JP3605813B2 - フイルムスキャナの露出制御装置及び方法 - Google Patents

フイルムスキャナの露出制御装置及び方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はフイルムスキャナの露出制御装置及び方法に係り、特に現像済みネガフイルムの画像をラインセンサで読み取るフイルムスキャナの露出制御装置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、複数のコマ画像を含む1ロールの現像済みスチル写真フイルムを一定の速度で搬送しながら、該フイルムのコマ画像をラインセンサによって読み取り、該ラインセンサの出力電圧をアナログアンプで増幅したのち画像信号として出力するフイルムスキャナが提案されている。
【0003】
このフイルムスキャナは、先ず、画像の撮影条件(AE/AWB情報)を取得する為に、前記アナログアンプのゲインを所定の初期ゲイン値に設定するとともに、前記電子シャッタのシャッタ値を所定の初期値に設定し、フイルム全体にわたって第一の搬送速度で読み取り(第1プリスキャン)を行い、次に前記ゲイン増大機能を使用すると同時に、ゲイン増大分だけ減じた露出条件に基づいて各コマに補正をかけながらフイルムを高速でスキャン(第2プリスキャン)して、全コマの縮小画像(インデックス画像)を取得すると共に更に詳細なAE/AWB情報を取得している。そしてこの第2プリスキャンで得られたAE/AWB情報に基づいて各コマに補正をかけて適正な各コマ画像を取得している(これを本スキャンという)。
【0004】
尚、この種のフイルムスキャナの露出制御として、本願出願人は、既に特願平7─182955号明細書においてCCDラインセンサの電子シャッタと、該ラインセンサの出力電圧を増幅するアナログアンプのゲインを一定量増大させるゲイン増大機能によって露出制御を行う方法を開示している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記特願平7─182955号明細書にはフイルムスキャナの露出制御にアナログアンプのゲインを一定量増大させて露出制御範囲を拡大する方法が提案されているが、このような技術は、CCDラインセンサからの出力を予め設定した増幅率で正確に増幅できることが必要であり、特にCCDラインセンサで発生する暗電流分の補償を正しく行わないと、第1プリスキャンと第2プリスキャンとの間でゲインを一定量増大させた際に入出力特性におけるリニアリティが失なわれる結果、露出制御が正しく行われず、第2プリスキャンによるインデックス画像及び本スキャンによる各コマ画像の調子再現が劣り画質劣化が生じるという問題がある。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、アナログアンプのゲインを一定量増大させても入出力特性におけるリニアリティの維持を図り、露出制御範囲の拡大ができるフイルムスキャナの露出制御装置及び方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記目的を達成するために、複数のコマ画像を含む1ロールの現像済みスチル写真フイルムを一定の速度で搬送しながら、該フイルムのコマ画像をラインセンサによって読み取り、該ラインセンサの出力電圧をアナログアンプで増幅したのち画像信号として出力するフイルムスキャナの露出制御方法において、前記ラインセンサには各受光部に蓄積される電荷の蓄積時間を変更することによって露出を制御する電子シャッタ機能を設けるとともに、前記アナログアンプのゲインを一定量増大させるゲイン増大機能を設け、さらに前記アナログアンプ出力に含まれる前記ラインセンサの暗電流出力を補正するためのOB補正手段を設け、先ず、前記アナログアンプのゲインを所定の初期ゲイン値に設定した後にOB補正手段の設定を行うとともに、前記電子シャッタのシャッタ値を所定の初期値に設定し、前記フイルムを第1の搬送速度で全コマにわたって搬送しながら、該フイルムの全コマ画像を前記ラインセンサによって読み取り、該ラインセンサからの出力電圧を基に各コマの明るさを検出する第1のプリスキャンを実行し、前記第1のプリスキャンで得られた各コマの明るさに基づいて各コマ毎の適正露出時間に相当する前記電子シャッタのシャッタ値を求め、その後、前記ゲイン増大機能を使用し、前記アナログアンプのゲインを前記初期ゲイン値よりも一定量増大させるとともに再度OB補正手段の設定を行い、このゲイン増大による出力電圧の増分を相殺するよう各コマ毎に前記求めたシャッタ値を補正し、前記電子シャッタによる前記補正したシャッタ値となるように露出制御しながら、該フイルムを第2の搬送速度で全コマにわたって搬送し、該フイルムの全コマ画を前記ラインセンサによって読み取り、複数のコマの画像を示すインデックス画像を表示する第2のプリスキャンを実行することを特徴としている。そして本発明によれば、ラインセンサに設けた電子シャッタと、アナログアンプのゲインと、フイルム搬送速度とを総合的に制御して、画像信号を得る過程において、アナログアンプのゲインを一定量増大させるゲイン増大機能を設け、このゲイン増大機能を有効/無効の選択可能な構成とし、先ず、第1のプリスキャンでは、前記ゲイン増大機能を使用せず(無効とし)、アナログアンプのゲイン値を所定の初期ゲイン値に設定するとともに電子シャッタのシャッタ値を所定の初期値に設定し、OB補正を行った後に所定の第1の搬送速度によってフイルムの全コマをスキャンし、各コマの明るさ情報を得ている。そして、その明るさ情報に基づいて、その初期ゲイン値における各コマ毎の適正な露出時間に相当する電子シャッタのシャッタ値を求めている。
