JP3601319B2 - 静電選別装置及び選別方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、成分の異なる2種類以上の要素物体からなる混合物を分離する静電選別装置及び選別方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ごみのリサイクルが推進されつつあり、電動機、配電盤、コピー機、およびパーソナルコンピュータ等を含むいわゆるOA機器に関しては、その小型化と軽量化が追求され続けている。その結果として、今日の製品には様々な種類の金属やプラスチック等の素材が複合されて使用されている。これらのOA機器をリサイクルする場合、まず、解体により各構成部品毎に大きく分別される。その後、粉砕機等で細かく粉砕し、磁気選別、渦電流選別等を利用して金属類を分離する。残ったプラスチック類は比重選別、溶融分離、静電選別等を利用して分離する。このように各素材は、各素材要素毎に選別され、リサイクル材として用いられる。
【0003】
また、プラスチック製品原料として消費されるプラスチック類は、塩化ビニル系樹脂(以下、「PVC」と称す)、ポリエチレン系樹脂(以下、「PE」と称す)、ポリプロピレン系樹脂(以下、「PP」と称す)、ポリスチレン系樹脂(以下、「PS」と称す)、およびメタクリル樹脂〔アクリル樹脂〕(以下、「PMMA」と称す)が全体の約80%を占め、回収される廃プラスチックもこれらの樹脂類がほとんどを占める。また、ペットボトルとして多用されるポリエチレンテレフタレート樹脂(以下、「PET」と称す)も独自に集荷されつつある。
【0004】
従来の静電選別装置においては、専ら2種類ないしそれ以上の要素の分離にそれらの要素物体の電気抵抗の差を利用するものである。すなわち、これらの混合物を回転ドラム上に供給しつつ、これに向かって直流コロナ放電を行って電荷を与え、電気抵抗の低い物体は直ちに電荷を失って重力により下方に落下し、電気抵抗の高い物体はいつまでも電荷を保持してドラムに付着するので、これを別の位置でスクレーパによりドラムから掻き取ることによって物体の分離を行うものである。しかし、このような方式は、両物体が電気抵抗に著しい差異を有するときにのみ有効であり、両物体が共に絶縁体、ないし共に導体であるときは、その有効な分別が困難である。
【0005】
プラスチック製品をリサイクルする場合、樹脂ごとに選別することが肝要であるが、これらの樹脂は絶縁体であり、上記従来の静電選別装置においては選別不可能である。そこで、これらの絶縁体を選別する技術として、特開昭57−42355号公報、特開平9−267052号公報、特開平9−299828号公報、特開平9−299829号公報、および特開平9−299830号公報等に開示されている静電選別装置がある。
【0006】
特開昭57−42355号公報および特開平9−267052号公報に記載の静電選別装置は、導電性材料により形成される板状の電極を対向配置し、電極間に直流高電圧を印加して、あらかじめ摩擦を付与して帯電させた被選別材料を帯電量に応じて分離するものである。
【0007】
また、特開平9−299828号公報、特開平9−299829号公報、および特開平9−299830号公報に記載の装置は、高電圧が印加された導電性の回転ドラムと対向電極との間に形成される静電場により、あらかじめ摩擦を付与して帯電させた被選別材料を帯電量に応じて分離するものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述したいずれの装置においても、帯電した被選別材料を分離する電極や回転ドラムなどの静電分離手段には、10〜50kV程度の高電圧が印加されているため、感電対策が必要となる。また、高電圧を印加するための電源装置が必要となるため、装置が大型化し、コストが高くなる。
【0009】
本発明において解決すべき課題は、高圧電源装置、および電極や回転ドラム等に対する感電対策を不要とし、安価で、感電の危険がない静電選別装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の静電選別装置は、成分の異なる2種類以上の要素物体からなる混合物のそれぞれの要素物体を正または負に帯電させる帯電手段と、帯電させた要素物体を摩擦により帯電させた帯電体によって分離する静電分離手段とを備えた静電選別装置であって、帯電手段には、帯電させた要素物体を静電分離手段に供給するための供給口が設けられ、該供給口が導電性材料で形成されるとともに接地され、電荷を失った金属を分離できるものである
【0011】
