JP2002254789A - 網点画像を利用した真偽判別可能な印刷物及びその判別方法 - Google Patents

網点画像を利用した真偽判別可能な印刷物及びその判別方法

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JP2002254789A
JP2002254789A JP2001056969A JP2001056969A JP2002254789A JP 2002254789 A JP2002254789 A JP 2002254789A JP 2001056969 A JP2001056969 A JP 2001056969A JP 2001056969 A JP2001056969 A JP 2001056969A JP 2002254789 A JP2002254789 A JP 2002254789A
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JP2001056969A
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Manabu Yamakoshi
学 山越
Tomokazu Kaneko
智一 金子
Hiroyuki Takahashi
寛行 高橋
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Original Assignee
Printing Bureau Ministry of Finance
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 偽造防止を必要とする貴重印刷物に適用さ
れ、印刷物を傾けることにより、潜像画像が出現し、真
偽判別可能とする。 【解決手段】 光透過性を有する基材(1)と、光反射
性基材(4)を有し、前記光透過性を有する基材(1)
上の表面に、微細な網点から構成される基本画像(2)
を設け、前記基本画像(2)は、背景画像部と少なくと
も一つ以上の潜像画像を施したメッセージ画像部とに区
分けされ、前記背景画像部と前記メッセージ画像部は肉
眼で区別することのできない微細な網点から構成され、
前記背景画像部と前記メッセージ画像部のスクリーン線
数が異なり、且つ、単位面積あたりの網点面積率が等し
く、且つ、前記光透過性を有する基材(1)の前記基本
画像(2)を印刷した領域の裏面に前記光反射性基材
(4)を設け印刷物を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、銀行券、株券、有
価証券、通行券、カード等の偽造、変造を防止する必要
性のある貴重印刷物に適用される、基本画像内に施され
た潜像画像が、印刷物の真上から観察した場合に潜像画
像を肉眼で識別することができず、印刷物を傾けること
により、潜像画像が出現する真偽判別可能な印刷物及び
その判別方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、銀行券、株券、有価証券、通行
券、カード等の偽造、変造を防止する必要性のある貴重
印刷物において、印刷物を傾けて観察することにより潜
像画像を認識できるようにして真偽判別を行う技術は公
知であり、凹版印刷物の画線構成を利用するもの、凹凸
基材と印刷画線を利用するもの、レンチキュラー板を利
用するもの、規則的な画線パターンを利用するもの、ホ
ログラム等が挙げられる。
【0003】前記凹版印刷物の画線構成を利用し、潜像
画像を出現させるもの、例えば、凹版印刷された万線に
潜像画像となる画線部を高い画線で構成し、その他の凹
版印刷画線の非画線部を画線部より低い画線で構成して
いる。このことにより、印刷物の角度を変えて観察する
と非画線部より画線部の方が早く、万線間隔が画線の高
さにより閉ざされ潜像画像が発現するものが開示されて
いる(特公昭56−19273号公報)。しかしこの方
法では、万線方向からは潜像画像が発現せず、万線に対
して直角方向でしか発現しない。また、画線部と非画線
部との高さの差でしか潜像画像が発現しないため、潜像
画像が見える角度まで限定され、容易に潜像画像を確認
できない。また、画線の幅が均一で向きが異なることに
より潜像画像を発現させるものがある。しかし、この方
法では、目視により容易に潜像画像を形成する場所が確
認できてしまうという欠点がある。また、凹版印刷方式
