JP3601821B2 - 既設分水栓の撤去方法およびこれに用いる治具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水道において長期使用した小型分水栓などの一部を撤去せずにそのまま利用することができる、新規な交換方法および装置に係り、特に従来使用されていた甲形分水栓を新たな分水栓に置換する技術に関するものである。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
従来から、水道管本管などに取り付けられた分水栓が老朽化した場合には、これを交換する工法や技術は公知である。一例として、既設の分水栓全体を覆うようなサドルを本管に取り付け、既設分水栓の横にサドル分水栓を設ける従来公知の工法がある。しかしながら、この工法によれば既設分水栓とは別に本管に対して新設分水栓用の穴を穿設しなければならず、管強度が低下するという問題がある。
【0003】
一方、別の公知技術として、既設分水栓を全部取り外し、本管に対する既設穴に対して新設のサドル分水栓を設置する工法がある。しかし、この工法では交換に要する工具が大掛かりであり、しかも既設穴の外周をトリムするので、分水栓が必要以上にサイズアップしてしまうという問題がある。また、これらの従来技術では一般的には本管の上流側を遮断して作業を行わなければならないので、上水を遮断するのが不都合の場合には適用が困難である。
【0004】
本発明は上述した従来の課題を解決しようとするもので、既設の分水栓のハウジングをそのまま利用し、弁体などの最低限必要な部分のみを交換するための撤去方法およびこれに利用するための装置を開示することを目的とするものである。なお、発明者は、既に既設の分水栓を利用して必要な部分のみを交換する技術として、特願2001−308459号の出願を行っているが、この技術では甲形分水栓の止水こまが錆や泥の付着などによって簡単に回らないことを前提としたものであるが、本発明では止水こまを比較的容易に回転させることができる場合について新規な技術を開示するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述した目的を達成するために、水道管本管の一部に設けられた既設の甲形分水栓に対して、前記既設分水栓の止めナットの中心に設けられた孔を介して棒状の治具を挿通し、前記既設分水栓の止水こまに前記治具を一体的に結合した後、前記治具を回転させて前記止水こまを下降させ、この止水こまを前記既設分水栓の下胴の弁座に着座させた後に、前記止めナットを撤去し、さらに前記既設分水栓の下胴とこれに着座した止水こまとこれを一体的に結合した前記治具のみを残して上胴を撤去し、サドル分水栓を設置後に前記止水こまを回転させて撤去するという方法的手段を用いることとした。この手段では、止水こまが下胴に対して回転可能に螺合している場合に適用できるものであって、治具は止水こまを回転させて下降させ、下胴に形成されている弁座に着座させる機能を行う。そして、止水こまが着座すれば分岐管側は確実に止水されるので、治具を止水こまに結合させた状態で下胴を除く既設分水栓の部材を撤去することができるようになる。その後の手段として、下胴のみをそのまま活用して、この下胴に組み上げることができる構成を有するサドル型分水栓に置換することによって、既設分水栓を新規な分水栓に置換する。
【0006】
次に、結合部としては、より具体的手段として、止水こまのネジとは逆方向にタップを設けるという手段を用いた。この手段においては、止水こまに対して強制的にタップによって逆ネジを切りながら確実に治具と止水こまを一体化することになる。
【0007】
また、既設分水栓の上胴に対して垂直に取り付けられ、治具の外径と一致する内径を有するガイド筒をさらに有する手段では、治具が強制的に止水こまに対して垂直に一体化されるので、作業性を向上することになる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態を、添付した図面に従って説明する。図1は甲形として知られている既設分水栓を示したもので、1は水道管の本管、2は分水栓の下胴で、本管1に設けられた穴に対してねじ込まれている。本実施形態では、交換後も下胴2は本管1に残留させて使用する。3は下胴2と螺合された上胴、4は止水のための止水こま、5は止水こま4が脱落しないように上胴3の上部に螺合された止めナット、6は止めナット5の中心に形成された孔である。7は上胴3から分岐された分岐部、8は分岐管、9は分岐部7と分岐管8を接続するためのソケット、10はソケット9を固定するための袋ナットである。なお、これらの構成は全て公知であり、本発明においては甲形分水栓、あるいは既設分水栓として表現する技術は全て上記構成のものを示している。そして、本発明の前提となる甲形分水栓は、止水こま4の状態がよく、容易に止水こま4を下降させて分岐部7を閉栓することができる場合についてのものであり、本発明はこの構成に対して適用するものである。