このような構成によれば、帯電手段により正または負に帯電させた要素物体のうち、金属は電荷を失い落下し、残りの要素物体は、摩擦により帯電させた帯電体と同じ極性のものは反発され、異なる極性のものは吸引されることになり、それぞれの要素物体に分離することができる。
【0012】
したがって、本発明によれば、静電分離手段に高電圧を印加することなく、要素物体を選別することができるため、高圧電源装置および感電対策が不要となり、安価で、感電の危険がない静電選別装置が得られる。
【0015】
【発明の実施の形態】
請求項に記載の発明は、成分の異なる2種類以上の要素物体からなる混合物のそれぞれの要素物体を正または負に帯電させる帯電手段と、帯電させた要素物体を摩擦により帯電させた帯電体によって分離する静電分離手段とを備えた静電選別装置であって、帯電手段には、帯電させた要素物体を静電分離手段に供給するための供給口が設けられ、該供給口が導電性材料で形成されるとともに接地され、電荷を失った金属を分離できるものであり、帯電手段により正または負に帯電させた要素物体のうち、金属は供給口で電荷を失い落下して分離され、摩擦により帯電させた帯電体と同じ極性のものは反発され、異なる極性のものは吸引されることになり、帯電体と異なる極性に帯電した要素物体を吸引し、帯電体と同じ極性に帯電した要素物体を反発することで分離することができる。
【0018】
請求項に記載の発明は、前記帯電体が、帯電序列で上位あるいは下位にある絶縁材料の摩擦体との摩擦で帯電する絶縁材料から構成されたことを特徴とする請求項記載の静電選別装置としたものであり、帯電序列で上位にある摩擦体との摩擦により帯電体を負に帯電させるか、あるいは帯電序列で下位にある摩擦体との摩擦により帯電体を正に帯電させる。そして、この帯電体によって、異なる極性に帯電した要素物体を吸引、あるいは同じ極性に帯電した要素物体を反発して分離することができる。
【0019】
請求項に記載の発明は、成分の異なる2種類以上の要素物体からなる混合物のそれぞれの要素物体を正または負に帯電させ、接地され導電性材料で構成された供給口によって混合物から金属の要素物体を分離し、次いで残りの帯電した要素物体を摩擦により帯電させた正または負の電荷によって吸引または反発させることにより分離することを特徴とする静電選別方法としたものであり、正または負に帯電した要素物体のうち、金属は供給口で電荷を失って落下し、帯電させた電荷と同じ極性のものは反発され、異なる極性のものは吸引されることになり、それぞれの要素物体に分離することができる。
【0020】
以下、前提となる形態1〜3について、図1〜図3を用いて説明する。
前提となる形態1
図1に示すように、前提となる形態1における静電選別装置は、主にプラスチック混合物からそれぞれのプラスチック要素物体を選別する装置であり、選別経路の上方に配置された帯電手段1と、この帯電手段1の下方に配置された静電分離手段2と、この静電分離手段2により分離した要素物体を回収する回収容器3を備えている。
【0021】
帯電手段1は、被選別材料である粉砕されたプラスチック混合物を貯蔵する貯蔵ホッパ4と、被選別材料に対して帯電序列が中間部に位置する帯電材料で内面を覆った円筒状の摩擦帯電部5と、静電分離手段2へ被選別材料を所定量ずつ供給する供給口6により構成されている。貯蔵ホッパ4から摩擦帯電部5に供給された被選別材料の要素物体9,10は、摩擦帯電部5の内面を覆った帯電材料との摩擦および要素物体同士の摩擦により帯電序列に従ってそれぞれ正および負に帯電されて、供給口6から静電分離手段2へ供給される。
【0022】
摩擦帯電部5は、混合物との間に激しい摩擦運動を行って摩擦帯電を発生するものであれば、どのような機構・形状・材料を用いてもよいが、例えば、公知のサイクロン装置、回転式分散ディスク、高速回転を行う旋回羽根等を用いることができる。サイクロン装置は、サイクロンの外筒内壁に沿って気流と共に混合物を旋回流動させることにより、混合物を摩擦帯電要素である外筒内壁に遠心力の作用により強力な摩擦相対運動を行わせるものである。回転式分散ディスクは、垂直な回転軸を有して、上向きに凹状の円錐形状を有する分散ディスクを高速回転させ、その中央に混合物を供給の上、遠心力の作用で外方に分散させて、分散ディスクの表面において、遠心力と重力の作用により強力な摩擦相対運動を行わせるものである。高速回転を行う旋回羽根は、混合物を有する容器内で、回転羽根を強力に旋回させ、これにより混合物を撹拌して摩擦帯電させるものである。
【0023】
