JP2004245923A - オートブラケティング撮影方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】白飛びや黒つぶれを回避又は軽減する方向に露出補正してブラケティング撮影できるようにする。
【解決手段】オートブラケティング撮影時の1枚目の撮影は、被写体の明るさに基づいて求めた適正な露出値で撮影を行う(ステップS18a)。そして、1枚目の画像が露出アンダーで黒つぶれ現象が発生していると判定されると(ステップS18d)、2枚目の撮影は適正な露出値を−0.5 EVだけ露出補正して行い、3枚目の撮影は適正な露出値を−1.0 EVだけ露出補正して行う(ステップS18e、S18f)。同様にして、1枚目の画像が露出オーバーで白飛び現象が発生していると判定されると(ステップS18g)、2枚目の撮影は適正な露出値を+0.5 EVだけ露出補正して行い、3枚目の撮影は適正な露出値を+1.0 EVだけ露出補正して行う(ステップS18h、S18i)。1枚目の画像が露出アンダー又は露出オーバーでないと判定されると、2枚目以降は撮影は通常の露出補正を行う(ステップS18j、S18k)。
【選択図】 図4
【解決手段】オートブラケティング撮影時の1枚目の撮影は、被写体の明るさに基づいて求めた適正な露出値で撮影を行う(ステップS18a)。そして、1枚目の画像が露出アンダーで黒つぶれ現象が発生していると判定されると(ステップS18d)、2枚目の撮影は適正な露出値を−0.5 EVだけ露出補正して行い、3枚目の撮影は適正な露出値を−1.0 EVだけ露出補正して行う(ステップS18e、S18f)。同様にして、1枚目の画像が露出オーバーで白飛び現象が発生していると判定されると(ステップS18g)、2枚目の撮影は適正な露出値を+0.5 EVだけ露出補正して行い、3枚目の撮影は適正な露出値を+1.0 EVだけ露出補正して行う(ステップS18h、S18i)。1枚目の画像が露出アンダー又は露出オーバーでないと判定されると、2枚目以降は撮影は通常の露出補正を行う(ステップS18j、S18k)。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はオートブラケティング撮影方法に係り、特にデジタルカメラでのオートブラケティング撮影時の露出補正方向を自動的に設定するオートブラケティング撮影方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の一般的なオートブラケティング撮影方法は、被写体の明るさを測光して適正な露出値を求め、この適正な露出値と、適正な露出値よりも露出アンダーとなる露出値及び露出オーバーとなる露出値とを含む複数の露出値でそれぞれ被写体を連続的に撮影するようにしている。尚、適正な露出値よりも露出アンダーとなる露出値及び露出オーバーとなる露出値は、例えば露出補正ダイヤルやメニューなどで、適正な露出値に対して±0.5 EV、±1EV等の所望の補正量を予め設定しておき、これらの補正量だけ適正な露出値を補正することで求めている。
【0003】
これに対し、補正量の設定を不要としたオートブラケティング装置が提案されている(特許文献1)。このオートブラケティング装置は、被写体を複数の測光方式で測光(スポット測光、中央部重点測光、及び平均測光)し、各測光方式で測光した測光値に基づいてそれぞれ露出値を決定し、各露出値で被写体を撮影するようにしている。
【0004】
また、オートブラケティング撮影した複数の画像を複数のフレームメモリに記憶させるとともに外部モニタに表示させ、選択部で選択した画像のみをカメラ内メモリに記憶させるようにした電子スチルカメラが提案されている(特許文献2)。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−140509号公報
【0006】
【特許文献2】
特開平11−4380号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
デジタルカメラの撮像素子のラチチュードは銀塩フイルムに比べて狭く、またダイナミックレンジの制約等により、現状のカメラの自動露出制御(AE)で適正な露出値を求め、この適正な露出値と、適正な露出値に対して露出オーバー及び露出アンダーとなる露出値とでオートブラケティング撮影しても予想に反して白飛びや黒つぶれ現象が発生する場合がある。また、被写体の背景の明るさの影響によっても予期せぬ露出設定となってしまう。この状況でオートブラケティング撮影しても、適正とカメラが判断して撮影した画像自体が白飛びや黒つぶれしているので、最悪の場合、より白飛びする方向に何枚も撮影したり、より黒つぶれする方向に何枚も撮影してしまい、撮影の無駄が生じるという問題がある。
【0008】
一方、特許文献1に記載のオートブラケティング装置は、被写体をスポット測光、中央部重点測光、及び平均測光の複数の測光方式で測光した各露出値でオートブラケティング撮影を行うようにしているが、複数の測光方式のいずれの測光方式でも適正な露出値が得られない被写体に対しては白飛びや黒つぶれが発生し、又は白飛びや黒つぶれを軽減できない場合がある。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、白飛びや黒つぶれを補正する方向を自動的に判断し、白飛びや黒つぶれを回避又は軽減する方向に露出補正してブラケティング撮影することができるオートブラケティング撮影方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために請求項1に係る発明は、被写体の明るさに基づいて求めた適正な露出値と、該適正な露出値よりも露出アンダーとなる露出値や露出オーバーとなる露出値とを含む複数の露出値でそれぞれ被写体を連続的に撮影するオートブラケティング撮影方法において、
(a) 前記適正な露出値で被写体の1枚目の撮影を行うステップと、
(b) 前記被写体の1枚目の撮影結果に基づいて前記適正な露出値が前記被写体に対して適正だったか、露出アンダーであったか、又は露出オーバーであったかを判別するステップと、
