JP3603647B2 - 投写型表示装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像情報に応じて光学像を形成する電気光学装置と、この電気光学装置で形成された光学像を拡大投写する投写レンズと、前記光源および前記電気光学装置を含む装置本体を収納する外装ケースと、前記電気光学装置が載置されるとともに、前記投写レンズが取り付けられる構造体とを備えた投写型表示装置に関する。
【0002】
【背景技術】
従来より、光源と、この光源から出射される光束を画像情報に応じて光学像を形成する電気光学装置と、この電気光学装置で形成された光学像を拡大投写する投写レンズと、光源および電気光学装置を含む装置本体を収納する外装ケースと、電気光学装置が載置されるとともに、投写レンズが取り付けられる構造体とを備えた投写型表示装置が知られている。
【0003】
このような投写型表示装置は、会議、学会、展示会等でのマルチメディアプレゼンテーションに広く利用される。このため、投写型表示装置による投写画像の鮮明化、大画面表示を可能とするために、投写レンズの大型化が検討されている。
【0004】
ここで、上述した構造体は、側面略L字状の金属部材から構成され、該L字の一方の内側面が電気光学装置載置面とされ、該L字の他方の外側面が投写レンズ取付面とされる。そして、このような構造体は、電気光学装置載置面の端部で外装ケースの底面とねじ止め固定されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の構造体に大型の投写レンズを取り付けようとすると、投写レンズの重量により、構造体の投写レンズ取付面が傾いてしまうため、投写レンズの光軸を精度よく設定するのが困難になるという問題がある。
【0006】
また、大型の投写レンズが取り付けられた構造体はその重心位置が投写レンズの先端側に移動するため、電気光学装置載置面のみで構造体を外装ケースに対して固定すると、安定性が悪くなるという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、大型化された投写レンズを安定して取り付けることのできる構造体を有する投写型表示装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成する為に本発明に係る投射型表示装置は、画像情報に応じて光学像を形成する電気光学装置と、この電気光学装置で形成された光学像を拡大投写する投写レンズと、レンズ位置調整機構と、前記光源および前記電気光学装置を含む装置本体を収納する外装ケースと、前記電気光学装置が載置されるとともに、前記投写レンズが取り付けられる構造体とを備えた投写型表示装置であって、
前記構造体は側面略L字状の部材から構成され、略L字の一方の内側面に前記電気光学装置が載置されるとともに、略L字の他方の外側面に前記投写レンズが前記レンズ位置調整機構を介して取り付けられる凹部を有する投写レンズ取付面を有し、前記投写レンズには、前記投写レンズ取付面との固定のために、当該投写レンズの径方向外側に向かって突出するフランジが前記投写レンズの基端面よりも先端側に形成され、前記投写レンズの基端部は前記投写レンズの取付面の凹部に挿入され、
前記レンズ位置調整機構は、前記投写レンズ取付面の凹部と係合するリング状の突起部を有する固定部材を備え、
前記構造体の前記外装ケースに対する固定は、前記構造体の前記投写レンズ取付面よりも、前記投写レンズの先端側で行われることを特徴とする。
【0009】
このような本発明によれば、構造体の外装ケースに対する固定が投写レンズ取付面よりも先端側で行われるので、大型の投写レンズを構造体に取り付けても投写レンズ取付面が傾くことがなく、投写レンズを構造体に安定して固定することが可能となる。
【0010】
以上において、上述した投写レンズに投写レンズ取付面との固定のために、当該投写レンズの径方向外側に向かって突出するフランジが形成されている場合、このフランジは投写レンズの基端面よりも先端側に形成されているのが好ましい。
【0011】
すなわち、固定用のフランジがこのような位置に形成されているので、投写レンズと投写レンズ取付面との固定位置を投写レンズの重心位置に近づけることができ、構造体への投写レンズの固定が一層安定する。
【0012】
また、上述したレンズ取付面には、投写レンズの基端部分が挿入される凹部が形成されているのが好ましい。
【0013】
また、上述したレンズ取付面には、固定部材のリング状の突起部に応じた形状を有していることが好ましく、断面円形の突起部であれば、この突起部に応じた開口を有する凹部であるのが好ましい。
