JP4682423B2 - 静電選別装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、成分の異なる2種類以上の要素物体からなる混合物を静電気を利用して各種類ごとに分離・回収する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電動機、配電盤、コピー機、およびパーソナルコンピュータ等を含むいわゆるOA機器に関しては、その小型化と軽量化が追求され続けているが、その結果として、今日の製品には様々な種類の金属やプラスチック等の素材が複合されて使用されている。これらのOA機器類をリサイクルする場合、まず、解体によって各構成部品ごとに大きく分別された後、各構成部品を粉砕機等で細かく粉砕し、磁気選別、渦電流選別等を利用して金属類を分離する。残ったプラスチック類は比重選別、溶融分離、静電選別等を利用して分離する。このように各素材は、各素材要素毎に選別され、リサイクル材として再利用される。
【0003】
また、プラスチック製品原料として消費されるプラスチック類は、塩化ビニル系樹脂(以下、「PVC」と称す)、ポリエチレン系樹脂(以下、「PE」と称す)、ポリプロピレン系樹脂(以下、「PP」と称す)、ポリスチレン系樹脂(以下、「PS」と称す)、およびメタクリル樹脂〔アクリル樹脂〕(以下、「PMMA」と称す)が全体の約80%を占め、回収される廃プラスチックもほとんどこれらの樹脂類が占める。また、最近ではペットボトルとして多用されるポリエチレンテレフタレート樹脂(以下、「PET」と称す)も独自に集荷されつつある。
【0004】
プラスチック製品をリサイクルする場合、樹脂ごとに選別することが肝要であるが、これらの絶縁材料を選別する技術としては特開平7−178351号公報等に開示されている静電選別装置がある。
【0005】
特開平7−178351号公報に記載の静電選別装置は、一対の平行平板電極を対向配置し、直流高電圧を印加した電極間に生じた電界により、あらかじめ帯電させた被選別材料を帯電の有無及び帯電電荷の種類に応じて分離するものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
図9は従来の技術における静電選別装置の説明図である。帯電部1で被選別材料である要素物体2a,2bはそれぞれ負,正に帯電し、対向配置された一対の平板電極3a,3b間に導入される。負に帯電した要素物体2aは電極3a,3b間に生じる電界により電極3a(+極)に引き寄せられながら落下し、正に帯電した要素物体2bは電極3b(−極)に引き寄せられながら落下し、それぞれ回収容器4a,4bに回収される。
【0007】
しかしながら、上述した装置においては、要素物体2a,2bの水平方向の移動距離が電極3a,3bの電極間隔だけに制限されるので、充分な分離精度(回収率,純度)が得られない。また、強く負に帯電した要素物体は、例えば、図中の要素物体2cのように、電極3aに衝突した後その衝撃で跳ね返り、本来は回収容器4aに回収されるべきものが回収容器4bに回収されることがあり、分離精度が低下する要因となっている。
【0008】
同様に、強く正に帯電した要素物体(図示せず)も電極3bに衝突した後、その衝撃で跳ね返り回収容器4aに回収されてしまう。これを解決するためには、電極3a,3bの電極間隔を広げて配置すればよいが、その場合電極間に生ずる電界が小さくなるため、要素物体2a,2bがそれぞれ電極3a,3bに引き寄せられる力が小さくなり分離精度が却って悪化することがある。また、電極3a,3bの電極間隔を広げるとともに印加電圧を大きくすることもできるが、高出力の電源装置が必要になり、装置が大型化するという問題が生じる。
【0009】
本発明において解決すべき課題は、比較的小さな印加電圧で高い分離精度を発揮する静電選別装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の静電選別装置においては、静電分離部が複数対の対向する平行電極からなり、要素物体の落下方向に沿って平行電極の間隔を広げて配置するとともに、前記平行電極間に印加する印加電圧を前記要素物体の落下方向に沿って高くすることにより、電極間隔で要素物体の移動距離が制限されることがないため、比較的小さな印加電圧でも高い分離精度を発揮する静電選別装置が得られる。