【0008】
続く第2のプリスキャンにおいては、前記ゲイン増大機能を有効とし、前記初期ゲイン値に更に一定量のゲインを加えて前記アナログアンプのゲインを増大させ、これに対応したOB補正を行っている。このようにゲイン増大した状態で、先に求めた適正な露出時間に相当するシャッタ値に従って露出制御を実行したのでは、ラインセンサの出力が過大になりすぎるので、その分、露出時間を短くするようにそのシャッタ値を補正し、その補正したシャッタ値に従って露出制御し、ラインセンサの適正な出力電圧レベルを得ている。このように、第2のプリスキャン時にゲイン増大機能を付加し、電子シャッタによる露出制御の負担の軽減を可能にさせている。
【0009】
これにより、1ロール中の複数のコマ画像の中に、極端に透過率の低いコマが存在する場合、従来であれば、電子シャッタだけで対応しているために、電子シャッタで制御できる限界に達すると、そのコマについては適正な露出制御を行うことができないでいたが、本発明によれば、ゲインの切り替えを行っても適切なOB補正が行われ入出力のリニアリティが保証されるので、第2のプリスキャン時にゲイン増大を付加することが可能になり、そのゲイン増大させた分、電子シャッタの露出時間を全体的に短くする方向に働くため、結果的に電子シャッタの露出制御可能域を拡幅することができる。従って、従来であればAE制御が飽和していたような透過率の低いコマについても、露出制御を効かせて画像を取り込むことが可能となる。
【0010】
即ち、前記ゲイン増大機能の選択に対応して適切なOB補正を行うことで、入出力のリニアリティが保たれる事から、ゲイン増大量を適切に選択すれば、全てのコマについて露出制御が有効に機能したインデックス画像を表示することができる。
また、フイルム搬送の往路で前記第1のプリスキャンを実行し、その復路で前記第2のプリスキャンを実行すれば、フイルム搬送シーケンスに無駄がなく、プリスキャンに要する時間が短縮できる。
【0011】
更に、第1のプリスキャンによって各コマの明るさを検出した際に、上記のような極端に透過率の低いコマが存在するか否かを判別し、かかる透過率の低いコマが1つでも存在している場合には、前記ゲイン増大機能を有効にしてOB補正を行った後に上述の第2のプリスキャンを実行し、他方、かかる透過率の低いコマが1つも存在せず、何れのコマも一定の透過率以上である場合には、上記ゲイン増大機能を働かせる利益に乏しいので、このような場合にはゲイン増大機能を使用せずに、先に求めた適正露出時間に相当するシャッタ値どおりの露出制御を行う第3のプリスキャンを前記第2のプリスキャンに代わって実行するのが望ましい。
【0012】
尚、上述のように第2のプリスキャン時に全コマについて一律にゲイン増大を付加するようにしたのは、第2のプリスキャンを全コマにわたって一定の搬送速度で実行するという要請からくるものであり、各コマ毎にゲインを増減制御し又は、各コマ毎に搬送速度を制御するものに比べ、本発明は、回路構成が簡単で、制御の安定性とリニアリティ精度の面からも優れている。
【0013】
更にまた、本発明によれば、第2のプリスキャン後の本スキャンは基本的に各コマ毎にフイルム搬送速度を変更することが可能なシーケンスであり、第1のプリスキャンで検出した各コマの明るさに応じて、各コマ毎にそのコマをスキャンする際の搬送速度を制御できる。その際、一定の透過率以上のコマについては、標準速度でスキャンするものとし、他方、透過率の低いコマについては、標準速度の1/n速度の低速度でスキャンするように構成することが考えられる。この場合、搬送速度が遅くなるとそれにつれて1ラインの読み取り周期も遅くすることにより、搬送方向と同方向の画素数を変更することなくラインセンサの露光時間を長くすることができる。
【0014】
更に、ゲイン増大機能の増幅倍率を前記標準速度と低速度との比(n倍)とすることにより、ゲイン増大機能と1/n低速時とで信号量が同等となり、第2のプリスキャンと本スキャンとの間で露出制御上の計算が容易となり、構成が簡略化できる。
また、前記第1のプリスキャンの実行により、コマの明るさが所定の明るさ以下のコマは、続く第2のプリスキャンで得た画像信号から改めてコマの明るさを示す情報及び、基準最大値、基準最小値を求め、撮影条件を取得し直すようにしたので、オーバーのコマに対しても、本スキャン時に適正な撮影条件で読み込みを行うことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下添付図面に従って本発明に係るフイルムスキャナの露出制御装置及び方法の好ましい実施の形態について詳説する。
図1は本発明が適用されるフイルムスキャナの実施形態の一例を示す要部ブロック図である。このフイルムスキャナは、主として照明用の光源10、撮影レンズ12、CCDラインセンサ14、アナログアンプ16、A/Dコンバータ18、デジタル信号処理回路20、モータ31、キャプスタン32及びピンチローラ33を含むフイルム駆動装置、中央処理装置(CPU)40等を備えている。
