JP4719340B2 - 非金属廃棄物の分別方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、非金属廃棄物の分別方法に関するものである。特に、電線・ケーブルから生じる廃棄物のうち非金属廃棄物を材料種別ごとに分別する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、製造の際に生じる電線・ケーブルの屑や撤去された電線・ケーブルの廃棄物は、機械的に破砕(粉砕)された後、風力や流動層による比重選別により、金属材料(導体、鉄線鎧装など)と非金属材料(絶縁体、シース、介在層など)に分別され、金属材料は回収されて再利用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような粉砕−比重選別方法(ナゲットプロセス)では、分別される非金属材料に金属粉の混入が避けられず、再利用が困難であった。
【0004】
また、電線・ケーブルの被覆材料は比重がほぼ同じ物が多く、例えばポリエチレン(PE)と架橋ポリエチレン(XLPE)は約0.92で、ポリ塩化ビニル(PVC)や耐燃ポリエチレンは約1.4前後である。そのため、仮に廃棄物中から金属材料を除去できたとしても、その後に被覆材料をナゲットプロセスで材料種別ごとに分別することは不可能である。その結果、電線・ケーブルから出る非金属材料は大部分がそのまま廃棄処分されていた。
【0005】
さらに、電線・ケーブルの被覆材料として使用される架橋ポリエチレンは、架橋しているため再溶融することができない。そのため、絶縁体やシースなどに使用されているPVCやPEなどの熱可塑性ポリマーに架橋ポリエチレンが混入すると、熱可塑性ポリマーとしての再利用が阻害されることになる。
【0006】
従って、本発明の主目的は、電線・ケーブルの被覆材料を材料種別ごとに分別する方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、分別したい非金属材料を帯電させ、静電界中に導入することで上記の目的を達成する。
【0008】
すなわち、本発明分別方法は、架橋ポリエチレンを含む非金属廃棄物の粉粒体同士を摩擦帯電させる工程と、帯電させた粉粒体を搬送電極と分離電極とで形成した静電界場に搬送する工程と、分離電極と異極性に帯電した粉粒体を搬送電極表面から反発させると共に分離電極と同極性に帯電した粉粒体を搬送電極表面に吸着させて、粉粒体を構成材料種別ごとに分別する工程とを具えることを特徴とする。
【0009】
ここで、架橋ポリエチレンは、架橋の方式については問わない。非金属廃棄物は、全く金属材料を含まないものではなく、大半を非金属材料で占める廃棄物のことを言う。具体例として、電線・ケーブルの被覆材料として用いられるポリエチレン、耐燃ポリエチレン、架橋ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン等が含まれる。
【0010】
予め非金属廃棄物の粉粒体から金属材料の含有量を5wt%以下としておくことが望ましい。5wt%を越えると、静電界場での分別工程で、金属材料の導電性により分別装置自体がしばしば止まってしまい、分別効率が悪くなるからである。金属材料の除去方法は、特に手法は問わない。一般に使用されるコロナ放電方式や比重分別などを用いれば良い。
【0011】
非金属廃棄物は、予め所定の粉粒体に破砕しておくことで、円滑で連続的な分別が効率的に行える。粉粒体の好ましいサイズは、平均粒径が10mm以下である。粉粒体の大きさが10mmを越えると、粉粒体同士を摩擦帯電させることが難しく、静電界場での分別が難しくなるからである。粉粒体同士を摩擦帯電させる具体的手段としては、粉粒体を攪拌振動させることが好適である。
【0012】
搬送電極は、粉粒体を下流に送ることが容易にできるよう、ドラム状ものが好適である。分離電極は搬送電極の表面に対向して設置されておればよく、その形状は特に限定されない。
【0013】
帯電させた粉粒体を静電界場に搬送する速度は0.5〜2.0m/秒とすることが好ましい。この範囲を外れると分別精度が十分でなくなるからである。静電界強度は0.5〜10kV/cmとすることが好ましい。やはり、この範囲を外れると分別精度が十分でなくなるからである。静電界強度とは、印加電圧を分離電極と搬送電極との間隔で除した値である。
【0014】
このように、非金属廃棄物を予め帯電させ、帯電した粉粒体を静電界場に導入することで、分離電極と同極性に帯電した粉粒体と異極性に帯電した粉粒体とを容易に分離することができる。従って、比重のほぼ等しい材料でも確実な分離を行うことができ、特に電線被覆材料の再利用に有効利用できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明方法に用いる分別装置の概略図を図1に示す。この装置は、非金属廃棄物の粉粒体50が導入される振動攪拌装置1と、粉粒体の搬送路に沿って静電界場を形成する搬送電極2と分離電極3とを具える。
【0016】
電線・ケーブルの廃棄物は、予め比重分別などの公知の分別方法により、金属材料と非金属材料とに分別しておく。さらに非金属材料は、振動攪拌装置1に導入する前に、平均粒径10mm以下の粒径に破砕しておき、破砕後の粉粒体を振動攪拌装置1に導入する。振動攪拌装置1は導入された粉粒体50を混合し、粒子同士を摩擦接触させて帯電させる。図1ではプラスに帯電した粉粒体を白抜きで、マイナスに帯電した粉粒体を黒塗りで示している。
【0017】
帯電された粉粒体を、搬送電極2と分離電極3で形成される静電界場に導入する。本例では、振動攪拌装置1の排出口に供給トレー4を配置し、このトレー4を介して静電界場へ粉流体の供給を行う。
【0018】
搬送電極2は、回転ドラムで構成され、その回転数を可変することで粉粒体50の搬送速度を調整することができる。また、この回転ドラムは接地されおり、搬送電極における分離電極3とほぼ対向する位置にスクレーパー5が設置されている。