【0011】
また、静電分離部に配置された電極に要素物体が通り抜け可能な空間を設けることによって電極への衝突頻度を減少させたり、電極表面に導電性のクッション材を設けて衝突の衝撃を吸収させることによっても分離精度の高い静電選別装置が得られる。
【0012】
【発明の実施の形態】
請求項1に記載の発明は、成分の異なる2種類以上の要素物体からなる混合物のそれぞれの要素物体を正または負に帯電させる帯電部と、帯電させた要素物体を電界内に導入し帯電の有無及び帯電電荷の種類に応じて分離する静電分離部と、静電分離部の下方に配置された複数の回収容器とを備えた静電選別装置において、静電分離部が複数対の対向する平行電極からなり、要素物体の落下方向に沿って各々の対向する平行電極の間隔を広げて配置とともに、前記平行電極間に印加する印加電圧を前記要素物体の落下方向に沿って高くしたものであり、帯電した要素物体は電界の大きい(電極間隔が小さいため)1対の平行電極間に導入され強く電極方向へ引き寄せられながら落下する。次に、上記平行電極よりも広い間隔を持つ1対の平行電極間に自由落下し、さらにそれぞれの電極方向へ引き寄せられる。このように、要素物体の落下方向に沿って複数対の平行電極を間隔を広げて配置することにより、要素物体の水平方向の移動距離が電極間隔で制限されることがなく、また、比較的小さい印加電圧で高い分離精度を発揮する静電選別装置が得られる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、静電分離部に配置された電極が要素物体が通り抜け可能な空間を有することを特徴とするものであり、それぞれの電極に引き寄せられた要素物体が前記空間を通り抜けるため、電極に衝突して反対側の回収容器に回収される要素物体が減少し、分離精度を向上させることができる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、静電分離部に配置された電極の表面に導電性のクッション材を設けたことを特徴とするものであり、電極に衝突した要素物体の衝撃がクッション材で吸収されることにより、衝突の反動で要素物体が反対側の回収容器側に飛ばされることがなくなるため、分離精度を向上させることができる。
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図7を用いて説明する。なお、これらの図中においては、同一部品には同一の符号を付している。
【0016】
(実施の形態1)
図1の本発明の第1実施の形態における静電選別装置の説明図に示すように、実施の形態1における静電選別装置は、被選別材料である粉砕された2種類以上のプラスチック粉砕物が混在するプラスチック混合物からそれぞれのプラスチック要素物体を種類別に分離・回収する装置であり、帯電部1と静電分離部(電極3a〜3f)と回収容器(4a〜4c)で構成されている。
【0017】
静電分離部は、金属製の平行平板電極3aと3b,3cと3d及び3eと3fをそれぞれ一対として対向配置し、電極3aと3bの間隔よりも電極3cと3dの間隔を広く、電極3cと3dの間隔よりも電極3eと3fの間隔が広くなるように配置している。電極3a,3c,3eには正の電圧を印可し、電極3b,3d,3fは接地してある。
【0018】
まず、被選別材料である要素物体2a,2bは帯電部1内で摩擦帯電によりそれぞれ負,正に帯電し、対向配置された一対の平行平板電極3a,3b間に導入され、負に帯電した要素物体2aは電極3a(+極)に引き寄せられ、正に帯電した要素物体2bは電極3b(−極)に引き寄せられる。さらに要素物体2aは自由落下しながら電極3c,3eに引き寄せられ、要素物体2bは電極3d,3fに引き寄せられ、それぞれ回収容器4a,4bに回収される。また、帯電量の少ない要素物体2a,2bは両方が混ざった状態で回収容器4cに回収されるが、これを帯電部1に戻して再度選別することにより、さらに選別精度を上げることができる。なお、ここでは対向する平行平板電極を、要素物体2a,2bの自由落下方向に沿って3段、合計3対配置したが、さらに平行平板電極数を増やして配置することもできる。