【0009】
続いて、図1に示した既設の分水栓を交換するための技術を順次説明する。図2では先ず止水こま4を作動させる工程を示しており、11は止水こま作動用治具である。そして、この治具11の先端には止水こま4に切られたネジと逆ネジ方向にネジを切るためのタップ12が結合部として設けられており、通常は止水こま4は右ネジなので、左ネジを切る。即ち、治具11を止めナット5の孔6に挿通して強制的に止水こま4に対してタップ12を切り込む。ここで、タップ12が設けられている理由は、既設の分水栓は交換時まで土中に埋設されているので、長期使用によって泥が付着し、さらに錆付いていることが多く、止水こま上部に設けられた角穴に合致する角軸を適合することができない場合があり、これに対して工程を簡素化するために強制的にタップを切るのがよいからである。そして、タップ12で止水こま4に左ネジを切っていくと、止水こま4は緩み方向に回転するが、止めナット5に衝突して回転を規制され、確実にタップを切ることができる。
【0010】
そして、図3に示したように治具11を右回転して止水こま4を下降させ、これによって分岐栓を止水する。この場合、止水こま4によって確実に止水が行われていればスリーブ先端からの漏水は見られないので、止水確認は容易である。
【0011】
さらに続いて、図4に示すように分水栓の下胴2だけを残留させた状態で、最初に止めナット5を緩めて取り外し、次に袋ナット10を緩めて分岐管8をソケット9ごと取り外し、さらに上胴3を下胴2の螺合を解いて撤去する。なお、撤去の順番はとくに上述した順に限定されるものではなく、スペースが許されるのであれば、分岐管8を上胴3に接続したままでこれを回転させ、一度に撤去することもある。必要なことは、止水こま4を下胴2の定位置まで確実に下降させて止水した後に、治具11を残留させたままで上胴3を含む部材を撤去することであり、部材の撤去順は必要に応じて適宜変更されることもある。なお、上述したように、下胴2はその後に設置されるサドル分水栓(図示せず)などの一部として利用される。このサドル分水栓を取り付けるのは、従来から公知の手段を用いるが、サドル分水栓の構造として、設置後に治具11を上方向に引き抜くことができる必要があるが、この条件を充足するのであれば、具体的な構造はあえて限定されるものではない。図5は上胴3を含む置換部材を全て撤去し、下胴2および止水こま4、さらに治具11のみが残留した状態を示したものである。
【0012】
なお、上述した実施形態では、止水こま撤去用治具11の結合部として、止水こま4に切られたネジと逆ネジ方向にネジを切るためのタップ12を設けた構成を説明したが、タップ12は止水こま4を確実に回転させてこれを撤去するために必要なものである。したがって、止水こま4を確実に緩み方向に回転させることができるのであれば、逆ネジが切られたタップ12に限定せず、例えば止水こま4のナット部分に対して治具11を打ち込んで止水こま4と治具11を一体化させる構成も可能である。この場合には、タップ12に代えて治具11の先端は打ち込み用のチップや、刃物部が形成されるであろう。また、治具11と止水こま4を一体化させればよいので、別の手段として両者を接着したり、溶着する構成を採用することも可能である。必要なことは、治具11と止水こま4を一体化させることであり、これを達成することができるのであれば、公知の一体化手段は本発明の範囲に含まれる。
【0013】
図6は、治具11を強制的に止水こま4に対して垂直に取り付けるためのものであり、図2の作業に至る前に一旦止めナット5を外し、この止めナット5に代えてガイド筒20を取り付けたものである。ガイド筒20は、その内径が治具11の外径に合うように設定されて、上胴3の軸心と一致するように軸を有しているので、ガイド筒20に治具11を挿通させるだけで治具11を垂直に組み立てることが可能である。このようにすれば、治具11は止水こま4に対して確実に垂直に結合することができるので、その後の作業性が向上する。