【0014】
すなわち、固定部材のリング状の突起部が凹部に挿入されることで、投写レンズ取付面に対する投写レンズの位置決めを容易に行うことが可能となるうえ、投写レンズ取付面に対する投写レンズの取付構造を強固にすることが可能となる。また、投写レンズ取付面に凹部が形成されることで、投写レンズ取付面の面外方向の変形を規制でき、構造体への投写レンズの固定が一層安定する。
【0015】
さらに、上述した投写レンズがレンズ等の光学部品を保持する枠部を有している場合、この枠部の基端側端面は、黒色であるのが好ましい。
【0016】
すなわち、枠部の基端側端面を黒色とすることで、光源から出射された光束が反射することがないので、このような反射によって投写画像が不鮮明となることを防止し、鮮明な投写画像を得ることが可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
(1)装置の全体構成
図1、図2には、本実施形態に係る投写型表示装置1の概略斜視図が示され、図1は上面側から見た斜視図、図2は下面側から見た斜視図である。
【0019】
投写型表示装置1は、光源としての光源ランプから出射された光束を赤(R)、緑(G)、青(B)の三原色に分離し、これらの各色光束を電気光学装置を構成する液晶パネルを通して画像情報に対応させて変調し、変調した後の各色の変調光束をプリズム(色合成光学系)により合成して、投写レンズ6を介して投写面上に拡大表示する形式のものである。投写レンズ6の一部を除いて、各構成部品は外装ケース2の内部に収納されている。
【0020】
(2)外装ケースの構造
外装ケース2は、基本的には、装置上面を覆うアッパーケース3と、装置底面を構成するロアーケース4と、背面部分を覆うリアケース5(図2)と、装置前面を覆うフロントケース9から構成され、リアケース5が樹脂製である他はマグネシウム等の金属製である。
【0021】
図1に示されるように、アッパーケース3の上面において、その前方側の左右の端には、スピーカ用の多数の連通孔25R、25Lが形成されている。また、これらの連通孔25R、25L間には、投写型表示装置1の画質等を調整するための操作パネル60が設けられている。さらに、アッパーケース3の前面の向かって右上部分には、図示略のリモートコントローラからの光信号を受信するための受光部70が設けられている。
【0022】
図2に示されるように、ロアーケース4の底面の略中央には、装置内部を冷却する冷却空気を取り入れるための空気取入口240が設けられている。空気取入口240は、樹脂製のフィルタ交換蓋241に設けられており、このフィルタ交換蓋241をロアーケース4の側面側から着脱することで、内部のフィルタを交換することが可能である。
【0023】
また、ロアーケース4の底面には、その前端の左右の角部にフット31R、31Lが設けられ、後端の略中央部にフット31Cが設けられている。尚、フット31R、31Lの上下の進退量を調整することによって、表示画面の傾きを変更することが可能である。
【0024】
リアケース5は、図2に示されるように、装置背面側に配置された各種の入出力端子群51が設けられるインターフェースパネル501と、装置内部の空気を排出する通気口としての排気口および受光部70が設けられた光源ランプ交換蓋502とで構成されている。また、装置背面側には、外部電力供給用のACインレット50が設けられている。尚、光源ランプ交換蓋502は、インターフェースパネル501から着脱可能になっていて、この光源ランプ交換蓋502を外装ケース2から取り外すことにより、装置内部の光源ランプユニット8を交換することができる。
【0025】
(3)装置の内部構造
図3には、投写型表示装置1の内部構造が示されている。
【0026】
この図に示されるように、装置1の内部には、投写レンズ6の一側方に配置された電源としての電源ユニット7、電源ユニット7の後方に配置された光源ユニットとしての光源ランプユニット8、光学系を構成する光学ユニット10、ユニット10内の電気光学装置925を駆動するドライバーボード(図示せず)、および装置1全体を制御するメインボード(図示せず)などが収容されている。
【0027】
電源ユニット7は、ACインレット50からの電力を変圧して光源ランプユニット8や、ドライバーボード、メインボード、電気光学装置925の下方または上下両方に配置された吸気ファン(図示せず)、および光源ランプユニット8の後方に配置された排気ファン16などに供給するものであり、電源フィルタ、トランス(変圧器)、整流回路、平滑回路、電圧安定回路等が形成された電源回路基板の他、光源ランプユニット8の光源ランプ181を駆動するためのランプ駆動基板等を備えている。
