JP3605074B2 - 透明ジェル状除毛剤 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、透明ジェル状除毛剤に関し、詳しくは、除毛の際、痛みや不快臭を伴うことなく、優れた使用性及び除毛効果を有し、更に目視により除毛時間を正確に判断することができる透明ジェル状除毛剤に関する。
【０００２】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、体毛の除毛には、チオグリコール酸（以下、ＴＧＡと記す）やチオグリコール酸カルシウム（以下、ＴＧＡ−Ｃａと記す）を配合したクリームタイプ、シート状粘性膜タイプ、水飴等を配合したペースト状粘性物タイプ、ワックス等の溶解固化現象を用いたタイプの製品等が使用されている。
【０００３】
しかしながら、シート状粘性膜、ペースト状粘性物、及びワックスを用いたタイプの物理的剥離による除毛は、除毛の際、痛みを伴ない、また簡便性等の問題があった。このため近年では、ＴＧＡやＴＧＡ−Ｃａを配合した泡状のエアゾールタイプの製品が開発され、塗布時の伸び、除毛後の洗浄の容易性等、使用性の問題は改善されつつあるが、泡だれ、不均一な塗布、低温下での泡質のバラツキ等の新たな問題が発生している。
【０００４】
また従来の除毛剤は不透明剤型のものが多く、塗布時体毛の様子が確認できないため、塗布量のバラツキが生じ、著しく除毛効果を左右していた。例えばメーカー指導の除毛時間経過後、除毛剤の塗布量が不足していると、十分に除毛されない場合があり、また過剰時間、除毛剤を塗布したままであると、皮膚刺激が発生する場合があった。
【０００５】
一方、透明剤型の除毛剤は、除毛中にその除毛効果を目視できる機能を有し、個体にあった適切な除毛時間を提供できるため、皮膚に刺激を与えることなく安全に除毛できる点で優れている。
【０００６】
またＴＧＡを配合した除毛剤は、使用時に硫化水素の不快臭が生じる問題があった。そこでＴＧＡ−Ｃａを用いることにより不快臭の問題解決を図った除毛剤が開発されているが、ＴＧＡ−Ｃａを用いると、一般的なゲル化剤の使用が剤型安定性（分離）の面で甚だ困難となり、まして外観を透明にし、剤型をジェル状にすることは、極めて困難であった。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
上記事情に鑑み、本発明者等は、透明ジェル状除毛剤におけるＴＧＡ−Ｃａの適切なゲル化剤を検討した。除毛剤は適度なチキソトロピー性の粘性特性を有することが好ましく、このような粘性を付与するのに水膨潤性粘土鉱物の配合手段が考えられる。しかしながら、ＴＧＡ−Ｃａ及び水膨潤性粘土鉱物を配合しただけの透明ジェル状除毛剤では、短時間で極単な粘度低下と分離が発生した。
【０００８】
そこで本発明者等は更に鋭意研究を重ねた結果、ＴＧＡ−Ｃａ及び水膨潤性粘土鉱物を含有する組成物に、ポリカルボキシレート系高分子界面活性剤を配合することにより、剤型安定性の問題を解決し、使用性及び除毛効果の優れた透明ジェル状除毛剤が得られることを見出し、本発明の完成に至った。
【０００９】
すなわち本発明の請求項１は、（Ａ）チオグリコール酸カルシウム、（Ｂ）水膨潤性粘土鉱物、及び（Ｃ）ポリカルボキシレート系高分子界面活性剤を含有することを特徴とする透明ジェル状除毛剤である。
【００１０】
また本発明の請求項２は、更に（Ｄ）多価アルコールを含有することを特徴とする請求項１記載の透明ジェル状除毛剤である。
【００１１】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成について詳しく説明する。
【００１２】
本発明で用いられる（Ａ）チオグリコール酸カルシウムの配合量は、透明ジェル状除毛剤の総量を基準として、３〜１５質量％（以下、％と記す）が好ましく、更に好ましくは５〜１２％である。配合量が３％未満では、十分な除毛効果が得られない場合があり、また１５％を越えると、皮膚刺激等の点から好ましくない。
【００１３】
本発明で用いられる（Ｂ）水膨潤性粘土鉱物としては、通常化粧料に配合されるものであれば特に制限されないが、一般的にはその結晶構造が２：１型構造を有する膨潤性層状ケイ酸塩である。具体的には、天然又は合成のモンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチブンサイト、バイデライト、ノントロナイト、ベントナイト等のスメクタイト族粘土鉱物や、Ｎａ型テトラシリシックフッ素雲母、Ｌｉ型テトラシリシックフッ素雲母、Ｎａ塩型フッ素テニオライト、Ｌｉ型フッ素テニオライト等の膨潤性雲母族粘土鉱物及びバーミキュライト、又はこれらの置換体や誘導体、或いはこれらの混合物が挙げられる。本発明で用いられる水膨潤性粘土鉱物としては、これらの中から１種単独又は２種以上を用いることができる。また、組成物の外観の透明性という点において、合成膨潤性層状ケイ酸塩を用いることが好ましく、例えばルーセンタイトＳＷＮ（コープケミカル社製、合成ヘクトライト）やソマシフＭＥ（コープケミカル社製、Ｎａ型テトラシリシックフッ素雲母）を挙げることができる。
【００１４】
本発明で用いられる（Ｂ）水膨潤性粘土鉱物の配合量は、透明ジェル状除毛剤の総量を基準として、１〜１０％が好ましく、更に好ましくは２〜７％である。配合量が１％未満では、十分な粘性特性を付与することが困難な場合があり、また１０％を越えて配合すると、伸びが悪く硬い組成物となる場合があり好ましくない。
【００１５】
