JP3600921B2 - 除雪方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、民生、運輸および産業用施設の雪害を軽減する目的で利用される除雪方法に係る。
【0002】
【従来の技術】
積雪地帯の民生用施設においては生活通路確保のための除雪、運輸施設においては路面の除雪、また大型産業施設においては建屋屋根の除雪が行われている。こうした除雪作業は、除雪車の走行できる道路以外は概ね人的負担に負うところが大きい。
北海道の都市部では、発熱体を地中に埋設した融雪歩道が広く利用されており、また東北、北陸、山陰地方では、路面に地下水や河川水を散水して融雪を行なうのが一般的な手法である。他に、屋根瓦の裏面に発熱体を貼り付けて積雪面を加熱したり、フィルムヒーターをシート表面に貼り付けシートを発熱体として使用する融雪シートも開発されている。特殊な例として、太陽熱集熱パネルを設置しておき、積雪に際しパネルに温水を流し放熱融雪装置として利用する方法、あるいはヒートパイプを使用して融雪する方法が実施されている。
前述した各種方法のうち、散水方式は比較的簡単に採用できるため様々な形態で広く利用されているが、以下のような欠点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
民生用施設における生活通路確保のための除雪に散水方式を取り入れる場合、散水した水そのものによる歩行面の氷結を防ぐために充分な水量を確保しなくてはならない。また、散水歩行面がぬかるむことのないようコンクリート地、アスファルト地、砂地の歩道を造成しておかなくてはならず、地肌が土であることの多い民生用施設では普及技術とは言いがたい。運輸施設、業務施設での散水技術の利用は、豊富な水量の地下水を利用できることが条件とされ、条例により揚水に制限のある地区では還元井を併設しなくてはならない。また、サッカー場、野球場等の野外リクレェーション施設では、雪解けを持って使用を再開するのが通例である。屋外ゴルフ練習場では、ショットした多数のゴルフボールがすべて雪に埋まり回収不能となるため冬期の営業は行われていない。
本発明の目的は、非常に単純な構造をした安価なシートを使用し、比較的少量の水等の搬送流体を平面流下させることで雪の堆積する露出部をなくし、効果的な除雪を行なえる除雪方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前述した課題を解決するため、本発明による除雪方法は、間隔を開けて配列した液体含浸保有量の少ない主要流下経路と、これら主要流下経路の側部に位置する液体含浸保有量の大きな副流下経路とを有し、主要流下経路が吸液素材の流下方向に沿って経路表面を滑る露出した主流を形成し、副流下経路が主流の側部に主流よりも比較的流量の少ない副流を形成するような吸液素材が用いられる。この吸液素材により本来雪の堆積する歩行面、路面、運動グラウンド等の積雪面を覆う一方、この吸液素材の前記流下経路の上流側の端部を持ち上げた状態に、また吸液素材の下流側の端部を下げた状態に支持することにより吸液素材の上流側の端部から下流側の端部に至る湾曲したスロープ面を形成し、吸液素材の前記上流側の端部に融雪の呼び水となる比較的少量の熱媒体を供給し、前記流下経路に含浸した状態でスロープ面に沿って急速に流下させ、熱媒体の一部を降雪粒子に吸収させて雪シャーベットを形成する一方、この雪シャーベットを吸液素材のスロープ面に沿って滑り落下させることにより吸液素材で覆われた表面に雪が堆積するのを阻止するようにして行われる。
【0005】
【作用】
任意の熱媒体供給手段から、例えば、地下水、河川水、工業用水、水道水、溜置き雨水、防火用水等の熱媒体(または搬送流体)が供給される。
吸液素材は流速に強弱のある並列した流下経路を形成している。この任意の幅の流下経路に沿って熱媒体は流下していく。吸液素材は液体含浸保有量の少ない主要流下経路と、この主要流下経路の側部に位置し液体含浸保有量の大きな副流下経路からなり、主要流下経路を流下する熱媒体の主流の側部に副流が配置され、主流と副流が交互に並び流下方向を規正された状態で熱媒体は流れていく。
【0006】
主要流下経路は液体含浸保有量が少ないため、吸液素材の流下方向に沿って経路表面を滑る露出した主流を形成し、また液体含浸保有量が大きい(または流下抵抗の大きな液体吸収性に富む)副流下経路により、主流の側部に主流よりも比較的流量の少ない流速の遅い副流が形成される。
主要流下経路の方が副流下経路に比べて流下速度が速いため、これら経路の境界に沿って流れの方向が規正され、また吸液素材に付着した熱媒体は平面的に広がり、吸液素材の境界域内に所望の熱量を保有する平面放熱体が形成される。
【0007】
吸液素材の表面に落下する降雪粒子は流下する熱媒体の一部を吸収し、雪シャーベット状になる。熱媒体の供給側に位置する吸液素材の部分は排出側の部分よりも高い位置まで持ち上げた状態に支持されているため、比較的少量の熱媒体であっても経路に沿って急速に流下し、雪シャーベットは経路に沿って滑り落ちるようになる。
熱の供給を受けて雪から解け出した水も吸液素材が保持し、この融雪水の持つ熱も雪の融雪に利用辛れ、熱媒体と雪との間に効率のよい熱交換が行われる。
【0008】
吸液素材の表面は平面的に流体に覆われ雪の堆積する面は露出せず、またシャーベットが一カ所に止まりにくくなる。吸液素材の露出面またはシャーベット上に新たな雪が堆積し、この堆積した雪がシートを撓み変形させて搬送流体の規則性を乱すことがなく、除雪シートはその自己の表面積の範囲内において常に確実な除雪機能を果たすことができる。
【0009】
