JP3604967B2 - ペースト高さ測定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はペーストの高さ測定装置に係わり、特に、基板上に塗布したペーストを横切るようにスリットライン光を投射し、これをカメラで撮像して画像処理により基板およびペーストのそれぞれに投射されている各スリットライン光の中心位置を求め、それらの中心位置の間隔から塗布したペーストの高さを測定する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、プリント基板などの基板上に描画あるいはマスク印刷などで塗布されたはんだペースト(またはクリームはんだ)の高さを測定するために、計測したいはんだペーストに狙いを定めて基板上からはんだペーストを横切るようにスリットライン光を斜め45度の方向で投射し、基板およびはんだペーストの上面を基板上方に設置したカメラで撮像し、画像処理をして、はんだペーストの高さを測定すること(光切断法)が行われている。
【0003】
その画像処理は、カメラで撮像した基板上およびはんだペースト上での映像上でのスリットライン光の幅(以下、スリット光幅と略記する)から、映像上でのスリットライン光の中心位置(以下、スリット光中心位置と略記する)を求め、基板上およびはんだペースト上のそれぞれのスリット光中心位置の間隔からはんだペーストの高さを演算で求めるものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この場合、スリット光幅が基板やはんだペーストの表面の性状により異なる問題がある。
基板上におけるスリットライン光をカメラで撮像するためにスリットライン光の出力を強くすると、はんだペースト上におけるスリット光幅が太くなり、はんだペーストの表面には凹凸が多く盛り上がっていることからはんだペーストにおけるスリット光中心位置の測定に誤差が生じ易くなる。逆に、スリットライン光の出力を弱くすると、基板上のスリットライン光を撮像できなくなり、はんだペースト上のスリット光中心位置は得られても基板上のスリット光中心位置が得られないためにスリット光中心位置の間隔が求まらず、はんだペーストの高さを演算で求めることができなくなる。それで、スリットライン光の出力調整に手間が掛かっていた。
【0005】
また、カメラの直下部を照明光で明るくして高さを計測したいはんだペーストを撮像し、カメラの位置合わせをしてスリットライン光の狙いを定めるようにしているが、スリットライン光を投射して撮像しようとした場合、はんだペーストも撮像してスリットライン光の画像処理が上手くできない。そこで、スリットライン光を撮像するときは照明光を消すようにしているが、プリント基板が湾曲している場合には斜め上方から投射したスリットライン光がはんだペーストを横切らないようになることがある。
このような場合、スリットライン光がはんだペーストを横切るようにする再位置合せに手間が掛かっていた。
【0006】
それゆえ本発明の目的は、測定誤差を生じることなく速やかにペーストの高さを求めることができるペースト高さ測定装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の特徴とするところは、基板上に塗布したペーストを横切るようにスリットライン光を投射し、これをカメラで撮像して画像処理により基板およびペーストのそれぞれに投射されている各スリットライン光の中心位置を求め、それらの中心位置の間隔から塗布したペーストの高さを測定する装置において、カメラで撮像した各スリットライン光の太さが予め設定された太さになるようにカメラゲインを調整する手段を設けたことにある。
【0008】
また、スリットライン光の分割光と基板の照明光とが重ならないように同時に照射し、分割光からスリットライン光として照明光を消した場合にスリットライン光がペーストを横切る状態にあることを確認できるようにして、ペーストとスリットライン光の位置合せを行うことができるようにする手段を設けたことにある。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図に示す実施形態に基いて、本発明のペースト高さ測定装置を詳細に説明する。
