JP3606035B2 - オンラインロール研削方法及び装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロールを圧延機に組み込んだまま、回転砥石を前記ロールの周面に押し付けて、ロール段差の研削を行うオンラインロール研削方法及び装置に係り、特に、ロールプロフィルを検出することなく、段差研削での終了位置や開始位置を検出することが可能な、オンラインロール研削方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
圧延機で圧延材、例えば鋼板を圧延する場合、ロールの圧延材との接触部分が局部的に摩耗するため、圧延を重ねる毎にロールのプロフィルは変化していく。特に、狭幅の圧延材を圧延した後に、広幅の圧延材を圧延する場合は、広幅の圧延材の圧延時には、ロールの狭幅の圧延材幅端部に接触する部分に段差摩耗が発生しているため、板プロフィルの制御が困難になる。従って、通常、広幅材から狭幅材となるように圧延順を規制して操業を行っているが、このような板幅による圧延順規制は、生産性の低下を招く原因になっている。
【0003】
そこで、このような不都合を解消するため、図1に示す如く、圧延機内にロール研削装置20を配設して、圧延中又は圧延アイドリング中に、ロール10の圧延材との非接触部分10Aを研削することにより、ロール10を所定のプロフィルに維持する、いわゆるオンラインロール研削が提案されている。
【0004】
このオンラインロール研削装置20は、ロール10の周面10Bに対して進退可能に設けられた回転砥石22と、該回転砥石22を回転駆動させる、例えば油圧モータからなる駆動モータ24と、回転砥石22を矢印Aに示す如く進退駆動させる進退用駆動装置(図示省略)を備えたものであり、摩耗量の予測計算結果やロールプロフィルの測定結果に基づいて把握された段差摩耗10Cの位置や摩耗量ΔDに応じて、回転砥石22を、回転するロール周面10Bの前記非接触部分10Aに押し付けて研削しながら、矢印Bに示す如くロール軸移動方向に移動することにより、ロール周面10Bの全体を平滑化するようにしたものである。
【0005】
このようなロール研削装置20を用いてロール10の周面を研削する際、従来は、例えばホットストリップミル仕上圧延機においては、数式モデルを用いてロールの摩耗プロフィルを予測し、研削したい領域のみ回転砥石22を押し付けて研削する方法が採られていた。
【0006】
しかしながら、ロール摩耗プロフィルの正確な予測は困難であるため、精密な研削ができず、又、ロールの摩耗モデル誤差や研削誤差に対応できない等の問題点を有していた。
【0007】
このような問題点を解消するものとして、特公平4−59045には、ロールプロフィル検出器により検出した実測ロールプロフィルと目標ロールプロフィルの差である研削したいロールプロフィル、砥石のオシレート(研削時に、矢印B方向に移動する際に、砥石を所定位置間で往復移動させること)毎に分割し、研削プロフィルとの交点を求めて研削区間を決定し、この交点と不研削区間との交点を求めて研削区間を決定し、この交点と不研削区間との最大摩耗点との中点を研削開始又は研削終了位置とすることにより、各オシレート毎に最適な砥石押し付け位置を決定し、研削位置を変更することが記載されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、オンラインロールプロフィルメータを用いる方法は、狭いスペースに複雑な機構が必要であり、取付場所が限定されるだけでなく、設備費が高価で、メンテナンス作業も大変である等の問題点を有していた。
【0009】
なお、圧延材の板幅実績値により段差研削の終了位置を決定することも行われているが、板の蛇行や熱膨脹による誤差が大きいという問題点を有していた。
【0010】
本発明は、前記従来の問題点を解消するべくなされたもので、ロールプロフィルを検出することなく、段差研削の終了位置や開始位置を的確且つ簡単に検出することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ロールを圧延機に組み込んだまま、回転砥石を前記ロールの周面に押し付けて、ロール段差の研削を行うオンラインロール研削方法において、前記回転砥石にかかる曲げモーメントを検出し、該曲げモーメントの変化に基づいて、ロール段差の研削終了位置や開始位置を検出するようにして、前記課題を解決したものである。
【0012】
