JP3600737B2 - シグナルロータの取付構造 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば自動車用の内燃機関において、カムセンサのためのシグナルロータをカムシャフトの加工なしに取り付けるためのシグナルロータの取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、エンジンの負荷状態に応じて、バルブタイミングやバルブリフト量を変化させ、エンジンの出力やアイドル安定性の向上等を図ることを目的とする可変バルブタイミング機構を採用するエンジンが開発されている。可変バルブタイミング機構においては、カム位置を検出するために、カムセンサのためのシグナルロータをカム軸に設ける必要がある。この場合、カム軸にシグナルロータを形成すべくカム軸を加工するためには、その加工に専用の設備が必要になるので、カム軸を加工するのではなく、例えば、実開昭60−41503号公報のもののように、カム軸駆動用プーリを利用して、シグナルロータを形成するものも知られている。
【0003】
このように、間接的にシグナルロータをカム軸に取り付けるのではなく、肉厚の板金を曲げ加工したシグナルロータを直接カム軸に取り付けるものも考えられている。このようなシグナルロータを取り付ける場合、シグナルロータの取付位置を決めるために、カム軸の取付側の端部にフランジ等のストッパーを形成して、そのストッパーに当接するようにシグナルロータをカム軸に圧入固定するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記したようにシグナルロータを圧入するものでは、シグナルロータの内径とカム軸の外径とが略同一に形成してあるので、圧入する際にカム軸の外面がごくわずかに削り取られて、バリとなることがある。このようなバリは、カム軸の外径に沿って連続して形成されるので、例えばエアブロー等で一挙に取り除こうとしても、連続しているために取り除けないことがある。このような場合、圧入で生じたバリを、手作業で取り除く必要があり、シグナルロータの取付後に付帯作業を強いるものとなった。
【0005】
また、バリを生じるような状態の場合には、大きな圧入荷重を必要とするため、圧入作業中にカム軸が変形することがあった。このような場合、圧入荷重を小さくするために締め代を小さくするとカム軸が変形するのを回避することができるが、カム軸あるいはシグナルロータの形状の公差によっては、シグナルロータがカム軸に固定されずに回転したり抜け落ちたらする場合がある。
【0006】
本発明は、このような不具合を解消することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。すなわち、本発明に係るシグナルロータの取付構造は、板金素材を折曲加工して所定長の筒部を形成したシグナルロータを、その筒部の端面をカム軸の端面と面一にして圧入固定するもので、そのシグナルロータの筒部の内周面に筒部の略全長にわたる所定幅の凹部を設けることにより、圧入時のバリの発生を抑制する構成である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明は、内燃機関のカム軸の端部にカムセンサのためのシグナルロータを装着するシグナルロータの取付構造であって、所定幅を有し、かつカム軸軸心方向に延びる凹部を内周面に具備した所定長の筒部の一方の端部に鍔部を設け、かつその鍔部の外縁に突起を設けたシグナルロータを、カム軸の端部に圧入により固定することを特徴とするシグナルロータの取付構造である。
【0009】
本発明における凹部は、筒部の長さと略同一長さにして、所定間隔離間して複数設けるのが好ましい。また、その形成位置は、突起間の内周面に設定することが望ましい。このような位置に凹部を配設することにより、筒部の強度を必要十分なものに保持でき、突起に対する強度を低下させることなく所期の目的を達成することができる。また、突起に対する強度が低下することがないので、カム軸が回転した際に突起が不安定にならず、安定したカム位置検出を行うことが可能になる。
【0010】
このような構成によれば、カム軸端部にシグナルロータを圧入する際に、カム軸端部表面が削れても、削られるカム軸表面のバリは、凹部により寸断されるので、生じたバリをエアブロー等で除去することが可能になる。つまり、バリは、凹部以外の部分で発生するものの、カム軸の表面で連続することがない。
