JP3600842B2 - 画像表示体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、基材状に作製された任意の凸状線群或いは凸状点群において、それを構成する個々の線或いは点の、ある特定の照明にたいする表面の直接反射光の強度の差異によって潜像情報が発現する画像表示体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、米ドル券の偽造については、デジタルカラーコピー機等による2次元的複写のレベルにはとどまらず、真券製造に用いる凹版印刷機と同一タイプの凹版印刷機を使用し、真券と寸分の狂いもない凹版印刷による精巧な偽造がなされるまでに事態は深刻化している。このような偽造券においては、もはや専門家ですら真偽判別が困難な状況となっており、通常の凹版画線では偽造防止効果や真偽判別の能力が低下してきている。その結果、観察する角度によって2色性をしめすような光学的変化凹版インキを使用したり、ホログラム等の光学的変化素子を貼付せねばならない状況にあり、これらの機能性材料、機能性素子を新たに採用することは、材料コスト及び生産コストの極めて著しい増加を招く結果となっている。
【0003】
本来、凹版印刷あるいは凹版版面を用いたエンボッシングにより基材上に作製された凸状の画線または点は、凹版転写の原理上3次元形状の転写が不可能な側面部を除いた部位の3次元形状の設計が可能であるにもかかわらず、凸状の画線または点の高低差程度の設計概念しかもたれていない。従って、凸状の画線または点の側面部を除く部位の形状設計の試みや、その実現に必要な具体的な凹版版面の製造方法、そして得られた凸状の画線または点の光学的特性や偽造防止技術への応用はなされていなかった。
【0004】
本出願人は、従来法による万線の配列方向の差異や、画線の高さの差異を利用したもの、或いは機能性インキを利用したものとは根本的に異なり、法線方向制御による4軸NC工作機の加工特徴を利用し、基材上に作製された、凹版転写の原理上3次元形状の転写の不可能な側面部を除いた部位の3次元形状の設計、彫刻形成について試み、単一の凹版画線及び/又は点において、部分的に直接反射光に強度差を生じるような画線形状を転写可能な、凹版版面を彫刻形成する方法を提案した。この発明では、単一の凹版画線及び/又は点の側面部を除いた部位の具体例としてはジグザグ平面を用い、直接反射光の強度を異ならせる手法としてはそのジグザグ平面の配列方向を多段階に異ならせ、多段階の反射レベルを用いた有意味情報の潜像化を実現する技術を提供しているが、この発明においても潜像化が可能な有意味情報は、文字、記号、イラストのような、連続的な階調性を持たない、2値画像、あるいは数段階の濃度値の画像に限られていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上の技術的な課題を解決するためになされたものであって、凹版転写により得られた任意形状の配列要素からなる配列パターンにおいて、おのおのの配列要素の表面の直接反射光を配列要素毎に変化させることで、意匠効果が極めて高く、連続階調画像の潜像化が可能な画像表示体を提供することを課題とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、 凹版転写法によって得られた、潜像情報が観察者または読み取り機械にとって伝達、計測するに十分な領域と線密度が確保されている線群及び/または点群において、前記線群及び/または点群を構成する線及び/または点の側面部を除く部位は、m×n個の複数の正方形領域に分割され、濃度参照用画像から得られた濃度値に対応させて、前記線群及び/または点群を構成する線及び/または点の側面部を除く溝の配列方向を、分割された領域毎に異ならせて形成したことを特徴とする画像表示体である。
【0007】
