JP3600306B2 - 淡水性廃水中の汚濁物質除去方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、都市下水や産業廃水などの淡水性汚濁水中の汚濁物質を除去する方法に関する。さらに詳しくいえば、特に都市下水などの淡水性汚濁水の浄化処理、及び山岳地帯で実施される浚渫工事や河川域で行なわれる土木・建設工事淡水廃水の処理に有用な液中の汚濁物質、特に淡水性都市下水などに含まれる溶解性有機物質及びりん含有成分の除去方法に関する。
【0002】
【従来の技術及びその課題】
従来、水環境の保全管理については、汚濁の原因となる物質の廃棄を規制して水環境への流入量を少なくする考え方が主流であって、一旦汚染された都市下水や産業廃水を含む水域から汚濁物を除去して積極的に浄化処理することは一般には殆ど行なわれていない。
また、降雨時の都市廃(排)水の環境水への汚濁負荷が問題になっているが、降雨条件により廃(排)水の量及び質が変動するためにその処理は考えられていない。
【0003】
淡水中及び海水中の汚濁物質を処理する方法として、僅かに実施されているものに土木の浚渫工事における余水の処理がある。
具体的には、工事で使用する大量のセメントにより上昇したpH値を下げて、土粒子を沈澱させて処理する普通沈澱処理法、及びアルミニウム塩を使用する凝集沈澱処理法がある。
【0004】
しかし、これらの余水を処理する施設は、かなり大規模な「凝集池−フロック形成池−沈澱池」からなる設備を必要とする。また、浚渫工事の余水の処理水は、浚渫泥の間隙水に含まれる還元性物質の作用によって酸素が消費されており、溶存酸素濃度が低いため、これを一般河川や海に流すためには凝集沈澱処理後、新たに曝気設備を設けて曝気し、酸素濃度を高めておくことが望ましい。しかし、これまで余水の処理後に曝気を行なっている実例はみられない。
【0005】
一方、塩分を含む水、例えば、汚染された運河水や海底水の浄化については、硫酸アルミニウムやポリ塩化アルミニウムを使用し100m〜300m/日のろ過速度で処理する凝集・急速ろ過法、砂などのろ過材を使用し3m〜5m/日の速度で処理する緩速ろ過法、あるいは波板や礫を浸漬し、そこに繁殖する微生物の作用を利用する生物膜法が検討されている。
【0006】
これらの中では、凝集池及び沈澱池を設けないアルミニウム塩を凝集剤とする直接急速ろ過法が最も有効と考えられるが、この方法では懸濁物質の除去はできても、ろ材に生息する微生物によって溶存酸素濃度の低下が起こり、溶解性有機物の除去や溶存酸素濃度の上昇は期待できない。
また、アルミニウム塩を使用した場合の汚泥中に含まれるアルミニウム成分は、植物に対して有害であるため、農業用に再使用できないという問題もある。
【0007】
緩速ろ過法と生物膜法は処理施設の所要面積が大きく、処理効率が必ずしも高くなく、実用的なものではない。
なお、海産魚介類の活魚輸送水、蓄養水、養殖用飼育水などの処理については、本発明者らが提案している、無注薬による本法に類似する泡沫分離による方法があり(特開平3−80985号、同4−267984号)、既に多くの実績をあげている。
また、海産魚介類の養殖用水処理には無注薬流動床砂ろ過法が提案されているが、その実例は少ない。
【0008】
さらに、本発明者らは、先に特に塩分を含有する水環境の悪化した運河などの海水性汚濁水の浄化処理、及び浚渫工事や海域で行なわれる土木・建設工事排水の処理法について、活魚輸送水、蓄養水、養殖用飼育水などの処理に実績のある本発明者らによる空気自吸式エアレーターで曝気する泡沫分離法について検討し、海水性汚濁水のモデルとして塩分を含有する水中に微粒子状のカオリンを添加した系で空気自吸式エアレーターで曝気して発生させた泡沫によりカオリンを分離除去する実験を試み、塩分を含む系では安定泡沫が形成されず、カオリンの除去が十分にできないが、蛋白性物質を添加すると、安定泡沫形成に極めて有効であり、その安定泡沫にカオリンが付着濃縮され、泡沫を分離除去することによりカオリン汚濁物が除去できることを確認した(特開平6−154731号)。