(c) 前記適正な露出値が適正であったと判別されると、該適正な露出値よりも露出オーバーとなる露出値と露出アンダーとなる露出値とで2枚目以降の撮影を行い、前記適正な露出値が露出アンダーであったと判別されると、該適正な露出値よりも露出オーバーとなる露出値で2枚目以降の撮影を行い、前記適正な露出値が露出オーバーであったと判別されると、該適正な露出値よりも露出アンダーとなる露出値で2枚目以降の撮影を行うステップと、
を含むことを特徴としている。
【0011】
即ち、オートブラケティング撮影時の1枚目の撮影は、被写体の明るさに基づいて求めた適正な露出値で撮影を行う。そして、オートブラケティング撮影時の2枚目以降の撮影は、1枚目の撮影結果に基づいて露出補正の補正方向を判定する。例えば、1枚目の画像が露出アンダーで黒つぶれ現象が発生している場合には、黒つぶれを回避又は低減する方向に露出補正し、1枚目の画像が露出オーバーで白飛び現象が発生している場合には、白飛びを回避又は低減する方向に露出補正する。1枚目の画像が露出アンダー又は露出オーバーでないと判定された場合には、1枚目の撮影時の露出値(適正な露出値)に対して露出オーバーとなる露出値及び露出アンダーとなる露出値で2枚目以降の撮影を行うようにしている。これにより、1枚目の画像が露出アンダーの場合に、更に露出アンダーとなる露出値で撮影したり、1枚目の画像が露出オーバーの場合に、更に露出オーバーとなる露出値で撮影する無駄を省くことができる。
【0012】
請求項2に示すように、請求項1のオートブラケティング撮影方法において、前記ステップ(b) は、前記被写体の1枚目の撮影時に取得した画像の全画素に対する黒つぶれとなる画素の割合、及び白飛びとなる画素の割合を求め、前記黒つぶれとなる画素の割合が第1の閾値以上の場合には前記適正な露出値が露出アンダーであったと判別し、前記白飛びとなる画素の割合が第2の閾値以上の場合には前記適正な露出値が露出オーバーであったと判別し、それ以外の場合には前記適正な露出値が適正だったと判別することを特徴としている。尚、第1の閾値と第2の閾値は、同じ値でもよいし、異なる値でもよい。
【0013】
請求項3に示すように、請求項2のオートブラケティング撮影において、前記ステップ(c) は、前記黒つぶれとなる画素の割合の大きさに対応した補正量だけ前記適正な露出値よりも露出オーバーとなる露出値を決定して2枚目以降の撮影を行い、前記白飛びとなる画素の割合の大きさに対応した補正量だけ前記適正な露出値よりも露出アンダーとなる露出値を決定して2枚目以降の撮影を行うことを特徴としている。即ち、露出補正幅も自動的に決定するようにしている。
【0014】
請求項4に示すように、請求項1又は2のオートブラケティング撮影方法において、前記オートブラケティング撮影した複数の画像をメモリに一時記憶させるとともに、各画像の濃度分布を示すヒストグラムを作成し、前記複数の画像とヒストグラムとを表示手段に表示させ、前記複数の画像のうちの任意の画像を選択して記録媒体に記録可能にしたことを特徴としている。各画像のヒストグラムから黒つぶれや白飛びの状況を正確に判断することができ、オートブラケティング撮影した複数の画像のうちの代表画像のみを記録する場合に、その代表画像の判断を良好に行うことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下添付図面に従って本発明に係るオートブラケティング撮影方法の好ましい実施の形態について詳説する。
【0016】
図1は本発明に係るオートブラケティング撮影方法が適用されるデジタルカメラの背面図である。このデジタルカメラ10の上面には、撮影モード選択ダイヤル11及びシャッターボタン12が設けられている。撮影モード選択ダイヤル11は、回転させることにより、連写/ブラケティングモード、マニュアル撮影モード、オート撮影モード、人物モード、風景モード、及び夜景モードのうちのいずれかの撮影モードを設定できるようになっている。
【0017】
また、撮影モード選択ダイヤル11の中央に設けられたシャッターボタン12は、半押し時にONしてフォーカスロック、測光等の撮影準備を行わせるスイッチS1と、全押し時にONして画像の取り込みを行わせるスイッチS2とを有している。
【0018】
図1に示すようにデジタルカメラ10の背面には、ファインダ13、表示ボタン14、電源スイッチ15、撮影/再生モード選択スイッチ16、バックスイッチ17、メニュー/OKスイッチ18、マルチファンクションの十字キー19、ドットマトリクスの液晶表示器20、及び液晶モニタ21が設けられている。
【0019】
液晶表示器20は、カメラの動作モードや十字キー19の機能等を文字やアイコンで表示する。また、液晶モニタ21は、動画(スルー画像)を表示して電子ビューファインダとして使用できるとともに、撮影した記録前の画像(プレビュー画像)やカメラに装填されたメモリカードから読み出した再生画像等を表示することができる。更に、液晶モニタ21は、撮影可能コマ数や再生コマ番号の表示、マニュアル設定する際のホワイトバランス、画素数、圧縮率、及びシャープネス等をマニュアル設定する際の各種のメニュー等がメニュー/OKスイッチ18や十字キー19の操作に応じて表示される。
【0020】
尚、本発明に係るオートブラケティング撮影モードの設定は、撮影モード選択ダイヤル11によって連写/ブラケティングモードを選択し、更にメニュー/OKスイッチ18や十字キー19の操作によって露出補正量として、0.5 EV、1EV等の所望の補正量を選択することによって行われる。また、連写モードの設定は、撮影モード選択ダイヤル11によって連写/ブラケティングモードを選択し、更にメニュー/OKスイッチ18や十字キー19の操作によって露出補正量として、0EVの補正量を選択することによって行われる。
【0021】
図2は図1に示したデジタルカメラ10の内部構成を示すブロック図である。
【0022】