さらに、 前記線群及び/または点群を構成する線及び/または点の側面部を除く部位の形状はジグザグ形状であり、前記ジグザグ形状の配列方向は、前記濃度参照用画像から得られた濃度値に対応させて、前記分割された正方形領域毎に異なることを特徴とする画像表示体である。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために、凹版転写法によって得られた、任意の形状を配列要素とし、x軸方向にm個、y軸方向にn個並ぶm×n個からなるドットパターンにおいて、前記おのおのの配列要素であるドットの側面部を除く部位は、濃度参照用画像から 得られた濃度値に対応させて、前記ドットの側面部を除く溝の配列方向を、ドット毎に異ならせて形成したことを特徴とする画像表示体である。
さらに、前記おのおのの配列要素であるドットの側面部を除く部位の表面形状はジグザグ形状であり、前記ジグザグ形状の配列方向は、前記濃度参照用画像から得られた濃度値に対応させて、前記おのおののドット毎に異なることを特徴とする画像表示体である。
また、前記直万線状カッターパスの配列方向は、前記m×n個の複数の正方形領域及び/またはx軸方向にm個、y軸方向にn個並ぶm×n個からなるドットパターンの配列要素の位置情報(m,n)に基づき濃度参照用画像の濃度参照から得られた濃度値Tの関数によって決定し、前記直万線状カッターパスに基づいて、前記彫刻形成された凹版版面から得られ、前記濃度参照用画像が潜像として表現されることを特徴とする画像表示体である。
【0009】
さらに、前記濃度値Tは256段階で表現されるものとし、また、直万線状カッターパスの配列方向の角度は、前記濃度値Tと比例関係にあり、0〜90度の間の値で変化する画像表示体である。
【0010】
さらに、画像表示体を基材上に印刷する際に、通常の凹版インキに比較してより大きな直接反射光を発する金属粉体が分散された凹版インキや、ワニス配合比率が高く、より光沢性のある凹版インキで印刷することを特徴とする画像表示体である。
【0011】
また、画像表示体を得るための凹版版面から得られたエンボス形状を、認証マークとして用いることを特徴とする画像表示体である。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明に係る画像表示体の実施の形態を実施例に基づいて図面を参照して説明する。
【0013】
(実施例)本出願人は、用紙上に描かれた任意の線画から、輪郭追跡等の処理を経て、法線方向制御によるNC工作機械用の切削データを作製する凹版版面の直刻方法を提供した。ここで、法線方向制御とは、X、Y、Z軸のバイトの位置データのほかに、バイトの進行方向を4軸目として制御するものであり、切削バイトは高速回転せずに、バイトの切削面が常に画線の法線方向と平行になるように制御され、彫刻用の基材を引っ掻くような要領で細かい溝が彫刻される。バイトが高速回転しないために、彫刻された画線の輪郭は非常になめらかである。また、彫刻された細かい溝の断面形状は、彫刻バイトの切削面の形状がそのまま反映されることが特徴である。また、前記発明によれば、任意の線画、点画において輪郭データさえ共通のものを使用すれば、その2次元形状を変えることなく、線画、点画の内部の切削データは任意の形態をとることができ、従って、凸状の画線または点の側面部を除く部位の3次元的な設計、彫刻形成が可能であり、本発明はその特徴を有効に利用している。
【0014】
本発明を印刷用紙上に印刷された凹版ドットパターンを用いた実施例により説明する。図1は、本発明の画像表示体を構成する凹版ドットパターンの配列要素である任意の1個の円ドットのモデル図を示したものであり、印刷用紙A、輪郭画像部B及び上底面Cからなる。
【0015】
図2は、前記円ドットを得るための凹版版面を彫刻するためのカッターパス(工具経路)を示したものであり、輪郭部を彫刻するためのカッターパスDと画線内部を彫刻するためのカッターパスEからなる。
【0016】