吸液素材はその全面に主流と副流が存在し各々が流下方向を規正する作用を個別に果たしているため、素材面積は自由に設定でき、素材の流下経路を延長し横幅を大きくとることができる。
【0010】
【実施例】
図1は、民生用施設における生活通路確保のための除雪方法の一例を示す斜視説明図である。説明の便宜上、民家に適用した場合を想定して本発明の除雪方法の一例を説明する。
この除雪方法に用いられる吸液素材1は流下経路に沿って両側の端部を保持手段により支持固定され、熱媒体の流下する湾曲したスロープ面2を形成している。スロープ面2は軒下から垂れ下がる傾斜の急な部分から緩やかな傾斜の部分まで連続した流下経路を形成しており、この流下経路に沿って流下する熱媒体は、傾斜の急な部分により加速され、緩やかな傾斜の部分を急速に流下する。
【0011】
前記保持手段は、建屋Bの出入口Eの前方軒下に設置されたハンガー3aと、建屋Bの出入口Eより前方に配置された掛止めワイヤ3bから構成されている。これらハンガー3aと掛止めワイヤ3bを用いて吸液素材1は両端を保持され、建屋玄関から前方に歩行路に沿って張り渡され、吸液素材1の下側に雪が直接堆積するのを阻止するようにして用いられる。
【0012】
吸液素材1の上流側の端部には、搬送流体としての性格を持つ熱媒体を供給する熱媒体供給手段が取り付けられている。図2に示す例では、熱媒体供給手段はノズルパイプ4から構成され、このノズルパイプ4は吸液素材1の前記上流側の端部に予め用意されたトンネル状の袋部分1cに差し込まれ、ノズルパイプの両端を前記ハンガー3aに載せることにより吸液素材1の上流側の端部を固定支持することができる。ノズルパイプ4は両端に矩形断面部4aを備え、矩形断面部4aとハンガー3aの内壁3a’は互いに係合して両者は相対的に回転することがない。これに対し、前記吸液素材のトンネル状の袋部分1cとノズルパイプ4は互いに固定されておらず、トンネル状の袋部分1cはノズルパイプ4の軸線を中心としてノズルパイプの表面に沿って滑り運動することができる。
前記保持手段および熱媒体供給手段の構成要素は、別段、前述したものに限定されるわけではない。例えば、複数の掴みクランプからなる保持手段を用いて吸液素材の上流側または下流側の端部を固定保持することもできる。固定に際し、バックルを介在させて吸液素材の張付け具合を調整する操作を加えることもできる。また、熱媒体の供給方法は自由に選択ができる。例えば、スプレーを用いて熱媒体を散布するようにしてもよい。
【0013】
前記ノズルパイプ4は間隔を置いてノズル4bを備え、図2に示す例では、このノズル4bは吸液素材に向けて斜め下向きに配置され、降雪粒子が直接にノズル4bに積もらないように配慮してある。このようにノズルを配置しておけば、熱媒体の放出流量の多少にかかわりなく、またノズルからの放出方向が不揃いであっても所定の流下経路が熱媒体を直接受け取ることができ都合がよい。
【0014】
図3は、吸液素材1の下流側の端部の固定例を示している。前述した掛止めワイヤ3bは一方の端部をアンカー手段、例えば、排水溝のスチール棚蓋5に固定される。掛止めワイヤ3bの反対側の端部には吸液素材の下流側の端部に設置したロッド6を通すリング3b’が設けられている。このリング3b’によりロッド6の両端を引き寄せるようにして吸液素材は張り渡される。
【0015】
吸液素材は、上流側から下流側にかけて連続する流下経路を形成するが吸液素材そのものは複数の要素から構成することができる。図4は、マジックテープ7を用いて吸液素材1の一方の素材部分1aと他方の素材部分1bを互いに接続した状態を示している。この構成をとるメリットは、何らかの理由により熱媒体の供給がストップし吸液素材上に雪が堆積した場合、雪の荷重により吸液素材が破損する以前に前記素材部分1a、1bが接続箇所で分離するのを期待してのものである。あるいは、吸液素材を必要に応じて延長できるメリットもある。ただし、吸液素材の自重、熱媒体の供給量に応じ、前記接続箇所はマジックテープに代えて他の任意の連結手段を用いることができる。
【0016】
前述した吸液素材1は地面またはコンクリート面を覆うようにして配置されるが、吸液素材の上流側の部分を立ち上げ下流側の部分に比べて垂直流下面または傾斜角の大きな流下面となるように布設しておけば、この立上り流下面は搬送流体の流下加速域を形成し、より少量の流体で多量の雪を押し流すことができる。また、立上がり流下面は、建屋玄関に向けての横なぐりの降雪に対する防雪壁としての役割も果たすことになる。吸液シートを数十メートルに渡って架設すれば車両用道路に使用することもできる。流下面の上流側から下流側にかけての湾曲面/勾配は一定でなくてよく、任意の箇所を横断梁材を用いて屈曲させて使用することもできる。
【0017】
本発明に係る除雪方法は、既に説明した個人家屋の生活通路確保のために利用できることの他、屋外ゴルフ練習場、サッカー場、野球場等の野外施設にも適用することができる。また、前述した吸液素材は水泳プールの除雪カバー、膜体構造体等の除雪覆いとして利用することもできる。植物栽培土壌面、または栽培資材を覆うようにして布設したり、屋外養殖水槽の開口部を覆うようにして設置することもできる。
【0018】
吸液素材1は、引張り強度を高めるために、以下に説明するように基材層(図5および図6参照)を使用することができる。この基材には、例えば、ゴム、塩化ビニリデン、ポリエチレン、アクリル、ポリエステル、フッ化ビニル、フッ化エチレン−フッ化プロピレン、またはフッ化エチレン−エチレン、あるいは、その他の含フッ素樹脂から構成することができる。
【0019】
以下、吸液素材の具体的構造の一例につき詳細に説明する。