同図において、メインCPU22は、前述した撮影モード選択ダイヤル11、シャッターボタン12、電源スイッチ15、撮影/再生モード選択スイッチ16、バックスイッチ17、メニュー/OKスイッチ18、及び十字キー19等を含む操作スイッチ24からの入力に基づいてデジタルカメラ10内の各回路を統括制御する。また、メインCPU22は、SDRAM(シンクロナス・ダイナミックRAM)26、ROM28、EEPROM30との間で必要なデータの授受が行われる。尚、ROM28には、カメラ制御プログラム等が記録され、EEPROM30には、固体撮像素子の欠陥情報等のカメラ制御に関する各種のパラメータ、データが格納されている。
【0023】
まず、電源スイッチ15が操作されると、CPU22はこれを検出し、カメラ内電源をONにする。また、撮影/再生モード選択スイッチ16によって撮影モードが選択されると、撮影スタンバイ状態にする。
【0024】
上記撮影スタンバイ状態時にシャッターボタン12が押されると、CPU22はこれを検知し、カメラCPU32にコマンドを送る。カメラCPU32は、フォーカス制御、測光、露出制御を行い、光学ユニット34を介して被写体の画像光を固体撮像素子(CCD)36の受光面上に結像させる。CCD36は、受光面に結像された画像光をその光量に応じた量の信号電荷に変換する。このようにして蓄積された信号電荷は、クロック発生回路38から加えられるリードゲートパルスによってシフトレジスタに読み出され、レジスタ転送パルスによって信号電荷に応じた電圧信号として順次読み出される。尚、このCCD36は、蓄積した信号電荷をシャッタゲートパルスによって掃き出すことができ、これにより電荷の蓄積時間(シャッタスピード)を制御する、いわゆる電子シャッタ機能を有している。
【0025】
CCD36から出力された電圧信号は、アナログ処理回路40によって相関二重サンプリングや増幅等のアナログ処理が施された後、各画素ごとのR、G、B信号としてA/D変換器42に加えられる。A/D変換器42は、アナログ処理回路40から順次加えられるR、G、B信号をそれぞれ12ビットのR、G、B信号に変換する。これらのR、G、B信号は、一旦ワークメモリとしてのSDRAM26に格納される。
【0026】
画像信号処理回路44は、上記SDRAM26に格納された12ビットのR、G、Bの生データを読み出し、これらに光源種に応じたデジタルゲインをかけることでホワイトバランス調整を行うとともに、ガンマ(階調特性)処理及びシャープネス処理を行って8ビットのR、G、B信号を生成し、更にYC信号処理して輝度信号Yとクロマ信号Cr、Cb(YC信号)を生成し、そのYC信号を再びSDRAM26に格納する。
【0027】
上記のようにしてSDRAM26に格納されたYC信号は、圧縮・伸長回路46によって所定のフォーマットに圧縮されたのち、インターフェース回路48を介してメモリカード50に記録される。
【0028】
一方、撮影/再生モード選択スイッチ16によって再生モードが選択されると、メモリカード50に記録されている最終コマの画像ファイルがインターフェース回路48を介して読み出される。この読み出された画像ファイルの圧縮データは、圧縮・伸長回路46を介して非圧縮のYC信号に伸長される。
【0029】
伸長されたYC信号は、VRAM52を介してビデオエンコーダ54に加えられ、ここでNTSC方式のカラー複合映像信号に変換され、液晶モニタ21に出力される。これにより、液晶モニタ21にはメモリカード50に記録されている最終コマのコマ画像が表示される。
【0030】
その後、順コマ送りスイッチ(十字キー19の右キー)が押されると、順方向にコマ送りされ、逆コマ送りスイッチ(十字キー19の左キー)が押されると、逆方向にコマ送りされる。そして、コマ送りされたコマ位置の画像ファイルがメモリカード50から読み出され、上記と同様にしてコマ画像が液晶モニタ21に再生される。尚、最終コマのコマ画像が表示されている状態で順方向にコマ送りされると、メモリカード50に記録されている1コマ目の画像ファイルが読み出され、1コマ目のコマ画像が液晶モニタ21に再生される。
【0031】
次に、本発明に係るオートブラケティング撮影方法について説明する。
【0032】
デジタルカメラ10の撮影モードとしてオートブラケティング撮影モードが選択されると、一度のシャッタレリーズで露出を変えて複数の画像(この実施の形態では、3枚の画像)を撮影するオートブラケティング撮影が行われる。
【0033】
即ち、図3に示すようにシャッターボタン12が半押し(スイッチS1がON)されたか否かを判別し(ステップS10)、スイッチS1がONされると、被写体の測光及びフォーカス制御を行う(ステップS12)。続いて、シャッターボタン12が全押し(スイッチS2がON)されたか否かを判別し(ステップS14)、スイッチS2がONされない場合には、スイッチS1がONされているか否かを判別する(ステップS16)。ステップS16でスイッチS1がONされている場合には、ステップS14に戻って引き続きスイッチS2がONされたか否かを判別し、スイッチS1がOFFされると、ステップS10に戻る。
【0034】
ステップS14でスイッチS2がONされると、オートブラケティング撮影を実行する(ステップS18)。
【0035】
図4はステップS18のオートブラケティング撮影の詳細を示すフローチャートである。
【0036】
同図に示すように、まず、ステップS12で測光した被写体の明るさに基づいて決定した適正な露出値で1枚目の撮影を行う(ステップS18a)。この1枚目の撮影時に取得したR,G,B信号から生成した8ビットのYC信号は、前述したようにSDRAM26(以下、ワークメモリという)に格納される。続いて、YC信号のうちの輝度信号Yの濃度分布を示すヒストグラムを作成する(ステップS18b)。
【0037】
図5乃至図7の実線で示すグラフは、1枚目の画像の輝度信号のヒストグラムである。
【0038】
次に、上記作成したヒストグラムのうちのレベル0の画素数の1枚の画像の全画素数に対する割合x(%)と、レベル255の画素数の1枚の画像の全画素数に対する割合y(%)とを算出する(ステップS18c)。尚、レベル0の画素は、黒つぶれしている画素であり、レベル255の画素は、白飛びしている画素である。