図1において、1は、はんだペースト2が塗布されたプリント基板である。プリント基板1には複数のはんだペースト2が塗布されるが、簡略化のために、1個のはんだペースト2のみを示している。3は基板1の上表面を撮像するカメラ、4は基板1の上表面を照らす照明光L1の光源である。5ははんだペースト2を横切るようにスリットライン光L2を投射する光源である。ここで、一点鎖線で表した矢印で示すスリットライン光L2の光軸と、カメラ4から降ろした点線で表した垂線で示すカメラ4の光軸、およびカメラ4と光源5を結ぶ点線で表した水平線とで形成される三角形が2等辺三角形となるようにする。
【0010】
6は、スリットライン光L2の分割光を得るスリットライン光の遮光板である。7は制御装置であり、パーソナルコンピュータで構成される。8はモニタであり、カメラ3で得た画像を表示したり制御装置7で行った画像処理結果やキーボードから入力した各種データの表示などを行う。9は光源5のスリットライン光L2の幅を予め調整するための偏光フィルタである。
【0011】
制御装置7は、図2に示した処理フローなどのプログラムを格納したROM、カメラ3で得た画像のデータやキーボード(図示せず)から入力した各種データの処理を行うCPU、このCPUで行った処理結果やカメラ3で得た画像のデータやキーボードから入力した各種データを格納するRAM、カメラ3、キーボードおよびモニタ8などとのデータの交信を行うインターフェースなどを備えている。制御装置7のプログラムにより処理される機能としては、次のようなものがある。
【0012】
(1)基板上に塗布したペーストにスリットライン光を投射し、これをカメラで撮像して、ペーストの中心位置と寸法を測定する画像処理機能。
【0013】
(2)基板およびペーストのそれぞれに投射されている各スリットライン光の中心位置を求め、それらの中心位置からペーストの高さを測定するペースト高さ測定機能。
【0014】
(3)カメラで撮像した各スリットライン光の太さが予め設定された太さになるようにカメラゲインを調整するスリットライン光太さ調整機能。
【0015】
(4)カメラで撮像した各スリットライン光の太さの許容範囲とそれに対応するカメラゲインを前以って設定しておくカメラゲイン設定機能。
【0016】
(5)スリットライン光の分割光と基板の照明光とが重ならないように同時に照射し、分割光からスリットライン光として照明光を消した場合にスリットライン光がペーストを横切る状態にあることを確認できるようにして、ペーストとスリットライン光の位置合せを行うことができるようにする位置合せ機能。
【0017】
(6)スリットライン光の分割光を得るスリットライン光の遮光手段を除去可能に設けて、該遮光手段を除去すると分割光からスリットライン光とするスリットライン光生成機能。
【0018】
次に図2の処理フローに沿って、上記各機能を含む機能本発明のペースト高さ測定装置によるはんだペースト2の高さ測定について説明する。
先ず、制御装置7の電源を入れてステップ(以下、Sと略記する)1のティーチング処理を行う。
ティーチング処理S1では、図1のように遮光板6を移動させて光源4、5からの照明光L1とスリットライン光L2の分割光とが重ならないように同時に照射し、カメラ3で撮像する。モニタ8に示したようにスリットライン光L2aは遮光板6で分割されはんだペースト2に投射されないし照明光L1がはんだペースト2を照射しているので、はんだペースト2と分割光の画像2a、L2aが表示される。分割光の画像L2aを結ぶ線がはんだペースト2の画像2aと交差するようであれば、遮光板6を除去し分割光から図5のように連続したスリットライン光L2aとして照明光L1を消した場合にスリットライン光L2aがはんだペースト2を横切る状態にあることを確認できる。モニタ8に点線で表示する分割光の画像L2bを結ぶ線がはんだペースト2の画像2aと交差しない場合は、カメラ3の位置合せがおかしいかプリント基板1が湾曲していることであるので、カメラ3とプリント基板1を相対的に移動してモニタ8に実線で示す状態とする。このモニタ8を用いた1回の相対移動で、カメラ3に対するティーチングが速やか、かつ、簡単にできたことになる。
【0019】
次に、モニタ8の画像を利用してはんだペースト2のXY各軸方向の長さを制御装置7のRAMに格納する。そして、はんだペースト2の中心位置の検出時に使用する2値化用しきい値Qを図示していないキーボ−ドから設定する。さらに、はんだペースト2上およびプリント基板1上のスリット光幅を決定するためのカメラ3のゲインGmh、Gmkを設定する。
【0020】
ここで、ゲインGmh、Gmkについて説明する。