また、凹部があるので、シグナルロータとカム軸との圧接面積が減少することになる。このため、締め代を変更することなく圧入時の荷重を小さくして作業できるので、カム軸の変形を許容限度以内に抑制することが可能になる。
【0011】
しかも、シグナルロータは、カム軸端部に圧入により固定するので、カム軸端部の加工の必要がなくなる。この結果、カム軸を、可変バルブタイミング機構の有無により専用のものを制作する必要がなくなり、在庫管理を行う部品点数を削減することが可能になる。また、筒部の端面とカム軸の端面とを面一にして固定するので、筒部の長さを変更することにより、鍔部に設けた突起のスラスト方向位置を所望に応じて変更することが可能になる。この結果、シグナルロータと対をなして取り付けられるカムセンサとの相対位置を変更する際に、筒部の長さを変更することにより対応できるので、内燃機関の仕様に多様に対応することが可能になる。
【0012】
【実施例】
以下、本発明の一実施例を、図1〜8を参照して説明する。
図1及び図2に示すシグナルロータ1は、自動車用の内燃機関である可変バルブタイミング機構を搭載するダブルオーバーヘッドカム軸(DOHC)エンジン(以下、エンジンと略称する)に装着されるものである。この実施例のエンジンは、3気筒のもので、インテークカム軸2の後端部2aにシグナルロータ1が取り付けられている。これは、燃料噴射弁に燃料を供給するデリバリパイプ等との干渉を避けるために、シグナルロータ1と対をなしているカムセンサ3をシリンダヘッド4の後部側に装着するためである。一方、インテークカム軸2は、可変バルブタイミング機構を搭載していないエンジンに対しても使用できるもので、シグナルロータ1の取付部となるその後端部2aは、ジャーナル部2bの外径より大径になっている。
【0013】
シグナルロータ1は、薄手の板金素材、例えば2mm程度の厚みのものを折曲加工して作製されるもので、インテークカム軸2の後端部2aの厚み寸法と略等しい所定長の筒部1aの一方の端面側に鍔部1bを形成し、かつその鍔部1bの外縁1cに突起1dを設けた構成である。具体的には、筒部1aは、その内径を基本的にはインテークカム軸2の後端部2aの外径と略同一に形成してあり、その長さを突起1dとの位置関係により決定してある。この筒部1aの一方の端面、具体的には、取付状態において前端面となる端面には、筒部1aの外形と同心円となる円形の鍔部1bが折曲加工により筒部1aと一体に設けてある。鍔部1bは、筒部1aの軸心方向に対して直角に折曲されて形成されるもので、その幅は板金素材の略厚みと同じである。この鍔部1bの円周方向において、120°離間した位置に、板金素材を複数回折曲して突起1dが設けてある。
【0014】
また、突起1d間に対応する位置の内周面1fには、筒部1aの略全長にわたり、周方向の幅が突起1dの周方向間の距離よりも小さい、筒部1dの厚みに対して比べて十分に浅い、つまり公差程度の深さの凹部1gが形成してある。すなわち、凹部1gは、突起1dに対する強度を低下させず、また筒部1dの全体的な強度の低下がないように形成される。したがって、筒部1aの後端面1eの内径は、凹部1gを除く部分がインテークカム軸2の後端部2aの外径と略同一であり、凹部1g部分はそれよりわずかに大きくなっている。
【0015】
突起1dは、鍔部1bの外縁1cから所定幅の短冊状の平板を延出しておき、その平板を所定方向に順次折曲して形成する。具体的には、まず、鍔部1bの径方向の延長上に形成された平板を、筒部1aの軸心方向と平行になるまで後側に折曲し、次に軸心方向と直角な外方向に折曲し、最後に軸心方向と平行な方向に折曲して最初に折曲した部分と密着させて形成する。図4に示すように、最初の折曲部分1daと最後の折曲部分1dbとを密着して重ね合わせることにより、板金素材が薄いものであっても、突起1dのカムセンサ3に対する厚みDは十分なものを確保することが可能になる。すなわち、板金素材を折曲することにより、突起1dは、板金素材の厚みの約2倍の厚みに形成するものである。これは、突起1dの厚みDが薄い場合、後述するカムセンサ3において信号検出精度が低下するためである。
【0016】