積雪に先立ち、積雪面は吸液素材1で覆われる。この吸液素材1には熱媒体が流される。熱媒体は融雪の呼び水となる性質を備えた液体、例えば、地下水等の比較的少量の温水である。吸液素材に沿って流下する熱媒体は降雪粒子が吸収する。降雪粒子に吸液素材から流下する熱媒体の一部を吸収させれば雪の白色は消え、透明な雪シャーベットが形成される。雪シャーベットの比重は1よりも小さいため、熱媒体に浮揚する雪シャーベットがあれば、この浮遊状態の雪シャーベットは熱媒体の流速により流下経路に沿って流下し易くなる。
【0020】
吸液素材の配列間隔、幅および厚み、熱媒体の流量は選択事項である。
【0021】
熱媒体の熱により生じた融雪水は吸液素材1が保持し、流下熱媒体と融雪水を含浸する平面蓄熱体が形成される。融雪水は低温ではあるが所定の熱量を所有しており、この熱も有効利用される。こうして、吸液素材の流下経路は平面放熱体を形成し、この流下経路の上方に位置する雪を融雪させることができる。
【0022】
降雪量が多く、吸液素材1の流下経路を流れる熱媒体の保有熱量が即時の融雪に必要な熱量よりも少なければ雪は堆積していく。この堆積した雪は、流下経路が平面蓄熱放熱体として機能するため、この流下経路の上方に位置する雪は吸液素材から外れた積雪面に堆積している雪よりも速く解け、結果的に積雪表面に顕著な凹凸面が形成される。この凹凸面の出現により積雪表層の露出表面積を拡大して外気温または直達日射により、また吸液素材から積雪面に伝達される熱により融雪を促進することができる。
【0023】
前記比較的少量の熱媒体は連続的または間欠的に供給される。間欠的に供給する場合、流下経路に沿って流下する熱媒体にパルス波動を生じさせるように供給圧を変動させることち可能である。こうした間欠的供給によれば、雪シャーベットの運搬能率が高まることがある。
【0024】
前述の熱媒体に加えて、またはこの熱媒体の供給を停止した後に、所定の比較的短時間の間、例えば、数分から数十分の間、多量の熱媒体を流下させる操作が行われる。具体的には、比較的少量の熱媒体を連続的または間歇的に流しながら、同一の供給配管系または別に用意した配管系を通じて数秒から数分間多量の熱媒体を流下させ、前記比較的少量の熱媒体の流下により形成された主要流下経路と副流下経路上に残留する雪シャーベットをこの多量の熱媒体により強制的に洗い流す操作が行われる。比較的少量の熱媒体に井戸水を使用する場合、多量の熱媒体には水道水を利用することができる。熱媒体の温度、種類、流量は選択事項である。
【0025】
なお、前述した方法において、操作初期の段階で既に相当量の雪が積雪面に堆積している場合、あるいは配管系の故障、操作者のミスにより大量の雪が積もってしまった場合の対策として、できるだけ早い時期に、すなわち雪の圧密の程度が比較的軽微である時期に、前記吸液素材表面には40℃以上の比較的少量の高温水を供給し、吸液素材を高温放熱体として利用し急速に融雪を進行させることが望ましい。
【0026】
図5は、図1に使用した吸液素材の具体例を示す斜視説明図である。図示の吸液素材1は、液体含浸保有量の少ない主要流下経路10と、この主要流下経路10の両側に位置する液体含浸保有量の大きな副流下経路11とを備えている。両方の経路部分の間には図示の様な段差を設けておくとより高い規正効果が得られる。
図示の例では、主要流下経路10は厚みが薄く、含浸保有しきれない多くの熱媒体が経路表面上を露出した状態で滑りながら流下する主流を形成する。主流の両側に配置された液体含浸保有量の大きな副流下経路は主要流下経路よりも多くの熱媒体を含有し、この副流下経路に沿って比較的流量の少ない流速の遅い副流が形成され、これら熱媒体の主流と副流は互いに隣接して位置し、吸液素材の全面に沿って流下していく。
【0027】
図6は、吸液素材の変更例を示す斜視説明図である。図示の吸液素材1は、液体含浸保有量の少ない主要流下経路10と、この主要流下経路の側部に位置する液体含浸保有量の大きな副流下経路11とを備えている。従って、主要流下経路は吸液素材の流下方向に沿って熱媒体の主流を形成し、主流の側部に主流よりも比較的流量の少ない緩慢な流速の副流が形成される。これら熱媒体の主流と副流は互いに隣接して位置し、吸液素材の全面に沿って規正された状態で流下していく。
前述の流下経路には、補助加熱手段として、電気発熱体を予め組み込んでおくことも可能である。
【0028】
前記吸液素材の流下経路の少なくとも一部は、熱媒体の移動方向に沿って疎水素材12で覆い保温することができる。疎水素材で覆われた部分には、中空な配管通路部分13を設け、吸液素材が凍結してもこの配管通路部分13に流す熱媒体により解氷することができる。
前記吸液素材は、吸液表面層と基材層から構成することができる。吸液素材はこの基材層の表面に塗布される接着剤により積雪面に貼り付けることができる。また、この基材層は、透磁率の大きな磁性材料からなる被接着面に対して磁力作用により貼り付くように、少なくとも一部分を、例えば、多量の鉄粉を含む熱伝導性に優れたプラスチック製またはゴム製の磁石から構成することができる。なお、吸水素材は任意の固定手段を用いて積雪面に対しずれないように固定してもよい。
【0029】
流下経路は、主要流下経路とその側部にある副流下経路を一対のものとし、これらを互いに隣接して配置することにより横に連続する流下経路を形成することができる。例えば、前記一対の流下経路を独立するテープストリップに構成し、テープストリップの各々を任意の素材、例えば、感圧接着剤の基材層により接続することができる。
図5および図6において、参照番号20は基材層を示している。基材層は感圧接着剤の層から形成することができる。下地面が腐食する可能性のある金属素材であれば、基材層は防水層として機能するものが好ましい。