【0016】
光源10は、フイルムカートリッジ50内から引き出される現像済みのネガフイルム52を図示しない赤外カットフィルタを介して照明し、フイルム52を透過した透過光は、撮影レンズ12を介してCCDラインセンサ14の受光面に結像される。
CCDラインセンサ14は、フイルム搬送方向と直交する方向に1024画素分の受光部が配設されており、CCDラインセンサ14の受光面に結像された画像光は、R,G,Bフィルタが設けられて各受光部で電荷蓄積され、光の強さに応じた量のR,G,Bの信号電荷に変換される。このようにして蓄積されたR,G,Bの電荷は、CCD駆動回路15から加えられる1ライン周期のリードゲートパルスが加えられると、シフトレジスタに転送されたのちレジスタ転送パルスによって順次電圧信号として出力される。また、このCCDラインセンサ14は、各受光部に隣接してシャッターゲート及びシャッタードレインが設けられており、このシャッターゲートをシャッターゲートパルスによって駆動することにより、受光部に蓄積された電荷をシャッタードレインに掃き出すことができる。即ち、このCCDラインセンサ14は、CCD駆動回路15から加えれるシャッターゲートパルスに応じて受光部に蓄積する電荷を制御することができる、いわゆる電子シャッター機能を有している。
【0017】
上記CCDラインセンサ14から読み出されたR,G,B電圧信号は、図示しないCDSクランプによってクランプされてアナログアンプ16に加えられ、ここで後述するようにゲインが制御される。実施の形態の特徴は、通常のCDSゲイン制御に加え、CDSに所定量(6dB)のゲイン増大機能を付加した点にある。このCDSのゲイン増大機能はCPU40からのON/OFF信号42により有効/無効制御される。尚、このゲイン増大機能の役割については後述する。
【0018】
前記アナログアンプ16から出力される1コマ分のR,G,B電圧信号はA/Dコンバータ18によって点順次のR,G,Bデジタル信号に変換されたのち、デジタル信号処理回路20によって後述するOB補正、白バランス、黒バランス、ネガポジ反転、ガンマ補正等が行われたのち、図示しない画像メモリに記憶される。
【0019】
尚、画像メモリに記憶された1コマ分のR,G,Bデジタル信号は、繰り返し読み出され、D/Aコンバータによってアナログ信号に変換されたのち、エンコーダでNTSC方式の複合映像信号に変換されてモニタTVに出力される。これにより、モニタTVよってフイルム画像を見ることができるようになる。
フイルム駆動装置は、フイルムカートリッジ50のスプール50Aと係合し、そのスプール50Aを正転/逆転駆動するフイルム供給部と、このフイルム供給部から送出されるフイルム52を巻き取るフイルム巻取部と、フイルム搬送路に配設され、フイルム52をモータ31によって駆動されるキャプスタン32とピンチローラ33とで挟持してフイルム32を所望の速度で搬送する手段とから構成されている。尚、上記フイルム供給部は、フイルムカートリッジ50のスプール50Aを図1上で時計回り方向に駆動し、フイルム先端がフイルム巻取部によって巻き取られるまでフイルムカートリッジ50からフイルム52を送り出すようにしている。また、CPU40は、モータ回転数/方向制御回路34を通じてモータ31の正転/逆転、起動/停止、パルス幅変調によるフイルム搬送速度の制御を行うことができる。
【0020】
CPU40は、モータ回転数/方向制御回路34を通じてモータ31の正転/逆転・起動/停止、パルス幅変調によるフイルム搬送速度の制御を行う。そして、例えば9.25mm/秒の速度を標準のフイルム画像を取り込む時の搬送速度とすると、標準速度の1/2倍速(4.625mm/秒)の低速から16倍速(148.0mm/秒)の高速まで速度制御することができるようになっている。尚、1コマのフイルム搬送方向と同方向の画素数は、CCD駆動回路15のリードゲートパルス等の周期を変更しない場合にはフイルム搬送速度に応じて変化し、例えば、1/2倍、1倍、8倍、16倍の各速度における各素数は、1792画素、896画素、112画素、56画素である。
【0021】
さて、本実施の形態による露出制御は、以下の3つの手段によって行われる。CCDラインセンサ14は、前述したように電子シャッタ機能を有しており、CPU40からCCD駆動回路15を介して電子シャッタ値が制御され、これによって露出時間が制御される。尚、本実施の形態では電子シャッタ値可変範囲は、10%〜100%までとなっている。
【0022】
また、CPU40は、本スキャン時に、モータ回転数/方向制御回路34及びモータ31を通じてフイルム52が1倍速から1/2倍速までの範囲の任意の速度で搬送されるように制御することができるようになっている。一方、モータ31の軸には、スリット付きの円盤35が取り付けられており、この円盤35のスリットを検出するフォトディテクタ36は、モータの回転速度を示すパルス信号をタイミングジェネレータ37に出力する。そして、タイミングジェネレータ37は、本スキャン時には上記入力するパルス信号によってモータ31の回転に同期したパルス信号を発生する。タイミングジェネレータ37から発生されるパルス信号は、CCD駆動回路15、A/Dコンバータ18、デジタル信号処理回路20等に加えられ、これにより各回路は駆動速度が制御されるとともに同期がとられている。