また、この静電選別装置により有効に選別を行うためには、混合物を形成する要素物体が、摩擦帯電要素との摩擦運動により常に安定にそれぞれの要素物体に固有の極性および電荷量に帯電する必要があり、このためには、あらかじめ要素物体を所定の粒径に粉砕の上、これを充分予備乾燥して吸着水分による妨害作用を除いておく必要がある。さらに、
必要に応じて混合物体の供給経路である貯蔵ホッパ4、摩擦帯電部5、および供給口6、また、静電分離手段2の一部または全部を加熱したり、あるいは乾燥した気体(空気、窒素、炭酸ガス、これらの混合物等)を供給して湿った外気の侵入を防ぐ必要がある。また、混合物が可燃性であるときは、貯蔵ホッパ4、摩擦帯電部5、供給口6、静電分離手段2の一部または全部に不活性ガス(窒素、炭酸ガス、これらを添加した空気等)を供給して、その着火を防ぐ必要がある。
【0024】
静電分離手段2は、少なくとも摩擦面が絶縁材料で形成された1組の回転する帯電体としてのドラム7と、ドラム7の外周面に接触して摩擦によりドラム7を正または負のいずれかに帯電させる摩擦体8と、ドラム7の外周面に接触して吸着された要素物体を掻き落とすスクレーパ11により構成されている。帯電手段1によって正および負に帯電させた要素物体9,10は、ドラム7と異なる極性のものはドラム7に吸着され、同じ極性のものは反発されるため、正に帯電した要素物体と負に帯電した要素物体がそれぞれ分離されることになる。そして、ドラム7に吸着された要素物体9はスクレーパ11により掻き落とされる。
【0025】
ここで、帯電体および摩擦体8に用いる材料について説明する。帯電体および摩擦体8には全ての絶縁材料が使用できるが、摩擦体8にはこの絶縁材料に代えて、綿、綿とポリエステルなどの合成繊維などを使用することもできる。また、帯電序列で例えばPSとほぼ同じ順位に位置する銅やクロム、ニッケルなどの金属を使用することもできる。しかし、摩擦により帯電させた電荷が金属との接触により弱まるため、絶縁材料であるプラスチック材を使用するほうがよい。
【0026】
帯電体および摩擦体8に用いる絶縁材料には、例えば、PC(ポリカーボネート)、TPX(ポリメチルペンテン)、シリコーン、PP(ポリプロピレン)、PVC(ポリ塩化ビニル)、ABS(アクリロニトリルスチレンブタジエン)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PTFE(ポリテトラフロオエチレン)およびPFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)等のフッ素樹脂がある。これらを帯電序列順に並べると、正に帯電されやすい側からシリコーン→TPX→PC→ABS→PBT→PP→PVC→フッ素樹脂(PTFE,PFA等)と負に帯電されやすい側に配列される。
【0027】
摩擦体8にシリコーンを用いる場合、ドラム7を形成する絶縁材料として、摩擦体8に対して帯電序列で下位にあるフッ素樹脂(PTFE,PFA等)、PVC、PP等を使用すれば、ドラム7は負に帯電されることになり、正に帯電した要素物体を吸着し、負に帯電した要素物体を反発して分離することができる。逆に、ドラム7を形成する絶縁材料としてPCを使用し、摩擦体8にPCよりも帯電序列で下位にあるPP、PVC等を使用すれば、ドラム7は正に帯電されることになり、負に帯電した要素物体を吸着し、正に帯電した要素物体を反発して分離することができる。
【0028】
このような構成において、帯電手段1において、貯蔵ホッパ4より粉砕されたプラスチック混合物を摩擦帯電部5に供給し、帯電序列に従って要素物体のそれぞれを正および負に帯電させる。摩擦帯電した要素物体は供給口6より静電分離手段2に供給される。静電分離手段2において、摩擦体8と接触して回転させることにより正または負に帯電させたドラム7表面に、ドラム7と異なる極性に帯電した要素物体9は吸着され、スクレーパ11により掻き落とされて回収容器3bに回収される。一方、ドラム7と同じ極性に帯電した要素物体10は反発され、回収容器3aに回収される。これにより、混合物は要素物体9,10に精度よく分離され、純度の高い要素物体9,10が選別できる。このとき、帯電量の少ない要素物体9,10は両方が混ざった状態で回収容器3cに回収されるが、これを貯蔵ホッパ4に戻して再度選別することにより、さらに選別精度を上げることができる。
【0029】
なお、ドラム7は異種絶縁材料および金属製ドラムの表面に絶縁材料を貼り付けた構成でもよい。例えば、金属としてステンレス製のドラム表面にPTFEを貼り付け、摩擦体8としてシリコーン等の帯電序列で上位にあるものを使用すれば、ドラム7は負に帯電されることになる。そして、正に帯電させた要素物体を吸着し、負に帯電させた要素物体を反発して分離することができる。あるいは、金属ドラム表面にPCを貼り付け、摩擦体8としてPP等の帯電序列で下位にあるものを使用すれば、ドラム7は正に帯電されることになる。そして、負に帯電させた要素物体を吸着し、正に帯電させた要素物体を反発して分離することができる。これらの場合、金属製ドラムが接地されていると、表面に貼り付けた絶縁材料の電界が弱まるので、金属製ドラムは電気的に浮かせた状態としておくのが望ましい。