前記図1において、輪郭画像部Bとは、図2の円ドットの輪郭を切削するカッターパスDに基づいて、NC工作機械により彫刻形成された凹版版面から得られた、いわば実質的には印刷基材上に印刷された凹版画線の側面部に相当する部位であり、上底面Cとは、図2の円ドットの内部を彫刻形成する直万線状カッターパスEに基づき、彫刻深度をカッターパスDと等しくして彫刻形成された凹版版面から得られた、いわば実質的には印刷基材上に印刷された凹版画線の側面部を取り除いた部位に相当する。また、直万線状カッターパスEにより得られる上底面Cのジグザグ形状は、彫刻バイトの先端形状が二等辺三角形のものを使用し、法線方向制御によるNC工作機械を使用する版面製作方法により得られる。
【0017】
本実施例の配列要素を得るためのカッターパスの具体的な設計値は、図2に示すように、円ドットの直径400ミクロン、ジグザグ形状のピッチを40ミクロンとしている。次に、図2に示す円ドットを彫刻形成するカッターパスを、横右側方向に500ミクロンの間隔で60個、縦上側方向に500ミクロンの間隔で80個配置する。なお、上底面Cを彫刻形成する直万線状カッターパスEの配列方向は、おのおのの円ドットにおいて同じ方向でなければならない。本実施例では、直万線状カッターパスEの配列方向は全て水平方向とした。
【0018】
ここで、おのおのの円ドットは次の式(1)により、x方向、y方向の相対的な位置情報が特定されるものとする。
(m,n)(m=1,2,3…60、n=1,2,3…80)・・・(1)
mは、円ドットがx軸方向に並ぶ位置を表す整数値で、1から横方向の円ドット総数60まで変化する。nは、円ドットがy軸方向に並ぶ位置を表す整数値で、1から縦方向の円ドット総数80まで変化する。従って、例えば、左から25番目で下から4段目の円ドットの位置情報(m,n)は、(m,n)=(25,4)と定義される。
【0019】
図3は、円ドットがx軸方向にm個、y軸方向にn個配置し、8bit、256階調のグレースケールのビットマップ画像を濃度参照用画像Fとしてコンピュータメモリ上に入力したものである。ここで、濃度参照用画像の任意位置の画素の濃度値Tは、円ドットの位置情報(m,n)から、次の式(2)のコンピュータ処理(濃度参照[x][y])によって取得するものとする。
濃度値T=濃度参照[x][y] (0<濃度値T<255)・・・(2)
ここで(濃度参照[x][y])は、xとyの値に、前記式(1)の位置情報(m,n)が代入されることによって濃度値Tを参照することができる、一般に公知なコンピュータ処理を表す。一例として、図3のGで示される白い四角形で囲まれた、下から4段目、左から25番目の画素の濃度値Tは、178=濃度参照[25][4]、と表記される。
【0020】
次に、式1における円ドットの位置情報(m,n)を、順次、式2のコンピュータ処理に代入し、その結果、円ドットの位置情報に対応したそれぞれの濃度値Tを得る。次に得られた濃度値に比例した角度量で、おのおのの円ドットに対して回転操作を行う。本実施例においては、円ドットに与える回転操作の値(Ang)は、グレースケールのビットマップ画像の濃度をTとすると、次の式(3)によって与えられる。
Ang=90×(255−D)/255・・・(3)
【0021】
前記式(3)の回転角度の算出式によれば、濃度値Tが最小値0の時、0度(不変)となり、濃度値Tが124の時、右回りに45度、そして濃度値Tが最大値255の時、右回りに90度といったように回転操作の値が得られる。
【0022】
図4は、この回転操作の値に基づき、前記図2に示す円ドットを、横方向に500ミクロン間隔で60個、縦方向に500ミクロン間隔で80個配置し、おのおのの円ドットを彫刻形成するカッターパスに対して回転操作を行い、その結果の一部を示したものである。
【0023】
