JP3356930B2 - 摩擦帯電装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、リサイクル用の粉
砕プラスチック片などを種類ごとに分別する静電選別機
の前処理に使用される摩擦帯電装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】たとえば現在製品および材料として消費
されるプラスチック類は、塩化ビニル系樹脂（以下ＰＶ
Ｃと略する）、ポリエチレン系樹脂（以下ＰＥと略す
る）、ポリプロピレン系樹脂（以下ＰＰと略する）、ポ
リスチレン系樹脂（以下ＰＳと略する）およびメタクリ
ル樹脂〔アクリル樹脂〕（以下ＰＭＭＡと略する）が全
体の約８０％を占め、回収される廃プラスチックも前記
樹脂類がほとんどを占めると考えられる。またペットボ
トルとして多用されるポリエチレンテレフタラート樹脂
（以下ＰＥＴと略する）も独自に集荷されつつある。こ
れら樹脂をリサイクルする場合、樹脂ごとに分別するこ
とが肝要であるが、その分離技術は確率されていない。

【０００３】従来、粉砕ごみを選別するものとして、た
とえば静電選別機がある。この静電選別機は、接地され
たドラム電極と、高電圧を印加された固定電極とを具備
し、回転するドラム電極上に被選別物を投入してドラム
電極と固定電極とで形成される静電場を通過させ、強く
帯電されてドラム電極側に強く吸引される絶縁体と、帯
電されずドラム電極に反発する導体と、その中間の半導
体とに分離するものである。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、絶縁体であ
るプラスチックを静電選別装置により種類ごとに分離す
る場合、その帯電列の位置により（正）に帯電されやす
いものとマイナス（負）に帯電されやすいものがある
が、これを利用して、上記静電選別機でプラスチック片
を材質別に分離する場合、ドラム電極と固定電極とで形
成される静電場では、各プラスチック片における帯電量
（圧）が極めて僅かな差であり、これを利用して選別す
るのは困難である。

【０００５】本発明のうち請求項１記載の発明は、より
効果的にプラスチック片を帯電させて静電選別機におけ
るプラスチック片の種類ごとの分離を可能とし、さらに
分離精度を向上させることができる摩擦帯電装置を提供
することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に請求項１記載の発明は、複数種類のプラスチックから
なるプラスチック片を種類ごとに分別する静電選別装置
に供給前にプラスチック片を前処理するための摩擦帯電
装置であって、一端部にプラスチック片の投入口が形成
されるとともに他端部にプラスチック片の排出口が形成
され少なくとも内面が被摩擦樹脂材で覆われた円筒状の
帯電容器と、この帯電容器内の軸心部に回転自在に配置
されて攪拌駆動装置により回転される回転軸に攪拌部材
を取り付けた攪拌摺接装置とを具備し、前記攪拌部材
は、少なくともプラスチック片との接触面が前記被摩擦
樹脂材に覆われた攪拌ブラシであるものである。また請
求項２記載の発明は、攪拌ブラシは、攪拌摺接装置の回
転軸に放射方向に植設されて被摩擦樹脂材からなる線材
により構成されたものである。さらに請求項３記載の発
明は、被摩擦樹脂材を、プラスチック片における複数種
のプラスチックの帯電列の中間順位のプラスチックとし
たものである。

【０００７】上記請求項１記載の発明によれば、帯電容
器内に供給されプラスチック片を、攪拌摺接手段により
攪拌旋回させつつ帯電容器の内面および攪拌ブラシの被
摩擦樹脂材に接触させて摩擦することにより、長時間効
果的に摺接させて帯電させることができ、静電選別機に
おける選別精度を向上させることができる。また接触さ
れる帯電容器の内面および攪拌部材の表面が絶縁体であ
る樹脂で覆われるため、帯電された電荷が逃げることも
ない。また請求項２記載の発明によれば、プラスチック
片をその材質により帯電列に応じたプラスの電荷とマイ
ナスの電荷をそれぞれ帯電させることができ、静電選別
装置による選別精度を向上させることができる。

【０００８】

【発明の実施の形態】ここで、本発明に係る摩擦帯電装
置の第１〜第４の実施の形態を図１〜図７に基づいて説
明する。

【０００９】まず第１の実施の形態を図１，図２に示
す。２は静電選別装置１に供給前にプラスチック片を前
処理するための本発明に係る摩擦帯電装置で、被摩擦樹
脂材であるプラスチックにより成形され上端部にプラス
チック片の投入口３ａが形成されるとともに下端部にプ
ラスチック片の排出口３ｂが形成された立て置きの円筒
状帯電容器３が配置され、帯電容器３にプラスチック片
を所定量ずつ供給するプラスチック片供給装置４が設け
られている。このプラスチック片供給装置４は、プラス
チック片を貯留する供給ホッパ４ａと、プラスチック片
定量ずつ切り出すスクリュフィーダ４ｂと、調整バルブ
４ｃからなり、帯電容器３の投入口３ａに接続されてい
る。