【0030】
前記吸液素材には、以下に説明する多種多様な素材/構造を利用することができる。
主要流下経路を親液性繊維、例えば、ビニロンのような吸水繊維またはビニロンとテトロンからなる複合繊維を用いて構成し、また副流下経路をテトロンのような疎液性繊維を用いて構成した織布、不織布または編布を使用することができる。また、主要流下経路は平織りとし、副流下経路は繊維使用量の多い綾織りとする等、任意の織り方を採用できる。液体吸収性に劣る流下経路とは、必ずしも疎液性繊維を使用した部分であるというわけではなく、親液性繊維を使用した液体吸収性に劣る流下経路も含まれる。親液性繊維を使用していたとしても、疎液性繊維の部分に比べてスポット吸収性に劣るならば液体吸収性に劣る流下経路であると言える。液体吸収性については、繊維の張力を変えることである程度調節することが可能である。
【0031】
前記織布は疎液性の縦糸と横糸を使用して織られた織布生地からなり、この織布生地の縦糸に加えて親液性の縦糸の密集した部分をすじ状に織り込み、疎液性の織布生地の部分に隣接して親液性の縦糸の密集した主要流下経路となる部分を設けて構成することができる。
【0032】
また、前記不織布は、主要流下経路となる親液性繊維の密集した部分の側部に副流下経路となる疎液性繊維の密集した部分を隣接して設けることができる。
【0033】
また前記織布は、親液性の縦糸と横糸を使用して織られた織布生地から構成し、この織布生地の縦糸に加えて側部に副流下経路となる疎液性の縦糸の密集した部分を織り込み、親液性の織布生地の部分と疎液性の縦糸の密集した部分を隣接して設けてもよい。
【0034】
あるいは、前記織布を親液性の縦糸を使用して織られた織布生地から構成し、織布生地の縦糸に加えてこの生地縦糸よりもさらに液体吸収性に富む保液性の縦糸の密集した部分をすじ状に織り込み、副流下経路となる前記親液性の織布生地の部分と主要流下経路となる前記保液性の縦糸の密集した部分を隣接して設けることもできる。
【0035】
さらに、前記織布は親液性の縦糸を使用して織られた織布生地から構成し、織布生地の縦糸に加えてこの生地縦糸よりも太い径の親液性の縦糸の密集した部分をすじ状に織り込み、副流下経路となる前記親液性の織布生地の部分と主要流下経路となる前記太い径の親液性の縦糸の密集した部分を隣接して設けるようにもできる。
【0036】
前記織布は疎液性の縦糸を使用して織られた織布生地から構成し、織布生地の縦糸に加えてこの生地縦糸よりも太い径の疎液性の縦糸の密集した部分をすじ状に織り込み、副流下経路となる前記疎液性の織布生地の部分に隣接して前記太い径の疎液性の縦糸の密集した主要流下経路を形成することも可能である。
【0037】
前述の構造とは異なり、前記吸液素材は、基材層とこの基材層に接着した液体吸収性に富むその他の任意の材料、例えば、粉体塗装層の主要流下経路と、この主要流下経路の側部に配置された液体吸収性に劣る粉体塗装層から構成することができる。
【0038】
また、前記吸液素材は、屋根表面に接着した容射粉体塗装層から構成することができる。
【0039】
この方法とは別に、吸液素材は、液体吸収性に劣る基材層とこの基材層表面を加工して形成された液体吸収性に富む荒い細かい凹凸表面の部分から構成し、液体吸収性に劣る基材層表面の部分が副流下経路を形成し、液体吸収性に富む凹凸表面の部分が主要流下経路を形成するようにもできる。
【0040】
あるいは、前記吸液素材は親液性繊維と疎液性繊維の両方の繊維を混合したものからなり、主要流下経路に相当する部分がこれに隣接する副流下経路に相当する部分よりも親液性繊維の比率が高くなるようにして構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の除雪方法を実施した場合の状況の一例を示す斜視説明図。
【図2】吸液素材の上流側部分の固定状態を示す斜視説明図。
【図3】吸液素材の下流側部分の固定状態を示す斜視説明図。
【図4】吸液素材の素材部分の接続箇所を示す一部縦断面図。
【図5】吸液素材の具体例を示す斜視説明図。
【図6】吸液素材の変更例を示す斜視説明図。
【符号の説明】
1 吸液素材
1a 一方の素材部分
1b 他方の素材部分
1c トンネル状の袋部分
2 スロープ面
3a ハンガー
3a’ 内壁
3b 掛止めワイヤ
3b’ リング
4 ノズルパイプ
4a 矩形断面部
5 棚蓋
6 ロッド
7 マジックテープ
10 主要流下経路
11 副流下経路
12 疎水素材
13 配管通路部分
20 基材層
【産業上の利用分野】
本発明は、民生、運輸および産業用施設の雪害を軽減する目的で利用される除雪方法に係る。
【0002】
【従来の技術】
積雪地帯の民生用施設においては生活通路確保のための除雪、運輸施設においては路面の除雪、また大型産業施設においては建屋屋根の除雪が行われている。こうした除雪作業は、除雪車の走行できる道路以外は概ね人的負担に負うところが大きい。
北海道の都市部では、発熱体を地中に埋設した融雪歩道が広く利用されており、また東北、北陸、山陰地方では、路面に地下水や河川水を散水して融雪を行なうのが一般的な手法である。他に、屋根瓦の裏面に発熱体を貼り付けて積雪面を加熱したり、フィルムヒーターをシート表面に貼り付けシートを発熱体として使用する融雪シートも開発されている。特殊な例として、太陽熱集熱パネルを設置しておき、積雪に際しパネルに温水を流し放熱融雪装置として利用する方法、あるいはヒートパイプを使用して融雪する方法が実施されている。