【0028】
光源ランプユニット8は、投写型表示装置1の光源部分を構成するものであり、図4にも示されるように、光源ランプ181およびリフレクタ182からなる光源装置183を有し、この光源装置183がランプハウジング(図示略)に収納されることで、ユニット化されている。このような光源ランプユニット8は、前述した吸気ファンからの冷却空気や、外装ケース2と投写レンズ6との間の隙間から吸引される冷却空気で冷却されるが、冷却空気は、先ず、吸引された直後に電気光学装置925および電源ユニット7等を冷却し、この後に装置1内部の略全域を冷却するように後方に流れ、最終的にはその大部分が光源ランプユニット8内を通って背後の排気ファン16で排気される。従って、排気ファン16の直前に光源ランプユニット8が配置されていることにより、その内部の光源装置183を大量の冷却空気で効率よく冷却することが可能である。
【0029】
光学ユニット10は、光源ランプユニット8から出射された光束を、光学的に処理して画像情報に対応した光学像を形成するユニットであり、照明光学系923、色分離光学系924、電気光学装置925、および色合成光学系としてのプリズムユニット910とを含んで構成される。電気光学装置925およびプリズムユニット910以外の光学ユニット10の光学素子は、上ライトガイド(図示略)、および下ライトガイド902の間に上下に挟まれて保持された構成となっている。尚、これらの上ライトガイド、下ライトガイド902は一体とされて、ロアーケース4の側に固定ネジにより固定されている。また、これらのライトガイドは、プリズムユニット910の側に同じく固定ネジによって固定されている。
【0030】
直方体状のプリズムユニット910は、図5に示されるように、マグネシウムの一体成形品から構成される側面略L字状のヘッド体80のL字の一方の内側面に固定ネジにより固定されている。また、電気光学装置925を構成する各液晶パネル925R、925G、925Bは、プリズムユニット910の3側面に固定部材を介して固定されている。
【0031】
ドライバーボードは、電気光学装置925の各液晶パネル925R、925G、925Bを駆動・制御するためのものであり、光学ユニット10の上方に配置される。
【0032】
メインボードは、投写型表示装置1全体を制御する制御回路が形成されたものであり、前記ドライバーボードの上方に配置される。このようなメインボードは、前述のドライバーボードおよび操作パネル60と電気的に接続される。
【0033】
(4)光学系の構造
次に、投写型表示装置1の光学系即ち光学ユニット10の構造について、図4に示す模式図に基づいて説明する。
【0034】
上述したように、光学ユニット10は、光源ランプユニット8からの光束(W)の面内照度分布を均一化する照明光学系923と、この照明光学系923からの光束(W)を、赤(R)、緑(G)、青(B)に分離する色分離光学系924と、各色光束R、G、Bを画像情報に応じて変調する電気光学装置925と、変調後の各色光束を合成する色合成光学系としてのプリズムユニット910とを含んで構成されている。
【0035】
照明光学系923は、第1のレンズ板921と、その出射側に配置された第2のレンズ板922と、光源ランプユニット8から出射された光束Wの光軸1aを装置1前方向に折り曲げる反射ミラー931とを備えている。
【0036】
第1のレンズ板921は、マトリクス状に配置された複数の矩形レンズを有しており、光源から出射された光束を複数の部分光束に分割し、各部分光束を第2のレンズ板922の近傍で集光させる。
【0037】
第2のレンズ板922は、マトリクス状に配置された複数の矩形レンズを有しており、第1のレンズ板921から出射された各部分光束を電気光学装置925を構成する液晶パネル925R、925G、925B(後述)上に重畳させる機能を有している。
【0038】
このように、本例の投写型表示装置1では、照明光学系923により、液晶パネル925R、925G、925B上をほぼ均一な照度の光で照明することができるので、照度ムラのない投写画像を得ることができる。
【0039】
色分離光学系924は、青緑反射ダイクロイックミラー941と、緑反射ダイクロイックミラー942と、反射ミラー943から構成される。まず、青緑反射ダイクロイックミラー941において、照明光学系923から出射される光束Wに含まれている青色光束Bおよび緑色光束Gが直角に反射され、緑反射ダイクロイックミラー942の側に向かう。