で印刷しなければならないため、他の印刷方式に比べコ
ストが高い問題があった。
【0004】前記凹凸基材と印刷画線を利用するもの、
例えば、本出願人は、各種万線模様又はレリーフ模様、
及びそれら双方の模様のいずれかの凹凸形状を有する素
材と、前記素材の色及び無色透明以外の異なった他の色
による一定な間隔を持つ各種万線画線又は網点画線、及
びそれら双方の画線のいずれかとを組み合わせることに
よって、印刷物の角度を変えて観察する時にのみ、特定
の文字、図柄などが認識できるようにした潜像模様形成
体とその作製方法(特許第2615401号)として登
録されている。しかしながら、凹凸形状を有する素材
と、各種万線画線又は網点画線との刷り合わせが難しい
欠点がある。
【0005】前記レンチキュラー板を利用するもの、例
えば、レンチキュラー板を用いて、観察角度を変えるこ
とにより当月、翌月のカレンダー表示を選択的に視認可
能なカレンダーとして開示されている(実開昭51−6
7043号公報)。しかしながら、レンチキュラー板は
コストが高く、レンチキュラーレンズ自体に厚みがり、
製品自体に厚みが生じるため、薄い印刷物には不向きで
あり、更に、レンチキュラー板は凹凸形状を有するた
め、変形しやすく、破損する恐れがあった。
【0006】前記規則的な画線パターンを利用するも
の、例えば、略透明な基材と、前記基材の一方の面に形
成された第1偽造判別層と、前記基材の他方の面に形成
された第2偽造判別層とを有する偽造判別媒体であっ
て、前記第2偽造判別層は、規則的なパターンを備え、
前記第1偽造判別層は、前記第2偽造判別層のパターン
と周期のずれたパターンのパターン領域を備え、前記パ
ターン領域は、前記基材の上方から目視すると、前記第
2偽造判別層のパターンと一体となって、一様に塗り潰
されて見えるが、前記基材を傾斜して目視すると、前記
第2偽造判別層のパターンと重なって、その形状が判別
可能になることを特徴とする偽造判別媒体として開示さ
れている(特開平11−254869号公報)。しか
し、第1偽造判別層と第2偽造判別層との刷合せが困難
であり、ある特定の角度の方向でしか潜像画像が認識で
きず、あらゆる角度で異なる潜像画像を出現させること
はできなかった。また、二つ以上の潜像画像を重ねてデ
ザインすることはできなかった。このため、偽造防止と
いう点では単純すぎ、改良の余地があった。
【0007】また、近年、偽造防止効果の高い手段とし
てホログラムが挙げられるが、ホログラムは高度な技
術、設備等によりコストが高く、少量生産には不向きで
あった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】以上のことから、本発
明は前述した問題点を解決することを目的としたもの
で、ミクロン以上の厚みを有した光透過性を有する基材
の表に網点による画像を印刷し、基材の裏に光反射性基
材を設けた場合、基材の表の網点による画像は裏の光反
射性基材に反射し写し出され、印刷物を傾けると、基材
の厚みにより、表の網点の非網点部から裏の光反射性基
材に写し出された網点が認識することを見出した。
【0009】基本画像内に施された潜像画像が、印刷物
の真上から観察した場合に潜像画像を肉眼で識別するこ
とができず、印刷物を傾けることにより、潜像画像が出
現する真偽判別可能な印刷物及びその判別方法であっ
て、360度どのような角度から印刷物を傾けても潜像
画像を認識することが可能であり、デザインの制限を受
けることなく、凹版印刷方式以外の他の印刷方式でも容
易に印刷でき、コストが低く、表裏合成印刷しないため
刷合せの問題がなく、レンチキュラーレンズを用いるこ
となく、薄い製品にも対応でき、真偽判別装置等を用い
ずに誰でもその場で真偽判別することが可能な真偽判別
可能な印刷物及びその判別方法を提案することを目的と
する。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、基本画像内
に施された潜像画像が、印刷物の真上から観察した場合
に潜像画像を肉眼で識別することができず、印刷物を傾
けることにより、潜像画像が出現する真偽判別可能な印
刷物において、光透過性を有する基材と、光反射性基材
を有し、前記光透過性を有する基材上の表面に、微細な
網点から構成される基本画像を設け、前記基本画像は、
背景画像部と少なくとも一つ以上の潜像画像を施したメ
ッセージ画像部とに区分けされ、前記背景画像部と前記
メッセージ画像部は肉眼で区別することのできない微細