【0023】
即ち、フイルム搬送速度を変更することにより、CCD駆動回路15からCCDラインセンサ14に出力されるリードゲートパルス、シャッターゲートパルス、レジスタ転送パルスの周期も自動的に変更される。尚、1倍速の本スキャン時には、1コマのフイルム搬送方向と同方向の画素数は896画素となるが、フイルム搬送速度を変更してもCCD駆動回路15のリードゲートパルス等の周期も自動的に変更されるため、画素数の変動はない。
【0024】
このようにフイルム搬送速度を1倍速から1/2倍速に変更することにより、露出時間を100%から200%の範囲で変更することができる。尚、タイミングジェネレータ37の制御方法としては、上記実施の形態に限らず、図2に示すようにタイミングジェネレータ37の元クロック周波数をモータ回転数に合わせて位相同期ループ(PPL)38で可変してもよい。
【0025】
更に、CCDラインセンサ14の後段に設けられているアナログアンプ16は、CPU40からのゲイン制御信号44によって、R,G,B各チャンネルのA/Dコンバータ入力信号レベルを増幅するものである。尚、本実施の形態では、アンプゲインの可変範囲は6dBから18dB(2〜8倍)となっている。このアナログアンプ16の最低ゲインは、次式、
【数1】
Figure 0003605813
で決定される。尚、以後、min(CCD定格出力電圧,アナログアンプ定格入力電圧)をCCD適正出力電圧と呼ぶ。CCD出力がCCD適正出力電圧なら、アンプゲインを最低ゲインに設定すれば、A/Dコンバータ18への入力電圧は適正(定格入力電圧)となり、SNも最良となる。
【0026】
また、本実施の形態では、このアナログアンプ16は、後述する第2のプリスキャン時にCPU40からゲイン増大動作(ON)信号が加えられると、所定のゲイン増大(本実施の形態では6dB)を付加し、CPUからゲイン増大動作(OFF)信号が加えられると、そのゲイン増大を解除するゲイン増大機能を備えていることを特徴としている。ここで、このゲイン増大機能のゲイン増大量を6dBとしたのは、本スキャンにおいて標準速度(1倍速)と1/2倍速を切り替える本実施の形態のシステムの制御上の有利だからである。即ち、ゲイン6dB増大時と前記1/2倍速時は、A/Dコンバータに入力される信号レベルは同等であるために、システムのAE制御上、計算が容易となるからである。
【0027】
次に、図3に示すフローチャートを参照しながら露出制御の手順を説明する。まず、フイルムカートリッジ50がカートリッジ収納部(図示せず)にセットされると、アナログアンプのゲイン増大機能を無効に設定した状態で、CCDラインセンサ14の暗電流による出力誤差を補償するOB補正値を取得する(ステップ10)。即ち、アナログアンプ16のゲインを所定の初期値に設定するとともに、CCDラインセンサ14のオプティカル・ブラック部(OB)に対応するCCD出力のA/Dコンバータ18からのデータをOB補正値として取得する。次に、フイルムカートリッジ50からフイルム52が送り出されてフイルム先端がフイルム巻取部の巻取軸に巻き付けられると(フイルムローディングが完了すると)(ステップS11)、以下に示すCDSキャリブレーションを実行する(ステップS12)。
【0028】
即ち、CCDラインセンサ14の電子シャッタ値T1を規定値(例えば40%)に設定し、フイルム52の未露光部分(例えば、フイルム先端のネガベース)を撮像する。そして、A/Dコンバータ18から出力され、かつ前記OB補正値によって補正されたR,G,Bの各信号がそれぞれ所定の最大値(即ち、A/Dコンバータ18の入力レンジ最大)になるようにアナログアンプゲイン(CDSゲイン)が調整される。アナログアンプゲインが変更されたことを受けて再度OB補正値を取得する(ステップS13)。このときのゲイン値を初期ゲイン値、電子シャッタ値を初期シャッタ値と呼ぶ。
【0029】
このようにしてアナログアンプ16のゲインを調整した後、フイルム52を一定速度で搬送し、フイルム画像のスキャン(第1のプリスキャン)を実行する(ステップS14)。即ち、電子シャッタ値は前記初期シャッタ値(例えば40%)の一定に固定し、且つ前記ゲイン増大機能も無効にしたまま、アナログアンプ16のゲインは前記初期ゲイン値に設定し、フイルム52を16倍速の高速で順方向(図1上で右方向)に搬送して全コマ画像を読み込む。このとき、CCDラインセンサ14、アナログアンプ16及びA/Dコンバータ18を介して積算ブロック41に点順次のR,G,Bデジタル信号が取り込まれる。また、これらのR,G,Bデジタル信号は、ステップ13で取得したOB補正値によってOB補正が施されている。
【0030】
ここで、第1のプリスキャンのフイルム搬送速度は16倍速であるため、1コマのフイルム搬送方向の画素数は、56画素となっている。また、CCDラインセンサ14は、前述したようにフイルム搬送方向と直交する方向に1024画素分の受光部を有しているが、1/32に間引くことにより1コマのフイルム搬送方向と直交する方向の画素数は、32画素となっている。図5(A)は1コマのフイルム画像における上記積算ブロック41での積算エリアの一例を示している。即ち、1コマ(56×32画素)は8×8の積算エリアに分割されており、積算ブロック41はの各積算エリア別にデジタル信号を積算し、その積算値をCPU40に出力する。尚、1つの積算エリアは、7×4画素からなっている。