なお、角度の算出式は、本実施例に限定されず、濃度値Tの関数であれば任意である。また、後述する観察環境のもとでは右回り、左回り、又はその両者が混在した場合のいずれの回転操作を施した場合でも、潜像の発現性、視認性には影響を与えない。なお、配列パターンの配列要素が本実施例のように真円ではなく、楕円または多角形である場合、または配列要素の形状がおのおので異なる場合において、配列要素の回転操作によって、デザイン上支障があるようならば、輪郭画像部Bを彫刻形成するカッターパスDは不変のままとし、上底面Cの彫刻形成を行うカッターパスEだけに対し回転操作を行えばよい。
【0024】
次に、図5に示すような2等辺直角3角形を切削面の形状としてもつ彫刻バイトを使用し、深度を−40ミクロンに設定し、前記図4で得られたカッターパスにしたがい彫刻を行い、凹版版面を得た。
【0025】
なお、本カッターパスにおいて深度の設定値は−20ミクロンまで小さく設定することができる。それ以上に小さく設定した場合、削り残しが発生し、画線に白抜けの領域が発生するので注意が必要である。また、法線方向制御による切削法によって彫刻された溝の断面形状は、彫刻バイトの切削面の形状がそのまま反映されるので、本実施例においては、図5に示すような2等辺直角3角形の形状のものを使用したので、上底面Cにおける円の中心を通る垂直方向の断面形状は、図6のHで示されるようなジクザク形状が彫刻形成される。
【0026】
また、印刷適性などの事情により、印刷画線の高さを例えば10ミクロンといったように極めて低い設計値が要求される場合には、上底面Cのカッターパスの画線ピッチを20ミクロンと設定すればよい。この場合、上底面Cを彫刻形成する部位のカッターパスの本数は、図2に示される本数と比較して2倍程度を必要とするが、画線内部の削り残しを回避することができる。また、深度を−10ミクロンと設定した場合、図2におけるカッターパスDの削り幅が減少し、円ドットの直径が小さくなってしまうので、求められる設計精度に応じて外側にオフセットしてもよい。
【0027】
以上のようにして作製された版面と通常の紺色の凹版インキを用いて、一般に公知な方法により印刷を行い印刷物を得た。この印刷物は、通常の照明下において、正面(真上)から観察すると円ドットを配列要素とする単なる配列パターンにしか見えず、そこに潜像を見出すことはできない。また、カッターパスD、Eの彫刻深度は全て等しく、また配列パターン全体に対しても彫刻深度は全て等しいため、ただ傾けたりして観察しても潜像情報は顕在化しない。また、上底面Cのジグザグ形状は、数十ミクロンオーダーで設計された非常に微細な構造であるため、肉眼でそれを観察することは不可能である。また、ルーペ等を使用して上底面Cのジグザグ形状の配列方向の連続的な差異を検出できたとしても、それは局所的な情報にすぎず、そこから全体的な連続階調の潜像情報を復元するのは困難である。
【0028】
しかし、印刷物(M)を照明方向(一般的には上の方)にかざして直接反射光を積極的に取り入れた観察環境(図7)において、観察者(L)には、図3の濃度参照用画像(人物画)において、画素の濃度値が255に相当する90度の回転操作が施された円ドットが、本配列パターンの観察環境において最も際立って(明るく白色に)観察される。施した回転操作の量が小さくなるにつれて反射状態の差異は減少し、前記濃度参照用画像の背景部(ハイライト部)に代表される画素値0の部位は暗く観察される。こうして、連続階調をもった人物画像が容易に顕在化して、ネガイメージとして認識可能となる。
【0029】
また、図8に示すように、通常の照明下において正面から印刷物(M)を観察した場合にも、懐中電灯等(N)を使用して、周囲光を飽和するような強い強度の光を、印刷物の天地方向から印刷用紙面とほぼ平行になるように印刷物に照射して、印刷物に対して正面から観察した場合、観察者(L)には、図3の濃度参照用画像(人物画)において、画素の濃度値が0に相当する回転操作が施されない円ドットの部分が、本配列パターンの観察環境において最も際立って(明るく白色に)観察される。また、施した回転操作の量が大きくなるにつれて反射状態の差異は減少し、濃度参照用画像(人物画)の毛髪部(シャドウ部)に代表される画素値255の部位は暗く観察される。こうして、連続階調をもった人物画像が容易に顕在化して、ポジイメージとして認識可能となる。