【0019】
また、帯電部1には、混合物との間に激しい摩擦運動を行って摩擦帯電を発生するものであればどのような機構・形状・材料を用いてもよいが、例えば、公知のサイクロン装置、回転式分散ディスク、あるいは高速回転を行う旋回羽根等を用いることができる。サイクロン装置は、サイクロンの外筒内壁に沿って気流と共に混合物を旋回流動させることにより、混合物を摩擦帯電要素である外筒内壁に遠心力の作用により強力な摩擦相対運動を行わせるものである。回転式分散ディスクは、垂直な回転軸を有して、上向きに凹状の円錐形状を有する分散ディスクを高速回転させ、その中央に混合物を供給の上、遠心力の作用で外方に分散させて、分散ディスクの表面において、遠心力と重力の作用により強力な摩擦相対運動を行わせるものである。高速回転を行う旋回羽根は、混合物を有する容器内で、回転羽根を強力に旋回させ、これにより混合物を攪拌して摩擦帯電させるものである。
【0020】
また、本発明の静電選別装置により有効に選別を行うためには、混合物を形成する要素物体が、摩擦帯電要素との摩擦運動により常に安定にそれぞれの要素物体に固有の極性および電荷量に帯電する必要があり、このためには、あらかじめ要素物体を所定の粒径に粉砕の上、これを充分予備乾燥して吸着水分による妨害作用を除いておく必要がある。
【0021】
第1実施の形態では帯電した要素物体2a,2bがまず電界の大きい(電極間隔が小さいため)1対の電極3a,3b間で強く電極方向へ引き寄せられながら落下し、さらに電極3c,3d間、電極3e,3f間でそれぞれの平板電極へ引き寄せられていくため、水平方向の移動距離が電極間隔で制限されることがなく、また、比較的小さな印加電圧で高い分離精度を発揮する静電選別装置を得ることができる。
【0022】
(実施の形態2)
図2の本発明の第2実施の形態における静電選別装置の説明図に示すように、第2実施の形態における静電選別装置は、第1実施の形態と同様に帯電部1と静電分離部(電極3a〜3f)と回収容器(4a〜4c)で構成されており、静電分離部の電極配置及び回収容器も第1実施の形態と同様のため、ここでの説明を省略する。
【0023】
静電分離部は、平板電極3a,3c,3eにはそれぞれ別の高圧電源装置より正の電圧を印可し(平板電極3b,3d,3fは接地)、印加電圧は各電極間に発生する電界E1,E2,E3が等しくなるようにする。つまり電極3cと3dの間隔が電極3aと3bの間隔の2倍であれば、電極3cに印加する電圧を電極3aに印可する電圧の2倍にすればよい。
【0024】
まず、被選別材料である要素物体2a,2bは帯電部1内で摩擦帯電によりそれぞれ負,正に帯電し、対向配置された一対の平板電極3a,3b間に導入され、第1実施の形態と同様にそれぞれ回収容器4a,4bに回収される。また、帯電量の少ない要素物体2a,2bも両方が混ざった状態で回収容器4cに回収されるが、第1実施の形態と同様にして選別すればよい。
【0025】
同一電圧で電極間隔を広げていくと電極間に生ずる電界は小さくなるが、ここでは電界E1,E2,E3が等しくなるような電圧を印可してあり、要素物体2a,2bは電極3a,3b間、電極3c,3d間、電極3e,3f間で同じ力で引き寄せられるため、第1実施の形態よりさらに分離精度を向上させることができる。
【0026】
また、ここでは各電極間に発生する電界E1,E2,E3が等しくなるようにしたが、電界E1,E2,E3を順に大きくするような電圧を印可することもでき、対向平板電極の数を増やして配置することもできる。
【0027】
(実施の形態3)
図3の本発明の第3実施の形態における静電選別装置の説明図に示すように、第3実施の形態における静電選別装置は、帯電部1と静電分離部(電極3a,3b)と回収容器(4a〜4c)で構成されている。
【0028】