しかし、これまでりん酸成分の除去、あるいは軽減については検討されていなかった。
【0009】
従って、本発明の課題は、都市下水や産業廃水などの淡水性汚濁水、特に水環境の悪化の原因になっている都市下水などの淡水性汚濁水の浄化処理、及び山岳地帯で実施される浚渫工事や河川域で行なわれる土木・建設工事淡水性廃水の処理を一層効率的に行なうことができる液中の汚濁物質の除去方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、従来その浄化が容易ではなかった、特に淡水性都市下水などに含まれる溶解・懸濁性有機物質及びりん含有成分を積極的に除去できる容易かつ効率的な方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
汚濁水の処理あるいは浄化に際しては次の要件を満たすことが望ましい。
(1) 懸濁性の物質を除去できること、
(2) 化学的酸素要求量(COD:Chemical Oxygen Demand)と生物学的酸素要求量(BOD:Biochemical Oxygen Demand)の発現物質である溶解性及び懸濁性有機物を除去ないし低減できること、
(3) 細菌を除去ないし低減できること、
(4) りん含有成分(りん酸塩類)を除去ないし低減できること、
(5) 魚貝類の成育に適するよう処理水の溶存酸素濃度を飽和濃度にできること、
(6) 処理あるいは浄化のために使用する処理剤が処理水中に残留せず、2次公害を起こさないこと、
(7) 処理システムが簡単で操作が容易であること、すなわち建設費及び維持費が低く、短時間で処理できること。
【0011】
本発明者らは、蛋白性物質(蛋白質または蛋白質を含む物質。以下、同じ。)を添加し安定な泡沫を形成せしめてカオリンを付着濃縮せしめ、その泡沫を分離除去するカオリン汚濁物を除去する前記本発明者らの方法について、その後も検討を続けた結果、少量の鉄成分を添加すると汚濁液中のりん酸成分を除去ないし顕著に低減でき、さらに他の汚濁成分の除去効率も著しく改善できることを確認して、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明は
1) 淡水性廃水中の汚濁物質除去方法であって、塩分を液中濃度10パーミル以上及び溶解性鉄塩を鉄換算で 1.0 mg/リットル以上となるように添加混合後、空気を導入して液中に気泡を発生させ、その気泡が水面に安定した泡沫を形成しない場合には、液中に蛋白質を 0.01 ppm以上の濃度に溶解させて液中に気泡を発生させ水面に安定泡沫を形成せしめ、前記気泡に液中の汚濁物質を吸着せしめ水面に形成する安定泡沫を除去することを特徴とする淡水性廃水中の汚濁物質除去方法、
2) 淡水性廃水中に海水を添加して塩分を10パーミル以上に調整する前記1に記載の液中の汚濁物質除去方法、
3) 蛋白質の濃度が 0.05〜5ppmである前記1に記載の汚濁物質除去方法、
4) 蛋白質が、カゼイン、ゼラチン、グロブリン、乳蛋白、卵蛋白、グルテンから選択される1種以上のものである前記1及び3に記載の淡水性廃水中の汚濁物質除去方法、
5) 溶解性鉄塩が、ポリ硫酸第2鉄、硫酸鉄及び塩化鉄(III)から選択される1種以上のものである前記1に記載の淡水性廃水中の汚濁物質除去方法、
6) 回転するインペラーの背面に発生する負圧を利用して液中に空気を導入し、気泡を発生させる前記1に記載の淡水性廃水中の汚濁物質除去方法、及び
7) 汚濁物質が、溶解・懸濁有機物質及び/またはりん含有成分である前記1〜6に記載の淡水性廃水中の汚濁物質除去方法を提供するものである。