図3は、はんだペースト2上およびプリント基板1上のスリット光幅とカメラ3のゲインの関係を示している。一般に、ゲインの値は異なっても、ゲインは類似した傾向を持ち、カメラゲインを増加するとスリット光幅は減少する。スリット光幅が小さい、即ち、カメラ3における画素数が少なければ、画像処理に必要な時間は短くて済むが、誤差が多くなる。本発明者らの検討によれば、図3(a)、(b)に示したように、はんだペースト2上およびプリント基板1上のスリット光幅には画像処理時間と誤差から見ての許容範囲R1〜R2、R3〜R4があって、それら中央値に対応するカメラゲインをGmh、Gmkとして設定することが有効であることが判った。許容範囲R1〜R2、R3〜R4は、はんだペースト2やプリント基板1の種類材質によって異なるので、サンプルにより前以て調べておく。また、偏光フィルタ9についてもサンプルで予めスリット光幅が許容範囲R1〜R2、R3〜R4近くになるように調整しておく。
【0021】
次に、図2の検査領域の設定処理S2を行う。この処理S2ではスリット光幅を検出する領域を設定する。検査領域ははんだペースト2やプリント基板1に分け、四角状とし、それらの中心位置と寸法を決める。さて、図1において、光源5を消灯し光源4でプリント基板1上を照らし、カメラ3で撮像した画像からはんだペースト2の領域h1〜h4を2値化用しきい値Qを用いて図4(a)に示すように検出する。はんだペースト2の領域h1〜h4にはいる画素を用いてその重心位置を求め、はんだペースト2の各領域h1〜h4の中心位置Oh1(Xh1、Yh1)、Oh2(Xh2、Yh2)、Oh3(Xh3、Yh3)、Oh4(Xh4、Yh4)とする。はんだペースト2の各領域h1〜h4の形状寸法は予め制御装置7のRAMに格納してあるXY各軸方向の長さを利用する。プリント基板1の検査領域k1〜k4はそれらの中心位置Ok1(Xk1、Yk1)、Ok2(Xk2、Yk2)、Ok3(Xk3、Yk3)、Ok4(Xk4、Yk4)が図4(b)に示すようにはんだペースト2の各領域h1〜h4の中心位置Oh1(Xh1、Yh1)、Oh2(Xh2、Yh2)、Oh3(Xh3、Yh3)、Oh4(Xh4、Yh4)の中間位置になるようにし、大きさははんだペースト2の各領域h1〜h4の形状寸法とする。すなわち、検査領域k1〜k4の設定のために、中心位置Ok1〜Ok4を求めている。
【0022】
次に、図2の画像の取り込み処理S3を行う。この処理S3は、図5に示すように光源4を消し遮光板6を引き込めて、検査領域k1〜k4の中心位置Ok1〜Ok4の付近に、光源5からスリットライン光L2でプリント基板1とはんだペースト2を照らしスリットライン光の撮像を行う。この時、制御装置7ではカメラ3のゲイン値をM2=Gmkに自動設定する。すると、カメラ3は画像の明るさをゲイン値で信号に換算し、図5のモニタ8に示すようにスリットライン光の画像L2aとして表示する。
【0023】
その後、プリント基板上のスリットライン幅検出処理S4を行う。
図6は、プリント基板1の検査領域k1におけるスリットライン光の画像L2aをモデル化して示している。スリットライン光の画像L2aとプリント基板1の検査領域k1における輝度変化の最大位置Ymaxと最小位置Yminからスリットライン光の画像L2aとプリント基板1の検査領域k1の境界を求め、最大位置Ymaxと最小位置Yminの間隔をスリット光幅Rkとする。この場合、Y軸の各位置について、各X軸方向における画像L2aと検査領域k1の各画素における輝度を加算し、隣接するY軸の位置における輝度の加算値の差を求めて、輝度変化の最大位置Ymaxと最小位置Yminを得ている。
【0024】
上述したように、ゲイン値でスリット光幅は変化する。従って、ゲイン値を大きくすればスリット光幅は小さくなり、画像処理は楽になるが誤差が大きくなる。逆にゲイン値を小さくすれば誤差は小さいが画像処理に時間が掛かってしまう。
【0025】
そこで、一旦得たプリント基板1の検査領域k1におけるスリット光幅Rkが適切なものか基板スリットライン幅判定処理S5を行う。この処理S5はスリット光幅Rkを得た時のゲインM2においてそのスリット光幅Rkが図3で示した設定済みの許容範囲R1〜R2の中に含まれているかで判断する。許容範囲以下であれば、ゲイン調整処理S6でゲインを下げ(M2=M2−1)、許容範囲以上であれば、ゲインを上げ(M2=M2+1)処理S3に戻って、以上の処理を繰り返す。
【0026】
許容範囲以内であれば、プリント基板上のスリットライン幅計測処理S7で最大位置Ymaxと最小位置Yminを格納するとともに、両位置の中央の位置をスリット光中心位置Ak1として格納する。