まず、要素物体2a,2bは帯電部1内でそれぞれ負,正に帯電し、対向配置された一対の電極3a,3b間に導入され、負に帯電した要素物体2aは電極3a(+極)に引き寄せられ、正に帯電した要素物体2bは電極3b(−極)に引き寄せられ、それぞれ回収容器4a,4bに回収される。また、帯電量の少ない要素物体2a,2bも両方が混ざった状態で回収容器4cに回収されるが、第1実施の形態と同様にして選別すればよい。
【0029】
ここで図4は本発明の第3実施の形態における電極構造の概略図で、第3実施の形態における電極3a,3bの構造を示したものであるが、要素物体2a,2bの粒径よりも大きな空間を持つ金網状で、金網の4辺を同一素材の薄板で固定し電極の変形を防止するような構造になっている。
【0030】
例えば、強く負に帯電した要素物体2cは電極3aに強く引き寄せられて電極表面まで到達した後、空間を通過して回収容器4aに回収されるため、電極3aに衝突した衝撃で跳ね返り回収容器4bに誤って回収されることが殆どなくなり、分離精度が向上する。また、強く正に帯電した要素物体(図示せず)も同様に電極3bの空間を通過して回収容器4bに回収される。
【0031】
なお、電極3a,3bの構造は要素物体2a,2bが通りぬけるような空間を有する構造であればよく、例えば図5の本発明の第3実施の形態における別の電極構造の概略図に示すように複数の棒状金属を要素物体2a,2bが通り抜け可能な間隔を空けて配列したものでも同様の効果が得られる。
【0032】
(実施の形態4)
図6の本発明の第4実施の形態における静電選別装置の説明図に示すように、第4実施の形態における静電選別装置は、電極以外の部材については第3実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
【0033】
図7は第4実施の形態における電極構造を示したものであるが、金属製の平板電極3a,3bが対向する側の表面に導電性のクッション材5a,5bを設けている。これにより、例えば強く帯電した要素物体2cが電極3aに衝突したとき、その衝撃はクッション材5aで吸収されるため回収容器4bまで跳ね返らず回収容器4aに回収され、また、強く正に帯電した要素物体(図示せず)も同様にクッション材5bで衝突の衝撃が吸収され回収容器4bに回収される。
【0034】
なお、平板電極3a,3b表面に設けるクッション材5a,5bは、導電性を付与しかつ衝突の衝撃を吸収するものであればどのような材料を用いてもよいが、例えば、シリコーンゴムやフッ素ゴムもしくはスポンジ状の樹脂等を用いることができる。
【0035】
【実施例】
次に、本発明の具体例を説明する。
【0036】
(実施例1)
図1に示す第1実施の形態の静電選別装置において、粒径7mm以下に粉砕したカルプ工業株式会社製 品番8400RのPP(ポリプロピレン)に東芝シリコーン株式会社製 品番TSE397のシリコーンが20%混入した混合物の分離実験を実施した。
【0037】
まず、PP粉砕物、シリコーン粉砕物の混合物をABS(アクリロニトリルスチレンブタジエン)で内面を覆った帯電部1内でABS製とした羽根で攪拌し、帯電序列に従ってPP粉砕物を負、シリコーン粉砕物を正に帯電させ、対向する平行平板電極3a,3b間に導入する。
【0038】
次に、負に帯電したPP粉砕物2aは電極3a(+極)に引き寄せられ、正に帯電したシリコーン粉砕物2bは電極3b(−極)に引き寄せられる。さらにPP粉砕物2aは自由落下しながら電極3c,3eに引き寄せられ、シリコーン粉砕物2bは電極3d,3fに引き寄せられ、それぞれ回収容器4a,4bに回収される。このとき、帯電量の少ないPP粉砕物2a,シリコーン粉砕物2bは両方が混ざった状態で回収容器4cに回収されるが、これを帯電部1に戻して再度選別を実施する。
【0039】
ここで静電分離部は、横30cm,縦15cm,厚み3mmのステンレス製平板電極3a,3bを電極間隔が10cmになるように対向配置し、電極3a,3bの下方に同寸法の電極3c,3dを電極間隔20cmで対向配置し、さらに電極3c,3dの下方に同寸法の電極3e,3fを電極間隔30cmで対向配置した構成になっている。平板電極3a,3c,3eには同一の高圧電源装置から+20kVを印可し、平板電極3b,3d,3fは接地してある。