【0040】
赤色光束Rは、この青緑反射ダイクロイックミラー941を通過し、後方の反射ミラー943で直角に反射されて、赤色光束Rの出射部944からプリズムユニット910の側に出射される。
【0041】
次に、青緑反射ダイクロイックミラー941で反射された青色、緑色光束B、Gのうち、緑反射ダイクロイックミラー942において、緑色光束Gのみが直角に反射されて、緑色光束Gの出射部945からプリズムユニット910側に出射される。
【0042】
この緑反射ダイクロイックミラー942を通過した青色光束Bは、青色光束Bの出射部946からリレー光学系927の側に出射される。本例では、照明光学系923の光束Wの出射部から、色分離光学系924における各色光束R、G、Bの出射部944、945、946までの距離が全て等しくなるように設定されている。
【0043】
色分離光学系924の赤色、緑色光束R、Gの出射部944、945の出射側には、それぞれ集光レンズ951、952が配置されている。従って、各出射部から出射した赤色、緑色光束R、Gは、これらの集光レンズ951、952に入射して平行化される。
【0044】
このように平行化された赤色、緑色光束R、Gは、入射側偏光板960R、960Gを通って光変調装置である液晶パネル925R、925Gに入射して変調され、各色光に対応した画像情報が付加される。すなわち、これらの液晶パネル925R、925Gは、前述のドライバーボードによって画像情報に応じてスイッチング制御されて、これにより、ここを通過する各色光の変調が行われる。
【0045】
一方、青色光束Bは、リレー光学系927を介して対応する液晶パネル925Bに導かれ、ここにおいて、同様に画像情報に応じて変調が施される。尚、本実施形態の液晶パネル925R、925G、925Bとしては、例えば、ポリシリコンTFTをスイッチング素子として用いたものを採用することができる。
【0046】
リレー光学系927は、青色光束Bの出射部946の出射側に配置した集光レンズ954と、入射側反射ミラー971と、出射側反射ミラー972と、これらの反射ミラーの間に配置した中間レンズ973と、液晶パネル925Bの手前側に配置した集光レンズ953とから構成されており、集光レンズ953から出射した青色光束Bは、入射側偏光板960Bを通って液晶パネル925Bに入射して変調される。
【0047】
この際、光束Wの光軸1aおよび各色光束R、B、Bの光軸1r、1g、1bは同一平面内に形成されるようになる。そして、各色光束の光路の長さ、すなわち光源ランプ181から各液晶パネルまでの距離は、青色光束Bが最も長くなり、従って、この光束の光量損失が最も多くなる。しかし、リレー光学系927を介在させることにより、光量損失を抑制できる。
【0048】
次に、各液晶パネル925R、925G、925Bを通って変調された各色光束R、G、Bは、出射側偏光板961R、961G、961Bを通ってプリズムユニット910に入射され、ここで合成される。そして、このプリズムユニット910によって合成されたカラー画像が投写レンズ6を介して所定の位置にある投写面100上に拡大投写されるようになっている。
【0049】
(5) ヘッド体80の構造
上述した構造体である側面略L字状のヘッド体80は、図5に示すように、プリズムユニット910および電気光学装置925が載置される水平部81と、この水平部81の前方側に立設される垂直部83とを有し、垂直部83の外側面には、投写レンズ6がレンズ位置調整機構40を介して固定されている。
【0050】
レンズ位置調整機構40は、ヘッド体80の垂直部83に固定される固定部材401と、この固定部材401に対して、上下に摺動可能な可動部材402と、この可動部材402を固定部材401に対して摺動させるための回転伝動機構414とを含んで構成される。そして、本例の場合、投写レンズ6は、可動部材402の側面に取り付けられ、回転伝動機構414を操作することにより、投写レンズ6の位置が上下に移動し、投写レンズ6の光軸を調整することができるようになっている。
【0051】
投写レンズ6は、レンズ等の光学部品を収納する円筒状の枠部61と、枠部61の基端部分に設けられ、投写レンズ6の径方向外側に向かって突出するフランジ63と、枠部61の先端に設けられ、枠部61の円周方向に回動させることで、投写画像のズーム、フォーカスを調整するズーム・フォーカス調整機構65とを備えている。
【0052】
フランジ63は、枠部61の基端面よりもレンズ先端側に形成され、フランジ63の四隅で固定ねじ62によって、可動部材402に固定されている。尚、図5では図示を略したが、可動部材402の前方側面には、凹部が形成され、この凹部に枠部61の基端部分が挿入される。
