JP3840568B2 - 融雪床 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、雪を下敷きとして用いる融雪床に関係している。
【0002】
【従来の技術】
部材の表面に疎液性部分と親液性部分をすじ状に交互に設けて熱媒体液の流れを規正する移動経路並列一体構造の流体流動制御シートにつき、本件出願人は各種のものを試作し評価してきた経緯がある。
【0003】
流体流動制御シートは、設置の姿勢の良否により流体の拘束性能が大きく影響されることである。従って、安定した状態に部材を固定する必要がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
屋根面は比較的平坦で傾斜に規則性があり、どちらかと言えば設置しやすい場所であるが、それ以外の特殊な場所、例えば、鉄道床のような砂利やプレキャストコンクリート板を敷設した路面は凹凸が著しく、シートを設営しようとすれば新たに架台を用いなくてはならない。平坦でない構造物の外壁に沿ってシートを設置する場合にも同じことが言える。このようなシート設置のための架台構造物は、ほとんどの場合、積雪シーズンを過ぎてしまえば無用のものであり、撤去しなくてはならない。冬期、除雪の負担を軽減することはできても、設備費、設営費、撤去費、維持管理経費の面で未だ課題が多く、また建築デザイン面から採用には制約がある。このため、架台の軽量化、分解組立構造の導入による架台の簡素化を検討してきたが、産業規模で考えた場合、実用性のある具体策は見いだせないでいた。
設置面が平坦でなくとも使用でき、現場での固定操作が事実上軽微ですみ、風の影響を受けにくく、特殊な場合はやむ得ないこととして、ほとんどのケースに対応でき、常に安定した拘束流下を実現できる信頼性の高い融雪技術が必要とされていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】
雪そのものを利用して規則性のある勾配を形成し、この勾配のある傾斜面を底基材の布設面として利用している。すなわち、上側表面が規則性のある傾斜面を形成した積雪層と、この積雪層の上側表面に設置された断熱性のある底基材を用いている。底基材からは上向きに放熱または熱交換が行なわれる。
底基材の上部には吸液素材が設置されている。吸液素材は、熱媒体液含有保有量が少なく、流下する熱媒体液の一部を吸収し残りの部分が表面を滑る露出した熱媒体液の流れを形成する任意の幅の主要移動経路と、この主要移動経路の側部に位置し、主要移動経路に比べて流速の遅い熱媒体液の副移動経路とを有し、前記主要移動経路と副移動経路が前記傾斜面に沿った面状流下面を形成している。面状流下面の規模は、使用する移動経路の本数、幅、あるいは底基材の枚数によって自由に設定することができる。従って、これらの要素は選択事項である。
【0006】
吸液素材の面状流下面は面状放熱体として、または降雪粒子に熱媒体液を供給する液体供給手段として作用し、面状流下面の上部の雪を溶かす働きをする。
【0007】
融雪床を間隔を置いて設置しておけば、これら融雪床を設置した箇所の雪を融雪床を布設していない隣接区域の雪に先行して融雪させることができる。その結果、広い積雪表面に顕著な凹凸面が繰り返して波状に出現する。凹凸面の出現により積雪表層の露出表面積は飛躍的に拡大し、凹凸のない平坦な堆積雪に比べて外気温若しくは直達日射により融雪は著しく促進される。
【0008】
自然積雪面が形成した表面をそのまま前記積雪面の傾斜面として利用できるが、除雪に伴って人工的な表面を造成することもできる。ある程度積雪させた後に除雪し、圧密された底に近い部分を融雪床用の支持雪層として残してもよい。あるいは、他の場所から雪を搬入し、適当に水を混入してかため表面を均して人工的な支持積雪面を造成することもできる。
【0009】
鉄道線路の場合、鉄道線路に沿って除雪車を走行させ、機械的に除雪を行なえば連続した均一な除雪面が簡単に得られる。こうして形成された表面に底基材を設置した後、この底基材の外側表面を転圧すれば必要な勾配の傾斜面を速やかに造成することができる。
【0010】