前述した各種方法のうち、散水方式は比較的簡単に採用できるため様々な形態で広く利用されているが、以下のような欠点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
民生用施設における生活通路確保のための除雪に散水方式を取り入れる場合、散水した水そのものによる歩行面の氷結を防ぐために充分な水量を確保しなくてはならない。また、散水歩行面がぬかるむことのないようコンクリート地、アスファルト地、砂地の歩道を造成しておかなくてはならず、地肌が土であることの多い民生用施設では普及技術とは言いがたい。運輸施設、業務施設での散水技術の利用は、豊富な水量の地下水を利用できることが条件とされ、条例により揚水に制限のある地区では還元井を併設しなくてはならない。また、サッカー場、野球場等の野外リクレェーション施設では、雪解けを持って使用を再開するのが通例である。屋外ゴルフ練習場では、ショットした多数のゴルフボールがすべて雪に埋まり回収不能となるため冬期の営業は行われていない。
本発明の目的は、非常に単純な構造をした安価なシートを使用し、比較的少量の水等の搬送流体を平面流下させることで雪の堆積する露出部をなくし、効果的な除雪を行なえる除雪方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前述した課題を解決するため、本発明による除雪方法は、間隔を開けて配列した液体含浸保有量の少ない主要流下経路と、これら主要流下経路の側部に位置する液体含浸保有量の大きな副流下経路とを有し、主要流下経路が吸液素材の流下方向に沿って経路表面を滑る露出した主流を形成し、副流下経路が主流の側部に主流よりも比較的流量の少ない副流を形成するような吸液素材が用いられる。この吸液素材により本来雪の堆積する歩行面、路面、運動グラウンド等の積雪面を覆う一方、この吸液素材の前記流下経路の上流側の端部を持ち上げた状態に、また吸液素材の下流側の端部を下げた状態に支持することにより吸液素材の上流側の端部から下流側の端部に至る湾曲したスロープ面を形成し、吸液素材の前記上流側の端部に融雪の呼び水となる比較的少量の熱媒体を供給し、前記流下経路に含浸した状態でスロープ面に沿って急速に流下させ、熱媒体の一部を降雪粒子に吸収させて雪シャーベットを形成する一方、この雪シャーベットを吸液素材のスロープ面に沿って滑り落下させることにより吸液素材で覆われた表面に雪が堆積するのを阻止するようにして行われる。
【0005】
【作用】
任意の熱媒体供給手段から、例えば、地下水、河川水、工業用水、水道水、溜置き雨水、防火用水等の熱媒体(または搬送流体)が供給される。
吸液素材は流速に強弱のある並列した流下経路を形成している。この任意の幅の流下経路に沿って熱媒体は流下していく。吸液素材は液体含浸保有量の少ない主要流下経路と、この主要流下経路の側部に位置し液体含浸保有量の大きな副流下経路からなり、主要流下経路を流下する熱媒体の主流の側部に副流が配置され、主流と副流が交互に並び流下方向を規正された状態で熱媒体は流れていく。
【0006】
主要流下経路は液体含浸保有量が少ないため、吸液素材の流下方向に沿って経路表面を滑る露出した主流を形成し、また液体含浸保有量が大きい(または流下抵抗の大きな液体吸収性に富む)副流下経路により、主流の側部に主流よりも比較的流量の少ない流速の遅い副流が形成される。
主要流下経路の方が副流下経路に比べて流下速度が速いため、これら経路の境界に沿って流れの方向が規正され、また吸液素材に付着した熱媒体は平面的に広がり、吸液素材の境界域内に所望の熱量を保有する平面放熱体が形成される。
【0007】
吸液素材の表面に落下する降雪粒子は流下する熱媒体の一部を吸収し、雪シャーベット状になる。熱媒体の供給側に位置する吸液素材の部分は排出側の部分よりも高い位置まで持ち上げた状態に支持されているため、比較的少量の熱媒体であっても経路に沿って急速に流下し、雪シャーベットは経路に沿って滑り落ちるようになる。
熱の供給を受けて雪から解け出した水も吸液素材が保持し、この融雪水の持つ熱も雪の融雪に利用辛れ、熱媒体と雪との間に効率のよい熱交換が行われる。
【0008】
吸液素材の表面は平面的に流体に覆われ雪の堆積する面は露出せず、またシャーベットが一カ所に止まりにくくなる。吸液素材の露出面またはシャーベット上に新たな雪が堆積し、この堆積した雪がシートを撓み変形させて搬送流体の規則性を乱すことがなく、除雪シートはその自己の表面積の範囲内において常に確実な除雪機能を果たすことができる。
【0009】
吸液素材はその全面に主流と副流が存在し各々が流下方向を規正する作用を個別に果たしているため、素材面積は自由に設定でき、素材の流下経路を延長し横幅を大きくとることができる。
【0010】
【実施例】
図1は、民生用施設における生活通路確保のための除雪方法の一例を示す斜視説明図である。説明の便宜上、民家に適用した場合を想定して本発明の除雪方法の一例を説明する。
この除雪方法に用いられる吸液素材1は流下経路に沿って両側の端部を保持手段により支持固定され、熱媒体の流下する湾曲したスロープ面2を形成している。スロープ面2は軒下から垂れ下がる傾斜の急な部分から緩やかな傾斜の部分まで連続した流下経路を形成しており、この流下経路に沿って流下する熱媒体は、傾斜の急な部分により加速され、緩やかな傾斜の部分を急速に流下する。
【0011】
前記保持手段は、建屋Bの出入口Eの前方軒下に設置されたハンガー3aと、建屋Bの出入口Eより前方に配置された掛止めワイヤ3bから構成されている。これらハンガー3aと掛止めワイヤ3bを用いて吸液素材1は両端を保持され、建屋玄関から前方に歩行路に沿って張り渡され、吸液素材1の下側に雪が直接堆積するのを阻止するようにして用いられる。
【0012】