【0027】
以上、検査領域k1について説明したが、他の検査領域k2〜k4についても同時に同様な処理をしてそれらのスリット光中心位置Ak2〜Ak4を得て、最小自乗法により直線近似位置を算出し、格納しておく。
【0028】
次に画像取り込み処理S8に進み、はんだペースト(クリーム半田)2について、S4〜S7と同様な処理をS9〜S12においてそれぞれ行って、はんだペースト(クリーム半田)2のスリット光中心位置Ah1〜Ah4を得て、最小自乗法により直線近似位置を算出し、格納しておく。
【0029】
その後、クリーム半田(はんだペースト)の高さ検出処理S13において、プリント基板1上の各スリット光中心位置(Ak1〜Ak4)の直線近似位置とはんだペースト2の各スリット光中心位置(Ak1〜Ak4)の直線近似位置の間隔からはんだペーストの高さを算出する。即ち、前述したようにスリットライン光L2は斜め45度の角度で投射されているため、両スリット光中心位置の間隔ははんだペーストの高さに等しいことに基づいている。
【0030】
スリットライン幅判定処理S5、S10で許容範囲外に判定されることは稀で、あっても、ゲイン調整処理S6、S11の処理回数は非常に少ない。その理由は、図3で説明したように、プリント基板1やはんだペーストのサンプルで前以って画像処理時間と誤差から見ての許容範囲R1〜R2、R3〜R4とそれら中央値に対応するカメラゲインをGmh、Gmkを設定しているので、カメラゲインをGmh、Gmkが外れた数値になっていることはないことによる。従って、図6で説明したスリット光幅Rkなどの適正な計測値を速やかでかつ簡単に得ることができる。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、測定誤差を生じることなく速やかにペーストの高さを求めることができるペースト高さ測定装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態になるペースト高さ測定装置を示す概略斜視図である。
【図2】図1に示したペースト高さ測定装置の処理フローを示す図である。
【図3】図2に示した処理フローにおけるカメラゲインのティーチング処理を説明するための図である。
【図4】図2に示した処理フローにおける検査領域の設定処理を説明するための図である。
【図5】図2に示した処理フローにおける画像の取り込み処理を説明するための図である。
【図6】図2に示した処理フローにおけるスリットライン幅検出処理を説明するための図である。
【符号の説明】
1 プリント基板
2 はんだペースト
3 カメラ
4、5 光源
6 遮光板
7 制御装置
8 モニタ
9 偏光フィルタ
L1 照明光
L2 スリットライン光
Claims (4)
- 基板上に塗布したペーストを横切るようにスリットライン光を投射し、これをカメラで撮像し、カメラで撮像した各スリットライン光の太さが予め設定された太さになるようにカメラゲイン調節手段によってカメラゲインを調節し、調節されて画面表示されスリットライン光のスリット幅を計測し、各スリットライン光の中心位置を求め、それらの中心位置の間隔から塗布したペーストの高さを測定することを特徴とするペースト高さ測定装置。
- 上記請求項1に記載のペースト高さ測定装置において、検査領域を設定し、検査領域の中心位置は2つのスリット光中心位置の中間位置になるように設定したことを特徴とするペースト高さ測定装置。
- 基板上に塗布したペーストを横切るようにスリットライン光を投射し、これをカメラで撮像して画像処理により基板およびペーストのそれぞれに投射されている各スリットライン光の中心位置を求め、それらの中心位置の間隔から塗布したペーストの高さを測定する装置において、
スリットライン光の分割光と基板の照明光とが重ならないように同時に照射し、分割光からスリットライン光として照明光を消した場合にスリットライン光がペーストを横切る状態にあることを確認できるようにして、ペーストとスリットライン光の位置合せを行うことができるようにする手段を設けたことを特徴とするペースト高さ測定装置。 - 上記請求項3に記載のペースト高さ測定装置において、スリットライン光の分割光を得るスリットライン光の遮光手段を除去可能に設けて、該遮光手段を除去すると分割光からスリットライン光とすることができることを特徴とするペースト高さ測定装置。
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