カムセンサ3は、電磁コイルを内蔵した円筒形状の本体3aと、その後端部に設けられる信号取り出し用のコネクタ3bとを備えている。このカムセンサ3は、電磁式のもので、シグナルロータ1の突起1dが本体3aの先端を通過する際に、磁束の変化に応じて信号を発生するものである。そして、インテークカム軸2に取り付けられたシグナルロータ1に対応して、シリンダヘッド4の後端部に設けられた取付孔4aに本体3aを嵌入して取り付けられる。
【0017】
このような構成において、シグナルロータ1は、インテークカム軸2の後端部2aに、突起1dをインテークカム軸2の前側に向けてインテークカム軸2に取り付けられるものである。シグナルロータ1の取付固定は、シグナルロータ1の筒部1aにインテークカム軸2の後端部2aを圧入して行う。この場合、シグナルロータ1の突起1dがインテークカム軸2の前端側を向いているので、筒部1aの後端部の面つまり筒部1aの後端面1eが、インテークカム軸2の後端面2cと面一になるまで圧入するものである。
【0018】
この圧入の際に、筒部1dの凹部1gを除く部分の内径は、インテークカム軸2の後端部2aの外径と略同一であるので、図5に示すように、後端部2aの表面を削ってバリBを生じることがある。バリBはこの部分すなわち凹部1g間に存在する内周面1fの部分だけで形成され、内径の大きい凹部1gでは生じないので、筒部1dの前端側の内縁部分で不連続なものである。したがって、例えばエアブローを行った際に、図6に示すように、その風圧でバリBは除去できるものである。また、筒部1dの内周面1fとインテークカム軸2の後端部2aの外周面との圧接面積が、凹部1gの分だけ少なくなるので、シグナルロータ1の圧入荷重を下げることができる。したがって、圧入作業時にインテークカム軸2が圧入荷重により変形することを許容限度以内に抑えることができる。
【0019】
このシグナルロータ1の取付構造では、インテークカム軸2に取り付ける際に、その取付位置は、ストッパー等で決めるのではなく、シグナルロータ1の後端面1eとインテークカム軸2の後端面2cとで決めるので、インテークカム軸2を加工してストッパーを形成する必要がない。このため、インテークカム軸2の後端部2aの加工は一切必要なく、同一形状のインテークカム軸2を可変バルブタイミング機構の有無にかかわらず使用することができ、部品の共通化により部品点数を削減することができる。
【0020】
また、エンジンの仕様によりカムセンサ3の取付孔4aに変更が生じた場合等、シグナルロータ1のカムセンサ3に対する相対位置言い換えれば突起1dとカムセンサ3とのスラスト方向の相対位置が標準的なものとは異なる場合は、筒部1aの長さを変更することにより容易に対応することができる。すなわち、シグナルロータ1は、インテークカム軸2の後端面2cを基準として、その後端面2cに筒部1aの後端面1eを一致させて位置決めしているので、筒部1aの長さを変更すると、一義的に突起1dのスラスト方向の位置が決まるものである。したがって、筒部1aの長さを変更すれば、突起1dとカムセンサ3との相対位置が容易に変更できるものであり、各種の仕様のエンジンに対して、同形のインテークカム軸2を使用してシグナルロータ1を取り付けることができるものである。
【0021】
さらに、この実施例では、薄手の板金素材を折曲加工してシグナルロータ1を作製しているため、突起1dの厚みを確保するために使用する厚手の板金素材のものや焼結合金製のものに比べて、安価に製造することができる。しかも、折曲加工により筒部1aを形成しているので、仕様の異なるエンジンにシグナルロータ1を取り付ける場合でも、筒部1aの長さを調整することにより迅速に対応することができる。
【0022】
なお、本発明は以上に説明した実施例に限定されるものではなく、エキゾーストカム軸に本発明を適用してもよい。
その他、各部の構成は図示例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0023】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、カム軸端部にシグナルロータを圧入する際に、カム軸端部表面が削れても、削られるカム軸表面のバリは、凹部により寸断されるので、生じたバリをエアブロー等で除去することができる。つまり、バリは、凹部以外の部分で発生するもので、カム軸の表面で連続することがないので、容易に除去することができ、加工作業が簡単になる。