【0019】
一方、分離電極3は、搬送電極2の外周に対向して配置される板状の電極である。搬送電極2と分離電極3とで挟まれる空間が粉粒体の搬送路となる。分離電極は高圧電源6に接続されて、プラスの電圧が印加される。
【0020】
そして、搬送電極2の下方に分離回収容器7を設けておく。この容器7は、内部が3つに仕切られており、図1の右から順にマイナスに帯電した粉粒体、マイナスに帯電した粉粒体とプラスに帯電した粉粒体の混合物、プラスに帯電した粉粒体が回収されるように構成されている。容器の中間にマイナスに帯電した粉粒体とプラスに帯電した粉粒体の混合物の回収区分を設けたのは、より確実にマイナスに帯電した粉粒体とプラスに帯電した粉粒体とを分別するためである。搬送電極2の回転速度や静電界強度などによっては、上記混合物の回収区分を省略してもマイナスに帯電した粉粒体とプラスに帯電した粉粒体とを確実に分別できる場合もあるため、仕切り区分の数が3つに限定されるわけではない。
【0021】
このような装置において、搬送電極2上に帯電した粉粒体を供給すると、プラスに帯電した粉粒体は搬送電極2に吸着され、マイナスに帯電した粉粒体は搬送電極2から反発すると共に分離電極3側に引き寄せられる。そのため、マイナスに帯電した粉粒体は静電界場を通過すると直ちに接線方向に落下するのに対し、プラスに帯電した粉粒体は搬送電極2に吸着したまま搬送電極2の下部側に移行される。このとき、プラスに帯電した粉粒体はスクレーパー5により搬送電極2から掻き落とされる。その結果、マイナスに帯電した粉粒体とプラスに帯電した粉粒体とを確実に分別回収できる。
【0022】
(実験例)
図1の装置を使用して、電線・ケーブルの被覆材料からなる廃棄物の分別実験を実施した。実験に供したサンプルは表1に示す通りである。
【0023】
【表1】
【0024】
これらサンプルを破砕機により10mm以下の粉粒体として、分別実験に供した。粉粒体には実際のナゲットプロセスを想定して、粒径1mm以下の銅粉末を5wt%混入させた。分別時、粉粒体を静電界場で搬送する速度は1m/秒、分離電極への印加電圧を搬送・分離電極間の間隔で除した静電界強度は6kV/cmとした。分別実験の手順を図2のフローチャートに示す。
【0025】
まず、静電分別を1回実施することにより、「架橋ポリエチレン/ポリ塩化ビニル」と「耐燃性ポリエチレン/ポリエチレン」とに分別することができる。次いで「架橋ポリエチレン/ポリ塩化ビニル」を静電分別することによりポリ塩化ビニルが純度98.8%て回収できた。さらに残試料を静電分別することで架橋ポリエチレンが純度99.7%で分別できた。一方、「耐燃性ポリエチレン/ポリエチレン」を静電分別すると耐燃性ポリエチレンが純度95.8%で回収できた。さらにその残試料を静電分別することでポリエチレンが純度85.6%で回収できた。本実験中、混入した銅粉末により分別装置が停止することはなく連続して分別処理が行えた。
【0026】
さらに、搬送速度と静電界強度とを変化させて同様に分別を行ったところ、搬送速度:0.5〜2.0m/秒、静電界強度:0.5〜10kV/cmの範囲において精度良く分別を行うことができた。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明分別方法によれば、電線・ケーブルから生じる廃棄物のうち架橋ポリエチレンを含んだ非金属材料を、材料種別ごとに確実に分別することができる。また、金属材料が5wt%以下で廃棄物中に混じっていても、支障なく分別することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法に用いる分別装置の概略図である。
【図2】本発明方法を用いた分別試験の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 振動攪拌装置
2 搬送電極
3 分離電極
4 供給トレー
5 スクレーパー
6 高圧電源
7 分離回収容器
50 粉粒体
Claims (3)
- 絶縁性の非金属廃棄物の粉粒体同士を摩擦帯電させる工程と、
帯電させた粉粒体を搬送電極と分離電極とで形成した静電界場に搬送する工程と、
分離電極と異極性に帯電した粉粒体を搬送電極表面から反発させると共に分離電極と同極性に帯電した粉粒体を搬送電極表面に吸着させて、粉粒体を構成材料種別ごとに分別する工程とを具え、
さらに上記摩擦帯電させる工程から分別する工程までを分別単位とし、この分別単位を繰り返す繰り返し工程を具え、
第一の分別単位では、架橋ポリエチレン、耐燃ポリエチレン、ポリエチレン及びポリ塩化ビニルを含む非金属廃棄物を、架橋ポリエチレン及びポリ塩化ビニルを含む非金属廃棄物と、耐燃ポリエチレン及びポリエチレンを含む非金属廃棄物とに分別し、
第二の分別単位では、架橋ポリエチレンとポリ塩化ビニルを含む非金属廃棄物をポリ塩化ビニルと残試料αとに分別し、
第三の分別単位では、残試料αを架橋ポリエチレンと残試料βとに分別し、
第四の分別単位では、耐燃ポリエチレンとポリエチレンを含む非金属廃棄物を耐燃ポリエチレンと残試料γとに分別し、
第五の分別単位では、残試料γをポリエチレンと残試料δとに分別することを特徴とする非金属廃棄物の分別方法。 - 帯電させた粉粒体を静電界場に搬送する速度を0.5〜2.0m/秒とし、印加電圧を分離電極と搬送電極との間隔で除した値で表される静電界強度を0.5〜10kV/cmとしたことを特徴とする請求項1に記載の非金属廃棄物の分別方法。
- 非金属廃棄物おける金属材料の混入量が5wt%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の非金属廃棄物の分別方法。
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