【0053】
ヘッド体80は、図6に示すように、電気光学装置925およびプリズムユニット910が載置される水平部81、およびこの水平部81の前方側端縁に立設される垂直部83と、この垂直部83から前方に水平に突出する突出部85とを備えている。
【0054】
水平部81の四隅には、固定孔81Aが形成されているとともに、突出部85にも2つの固定孔85Aが形成されている。そして、これらの固定孔81A、85A、87Aに固定ねじを挿入し、ロアーケース4の底面とねじ止め固定することにより、ヘッド体80は、外装ケース2に対して固定される。
【0055】
垂直部83の投写レンズ取付面83Aには、プリズムユニット910からの出射光の光軸1aを中心とした円形状の開口を有する凹部83Bが形成され、その周囲には、格子状のリブ83Cが形成されている。凹部83Bの底面は平坦面とされ、その略中央には、プリズムユニット910からの出射光束を導くための矩形状の開口部83Dが形成されている。また、凹部83Bの開口面の周囲には、固定ねじを挿入するためのねじ孔83Eが4つ形成されているとともに、凹部83Bの円形開口面の直径方向に離間配置された一対の位置決めピン83Fが設けられている。
【0056】
このような凹部83Bには、上述したレンズ位置調整機構40の固定部材401が取り付けられるが、固定部材401の垂直部83と当接する基端面には、この凹部83Bの円形開口面形状と係合するリング状の突起が設けられている(図示略)。固定部材401の取り付けに際しては、固定部材401の基端面外周部分に設けられる孔(図示略)に位置決めピンを挿入し、孔のクリアランスを使って、位置調整を行った後、ねじ孔83Eにねじを挿入して、固定部材401を垂直部83に固定する。尚、このような垂直部83は、レンズ位置調整機構40を介して投写レンズ6を接続するだけでなく、投写レンズ6の基端部分を直接接続できるようになっていて、凹部83Bの円形開口面は、前記投写レンズ6の枠部61の外周縁にも対応している。
【0057】
突出部85は、垂直部83の底部端縁に沿って前方に突出するリブ状部85Bと、リブ状部85Bの両端に設けられる箱状部85Cとを備えている。この箱状部85Cの上面には、上述した固定孔85Aが形成されているとともに、箱状部85Cの上面端部近傍には、前記垂直部83の投写レンズ取付面83Aに向かって延びるリブ85Dが複数設けられている。
【0058】
尚、このようなマグネシウム合金製のヘッド体80は、チクソ成形法によって一体成形され、レンズ取付面83Aに格子状のリブ83Aを形成することで、垂直部83の強度を落とすことなく、ヘッド体80の軽量化を図っている。
【0059】
(6) 実施形態の効果
前述のような本実施形態によれば、次のような効果がある。
【0060】
すなわち、ヘッド体80の外装ケース2に対する固定が投写レンズ取付面83Aよりも投写レンズ6の先端側で行われるので、大型の投写レンズ6を取り付けても垂直部83が傾くことがなく、投写レンズ6をヘッド体80に安定して固定することができる。
【0061】
また、投写レンズ取付面83Aに凹部83Bが形成されているので、この凹部83Bに固定部材401のリング状突起の基端部分を挿入することで、投写レンズ取付面83Aに対する固定部材401の位置決めを容易に行うことができるうえ、投写レンズ取付面83Aに対する固定部材401の取付構造を強固にすることができる。そして、投写レンズ取付面83Aに凹部83Bが形成されることで、投写レンズ取付面83Aの面外方向の変形を規制することができるので、ヘッド体80への投写レンズ6の固定が一層安定する。
【0062】
さらに、投写レンズ6のフランジ63が枠部61の基端面よりもレンズ先端側に形成されているので、可動部材402および投写レンズの固定位置を投写レンズ6の重心位置に近づけることができ、レンズ位置調整機構40を介したヘッド体80への投写レンズ6の固定が一層安定する。
【0063】
そして、投写レンズ取付面83Aの凹部83Bの外周面に格子状のリブ83Cが形成されているので、凹部83Bによる補強効果に加えて、投写レンズ取付面83Aの面外方向の変形が一層防止される。
【0064】
また、突出部85から垂直部83の投写レンズ取付面83Aに向かって延びるリブ85Dが設けられているので、垂直部83の前方側への変形を防止することができ、大型の投写レンズ6を取り付けても、該変形を極力することができる。
(7) 実施形態の変形
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、以下に示すような変形をも含むものである。
