JP3603621B2 - ヘッジトリマー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、枝などの草木の切断に用いられるヘッジトリマーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、往復運動する上刃(可動刃)と固定された下刃(固定刃)にて構成されたヘッジトリマーにおいては、太枝切断時及び密集枝葉切断時ともに、枝葉が固定刃の刃先につっかかってしまい、切断導入性が悪く、スムーズに刈れないという問題があった。また、一方の刃のみが往復運動しているため振動が大きいという問題もあった。
【0003】
また、往復運動する上刃、下刃を備えたヘッジトリマーであって、上刃と下刃を互いに逆位相で駆動し、且つ上・下の刃の振巾量が同じ量で駆動するように構成されたヘッジトリマーにおいては、太枝を切断時、上・下の刃が大きい変位量で駆動しているため、枝を刃先で跳ね飛ばしてしまうので、太枝の導入性が悪いという問題があった。
【0004】
また、枝葉を鋏支持し切断する際、衝撃的に切断負荷が加わるために生じるモーターロックを回避するものとして、特開昭60−149312号公報が提案されている。この場合では、上・下の刃の振巾量が異なる量で駆動するように構成されているが、図8のグラフのように同方向に動作(同位相で両刃が往復運動)しているため、上刃と下刃の間の櫛刃間の隙間が狭まり、太枝の導入性が悪いという問題があった。また、図9のグラフのように同方向に動作(片方の刃の位相をα(α<90°)だけずらして往復運動)している場合でも同様に上刃と下刃の櫛刃間の隙間は狭まり、太枝の導入性が悪い。更には、いずれの場合も上・下の刃が同方向で動くために切断する速度が打ち消し合うため、切れ味、即ち枝切断力(枝切断力=駆動力×速度)が低下することになり、モーターの駆動力がより必要となる。また、振動についても上・下の刃が同方向に動作しているため、大きくなるという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、枝葉の切断時に刃先へのつっかかりやはじかれをなくし、櫛刃への導入性を高めてスムーズに枝葉を刈ることができ、合わせて刃の振動も低減したヘッジトリマーを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決して本発明の目的を達成するために、櫛状を呈し、且つ往復運動する上刃1と下刃2を備えたヘッジトリマーにおいて、上刃1と下刃2を互いに逆位相で往復駆動するように構成し、且つ上刃1と下刃2の振巾量が異なる量で駆動させるものである。このように櫛状を呈し、且つ往復運動する上刃1と下刃2を備えたヘッジトリマーにおいて、上刃1と下刃2を互いに逆位相で往復駆動するように構成し、且つ上刃1と下刃2の振巾量が異なる量で駆動させることで、太枝を切断する際は、上刃1と下刃2の間の櫛刃間の隙間がある程度確保でき、太枝の導入性が良くなり、刃先部に太枝が来ても、振巾量の小さい方の刃が微振動しているために枝につっかからず、少しはじかれて上刃1と下刃2の櫛刃間の隙間に導入され、また、密集枝葉を切断する際も、一方の刃の振巾量が小さいため、枝葉があまりはじかれず、枝葉がうまく上刃1と下刃2の櫛刃間の隙間に導入される。
【0007】
また、振巾量の小さい刃を重く、又、振巾量の大きい刃を軽くするとよい。このように振巾量の小さい刃を重く、又、振巾量の大きい刃を軽くすることで、逆方向に駆動する刃同士の慣性力を打ち消し合うことができるので、振動を低減することができる。
【0008】
また、振巾量の小さい刃の櫛刃を振巾量の大きい櫛刃よりも突出させるとよい。このように振巾量の小さい刃の櫛刃を振巾量の大きい刃の櫛刃よりも突出させることで、振巾量の小さい刃の微振動により、枝葉に櫛刃をスムーズに侵入させ、枝葉を上刃と下刃の櫛刃間の隙間に導入しやすくすることができる。
【0009】
また、振巾量の大きい刃の櫛刃の挟み角を振巾量の小さい刃の櫛刃の挟み角より小さくするとよい。このように振巾量の大きい刃の櫛刃の挟み角を振巾量の小さい刃の櫛刃の挟み角より小さくすることで、微振動で枝葉の導入性の良い、振巾量の小さい刃の櫛刃に導入された枝葉が、振巾量の小さい刃の櫛刃の挟み角より小さい挟み角を有する、振巾量の大きい刃の櫛刃によって枝葉が逃げるのがくい止められる。
【0010】