な網点から構成され、前記背景画像部と前記メッセージ
画像部のスクリーン線数が異なり、且つ、単位面積あた
りの網点面積率が等しく、且つ、前記光透過性を有する
基材の前記基本画像を印刷した領域の裏面に前記光反射
性基材を有することを特徴とした真偽判別可能な印刷物
である。
【0011】また、本発明は、基本画像内に施された
潜像画像が、印刷物の真上から観察した場合に潜像画像
を肉眼で識別することができず、印刷物を傾けることに
より、潜像画像が出現する真偽判別可能な印刷物におい
て、光透過性を有する基材と、光反射性基材を有し、前
記光透過性を有する基材上の表面に、微細な網点から構
成される基本画像を設け、前記基本画像は、背景画像部
と少なくとも一つ以上の潜像画像を施したメッセージ画
像部とに区分けされ、前記背景画像部と前記メッセージ
画像部は肉眼で区別することのできない微細な網点から
構成され、前記背景画像部と前記メッセージ画像部のス
クリーン線数が異なり、且つ、単位面積あたりの網点面
積率が等しく、且つ、前記光透過性を有する基材の前記
基本画像を印刷した領域以外の裏面に前記光反射性基材
を有することを特徴とした真偽判別可能な印刷物であ
る。
【0012】また、本発明は、前記背景画像部及び前
記メッセージ画像部のスクリーン線数の範囲が、どちら
か一方の画像部を基準としたとき、もう一方の画像部の
スクリーン線数が基準となる画像部のスクリーン線数の
1.1倍以上となるように構成されていることを特徴と
した又は記載の真偽判別可能な印刷物である。
【0013】また、本発明は、前記背景画像部及び前
記メッセージ画像部の網点面積率の範囲が、20%〜6
0%で構成されていることを特徴とした、又は記
載の真偽判別可能な印刷物である。
【0014】また、本発明は、前記記載の印刷物を
前記基本画像と前記光反射性基材を重ね合せ印刷物を傾
けて真偽判別することを特徴とした真偽判別方法であ
る。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明は、光透過性を有する基材
と、光反射性基材を有し、前記光透過性を有する基材上
の表面に、微細な網点から構成される基本画像を設け、
前記基本画像は、背景画像部と少なくとも一つ以上の潜
像画像を施したメッセージ画像部とに区分けされ、前記
背景画像部と前記メッセージ画像部は肉眼で区別するこ
とのできない微細な網点から構成され、前記背景画像部
と前記メッセージ画像部のスクリーン線数が異なり、且
つ、単位面積あたりの網点面積率が等しく、且つ、前記
光透過性を有する基材の前記基本画像を印刷した領域の
裏面に前記光反射性基材を有することにより、光透過性
を有する基材上に印刷された基本画像は、光透過性を有
する基材の裏面に設けた光反射性基材に写しだされる。
この印刷物を真上から、すなわち印刷物面の鉛直線上に
観察点を置いて印刷物を観察した限りにおいては、光反
射性基材に写しだされた基本画像の影響を受けることな
く、明度の薄い一様なベタに近い印刷領域として認識さ
れ、背景画像部とメッセージ画像部における網点のスク
リーン線数に起因する潜像の顕像化は発生しない。
【0016】しかし、前記印刷物を傾けて観察した場
合、透過性を有する基材の厚さから、背景画像部の非網
点部から光反射性基材に写し出された背景画像部の網点
が認識され、また、メッセージ画像部の非網点部から光
反射性基材に写し出されたメッセージ画像部の網点が認
識され、背景画像部とメッセージ画像部のスクリーン線
数の違いにより、粗いスクリーン線数は細かいスクリー
ン線数より網点面積率が増加しているように観察できる
ため、背景画像部とメッセージ画像部の網点面積率に差
が生じているように見える。よって、背景画像部とメッ
セージ画像部に明度差が生じ、メッセージ画像部が認識
できる。更に、印刷物に対して水平に近い角度で観察す
ると、観察角度と反射光の影響を受け、背景画像部はネ
ガからポジ画像に変化し、メッセージ画像部はポジから
ネガ画像に変化して認識できる。
【0017】更に、本発明は、光透過性を有する基材
と、光反射性基材を有し、前記光透過性を有する基材上
の表面に、微細な網点から構成される基本画像を設け、
前記基本画像は、背景画像部と少なくとも一つ以上の潜
像画像を施したメッセージ画像部とに区分けされ、前記
背景画像部と前記メッセージ画像部は肉眼で区別するこ
とのできない微細な網点から構成され、前記背景画像部
と前記メッセージ画像部のスクリーン線数が異なり、且