低い外気温を利用すれば前記積雪層はアイスバーン状の凍結層となる。こうした人工の凍結層、または自然にできた凍結層を利用して大きな積載荷重にも耐える支持積雪層を形成してもよい。凍結層の上部に敷く吸液素材は滑止め層として機能するよう、適当な材質を選択することができる。例えば、スリップ防止吸液素材に織布を使用してもよい。融雪床は自動車道路への利用が可能である。
【0011】
本発明の他の形態によれば、断熱性のない底基材を使用し、上側方向と下側方向への放熱性能を持たせることもできる。また、吸液素材は、熱媒体液の移動経路以外にも、融雪水の排水用の面状流下面を形成することもでき、雪の中に埋設して使用することができる。
【0012】
【作用】
積雪層により支持された吸液素材は、所定の勾配の移動経路を形成している。この勾配は、水平または角度のある勾配である。積雪層はその下の不均一な凹凸面を隠し、均一な平面または湾曲面を形成している。この支持面はシーズンオフには消失するから、撤去の必要はない。支持積雪層の雪密度は自由に変えることができ、また凍結層に変化させて剛性のある支持面として活用でき、耐圧強度を自由に選択できる利点がある。
【0013】
吸液素材は熱媒体液含浸保有量の少ない主要移動経路と、この主要移動経路の側部に位置し熱媒体液含浸保有量の大きな副移動経路からなり、これら主要移動経路と副移動経路は段差状の溝と土手の形態に配置されている。従って、主要移動経路を流下する熱媒体液は副移動経路の側縁から副移動経路内部に侵入し、露出した主流の側部に伏在流としての副流が配置され、吸液素材の全幅にわたり密集したままの状態で熱媒体液は流れていく。熱媒体液の流量が多ければ副移動経路の上部に露出した流れが形成されるが、主流の流量の方が優位にある。
【0014】
通常、主要移動経路は熱媒体液含浸保有量が少ないため、吸液素材の流下方向に沿って経路表面を滑る露出した主流を形成し、また熱媒体液含浸保有量が大きい(または流下抵抗の大きな熱媒体液吸収性に富む)副移動経路により、主流の側部に主流よりも流速の遅い緩慢な流れの副流が形成される。従って、被接着面の凹凸に遭遇しても、片寄る主流の流れは副移動経路が緩衝吸収し、主流の流れがシートから多量に漏出するのを阻止することができる。風の力により主流の流れが側方に押しやられた場合にも、副移動経路は同様の機能を果たす。
【0015】
また、通常時には、主要移動経路の方が副移動経路に比べて流下速度が速いため吸液素材外側へのチャネリングが発生しにくい。従って、凍結も起こりにくい。熱媒体液が熱媒体の場合、吸液素材に付着した熱媒体は平面的に均等に広がり、吸液素材の境界域内に所望の熱量を保有する平面放熱体が形成される。
【0016】
流体流動制御シートを融雪シートとして使用すれば、前述した主要移動経路により多量の熱媒体を流下させることができ、長尺の経路であっても素材全面に充分な量の熱を供給することができる。
なお、吸液素材はその全面に主流と副流が存在するため比較的幅の広い吸液素材を使用でき、側部に疎水性境界層を設けたシートに比べて大幅に有効融雪面を広げることができる。
【0017】
【実施例】
以下、添付図面に沿って融雪床の実施例につき詳細に説明する。
図1、図2、および図4に示す融雪床は、上側表面が規則性のある傾斜面を形成した積雪層Sと、この積雪層Sの上側表面に設置された、積雪層Sに対して断熱性を備えている底基材2aと、底基材の上部に設置された吸液素材2から構成されている。吸液素材2は、熱媒体液含有保有量が少なく、流下する熱媒体液の一部を吸収し残りの部分が表面を滑る露出した熱媒体液の流れを形成する任意の幅の主要移動経路4と、前記底基材2aの上部にあって、この主要移動経路4の側部に位置し、主要移動経路に比べて流速の遅い熱媒体液の副移動経路5とを有している。これら主要移動経路4と副移動経路5は、前記積雪層Sの傾斜面に沿った面状流下面を形成している。図中にて、参照番号1は底基材に設けた断熱材である。この断熱材は予め底基材に接着しておくことができ、あるいは底基材とは別の素材として用意しておくことができる。
【0018】
面状流下面は底基材2aの上部に設置された吸液素材2から構成されている。底基材は、感圧接着剤の層、合成樹脂面状流下面、合成樹脂フィルムと金属ホイルまたは金属蒸着層の複合層材料、プラスチック製またはゴム製の磁石面状流下面、金属薄板、合成樹脂板、側部に縁を備えた金属製またはプラスチック製のトレイから構成することができる。
【0019】
