JP3605330B2 - 薄膜デバイス及び半導体膜の作製方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、絶縁ゲイト型電界効果トランジスタ等の薄膜デバイスに用いられる多結晶半導体をレーザー照射によって得るレーザーアニールをおこなうための方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、薄膜型の絶縁ゲイト型電界効果トランジスタ(TFT)等の薄膜デバイスに用いられる多結晶シリコン半導体薄膜の作製方法としては、プラズマCVD法や熱CVD法で形成されたアモルファスシリコン膜をレーザー光を照射することによって結晶化させる方法が知られている。
【0003】
【発明が解決しようする課題】
しかしながら、従来のレーザー処理工程においては、レーザー処理の前にレーザー処理されるべき試料の表面が外気に触れ、表面が汚染されることや表面の原子の結合状態が変化することがあった。このため結晶化に最適な条件が制約を受けることがあった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、レーザー照射装置と他の真空処理装置(例えば成膜装置、熱処理装置等)とを組み合わせ、処理されるべき基板が、前記レーザー処理装置とその他の真空処理装置との間を移動する際に大気(外気)にさらされることなく移動できる構造を有する装置を用いた、薄膜デバイスの作製方法及び半導体膜の作製方法である。
【0005】
レーザーとしてはエキシマレーザーが一般に用いられているが、本発明の構成がレーザーの種類を何ら限定するものではなく、どのようなレーザーを用いてもよいことはいうまでもない。
【0006】
非晶質半導体としては、一般にシリコン半導体が用いられるが他の半導体を用いてもよい。尚、本明細書の実施例においては、シリコン半導体を例にとり説明を行なう。以下に実施例を示し本発明の構成を詳細に説明する。
【0007】
【実施例】
本実施例は水素出しのための加熱アニール後に非晶質珪素半導体膜表面を大気中に曝さずに次のレーザー結晶化工程を行なうためのマルチチャンバー方式の装置に関するものである。
【0008】
図1に本実施例に用いる装置の概略を示す。図面には出発膜である非晶質シリコン膜を成膜するプラズマCVD装置2、水素出しのための加熱アニール炉3、レーザー結晶化のためのチャンバー4そして試料の搬送室である試料搬入室1、試料搬出室5を直列に配置した装置を示してある。
【0009】
この図1には記載していないが各チャンバ─1〜5には必要に応じて活性あるいは不活性気体の導入系さらには試料の搬送系が設けられていることはいうまでもない。また、各チャンバーはターボ分子装置とロータリーポンプを直列に接続した真空排気装置を設けてあり、真空状態におけるチャンバー内の不純物濃度特に酸素濃度を極力小さくするようにした。また、さらに不純物濃度を小さくするにはクライオポンプをさらに別に設ける方法も有効である。
【0010】
図1のマルチチャンバー装置には各チャンバーを仕切るためのゲート弁6が設けられており、例えばプラズマCVD装置であるチャンバー2における反応性ガスが水素出しのための加熱アニール炉3に混入することを防いだ。
【0011】
チャンバー3は水素出しを行なうための加熱アニール炉であるが、加熱は赤外線ランプ加熱装置を用いて行なった。もちろん他の加熱装置、例えばヒーターによる加熱を行なう方法によってもよい。加熱はシリコンの結晶化温度以下の温度でおこなわれることが望ましい。このような加熱工程によって、非晶質シリコン膜から水素が離脱し、この結果、形成された多くの不対結合手はレーザーアニールによって結晶化を促進する効果を有する。もし、水素出しをおこなわないと、結晶性はレーザーのエネルギー密度に大きく依存し、エキシマーレーザーのごときエネルギー変動の大きなレーザーを使用することは難しい。また、結晶化のためのエネルギーしきい値も大きな値が要求される。
【0012】