つ、単位面積あたりの網点面積率が等しく、且つ、前記
光透過性を有する基材の前記基本画像を印刷した領域以
外の裏面に前記光反射性基材を有することにより、この
印刷物の基本画像と裏面の前記光反射性基材を重ね合
せ、印刷物を傾けて観察した場合に上記記載と同様の効
果を得ることができる。
【0018】本発明の印刷物を傾けた場合、潜像画像を
出現させるには、背景画像部とメッセージ画像部のスク
リーン線数が異なっている必要があり、どちらか一方の
画像部を基準としたとき、もう一方の画像部のスクリー
ン線数が基準となる画像部のスクリーン線数の1.1倍
以上であることが好ましい。また、背景画像部とメッセ
ージ画像部のスクリーン線数の範囲は、特に限定される
ものでなく175線程度の一般の商業印刷の技術で十分
に対応が可能である。
【0019】本発明の印刷物を真上から観察すると、明
度の薄いベタに近い状態の印刷物のように認識されるた
めには、背景画像部とメッセージ画像部の網点面積率が
同一であることが好ましい。更に、背景画像部とメッセ
ージ画像部の網点面積率の範囲は、20%〜60%で構
成されていることが好ましい。
【0020】本発明の印刷物を真上から観察した場合
に、背景画像部とメッセージ画像部とが識別できないよ
うに、背景画像部とメッセージ画像部の上にカモフラー
ジュ模様として地紋・彩紋等の微細な画線を重ねて印刷
しても良い。
【0021】本発明の光透過性を有する基材の厚さは、
特に限定されるものでなく60ミクロン程度の薄い基材
から、760ミクロン程度のカード基材等でも有効であ
り、基材が厚い場合、印刷物を傾ける角度が浅くても効
果が生じ、基材が薄い場合は印刷物の傾ける角度を深く
すれば効果が生じる。
【0022】本発明は、網点から構成される基本画像
を、彩紋模様、レリーフ模様又は地紋模様のいずれか一
つ又はそれらの組み合せにすることで複写、複製防止の
向上を図ることができる。
【0023】本発明の光反射性基材は、アルミニウム
箔、金箔、銀箔等の表面反射率の高い金属箔が使用で
き、金属箔と同様の材質を印刷物の裏面に金属蒸着させ
ても良い。また、ホログラムを用いることにより、偽造
防止の向上を図ることができる。
【0024】本発明の光透過性を有する基材は、透明な
基材が好ましいが、光を透過できる基材であれば良く、
色彩を有する半透明の基材も使用することができる。材
質は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエ
ステル、ナイロンポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ
酢酸ビニル、ポリアクリル等が用いられる。
【0025】本発明の印刷に使用される印刷手段は限定
されるものでなくオフセット印刷、グラビア印刷、フレ
キソ印刷、凹版印刷等の印刷手段で可能である。また、
印刷機の調整おいては、特別な調整は不要であり、一般
的な設定で印刷することが可能である。
【0026】本発明の網点形状は、スクエアドット、ラ
ウンドドット、チェーンドット、また、特殊マーク等の
肉眼で認識することができない微細構成素子の集合体を
使用することができる。
【0027】本発明は、肉眼では、認識できないが、複
写機で複写すると警告メッセージが発現するような微細
画線、微細ドット、例えば、特開平8−197828号
公報、特開平8−300800号公報、特開平12−1
85457号公報、特開昭57−20395号公報を表
面に印刷し、裏面に光反射性基材を設けることにより上
記記載の効果は勿論のこと複写防止効果が得られる。
【0028】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明を更に詳細に説
明するが、本発明の内容は、これらの実施例の範囲に限
定されるものではない。本実施例では透明フィルムの裏
面に接着層を設け、金属箔を貼り付けているが、本発明
は、透明フィルムと金属箔が隣接していれば接着層を設
けなくとも良い。
【0029】図1は、本発明の基本的原理を示す図であ
る。透明フィルム基材1に、所定のピッチ幅で基本画像
2を印刷し、透明フィルム基材1の裏面に接着層3、金
属箔4を積層印刷したものを図1(a)に示す。透明フ
ィルム基材1上に印刷された基本画像2は、光反射を有
する金属箔4に基本画像2’として写し出される。この
印刷物を図1(a)に示すX方向から観察した場合、図