【0040】
(実施例2)
図2に示す第2実施の形態の静電選別装置において、ステンレス製平板電極3a,3c,3eには個別の高圧電源装置によりそれぞれ+20,40,60kVを印可し、電極2a,2b間、電極2c,2d間、電極2e,2f間に発生する電界E1,E2,E3が等しくなるようにした。分離サンプルや帯電部及び回収容器等は実施例1と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0041】
また、回収容器4cに回収された帯電量の少ないPP粉砕物2a,シリコーン粉砕物2bの混合物は実施例1と同様に帯電部1に戻して再度選別を実施した。
【0042】
(実施例3)
図3に示す第3実施の形態の静電選別装置において、一対の電極3a,3bを間隔20cmで対向配置し、電極3aには高圧電源装置より+40kVを印可し、電極3bは接地してある。
【0043】
ここで電極3a,3bは図4に示すような構造であり、寸法横30cm,縦45cmで、線径1mm,目開き20mmのステンレス製金網を用いた。分離サンプルや帯電部及び回収容器等は実施例1と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0044】
強く負に帯電したPP粉砕物2cは電極3aに強く引き寄せられて電極3a表面まで到達し、ステンレス製金網の空間を通過して回収容器4aに回収される。また強く正に帯電したシリコーン粉砕物(図示せず)も、同様に電極3b表面のステンレス製金網の空間を通過して回収容器4bに回収される。
【0045】
また、回収容器4cに回収された帯電量の少ないPP粉砕物2a,シリコーン粉砕物2bの混合物は実施例1と同様に帯電部1に戻して再度選別を実施した。
【0046】
(実施例4)
図6に示す第3実施の形態の静電選別装置において、一対の平行平板電極3a,3bを間隔20cmで対向配置し、電極3aには高圧電源装置より+40kVを印可し、電極3bは接地した。
【0047】
ここで電極3a,3bは寸法横30cm,縦45cmのステンレス製で、図7に示すように電極3a,3bが対向する側の表面に導電性のクッション材5a,5bを設けている。導電性のクッション材5a,5bには、ダイキン工業株式会社の商品名ダイエルラテックスGL−252に平均粒径0.5μmのカーボン40%添加したフッ素ゴムを300μmの厚さで電極表面に塗布した。分離サンプルや帯電部及び回収容器等は実施例1と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0048】
強く帯電したPP粉砕物2cは、電極3aに衝突したときの衝撃がクッション材5aで吸収され回収容器4bまで跳ね返らずに回収容器4aに回収される。また、強く正に帯電したシリコーン粉砕物(図示せず)も同様にクッション材5bで衝突の衝撃が吸収され回収容器4bに回収される。
【0049】
また、回収容器4cに回収された帯電量の少ないPP粉砕物2a,シリコーン粉砕物2bの混合物は実施例1と同様に帯電部1に戻して再度選別を実施した。
【0050】
(実施例5)
実施例5は、図4で示した金網状の電極を、図1に示した第1実施の形態の電極3a〜3fに用いて分離実験を行った。
【0051】
ここで金網状の電極は線径1mm,目開き20mmのステンレス製金網を用い、電極寸法及び配置等その他は実施例1と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0052】
(比較例1)
比較例1は図9の従来の技術と基本的に同じ構成であり、一対の平行平板電極3a,3bを間隔20cmで対向配置し、電極3bには高圧電源装置より−40kVを印可し、電極3aは接地してある。電極3a,3bはステンレス製の平板で寸法は横30cm,縦45cmのものを用いた。
【0053】
また、回収容器は実施例1と同様に回収容器4cも設置し、回収容器4cに回収された帯電量の少ないPP粉砕物2a,シリコーン粉砕物2bの混合物は帯電部1に戻して再度選別を実施した。