【0024】
また、凹部があるので、シグナルロータとカム軸との圧接面積が減少することになり、締め代を変更することなく圧入時の荷重を小さくして作業できるので、カム軸の変形を許容限度以内に抑制することができる。
シグナルロータは、カム軸端部に圧入により固定するので、カム軸端部の加工をなくすことができ、カム軸を、可変バルブタイミング機構の有無にかかわらず共通化あるいは標準化することができ、在庫管理する部品点数を削減することができる。また、筒部の端面とカム軸の端面とを面一にして固定するので、筒部の長さを変更することにより、鍔部に設けた突起のスラスト方向位置を所望に応じて変更することができ、シグナルロータと対をなして取り付けられるカムセンサとの相対位置を変更する際に、筒部の長さを変更することにより対応できるために、内燃機関の仕様の相違に対しても多様に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を要部を拡大して破砕断面で示す上面図。
【図2】同実施例におけるシグナルロータを背面から見た斜視図。
【図3】同実施例におけるシグナルロータの正面図。
【図4】同実施例のシグナルロータの突起を拡大して示す断面図。
【図5】同実施例の圧入時に生じたバリの状態を示す斜視図。
【図6】同実施例の圧入が完了してバリが取り除かれた状態を示す斜視図。
【図7】同実施例のインテークカム軸の後端部分を示す正面図。
【図8】同実施例を示す背面図。
【符号の説明】
1…シグナルロータ
1a…筒部
1b…鍔部
1c…外縁
1d…突起
1e…後端面
1f…内周面
1g…凹部
2…インテークカム軸
2a…後端部
2c…後端面
3…カムセンサ
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば自動車用の内燃機関において、カムセンサのためのシグナルロータをカムシャフトの加工なしに取り付けるためのシグナルロータの取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、エンジンの負荷状態に応じて、バルブタイミングやバルブリフト量を変化させ、エンジンの出力やアイドル安定性の向上等を図ることを目的とする可変バルブタイミング機構を採用するエンジンが開発されている。可変バルブタイミング機構においては、カム位置を検出するために、カムセンサのためのシグナルロータをカム軸に設ける必要がある。この場合、カム軸にシグナルロータを形成すべくカム軸を加工するためには、その加工に専用の設備が必要になるので、カム軸を加工するのではなく、例えば、実開昭60−41503号公報のもののように、カム軸駆動用プーリを利用して、シグナルロータを形成するものも知られている。
【0003】
このように、間接的にシグナルロータをカム軸に取り付けるのではなく、肉厚の板金を曲げ加工したシグナルロータを直接カム軸に取り付けるものも考えられている。このようなシグナルロータを取り付ける場合、シグナルロータの取付位置を決めるために、カム軸の取付側の端部にフランジ等のストッパーを形成して、そのストッパーに当接するようにシグナルロータをカム軸に圧入固定するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記したようにシグナルロータを圧入するものでは、シグナルロータの内径とカム軸の外径とが略同一に形成してあるので、圧入する際にカム軸の外面がごくわずかに削り取られて、バリとなることがある。このようなバリは、カム軸の外径に沿って連続して形成されるので、例えばエアブロー等で一挙に取り除こうとしても、連続しているために取り除けないことがある。このような場合、圧入で生じたバリを、手作業で取り除く必要があり、シグナルロータの取付後に付帯作業を強いるものとなった。
【0005】
また、バリを生じるような状態の場合には、大きな圧入荷重を必要とするため、圧入作業中にカム軸が変形することがあった。このような場合、圧入荷重を小さくするために締め代を小さくするとカム軸が変形するのを回避することができるが、カム軸あるいはシグナルロータの形状の公差によっては、シグナルロータがカム軸に固定されずに回転したり抜け落ちたらする場合がある。
【0006】