しかし、一方ではこのようにして形成された不対結合手は大気成分と結合しやすく、室温で大気に触れるだけで表面に薄い酸化膜等を形成する。そして、この結果、不対結合手が減少し、レーザーアニールの際の結晶化の条件設定が難しくなる。特にレーザーとしてエキシマーレーザーを用いる場合には、紫外光であるため表面の状態によって吸収や散乱が大きく支配されていること、およびショットごとのエネルギーの変動が大きいので、このような僅かの表面状態によって最適なエネルギーは大きく変動してしまっては再現性は得られない。したがって、この水素出しの工程の後、真空状態もしくは不活性ガスの雰囲気のままレーザーアニールされることが望まれる。本実施例のマルチチャンバーはまさに、その目的に合致する構成となっている。特にエネルギーの変動が問題となるエキシマーレーザーに適する構成である。
【0013】
チャンバー4はレーザーアニールを行なうためのチャンバーであるが、レーザー光の照射はチャンバー上部に設けられた石英の窓を通して外部のレーザー発生装置と光学系を通して行なうものである。
【0014】
レーザービームは光学系を用いて基板の幅に合わせられ、かつ基板の搬送方向とは垂直方向に延ばされた長方形のビームを用いて、レーザー系は動かさずに試料をゆっくり搬送させることによって、試料の端から連続的に照射を行なうと効率良くアニールを行なうことができる。
【0015】
この図1に示した装置を用いる場合は、真空状態を破らずに真空中において連続して試料の加熱アニールとレーザー結晶化を行なうとよい。真空状態を破らないことによって、不対結合手が中和されることがなく、そのため結晶化のための閾値エネルギーが低下しなので、レーザー結晶化工程において効率よく粒径サイズの大きな多結晶シリコン膜を形成することができる。
【0016】
本実施例においては、各チャンバーを一つづつ直列に設けたものを示したが、各チャンバーでの試料の処理時間に応じてそれぞれのチャンバーを複数設け、しかも各チャンバーを直接連結するのではなく、各チャンバーに共通した試料の搬送室を設け複数の処理を時間差を利用して同時に行なうことで、生産性を上げることも可能である。
【0017】
本実施例においては、プラズマCVD法よって成膜する装置を示したが、他の成膜方法であるスパッタ法や熱CVD法等を用いてもよく、さらには上記のマルチチャンバー装置に絶縁膜を成膜するための成膜装置を連結してもよく、一連の工程に必要な構成をとることができる。
【0018】
【発明の効果】
本発明の構成であるレーザー照射チャンバーと他の真空処理チャンバーを組み合わせ、処理されるべき試料が外気にさらされることなく前記レーザー照射チャンバーと真空処理チャンバーの間を移動できることによって、例えば、結晶化のしきい値エネルギーを低下させることができたり、生産性を挙げることができたことは実施例に示した通りである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例において示したマルチチャンバー形式の装置を示す。
【符号の説明】
1・・・試料の搬入室
2・・・プラズマCVD装置
3・・・加熱アニール炉
4・・・レーザーアニール炉
5・・・試料搬出室
6・・・ゲート弁
Claims (12)
- 半導体膜を有する薄膜デバイスの作製方法であって、
第1のチャンバーにおいて、真空又は不活性雰囲気中で、非晶質半導体膜に赤外光を照射して前記非晶質半導体膜が結晶化しない温度で加熱して、前記非晶質半導体膜の水素出しを行い、
前記第1のチャンバーから第2のチャンバーに前記非晶質半導体膜を大気に曝すことなく搬送し、
前記第2のチャンバーにおいて、真空又は不活性雰囲気中で、照射断面が一方向に延ばされたレーザービームを前記非晶質半導体膜に照射して、前記非晶質半導体膜を結晶化させることを特徴とする薄膜デバイスの作製方法。 - 被膜の形成を行う第1のチャンバーと、前記被膜の水素出しを行う第2のチャンバーと、レーザービームの照射を行う第3のチャンバーとを有するマルチチャンバー装置を用い、
前記第1のチャンバーにおいて、基板上に半導体膜の形成を行い、
前記半導体膜を形成した後、前記第1のチャンバーから前記第2のチャンバーに前記基板を大気に曝すことなく搬送し、
前記第2のチャンバーにおいて、前記半導体膜に赤外光を照射して加熱し、前記半導体膜の水素出しを行い、
前記水素出しの後、前記第2のチャンバーから前記第3のチャンバーに前記基板を大気に曝すことなく搬送し、