また、櫛刃18の端部22側の挟み角θ1を基部23側の挟み角θ2よりも小さくするとよい。このように櫛刃18の端部22側の挟み角θ1を基部23側の挟み角θ2よりも小さくすることで、枝葉の切断時に櫛刃18の基部23側で捕らえられた枝葉が、挟み角のより小さい端部22側で逃げるのがくい止められる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施形態の一例を図1乃至図7に基づいて説明する。
【0012】
図1,2に示すように本発明のヘッジトリマーはその前部に把持部3が、また後部にスイッチ部4を有するハンドル5が設けられており、ハウジング6の内部には、モーター7が内臓されると共に、モーター7の下方にはモーター7の回転運動を往復運動に変換する、モーター軸16に設けられたピニオン8、このピニオン8と噛合する駆動ギヤ9、この駆動ギヤ9の下面に固定された偏芯カムブロック11等を含んで成る駆動機構が内臓されている。尚、駆動ギヤ9は駆動軸10で支持され、偏芯カムブロック11は後述する上刃1と連結するための円板状のカム12と、下刃2と連結するための円板状のカム13とから形成され、駆動軸10と嵌合している。
【0013】
図2,3に示すように上刃1は櫛状の櫛刃18を多数有し、前述のカム12と上刃1の基端部20に設けた駆動穴14にて連結されている。また、下刃2は上刃1と同様、櫛刃19を多数有し、前述のカム13と下刃2の基端部21に設けた駆動穴15にて連結されている。
【0014】
偏芯カムブロック11は前述の通り、駆動軸10と嵌合し、駆動軸10を中心に回転する。そして、この駆動軸10の中心より、カム12の端はa、カム13の端はb分ふられており(a>b)、これにより、図7に示すように上刃1は振巾量2a、下刃2は振巾量2bで逆方向(逆位相)で往復運動するようになっている。このように上刃1と下刃2を互いに逆位相で往復駆動するように構成し、且つ上刃1と下刃2の振巾量が異なる量で駆動させることで、太枝を切断する際は、上刃1と下刃2の櫛刃間の隙間がある程度確保でき、太枝の導入性が良くなり、刃先部に太枝が来ても、振巾量の小さい刃が微振動しているために枝につっかからず、少しはじかれて上刃1と下刃2の櫛刃間の隙間に導入され、また、密集枝葉を切断する際も、一方の刃の振巾量が小さいため、枝葉があまりはじかれずに、枝葉をうまく上刃1と下刃2の櫛刃間の隙間に導入することができる。
【0015】
尚、上記構成においては、上刃1と下刃2とが逆方向、且つ異なる振巾量で往復運動するため、振動が発生する。これを防止するために本実施例では図4に示すように振巾量の大きい上刃1の櫛刃18の刃先長さe1を下刃2の櫛刃19の刃先長さe2よりeだけ短くしており、振巾量の小さい下刃2の櫛刃19を振巾量の大きい上刃1の櫛刃18よりも突出させている。これにより、上刃1の重量を軽くする一方、下刃2の重量を重くして、逆位相で往復駆動する上刃1と下刃2の慣性力がほぼ等しくなるようにして、振動を低減させている。尚、これでも振動が十分に低減できない場合は、上刃1を研削して厚みを調整することにより重量を調整する。このように振巾量の小さい下刃2を重く、又、振巾量の大きい上刃1を軽くすることにより、互いに慣性力を打ち消し合うようにして、振動を低減させている。
【0016】
また、上記例のように振巾量の小さい下刃2の櫛刃19を振巾量の大きい上刃1の櫛刃18よりも突出させているのは、振巾量の小さい下刃2の微振動により、枝葉に下刃2の櫛刃19をスムーズに侵入させることができ、枝葉を上刃1と下刃2の櫛刃間の隙間に導入しやすくすることができるためであり、これとは逆に、振巾量の大きい上刃1の櫛刃18を下刃2の櫛刃19よりも突出させると、上刃1が枝葉を跳ね飛ばすようになり、上刃1と下刃2の櫛刃間への導入を悪くし、引っ掛かり感を生じる。
【0017】
次に上刃1の刃先形状について図5に基づいて説明する。上刃1は振巾量が大きいため、刃の動作速度が速く、枝等の切断時、枝等が逃げてしまうことが高速度写真の分析にて判明している。そこで、刃先部の挟み角をd1部はθ1、d2部はθ2とすると、d2部の挟み角θ2を大きくし、d1部の挟み角θ1を小さくすることにより、枝等の逃げをd1部でくい止める構造としている。これは上刃1と下刃2が摺動する場合、互いに櫛刃18,19の刃先が干渉してだれないように、基部23のd2部は角度をつけ、端部22に向かって徐々に刃先が擦れ合うようにすることで、磨耗を低減しているものである。このように櫛刃の端部22側の挟み角を基部23側の挟み角よりも小さくすることで、枝葉の切断時に櫛刃の基部23側で捕らえられた枝葉が、挟み角のより小さい端部22側で枝葉が逃げるのがくい止められる。他の実施例として図6に示すように全体の角度を一定にしてもよい。
【0018】