本発明で用いられる（Ｃ）ポリカルボキシレート系高分子界面活性剤は、チオグリコール酸カルシウムと水膨潤性粘土鉱物とを配合した場合に発生する著しい粘性低下を防止する為に配合される。
【００１６】
本発明で用いられる（Ｃ）ポリカルボキシレート系高分子界面活性剤は、高分子構成ユニット中にカルボキシル基及び／又はその塩を有する重量平均分子量が１０００〜１０００００の高分子化合物であり、高分子化合物１ｋｇ中に少なくとも、１モルのカルボキシル基及び／又はその塩を含むものである。尚、分子量は標準物質としてポリエチレングリコールを用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法（ＧＰＣ法）により測定できる。具体的には、ポリアクリル酸、ポリカルボン酸、ポリマレイン酸、アクリル酸マレイン酸共重合体、ポリアスパラギン酸、カルボキシメチルセルロース等の高分子化合物及びそれらの塩、特開昭５９−６２６１４号公報記載のポリマー、特開平７−５３９９３号公報記載のポリマー等が使用できる。また花王社製のポイズ５２１、ポイズ５３０、ポイズ５３２Ａ、デモールＰ、デモールＥＰ、デモールＳＴ、セレッシュ１００、セレッシュ２００等を使用しても良い。
【００１７】
本発明で用いられる（Ｃ）ポリカルボキシレート系高分子界面活性剤の配合量は、透明ジェル状除毛剤の総量を基準として、０．５〜１０％が好ましく、更に好ましくは１〜８％である。配合量が０．５％未満では粘性低下防止が不十分な場合があり、１０％を越える配合量では外観の透明性には影響ないが、ベタツキが生じる等使用感が悪くなる場合がある。
【００１８】
また本発明の透明ジェル状除毛剤は、更に（Ｄ）多価アルコールを配合することにより、外観の透明性が更に優れ、及び組成物の粘性を任意に調整でき好ましい。
【００１９】
本発明で用いられる（Ｄ）多価アルコールとしては、通常化粧料に配合されるものであれば特に制限されず、例えば、グリセリン、１，３−ブチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、マルチトール等を挙げることができるが、組成物の外観の透明性という点において、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール２００、ポリエチレングリコール４００を用いることが好ましい。
【００２０】
本発明で用いられる（Ｄ）多価アルコールの配合量は、透明ジェル状除毛剤の総量を基準として、２〜１５％が好ましく、更に好ましくは２〜１０％である。配合量が２〜１５％の範囲外であると、外観の透明性が不十分な場合がある。
【００２１】
本発明の透明ジェル状除毛剤には上記必須成分の他に、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、固形パラフィン等の炭化水素、オリーブ油、ホホバ油、月見草油、ヤシ油、牛脂等の天然油、イソプロピルミリステート、ペンタエリスリトール−テトラ−２−エチルヘキサノエート、セチルイソオクタノエート等のエステル油、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコーン油、セチルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール、ステアリン酸、ベヘニン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸等の脂肪酸、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等の非イオン性界面活性剤、尿素、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸塩等の保湿剤、ビタミン類、消炎剤、殺菌剤、キレート剤、防腐剤、色素、香料等を任意に配合することができる。
【００２２】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。尚、本発明はこれにより限定されるものではない。
【００２３】
実施例１
表１の組成の透明ジェル状除毛剤を調製した。製法は▲１▼に▲２▼を湿潤させ▲３▼に加え均一攪拌をする。これに▲４▼、▲５▼を順次加え調製する。
（表１）
［配合成分］ 配合量（質量％）
▲１▼ポリエチレングリコール２００ ２．５
▲２▼ルーセンタイトＳＷＮ（コープケミカル社製） ３．０
▲３▼精製水 ８７．０
▲４▼ポイズ５２１（花王社製） ２．５
▲５▼チオグリコール酸カルシウム ５．０
【００２４】
比較例１
表２の組成の透明ジェル状除毛剤を調製した。製法は▲１▼に▲２▼を湿潤させ▲３▼に加え均一攪拌をする。これに▲４▼、▲５▼を順次加え調製する。
（表２）
［配合成分］ 配合量（質量％）
▲１▼ポリエチレングリコール２００ ２．５
▲２▼ルーセンタイトＳＷＮ（コープケミカル社製） ３．０
▲３▼精製水 ８７．０
▲４▼モノラウリン酸ＰＯＥ（２０）ソルビタン ２．５
▲５▼チオグリコール酸カルシウム ５．０
【００２５】
＜除毛効果・使用性評価試験＞
（１）除毛効果テスト
臑部を用い、一定量（約０．２ｇ／ｃｍ^２）サンプルを塗布し、一定時間（１０分間）経過後に洗い流し、塗布前、塗布後を比較し除毛率を測定した。評価基準は以下の通りである。
評価基準 評価記号
除毛率９０％以上 ◎
除毛率７０％以上、９０％未満 ○
除毛率５０％以上、７０％未満 △
除毛率５０％未満 ×
【００２６】
（２）使用性テスト（塗布感、刺激感、使用感）
女性パネル２０名により使用テストを実施し、塗り易さ、刺激感、使い易さを官能で評価した。評価基準は以下の通りである。