吸液素材1の上流側の端部には、搬送流体としての性格を持つ熱媒体を供給する熱媒体供給手段が取り付けられている。図2に示す例では、熱媒体供給手段はノズルパイプ4から構成され、このノズルパイプ4は吸液素材1の前記上流側の端部に予め用意されたトンネル状の袋部分1cに差し込まれ、ノズルパイプの両端を前記ハンガー3aに載せることにより吸液素材1の上流側の端部を固定支持することができる。ノズルパイプ4は両端に矩形断面部4aを備え、矩形断面部4aとハンガー3aの内壁3a’は互いに係合して両者は相対的に回転することがない。これに対し、前記吸液素材のトンネル状の袋部分1cとノズルパイプ4は互いに固定されておらず、トンネル状の袋部分1cはノズルパイプ4の軸線を中心としてノズルパイプの表面に沿って滑り運動することができる。
前記保持手段および熱媒体供給手段の構成要素は、別段、前述したものに限定されるわけではない。例えば、複数の掴みクランプからなる保持手段を用いて吸液素材の上流側または下流側の端部を固定保持することもできる。固定に際し、バックルを介在させて吸液素材の張付け具合を調整する操作を加えることもできる。また、熱媒体の供給方法は自由に選択ができる。例えば、スプレーを用いて熱媒体を散布するようにしてもよい。
【0013】
前記ノズルパイプ4は間隔を置いてノズル4bを備え、図2に示す例では、このノズル4bは吸液素材に向けて斜め下向きに配置され、降雪粒子が直接にノズル4bに積もらないように配慮してある。このようにノズルを配置しておけば、熱媒体の放出流量の多少にかかわりなく、またノズルからの放出方向が不揃いであっても所定の流下経路が熱媒体を直接受け取ることができ都合がよい。
【0014】
図3は、吸液素材1の下流側の端部の固定例を示している。前述した掛止めワイヤ3bは一方の端部をアンカー手段、例えば、排水溝のスチール棚蓋5に固定される。掛止めワイヤ3bの反対側の端部には吸液素材の下流側の端部に設置したロッド6を通すリング3b’が設けられている。このリング3b’によりロッド6の両端を引き寄せるようにして吸液素材は張り渡される。
【0015】
吸液素材は、上流側から下流側にかけて連続する流下経路を形成するが吸液素材そのものは複数の要素から構成することができる。図4は、マジックテープ7を用いて吸液素材1の一方の素材部分1aと他方の素材部分1bを互いに接続した状態を示している。この構成をとるメリットは、何らかの理由により熱媒体の供給がストップし吸液素材上に雪が堆積した場合、雪の荷重により吸液素材が破損する以前に前記素材部分1a、1bが接続箇所で分離するのを期待してのものである。あるいは、吸液素材を必要に応じて延長できるメリットもある。ただし、吸液素材の自重、熱媒体の供給量に応じ、前記接続箇所はマジックテープに代えて他の任意の連結手段を用いることができる。
【0016】
前述した吸液素材1は地面またはコンクリート面を覆うようにして配置されるが、吸液素材の上流側の部分を立ち上げ下流側の部分に比べて垂直流下面または傾斜角の大きな流下面となるように布設しておけば、この立上り流下面は搬送流体の流下加速域を形成し、より少量の流体で多量の雪を押し流すことができる。また、立上がり流下面は、建屋玄関に向けての横なぐりの降雪に対する防雪壁としての役割も果たすことになる。吸液シートを数十メートルに渡って架設すれば車両用道路に使用することもできる。流下面の上流側から下流側にかけての湾曲面/勾配は一定でなくてよく、任意の箇所を横断梁材を用いて屈曲させて使用することもできる。
【0017】
本発明に係る除雪方法は、既に説明した個人家屋の生活通路確保のために利用できることの他、屋外ゴルフ練習場、サッカー場、野球場等の野外施設にも適用することができる。また、前述した吸液素材は水泳プールの除雪カバー、膜体構造体等の除雪覆いとして利用することもできる。植物栽培土壌面、または栽培資材を覆うようにして布設したり、屋外養殖水槽の開口部を覆うようにして設置することもできる。
【0018】
吸液素材1は、引張り強度を高めるために、以下に説明するように基材層(図5および図6参照)を使用することができる。この基材には、例えば、ゴム、塩化ビニリデン、ポリエチレン、アクリル、ポリエステル、フッ化ビニル、フッ化エチレン−フッ化プロピレン、またはフッ化エチレン−エチレン、あるいは、その他の含フッ素樹脂から構成することができる。
【0019】
以下、吸液素材の具体的構造の一例につき詳細に説明する。
積雪に先立ち、積雪面は吸液素材1で覆われる。この吸液素材1には熱媒体が流される。熱媒体は融雪の呼び水となる性質を備えた液体、例えば、地下水等の比較的少量の温水である。吸液素材に沿って流下する熱媒体は降雪粒子が吸収する。降雪粒子に吸液素材から流下する熱媒体の一部を吸収させれば雪の白色は消え、透明な雪シャーベットが形成される。雪シャーベットの比重は1よりも小さいため、熱媒体に浮揚する雪シャーベットがあれば、この浮遊状態の雪シャーベットは熱媒体の流速により流下経路に沿って流下し易くなる。
【0020】
吸液素材の配列間隔、幅および厚み、熱媒体の流量は選択事項である。
【0021】
熱媒体の熱により生じた融雪水は吸液素材1が保持し、流下熱媒体と融雪水を含浸する平面蓄熱体が形成される。融雪水は低温ではあるが所定の熱量を所有しており、この熱も有効利用される。こうして、吸液素材の流下経路は平面放熱体を形成し、この流下経路の上方に位置する雪を融雪させることができる。
【0022】