また、底基材2aは、第4図に示す如く、吸液素材2よりも幅を広く設定し、底基材の側縁部2cが吸液素材の側縁部の外へ広がるように構成することができる。底基材には撥水性素材を使用することができる。露出した底基材表面の撥水性により面状流下面の持つ流下拘束性能はさらに高まることになる。
【0020】
前記底基材2aは、側部に縁を備えた金属製またはプラスチック製のトレイから構成することも可能である。
【0021】
積雪面1は吸液素材2で覆われる。図1、図2および図4に示す吸液素材2は細長いストリップ状の形態をしており、適当に間隔を置いて配置される。
この吸液素材に沿って熱媒体が流される。熱媒体は融雪の呼び水となる性質を備えた熱媒体液、例えば、地下水、温泉水、ボイラー水等の温水である。吸液素材に沿って流下する熱媒体は雪粒子が吸収する。降雪粒子に吸液素材から流下する熱媒体の一部を吸収させれば雪の白色は消え、透明なシャーベットが形成される。シャーベットの比重は1よりも小さいため、熱媒体に浮揚するシャーベットがあれば、この浮遊状態のシャーベットは熱媒体の流速エネルギーにより移動経路に沿って移動し易くなる。
吸液素材の配列間隔、幅および厚み、熱媒体の温度および流量は選択事項である。
【0022】
熱媒体の熱により生じた融雪水は吸液素材2が保持し、流下熱媒体と融雪水を含浸する平面蓄熱体が形成される。融雪水は低温ではあるが所定の熱量を所有しており、この熱も有効利用される。こうして、吸液素材の移動経路は平面放熱体を形成し、この移動経路の上方に位置する雪を他の部分の雪に先行して融雪させることができる。
【0023】
降雪量が多く、吸液素材2の移動経路を流れる熱媒体の保有熱量が即時の融雪に必要な熱量よりも少なければ雪は堆積していく。この堆積した雪は、移動経路が面状放熱体として機能するため、下側から溶けながら徐々に沈み込みトンネルはできにくい。この移動経路の上方に位置する雪を他の部分の雪に先行して融雪させることにより積雪表面に顕著な凹凸面が形成される。この凹凸面の出現により積雪表層の露出表面積を拡大し、外気温または直達日射により、また吸液素材から積雪面に伝達される熱により融雪を促進することができる。
【0024】
前記熱媒体は連続的または間欠的に供給される。間欠的に供給する場合、移動経路に沿って流下する熱媒体にパルス波動を生じさせるように流量を変動させることも可能である。こうした間欠的供給によれば、シャーベットの運搬能率が高まることがある。
【0025】
主要移動経路4は厚みが薄く、含浸保有しきれない多くの熱媒体が経路表面上を露出した状態で滑りながら流下する主流を形成する。主流の両側に配置された熱媒体液含浸保有量の大きな副移動経路は主要移動経路よりも多くの熱媒体を含有し、この副移動経路に沿って比較的流量の少ない流速の遅い副流が形成され、これら熱媒体の主流と副流は互いに隣接して位置し、吸液素材の全面に沿って流下していく。
【0026】
特別豪雪地帯で使用する吸液素材には、例えば、主要移動経路に1平米当たり100cc〜180ccの地下水が供給される。主要移動経路を移動する熱媒体液は副移動経路の側縁部から副移動経路内に侵入し、副移動経路を飽和させる。
【0027】
前述の移動経路には、電気発熱体を埋設したり、あるいは熱媒体の循環する閉路配管を予め包み込んでおくことも可能である。
【0028】
前記吸液素材の移動経路の少なくとも一部は、図2に示すように、熱媒体の移動方向に沿って疎水素材3で覆い保温することができる。疎水素材で覆われた部分には、中空な連続する通路部分を設けておき、吸液素材が凍結してもこの配管通路部に流す熱媒体により移動経路を解氷し、または経路を保温することができる。
【0029】
前述した移動経路は、各々が独立する面状流下面ストリップに構成されているが、互いに隣接するもの同士は任意の素材により接続することができる。図5はそうした例を示している。
【0030】
前記吸液素材には、主要移動経路を親液性繊維、例えば、ビニロンのような吸水繊維またはビニロンとポリエステルからなる複合繊維を用いて構成し、また副移動経路をポリエステルのような疎液性繊維を用いて構成した織布、不織布または編布を使用することができる。また、主要移動経路は平織りとし、副移動経路は繊維使用量の多い綾織りとする等、任意の織り方を採用できる。熱媒体液吸収性に劣る移動経路とは、必ずしも疎液性繊維を使用した部分であるというわけではなく、親液性繊維を使用した熱媒体液吸収性に劣る移動経路も含まれる。親液性繊維を使用していたとしても、疎液性繊維の部分に比べてスポット吸収性に劣るならば熱媒体液吸収性に劣る移動経路であると言える。熱媒体液吸収性については、繊維の張力を変えることである程度調節することが可能である。