【0039】
上記算出した黒つぶれの画素の割合x(%)が予め設定した閾値A(%)以上か否かを判別し(ステップS18d)、肯定の場合には、1枚目の撮影時の露出値(適正な露出値)よりも0.5 EVだけ小さい露出値で2枚目の撮影を行い(ステップS18e)、続いて、適正な露出値よりも1.0 EVだけ小さい露出値で3枚目の撮影を行う(ステップS18f)。
【0040】
図5は、1枚目の画像に関して算出した割合x(%)が閾値A(%)以上となった場合に関して示しており、この場合には、2枚目以降の画像は、明るくなる方向に露出補正されて撮影される。図5の点線及び破線は、それぞれ2枚目及び3枚目の画像のヒストグラムを示している。
【0041】
一方、ステップS18dでの判別が否定の場合には、前記算出した白飛びの画素の割合y(%)が予め設定した閾値B(%)以上か否かを判別する(ステップS18g)。肯定の場合には、適正な露出値よりも0.5 EVだけ大きい露出値で2枚目の撮影を行い(ステップS18h)、続いて、適正な露出値よりも1.0 EVだけ大きい露出値で3枚目の撮影を行う(ステップS18i)。
【0042】
図6は、1枚目の画像に関して算出した割合y(%)が閾値B(%)以上となった場合に関して示しており、この場合には、2枚目以降の画像は、暗くなる方向に露出補正されて撮影される。図6の点線及び破線は、それぞれ2枚目及び3枚目の画像のヒストグラムを示している。
【0043】
ステップS18gでの判別が否定の場合には、ユーザが設定した補正ステップ(0.5 EV)に従い、適正な露出値よりも0.5 EVだけ小さい露出値で2枚目の撮影を行い(ステップS18j)、続いて、適正な露出値よりも0.5 EVだけ大きい露出値で3枚目の撮影を行う(ステップS18k)。
【0044】
図7は、1枚目の画像に関して算出した黒つぶれ画素の割合x(%)及び白飛びの画素の割合y(%)が所定の閾値未満の場合に関して示しており、この場合には、2枚目以降の画像は、適正な露出値に対して明るくなる方向と、暗くなる方向にそれぞれ露出補正されて撮影される。図7の点線及び破線は、それぞれ2枚目及び3枚目の画像のヒストグラムを示している。
【0045】
図3に戻って、上記オートブラケティング撮影された3枚の画像と、各画像毎のヒストグラムは、それぞれワークメモリに一時記憶されており(ステップS20)、これらの画像及びヒストグラムは、それぞれ液晶モニタ21にプレビュー画像として表示される(ステップS22)。ユーザは、この液晶モニタ21のヒストグラム等を見ながら操作スイッチ24を操作してメモリカード50に記録しない画像の選択を行うことができる。
【0046】
次に、メニュー/OKスイッチ18が押されたか否かが判別される(ステップS24)。ここで、バックスイッチ17が押されると、ワークメモリに一時記録された画像等のデータはクリアされ(ステップS26)、ステップS10に戻る。一方、メニュー/OKスイッチ18が押されると、オートブラケティング撮影された画像のうちの記録しない画像以外の画像がメモリカード50に記録される(ステップS28)。尚、記録しない画像の指定がない場合には、オートブラケティング撮影された3枚の画像が記録されることになる。
【0047】
この実施の形態では、補正方向の決定の際に1枚目の画像のヒストグラムを作成するようにしたが、ヒストグラムを作成せずに、黒つぶれの画素数、及び白飛びの画素数のみをカウントし、これらの画素数の全画素数に対する割合を求めるようにしてもよい。
【0048】
また、露出の補正幅は、ユーザがメニューで指定する場合に限らず、例えば、黒つぶれの画素数の割合x(%)や白飛びの画素数の割合y(%)の大きさに基づいて、次表のように自動的に決定してもよい。
【0049】
【表1】
【0050】
尚、C,Dは、それぞれA,Bよりも大きな値に設定された閾値である。また、AとB、CとDは、それぞれ異なる値でもよいし、同じ値でもよい。
【0051】
更に、本発明に係るオートブラケティング撮影方法と、従来のオートブラケティング撮影方法(適正な露出値と、適正な露出値よりも露出アンダーとなる露出値及び露出オーバーとなる露出値で撮影方法)とを併用し、ユーザが適宜選択できるようにしてもよい。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、オートブラケティング撮影時に適正な露出値で撮影した1枚の画像中に白飛びや黒つぶれが生じる場合には、白飛びや黒つぶれを回避又は低減する方向に露出補正して2枚目以降の撮影を行うことができ、白飛びや黒つぶれを回避するための有効なオートブラケティング撮影が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るオートブラケティング撮影方法が適用されるデジタルカメラの背面図
【図2】前記デジタルカメラの内部構成を示したブロック図
【図3】本発明に係るオートブラケティング撮影方法を説明するために用いたフローチャート
【図4】本発明に係るオートブラケティング撮影方法を説明するために用いたフローチャート
【図5】本発明に係るオートブラケティング撮影方法で撮影された各画像のヒストグラムを示すグラフ
【図6】本発明に係るオートブラケティング撮影方法で撮影された各画像のヒストグラムを示すグラフ
【図7】本発明に係るオートブラケティング撮影方法で撮影された各画像のヒストグラムを示すグラフ
【符号の説明】
10…デジタルカメラ、11…撮影モード選択ダイヤル、12…シャッターボタン、17…バックスイッチ、18…メニュー/OKスイッチ、19…十字キー、21…液晶モニタ、22…メインCPU、26…SDRAM、34…光学ユニット、36…CCD、44…画像信号処理回路、46…圧縮・伸長回路、50…メモリカード
【発明の属する技術分野】