降雪量が多く、吸液素材1の流下経路を流れる熱媒体の保有熱量が即時の融雪に必要な熱量よりも少なければ雪は堆積していく。この堆積した雪は、流下経路が平面蓄熱放熱体として機能するため、この流下経路の上方に位置する雪は吸液素材から外れた積雪面に堆積している雪よりも速く解け、結果的に積雪表面に顕著な凹凸面が形成される。この凹凸面の出現により積雪表層の露出表面積を拡大して外気温または直達日射により、また吸液素材から積雪面に伝達される熱により融雪を促進することができる。
【0023】
前記比較的少量の熱媒体は連続的または間欠的に供給される。間欠的に供給する場合、流下経路に沿って流下する熱媒体にパルス波動を生じさせるように供給圧を変動させることち可能である。こうした間欠的供給によれば、雪シャーベットの運搬能率が高まることがある。
【0024】
前述の熱媒体に加えて、またはこの熱媒体の供給を停止した後に、所定の比較的短時間の間、例えば、数分から数十分の間、多量の熱媒体を流下させる操作が行われる。具体的には、比較的少量の熱媒体を連続的または間歇的に流しながら、同一の供給配管系または別に用意した配管系を通じて数秒から数分間多量の熱媒体を流下させ、前記比較的少量の熱媒体の流下により形成された主要流下経路と副流下経路上に残留する雪シャーベットをこの多量の熱媒体により強制的に洗い流す操作が行われる。比較的少量の熱媒体に井戸水を使用する場合、多量の熱媒体には水道水を利用することができる。熱媒体の温度、種類、流量は選択事項である。
【0025】
なお、前述した方法において、操作初期の段階で既に相当量の雪が積雪面に堆積している場合、あるいは配管系の故障、操作者のミスにより大量の雪が積もってしまった場合の対策として、できるだけ早い時期に、すなわち雪の圧密の程度が比較的軽微である時期に、前記吸液素材表面には40℃以上の比較的少量の高温水を供給し、吸液素材を高温放熱体として利用し急速に融雪を進行させることが望ましい。
【0026】
図5は、図1に使用した吸液素材の具体例を示す斜視説明図である。図示の吸液素材1は、液体含浸保有量の少ない主要流下経路10と、この主要流下経路10の両側に位置する液体含浸保有量の大きな副流下経路11とを備えている。両方の経路部分の間には図示の様な段差を設けておくとより高い規正効果が得られる。
図示の例では、主要流下経路10は厚みが薄く、含浸保有しきれない多くの熱媒体が経路表面上を露出した状態で滑りながら流下する主流を形成する。主流の両側に配置された液体含浸保有量の大きな副流下経路は主要流下経路よりも多くの熱媒体を含有し、この副流下経路に沿って比較的流量の少ない流速の遅い副流が形成され、これら熱媒体の主流と副流は互いに隣接して位置し、吸液素材の全面に沿って流下していく。
【0027】
図6は、吸液素材の変更例を示す斜視説明図である。図示の吸液素材1は、液体含浸保有量の少ない主要流下経路10と、この主要流下経路の側部に位置する液体含浸保有量の大きな副流下経路11とを備えている。従って、主要流下経路は吸液素材の流下方向に沿って熱媒体の主流を形成し、主流の側部に主流よりも比較的流量の少ない緩慢な流速の副流が形成される。これら熱媒体の主流と副流は互いに隣接して位置し、吸液素材の全面に沿って規正された状態で流下していく。
前述の流下経路には、補助加熱手段として、電気発熱体を予め組み込んでおくことも可能である。
【0028】
前記吸液素材の流下経路の少なくとも一部は、熱媒体の移動方向に沿って疎水素材12で覆い保温することができる。疎水素材で覆われた部分には、中空な配管通路部分13を設け、吸液素材が凍結してもこの配管通路部分13に流す熱媒体により解氷することができる。
前記吸液素材は、吸液表面層と基材層から構成することができる。吸液素材はこの基材層の表面に塗布される接着剤により積雪面に貼り付けることができる。また、この基材層は、透磁率の大きな磁性材料からなる被接着面に対して磁力作用により貼り付くように、少なくとも一部分を、例えば、多量の鉄粉を含む熱伝導性に優れたプラスチック製またはゴム製の磁石から構成することができる。なお、吸水素材は任意の固定手段を用いて積雪面に対しずれないように固定してもよい。
【0029】
流下経路は、主要流下経路とその側部にある副流下経路を一対のものとし、これらを互いに隣接して配置することにより横に連続する流下経路を形成することができる。例えば、前記一対の流下経路を独立するテープストリップに構成し、テープストリップの各々を任意の素材、例えば、感圧接着剤の基材層により接続することができる。
図5および図6において、参照番号20は基材層を示している。基材層は感圧接着剤の層から形成することができる。下地面が腐食する可能性のある金属素材であれば、基材層は防水層として機能するものが好ましい。
【0030】
前記吸液素材には、以下に説明する多種多様な素材/構造を利用することができる。
主要流下経路を親液性繊維、例えば、ビニロンのような吸水繊維またはビニロンとテトロンからなる複合繊維を用いて構成し、また副流下経路をテトロンのような疎液性繊維を用いて構成した織布、不織布または編布を使用することができる。また、主要流下経路は平織りとし、副流下経路は繊維使用量の多い綾織りとする等、任意の織り方を採用できる。液体吸収性に劣る流下経路とは、必ずしも疎液性繊維を使用した部分であるというわけではなく、親液性繊維を使用した液体吸収性に劣る流下経路も含まれる。親液性繊維を使用していたとしても、疎液性繊維の部分に比べてスポット吸収性に劣るならば液体吸収性に劣る流下経路であると言える。液体吸収性については、繊維の張力を変えることである程度調節することが可能である。
【0031】
前記織布は疎液性の縦糸と横糸を使用して織られた織布生地からなり、この織布生地の縦糸に加えて親液性の縦糸の密集した部分をすじ状に織り込み、疎液性の織布生地の部分に隣接して親液性の縦糸の密集した主要流下経路となる部分を設けて構成することができる。