【0030】
なお、上底面Cがネガ、ポジどちらのイメージで顕在化するのかは、前記2種類の結果に限定はされず、照明方向にかざすときの印刷物の向き、或いは照明の照射方向に依存する。
【0031】
また、各円ドットの上底面Cのジグザグ形状は非常に微細な形状であるため、肉眼でそれを注意深く観察したとしても、確認することは不可能である。そのため観察者(L)は、本印刷物を、直径400ミクロンの円ドットを配列要素とし、それらから構成される単なる配列パターンとしか実質上認知されないが、30倍程度のルーペでおのおのの画線の、側面部を除いた部位を観察すると、画線間隔40ミクロンの稜線からなる上底面のジグザグ形状をはっきりと観察することができ、真偽判別の根拠として機能する。
【0032】
なお、本実施例では、本発明を円ドットの配列要素からなる配列パターンの場合を例に挙げて説明したが、波状に曲がりくねった万線パターン、同心円パターン等、潜像情報が観察者または読み取り機械にとって伝達、計測するに十分な領域と線密度が確保されているそ線群及び/または点群ならば、任意の画像中に連続階調画像の情報の潜像化が可能である。上記線群及び/または点群から得られたいずれの画像を用いる場合にも、図1に示される輪郭画像部Bに実質的に相当する前記画像の輪郭線データから、その輪郭(側面部)を彫刻形成するためのカッターパスを作製する。
【0033】
その後、前記線群及び/または点群中における、おのおのの画線の輪郭画像部を除く部位(上底面)を、式(1)で特定、あるいは近似できるようなm×n個の、例えば正方形領域に分割する。その後、おのおのの正方形領域の画像内部を彫刻形成するための直万線パターン状のカッターパスの配列方向の角度(Ang)を、式1で得られた位置情報(m,n)から、式3に基づいて、濃度参照用画像の濃度の参照を行い得られた濃度値Tから、式4を用いて算出する。得られた角度(Ang)に基づき、画像内部の彫刻形成を行なう直万線パターンを領域毎に配列し上底面を彫刻形成する。
【0034】
図9は、連続階調の潜像の伝達が十分な領域と線密度が確保されている任意の線群パターン中における一本の画線を取り出し、前記手順に基づき正方形領域に分割した図を示すものであり、図10は、濃度参照用画像の各画素値に対応して直万線パターンの配列方向が連続的に変化している様子を示すモデル図を示すものである。
【0035】
なお、本実施例では上底面の形状としてジグザグ形状を採用しているが、彫刻バイトの切削面の形状に台形形状のものを使用したときに彫刻される、図11に示すような矩形波形状のものでも同様の効果が発揮される。
【0036】
なお、通常の凹版インキに比較してより大きな直接反射光を発する、例えば金属紛体が分散された凹版インキや、ワニス配合比率が高く、より光沢性のある凹版インキを使用すれば、上底面の配列方向の差異に起因する直接反射光の強度差が大きくなるので潜像の発現が効果的である。
【0037】
なお、凹版インキを使用せずに、エンボスによって本発明の万線パターンを作製したとしても同様の効果が発揮され、さらには、写真印画紙やコート紙のような、表面の光沢性が高い用紙上においては潜像の発現がより効果的である。
【0038】
なお、本発明の凹版版面から複製してえられた凸版面による、凹形状のエンボスによって万線パターンを作製したとしても同様の効果が発揮され、さらには写真印画紙やコート紙のような、表面の光沢性が高い用紙上においては潜像の発現がより効果的である。
【0039】
以上、本発明の実施の形態を実施例に基づいて説明したが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲記載の技術的思想の範囲内であれば、その他のいろいろな実施の形態が考えられることはいうまでもない。
【0040】
【発明の効果】
