JP3602707B2 - 動圧軸受モータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、動圧流体軸受モータに係り、より具体的には動圧流体軸受における動圧発生オイルの循環を良好ならしめ、併せて動圧発生用オイルの漏出防止に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、CD−ROM等のスピンドルモータの軸受構造として動圧流体軸受構造を用いたものがあるが、例えば、特開平8−163821号公報などに記載されたものがあった。
【0003】
上記のものはスラストプレートの上端表面にスラストカバー側へ開口する孔部を設け、シャフトの表面のうちラジアル軸受部の実質上最大動圧圧力が生成される対応部位に孔部を設け、これら孔部により連通路を構成した。またスラスト軸受部に介在される流体潤滑剤をシャフト側へ移動させるように構成した。これにより、流体潤滑剤はラジアル軸受部から連通路を経てスラスト軸受部に流通し、そしてラジアル軸受部に環流する循環路を形成していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような構成では同一部材内においてスラスト方向及びラジアル方向に環状通路を設けなければならないため、加工が非常に難しくなり、ひいてはコストアップとなってしまう。また、この環状通路の出力端・反出力端はモータ内部あるいはモータ外部に連通しているため、流体潤滑剤が軸受部以外の部分、最悪は外部へ漏出してしまう恐れがあった。
【0005】
そこで、本発明の目的は上記したような問題を解決し、簡単な構造により動圧軸受における動圧発生オイルの漏出等を防止して長期にわたって前記オイルを保持可能とすることにより高寿命で、かつ信頼性の優れた動圧流体軸受モータを提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、請求項1に示すように、有底軸受ハウジング(3)の内部に二つのスリーブ軸受(4、12)を軸方向に分離して固設し、この二つのスリーブ軸受(4、12)を介すると共に前記有底軸受ハウジング(3)の底部に配したスラスト軸受(9)を介して回転自在に支承されたシャフト(1)を有し、このシャ フトの外周面、もしくは前記スリーブ軸受の内周面のいずれか一方に動圧発生溝(1a)が形成され、かつ前記シャフトと前記スリーブ軸受との間に動圧発生オイルを介在させてなるモータの軸受構造において、前記二つのスリーブ軸受(4、12)の外周と前記有底軸受ハウジング(3)の内周の少なくとも一方に軸方向に連通するもので前記二つのスリーブ軸受(4、12)の端面まで連通する縦溝(10)が設けられ、前記二つのスリーブ軸受(4、12)間に、対向する少なくとも一つの端面に内周から外周に向かう凹部(13a)を形成したスペーサー(13)が配され、前記縦溝(10)と前記凹部(13a)を連通させることにより、前記動圧発生オイルの循環通路を構成することによって達成できる。
このようにすると、簡単な構造で動圧発生オイルの良好な循環を実現することができ、併せて動圧発生オイルの漏出等を防止して常に安定した動圧発生オイルの供給を図り、その耐久性並びに信頼性を大幅に改善することができる。
また、請求項2,3のように、前記スペーサ(13)は少なくとも一方の端面に前記凹部(13a)に連通するチャンファ面(13b)を形成した燒結金属あるいは樹脂としたものがよい。
このようにしたスペーサ(13)は、簡単に形成でき、確実に前記スリーブ軸受の位置決めができ、チャンファ面13bを通じてスペーサの端面を全周に連通するため、シャフト1とスリーブ軸受4又は12との間に介在された動圧発生オイルは上下の動圧軸受間を良好に循環させることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の第一の実施の形態におけるスピンドルモータの断面図であり、図2は図1における動圧発生オイルの循環通路の構成を示した要部断面図であり、そして、図3は図2のA−A矢視断面図である。
図1において、1は動圧発生溝1aの形成されたシャフトであり、ステータベース2に底部をかしめ等により固定され、受け板で密封した有底軸受ハウジング3の内周面に、スリーブ軸受4、12が圧入等により固定されている。
このスリーブ軸受4、12、スペーサー13及びシャフト1との間には動圧発生オイルが介在される。
シャフト1はスリーブ軸受4、12を介して回転自在に支承されている。動圧発生溝1aは、シャフト1の外周面に形成される他に、スリーブ軸受4、12の内周面に形成してもよい。また有底軸受ハウジング3の外周面にはステータコア5が固定されるようになる。
このステータコア5には複数個のコイル6が施されている。
【0008】
一方、シャフト1には圧入等によりカップ状のロータヨーク7が固定されており、このロータヨーク7の内周面にはステータコア5に所定の空隙を介してリング状のマグネット8が配されている。
