JP3604114B2 - 非水電解質二次電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、抗酸化剤を含有する新規な非水電解質を用いた非水電解質二次電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
非水電解液を用いたリチウム二次電池は高電圧・高容量密度の電池として、民生用に急速に開発が進められてきている。前記非水電解液としてはγ−ブチロラクトン、スルホラン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジオキソランなどの極性溶媒中にLiBF4 ,LiPF6 ,LiAsF6 ,LiClO4 ,LiCF3 SO3 などの電解質塩を混合溶解したものが用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような非水電解液の溶媒は耐電圧の低いものが多く、充放電を繰り返すと溶媒が分解し、ガスが発生したり、電極への分解生成物などの付着等が起きたりする。このため、内部インピーダンスの上昇を引き起こし、放電特性の低下・充放電効率の低下・エネルギー密度の低下等により、電池の保存特性やサイクル特性の劣化などが発生する問題があった。
【0004】
これらの問題を解決するために、耐電圧の高いジエチルカーボネートなどのカーボネート系溶媒を使用することで、充放電後のエネルギー密度の低下を抑制する試み(特開平2−10666号公報)などがなされてきた。また、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒の一部を置換した誘導体などを用いることも提案されている。さらに、TCNQ(7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン)を添加することで電解液の劣化を防止したり(特開平8−222268号公報)、ピレンなどの電子供与性化合物を添加することで電解液の劣化を防止したり(特開平8−195199号公報)する試みがなされているが、十分な効果が得られているとはいえないのが現状である。
【0005】
また、電解液が劣化するだけではなく、高分子材料である高分子固体電解質もサイクルや高電位保持により劣化するため、低分子量化・機械的強度の低下を引き起こし、ショートする心配や、さらには、電極への分解不純物の付着などに起因して、内部インピーダンスの増加・サイクル特性の劣化などが発生する恐れもあった。同様に電解液及び電解質塩を含有する高分子ゲル電解質においては、電解液、高分子固体電解質の両者に問題が生じて、サイクル特性の劣化及び、機械的強度の低下が発生する心配もあった。
【0006】
従って、本発明の目的は、非水電解質二次電池を構成する電解質の酸化劣化を防止し、もって電解液のサイクル特性、並びに高分子固体電解質および高分子ゲル電解質のサイクル特性が向上し、かつ機械的強度の劣化が少ない非水電解質二次電池を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するために種々検討した結果、電解質層中に抗酸化剤を添加することで、充放電サイクルによる容量劣化を抑えることができ、さらに高分子固体電解質及び高分子ゲル電解質の機械的強度の劣化をも抑えることができることを見出した。
【0008】
前記抗酸化剤が正極における電解液の分解、特に高電位での酸化分解の防止に効果があり、また負極においてはLi,不純物、水分等と電解液が反応して分解することなどを抑制する効果があるため、充放電サイクルによる容量劣化防止に抗酸化剤が寄与しているものと考えられる。
【0009】
なお、高分子ゲル電解質においては、高分子マトリクスが素子内に含まれる酸素、あるいは過酸化物、ラジカル等により生成するペルオキシラジカルや熱などにより発生するポリマーラジカルが酸化反応の開始の起点となって酸化反応が進行することが考えられる。そして、この酸化反応により、高分子マトリクスの低分子量化・分解などが生じたり、電極への副反応生成物や、分解物の付着などによる内部インピーダンスの増加などのために、機械的強度の低下・サイクル特性の劣化が起きたりするものと推察される。このため、抗酸化剤を含有することで高分子マトリクスの酸化の進行を抑制し、分解等を抑制することができる。特に、3級アミンの骨格を持つ化合物を含有する場合には、電解液の酸化を防止することができる効果的もある。
【0010】
また特に、安全性と毒性を考慮した電解質塩としてLiPF6 を含有している場合には抗酸化剤、特に3級アミン骨格をもつ化合物を使用することによりLiPF6 の熱安定性にも効果がある。
【0011】