【0054】
本比較例では電圧印可は電極3bであり上記実施例の電極3aとは逆になっているが、印加電圧の極性も逆になっているため、PP粉砕物2a,シリコーン粉砕物2bは上記実施例と同じ回収容器に回収される。また、分離サンプルや帯電部及び回収容器等は実施例1と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0055】
図8に実施例1〜5及び比較例1の分離試験結果図を示す。
【0056】
なお、ここで回収率が100%になっていないが、これは回収容器4cに回収されたPP粉砕物とシリコーン粉砕物を再分離しても回収容器4cに回収されるものが存在するためである。
【0057】
実施例1〜5の実験結果において、回収率,純度に差があるものの、PP粉砕物では回収率が9〜20%,純度が4〜12%、シリコーン粉砕物でも回収率が5〜18%,純度が4〜9%、比較例1の結果よりも向上することを確認した。
【0058】
【発明の効果】
本発明によって、以下の効果を奏することができる。
【0059】
(1)請求項1記載の発明によって、複数対の対向する平行電極を要素物体の落下方向に沿って間隔を広げて配置するとともに、前記平行電極間に印加する印加電圧を前記要素物体の落下方向に沿って高くすることにより、要素物体の水平方向の移動距離が電極間隔で制限されることがないため分離精度を向上させることができる。また、要素物体は最初に電極間隔が狭い、つまり電界の強い電極間に導入されるため比較的小さい印加電圧でも高い分離精度を得ることができる。
【0060】
(2)請求項2記載の発明によって、電極に要素物体が通り抜け可能な空間を設けることにより、電極に引き寄せられた要素物体が前記空間を通り抜けできるため、電極に衝突して反対側の回収容器に回収される要素物体が大幅に減少し、分離精度を向上させることができる。
【0061】
(3)請求項3記載の発明によって、電極表面に導電性のクッション材を設けることにより電極に衝突した要素物体の衝撃はクッション材に吸収され、衝突の反動で反対側の回収容器側に飛ばされることがなくなるため、分離精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施の形態における静電選別装置の説明図
【図2】本発明の第2実施の形態における静電選別装置の説明図
【図3】本発明の第3実施の形態における静電選別装置の説明図
【図4】本発明の第3実施の形態における電極構造の概略図
【図5】本発明の第3実施の形態における別の電極構造の概略図
【図6】本発明の第4実施の形態における静電選別装置の説明図
【図7】本発明の第4実施の形態における電極の構成図
【図8】実施例1〜5及び比較例1の分離試験結果図
【図9】従来の技術における静電選別装置の説明図
【符号の説明】
1 帯電部
2a PP粉砕物
2b シリコーン粉砕物
2c PP粉砕物
3a,3b,3c,3d,3e,3f 電極
4a,4b,4c 回収容器
5a,5b クッション材
Claims (3)
- 成分の異なる2種類以上の要素物体からなる混合物のそれぞれの要素物体を正または負に帯電させる帯電部と、帯電させた前記要素物体を電界内に導入し帯電の有無及び帯電電荷の種類に応じて分離する静電分離部と、前記静電分離部の下方に配置された複数の回収容器とを備えた静電選別装置において、前記静電分離部が複数対の対向する平行電極からなり、前記要素物体の落下方向に沿って前記平行電極の間隔を広げて配置するとともに、前記平行電極間に印加する印加電圧を前記要素物体の落下方向に沿って高くすることを特徴とする静電選別装置。
- 前記静電分離部に配置された電極は、前記要素物体が通り抜け可能な空間を有することを特徴とする請求項1に記載の静電選別装置。
- 前記静電分離部に配置された電極の表面には、導電性のクッション材を設けたことを特徴とする請求項1に記載の静電選別装置。
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