本発明はオートブラケティング撮影方法に係り、特にデジタルカメラでのオートブラケティング撮影時の露出補正方向を自動的に設定するオートブラケティング撮影方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の一般的なオートブラケティング撮影方法は、被写体の明るさを測光して適正な露出値を求め、この適正な露出値と、適正な露出値よりも露出アンダーとなる露出値及び露出オーバーとなる露出値とを含む複数の露出値でそれぞれ被写体を連続的に撮影するようにしている。尚、適正な露出値よりも露出アンダーとなる露出値及び露出オーバーとなる露出値は、例えば露出補正ダイヤルやメニューなどで、適正な露出値に対して±0.5 EV、±1EV等の所望の補正量を予め設定しておき、これらの補正量だけ適正な露出値を補正することで求めている。
【0003】
これに対し、補正量の設定を不要としたオートブラケティング装置が提案されている(特許文献1)。このオートブラケティング装置は、被写体を複数の測光方式で測光(スポット測光、中央部重点測光、及び平均測光)し、各測光方式で測光した測光値に基づいてそれぞれ露出値を決定し、各露出値で被写体を撮影するようにしている。
【0004】
また、オートブラケティング撮影した複数の画像を複数のフレームメモリに記憶させるとともに外部モニタに表示させ、選択部で選択した画像のみをカメラ内メモリに記憶させるようにした電子スチルカメラが提案されている(特許文献2)。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−140509号公報
【0006】
【特許文献2】
特開平11−4380号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
デジタルカメラの撮像素子のラチチュードは銀塩フイルムに比べて狭く、またダイナミックレンジの制約等により、現状のカメラの自動露出制御(AE)で適正な露出値を求め、この適正な露出値と、適正な露出値に対して露出オーバー及び露出アンダーとなる露出値とでオートブラケティング撮影しても予想に反して白飛びや黒つぶれ現象が発生する場合がある。また、被写体の背景の明るさの影響によっても予期せぬ露出設定となってしまう。この状況でオートブラケティング撮影しても、適正とカメラが判断して撮影した画像自体が白飛びや黒つぶれしているので、最悪の場合、より白飛びする方向に何枚も撮影したり、より黒つぶれする方向に何枚も撮影してしまい、撮影の無駄が生じるという問題がある。
【0008】
一方、特許文献1に記載のオートブラケティング装置は、被写体をスポット測光、中央部重点測光、及び平均測光の複数の測光方式で測光した各露出値でオートブラケティング撮影を行うようにしているが、複数の測光方式のいずれの測光方式でも適正な露出値が得られない被写体に対しては白飛びや黒つぶれが発生し、又は白飛びや黒つぶれを軽減できない場合がある。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、白飛びや黒つぶれを補正する方向を自動的に判断し、白飛びや黒つぶれを回避又は軽減する方向に露出補正してブラケティング撮影することができるオートブラケティング撮影方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために請求項1に係る発明は、被写体の明るさに基づいて求めた適正な露出値と、該適正な露出値よりも露出アンダーとなる露出値や露出オーバーとなる露出値とを含む複数の露出値でそれぞれ被写体を連続的に撮影するオートブラケティング撮影方法において、
(a) 前記適正な露出値で被写体の1枚目の撮影を行うステップと、
(b) 前記被写体の1枚目の撮影結果に基づいて前記適正な露出値が前記被写体に対して適正だったか、露出アンダーであったか、又は露出オーバーであったかを判別するステップと、
(c) 前記適正な露出値が適正であったと判別されると、該適正な露出値よりも露出オーバーとなる露出値と露出アンダーとなる露出値とで2枚目以降の撮影を行い、前記適正な露出値が露出アンダーであったと判別されると、該適正な露出値よりも露出オーバーとなる露出値で2枚目以降の撮影を行い、前記適正な露出値が露出オーバーであったと判別されると、該適正な露出値よりも露出アンダーとなる露出値で2枚目以降の撮影を行うステップと、
を含むことを特徴としている。
【0011】
即ち、オートブラケティング撮影時の1枚目の撮影は、被写体の明るさに基づいて求めた適正な露出値で撮影を行う。そして、オートブラケティング撮影時の2枚目以降の撮影は、1枚目の撮影結果に基づいて露出補正の補正方向を判定する。例えば、1枚目の画像が露出アンダーで黒つぶれ現象が発生している場合には、黒つぶれを回避又は低減する方向に露出補正し、1枚目の画像が露出オーバーで白飛び現象が発生している場合には、白飛びを回避又は低減する方向に露出補正する。1枚目の画像が露出アンダー又は露出オーバーでないと判定された場合には、1枚目の撮影時の露出値(適正な露出値)に対して露出オーバーとなる露出値及び露出アンダーとなる露出値で2枚目以降の撮影を行うようにしている。これにより、1枚目の画像が露出アンダーの場合に、更に露出アンダーとなる露出値で撮影したり、1枚目の画像が露出オーバーの場合に、更に露出オーバーとなる露出値で撮影する無駄を省くことができる。
【0012】
請求項2に示すように、請求項1のオートブラケティング撮影方法において、前記ステップ(b) は、前記被写体の1枚目の撮影時に取得した画像の全画素に対する黒つぶれとなる画素の割合、及び白飛びとなる画素の割合を求め、前記黒つぶれとなる画素の割合が第1の閾値以上の場合には前記適正な露出値が露出アンダーであったと判別し、前記白飛びとなる画素の割合が第2の閾値以上の場合には前記適正な露出値が露出オーバーであったと判別し、それ以外の場合には前記適正な露出値が適正だったと判別することを特徴としている。尚、第1の閾値と第2の閾値は、同じ値でもよいし、異なる値でもよい。
【0013】