本発明の画像形成体より得られる印刷物は、該印刷物を照明方向にかざすなどして直接反射光を積極的に取り入れて観察したり、UVランプ等の特殊光源ではない通常の懐中電灯やペンライトの光を印刷物の天地方向から印刷用紙面とほぼ平行になるように印刷物に照射して、印刷物に対して正面から観察するだけで、意匠性に富む連続階調の潜像が発現するので、印刷物の真偽判定を簡単に行うことができる。潜像化を行う連続階調画像の一例としては、本実施例でもあげたように、人物の顔画像などが考えられる。たとえば身分証明書などにおいて、本人の顔写真を潜像とした任意のエンボスパターンを身分証明書の一部に入れておくことで、顔写真の違法な張り替えに対するけん制効果を期待できる。
【0041】
また、本発明の画像表示体における潜像化の方法は、従来方法による万線の配列方向の差異や、画線の高さの差異を利用したものと比較して、その潜像化の方法を見破ることが非常に難しい。またその方法が見破られたとしても、広く普及している腐食法による凹版版面の作製方法では、マスキング技術による段階的な腐食方法に基づいた、段階的な腐食深度を達成する程度の設計能力しかないので、本実施例で提案したような微細なジグザグ形状の偽造は極めて困難である。
【0042】
また、本実施例でも述べたように、波状に曲がりくねった万線パターン、同心円パターン、ドットパターン等の潜像としての有意性を伝達するに十分な領域と線密度、点密度が確保されている線群及び/または点群ならば、任意の画像中に、情報の潜像化が可能であるので、本発明を実製品に適用する際にデザイン上の制約も極めて少ない。また、すでに完成された凹版デザインに対して潜像化を施すことも容易である。上記、潜像としての有意性を伝達するに十分な領域と線密度、点密度が確保されている線群、あるいは点群に対し、その内部(側面部を除く部位)のカッターパスを、本実施例のようにピッチ40ミクロンの万線パターン状にしてその配列方向を潜像イメージに基づき異ならせればよい。
【0043】
また、通常の凹版インキを使用して、通常の印刷条件で印刷を行うことができるので、材料コスト及び生産コストの面からみても非常に有利である。
【0044】
また、本発明において、潜像の発現を実現する根拠は、画線、或いは点の表面において、側面(高さ)を除く部位が微細形状であるので、画線、或いは点の高さの設計値が潜像の発現適性に主要な要因として影響を与えることはない。従って、印刷機の特性、印刷適性、後工程の作業性、そして市販に普及している自動販売機などにおける紙幣の読み取り適性が考慮された、画線高さの設計値を阻害することなく適用することができるので実製品への導入も容易である。
【0045】
また、本発明を構成するおのおのの凹版画線はその上底部が微細なジグザグ形状を有しているので、デジタルカラーコピー等による複製はもちろんのこと、実際に凹版版面を偽造し、有価証券印刷の現場と同型の凹版印刷機を使用した大掛かりな偽造に対しても、その凹版版面の作製法自体が、法線方向制御によるNC彫刻機の精密加工能力を有効に利用したものであるので、腐食法などの従来方法では作製し得ないものである。従って、凹版画線の上底部のジグザグ形状は有効な真偽判別の根拠ともなり得る。
【0046】
また、本発明の凹版版面から得られたエンボス用版面(凹凸含む)を、身分証明書類における個人認証用顔写真や、その他貴重文書などの割り印として使用することにより、大掛かりな装置や特殊な器具を必要とせずに、身分証明書類や貴重文書の発行や認証の現場においても、偽造防止効果に優れた機密文書の発行や認証が手軽にできるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像表示体における任意の配列要素のモデル図の一例を示す。
【図2】図1を得るための凹版版面を彫刻するカッターパスを示す。
【図3】濃度参照用画像を示す。
【図4】カッターパスに対し所定の回転操作を行った結果を示す。
【図5】本実施例に用いた切削面の刃先角度が90°の彫刻バイトを示す。
【図6】上底面Cにおける、円の中心を通る垂直方向の断面形状を示す。