【0014】
【発明の効果】
本発明では、既設分水栓に対して結合部を有する棒状の治具を挿通し、止水こまに対して治具を一体的に結合した後、この治具を回転させて止水こまを下降させ、既設分水栓の下胴に形成された弁座に止水こまを着座させた後に、下胴および止水こまを残してそれ以外の既設分水栓の部材を撤去するという撤去方法を採用したので、既設分水栓の設置場所にそのまま新たなサドル分水栓などを取り付けることができ、本管に新たな穴をあける必要がない。したがって、本管の強度を損なうことなく分水栓を交換することが可能となった。治具の結合部の構成として、止水こまとは逆ネジのタップを形成したものは、止水こまに対してタップによって逆ネジを切るだけで治具と止水こまを一体化させることができ、作業性がよい。
【0015】
さらにまた、既設分水栓の上胴に対して垂直に取り付けることができるガイド筒を任意に備えたので、ガイド筒に治具を挿通するだけで止水こまに垂直に結合することができ、作業性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】公知の甲形分水栓が本管に取り付けられた状態を示す半截断面図
【図2】治具を取り付けた状態の半截断面図
【図3】治具を取り付けた状態で止水こまを下降させ、下胴に着座した状態の半截断面図
【図4】下胴を残留させてそれ以外の部材を撤去する状態の半截断面図
【図5】撤去完了後を示す半截断面図
【図6】ガイド筒を取り付けた状態を示す半截断面図
【符号の説明】
1 水道管の本管
2 分水栓の下胴
3 分水栓の上胴
4 止水こま
5 止めナット
6 止めナットの中心孔
7 分岐部
8 分岐管
9 ソケット
10 袋ナット
11 止水こま撤去用治具
12 タップ
20 ガイド筒
Claims (3)
- 水道管本管の一部に設けられた既設の甲形分水栓に対して、前記既設分水栓の止めナットの中心に設けられた孔を介して棒状の治具を挿通し、前記既設分水栓の止水こまに前記治具を一体的に結合した後、前記治具を回転させて前記止水こまを下降させ、この止水こまを前記既設分水栓の下胴の弁座に着座させた後に、前記止めナットを撤去し、さらに前記既設分水栓の下胴とこれに着座した止水こまとこれを一体的に結合した前記治具のみを残して上胴を撤去し、サドル分水栓を設置後に前記止水こまを回転させて撤去することを特徴とする既設分水栓の撤去方法。
- 水道管本管の一部に設けられた既設の甲形分水栓に対して、前記既設分水栓の止めナットの中心に設けられた孔を介して棒状の治具を挿通し、前記既設分水栓の止水こまに前記治具を一体的に結合した後、前記治具を回転させて前記止水こまを下降させ、この止水こまを前記既設分水栓の下胴の弁座に着座させた後に、前記止めナットを撤去し、さらに前記既設分水栓の下胴とこれに着座した止水こまとこれを一体的に結合した前記治具のみを残して上胴を撤去し、サドル分水栓を設置後に前記止水こまを回転させて撤去する分水栓の撤去方法に用いる前記治具であって、この治具の先端の結合部は、止水こまのネジとは逆方向にタップが設けられたことを特徴とする既設分水栓の撤去方法に用いる治具。
- 既設分水栓の上胴に対して垂直に取り付けられ、治具の外径と一致する内径を有するガイド筒をさらに有する請求項2に記載の既設分水栓の撤去方法に用いる治具。
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JP2002120869A JP3601821B2 (ja) | 2002-04-23 | 2002-04-23 | 既設分水栓の撤去方法およびこれに用いる治具 |
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Publications (2)
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2002
- 2002-04-23 JP JP2002120869A patent/JP3601821B2/ja not_active Expired - Lifetime
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