【0031】
CPU40は、積算ブロック41から入力する積算値に基づいて、図5(B)に示すように6つの領域毎の平均輝度値を求める。そして、露出制御のための測光値は、中心の領域1の平均輝度値と、この輝度値に近い周辺領域の輝度値を加算平均して算出する。尚、中心の領域1の平均輝度値は、その周辺領域の輝度値に比べて大きな重み付けがされている。
【0032】
CPU40は上記のようにして各コマの明るさを示す測光値をそれぞれ算出し、これらの測光値をCPU内蔵のランダム・アクセス・メモリ(RAM)40Aに記憶する。そして、各コマの測光値は、続く第2のプリスキャンの際、及び各コマを本スキャンする際の露出制御時に使用される。
また、前記積算ブロック41は、R,G,B各チャンネル毎に所定の積算エリアのデジタル画像信号の階調(実施の形態では、8ビット(0〜255)の階調)を積算し、その積算エリアの平均階調を求め、積算エリアの各階調データを作成する。更に、積算ブロック41は、順次作成される階調データに基づいて各階調毎の度数をカウントし、ヒストグラムを作成する(図示せず)。そしてCPU40は該ヒストグラムの階調の小さい方から度数を順次累算し、その累算度数が所定の閾値(例えば3%)を一致又は最初に超えたときの階調を基準最小値としてR,G,B毎に求めるとともに、前記ヒストグラムの階調の大きい方から度数を順次累算し、その累算度数が前記所定の閾値と一致又は最初に超えた時の階調を基準最大値としてR,G,B毎に求める(ステップS15)。尚、基準最小値及び基準最大値の規定方法は上記方法に限らず、他の方法によって規定してもよい。
【0033】
このように、CPU40は、前記ヒストグラムを基にR,G,B毎にそれぞれ、基準最大値(ピーク値)及び基準最小値(ボトム値)を検出するとともに、R,G,B中の最大値(Max値:DMax )を検出する。こうして得られたピーク値及びボトム値を基に、デジタル信号処理回路20によって白バランス、黒バランス、ネガポジ反転、及びガンマ補正等が行われるとともに、前記R,G,B中の最大値に基づいて電子シャッタ値が求められる(ステップS16)。尚、前記基準最大値及び基準最小値がAWBデータに相当し、前記R,G,B中の最大値がAEデータに相当する。
【0034】
ここで、電子シャッタ値Tの決定方法について説明する。
前記R,G,B信号の内の最大値DMax を用い、後述する本スキャン時におけるこの最大値DMax が、例えば8ビット系の場合には、255になるように電子シャッタ値Tを次式、
【数2】
T=T0×255/DMax
により決定する。但し、T0は、第1のプリスキャン時に初期設定された電子シャッタ値である。
【0035】
こうして、図4(A)表─1に示すようなコマ毎に適正な電子シャッタ値が求められると同時に、各コマのネガポジ反転に必要な信号ピーク値、ボトム値等のデータが取り込まれる。尚、この時求められる電子シャッタ値は、後述の本スキャンの搬送速度(1倍速)における値とする。また、前記表─1上で電子シャッタ値が100%を超える値が示されているが、実際には100%を超える制御は不可能であるため、このようなコマについては、本スキャン時に低速スキャンが必要となる。例えば、130%の場合は、本スキャン時には1/2速の搬送速度にするとともにリードゲートパルス、シャッターゲートパルス等の周期を2倍にし、65%の電子シャッタで画像を取り込むことになる。
【0036】
次に、第2のプリスキャンを行うために、アナログアンプ16のゲイン増大機能を有効(例えば6dBアップ)にし(ステップS18)、このときのOB補正値を取得する。(ステップS19)。
さて、上述のように第1のプリスキャンにて、各コマの透過率(コマ画像の露光アンダー/オーバーの露光状態)を判別するとともに、AE/AWBデータを取得した後、続いて、そのAE/AWBデータに基づいて、8倍速の高速で逆方向に巻き戻しながら全コマ画像を読み込み、全コマ画像を示すインデックス画像を表示しながら再度プリスキャンを行う復路の第2のプリスキャンを実行する(ステップS20)。尚、この第2のプリスキャン時に、A/Dコンバータ18を介して取り込まれるR,G,Bデジタル信号は、ステップ19で取得したOB補正値によってOB補正が施されている。また、露光アンダーのコマに対しても第2のプリスキャンで適正な画像データの読み込みを行うために、アナログアンプ16のゲイン増大機能を有効(例えば6dBアップ)にし(ステップS18)、これに対応してOB補正を行っている。
【0037】
即ち、(1)前記第1のプリスキャンで本スキャン時の電子シャッタ値が100%を超えるコマが存在しない場合には、上述の表─1の電子シャッタ値をそのまま各コマの露出制御に適用しながら、インデックス画像を取り込む。尚、この場合ゲイン増大機能は使用する必要がなく、かえってゲインを増大させないことにより、S/Nが有利となる。
【0038】
他方、(2)前記第1のプリスキャンで本スキャン時の電子シャッタ値が100%を超えるコマが存在する場合には、6dBのゲイン増大を付加するゲイン増大機能を使用し、且つ電子シャッタの設定を図4(B)表─2に示すように表─1の値を一律に1/2に補正した電子シャッタ値として適用し、各コマの露出制御を行いながらインデックス画像を取り込む。この場合、S/N的には前記(1)の場合よりも低下するが、オーバーのコマ(透過率の低いコマ)に対しても電子シャッタ機能を働かすことができ、遜色ないインデックス画像の表示が可能となる。