【0032】
また、前記不織布は、主要流下経路となる親液性繊維の密集した部分の側部に副流下経路となる疎液性繊維の密集した部分を隣接して設けることができる。
【0033】
また前記織布は、親液性の縦糸と横糸を使用して織られた織布生地から構成し、この織布生地の縦糸に加えて側部に副流下経路となる疎液性の縦糸の密集した部分を織り込み、親液性の織布生地の部分と疎液性の縦糸の密集した部分を隣接して設けてもよい。
【0034】
あるいは、前記織布を親液性の縦糸を使用して織られた織布生地から構成し、織布生地の縦糸に加えてこの生地縦糸よりもさらに液体吸収性に富む保液性の縦糸の密集した部分をすじ状に織り込み、副流下経路となる前記親液性の織布生地の部分と主要流下経路となる前記保液性の縦糸の密集した部分を隣接して設けることもできる。
【0035】
さらに、前記織布は親液性の縦糸を使用して織られた織布生地から構成し、織布生地の縦糸に加えてこの生地縦糸よりも太い径の親液性の縦糸の密集した部分をすじ状に織り込み、副流下経路となる前記親液性の織布生地の部分と主要流下経路となる前記太い径の親液性の縦糸の密集した部分を隣接して設けるようにもできる。
【0036】
前記織布は疎液性の縦糸を使用して織られた織布生地から構成し、織布生地の縦糸に加えてこの生地縦糸よりも太い径の疎液性の縦糸の密集した部分をすじ状に織り込み、副流下経路となる前記疎液性の織布生地の部分に隣接して前記太い径の疎液性の縦糸の密集した主要流下経路を形成することも可能である。
【0037】
前述の構造とは異なり、前記吸液素材は、基材層とこの基材層に接着した液体吸収性に富むその他の任意の材料、例えば、粉体塗装層の主要流下経路と、この主要流下経路の側部に配置された液体吸収性に劣る粉体塗装層から構成することができる。
【0038】
また、前記吸液素材は、屋根表面に接着した容射粉体塗装層から構成することができる。
【0039】
この方法とは別に、吸液素材は、液体吸収性に劣る基材層とこの基材層表面を加工して形成された液体吸収性に富む荒い細かい凹凸表面の部分から構成し、液体吸収性に劣る基材層表面の部分が副流下経路を形成し、液体吸収性に富む凹凸表面の部分が主要流下経路を形成するようにもできる。
【0040】
あるいは、前記吸液素材は親液性繊維と疎液性繊維の両方の繊維を混合したものからなり、主要流下経路に相当する部分がこれに隣接する副流下経路に相当する部分よりも親液性繊維の比率が高くなるようにして構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の除雪方法を実施した場合の状況の一例を示す斜視説明図。
【図2】吸液素材の上流側部分の固定状態を示す斜視説明図。
【図3】吸液素材の下流側部分の固定状態を示す斜視説明図。
【図4】吸液素材の素材部分の接続箇所を示す一部縦断面図。
【図5】吸液素材の具体例を示す斜視説明図。
【図6】吸液素材の変更例を示す斜視説明図。
【符号の説明】
1 吸液素材
1a 一方の素材部分
1b 他方の素材部分
1c トンネル状の袋部分
2 スロープ面
3a ハンガー
3a’ 内壁
3b 掛止めワイヤ
3b’ リング
4 ノズルパイプ
4a 矩形断面部
5 棚蓋
6 ロッド
7 マジックテープ
10 主要流下経路
11 副流下経路
12 疎水素材
13 配管通路部分
20 基材層
Claims (3)
- 間隔を開けて配列した液体含浸保有量の少ない主要流下経路と、これら主要流下経路の側部に位置する液体含浸保有量の大きな副流下経路とを有し、主要流下経路が吸液素材の流下方向に沿って経路表面を滑る露出した主流を形成し、副流下経路が主流の側部に主流よりも比較的流量の少ない副流を形成するような吸液素材を用いて積雪面を覆う一方、この吸液素材の前記流下経路の上流側の端部を持ち上げた状態に、また吸液素材の下流側の端部を下げた状態に支持することにより吸液素材の上流側の端部から下流側の端部に至る湾曲したスロープ面を形成し、吸液素材の前記上流側の端部に熱媒体を供給し、前記流下経路に含浸した状態でスロープ面に沿って急速に流下させ、熱媒体の一部を降雪粒子に吸収させて雪シャーベットを形成する一方、この雪シャーベットを吸液素材のスロープ面に沿って滑り落下させることにより吸液素材で覆われた表面に雪が堆積するのを阻止する除雪方法。
- 請求項1に記載された除雪方法において、前記吸液素材の上流側の端部には所定の時間間隔を置いて間欠的に多量の熱媒体を噴出供給し、吸液素材に載った雪シャーベットを強制的に押し流して除去する除雪方法。
- 間隔を開けて配列した液体含浸保有量の少ない主要流下経路と、これら主要流下経路の側部に位置する液体含浸保有量の大きな副流下経路とを有し、主要流下経路が吸液素材の流下方向に沿って経路表面を滑る露出した主流を形成し、副流下経路が主流の側部に主流よりも比較的流量の少ない副流を形成するような吸液素材を用いて積雪面を覆う一方、この吸液素材の前記流下経路の両側の端部を持ち上げた状態に、また吸液素材の中間部分を下げた状態に支持することにより吸液素材の両側の上流側の端部から吸液素材の中間部分の下流側の端部に至る湾曲したスロープ面を形成し、吸液素材の前記上流側の端部に融雪の呼び水となる熱媒体を供給し、前記流下経路に含浸した状態でスロープ面に沿って急速に流下させ、熱媒体の一部を降雪粒子に吸収させて雪シャーベットを形成する一方、この雪シャーベットを吸液素材のスロープ面に沿って滑り落下させることにより吸液素材で覆われた表面に雪が堆積するのを阻止する除雪方法。
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