【0030】
前提となる形態2
図2に示すように、前提となる形態2における静電選別装置は、前提となる形態1と同様、選別経路の上方に配置された帯電手段1と、この帯電手段1の下方に配置された静電分離手段2aと、この静電分離手段2aにより分離した要素物体を回収する回収容器3を備えている。
【0031】
帯電手段1は前提となる形態1と同様であるから、ここでの説明を省略する。静電分離手段2aは、少なくとも摩擦面が絶縁材料で形成された無端ベルトである帯電体としてのコンベアベルト7a,7bを対向配置し、さらにコンベアベルト7a,7bのそれぞれの外周面に接触して摩擦によりコンベアベルト7a,7bを正または負のそれぞれ異なる極性に帯電させる摩擦体8a,8bと、コンベアベルト7a,7bのそれぞれの外周面に接触して吸着された要素物体を掻き落とすスクレーパ11a,11bにより構成されている。摩擦体8に用いる材料は前提となる形態1において説明した材料と同じものを用いることができる。
【0032】
帯電手段1によって正および負にそれぞれ帯電させた要素物体9,10は、それぞれの極性と異なる極性に帯電させたコンベアベルト7a,7bのいずれかに吸引され、正に帯電した要素物体と負に帯電した要素物体が分離されることになる。そして、コンベアベルト7a,7bに吸引されて、コンベアベルト7a,7bに吸着した要素物体10,9はそれぞれスクレーパ11a,11bにより掻き落とされる。
【0033】
このような構成において、帯電手段1において、貯留ホッパ4より粉砕されたプラスチック混合物を摩擦帯電部5に供給し、帯電序列に従って要素物体9,10のそれぞれを正および負に帯電させる。摩擦帯電した要素物体は供給口6より静電分離手段2aに供給される。静電分離手段2aにおいて、摩擦体8a,8bと接触して循環させることにより正および負に帯電させたコンベアベルト7a,7b表面にそれぞれのコンベアベルト7a,7bと異なる極性に帯電した要素物体10,9は吸引されて、コンベアベルト7a,7bに吸着した要素物体10,9はスクレーパ11a,11bにより掻き落とされてそれぞれ回収容器3a,3bに回収される。これにより、混合物は要素物体9,10に精度よく分離され、純度の高い要素物体9,10が選別できる。このとき、帯電量の少ない要素物体9,10は両方が混ざった状態で回収容器3cに回収されるが、第1実施の形態と同様にして選別すればよい。
【0034】
前提となる形態3
図3に示すように、前提となる形態3における静電選別装置は、前提となる形態1と同様、選別経路の上方に配置された帯電手段1と、この帯電手段1の下方に配置された静電分離手段2bと、この静電分離手段2bにより分離した要素物体を回収する回収容器3を備えている。
【0035】
帯電手段1は前提となる形態1と同様により、ここでの説明を省略する。静電分離手段2bは、前提となる形態1におけるドラム7、摩擦体8、およびスクレーパ11を第2実施の形態と同様に対向配置してドラム7c,7d、摩擦体8c,8d、およびスクレーパ11c,11dとしたものである。
【0036】
このような構成において、帯電手段1によって正および負にそれぞれ帯電させた要素物体9,10は、供給口6よりドラム7d上に供給される。ドラム7dと異なる極性に帯電した要素物体9は、ドラム7d表面に吸着され、スクレーパ11dにより掻き落とされて回収容器3bに回収される。一方、ドラム7dと同じ極性に帯電した要素物体10は、ドラム7dに反発されると共に、ドラム7cに吸引されて回収容器3aに回収される。このとき、ドラム7c表面に吸着した要素物体10は、スクレーパ11cにより掻き落とされて回収容器3aに回収される。なお、帯電量の少ない要素物体9,10は、回収容器3cに両方が混ざって回収され、これを貯蔵ホッパ4に戻して再度選別することによりさらに選別精度を上げることができる。このとき、帯電量の少ない要素物体10には、ドラム7dとの反発力だけでなく、ドラム7cによる吸引力が働くので、より精度の高い分離が可能であり、回収率も向上する。
【0037】
実施の形態1
図4に示すように、実施の形態1における静電選別装置は、前提となる形態1と同様、選別経路の上方に配置された帯電手段1と、この帯電手段1の下方に配置された静電分離手段2cと、この静電分離手段2cにより分離した要素物体を回収する回収容器3を備えている。