【0039】
また、前記第1のプリスキャンで電子シャッタ値が100%を超えるコマは第1のプリスキャンにおいて画像がオーバーで濃度が濃く、十分なCCD出力が得られていないのでAE/AWBデータの精度が悪いため、このようなコマに限り、上記インデックス画像の取り込みと並行して、改めてネガポジ反転に必要な信号ピーク値、ボトム値等のAE/AWBデータを取り込む(ステップS21〜ステップS23)。
【0040】
即ち、第1のプリスキャンで適正なAE/AWBデータが取得できているコマについては、改めてデータを取り直す必要性もなく、また、処理上の無駄であるので、第1のプリスキャンでオーバーであることが検出されたコマに限って、前記AE/AWBデータの再取得を行っている。これにより、本スキャン時に適正な撮影条件でコマ画像の読み込みを行うことができるとともに、データ処理効率上も有利である。
【0041】
ところで、通常、A/Dコンバータ18は、入力信号レベルの高い領域ほど、分解能が良くなるものであり、本本実施の形態のようにゲイン増大を付加すると、著しくオーバー(透過率の低い)なネガの信号ボトム値も増幅されるため、A/Dコンバータ18の分解能がよい領域で信号を取り込むことができるようになり、AE制御の精度が向上するという利点もある。
【0042】
また、第2のプリスキャンは8倍速でフイルムが搬送されるため、1コマのフイルム搬送方向と同方向の画素数は112画素である。一方、CCDラインセンサは、前述したようにフイルム搬送方向と直交する方向に1024画素分の受光部を有しているが、1/16に間引くことにより、1コマのフイルム搬送方向と直交する方向の画素数は、64画素である。
【0043】
そして、全コマ分(例えば、1ロール40コマ分)の画像データが図示しないバッファに記憶され、その全部または一部の複数コマを示すインデックス画像がモニタに表示される。操作者は、このインデックス画像を見ながら、後に続く1コマ再生(本スキャン)をするコマを選択することが出来る。
第2のプリスキャンが完了すると本スキャンに対応するために、アナログアンプ16のゲイン増大機能を再び無効に設定し(ステップS24)、ゲイン増大機能の切り替えに対応して再びOB補正値を取得する(ステップS25)。
【0044】
次に、OB補正、白バランス、黒バランス、ネガポジ反転、ガンマ補正のデジタル信号処理について説明する。
図5は図1に示したデジタル信号処理回路20の内部構成を含むブロック図である。このデジタル信号処理回路20は上述したデジタル信号処理を行うもので、主として加算器21、22、23、25、乗算器24、27、及びベースLUT26から構成されている。加算器21には、A/Dコンバータ18から点順次のR,G,Bデジタル画像信号CMPAD が入力している。尚、デジタル画像信号CMPAD は、所定のクロックにしたがって時系列的にR,G,B,Gと流れている。
【0045】
加算器21の正入力には前述したようにデジタル画像信号CMPAD が加えられ、負入力にはCCDラインセンサ14の暗電流分を示す信号が加えられており、加算器21は暗電流分を含むデジタル画像信号CMPAD から上述したように予め取得したOB補正値を減算し、これにより暗電流が補正されたデジタル画像信号を加算器22に出力する。
【0046】
加算器22は、暗電流が補正されたデジタル画像信号とオフセットとを加算する。これにより、黒点オフセットされたデジタル画像信号が得られる。
加算器22から出力される黒点オフセットされたデジタル画像信号は、加算器23の負入力に加えられ、加算器22の正入力には白ピークレベルを示す値(255)が加えられており、加算器22は255から黒点オフセットされたデジタル画像信号を減算する。これによりネガポジ反転されたデジタル画像信号が得られる。
【0047】
続いて、ネガポジ反転されたデジタル画像信号は、乗算器24に加えられる。乗算器24の他の入力にはマルチプレクサ47からWBゲインが加えられており、乗算器24は2入力を乗算することにより、R,G,Bデジタル画像信号のポジ画像の白を合わせる。
次に、乗算器24から出力されるデジタル画像信号は、加算器25及びベースLUT26に加えられる。ベースLUT26は、図6(A)に示したように入力信号の階調に応じたガンマ補正値を有しており、入力するデジタル画像信号の階調に応じたガンマ補正値を読み出し、このガンマ補正値を乗算器27に出力する。乗算器27の他の入力にはマルチプレクサ48からガンマゲインが加えられており、乗算器27は2入力を乗算することにより、R,G,Bデジタル画像信号の色別のガンマ補正値を生成し、これを加算器25の負入力に出力する。
【0048】
加算器25は入力するR,G,Bデジタル画像信号から各色別に伸長又は圧縮されたガンマ補正値を減算する。これによりガンマ補正された正規のR,G,Bデジタル画像信号RGBGgam が得られる。
次に、白バランス及び黒バランスを合わせるために使用するオフセット値及びWBゲイン量の算出方法について説明する。
【0049】
オフセット値及びWBゲイン量は、前記基準最大値及び基準最小値に基づいて、次式、
【数3】