以上のように、本発明者らは鋭意検討の結果、電解質層が抗酸化剤を含有すること、つまり非水電解液、高分子電解質、または高分子ゲル電解質が抗酸化剤を含有することにより、サイクル特性の良好な、機械的強度劣化の少ない非水電解質二次電池が得られることを見出し、本発明に至ったものである。
【0012】
すなわち、請求項1に記載の発明は、少なくとも正極、非水電解質層、リチウムを吸蔵放出可能な負極からなる非水電解質二次電池において、前記非水電解質層が高分子ゲル電解質からなり、かつ該非水電解質層中に抗酸化剤を含有することを特徴とする非水電解質二次電池である。
【0013】
請求項2に記載の非水電解質二次電池は、請求項1において、非水電解質層が電解質塩として少なくともLiPF6を含むことを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載の非水電解質二次電池は、請求項1または2において、抗酸化剤が非水電解質層100重量部(抗酸化剤を除く)に対して0.01〜5重量部の割合で含有されていることを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の非水電解質二次電池は、請求項3において、抗酸化剤が骨格に3級アミンを有する化合物であることを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。本発明で用いる抗酸化剤としては例えば、
(1)テトラキス(メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)−プロピオネート)メタン、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,2’−メチレンビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、4,4’−ブチレンビス(3−t−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、α−トコフェノール、2,2,4−トリメチル−6−ヒドロキシ−7−t−ブチルクロマンなどのフェノール系化合物;
(2)2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジ−n−ドデシルハイドロキノン、2−n−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノンなどのハイドロキノン系化合物;
(3)トリフェニル化リン、トリス(ジノニルフェニル)化リン、トリクレゾール化リンなどの有機リン系化合物;
(4)ジラウリルー3,3’−チオジプロピオネート、ジステリアル−3,3’−チオジプロピオネートなどの硫黄化合物;
(5)N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルトリメチレンジアミン、テトラメチル−p−フェニレンジアミン、トリエチルアミン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、エチレンジアミン、1−メチル−2−ピペリドン、1−メチル−2−ピロジノン、N,N−ジメチルプロピオンアミド、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−(2−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロフェニル)プロピオニルオキシ)エチル)−4−(3,3,5−ジt−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールなどのアミン系化合物(アミン、アミド、ヒンダードアミン等)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0017】
特に、電解質のサイクル特性向上効果と、高分子固体電解質及び高分子ゲル電解質の高分子マトリクスの機械的強度向上効果とを考慮すると、フェノール系化合物、有機リン系化合物、アミン系化合物が好ましい。特に3級アミンの骨格を持つ化合物、例えばトリエチルアミン、トリフェニルアミン、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケートなどが挙げられるがこれらに限定されるものではなく、これらは高分子マトリクスの劣化防止に効果があり、さらに光劣化防止にも効果があり好ましい。
【0018】