【図7】印刷物を照明方向にかざして観察する観察環境を示す。
【図8】強い強度の光を用いた観察環境の例を示す。
【図9】画線内部が正方形領域に分割された図を示す。
【図10】濃度参照用画像の各画素値に対応してカッターパスが配列された図を示す。
【図11】台形形状の彫刻バイトを使用して彫刻した場合の形状を示す。
【符号の説明】
A 印刷用紙
B 輪郭画像部
C 上底面
D 輪郭画像部を彫刻するカッターパス
E 背景上底面を彫刻するカッターパス
F 濃度参照用画像
G 下から4段目の左から25番目の画素
H 配列要素の断面形状
J 画像の断面形状
K 光源
L 観察者
M 印刷物
N 光源
P 画像の輪郭線
Q 正方形領域に分割された画像内部
R 濃度参照用画像
S 角度Angに基づいて配列された直万線状カッターパス
Claims (9)
- 凹版転写法によって得られた、潜像情報が観察者または読み取り機械にとって伝達、計測するに十分な領域と線密度が確保されている線群及び/または点群において、前記線群及び/または点群を構成する線及び/または点の側面部を除く部位は、m×n個の複数の正方形領域に分割され、濃度参照用画像から得られた濃度値に対応させて、前記線群及び/または点群を構成する線及び/または点の側面部を除く溝の配列方向を、分割された領域毎に異ならせて形成したことを特徴とする画像表示体。
- 前記線群及び/または点群を構成する線及び/または点の側面部を除く部位の形状はジグザグ形状であり、前記ジグザグ形状の配列方向は、前記濃度参照用画像から得られた濃度値に対応させて、前記分割された正方形領域毎に異なることを特徴とする請求項1記載の画像表示体。
- 凹版転写法によって得られた、任意の形状を配列要素とし、x軸方向にm個、y軸方向にn個並ぶm×n個からなるドットパターンにおいて、前記おのおのの配列要素であるドットの側面部を除く部位は、濃度参照用画像から得られた濃度値に対応させて、前記ドットの側面部を除く溝の配列方向を、ドット毎に異ならせて形成したことを特徴とする画像表示体。
- 前記おのおのの配列要素であるドットの側面部を除く部位の表面形状はジグザグ形状であり、前記ジグザグ形状の配列方向は、前記濃度参照用画像から得られた濃度値に対応させて、前記おのおののドット毎に異なることを特徴とする請求項3記載の画像表示体。
- 前記ジグザグ形状は、法線方向制御によるNC工作機械を使用し、直万線状カッターパスに基づいて、切削面が二等辺三角形の彫刻バイトを用いて彫刻形成することを特徴とする請求項2または4記載の画像表示体を得るための凹版版面の製造方法。
- 前記直万線状カッターパスの配列方向は、前記m×n個の複数の正方形領域及び/またはx軸方向にm個、y軸方向にn個並ぶm×n個からなるドットパターンの配列要素の位置情報(m,n)に基づき濃度参照用画像の濃度参照から得られた濃度値Tの関数によって決定し、前記直万線状カッターパスに基づいて、前記彫刻形成された凹版版面から得られ、前記濃度参照用画像が潜像として表現されることを特徴とする請求項5記載の画像表示体。
- 前記濃度値Tは256段階で表現されるものとし、また、直万線状カッターパスの配列方向の角度は、前記濃度値Tと比例関係にあり、0〜90度の間の値で変化する請求項5または6記載の画像表示体。
- 前記画像表示体を基材上に印刷する際に、通常の凹版インキに比較してより大きな直接反射光を発する金属粉体が分散された凹版インキや、ワニス配合比率が高く、より光沢性のある凹版インキで印刷することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6または7記載の画像表示体。
- 前記画像表示体を得るための凹版版面から得られたエンボス形状を、認証マークとして用いることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載の画像表示体。
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