本発明は、このような不具合を解消することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。すなわち、本発明に係るシグナルロータの取付構造は、板金素材を折曲加工して所定長の筒部を形成したシグナルロータを、その筒部の端面をカム軸の端面と面一にして圧入固定するもので、そのシグナルロータの筒部の内周面に筒部の略全長にわたる所定幅の凹部を設けることにより、圧入時のバリの発生を抑制する構成である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明は、内燃機関のカム軸の端部にカムセンサのためのシグナルロータを装着するシグナルロータの取付構造であって、所定幅を有し、かつカム軸軸心方向に延びる凹部を内周面に具備した所定長の筒部の一方の端部に鍔部を設け、かつその鍔部の外縁に突起を設けたシグナルロータを、カム軸の端部に圧入により固定することを特徴とするシグナルロータの取付構造である。
【0009】
本発明における凹部は、筒部の長さと略同一長さにして、所定間隔離間して複数設けるのが好ましい。また、その形成位置は、突起間の内周面に設定することが望ましい。このような位置に凹部を配設することにより、筒部の強度を必要十分なものに保持でき、突起に対する強度を低下させることなく所期の目的を達成することができる。また、突起に対する強度が低下することがないので、カム軸が回転した際に突起が不安定にならず、安定したカム位置検出を行うことが可能になる。
【0010】
このような構成によれば、カム軸端部にシグナルロータを圧入する際に、カム軸端部表面が削れても、削られるカム軸表面のバリは、凹部により寸断されるので、生じたバリをエアブロー等で除去することが可能になる。つまり、バリは、凹部以外の部分で発生するものの、カム軸の表面で連続することがない。
また、凹部があるので、シグナルロータとカム軸との圧接面積が減少することになる。このため、締め代を変更することなく圧入時の荷重を小さくして作業できるので、カム軸の変形を許容限度以内に抑制することが可能になる。
【0011】
しかも、シグナルロータは、カム軸端部に圧入により固定するので、カム軸端部の加工の必要がなくなる。この結果、カム軸を、可変バルブタイミング機構の有無により専用のものを制作する必要がなくなり、在庫管理を行う部品点数を削減することが可能になる。また、筒部の端面とカム軸の端面とを面一にして固定するので、筒部の長さを変更することにより、鍔部に設けた突起のスラスト方向位置を所望に応じて変更することが可能になる。この結果、シグナルロータと対をなして取り付けられるカムセンサとの相対位置を変更する際に、筒部の長さを変更することにより対応できるので、内燃機関の仕様に多様に対応することが可能になる。
【0012】
【実施例】
以下、本発明の一実施例を、図1〜8を参照して説明する。
図1及び図2に示すシグナルロータ1は、自動車用の内燃機関である可変バルブタイミング機構を搭載するダブルオーバーヘッドカム軸(DOHC)エンジン(以下、エンジンと略称する)に装着されるものである。この実施例のエンジンは、3気筒のもので、インテークカム軸2の後端部2aにシグナルロータ1が取り付けられている。これは、燃料噴射弁に燃料を供給するデリバリパイプ等との干渉を避けるために、シグナルロータ1と対をなしているカムセンサ3をシリンダヘッド4の後部側に装着するためである。一方、インテークカム軸2は、可変バルブタイミング機構を搭載していないエンジンに対しても使用できるもので、シグナルロータ1の取付部となるその後端部2aは、ジャーナル部2bの外径より大径になっている。
【0013】
シグナルロータ1は、薄手の板金素材、例えば2mm程度の厚みのものを折曲加工して作製されるもので、インテークカム軸2の後端部2aの厚み寸法と略等しい所定長の筒部1aの一方の端面側に鍔部1bを形成し、かつその鍔部1bの外縁1cに突起1dを設けた構成である。具体的には、筒部1aは、その内径を基本的にはインテークカム軸2の後端部2aの外径と略同一に形成してあり、その長さを突起1dとの位置関係により決定してある。この筒部1aの一方の端面、具体的には、取付状態において前端面となる端面には、筒部1aの外形と同心円となる円形の鍔部1bが折曲加工により筒部1aと一体に設けてある。鍔部1bは、筒部1aの軸心方向に対して直角に折曲されて形成されるもので、その幅は板金素材の略厚みと同じである。この鍔部1bの円周方向において、120°離間した位置に、板金素材を複数回折曲して突起1dが設けてある。