アミン系化合物は、LiPF6 のような熱的にやや不安定な電解質塩の熱的安定化に特に効果があり、またLiAsF6 ,LiPF6 のような、毒性には問題のないが熱的にやや不安定な電解質塩の熱的安定化に特に効果がある。なお、抗酸化剤は一種単独を添加してもよく、必要に応じて二種以上を併用添加しても良い。抗酸化剤の含有量としては電解質に対して0.01〜5wt%含有することが好ましく、0.1〜2wt%含有することが更に好ましい。含有量が0.01wt%未満の場合、酸化防止効果が低い。一方、含有量が5wt%を超えると、保存による電池容量の低下など、電気特性上の問題が生じることが多い。
【0019】
電解質層への抗酸化剤の添加方法としては、(1)抗酸化剤を有機溶媒に溶解後、この溶解液にそのまま電解質塩を加え、電解液にするもの、(2)抗酸化剤を有機溶媒に溶解し、高分子固体電解質に含浸または高分子固体電解質を溶解混合後、溶媒を留去するもの、(3)高分子マトリクス中に上記抗酸化剤添加電解液を含浸し、架橋させてゲル化を行うもの、などが挙げられるが、これらの方法に限定されるものではない。
【0020】
次に、本発明の電池の構成について説明する。本発明の電池は少なくとも正極、非水電解質層、リチウムを吸蔵放出可能な負極から構成されている。本発明の電池において用いられる正極活物質はTiS2,MoS2 ,Co2 S5 ,V2 O5 ,MnO2 ,CoO2 等の遷移金属酸化物、遷移金属カルコゲン化合物、およびリチウムとコバルト、ニッケル、マンガンのいずれかとの複合酸化物が挙げられる。
【0021】
この複合酸化物としてはリチウムコバルト酸化物、リチウムニッケル酸化物等、LiMO2 で示される層状構造を有する複合酸化物、または、LiM2 O4 で示されるスピネル構造を有する複合酸化物が挙げられる(特公昭63−59507号公報、特公平8−21431号公報)。これらの複合酸化物は炭酸塩、水酸化物、硝酸塩等を出発原料として、高温で焼成することにより合成することができ、平均粒径は10μm以下、好ましくは8μm以下とする。
【0022】
また、正極中に導電剤を添加することが出来、添加する導電剤としては有機物の熱重合物である一次元グラファイト化物、フッ化カーボン、グラファイトあるいは10-2S/cmの電気伝導度を有する導電性高分子等が挙げられる。導電性高分子の具体例としてはポリアニリン、ポリピロール、ポリアズレン、ポリフェニレン、ポリアセチレン、ポリフタロシアニン、ポリ−3−メチルチオフェン、ポリピリジン、ポリジフェニルベンジジン等の高分子及びこれらの誘導体が挙げられる。特にポリアニリンの場合は、正極活物質としても有効である。
【0023】
さらに、これらの活物質は数種類を複合化して用いてもよい。これらの活物質を用いた正極は、活物質をジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフランなどの溶媒中で混合分散した高濃度の塗料液を、集電体上に塗布乾燥して作製できる。この分散方法としては、ロールミル、ボールミル、バレンミルなどを用いるもの挙げられ、塗布方法としては、ワイヤーバー法、ブレードコーター法、スプレー法などが挙げられる。
【0024】
本発明に使用する正極集電体としては例えば、ステンレス鋼、金、白金、ニッケル、アルミニウム、モリブデン、チタン等の金属シート、金属箔、金属網、パンチングメタル、エキスパンドメタル、あるいは金属メッキ繊維、金属蒸着線、金属含有合成繊維等からなる網や不織布が挙げられる。これらは負極についても同様である。なかでも電気伝導度、化学的・電気化学安定性、経済性、加工性等を考えるとアルミニウム、ステンレス鋼を用いることが特に好ましい。
【0025】
本発明の電池に用いられる負極材料としては、Li,Na等のアルカリ金属、Li−Al等のリチウム合金、ポリアセン、ポリピリジン、ポリパラフェニレン等の導電性高分子、炭素質材料が用いられる。この中では安全性などの点から、炭素質材料が主に用いられ、この炭素質負極活物質としてはグラファイト(黒鉛)、ピッチコークス、合成高分子、天然高分子の焼成体が挙げられるが、本発明ではフェノール、ポリイミドなどの合成高分子、天然高分子を400〜800℃の還元雰囲気で焼成することにより得られる絶縁性乃至半導体炭素体、石炭、ピッチ、合成高分子、あるいは天然高分子を800〜1300℃での還元雰囲気で焼成することにより得られる導電性炭素体、コークス、ピッチ、合成高分子、天然高分子を2000℃以上の温度で還元雰囲気下焼成することにより得られるもの、および天然黒鉛などの黒鉛系炭素体が用いられる。
【0026】
炭素体のシート化方法としては、前述のように、炭素体と結着剤とを用いて湿式抄紙法によりシート化するもの、または炭素材料に適当な結着剤を混合した塗料を用いて塗布法によりシート化するものが採用できる。前記方法にて集電体に塗布、接着、圧着等の方法により炭素体を担持することにより、電極を製造することができる。
【0027】