前記第3のチャンバーにおいて、照射断面が一方向に延ばされたレーザービームを前記半導体膜に照射して、前記照射断面の延ばされた方向と垂直な方向に前記基板を移動させることにより前記半導体膜を結晶化させる薄膜デバイスの作製方法であって、
前記第1のチャンバー、前記第2のチャンバー、および前記第3のチャンバーは、ゲート弁によって仕切られていることを特徴とする薄膜デバイスの作製方法。 - 被膜の形成を行う第1のチャンバーと、前記被膜の水素出しを行う第2のチャンバーと、レーザービームの照射を行う第3のチャンバーとを有するマルチチャンバー装置を用い、
前記第1のチャンバーにおいて、基板上に半導体膜の形成を行い、
前記半導体膜を形成した後、前記第1のチャンバーから前記第2のチャンバーに前記基板を大気に曝すことなく搬送し、
前記第2のチャンバーにおいて、前記半導体膜に赤外光を照射して加熱し、前記半導体膜の水素出しを行い、
前記水素出しの後、前記第2のチャンバーから前記第3のチャンバーに前記基板を大気に曝すことなく搬送し、
前記第3のチャンバーにおいて、照射断面が一方向に延ばされたレーザービームを前記半導体膜に照射して、前記照射断面の延ばされた方向と垂直な方向に前記基板を移動させることにより前記半導体膜を結晶化させる薄膜デバイスの作製方法であって、
前記第1のチャンバー、前記第2のチャンバー、および前記第3のチャンバーは、ゲート弁によって仕切られており、
前記第1のチャンバーから前記第2のチャンバーへの前記基板の搬送は、前記マルチチャンバー装置に設けられた共通の搬送室の搬送手段により行われることを特徴とする薄膜デバイスの作製方法。 - 請求項2又は3において、前記基板上に形成された半導体膜は、非晶質半導体膜であることを特徴とする薄膜デバイスの作製方法。
- 請求項2乃至4のいずれか一において、前記レーザービームの照射断面は、前記基板の幅に合わせて延ばされていることを特徴とする薄膜デバイスの作製方法。
- 請求項2乃至5のいずれか一において、前記レーザービームの照射は、前記基板の端から連続的に行われることを特徴とする薄膜デバイスの作製方法。
- 請求項1又は4において、前記非晶質半導体膜の形成は、プラズマCVD法、熱CVD法またはスパッタ法により行われることを特徴とする薄膜デバイスの作製方法。
- 請求項1乃至7のいずれか一において、前記結晶化された半導体膜は、多結晶半導体膜であることを特徴とする薄膜デバイスの作製方法。
- 請求項1乃至8のいずれか一において、前記薄膜デバイスは、薄膜トランジスタであることを特徴とする薄膜デバイスの作製方法。
- 第1のチャンバーにおいて、真空又は不活性雰囲気中で、非晶質半導体膜に赤外光を照射して前記非晶質半導体膜が結晶化しない温度で加熱して、前記非晶質半導体膜の水素出しを行い、
前記第1のチャンバーから第2のチャンバーに前記非晶質半導体膜を大気に曝すことなく搬送し、
前記第2のチャンバーにおいて、真空又は不活性雰囲気中で、照射断面が一方向に延ばされたレーザービームを前記非晶質半導体膜に照射して、前記非晶質半導体膜を結晶化させることを特徴とする半導体膜の作製方法。 - 第1のチャンバーにおいて、真空又は不活性雰囲気中で、非晶質半導体膜を前記非晶質半導体膜が結晶化しない温度で加熱して、前記非晶質半導体膜の水素出しを行い、
前記第1のチャンバーから第2のチャンバーに前記非晶質半導体膜を大気に曝すことなく搬送し、
前記第2のチャンバーにおいて、真空又は不活性雰囲気中で、前記非晶質半導体膜にレーザービームを照射して前記非晶質半導体膜を結晶化させることを特徴とする半導体膜の作製方法。 - 請求項10又は11において、前記結晶化された半導体膜は多結晶半導体膜であることを特徴とする半導体膜の作製方法。
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- 1999-12-08 JP JP34954499A patent/JP3605330B2/ja not_active Expired - Lifetime
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