【0014】
また、突起1d間に対応する位置の内周面1fには、筒部1aの略全長にわたり、周方向の幅が突起1dの周方向間の距離よりも小さい、筒部1dの厚みに対して比べて十分に浅い、つまり公差程度の深さの凹部1gが形成してある。すなわち、凹部1gは、突起1dに対する強度を低下させず、また筒部1dの全体的な強度の低下がないように形成される。したがって、筒部1aの後端面1eの内径は、凹部1gを除く部分がインテークカム軸2の後端部2aの外径と略同一であり、凹部1g部分はそれよりわずかに大きくなっている。
【0015】
突起1dは、鍔部1bの外縁1cから所定幅の短冊状の平板を延出しておき、その平板を所定方向に順次折曲して形成する。具体的には、まず、鍔部1bの径方向の延長上に形成された平板を、筒部1aの軸心方向と平行になるまで後側に折曲し、次に軸心方向と直角な外方向に折曲し、最後に軸心方向と平行な方向に折曲して最初に折曲した部分と密着させて形成する。図4に示すように、最初の折曲部分1daと最後の折曲部分1dbとを密着して重ね合わせることにより、板金素材が薄いものであっても、突起1dのカムセンサ3に対する厚みDは十分なものを確保することが可能になる。すなわち、板金素材を折曲することにより、突起1dは、板金素材の厚みの約2倍の厚みに形成するものである。これは、突起1dの厚みDが薄い場合、後述するカムセンサ3において信号検出精度が低下するためである。
【0016】
カムセンサ3は、電磁コイルを内蔵した円筒形状の本体3aと、その後端部に設けられる信号取り出し用のコネクタ3bとを備えている。このカムセンサ3は、電磁式のもので、シグナルロータ1の突起1dが本体3aの先端を通過する際に、磁束の変化に応じて信号を発生するものである。そして、インテークカム軸2に取り付けられたシグナルロータ1に対応して、シリンダヘッド4の後端部に設けられた取付孔4aに本体3aを嵌入して取り付けられる。
【0017】
このような構成において、シグナルロータ1は、インテークカム軸2の後端部2aに、突起1dをインテークカム軸2の前側に向けてインテークカム軸2に取り付けられるものである。シグナルロータ1の取付固定は、シグナルロータ1の筒部1aにインテークカム軸2の後端部2aを圧入して行う。この場合、シグナルロータ1の突起1dがインテークカム軸2の前端側を向いているので、筒部1aの後端部の面つまり筒部1aの後端面1eが、インテークカム軸2の後端面2cと面一になるまで圧入するものである。
【0018】
この圧入の際に、筒部1dの凹部1gを除く部分の内径は、インテークカム軸2の後端部2aの外径と略同一であるので、図5に示すように、後端部2aの表面を削ってバリBを生じることがある。バリBはこの部分すなわち凹部1g間に存在する内周面1fの部分だけで形成され、内径の大きい凹部1gでは生じないので、筒部1dの前端側の内縁部分で不連続なものである。したがって、例えばエアブローを行った際に、図6に示すように、その風圧でバリBは除去できるものである。また、筒部1dの内周面1fとインテークカム軸2の後端部2aの外周面との圧接面積が、凹部1gの分だけ少なくなるので、シグナルロータ1の圧入荷重を下げることができる。したがって、圧入作業時にインテークカム軸2が圧入荷重により変形することを許容限度以内に抑えることができる。
【0019】
このシグナルロータ1の取付構造では、インテークカム軸2に取り付ける際に、その取付位置は、ストッパー等で決めるのではなく、シグナルロータ1の後端面1eとインテークカム軸2の後端面2cとで決めるので、インテークカム軸2を加工してストッパーを形成する必要がない。このため、インテークカム軸2の後端部2aの加工は一切必要なく、同一形状のインテークカム軸2を可変バルブタイミング機構の有無にかかわらず使用することができ、部品の共通化により部品点数を削減することができる。
【0020】
