JP3603400B2 - スチレン系架橋重合体粒子の製造方法 - Google Patents

スチレン系架橋重合体粒子の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はスチレン系架橋重合体粒子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
スチレン系架橋重合体粒子は、メークアップ化粧品、塗料用艶消し剤、透明性樹脂板に分散させ光拡散性を付与する光拡散剤などの使途がある。
そして、スチレン系単量体を懸濁重合、微細懸濁重合によって該架橋重合体粒子を製造方法は、広く知られている。
例えば、特開昭59−66406号公報にはスチレンを主体とする単量体、単量体に可溶性の触媒、アニオン乳化剤を含む水性分散体を均質化処理し、次いで重合させる平均粒径約3〜30μmの微細球状重合体粒子の製造方法が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
該架橋重合体粒子を光拡散剤に使用する場合、光拡散性のみならず光透過性も高くするには、透明性樹脂板の屈折率によっては、スチレン重合体の屈折率そのままでなく多少低い屈折率の方が好適な場合がある。
そこで屈折率の低い該架橋重合体粒子を得るには、スチレンの重合体より低い屈折率となる重合体をもたらす単量体との共重合すればよい。
一方、微細懸濁重合によって均一な粒径の重合体粒子を得るには、予め単量体を水性分散系に油滴として均一に分散させ、重合の進行中も凝集することなく均一に分散を維持しなければならない。
特開昭59−66406号公報に開示では、得られる重合体粒子の屈折率の選択性と粒径の均一性を両立させるには充分でない。
そこで、均一な粒径であって、しかも屈折率をある程度任意に低く設定できるスチレン系重合体粒子の製造方法を提供する。
【0004】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、スチレン系単量体50〜99重量%、25℃における溶解度パラメーターδが17〜18.5(MPa)0.5 である多官能(メタ)アクリル酸エステル系単量体1〜50重量%からなる単量体混合物、油溶性の重合開始剤およびアニオン系乳化剤を含む水性分散体を均質化処理し、次いで該単量体混合物体を重合させるスチレン系架橋重合体粒子の製造方法である。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明に用いるスチレン系単量体としては、スチレン及びスチレンの誘導体であり、スチレンの誘導体としてはクロロスチレン、ブロムスチレンのようなハロゲン化スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンのようなアルキル置換スチレンが挙げられる。上記スチレン系単量体は二種類以上併用しても良い。
該スチレン系単量体の量は、全単量体中50〜99重量%である。
【0006】
本発明における溶解度パラメーター(δ)が17〜18.5(MPa)0.5 である多官能(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、ネオペンチルグリコールジアクリレート(δ=18.04 )、ネオペンチルグリコールジメタアクリレート(δ=17.65 )、1.6−ヘキサンジオールジメタクリレート(δ=18.22 )、1.3−ブチレングリコールジメタクリレート(δ=18.14 )等のジオールジ(メタ)アクリレート:トリメチロールプロパントリメタクリレート(δ=18.37 )等の3、4官能(メタ)アクリレート等が挙げられる。 これらの単量体の二種類以上を併用しても良い。
該多官能(メタ)アクリル酸エステル系単量体の量は、全単量体中1〜50重量%である。
この量が多い程、得られる重合体粒子の屈折率が低くなる。
【0007】
本発明で言う溶解度パラメーター(δ)とは、分子の凝集エネルギー密度の平方根であり、分子間の引力の指標である。 この数値はSmall(スモール)による計算法から求められる。 該計算法は、R&Dレポート No.8「ポリマーブレンド」((株)シーエムシー 昭和54年9月28日発行)97〜99頁または、POLYMER HANDBOOK third edition(ポリマーハンドブック第3訂版)VII/524 〜VII/525 に記載されているグループモル牽引力定数(F)と単量体の比重と分子量から[数1]のごとく求めることができる。
なおδの単位は(MPa)0.5 である。
【0008】
【数1】
δ=ρΣFi /M
上記式において、ρは当該物質の比重、Fi は当該物質の1分子を形成している特定の基のモル牽引力定数、Mは当該物質の分子量である。
【0009】
溶解度パラメーターの算出例を示すと、例えば1.6−ヘキサンジオールジメタクリレートでは、上記「ポリマーブレンド」誌からF値は、CH=が190、CH−が214、=C<が19、−COO−が310、−CH−が133であるから、190×2+214×2+19×2+310×2+133×6となり2264となる。
そして、1.6−ヘキサンジオールジメタクリレートの25℃における比重は0.997 、分子量は254であるから、[数1]よりδは8.89(cal/cm0.5 となり、これを単位換算すると18.2(MPa)0.5 となる。
【0010】
この溶解度パラメーターが17〜18.5(MPa)0.5 から外れた単量体を用いると重合中に粒子同士の凝集が発生しやすく、粒子径の分布が広くなる傾向がある。
【0011】
本発明における重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物等があり、これらを単独または混合して使用することが出来る。
【0012】
これらの重合開始剤は、全単量体100重量部当たり0.2〜5重量部用いる。
【0013】