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の方法が適用される汚濁水は特に限定されないが、特に淡水性の廃水に対して有効である。ここで、“淡水性廃水”とは全く塩分を含まない状態のもののみを意味するものではなくて、空気を撹拌導入しても安定な泡沫を形成し得ないが、塩分を補給して適当な塩分濃度に保つことにより安定な泡沫を形成得る程度までの塩分を含んでいる廃水をも意味する。具体的には塩分を10パーミル未満の濃度まで含む廃水が本発明の対象となる。
【0014】
本発明においては、汚濁物を除去したい対象(淡水性廃水)について塩分濃度を測定して、濃度が10パーミル以上となるように塩類を補給する。塩類としては、例えば、NaCl、KCl、CaCl2、MgCl2などが挙げられるが、これら各種の塩類を 3.5 %(35パーミル)程度含有する海水の利用が経済的理由から最も好ましい。
【0015】
本発明では上記塩類に加えて、処理対象の淡水性廃水に溶解性の鉄塩を加える。溶解性の鉄塩は水に溶解して鉄イオンを遊離させるものであれば特に制限はなく、具体的にはポリ硫酸第2鉄、硫酸鉄、塩化鉄(III) などが挙げられる。これらの鉄成分の配合量は対象廃水の不純物含量などによって適宜変更されるが、一般的には廃水中溶解性鉄塩を鉄成分換算で 1.0 mg/リットル以上、好ましくは10mg/リットル程度以上となるように添加すればよい。
【0016】
次いで、曝気装置により空気を吹込み液中に微細気泡を発生させるが、発生した微細気泡が上昇して水面に安定泡沫を生成する場合には、対象廃水は蛋白性物質を含有するものと判断してよい。もし、安定気泡が形成しない場合には、蛋白性物質(蛋白質そのものでもよいし、蛋白質を含む物質でもよい。)を添加する。
添加剤として使用する蛋白性物質は特に限定されないが、例えば、カゼイン、ゼラチン、グロブリン、卵蛋白、乳蛋白、グルテンなど蛋白質そのもの、またはこれらを含む物質が使用される。これらの蛋白性物質は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
蛋白性物質の添加量は、適用する汚濁水の種類(塩分含量、汚濁物の種類、pH)などによるので一概に規定できないが、カオリンなど無機懸濁物質の除去では0.01 ppm(蛋白質濃度として)という極微小量でも効果を示す。従って、蛋白性物質の使用量は、0.01 ppm以上(蛋白質濃度として)であればよい。あまり多量に入れても効果が飽和するから無意味であり、一般的な都市下水に対しては0.01〜10ppm(蛋白質濃度として)、好ましくは0.05〜5ppm(蛋白質濃度として)が適当である。因みにこの量は、廃水1トンに対して、鶉の卵蛋白1個程度で充分であることを意味する。
【0017】
本発明による汚濁物質の除去法で使用する空気微泡発生装置としては、空気自吸式エアレーターであるカーヴァスエアレーター(登録商標,(株)エム・ティー・エンジニヤリング)が好ましいが、コンプレッサーやエアーストーン併用のものでもよい。
吹き込み空気量は処理液に対して当量以上、すなわち気液比が1以上あればよく、処理時間は3〜5分間で充分である。
【0018】
微細気泡を発生させる装置としてカーヴァスエアレーターを用いた場合における本発明の方法を図面を用いて説明する。すなわち、図1に示すように装置(10)は汚濁水の調整・導入部(20)、気液接触部(30)、泡沫排出部(40)及び処理水排出部(50)からなる。
カーヴァスエアレーターとして市販されている装置は、図1に示すように、汚濁水(1)をポンプ(2)で揚水し、サクション側のパイプに、それぞれの定量ポンプ(3a,3b,3c)で海水等の塩含有溶液(4a)、蛋白性物質(4b)、鉄塩溶液(4c)を所定の量注入し、揚水ポンプ(2)を通過した汚濁水と塩含有溶液、鉄塩溶液及び蛋白性物質を混合する。各成分が十分に混合した汚濁水は気液接触・泡沫分離槽(7)に流入する。
【0019】