【００１０】また、この帯電容器４に設けられた攪拌摺
接装置８は、帯電容器８の軸心部に軸受を介して回転自
在に支持された垂直回転軸５と、この垂直回転軸５に出
力軸が連結された攪拌駆動装置である攪拌駆動モータ６
と、垂直回転軸５の周部で全長にわたってたとえば４５
°ごとに放射方向に取り付けられた攪拌部材である短冊
形の攪拌翼７とで構成されている。なお、この攪拌翼７
と帯電容器３は、同一種類で帯電列の中間位置の被摩擦
樹脂材により成形されている。またこの攪拌翼は軟質の
同樹脂が採用され、その幅はたとえばプラスチック片の
１辺が１０ｍｍ以下の場合には１０ｍｍとし、プラスチ
ック辺の大きさが大きくなるとその幅を広くすればよ
い。

【００１１】すなわちこの被摩擦樹脂材は、プラスチッ
ク片に帯電された電荷を逃さないために絶縁材であるラ
スチック材を採用している。また回収量が多いＰＶＣ、
ＰＥ、ＰＰ、ＰＳ、ＰＭＭＡおよびＰＥＴを帯電列順に
並べると、プラスに帯電されやすい側からＰＭＭＡ→Ｐ
Ｓ→ＰＥ→ＰＰ→ＰＥＴ→ＰＶＣ（ＰＰ→ＰＶＣ→ＰＥ
Ｔを示す別資料もある）とマイナスに帯電されやすい側
に配列される。ここで中間の順位に位置するＰＳ、Ｐ
Ｅ、ＰＰのうち、たとえばＰＰを被摩擦樹脂材として選
択し、このＰＰ製の被摩擦樹脂材を他のプラスチック片
を摩擦させると、ＰＥ＜ＰＳ＜ＰＭＭＡのプラスチック
片の順にプラスの電荷が多く帯電され、またＰＰのプラ
スチック片は帯電されにくい。さらにＰＥＴ＜ＰＶＣの
プラスチック片の順にマイナスの電荷が多く帯電され
る。このように、帯電列の中間順位のプラスチックを基
準プラスチック材として選択することにより、混在する
プラスチック片に、種類毎にプラスの電荷とマイナスの
電荷をそれぞれ帯電させるとともに、種類毎に帯電量
（帯電圧）を異ならせることができる。

【００１２】なお前記帯電容器３と攪拌翼７とは、強度
や可撓性を保証する金属材の表面に、被摩擦樹脂材を被
覆してもよい。

【００１３】上記構成において、摩擦帯電装置２のプラ
スチック片供給装置４から投入口３ａを介して帯電容器
３内に投入されたプラスチック片は、攪拌駆動モータ６
により垂直回転軸５を介して回転される攪拌翼７により
攪拌混合されて内部のプラスチック片同士および攪拌翼
ならびに帯電容器３の内面に摩擦摺接されてプラスまた
はマイナスの電荷が帯電される。そして排出口３ｂから
排出されて静電分離装置１に送られたプラスチック片
は、振動コンベヤ１ａから、電源装置１ｃから高電圧が
印加された回転ドラム電極１ｂと電極棒１ｄとの間に形
成された選別用静電場Ｓに投入され、マイナスの電荷が
帯電されたプラスチック片が正極側の回転ドラム電極１
ｂに吸着されて第１トレイ１ｅに分離され、またプラス
の電荷が帯電されたプラスチック片が回転ドラム電極１
ｂに反発されて第３トレイ１ｇに分離され、帯電されな
かった基準プラスチック材と同じプラスチック片はその
まま落下されて第２トレイ１ｆに分離されることにな
る。

【００１４】上記第１の実施の形態によれば、静電選別
機１への投入前に、摩擦帯電装置２により樹脂製の被摩
擦樹脂材およびプラスチック片同士の摩擦接触により、
短時間で効果的に帯電させ、後工程の静電選別機１にお
いて、プラスチック片の種類ごとの選別を可能とし、さ
らに選別の精度を大幅に向上することができる。