【0065】
前期実施形態では、投写レンズ6は、レンズ位置調整機構40を介してヘッド体80に取り付けられていたが、これに限られない。すなわち、ヘッド体80に直接投写レンズ6を固定しても、前述の実施形態で述べた効果と同様の効果を享受することができる。尚、この場合、投写レンズの枠部の基端面は黒色であるのが好ましい。枠部の基端面を黒色とすることにより、プリズムユニットから出射された光束がこの枠部に当たっても、反射しにくくなり、枠部の反射によって光学像が不鮮明となることを防止することができる。
【0066】
また、前記実施形態では、電気光学装置925は、TFT駆動の液晶パネル925R、925G、925Bから構成されていたが、これに限らず、他の駆動方式から構成される光変調装置を備えた投写型表示装置に本発明を採用してもよい。
【0067】
さらに、前記実施形態では、電気光学装置925は、3枚の液晶パネル925R、925G、925Bから構成されていたが、これに限らず、1枚、2枚の液晶パネルから構成される光変調装置に本発明を採用してもよい。
【0068】
そして、前記実施形態では、電気光学装置925を構成するパネルは液晶素子から構成されていたが、液晶以外のプラズマ素子、マイクロミラーを用いたデバイスパネルから構成される光変調装置を備えた投写型表示装置に本発明を採用してもよい。
【0069】
また、前記実施形態における電気光学装置925は、光束R、G、Bを透過して変調する形式のものであったが、これに限らず、入射した光を反射しつつ変調して出射する反射型の光変調装置を備えた投写型表示装置に本発明を採用してもよい。
【0070】
その他、本発明の実施の際の具体的な構造および形状等は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造等としてもよい。
【0071】
【発明の効果】
前述のような本発明によれば、構造体の外装ケースに対する固定が投写レンズ取付面よりも先端側で行われるので、大型の投写レンズを構造体に取り付けても投写レンズ取付面が傾くことがなく投写レンズを構造体に安定して固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る投写型表示装置の上部から見た外観斜視図である。
【図2】前記実施形態における投写型表示装置の下部から見た外観斜視図である。
【図3】前記実施形態における投写型表示装置の内部構造を表す斜視図である。
【図4】前記実施形態における光学系の構造を説明するための模式図である。
【図5】前記実施形態における投写レンズおよび電気光学装置の取り付けられた状態を表す外観斜視図である。
【図6】前記実施形態における構造体を表す外観斜視図である。
【符号の説明】
1 投写型表示装置
2 外装ケース
6 投写レンズ
61 枠部
63 フランジ
80 ヘッド体(構造体)
83A 投写レンズ取付面
83B 凹部
85A 固定孔
181 光源ランプ(光源)
925 電気光学装置

Claims (2)

  1. 画像情報に応じて光学像を形成する電気光学装置と、この電気光学装置で形成された光学像を拡大投写する投写レンズと、レンズ位置調整機構と、前記光源および前記電気光学装置を含む装置本体を収納する外装ケースと、前記電気光学装置が載置されるとともに、前記投写レンズが取り付けられる構造体とを備えた投写型表示装置であって、
    前記構造体は側面略L字状の部材から構成され、略L字の一方の内側面に前記電気光学装置が載置されるとともに、略L字の他方の外側面に前記投写レンズが前記レンズ位置調整機構を介して取り付けられる凹部を有する投写レンズ取付面を有し、前記投写レンズには、前記投写レンズ取付面との固定のために、当該投写レンズの径方向外側に向かって突出するフランジが前記投写レンズの基端面よりも先端側に形成され、前記投写レンズの基端部は前記投写レンズの取付面の凹部に挿入され、
    前記レンズ位置調整機構は、前記投写レンズ取付面の凹部と係合するリング状の突起部を有する固定部材を備え、
    前記構造体の前記外装ケースに対する固定は、前記構造体の前記投写レンズ取付面よりも、前記投写レンズの先端側で行われることを特徴とする投写型表示装置。
  2. 請求項に記載の投写型表示装置において、
    前記投写レンズは、レンズ等の光学部品を保持する枠部を有し、この枠部の基端側端面は、黒色であることを特徴とする投写型表示装置。
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