さらに、電解質層を構成する電解質塩としては、LiBF4 ,LiAsF6 ,LiPF6 ,LiSbF6 ,LiClO4 ,LiCF3 CO3 ,LiCF3 SO3 ,LiN(CF3 SO2 )2 ,LiC(CF3 SO2 )3 ,LiC(CH3 )(CF3 SO2 )2 ,LiCH(CF3 SO2 )2 ,LiCH2 (CF3 SO2),LiC2 F5 SO3 ,LiN(C2 F5 SO2 )2 ,LiB(CF3 SO2)2 などが挙げられ、特に限定されるものではない。なお、これらの電解質塩は混合して使用しても良い。LiPF6 はイオン伝導度および安全性が高く、しかも毒性が低いので特に好ましい。
【0028】
また、非水電解液としては非水溶媒に溶解させたものが挙げられ、非水電解液中の電解質塩濃度は使用する電極、電解液によって異なるが通常1.0〜7.0mol/l,特に1.0〜5.0mol/lが好ましい。
【0029】
電解液を構成する非水溶媒としては、たとえばエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、スルホラン、ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,2−ジメトキシエタン、1,2−エトキシメトキシエタン、メチルグライム、メチルトリグライム、メチルテトラグライム、エチルグライム、ブチルグライムなどが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、これらの非水溶媒は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
【0030】
さらに、本発明では高分子固体電解質、高分子ゲル電解質を用いる場合にも大きな効果がある。高分子固体電解質としてはポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリルなどをポリマーマトリクスとして、これらに電解質塩を溶解した複合体、あるいは低分子量ポリエチレンオキサイド、クラウンエーテルなどのイオン解離基をポリマー主鎖にグラフト化した高分子が挙げられる。
【0031】
また、高分子ゲル電解質としてはポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンオキサイド等の高分子と非水溶媒と電解質塩とからなる熱可塑性ゲル組成物、エチレンオキサイド鎖を側鎖に有するポリシロキサン、あるいはエチレンオキサイド鎖を側鎖または主鎖に有する架橋高分子、例えばウレタン、アクリル、エポキシ等の架橋による高分子マトリクスと非水溶媒と電解質塩とからなるゲル組成物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
本発明の電池においてはセパレータを使用することもできる。セパレータとしては、電解質溶液のイオン移動に対して低抵抗であり、且つ、溶液保持に優れたものを使用するのが良い。そのようなセパレータ例としては、ガラス繊維、フィルター、ポリエステル、テフロン、ポリフロン、ポリプロピレン等の高分子繊維からなる不織布フィルター、ガラス繊維とそれらの高分子繊維を混用した不織布フィルターなどを挙げることができる。
【0033】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。非水溶媒及び電解質塩は十分に精製を行い、水分100ppm以下としたもので、さらに脱酸素及び脱窒素処理を行った電池グレードのものを使用し、すべての操作は不活性ガス雰囲気下で行った。なお、以下の参考例、実施例において、「部は」重量部を示す。
【0034】
参考例1:非水電解質1
プロピレンカーボネート/ジメトキシエタン(1/1:体積比)の混合溶媒(非水溶媒)にLiBF4 を溶解して、濃度2.0mol/lのLiBF4 溶液を得た。この溶液100部に、抗酸化剤としてテトラキス(メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)−プロピオネート)メタンを0.1部(0.1wt%)添加したものを電解液(非水電解質層形成用)とした。この場合、非水電解質層100部(抗酸化剤を除く)に対する前記抗酸化剤の添加割合は0.1部である。
【0035】
参考例2:非水電解質2
エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート(1/1:体積比)の混合溶媒(非水溶媒)にLiPF6 を溶解して、濃度1.0mol/lのLiPF6 溶液を得た。このLiPF6 溶液100部に、抗酸化剤としてトリエチルアミン0.2部(0.2wt%)を添加したものを電解液(非水電解質層形成用)とした。この場合、非水電解質層100部(抗酸化剤を除く)に対する前記抗酸化剤の添加割合は0.1部である。