【００１５】次に第２の実施の形態を図３および図４に
基づいて説明する。なお、第１実施の形態と同一の部材
は同一符号を付し、説明は省略する。この第２の実施の
形態は、攪拌部材を攪拌翼７に代えて、被摩擦樹脂材製
の攪拌ブラシ８を採用したものである。この攪拌ブラシ
は直径１ｍｍ程度の線材を集めて、たとえば４５°ごと
に放射方向に垂直回転軸５に植設したものが使用され
る。この第２の実施の形態によれば、第１の実施の形態
と同一の効果を奏することができる。

【００１６】さらに第３の実施の形態を図５，図６に基
づいて説明する。なお、第１実施の形態と同一の部材は
同一符号を付し、説明は省略する。この摩擦帯電装置
は、帯電容器１３を横置きに配置し、プラスチック片の
送り効果を発生させるために水平回転軸１５に短冊状の
攪拌翼１７を螺旋状に取り付けたものである。この第３
の実施の形態も第１の実施の形態と同一の効果を奏する
ことができる。

【００１７】また第４の実施の形態を図７，図８に基づ
いて説明する。この第４の実施の形態は、第３の実施の
形態の攪拌翼１７を攪拌ブラシ１９に代えたもので、水
平回転軸１５に螺旋状に植設した攪拌ブラシ２８にプラ
スチック片の搬送力を持たせたものである。この第３の
実施の形態も第１の実施の形態と同一の効果を奏するこ
とができる。

【００１８】

【発明の効果】以上に述べたごとく請求項１記載の発明
によれば、帯電容器内に供給されプラスチック片を、攪
拌手段により攪拌旋回させつつ帯電容器の内面および攪
拌ブラシの被摩擦樹脂材に接触させて摩擦することによ
り、長時間効果的に摺接させて帯電させることができ、
静電選別機におけるプラスチック片の種類ごとの分別を
可能とし、その選別精度を向上させることができる。ま
た接触される帯電容器の内面および攪拌部材の表面が絶
縁体である樹脂で覆われるため、帯電された電荷が逃げ
ることもない。また請求項２記載の発明によれば、プラ
スチック片をその材質により帯電列に応じたプラスの電
荷とマイナスの電荷をそれぞれ帯電させることができ、
静電選別装置による選別精度を向上させることができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る摩擦帯電装置の第１の実施の形態
を示す構成図である。

【図２】同帯電容器の平面断面図である。

【図３】本発明に係る摩擦帯電装置の第２の実施の形態
を示す構成図である。

【図４】同帯電容器の攪拌翼を示す斜視図である。

【図５】本発明に係る摩擦帯電装置の第３の実施の形態
を示す構成図である。

【図６】同帯電容器の攪拌翼を示す斜視図である。

【図７】本発明に係る摩擦帯電装置の第４の実施の形態
を示す構成図である。

【図８】同帯電容器の平面断面図である。

【符号の説明】

１ 静電選別装置 ２ 摩擦帯電装置 ３，１３ 帯電容器 ３ａ 投入口 ３ｂ 排出口 ４ プラスチック片供給装置 ５ 垂直回転軸 ６ 攪拌駆動モータ ７．１７ 攪拌翼 ８ 攪拌摺接装置 ９，１９ 攪拌ブラシ １５ 水平回転軸

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 前畑 英彦 大阪府大阪市此花区西九条５丁目３番28 号 日立造船株式会社内 (56)参考文献 特開 平７−328482（ＪＰ，Ａ) 特開 平８−155340（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) B03C 7/00 - 7/12

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】複数種類のプラスチックからなるプラスチ
   ック片を種類ごとに分別する静電選別装置に供給前にプ
   ラスチック片を前処理するための摩擦帯電装置であっ
   て、 一端部にプラスチック片の投入口が形成されるとともに
   他端部にプラスチック片の排出口が形成され少なくとも
   内面が被摩擦樹脂材で覆われた円筒状の帯電容器と、 この帯電容器内の軸心部に回転自在に配置されて攪拌駆
   動装置により回転される回転軸に攪拌部材を取り付けた
   攪拌摺接装置とを具備し、前記攪拌部材は、少なくともプラスチック片との接触面
   が前記被摩擦樹脂材に覆われた攪拌ブラシである ことを
   特徴とする摩擦帯電装置。
2. 【請求項２】攪拌ブラシは、攪拌摺接装置の回転軸に放
   射方向に植設されて被摩擦樹脂材からなる線材により構
   成された ことを特徴とする請求項１記載の摩擦帯電装
   置。
3. 【請求項３】被摩擦樹脂材を、プラスチック片における
   複数種のプラスチックの帯電列の中間順位のプラスチッ
   クとしたことを特徴とする請求項１または２記載の摩擦
   帯電装置。