請求項3に示すように、請求項2のオートブラケティング撮影において、前記ステップ(c) は、前記黒つぶれとなる画素の割合の大きさに対応した補正量だけ前記適正な露出値よりも露出オーバーとなる露出値を決定して2枚目以降の撮影を行い、前記白飛びとなる画素の割合の大きさに対応した補正量だけ前記適正な露出値よりも露出アンダーとなる露出値を決定して2枚目以降の撮影を行うことを特徴としている。即ち、露出補正幅も自動的に決定するようにしている。
【0014】
請求項4に示すように、請求項1又は2のオートブラケティング撮影方法において、前記オートブラケティング撮影した複数の画像をメモリに一時記憶させるとともに、各画像の濃度分布を示すヒストグラムを作成し、前記複数の画像とヒストグラムとを表示手段に表示させ、前記複数の画像のうちの任意の画像を選択して記録媒体に記録可能にしたことを特徴としている。各画像のヒストグラムから黒つぶれや白飛びの状況を正確に判断することができ、オートブラケティング撮影した複数の画像のうちの代表画像のみを記録する場合に、その代表画像の判断を良好に行うことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下添付図面に従って本発明に係るオートブラケティング撮影方法の好ましい実施の形態について詳説する。
【0016】
図1は本発明に係るオートブラケティング撮影方法が適用されるデジタルカメラの背面図である。このデジタルカメラ10の上面には、撮影モード選択ダイヤル11及びシャッターボタン12が設けられている。撮影モード選択ダイヤル11は、回転させることにより、連写/ブラケティングモード、マニュアル撮影モード、オート撮影モード、人物モード、風景モード、及び夜景モードのうちのいずれかの撮影モードを設定できるようになっている。
【0017】
また、撮影モード選択ダイヤル11の中央に設けられたシャッターボタン12は、半押し時にONしてフォーカスロック、測光等の撮影準備を行わせるスイッチS1と、全押し時にONして画像の取り込みを行わせるスイッチS2とを有している。
【0018】
図1に示すようにデジタルカメラ10の背面には、ファインダ13、表示ボタン14、電源スイッチ15、撮影/再生モード選択スイッチ16、バックスイッチ17、メニュー/OKスイッチ18、マルチファンクションの十字キー19、ドットマトリクスの液晶表示器20、及び液晶モニタ21が設けられている。
【0019】
液晶表示器20は、カメラの動作モードや十字キー19の機能等を文字やアイコンで表示する。また、液晶モニタ21は、動画(スルー画像)を表示して電子ビューファインダとして使用できるとともに、撮影した記録前の画像(プレビュー画像)やカメラに装填されたメモリカードから読み出した再生画像等を表示することができる。更に、液晶モニタ21は、撮影可能コマ数や再生コマ番号の表示、マニュアル設定する際のホワイトバランス、画素数、圧縮率、及びシャープネス等をマニュアル設定する際の各種のメニュー等がメニュー/OKスイッチ18や十字キー19の操作に応じて表示される。
【0020】
尚、本発明に係るオートブラケティング撮影モードの設定は、撮影モード選択ダイヤル11によって連写/ブラケティングモードを選択し、更にメニュー/OKスイッチ18や十字キー19の操作によって露出補正量として、0.5 EV、1EV等の所望の補正量を選択することによって行われる。また、連写モードの設定は、撮影モード選択ダイヤル11によって連写/ブラケティングモードを選択し、更にメニュー/OKスイッチ18や十字キー19の操作によって露出補正量として、0EVの補正量を選択することによって行われる。
【0021】
図2は図1に示したデジタルカメラ10の内部構成を示すブロック図である。
【0022】
同図において、メインCPU22は、前述した撮影モード選択ダイヤル11、シャッターボタン12、電源スイッチ15、撮影/再生モード選択スイッチ16、バックスイッチ17、メニュー/OKスイッチ18、及び十字キー19等を含む操作スイッチ24からの入力に基づいてデジタルカメラ10内の各回路を統括制御する。また、メインCPU22は、SDRAM(シンクロナス・ダイナミックRAM)26、ROM28、EEPROM30との間で必要なデータの授受が行われる。尚、ROM28には、カメラ制御プログラム等が記録され、EEPROM30には、固体撮像素子の欠陥情報等のカメラ制御に関する各種のパラメータ、データが格納されている。
【0023】
まず、電源スイッチ15が操作されると、CPU22はこれを検出し、カメラ内電源をONにする。また、撮影/再生モード選択スイッチ16によって撮影モードが選択されると、撮影スタンバイ状態にする。
【0024】
上記撮影スタンバイ状態時にシャッターボタン12が押されると、CPU22はこれを検知し、カメラCPU32にコマンドを送る。カメラCPU32は、フォーカス制御、測光、露出制御を行い、光学ユニット34を介して被写体の画像光を固体撮像素子(CCD)36の受光面上に結像させる。CCD36は、受光面に結像された画像光をその光量に応じた量の信号電荷に変換する。このようにして蓄積された信号電荷は、クロック発生回路38から加えられるリードゲートパルスによってシフトレジスタに読み出され、レジスタ転送パルスによって信号電荷に応じた電圧信号として順次読み出される。尚、このCCD36は、蓄積した信号電荷をシャッタゲートパルスによって掃き出すことができ、これにより電荷の蓄積時間(シャッタスピード)を制御する、いわゆる電子シャッタ機能を有している。
【0025】
CCD36から出力された電圧信号は、アナログ処理回路40によって相関二重サンプリングや増幅等のアナログ処理が施された後、各画素ごとのR、G、B信号としてA/D変換器42に加えられる。A/D変換器42は、アナログ処理回路40から順次加えられるR、G、B信号をそれぞれ12ビットのR、G、B信号に変換する。これらのR、G、B信号は、一旦ワークメモリとしてのSDRAM26に格納される。
【0026】