本発明におけるアニオン系乳化剤としては、例えばオレイン酸ナトリウム、ひまし油カリ石鹸などの脂肪族塩類、ラウリル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウム等の高級アルコールエステル塩類、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルアリールスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、β−ナフタリンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩類、ナフタリンスルホン酸塩類の誘導体、ジアルキルスルホコハク酸塩類、ジアルキルリン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミン類、ポリエチレンアルキルフェノールエーテル硫酸塩類が挙げられる。 この中でも高級アルコール硫酸エステルが重合がより安定するため好ましく用いられる。
【0014】
該アニオン系乳化剤の量は、一般に全単量体100重量部当たり0.1〜5重量部用いる。
乳化剤量が少なすぎると重合途中に粒子が凝集する恐れがあり、逆に多すぎると1μm未満の微細粒子の発生が多くなる。
【0015】
また、該アニオン系乳化剤の他に、分散助剤として非イオン系の乳化剤、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ソルビタンアルキルエステル等、またラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール等の高級アルコール、さらにポリビニルアルコール、メチルセルロース、ゼラチン等を加えることも可能である。
【0016】
本発明の水性分散体として、上記の単量体、重合開始剤、乳化剤に水からなる。
また必要であれば、単量体に紫外線吸収剤、染料等を含有させてもよい。
そして水と全単量体の比W/O=1〜10である。
【0017】
この水性分散体を均質化処理を行う。
該均質化処理は、ビニル単量体の微細懸濁重合で事前に行う、公知の方法がある。
すなわち、2段高圧ポンプ、コロイドミル、ホモミキサーなどの装置を用いて微細な単量体液滴を含有した懸濁液とする。
【0018】
この水性分散液中の単量体の液滴径がそのまま重合体粒子の粒子径となる。
単量体の滴径の調整はアニオン系乳化剤の使用量と、均質化のための剪断力を制御することにより、容易に達成できる。 アニオン系乳化剤の使用量が少ないほど、また均質化の剪断力が小さいほど大きな液滴となるので、数回の試行によって希望する粒子径の粒子を得ることができる。
本発明においては液滴の大きさは平均粒子径2〜20μm程度である。
【0019】
均質化処理は分散液中に重合開始剤を含有することから、重合開始剤の分解温度以下、好ましくは室温付近で処理することが望ましい。 なお均質化処理に際して、単量体はその用いる全量を均質化するのが望ましいが、その一部を均質化した後、重合過程において残部を連続的または間歇的に加えることも可能である。
【0020】
均質化処理される分散液は、通常の撹拌槽内にて重合する。
重合温度は50〜90℃とするのが適当であるので、該温度範囲において重合の行い易い重合開始剤を前述に列記した中から適宜選択して使用すればよい。
【0021】
重合完了後、重合体粒子分散液をそのまま噴霧乾燥するか、遠心分離または濾過により、重合体を単離する。 濾過に際しては重合体粒子分散液に電解質または酸を添加して塩析した後、濾過を行い重合体を分離する。
【0022】
【発明の効果】
本発明の製造方法により、粒子径分布がシャープなスチレン系架橋重合体粒子をうることが可能である。
該微粒子は、化粧品のパウダー、各種樹脂に含有させてアンチブロッキング剤、光拡散剤、艶消し剤としてさらには、塗料の艶消し剤、トナー等に好適に用いることができる。
【0023】
【実施例】
以下実施例によって本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例によってなんら制限されるものではない。尚、評価方法は次の通りである。
・平均粒子径;光回折散乱粒径測定機(日機装(株)製、マイクロトラック粒度分析計 Model 9220 FRA)で測定し、D50の値を平均粒子径とした。
【0024】
実施例1
内容積2Lのガラス容器に、イオン交換水250重量部、セチル硫酸ナトリウム0.25重量部の水相;あらかじめ調整しておいたスチレン92重量部、1.6−ヘキサンジオールジメタクリレート8重量部、ラウロイルパーオキサイド1.5重量部を仕込み、その液をホモミキサー(特殊機化工業(株)TK HOMOMIXER)により8000rpm で30分間撹拌して均質化し、続いて加熱昇温して、70℃でゆるやかに撹拌しながら3時間保持して重合を行った。 重合終了後、噴霧乾燥して屈折率1.58、平均粒子径5μmの架橋重合体粒子を得た。
【0025】
実施例2
実施例1における1.6−ヘキサンジオールジメタクリレートに代えて、ネオペンチルグリコールジメタクリレートとし、ホモミキサー回転数を4000rpm とした以外は実施例1と同様に行った。屈折率1.58、平均粒子径8μmの架橋重合体粒子を得た。
【0026】
実施例3
実施例1におけるスチレンの量を98.5重量%、1.6−ヘキサンジオールジメタクリレートの量を1.5重量%とした以外は実施例1と同様に行った。
屈折率1.59、平均粒子径4.5μmの架橋重合体粒子を得た。
【0027】
比較例1
実施例3における1.6−ヘキサンジオールジメタクリレートに代えて、エチレングリコールジメタクリレート(δ=18.86 (MPa)0.5 )とした以外は実施例1と同様に行った。得られた重合体には、直径1cm程度の凝集固形物が多数存在していた。

Claims (1)

  1. スチレン系単量体50〜99重量%、25℃における溶解度パラメーター(δ)が17〜18.5(MPa)0.5 である多官能(メタ)アクリル酸エステル系単量体1〜50重量%からなる単量体混合物、油溶性の重合開始剤およびアニオン系乳化剤を含む水性分散体を均質化処理し、次いで該単量体混合物を重合させるスチレン系架橋重合体粒子の製造方法。
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