オフセット値=255−Rmax …(1)
WBゲイン量=255/(Rmax −Rmin ) …(2)
により算出する。
【0050】
尚、式(1)、(2)はRに関するものであるが、他の色チャンネルも同様にして算出する。また、ここでは、R,G,Bデジタル信号は8ビットとして表しており、255はその最大値である。
CPU40は、式(1)及び(2)に示したようにR,G,B毎にオフセット(Roffset, Goffset, Boffset)及びWBゲイン(Rwbgain, Gwbgain, Bwbgain)を算出して記憶するとともに、R,G,B毎にガンマゲイン(Rgamgain,Ggamgain,Bgamgain )を記憶している。また、これらのオフセット等は、各コマ毎に記憶されている。そして、アドレスデコーダ42によってスキャンしようとするコマに対応するオフセット等が選択され、図5中のINTDATA によってR,G,Bのオフセットはレジスタ43R,43G,43Bに格納され、R,G,Bのゲインはレジスタ44R,44G,44Bに格納され、R,G,Bのガンマゲインはレジスタ45R,45G,45Bに格納される。尚、これらのレジスタには、1コマ分のR,G,Bデジタル画像信号が処理され保持される。
【0051】
レジスタ43R,43G,43Bに格納されたオフセット(Roffset, Goffset, Boffset)はマルチプレクサ46に加えられており,マルチプレクサ46の他の入力には、前記所定のクロックを分周して作成されたタイミング信号INTCOLSLO,1 GA加えられている。マルチプレクサ46は、タイミング信号INTCOLSL 0,1によって3つのオフセットからいずれか1つのオフセットを選択し、この選択したオフセットをデジタル信号処理回路20の加算器22の他の入力に出力する。
【0052】
同様にして、マルチプレクサ47は、レジスタ44R,44G,44Bから入力する3つのWBゲイン(Rwbgain, Gwbgain, Bwbgain)のうちの1つのゲインを選択し、この選択したWBゲインを乗算器24に出力し、また、マルチプレクサ48は、レジスタ45R,45G,45Bから入力する3つのガンマゲイン(Rgamgain,Ggamgain,Bgamgain )からいずれか1つのガンマゲインを選択し、この選択したガンマゲインを乗算器27に出力する。
【0053】
上記実施の形態ではアナログアンプ16から出力される1コマ分のR,G,B電圧信号をA/Dコンバータ18によって点順次のR,G,Bデジタル信号に変換されたのち、デジタル信号処理回路20によって画像信号からOB補正値を減算するようにしたOB補正手段について説明したが、これに限らず、例えば、A/Dコンバータ18に入力する以前のアナログ信号の状態でOB補正を行ってもよい。また、点順次のR,G,B電圧信号ではなく同時化されたR,G,B電圧信号の状態でOB補正を行ってもよい。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係るフイルムスキャナの露出制御装置及び方法によれば、ラインセンサからの出力電圧を増幅するアナログアンプにおいて、ゲインを一定量増大させるゲイン増大機能の動作に連動してOB補正機能が再設定されるので、ゲイン増大機能を利用してもラインセンサから生じた暗電流に起因する入出力のリニアリティ誤差の補償を正しく行うことができ、結果的に電子シャッタの露出可能域を拡幅することができる。これにより、リニアリティの誤差を原因として生じていたインデックス画像及び本スキャンにおける各コマ画像の調子再現の不足による画質劣化を防げるので、従来であれば露出制御が飽和していたような透過率の低いコマについても、露出制御を正確に効かせてインデックス画像を取り込み、表示することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明が適用されるフイルムスキャナの一実施の形態を示す要部ブロック図である。
【図2】図2は図1に示すタイミングジェネレータの他の制御方法を示す要部ブロック図である。
【図3】図3は図1に示すフイルムスキャナの全体のシーケンスを説明するための図である。
【図4】図4(A)は、往路プリスキャンの結果得られる各コマ毎の電子シャッタ値の一例を示す表、同図(B)は復路プリスキャン及びインデックス表示時の各コマ毎の電子シャッタ設定の一例を示す表である。
【図5】図5(A)は図1に示した積算ブロックで積算される各積算エリアを示し、同図(B)は測光値を算出するための各領域を示す図である。
【図6】図6(A)乃至(D)はそれぞれ図1のデジタル信号処理回路の各部における処理内容を示すグラフである。
【符号の説明】
10…光源
12…撮影レンズ
14…CCDラインセンサ
15…CCD駆動回路
16…アナログアンプ
18…A/Dコンバータ
20…デジタル信号処理回路
21、22、23,25…加算器
24、27…乗算器
26…ベースLUT
31…モータ
32…キャプスタン
34…モータ回転数/方向制御回路
35…円盤
36…フォトディテクタ
37…タイミングジェネレータ
40…中央処理装置(CPU)
41…積算ブロック
50…フイルムカートリッジ
52…ネガフイルム

Claims (7)