又、ロールの周面に対して進退可能に設けられた回転砥石と、該回転砥石を回転駆動させる駆動モータと、前記回転砥石を進退駆動させる進退用駆動装置とを備え、該進退用駆動装置によって前記回転砥石を前進させることにより、該回転砥石を、回転する前記ロールの周面に押し付けてロール段差を研削するようにしたオンラインロール研削装置において、前記回転砥石にかかる曲げモーメントを検出するためのロードセルと、該ロードセルに加わる荷重が所定値となった時に、ロール段差の研削終了位置や開始位置と判定する判定手段とを備えることにより、同じく前記課題を解決したものである。
【0013】
又、前記ロードセルが、前記回転砥石を進退させるためのスライダの摺動をガイドするリニアベアリングにかかる荷重を検出するようにして、曲げモーメントを簡単に検出できるようにしたものである。
【0014】
又、前記リニアベアリングが、前記スライダの上下左右端部に独立して設けられ、対角線位置に設けられたロードセルの出力の和により、前記曲げモーメントを検出するようにして、曲げモーメントを高精度で検出できるようにしたものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0016】
本発明の第1実施形態は、図2に示す如く、ケーシング30の底部(図では上部)に配設された駆動モータ24と、該駆動モータ24によりスプライン付ユニバーサルジョイント32を介して回転駆動される回転砥石22と、該回転砥石22をラジアルベアリング34を介して回転自在に支持する筒状のスライダ36と、リニアベアリング40により、前記ケーシング30の内側に回転砥石22の軸方向(矢印A方向)にスライダ36を進退駆動することによって、前記回転砥石22を進退駆動させる油圧シリンダ38とを有している。
【0017】
前記回転砥石22は、例えば図3に示すような断面形状とされている。図3中の数字は、各部の寸法(単位mm)である。
【0018】
前記リニアベアリング40は、前記スライダ36の上下左右端部に独立して4個設けられている。各リニアベアリング40は、図4に詳細に示す如く、前記スライダ36の側面が転動する円筒状のローラベアリング42と、該ローラベアリング42を回転自在に支持する軸44と、該軸44の両端を支持する軸受46とを備えており、例えば、図2の右上のリニアベアリングの軸受46とケーシング30との間には、リニアベアリング40にスライダ36から加わる荷重を検出するためのロードセル50が埋め込まれている。
【0019】
図2に示したような構成のロール研削装置20を、ロール10の端部(図では左端)からロール周面10Bに押し当てて矢印B方向に研削していくと、段差位置に到達するまでは、回転砥石22の砥石幅W0 が全てロール周面10Bにあたっており、回転砥石22に掛かる曲げモーメントは安定しているのに対して、図2に示す如く、研削終了位置に近付き、砥石幅W0 のうち一部しかロール周面10Bに当たらなくなると、研削幅W1 が回転砥石22の外周側になり、スライダ36に係る曲げモーメントが大きくなる。図3に示したような回転砥石を用いた場合のロードセル50によって検出される荷重の変化状態の一例を図5に示す。
【0020】
従って、回転砥石22からスライダ36に加わる曲げモーメントを、ロードセル50の出力として検出することにより、段差研削の終了点を検出できる。図5の例では、曲げモーメントのピーク100%に対して、通常研削時は75%付近で推移していたのが、段差研削終了点が近付くにつれて曲げモーメントが大きくなるので、通常研削時の15〜20%程度アップ、例えば87.5%になったときに段差研削の終了点を検出することができる。
【0021】
なお、曲げモーメントを検出するロードセル配設位置や数は、前記実施形態に限定されず、例えば図2の左下のリニアベアリングに1個設けたり、又は、図6に示す第2実施形態のように、右上と左下の両方のリニアベアリングにロードセルを設けて、2出力の合算として精度を高めたり、更には、4個のリニアベアリング全てにロードセルを設けて、右上+左下のロードセル出力の和から、左上+右下のロードセル出力の和を減じることにより曲げモーメントを求めるようにして、検出精度を更に高めることもできる。又、リニアベアリング40以外の部材に加わる荷重や他の力から、曲げモーメントを検出することも可能である。
【0022】
前記実施形態では、回転砥石が図1の左側に示す如く、その内側からロール10に接触するようにされていたため、図2の右上のリニアベアリングに配置したロードセルによって検出される、図2の時計回りの曲げモーメントが所定値を越えたことから、ロール左側の研削終了位置を求めるようにしていたが、回転砥石22が図1の右側に示すように、その外側からロール10に接触する場合は、逆に、研削終了近くで回転砥石22の内周側のみロール10に当たるようになるので、例えば左上のリニアベアリングにロードセルを設けて、図2の反時計回りの曲げモーメントが所定値を越えたことを検出すればよい。
【0023】