1(b)に示すように、基本画像2は金属箔に写し出さ
れた基本画像2’の影響を受けず、平行万線として認識
できるが、この印刷物を図1(a)に示すY方向から観
察した場合、図1(c)に示すように、透明フィルム基
材1の厚さから、基本画像2の非画線部から金属箔に写
し出された基本画像2’の画線部が認識されるため、ベ
タに近い画像として認識できる。
【0030】(実施例1)図2は、本発明の構成による
拡大図を示す。基本画像2は、背景画像部6と、潜像を
施したメッセージ画像部7とに区分けされ、背景画像部
6は200線50%の網点とし、メッセージ画像部7は
300線50%の網点とし、基本画像2を得た。
【0031】得られた基本画像2をもとに、市販のレー
ザープロッターを用いて製版用フィルム作製し、次に製
版用フィルムから市販のポジタイプのPS版を作製し、
得られた刷版を用い、厚さ200ミクロンの透明フィル
ム基材1上に、図3に示すように市販のオフセットイン
キ(ブラック)で印刷し、更に印刷した透明フィルム基
材1の裏面に市販の接着層を有する金属箔4を貼付け、
実施例1の印刷物を得た。
【0032】図4は、実施例1の印刷物を真上から観察
した場合の図を示す。この印刷物を真上から観察する
と、ベタに近い印刷物のように認識され、メッセージ画
像部7は肉眼で認識することができない。図5(a)は
実施例1の印刷物を傾けて観察した場合の図であり、背
景画像部6とメッセージ画像部7に明度差が生じ、メッ
セージ画像部7が認識できた。図5(b)は、実施例1
の印刷物を、更に角度を印刷物に対して水平に近い状態
で観察した場合の図であり、図5(a)で認識できた背
景画像部6とメッセージ画像部7が反転して認識するこ
とができた。
【0033】次に、良好な網点面積率を判断するために
サンプルを作製し、得られた印刷物を傾けて観察した場
合のメッセージ画像部の視認性のテストを行った。透明
フィルム基材の厚さは、80から200ミクロンの厚さ
を使用した。評価方法については、はっきりとメッセー
ジ画像が発現しているのが解るものを○、はっきりとで
はないがメッセージ画像を識別できるものを△、ほとん
ど識別できないもの又はまったく識別できないものを
×、という三段階で評価した。評価結果については表1
に示す。
【0034】
【表1】
【0035】網点面積率の範囲は、20%〜60%が好
ましいことがわかる。
【0036】(実施例2)実施例1と同様の刷版を用
い、厚さ200ミクロンの透明フィルム基材1上に、市
販のオフセットインキ(ブラック)で、図6(a)に示
すように、表面に基本画像2を印刷し、更に基本画像2
に重なり合わないように透明フィルム基材1の裏面の別
の領域に市販の接着層を有する金属箔4を貼付け、実施
例2の印刷物を得た。
【0037】図6(b)に示すように、実施例2の印刷
物を折り曲げ、基本画像2と金属箔4基本画像を重ね合
わせ、印刷物を傾けることによって実施例1の印刷物と
同様の効果が得られた。
【0038】以上、本実施例に基づいて説明したが、本
発明はこれに限定されるものでなく、特許請求の範囲記
載における技術的思想の範囲内であれば、その他のいろ
いろな実施形態が考えられる。
【0039】
【発明の効果】本発明の印刷物は、ミクロン以上の厚み
を有した光透過性を有する基材の表に網点による画像を
印刷し、基材の裏に光反射性基材を設けた場合、基材の
表の網点による画像は裏の光反射性基材に反射し写し出
され、印刷物を傾けると、基材の厚みにより、表の網点
の非網点部から裏の光反射性基材に写し出された網点が
認識することを見出し、本発明では、基本画像内に施さ
れた潜像画像が、印刷物の真上から観察した場合に潜像
画像を肉眼で識別することができず、360度どのよう
な方向から印刷物を傾けても潜像画像を認識することが
可能であり、デザインの制限を受けることなく、複製物
であるかどうか容易に判別することができる。
【0040】本発明の真偽判別方法として、光透過性を
有する基材上の一部分に印刷した基本画像と、光透過性
を有する基材の印刷した他の部分に接着した光反射性基
材とを、重ね合わせ、且つ、印刷物を傾けると、メッセ
ージ画像部が出現するため、高価な真偽判別装置を用い
なくとも、誰でもその場で容易に真偽判別することがで
きる。
【0041】更に、地紋模様、レリーフ模様において
も、作成可能であるため、偽造防止に有効であり、デザ
インの制限を受けることない。また、凹版印刷方式以外
の他の印刷方式でも容易に印刷できるため、コストが低