このように構成されたスピンドルモータは、ステータコア5と界磁マグネット8との磁気的作用によってシャフト1が回転すると、動圧発生溝1aと動圧発生オイルとによってシャフト1とスリーブ軸受4との間には動圧が発生し、これによりシャフト振れを押さえた高精度のモータを得られる。なお9は回転軸1をスラスト方向に保持するスラスト軸受であり、有底軸受ハウジング3の内周面には軸方向に1個の縦溝10が形成されている。
【0009】
ここで、図2は、動圧発生オイルの循環通路の構成を示しており、図3は、図2の前記スペーサ13に形成したチャンファ面の位置で切断した状態で動圧発生オイルの循環通路の構成を示している。この縦溝10の形状は、図示した角形ものに限らず、後述の三角形、丸状等であってもよい。
このようにして構成された有底軸受ハウジング3の内周面にスリーブ軸受4を挿着すると、縦溝10の部分は、図2に示すように、そのまま軸方向に連通したオイル流通溝となって形成され、スリーブ軸受4の上面、12の下面、及び後述の凹部13aを伝わってオイルが循環されることになる。
【0010】
また、前記スペーサ13には端面に内周から外周に向かって連通した凹部13aと、外周部には図4に示すようなチャンファ面13bを形成し、シャフト1を支承するスリーブ軸受4とスリーブ軸受12の間に配置することにより前記縦溝10と連通することになる。
このようにすると、凹部13aと縦溝10が直接連通していなくても、前記チャンファ面13bを通じてスペーサの端面を全周に連通するため、シャフト1とスリーブ軸受4又は12との間に介在された動圧発生オイルは上下の動圧軸受間を良好に循環させることができ、これにより動圧発生オイルの潤滑性を保ち、その劣化を抑制することができる。
【0011】
図4(a)は、図1におけるスペーサ13の拡大側面図である。なお、スペーサ13の内周から外周に向かって連通した凹部13aの形状についても、図4(b)、同(c)に示すように矩形、三角形など様々な形状に変更可能である。
【0012】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、簡単な構造で動圧発生オイルの良好な循環を実現することができ、併せて動圧発生オイルの漏出等を防止して常に安定した動圧発生オイルの供給を図り、その耐久性並びに信頼性を大幅に改善することができる。
【0013】
また、スペーサ(13)は、簡単に形成でき、外周にチャンファ面を形成しておけば、このチャンファ面を利用して前記間隙と前記スペーサーの凹部を連通させることができ、互いの位置関係を考慮しなくても動圧発生オイルの潤滑性を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態のスピンドルモータの断面図である。
【図2】図1における動圧発生オイルの循環通路の構成を示した要部断面図である。
【図3】図2のA−A矢視断面図である。
【図4】図1におけるスペーサ13の拡大図である。
【符号の説明】
1 回転軸
1a 動圧発生溝
2 ステータベース
3 有底軸受ハウジング
4、12 スリーブ軸受
5 コア
6 コイル
7 ロータ
8 マグネット
9 スラストプレート
10 縦溝
13 スペーサ
13a 凹部
13b チャンファ面
Claims (3)
- 有底軸受ハウジング(3)の内部に二つのスリーブ軸受(4、12)を軸方向に分離して固設し、この二つのスリーブ軸受(4、12)を介すると共に前記有底軸受ハウジング(3)の底部に配したスラスト軸受(9)を介して回転自在に支承されたシャフト(1)を有し、このシャフトの外周面、もしくは前記スリーブ軸受の内周面のいずれか一方に動圧発生溝(1a)が形成され、かつ前記シャフトと前記スリーブ軸受との間に動圧発生オイルを介在させてなるモータの軸受構造において、前記二つのスリーブ軸受(4、12)の外周と前記有底軸受ハウジング(3)の内周の少なくとも一方に軸方向に連通するもので前記二つのスリーブ軸受(4、12)の端面まで連通する縦溝(10)が設けられ、前記二つのスリーブ軸受(4、12)間に、対向する少なくとも一つの端面に内周から外周に向かう凹部(13a)を形成したスペーサー(13)が配され、前記縦溝(10)と前記凹部(13a)を連通させることにより、前記動圧発生オイルの循環通路を構成したことを特徴とする動圧軸受モータ。
- 前記スペーサ(13)は少なくとも一方の端面に前記凹部(13a)に連通するチャンファ面(13b)を形成した燒結金属である請求項1に記載の動圧軸受モータ。
- 前記スペーサー(13)は少なくとも一方の端面に前記凹部(13a)に連通するチャンファ面(13b)を形成した樹脂からなる請求項1に記載の動圧軸受モータ。
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