また、図4に示すように本実施例では振巾量の大きい上刃1の櫛刃18の挟み角θ1を振巾量の小さい下刃2の櫛刃19の挟み角θ3より小さくしてある。このように振巾量の大きい上刃1の挟み角θ1を振巾量の小さい下刃2の挟み角θ3より小さくすることで、微振動で枝葉の導入性の良い、振巾量の小さい下刃2に導入された枝葉が、振巾量の小さい下刃2の挟み角θ3より小さい挟み角θ1を有する、振巾量の大きい上刃1によって捕らえられ、枝葉が逃げるのがくい止められる。
【0019】
尚、本実施例では振巾が大きい側を上刃として説明したが、この例とは逆の上刃と下刃の関係したものについても同様の効果を有するものである。
【0020】
【発明の効果】
本発明の請求項1記載の発明にあっては、櫛状を呈し、且つ往復運動する上刃と下刃を備えたヘッジトリマーにおいて、上刃と下刃を互いに逆位相で往復駆動するように構成し、且つ上刃と下刃の振巾量が異なる量で駆動させることで、太枝を切断する際は、上刃と下刃の間の櫛刃間の隙間がある程度確保でき、太枝の導入性が良くなり、刃先部に太枝が来ても、振巾量の小さい方の刃が微振動しているために枝につっかからず、少しはじかれて上刃と下刃の櫛刃間の隙間に導入され、また、密集枝葉を切断する際も、一方の刃の振巾量が小さいため、枝葉があまりはじかれず、枝葉がうまく上刃と下刃の櫛刃間の隙間に導入され、枝葉をスムーズに切断することができる。
【0021】
請求項2記載の発明にあっては、請求項1記載の発明の効果に加えて、振巾量の小さい刃を重く、又、振巾量の大きい刃を軽くすることで、逆方向に駆動する刃同士の慣性力を打ち消し合うことができるので、振動を低減することができる。
【0022】
請求項3記載の発明にあっては、請求項1又は請求項2のいずれかに記載の発明の効果に加えて、振巾量の小さい刃の櫛刃を振巾量の大きい刃の櫛刃よりも突出させることで、振巾量の小さい刃の微振動により、枝葉に櫛刃をスムーズに侵入させ、枝葉を上刃と下刃の櫛刃間の隙間に導入しやすくすることができ、枝葉切断時のはじきや引っ掛かりを防止できる。
【0023】
請求項4記載の発明にあっては、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の発明の効果に加えて、振巾量の大きい刃の櫛刃の挟み角を振巾量の小さい刃の櫛刃の挟み角より小さくすることで、微振動で枝葉の導入性の良い、振巾量の小さい刃に導入された枝葉が、振巾量の小さい刃の挟み角より小さい挟み角を有する、振巾量の大きい刃によって枝葉が逃げるのがくい止められるので、枝葉の逃げを防止できる。
【0024】
請求項5記載の発明にあっては、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の発明の効果に加えて、櫛刃の端部側の挟み角を基部側の挟み角よりも小さくすることで、枝葉の切断時に櫛刃の基部側で捕らえられた枝葉が、挟み角のより小さい端部側で枝葉が逃げるのがくい止められるので、枝葉の逃げを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の概略断面図である。
【図2】同上の上・下刃と偏芯カムブロックの連結部の概略断面図である。
【図3】同上の上・下刃と偏芯カムブロックの連結部の概略斜視図である。
【図4】同上の上・下刃の下面図である。
【図5】同上の上刃の櫛刃の形状の説明図である。
【図6】同上の上刃の櫛刃の形状の説明図である。
【図7】同上の上・下刃の動作説明図である。
【図8】従来例の上・下刃の動作説明図である。
【図9】従来例の上・下刃の動作説明図である。
【符号の説明】
1 上刃
2 下刃
Claims (5)
- 櫛状を呈し、且つ往復運動する上刃と下刃を備えたヘッジトリマーにおいて、上刃と下刃を互いに逆位相で往復駆動するように構成し、且つ上刃と下刃の振巾量が異なる量で駆動させることを特徴とするヘッジトリマー。
- 振巾量の小さい刃の櫛刃を振巾量の大きい刃の櫛刃よりも突出させることを特徴とする請求項1記載のヘッジトリマー。
- 振巾量の小さい刃を重く、又、振巾量の大きい刃を軽くしたことを特徴とする請求項1又は2に記載のヘッジトリマー。
- 振巾量の大きい刃の櫛刃の挟み角を振巾量の小さい刃の櫛刃の挟み角より小さくしたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のヘッジトリマー。
- 櫛刃の端部側の挟み角を基部側の挟み角よりも小さくしたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のヘッジトリマー。
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