画像信号処理回路44は、上記SDRAM26に格納された12ビットのR、G、Bの生データを読み出し、これらに光源種に応じたデジタルゲインをかけることでホワイトバランス調整を行うとともに、ガンマ(階調特性)処理及びシャープネス処理を行って8ビットのR、G、B信号を生成し、更にYC信号処理して輝度信号Yとクロマ信号Cr、Cb(YC信号)を生成し、そのYC信号を再びSDRAM26に格納する。
【0027】
上記のようにしてSDRAM26に格納されたYC信号は、圧縮・伸長回路46によって所定のフォーマットに圧縮されたのち、インターフェース回路48を介してメモリカード50に記録される。
【0028】
一方、撮影/再生モード選択スイッチ16によって再生モードが選択されると、メモリカード50に記録されている最終コマの画像ファイルがインターフェース回路48を介して読み出される。この読み出された画像ファイルの圧縮データは、圧縮・伸長回路46を介して非圧縮のYC信号に伸長される。
【0029】
伸長されたYC信号は、VRAM52を介してビデオエンコーダ54に加えられ、ここでNTSC方式のカラー複合映像信号に変換され、液晶モニタ21に出力される。これにより、液晶モニタ21にはメモリカード50に記録されている最終コマのコマ画像が表示される。
【0030】
その後、順コマ送りスイッチ(十字キー19の右キー)が押されると、順方向にコマ送りされ、逆コマ送りスイッチ(十字キー19の左キー)が押されると、逆方向にコマ送りされる。そして、コマ送りされたコマ位置の画像ファイルがメモリカード50から読み出され、上記と同様にしてコマ画像が液晶モニタ21に再生される。尚、最終コマのコマ画像が表示されている状態で順方向にコマ送りされると、メモリカード50に記録されている1コマ目の画像ファイルが読み出され、1コマ目のコマ画像が液晶モニタ21に再生される。
【0031】
次に、本発明に係るオートブラケティング撮影方法について説明する。
【0032】
デジタルカメラ10の撮影モードとしてオートブラケティング撮影モードが選択されると、一度のシャッタレリーズで露出を変えて複数の画像(この実施の形態では、3枚の画像)を撮影するオートブラケティング撮影が行われる。
【0033】
即ち、図3に示すようにシャッターボタン12が半押し(スイッチS1がON)されたか否かを判別し(ステップS10)、スイッチS1がONされると、被写体の測光及びフォーカス制御を行う(ステップS12)。続いて、シャッターボタン12が全押し(スイッチS2がON)されたか否かを判別し(ステップS14)、スイッチS2がONされない場合には、スイッチS1がONされているか否かを判別する(ステップS16)。ステップS16でスイッチS1がONされている場合には、ステップS14に戻って引き続きスイッチS2がONされたか否かを判別し、スイッチS1がOFFされると、ステップS10に戻る。
【0034】
ステップS14でスイッチS2がONされると、オートブラケティング撮影を実行する(ステップS18)。
【0035】
図4はステップS18のオートブラケティング撮影の詳細を示すフローチャートである。
【0036】
同図に示すように、まず、ステップS12で測光した被写体の明るさに基づいて決定した適正な露出値で1枚目の撮影を行う(ステップS18a)。この1枚目の撮影時に取得したR,G,B信号から生成した8ビットのYC信号は、前述したようにSDRAM26(以下、ワークメモリという)に格納される。続いて、YC信号のうちの輝度信号Yの濃度分布を示すヒストグラムを作成する(ステップS18b)。
【0037】
図5乃至図7の実線で示すグラフは、1枚目の画像の輝度信号のヒストグラムである。
【0038】
次に、上記作成したヒストグラムのうちのレベル0の画素数の1枚の画像の全画素数に対する割合x(%)と、レベル255の画素数の1枚の画像の全画素数に対する割合y(%)とを算出する(ステップS18c)。尚、レベル0の画素は、黒つぶれしている画素であり、レベル255の画素は、白飛びしている画素である。
【0039】
上記算出した黒つぶれの画素の割合x(%)が予め設定した閾値A(%)以上か否かを判別し(ステップS18d)、肯定の場合には、1枚目の撮影時の露出値(適正な露出値)よりも0.5 EVだけ小さい露出値で2枚目の撮影を行い(ステップS18e)、続いて、適正な露出値よりも1.0 EVだけ小さい露出値で3枚目の撮影を行う(ステップS18f)。
【0040】
図5は、1枚目の画像に関して算出した割合x(%)が閾値A(%)以上となった場合に関して示しており、この場合には、2枚目以降の画像は、明るくなる方向に露出補正されて撮影される。図5の点線及び破線は、それぞれ2枚目及び3枚目の画像のヒストグラムを示している。
【0041】
一方、ステップS18dでの判別が否定の場合には、前記算出した白飛びの画素の割合y(%)が予め設定した閾値B(%)以上か否かを判別する(ステップS18g)。肯定の場合には、適正な露出値よりも0.5 EVだけ大きい露出値で2枚目の撮影を行い(ステップS18h)、続いて、適正な露出値よりも1.0 EVだけ大きい露出値で3枚目の撮影を行う(ステップS18i)。
【0042】
図6は、1枚目の画像に関して算出した割合y(%)が閾値B(%)以上となった場合に関して示しており、この場合には、2枚目以降の画像は、暗くなる方向に露出補正されて撮影される。図6の点線及び破線は、それぞれ2枚目及び3枚目の画像のヒストグラムを示している。
【0043】
ステップS18gでの判別が否定の場合には、ユーザが設定した補正ステップ(0.5 EV)に従い、適正な露出値よりも0.5 EVだけ小さい露出値で2枚目の撮影を行い(ステップS18j)、続いて、適正な露出値よりも0.5 EVだけ大きい露出値で3枚目の撮影を行う(ステップS18k)。
【0044】
図7は、1枚目の画像に関して算出した黒つぶれ画素の割合x(%)及び白飛びの画素の割合y(%)が所定の閾値未満の場合に関して示しており、この場合には、2枚目以降の画像は、適正な露出値に対して明るくなる方向と、暗くなる方向にそれぞれ露出補正されて撮影される。図7の点線及び破線は、それぞれ2枚目及び3枚目の画像のヒストグラムを示している。