気液接触・泡沫分離槽(7)には空気が導入される。空気を導入する方法は特に限定されないが、図1の装置では、モーター(M)直結の空気自吸式エアレーター(8)を利用している。この空気自吸式エアレーター(8)では、モーターの回転により、軸に直結した羽根(10)が回転し、羽の背面に負圧を生じて上部の空気導入孔(9)より空気が導入され、液中に微細気泡を連続して供給する。
【0020】
添加物質の作用によって、微細気泡界面には汚濁物質が効果的に吸着され、気液界面に濃縮された汚濁物質は水面(11)に集積し、連続して供給される空気によって水面(11)に安定泡沫が形成され、泡沫分離管(12)に自動的に押し出されて、泡沫分離槽(13)に入り、槽内で液化して泡沫分離液槽(14)に貯留される。貯留された泡沫分離液は、例えば、乾燥後、焼却する。主として塩分からなる焼却物は、海域などに徐々に戻す。一方、泡沫と分離された液体は飽和濃度の酸素を含んでおり、これは元の水域に循環して戻される。
【0021】
【作用】
荒天の海域に発生する海泡には重金属(貴金属)、微細砂粒子、プランクトンの死骸、及び溶解性有機物が含まれることが知られている。また、海域において異なる水塊がぶつかり混合する潮目では多量の有機物が集積して粒状物を形成して生物の餌になっている。これは水中の蛋白性物質をはじめとする溶解性有機物が気液界面(海水面と大気界面及び海水中に取り込んだ気泡の気液界面)に集積し、海水の流動もあいまって有機物の塊を形成したものである。
有機・無機懸濁物質、溶解性有機物、細菌類、プランクトン及びそれらの死骸などを含む汚濁海水に単に微細気泡を供給しても、すなわち膨大な気液界面を供給しても、その気液界面にはこれらの汚濁物質は高濃度には濃縮し難い。
【0022】
しかし、そこへ極微量の蛋白性物質を添加、混合した後、微細気泡を供給して気液界面を形成すると、添加した蛋白性物質の作用によって、汚濁物質が気液界面に吸着、濃縮して、水面に輸送され、水面に膜状となって濃縮される。すなわち、蛋白相当物質は懸濁物質にも気液(気泡)界面にも吸着・濃縮される性質を有する。水面に輸送された汚濁物質は次々に供給される気泡(空気)によって安定泡沫を形成して押し出される。この原理によって有機・無機懸濁物質はその相当部分が安定泡沫に濃縮され、溶解性有機物、細菌類、プランクトン及びそれらの死骸の多くも安定泡沫の膜に濃縮される(特開平4−267984号参照)。勿論、添加した蛋白性物質は気泡と懸濁物質などを結びつける役割を果たすと同時に、余剰分は気液界面に吸着濃縮されて安定泡沫を形成し、容易に除去されるので、2次公害の危惧はない。
【0023】
鉄成分と共に蛋白性物質を添加する本発明による淡水性廃水中の汚濁物質の除去方法が極めて有効な理由は、蛋白性物質が気液界面に集まって安定泡沫の形成に重要な役割を果たし、また凝集剤として加える鉄成分はコロイドのフロックを形成し、またりん成分はりん酸第2鉄を形成し、それらは蛋白性物質と結合し易いことによると考えられる。すなわち、蛋白質は海水中等塩分濃度が高い液中では塩効果によって蛋白の親水性部分と疎水性部分が延びた状態で分散して存在しているが、淡水中では、親水性部分が外側、疎水性部分が内側のいわゆるミセル状の球状構造を取っている。淡水性廃水に塩分を添加するとこの球状構造が崩れて曝気による泡の疎水性部分に吸着した汚濁物質が集積し、さらに鉄成分を介して形成されるりん酸第2鉄成分も蛋白質に結合して水面に輸送され、水面で形成される安定泡沫として除去される。
【0024】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明の方法を説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。なお、下記例において濁度、総有機炭素(Total organic carbon;TOCと略す。)、溶解性有機性炭素(Dessolved organic carbon:DOCと略す。)及びりん成分(りん酸イオン)は以下の方法で測定した。