【0036】
参考例3:非水電解質3
エチレンカーボネート/ジメチルカーボネート(1/1:体積比)の混合溶媒(非水溶媒)にLiN(CF3 SO2 )2 を溶解して濃度1.5mol/lのLiN(CF3 SO2 )2 溶液を調製した。この溶液100部に、抗酸化剤としてビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート5部(5.0wt%)を添加したものを電解液(非水電解質層形成用)とした。
【0037】
参考例4:高分子ゲル電解液1
参考例3で調製した非水電解液80部を60℃に加熱し、これに高分子固体電解質として分子量約15万のポリフッ化ビニリデン20部を添加混合した後、10℃まで冷却・固化し、高分子ゲル電解質(非水電解質層形成用)とした。この場合、非水電解質層100部(抗酸化剤を除く)に対する前記抗酸化剤の添加割合は約3.8部となる。
【0038】
参考例5:高分子ゲル電解液2
エチレンカーボネート/プロピレンカーボネート/ジメトキシエタン(5/2/3:体積比)の混合溶媒(非水溶媒)にLiPF6 を溶解して、濃度1.0mol/lのLiPF6 溶液を調製した。この溶液80部に、抗酸化剤としてトリフェニルアミン0.5部を添加したものを電解液とし、これを70℃に加熱し、数平均分子量約10万のポリアクリロニトリル20部を添加混合した後、10℃に冷却・固化し、高分子ゲル電解質(非水電解質層形成用)とした。この場合、非水電解質層100部(抗酸化剤を除く)に対する前記抗酸化剤の添加割合は0.5部となる。
【0039】
参考例6:正極1
ポリフッ化ビニリデン0.3部をN−メチルピロリドン10部に溶解し、さらに平均粒径5μmのLiMn2 O4 を9部と、導電性黒鉛0.7部とを加えて、ホモジナイザーにてアルゴンガス雰囲気下で混合分散して、正極用塗料を調製した。これを大気中にてワイヤーバーを用いて、厚さ20μmAl箔上に塗布し、100℃・15分間乾燥させ、膜厚60μmの正極を作製した。
【0040】
参考例7:正極2
濃度5.9N(規定)のH2 SO4 水溶液450mlとアニリン20.4gとの混合溶液を5℃以下に冷却した。これに5.9NのH2 SO4 水溶液50mlと過硫酸アンモニウム11.5gとの混合溶液を滴下した。滴下終了後、2時間3〜5℃で攪拌し、濾過した。得られた固体粒子を水で、ついでメタノールにより充分洗浄してポリアニリンを得た。このポリアニリンを20mol%のヒドラジン−水和物メタノール溶液に加え、一日攪拌後、濾取・洗浄・乾燥して、重量平均分子量Mwが2.0×104 のポリアニリン粉末を得た。このポリアニリン1部をN−メチルピロリドン10部に溶解し、さらに平均粒径5μmのLiMn2 O4 を9部と、導電性黒鉛0.5部とを加えて、ホモジナイザーにてアルゴンガス雰囲気下で混合分散して正極用塗料を調製した。これを大気中でワイヤーバーを用いて、厚さ20μmのAl箔上に塗布し、100℃・15分間乾燥させ、膜厚60μmの正極を作製した。
【0041】
参考例8:負極1
ポリフッ化ビニリデン2部をN−メチルピロリドン58部に溶解し、コークスの2500℃焼成品40部を加えて、ロールミル法にてアルゴンガス雰囲気下で混合分散し、負極用塗料を作製した。これを大気中にてドクターブレードを用いて厚さ20μmの銅箔上に塗布し、120℃・20分間乾燥させ、膜厚85μmの負極を作製した。
【0042】
実施例4
参考例6で作製した正極と、参考例4の高分子ゲル電解質により作製した非水電解質層と、Li板の対極とを用いて二次電池を作製し、充放電試験および非水電解質層の弾性率測定を行った。充放電試験では、北斗電工製の「HJ−201B 充放電測定装置」を用い、1.0mA/cm 2 の電流で電池電圧が4.2Vになるまで充電、10分の休止、1.0mA/cm 2 の電流で電池電圧が3.3Vまで放電、10分の休止という充放電操作を繰り返し、この際の電池サイクル特性を調べた。この充放電試験の結果を[表1]に、非水電解質層の初期弾性率および、100サイクル後の電解質の弾性率を[表2]にそれぞれ示す。
【0043】
前記弾性率の測定では、動的粘弾性試験機(レイロジー社製 MR−300)により、高分子固体電解質および高分子ゲル電解質の弾性率を測定した。弾性率を測定したのは、以下の理由による。高分子固体電解質または高分子ゲル電解質を電池内構成要素(電解質層)として使用した場合、通常はセパレータを用いないため、この電解質層の弾性率が低いときには、電池外部からの圧力等により正負電極間で短絡が発生する懸念がある。そこで、電池内構成要素の評価項目の一つとして弾性率をとりあげたわけである。この弾性率は102 dyn/cm2 以上であることが好ましい。
【0044】
実施例5
