炭素数2〜8のアルコキシアルキル基、炭素数1〜8のスルホアルキル基、または総炭素数2〜9のカルボキシアルキル基であり、Yが炭素数1〜4のアルコキシ基または炭素数1〜4のアルキル基である請求項1のポリメチン化合物。
  3. ZがCl、Br、I、ClO 、BF 、CFCO 、PF 、SbF 、CHSO またはp−トルエンスルホネート、Na、Kまたはトリエチルアンモニウムイオンである請求項1または2のポリメチン化合物。
  4. 、Rがメチル基、RとRが互いに連結して形成されたシクロペンタン環またはRとRが互いに連結して形成されたシクロヘキサン環である請求項1〜3いずれかのポリメチン化合物。
  5. XがH、Cl、Brまたはジフェニルアミノ基である請求項1〜4いずれかのポリメチン化合物。
  6. Cu−Kα線による粉末X線回折法における回折角(2θ±0.2°)11.6°、14.6°、15.6°、19.6°、22.9°に特徴的なピークを示す粉末X線回折図により特徴づけられる下記式で表される2−(2−{2−クロロ−3−[(1,3−ジヒドロ−3,3,7−トリメチル−5−メトキシ−1−メトキシエチル−2H−インドール−2−イリデン)エチリデン]−1−シクロヘキセン−1−イル}エテニル)−3,3,7−トリメチル−5−メトキシ−1−メトキシエチルインドリウム=テトラフルオロボレートの低融点結晶変態である請求項1のポリメチン化合物。
    Figure 0003606165
  7. Cu−Kα線による粉末X線回折法における回折角(2θ±0.2°)8.4°に特徴的な非常に強いピークを示す粉末X線回折図により特徴づけられる下記式で表される2−(2−{2−クロロ−3−[(1,3−ジヒドロ−3,3,7−トリメチル−5−メトキシ−1−メトキシエチル−2H−インドール−2−イリデン)エチリデン]−1−シクロヘキセン−1−イル}エテニル)−3,3,7−トリメチル−5−メトキシ−1−メトキシエチルインドリウム=テトラフルオロボレートの高融点結晶変態である請求項1のポリメチン化合物。
    Figure 0003606165
  8. Cu−Kα線による粉末X線回折法における回折角(2θ±0.2°)13.3°、17.4°、19.8°、21.8°、26.9°に特徴的なピークを示す粉末X線回折図により特徴づけられる下記式で表される2−(2−{2−クロロ−3−[(1,3−ジヒドロ−3,3,7−トリメチル−5−メトキシ−1−メトキシエチル−2H−インドール−2−イリデン)エチリデン]−1−シクロヘキセン−1−イル}エテニル)−3,3,7−トリメチル−5−メトキシ−1−メトキシエチルインドリウム=テトラフルオロボレートの結晶性メタノール付加物である請求項1のポリメチン化合物。
    Figure 0003606165
  9. Cu−Kα線による粉末X線回折法における回折角(2θ±0.2°)に特徴的なピークを示さない粉末X線回折図により特徴づけられる下記式で表される2−(2−{2−クロロ−3−[(1,3−ジヒドロ−3,3,7−トリメチル−5−メトキシ−1−メトキシエチル−2H−インドール−2−イリデン)エチリデン]−1−シクロヘキセン−1−イル}エテニル)−3,3,7−トリメチル−5−メトキシ−1−メトキシエチルインドリウム=テトラフルオロボレートの無定形物である請求項1のポリメチン化合物。
    Figure 0003606165
  10. 下記一般式(II)で表されるインドレニウム化合物と、下記一般式(III)で表されるジホルミル化合物または(IV)で表されるジアニル化合物を脂肪酸塩の存在下、脱水性有機酸を用いて縮合させることを特徴とする請求項1のポリメチン化合物の製造方法。
    Figure 0003606165
    (式中、Rは置換基を有してもよいアルコキシ基を示し、Rは置換基を有してもよいアルキル基を示し、R、Rはそれぞれ炭素数1〜4のアルキル基を示し、またRとRは互いに連結して環状構造を形成しても良く、Yは置換基を有してもよいアルコキシ基または置換基を有してもよいアルキル基を示し、Zは電荷中和イオンを表わし、nは0または1の数を表す。)
    Figure 0003606165
    (式中、Xは水素原子、ハロゲン原子または置換アミノ基を示す。)
    Figure 0003606165
    (式中、Xは水素原子、ハロゲン原子または置換アミノ基を示す。)
  11. 請求項1記載のポリメチン化合物の結晶性溶媒付加物または無定形物を溶剤処理することを特徴とする請求項1記載のポリメチン化合物の低融点結晶物の製造方法。
  12. 請求項1記載のポリメチン化合物をケトン系またはアルコール系溶剤で再結晶することを特徴とする請求項1記載のポリメチン化合物の高融点結晶物の製造方法。
  13. 請求項1記載のポリメチン化合物を含有することを特徴とする近赤外線吸収剤。
  14. 支持体上に光熱変換層を設けてなるダイレクト製版用印刷原版において、光熱変換層中に請求項1のポリメチン化合物を含有することを特徴とするダイレクト製版用印刷原版。
  15. 請求項14のダイレクト製版用印刷原版に、光源として820nm〜840nmに発光領域を持つ半導体レーザー光を照射して印刷版を作製する方法。
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