【0038】
帯電手段1は前提となる形態1と同様であるから、ここでの説明を省略する。静電分離手段2cは、前提となる形態2におけるコンベアベルト7a、摩擦体8a、およびスクレーパ11aを第1実施の形態と同様に1組配置してコンベアベルト7e、摩擦体8e、およびスクレーパ11eとしたものである。
【0039】
このような構成において、帯電手段1によって正および負にそれぞれ帯電させた要素物体9,10は、前提となる形態1と同様に、回収容器3a,3bに回収される。
【0040】
ところで、混合物はプラスチック−プラスチック混合物に限らず、プラスチック−金属混合物にも利用できる。この場合、供給口6は導電性材料で形成し接地しておき、摩擦帯電部5で摩擦帯電させたプラスチック−金属混合物を、供給口6より静電分離装置2に供給する。導電性材料で形成された供給口6が接地されているため、混合物中の金属粉砕物は直ちに電荷を失い電界の影響を受けずに落下し、回収容器3cに回収される。これに対し、プラスチック粉砕物は、電荷を完全に失うことなく帯電したままであり、同じ極性に帯電した帯電体2に反発されるか、もしくは異なる極性に帯電した帯電体2に吸引されて、回収容器3aもしくは3bに回収される。すなわち、プラスチックと金属に選別可能である。
【0041】
ところで、混合物が3種類以上の要素物体を含む場合は、以上において説明した静電選別装置を繰り返し混合物を通過させるか、あるいは、静電選別装置を直列に配置して通過させればよい。これにより、多種類の要素物体を含む混合物においてもそれぞれの要素物体に分離し、選別することが可能となる。
【0048】
【発明の効果】
本発明によって、以下の効果を奏することができる。
【0049】
(1)請求項1記載の発明によって、帯電後、金属は供給口で電荷を失い落下により分離され、帯電した帯電体によって異なる極性に帯電した要素物体を吸着し、同じ極性に帯電した要素物体を反発することでそれぞれの要素物体に分離することが可能となり、静電分離手段に高電圧を印加せずとも、それぞれの要素物体を選別することが可能となる。また、高圧電源装置および感電対策が不要となり、安価で、感電の危険がない静電選別装置が得られる。
【0054】
)請求項記載の発明によって、絶縁材料の帯電序列を利用して帯電体の任意の帯電量が得られ、帯電体と異なる極性に帯電した要素物体を細かく選別して確実に吸着させることができ、分離精度を向上させることができる。
【0055】
)請求項記載の発明によって、摩擦により帯電させた電荷によって異なる極性に帯電した要素物体を吸着し、同じ極性に帯電した要素物体を反発することでそれぞれの要素物体に分離することが可能となり、高電圧を印加せずとも、それぞれの要素物体を選別することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の前提となる形態1における静電選別装置の説明図
【図2】本発明の前提となる形態2における静電選別装置の説明図
【図3】本発明の前提となる形態3における静電選別装置の説明図
【図4】本発明の第実施の形態における静電選別装置の説明図
【符号の説明】
1 帯電手段
2,2a 静電分離手段
3,3a,3b,3c 回収容器
4 貯蔵ホッパ
5 摩擦帯電部
6 供給口
7 ドラム
7a,7b,7c コンベアベルト
8,8a,8b,8c 摩擦体
9,10 要素物体
11,11a,11b,11c スクレーパ

Claims (3)

  1. 成分の異なる2種類以上の要素物体からなる混合物のそれぞれの要素物体を正または負に帯電させる帯電手段と、帯電させた要素物体を摩擦により帯電させた帯電体によって分離する静電分離手段とを備えた静電選別装置であって、前記帯電手段には、帯電させた要素物体を前記静電分離手段に供給するための供給口が設けられ、該供給口が導電性材料で形成されるとともに接地され、電荷を失った金属を分離できることを特徴とする静電選別装置。
  2. 前記帯電体が、帯電序列で上位あるいは下位にある絶縁材料の摩擦体との摩擦で帯電する絶縁材料から構成されたことを特徴とする請求項記載の静電選別装置。
  3. 成分の異なる2種類以上の要素物体からなる混合物のそれぞれの要素物体を正または負に帯電させ、接地され導電性材料で構成された供給口によって前記混合物から金属の要素物体を分離し、次いで残りの帯電した要素物体を摩擦により帯電させた正または負の電荷によって吸引または反発させることにより分離することを特徴とする静電選別方法。
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