参考例7で作製した正極と、参考例5で作製した高分子ゲル電解質による非水電解質層と、Li板の対極とを用いて電池を作製し、実施例4と同様に充放電試験及び弾性率測定を行った。これらの結果を[表1]および[表2]に示す。
【0045】
実施例6
参考例6で作製した正極と、参考例4で作製した高分子ゲル電解質による非水電解質層と、参考例8で作製した負極とを用いて電池を作製し、実施例4と同様に充放電試験及び弾性率測定を行った。これらの結果を[表3]および[表2]に示す。
【0046】
比較例1
参考例6で作製した正極と、所定の電解液により作製した非水電解質層と、Li板の対極とを用いて二次電池を作製した。
上記電解液としては、参考例1において電解液中にテトラキス(メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)−プロピオネート)メタンを添加しない以外は参考例1と同じ電解液を用いた。そして、実施例4と同様にそのサイクル特性を評価した(充放電試験)。その結果を[表1]に示す。
【0047】
比較例2
参考例6で作製した正極と、所定の電解液による非水電解質層と、Li板の対極とを用いて二次電池を作製した。
上記電解液としては、参考例3において電解液中にビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケートを20部添加したものを使用した。この場合、電解液(抗酸化剤を含む)120部に占める前記抗酸化剤の量は20部(16.7wt%)である。そして、実施例4と同様にそのサイクル特性を評価した(充放電試験)。結果を[表1]に示す。
【0048】
比較例3
参考例7で作製した正極と、所定の電解液による非水電解質層と、Li板の対極とを用いて二次電池を作製した。
上記電解液としては、参考例2において非水溶媒溶液100部に対するトリエチルアミンの添加量を0.001部(0.001wt%)としたものを使用した。そして、実施例4と同様にそのサイクル特性を評価した(充放電試験)。結果を[表1]に示す。
【0049】
比較例4
参考例4において作製した高分子ゲル電解質にビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケートを添加しない以外は実施例4と同様に行った。結果を[表1]、[表2]に示す。
【0050】
比較例5
参考例5において作製した高分子ゲル電解質にトリフェニルアミンを添加しない以外は実施例5と同様に行った。結果を[表1]、[表2]に示す。
【0051】
比較例6
参考例4において作製した高分子ゲル電解質にビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケートを添加しない以外は実施例6と同様に行った。結果を[表3]、[表2]に示す。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
【表3】
【0055】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明によれば以下の効果が得られる。
(1)請求項1
高分子ゲル電解質と抗酸化剤の併用により非水電解質層を形成したので、高分子ゲル電解質の酸化劣化が防止されるため、サイクル特性が良好なうえ、機械的強度の劣化が少ない非水電解質二次電池を得ることができる。
(2)請求項2
電解質塩としてのLiPF6 は安全性が高いので、特に品質の良い非水電解質二次電池を得ることができる。
(3)請求項3
抗酸化剤が非水電解質層に対して0.01〜5wt%含有されていることにより、非水電解質層の酸化劣化防止作用が高まる。
(4)請求項4
請求項3において、抗酸化剤として、骨格に3級アミンを有する化合物を用いることにより、高分子ゲル電解質の高分子マトリクスの劣化防止作用が高まるため、機械的強度低下の防止効果が増大するうえ、光劣化防止効果も得られる。
Claims (4)
- 少なくとも正極、非水電解質層、リチウムを吸蔵放出可能な負極からなる非水電解質二次電池において、前記非水電解質層が高分子ゲル電解質からなり、かつ該非水電解質層中に抗酸化剤を含有することを特徴とする非水電解質二次電池。
- 請求項1において、非水電解質層が電解質塩として少なくともLiPF6を含むことを特徴とする非水電解質二次電池。
- 請求項1または2において、抗酸化剤が非水電解質層100重量部(抗酸化剤を除く)に対して0.01〜5重量部の割合で含有されていることを特徴とする非水電解質二次電池。
- 請求項3において、抗酸化剤が骨格に3級アミンを有する化合物であることを特徴とする非水電解質二次電池。
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