く、表裏合成印刷しないため刷合せの問題がなく、透過
性を有する基材であれば、幅広い厚さにも対応できるた
め、ポリマーノート、識別カード等の幅広い偽造、変造
を防止する必要性のある貴重印刷物に適用することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本的原理を示す図である
【図2】本発明の基本画像の拡大図を示す図である。
【図3】本発明の構成による印刷物を示す図である。
【図4】本発明の印刷物を真上から観察した場合の図で
ある。
【図5】本発明の印刷物を傾けて観察した場合の図であ
る。
【図6】本発明の基本画像と金属箔を別の領域に印刷し
た印刷物を基本画像と金属箔が重なり合うように折り曲
げた場合の図である。
【符号の説明】
1 透明フィルム基材 2 基本画像 2’ 金属箔に写し出された基本画像 3 接着層 4 金属箔 6 背景画像部 7 メッセージ画像部
フロントページの続き Fターム(参考) 2C005 HA02 HA04 HA17 HA19 HB07 HB09 HB10 JB19 JB25 KA03 KA37 KA40 KA49 KA61 2H113 AA01 AA04 AA06 BB32 CA34 CA37 CA39 CA40 CA44 EA05 EA15 FA56 3E041 AA01 AA03 BA13 BB02 BB03 BC06 CB01 DB01

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基本画像内に施された潜像画像が、印刷
    物の真上から観察した場合に潜像画像を肉眼で識別する
    ことができず、印刷物を傾けることにより、潜像画像が
    出現する真偽判別可能な印刷物において、光透過性を有
    する基材と、光反射性基材を有し、前記光透過性を有す
    る基材上の表面に、微細な網点から構成される基本画像
    を設け、前記基本画像は、背景画像部と少なくとも一つ
    以上の潜像画像を施したメッセージ画像部とに区分けさ
    れ、前記背景画像部と前記メッセージ画像部は肉眼で区
    別することのできない微細な網点から構成され、前記背
    景画像部と前記メッセージ画像部のスクリーン線数が異
    なり、且つ、単位面積あたりの網点面積率が等しく、且
    つ、前記光透過性を有する基材の前記基本画像を印刷し
    た領域の裏面に前記光反射性基材を有することを特徴と
    した真偽判別可能な印刷物。
  2. 【請求項2】 基本画像内に施された潜像画像が、印刷
    物の真上から観察した場合に潜像画像を肉眼で識別する
    ことができず、印刷物を傾けることにより、潜像画像が
    出現する真偽判別可能な印刷物において、光透過性を有
    する基材と、光反射性基材を有し、前記光透過性を有す
    る基材上の表面に、微細な網点から構成される基本画像
    を設け、前記基本画像は、背景画像部と少なくとも一つ
    以上の潜像画像を施したメッセージ画像部とに区分けさ
    れ、前記背景画像部と前記メッセージ画像部は肉眼で区
    別することのできない微細な網点から構成され、前記背
    景画像部と前記メッセージ画像部のスクリーン線数が異
    なり、且つ、単位面積あたりの網点面積率が等しく、且
    つ、前記光透過性を有する基材の前記基本画像を印刷し
    た領域以外の裏面に前記光反射性基材を有することを特
    徴とした真偽判別可能な印刷物。
  3. 【請求項3】 前記背景画像部及び前記メッセージ画像
    部のスクリーン線数の範囲が、どちらか一方の画像部を
    基準としたとき、もう一方の画像部のスクリーン線数が
    基準となる画像部のスクリーン線数の1.1倍以上とな
    るように構成されていることを特徴とした請求項1又は
    2記載の真偽判別可能な印刷物。
  4. 【請求項4】 前記背景画像部及び前記メッセージ画像
    部の網点面積率の範囲が、20%〜60%で構成されて
    いることを特徴とした請求項1、2又は3記載の真偽判
    別可能な印刷物。
  5. 【請求項5】 前記請求項2記載の印刷物を前記基本画
    像と前記光反射性基材を重ね合せ印刷物を傾けて真偽判
    別することを特徴とした真偽判別方法。
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