なお、前記実施形態においては、本発明が、段差研削の終了位置の検出に適用されていたが、本発明の適用対象はこれに限定されず、曲げモーメントの変化から、段差研削の開始位置を検出することも可能である。
【0024】
又、前記実施形態においては、リニアベアリング40が4個の場合について説明したが、例えばスライダ36の円周に沿って90度間隔で上下各4個計8個設けるようにしてもよい。この場合でも、上記実施形態のようにロードセルで荷重を測定するリニアベアリングを適切に選択すればよい。
【0025】
【発明の効果】
本発明によれば、オンラインロールプロフィルメータを用いることなく、段差研削の開始位置や終了位置を的確に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の適用対象であるオンラインロール研削装置を説明するための断面図
【図2】本発明の第1実施形態の構成を示す縦断面図
【図3】第1実施形態の回転砥石の断面形状を示す断面図
【図4】同じくリニアベアリング周辺を拡大して示す横断面図
【図5】同じく曲げモーメントの変化状態の例を示す線図
【図6】本発明の第2実施形態の構成を示す縦断面図
【符号の説明】
10…ロール
10A…非接触部分
10B…ロール周面
10C…段差摩耗
20…ロール研削装置
22…回転砥石
24…駆動モータ
30…ケーシング
36…スライダ
38…油圧シリンダ
40…リニアベアリング
50…ロードセル
Claims (4)
- ロールを圧延機に組み込んだまま、回転砥石を前記ロールの周面に押し付けて、ロール段差の研削を行うオンラインロール研削方法において、
前記回転砥石にかかる曲げモーメントを検出し、
該曲げモーメントの変化に基づいて、ロール段差の研削終了位置や開始位置を検出することを特徴とするオンラインロール研削方法。 - ロールの周面に対して進退可能に設けられた回転砥石と、該回転砥石を回転駆動させる駆動モータと、前記回転砥石を進退駆動させる進退用駆動装置とを備え、該進退用駆動装置によって前記回転砥石を前進させることにより、該回転砥石を、回転する前記ロールの周面に押し付けてロール段差を研削するようにしたオンラインロール研削装置において、
前記回転砥石にかかる曲げモーメントを検出するためのロードセルと、
該ロードセルに加わる荷重が所定値となった時に、ロール段差の研削終了位置や開始位置と判定する判定手段と、
を備えたことを特徴とするオンラインロール研削装置。 - 請求項2に記載のオンラインロール研削装置において、前記ロードセルが、前記回転砥石を進退させるためのスライダの摺動をガイドするリニアベアリングにかかる荷重を検出するようにされていることを特徴とするオンラインロール研削装置。
- 請求項3に記載のオンラインロール研削装置において、前記リニアベアリングが、前記スライダの上下左右端部に独立して設けられ、対角線位置に設けられたロードセルの出力の和により、前記曲げモーメントを検出するようにされていることを特徴とするオンラインロール研削装置。
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JP08152098A JP3606035B2 (ja) | 1998-03-27 | 1998-03-27 | オンラインロール研削方法及び装置 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JPH11277116A JPH11277116A (ja) | 1999-10-12 |
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Family Applications (1)
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JP08152098A Expired - Fee Related JP3606035B2 (ja) | 1998-03-27 | 1998-03-27 | オンラインロール研削方法及び装置 |
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JP4447440B2 (ja) * | 2004-12-02 | 2010-04-07 | 新日本製鐵株式会社 | ワークロールのオンライン研削方法 |
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1998
- 1998-03-27 JP JP08152098A patent/JP3606035B2/ja not_active Expired - Fee Related
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