  1. 現像済みスチル写真フイルムを一定の速度で搬送するとともに該フイルムの画像を蓄積時間の制御が可能なラインセンサによって読み取り、該ラインセンサの出力電圧をゲインの切り替え制御可能なアナログアンプで増幅したのちA/Dコンバータに出力するようにしたフイルムスキャナの露出制御装置において、
    前記ラインセンサの蓄積時間を制御する露出制御手段と、
    前記アナログアンプのゲインを制御するゲイン制御手段と、
    スキャンしようとするフイルム画像の明るさを示す情報に基づいて該フイルム画像のスキャン時における前記A/Dコンバータの入力電圧が最適状態となるように露出制御手段及びゲイン制御手段を制御する制御手段と、
    前記アナログアンプの後段において前記ラインセンサの暗電流による出力誤差を補償するOB補正値を取得し、該OB補正値によってアナログアンプから出力される画像信号を補正するOB補正手段と、
    前記ゲイン制御手段により前記アナログアンプのゲインの切り替え制御が行われる毎に前記OB補正手段におけるOB補正値を変更させる手段と、
    を備えたことを特徴とするフイルムスキャナの露出制御装置。
  2. 前記OB補正値手段は、アナログアンプの増幅率に対応したOB補正に関するOB補正値を記憶する手段を有し、記憶されている増幅率が設定された場合には、対応するOB補正値に基づいてOB補正を実施することを特徴とする請求項1のフイルムスキャナの露出制御装置。
  3. フイルムの交換またはフイルムスキャナの電源投入によってOB補正値の記憶を削除して初期状態とすることを特徴とする請求項2のフイルムスキャナの露出制御装置。
  4. 現像済みスチル写真フイルムを一定の速度で搬送するとともに該フイルムの画像を蓄積時間の制御が可能なラインセンサによって読み取り、該ラインセンサの出力電圧をゲインの切り替え制御可能なアナログアンプで増幅したのちA/Dコンバータに出力するようにしたフイルムスキャナの露出制御方法において、
    前記アナログアンプのゲインを予め補正された所定値に保持するとともに、前記電子シャッタのシャッタ値を所定の初期値に設定し、
    前記フイルムを第1の搬送速度で全コマにわたって搬送しながら、該フイルムの全コマ画像を前記ラインセンサによって読み取り、前記A/Dコンバータから得られる画像データに基づいて少なくとも各コマの明るさを検出する第1のプリスキャンを実行し、
    前記第1のプリスキャンによって検出した各コマの明るさを示す情報に基づいて前記電子シャッタの各コマ毎のシャッタ値を求め、
    前記求めた各コマ毎のシャッタ値のうち、少なくも前記電子シャッタで制御可能な最大蓄積時間を越えるシャッタ値がある場合には、前記アナログアンプのゲインを前記所定値よりも一定量増大させるとともに、このゲイン増大による出力電圧の増分を相殺するように各コマ毎に求めたシャッタ値を補正し、
    その後、前記アナログアンプのゲインを前記増大させたゲインに保持するとともに、前記電子シャッタのシャッタ値を前記補正したシャッタ値となるように各コマ毎に露出制御しながら、該フイルムを第2の搬送速度で全コマにわたって搬送し、該フイルムの全コマ画像を前記ラインセンサによって読み取り、前記A/Dコンバータから各コマ画像の画像データを得る第2のプリスキャンを実行し、該第2のプリスキャン時において、前記ラインセンサの暗電流による出力誤差を補償するOB補正値であって、前記アナログアンプのゲイン増大に対応するOB補正値によって前記画像データを補正することを特徴とするフイルムスキャナの露出制御方法。
  5. 前記アナログアンプのゲインを初期値に設定したときに、前記ラインセンサの暗電流による出力誤差を補償する第1のOB補正値を求め、 前記ラインセンサ上に前記フイルムのネガベースを位置させ該ネガベースをラインセンサで読み取り、前記A/Dコンバータから出力されるR,G,B出力電圧を示す各データを前記第1のOB補正値によって補正したR,G,Bデータの各最大値が所定の基準値に一致するように前記アナログアンプのゲインを前記予め補正された所定値に制御することを特徴とする請求項4のフイルムスキャナの露出制御方法。
  6. 前記アナログアンプのゲインを前記予め補正された所定値に設定したときに、前記ラインセンサの暗電流による出力誤差を補償する第2のOB補正値を求め、前記第1のプリスキャン時に前記A/Dコンバータから得られる画像データを前記第2のOB補正値によって補正することを特徴とする請求項4又は5のフイルムスキャナの露出制御方法。
  7. 前記第2のプリスキャン後、前記アナログアンプのゲインを前記第1のプリスキャン時における所定値に低減させるとともに、該低減させたアナログアンプのゲインに対応して前記電子シャッタのシャッタ値を変更し、
    その後、前記フイルムを前記第2の搬送速度よりも低速の第3の搬送速度で搬送し、該フイルムのコマ画像を前記ラインセンサによって読み取り、前記A/Dコンバータからコマ画像の画像データを得る本スキャンを実行し、
    該本スキャン時において、前記ラインセンサの暗電流による出力誤差を補償する第3のOB補正値であって、前記アナログアンプのゲインの低減させたゲインに対応する第3のOB補正値によって前記画像データを補正することを特徴とする請求項6のフイルムスキャナの露出制御方法。
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