【００２７】
（３）臭いテスト
女性パネル２０名により使用テストを実施し、使用時の不快臭を官能で評価した。評価基準は以下の通りである。

【００２８】
以下、結果を示す。

【００２９】
上記より明らかなように、本発明の透明ジェル状除毛剤は使用部位に塗布し易く、塗布時、伸びに優れ、広範囲に適量を塗布することができる。また除毛時間の判定も、メーカー指導除毛時間（体毛の個体差、又、塗布量の個人差を統計処理した除毛時間）以外に、目視による判定が導入され皮膚に対する安全性配慮が増大した。一方、比較例１の透明ジェル状除毛剤は、使用性が不十分であり、また十分な剤型安定性を得ることができなかった。
【００３０】
実施例２
表３の組成の透明ジェル状除毛剤を調製した。製法は▲１▼に▲２▼を湿潤させ▲３▼に加え均一攪拌をする。これに▲４▼、▲５▼を順次加え調製する。
（表３）
［配合成分］ 配合量（質量％）
▲１▼ポリエチレングリコール４００ ２．５
▲２▼ルーセンタイトＳＷＮ（コープケミカル社製） ３．０
▲３▼精製水 ８３．０
▲４▼ポイズ５２１（花王社製） ２．５
▲５▼チオグリコール酸カルシウム ９．０
【００３１】
実施例３
表４の組成の透明ジェル状除毛剤を調製した。製法は▲１▼に▲２▼を湿潤させ▲３▼に加え均一攪拌をする。これに▲４▼、▲５▼を順次加え調製する。
（表４）
［配合成分］ 配合量（質量％）
▲１▼プロピレングリコール ５．０
▲２▼ルーセンタイトＳＷＮ（コープケミカル社製） ５．０
▲３▼精製水 ７０．０
▲４▼ポイズ５２１（花王社製） ８．０
▲５▼チオグリコール酸カルシウム １２．０
【００３２】
実施例４
表５の組成の透明ジェル状除毛剤を調製した。製法は▲１▼に▲２▼を湿潤させ▲３▼に加え均一攪拌をする。これに▲４▼、▲５▼を順次加え調製する。
（表５）
［配合成分］ 配合量（質量％）
▲１▼グリセリン ３．５
▲２▼ルーセンタイトＳＷＮ（コープケミカル社製） ３．０
▲３▼精製水 ８３．０
▲４▼ポイズ５２１（花王社製） ３．５
▲５▼チオグリコール酸カルシウム ７．０
【００３３】
実施例２〜４の透明ジェル状除毛剤はいずれも除毛時の刺激感や不快臭を伴うことなく除毛でき、優れた使用感及び使用性を有していた。
【００３４】
尚、いずれの実施例の透明ジェル状除毛剤を使用した場合にも、皮膚に発赤、炎症、その他副作用と考えられる症状は発現せず、本発明に係る透明ジェル状除毛剤は安全性にも優れることが明らかであった。
【００３５】
【発明の効果】
以上記載のごとく、本発明の透明ゲル状除毛剤は、除毛時間に目視による判定が使用者の情報として新たに加わり、簡便に処理が可能となり刺激感、不快臭がない。更に使用感及び使用性に優れていることは明白である。

Claims (2)

1. （Ａ）チオグリコール酸カルシウム、（Ｂ）水膨潤性粘土鉱物、及び（Ｃ）ポリカルボキシレート系高分子界面活性剤を含有することを特徴とする透明ジェル状除毛剤。
2. 更に（Ｄ）多価アルコールを含有することを特徴とする請求項１記載の透明ジェル状除毛剤。