【0045】
図3に戻って、上記オートブラケティング撮影された3枚の画像と、各画像毎のヒストグラムは、それぞれワークメモリに一時記憶されており(ステップS20)、これらの画像及びヒストグラムは、それぞれ液晶モニタ21にプレビュー画像として表示される(ステップS22)。ユーザは、この液晶モニタ21のヒストグラム等を見ながら操作スイッチ24を操作してメモリカード50に記録しない画像の選択を行うことができる。
【0046】
次に、メニュー/OKスイッチ18が押されたか否かが判別される(ステップS24)。ここで、バックスイッチ17が押されると、ワークメモリに一時記録された画像等のデータはクリアされ(ステップS26)、ステップS10に戻る。一方、メニュー/OKスイッチ18が押されると、オートブラケティング撮影された画像のうちの記録しない画像以外の画像がメモリカード50に記録される(ステップS28)。尚、記録しない画像の指定がない場合には、オートブラケティング撮影された3枚の画像が記録されることになる。
【0047】
この実施の形態では、補正方向の決定の際に1枚目の画像のヒストグラムを作成するようにしたが、ヒストグラムを作成せずに、黒つぶれの画素数、及び白飛びの画素数のみをカウントし、これらの画素数の全画素数に対する割合を求めるようにしてもよい。
【0048】
また、露出の補正幅は、ユーザがメニューで指定する場合に限らず、例えば、黒つぶれの画素数の割合x(%)や白飛びの画素数の割合y(%)の大きさに基づいて、次表のように自動的に決定してもよい。
【0049】
【表1】
【0050】
尚、C,Dは、それぞれA,Bよりも大きな値に設定された閾値である。また、AとB、CとDは、それぞれ異なる値でもよいし、同じ値でもよい。
【0051】
更に、本発明に係るオートブラケティング撮影方法と、従来のオートブラケティング撮影方法(適正な露出値と、適正な露出値よりも露出アンダーとなる露出値及び露出オーバーとなる露出値で撮影方法)とを併用し、ユーザが適宜選択できるようにしてもよい。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、オートブラケティング撮影時に適正な露出値で撮影した1枚の画像中に白飛びや黒つぶれが生じる場合には、白飛びや黒つぶれを回避又は低減する方向に露出補正して2枚目以降の撮影を行うことができ、白飛びや黒つぶれを回避するための有効なオートブラケティング撮影が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るオートブラケティング撮影方法が適用されるデジタルカメラの背面図
【図2】前記デジタルカメラの内部構成を示したブロック図
【図3】本発明に係るオートブラケティング撮影方法を説明するために用いたフローチャート
【図4】本発明に係るオートブラケティング撮影方法を説明するために用いたフローチャート
【図5】本発明に係るオートブラケティング撮影方法で撮影された各画像のヒストグラムを示すグラフ
【図6】本発明に係るオートブラケティング撮影方法で撮影された各画像のヒストグラムを示すグラフ
【図7】本発明に係るオートブラケティング撮影方法で撮影された各画像のヒストグラムを示すグラフ
【符号の説明】
10…デジタルカメラ、11…撮影モード選択ダイヤル、12…シャッターボタン、17…バックスイッチ、18…メニュー/OKスイッチ、19…十字キー、21…液晶モニタ、22…メインCPU、26…SDRAM、34…光学ユニット、36…CCD、44…画像信号処理回路、46…圧縮・伸長回路、50…メモリカード
Claims (4)
- 被写体の明るさに基づいて求めた適正な露出値と、該適正な露出値よりも露出アンダーとなる露出値や露出オーバーとなる露出値とを含む複数の露出値でそれぞれ被写体を連続的に撮影するオートブラケティング撮影方法において、
(a) 前記適正な露出値で被写体の1枚目の撮影を行うステップと、
(b) 前記被写体の1枚目の撮影結果に基づいて前記適正な露出値が前記被写体に対して適正だったか、露出アンダーであったか、又は露出オーバーであったかを判別するステップと、
(c) 前記適正な露出値が適正であったと判別されると、該適正な露出値よりも露出オーバーとなる露出値と露出アンダーとなる露出値とで2枚目以降の撮影を行い、前記適正な露出値が露出アンダーであったと判別されると、該適正な露出値よりも露出オーバーとなる露出値で2枚目以降の撮影を行い、前記適正な露出値が露出オーバーであったと判別されると、該適正な露出値よりも露出アンダーとなる露出値で2枚目以降の撮影を行うステップと、
を含むことを特徴とするオートブラケティング撮影方法。 - 前記ステップ(b) は、前記被写体の1枚目の撮影時に取得した画像の全画素に対する黒つぶれとなる画素の割合、及び白飛びとなる画素の割合を求め、前記黒つぶれとなる画素の割合が第1の閾値以上の場合には前記適正な露出値が露出アンダーであったと判別し、前記白飛びとなる画素の割合が第2の閾値以上の場合には前記適正な露出値が露出オーバーであったと判別し、それ以外の場合には前記適正な露出値が適正だったと判別することを特徴とする請求項1のオートブラケティング撮影方法。
- 前記ステップ(c) は、前記黒つぶれとなる画素の割合の大きさに対応した補正量だけ前記適正な露出値よりも露出オーバーとなる露出値を決定して2枚目以降の撮影を行い、前記白飛びとなる画素の割合の大きさに対応した補正量だけ前記適正な露出値よりも露出アンダーとなる露出値を決定して2枚目以降の撮影を行うことを特徴とする請求項2のオートブラケティング撮影方法。
- 前記オートブラケティング撮影した複数の画像をメモリに一時記憶させるとともに、各画像の濃度分布を示すヒストグラムを作成し、前記複数の画像とヒストグラムとを表示手段に表示させ、前記複数の画像のうちの任意の画像を選択して記録媒体に記録可能にしたことを特徴とする請求項1、2又は3のオートブラケティング撮影方法。
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