【0031】
前記織布は疎液性の縦糸と横糸を使用して織られた織布生地からなり、この織布生地の縦糸に加えて親液性の縦糸の密集した部分をすじ状に織り込み、疎液性の織布生地の部分に隣接して親液性の縦糸の密集した主要移動経路となる部分を設けて構成することができる。
【0032】
また、前記不織布は、主要移動経路となる親液性繊維の密集した部分の側部に副移動経路となる疎液性繊維の密集した部分を隣接して設けることができる。
【0033】
また前記織布は、親液性の縦糸と横糸を使用して織られた織布生地から構成し、この織布生地の縦糸に加えて側部に副移動経路となる疎液性の縦糸の密集した部分を織り込み、親液性の織布生地の部分と疎液性の縦糸の密集した部分を隣接して設けてもよい。
【0034】
あるいは、前記織布を親液性の縦糸を使用して織られた織布生地から構成し、織布生地の縦糸に加えてこの生地縦糸よりもさらに熱媒体液吸収性に富む保液性の縦糸の密集した部分をすじ状に織り込み、副移動経路となる前記親液性の織布生地の部分と主要移動経路となる前記保液性の縦糸の密集した部分を隣接して設けることもできる。
【0035】
さらに、前記織布は親液性の縦糸を使用して織られた織布生地から構成し、織布生地の縦糸に加えてこの生地縦糸よりも太い径の親液性の縦糸の密集した部分をすじ状に織り込み、副移動経路となる前記親液性の織布生地の部分と主要移動経路となる前記太い径の親液性の縦糸の密集した部分を隣接して設けるようにもできる。
【0036】
前記織布は疎液性の縦糸を使用して織られた織布生地から構成し、織布生地の縦糸に加えてこの生地縦糸よりも太い径の疎液性の縦糸の密集した部分をすじ状に織り込み、副移動経路となる前記疎液性の織布生地の部分に隣接して前記太い径の疎液性の縦糸の密集した主要移動経路を形成することも可能である。
【0037】
前述の構造とは異なり、前記吸液素材は、基材層とこの基材層に接着した熱媒体液吸収性に富むその他の任意の材料、例えば、粉体塗装層の主要移動経路と、この主要移動経路の側部に配置された熱媒体液吸収性に劣る粉体塗装層から構成することができる。
【0038】
また、前記吸液素材は、屋根表面に接着した溶射粉体塗装層から構成することができる。
【0039】
この方法とは別に、吸液素材は、熱媒体液吸収性に劣る基材層とこの基材層表面を加工して形成された熱媒体液吸収性に富む荒い細かい凹凸表面の部分から構成し、熱媒体液吸収性に劣る基材層表面の部分が副移動経路を形成し、熱媒体液吸収性に富む凹凸表面の部分が主要移動経路を形成するようにもできる。
【0040】
あるいは、前記吸液素材は親液性繊維と疎液性繊維の両方の繊維を混合したものからなり、主要移動経路に相当する部分がこれに隣接する副移動経路に相当する部分よりも親液性繊維の比率が高くなるようにして構成することもできる。
【0041】
図3は、織布を用いて構成した融雪面状流下面の一例を示している。図中にて、参照番号6は主要移動経路4を構成する縦糸である。この縦糸は、例えば、十番手(綿糸換算)相当のポリエステル(芯材)/ビニロン(周囲螺旋巻付け)の複合糸を3本撚り合わせたものを2本引き揃えて構成されている。また側部の副移動経路5は、太いポリエステル撚り糸を縦糸7に用いた綾織り部分であり、前記主要移動経路4と副移動経路5を構成する横糸8は、十八番手のポリエステル糸4本の撚り糸から構成されている。
【0042】
図示の織布構造によれば、ポリエステル/ビニロン複合縦糸のうちビニロンの部分が優れた吸液性を示す。このビニロンの繊維部分は収縮傾向を示すがポリエステルに沿って動き、織布そのものに影響はない。また、この複合縦糸は2本づつ引き揃えて配置したため、熱媒体はこの縦糸に沿って移動しようとする傾向を示す。
【0043】