また、エンジンの仕様によりカムセンサ3の取付孔4aに変更が生じた場合等、シグナルロータ1のカムセンサ3に対する相対位置言い換えれば突起1dとカムセンサ3とのスラスト方向の相対位置が標準的なものとは異なる場合は、筒部1aの長さを変更することにより容易に対応することができる。すなわち、シグナルロータ1は、インテークカム軸2の後端面2cを基準として、その後端面2cに筒部1aの後端面1eを一致させて位置決めしているので、筒部1aの長さを変更すると、一義的に突起1dのスラスト方向の位置が決まるものである。したがって、筒部1aの長さを変更すれば、突起1dとカムセンサ3との相対位置が容易に変更できるものであり、各種の仕様のエンジンに対して、同形のインテークカム軸2を使用してシグナルロータ1を取り付けることができるものである。
【0021】
さらに、この実施例では、薄手の板金素材を折曲加工してシグナルロータ1を作製しているため、突起1dの厚みを確保するために使用する厚手の板金素材のものや焼結合金製のものに比べて、安価に製造することができる。しかも、折曲加工により筒部1aを形成しているので、仕様の異なるエンジンにシグナルロータ1を取り付ける場合でも、筒部1aの長さを調整することにより迅速に対応することができる。
【0022】
なお、本発明は以上に説明した実施例に限定されるものではなく、エキゾーストカム軸に本発明を適用してもよい。
その他、各部の構成は図示例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0023】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、カム軸端部にシグナルロータを圧入する際に、カム軸端部表面が削れても、削られるカム軸表面のバリは、凹部により寸断されるので、生じたバリをエアブロー等で除去することができる。つまり、バリは、凹部以外の部分で発生するもので、カム軸の表面で連続することがないので、容易に除去することができ、加工作業が簡単になる。
【0024】
また、凹部があるので、シグナルロータとカム軸との圧接面積が減少することになり、締め代を変更することなく圧入時の荷重を小さくして作業できるので、カム軸の変形を許容限度以内に抑制することができる。
シグナルロータは、カム軸端部に圧入により固定するので、カム軸端部の加工をなくすことができ、カム軸を、可変バルブタイミング機構の有無にかかわらず共通化あるいは標準化することができ、在庫管理する部品点数を削減することができる。また、筒部の端面とカム軸の端面とを面一にして固定するので、筒部の長さを変更することにより、鍔部に設けた突起のスラスト方向位置を所望に応じて変更することができ、シグナルロータと対をなして取り付けられるカムセンサとの相対位置を変更する際に、筒部の長さを変更することにより対応できるために、内燃機関の仕様の相違に対しても多様に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を要部を拡大して破砕断面で示す上面図。
【図2】同実施例におけるシグナルロータを背面から見た斜視図。
【図3】同実施例におけるシグナルロータの正面図。
【図4】同実施例のシグナルロータの突起を拡大して示す断面図。
【図5】同実施例の圧入時に生じたバリの状態を示す斜視図。
【図6】同実施例の圧入が完了してバリが取り除かれた状態を示す斜視図。
【図7】同実施例のインテークカム軸の後端部分を示す正面図。
【図8】同実施例を示す背面図。
【符号の説明】
1…シグナルロータ
1a…筒部
1b…鍔部
1c…外縁
1d…突起
1e…後端面
1f…内周面
1g…凹部
2…インテークカム軸
2a…後端部
2c…後端面
3…カムセンサ
Claims (1)
- 内燃機関のカム軸の端部にカムセンサのためのシグナルロータを装着するシグナルロータの取付構造であって、所定幅を有し、かつカム軸軸心方向に延びる凹部を内周面に具備した所定長の筒部の一方の端部に鍔部を設け、かつその鍔部の外縁に突起を設けたシグナルロータを、カム軸の端部に圧入により固定することを特徴とするシグナルロータの取付構造。
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JP25583898A JP3600737B2 (ja) | 1998-09-09 | 1998-09-09 | シグナルロータの取付構造 |
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-
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