前述の織布構造の融雪床を融雪面状流下面として使用する実験を行った。融雪面状流下面は南東向きの瓦棒風鉄板屋根、20列に張り付けて使用した。面状流下面の長さは12m、幅は40cmであった。各列の面状流下面には、4つの主要移動経路(それぞれ幅は75mm)と3つの副移動経路(30mm幅)が隣接して配置されている。主要移動経路の各々には、約12℃の地下水が1平米当たり120cc/分の割合で供給された(熱媒体液の供給パイプは、6m間隔で2列配置した)。底基材には断熱性はなく、上下方向に放熱している。実験の結果、外気温が0℃の付近にあって、どのような降雪状態の下でも3cm以上の積雪は認められなかった。面状流下面の持つ平面放熱体としての性能が面状流下面全面に渡って均一に作用しており、この作用は熱媒体の流下が精度よく規正されていることの証明である。
【0044】
吸液素材を繊維質のものから構成する場合、繊維の種類は、別段、前述したものに限定されない。移動経路を構成する材料の全部または一部を、炭素繊維のような難燃性繊維またはガラス繊維のような不燃性繊維から構成し、火災に対し予め配慮しておくとよい。尚、こうした繊維の表面性状は熱媒体液との馴染みを考慮して適宜、調整しておかれる。
【0045】
前記主要移動経路と副移動経路の数、幅寸法、経路長さは選択事項である。図5の主要移動経路と副移動経路は横に隣接して配置されている。
含水量の少ない比較的ドライな雪に比べて、ウエットな雪の場合、移動経路の上部に雪のブリッジができやすいため、移動経路の幅または本数を大きく設定しておくのがよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】融雪床の一例を示す斜視説明図。
【図2】融雪床の他の例を示す斜視説明図。
【図3】融雪床の別の例を示す斜視説明図。
【図4】織布により構成した吸液素材の例を示す拡大説明図。
【図5】融雪床のその他の例を示す斜視説明図。
【符号の説明】
1 断熱材
2 吸液素材
2a 底基材
2c 底基材の側縁部
3 疎水素材
4 主要移動経路
5 副移動経路
6 主要移動経路の縦糸
7 副移動経路の縦糸
8 織布の横糸
9 主要移動経路の溝

Claims (4)

  1. 上側表面が規則性のある傾斜面を形成した積雪層と、この積雪層の上側表面に設置された、積雪層に対して断熱性を備えている底基材と、底基材の上部に設置された吸液素材からなり、当該吸液素材は、熱媒体液含有保有量が少なく、流下する熱媒体液の一部を吸収し残りの部分が表面を滑る露出した熱媒体液の流れを形成する任意の幅の主要移動経路と、前記底基材の上部にあって、この主要移動経路の側部に位置し、主要移動経路に比べて流速の遅い熱媒体液の副移動経路とを有し、前記主要移動経路と副移動経路が前記傾斜面に沿った面状流下面を形成している融雪床。
  2. 請求項1に記載された融雪床において、吸液素材の面状流下面は面状放熱体として作用し、この平面放熱体の上方に位置する雪を、融雪床を布設していない隣接区域の雪に先行して融雪させることにより積雪表面に顕著な凹凸面を形成し、この凹凸面の出現により積雪表層の露出表面積を拡大して外気温若しくは直達日射により融雪を促進する融雪床。
  3. 上側表面が規則性のある傾斜面を形成した積雪層と、この積雪層の上側表面に設置された、上側方向と下側方向への放熱面を形成した底基材と、底基材の上部に設置された吸液素材からなり、当該吸液素材は、熱媒体液含有保有量が少なく、流下する熱媒体液の一部を吸収し残りの部分が表面を滑る露出した熱媒体液の流れを形成する任意の幅の主要移動経路と、前記底基材の上部にあって、この主要移動経路の側部に位置し、主要移動経路に比べて流速の遅い熱媒体液の流れを形成する副移動経路とを有し、前記主要移動経路と副移動経路が前記傾斜面に沿った面状流下面を形成している融雪床。
  4. 上側表面が規則性のある傾斜面を形成した積雪層と、この積雪層の上側表面に設置された底基材と、底基材の上部に設置された吸液素材からなり、当該吸液素材は、熱媒体液含有保有量が少なく、流下する熱媒体液の一部を吸収し残りの部分が表面を滑る露出した熱媒体液の流れを形成する性質の主要移動経路と、前記底基材の上部にあって、この主要移動経路の側部に位置し、主要移動経路に比べて流速の遅い熱媒体液の流れを形成する性質の副移動経路とを有し、前記主要移動経路と副移動経路が前記傾斜面に沿った融雪水のための面状流下面を形成している融雪床。
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