濁度:JIS K0101(9.4)(積分式濁度測定法)により測定。
TOC:超音波処理して懸濁物を小さくした後JIS K0102(22.1)(燃焼酸化赤外線式TOC分析法)に従って燃焼法により測定。
DOC:懸濁物をろ過した後、TOCと同様にJIS K0102(22.1)に従って燃焼法により測定した。
りん成分:JIS K0101(43.1)(モリブデン青吸光光度法)により測定。
【0025】
実施例1:塩分濃度の影響
被処理水(原水)として下水(宮崎市木花処理場最初沈澱池越流水)を使用し、これに海水、ポリ硫酸第2鉄及びカゼインを添加撹拌(撹拌時間は下水+海水10分間、ポリ硫酸第2鉄添加後5分間、カゼイン添加後5分間,撹拌速度150rpm)し、調製液を得た。次いで、図2に示す回分式泡沫分離装置を使用し、気液接触塔(径 3.5cm,長さ1m)(21)に前記調製液を入れ、その下部からG4・ガラスフィルター(20)を介してポンプ(18)により空気を導入し、上部に集積する泡沫(22)を泡沫トラップ瓶(23)に導き液化した(泡沫分離量 3.2%)。空気導入の気液比及び処理時間、並びに海水、ポリ硫酸第2鉄及びカゼインの添加量(配合濃度)は下記の通りである。
気液比 :3.2、
処理時間 :5.6分、
海水添加量 :0、5、10、20、30及び50Vol%、
ポリ硫酸第2鉄添加量(鉄濃度として):10mg/リットル、
カゼイン濃度:3.2mg/リットル。
同一試料について3回ずつ実験を行ない、泡沫分離前後の濁度、TOC及びDOCを測定した結果を図3に示す。図3から塩分濃度約35パーミルの海水添加量が10Vol%を超えると濁度及びTOCの除去率が上昇し、30Vol%の添加(塩分濃度約10パーミル)で濁度及びTOCの除去率がそれぞれ85%及び50%に達することが分かる。
【0026】
実施例2:鉄成分の影響
以下の条件で実施例1と同様に実験を行ない、濁度、TOC及びDOCを測定した。その結果を図4に示す。
気液比 :3.2、
処理時間 :5.6分、
海水添加量 :50Vol%、
ポリ硫酸第2鉄添加量(鉄濃度として):0、3.2、10、32、44、50、53及び56mg/リットル、
カゼイン添加量 :3.2mg/リットル。
図4から、ポリ硫酸第2鉄を配合することにより濁度除去率が著しく改善され、10mg/リットル以上の添加でほぼ飽和値(95%)に達すること、TOC及びDOC除去率もポリ鉄の添加量に比較して向上することがわかる。また、ポリ硫酸第2鉄の添加量が50mg/リットルになると各除去率が低下するが、これはポリ硫酸第2鉄起源のフロックが多くなりすぎ、本条件では除去しきれなくなるためである。
【0027】
実施例3:蛋白性物質(カゼイン)の影響
以下の条件で実施例1と同様に実験を行ない、濁度、TOC及びDOCを測定した。その結果を図5に示す。
気液比 :3.2、
処理時間 :5.6分、
海水添加量 :50Vol%、
ポリ硫酸第2鉄添加量(鉄濃度として):10mg/リットル、
カゼイン添加量:0、1、2、3、5、10、18及び32mg/リットル。
図5から、カゼインを微少量(2〜3mg/リットル)添加することにより濁度及びTOC除去率が改善されることがわかる。
【0028】
実施例4:処理時間の影響
以下の条件で実施例1と同様に実験を行ない、濁度、TOC及びDOCを測定した。その結果を図6に示す。
気液比 :3.2、
処理時間 :1、3.2、5.6、10及び32分、
海水添加量 :50Vol%、
ポリ硫酸第2鉄添加量(鉄濃度として):10mg/リットル、
カゼイン添加量:3.2mg/リットル。
その結果、2〜3分の短い処理時間で充分な除去率に達することが分かる。
【0029】
実施例5:気液比の影響
以下の条件で実施例1と同様に実験を行ない、濁度、TOC及びDOCを測定した。その結果を図7に示す。
気液比 :1、3.2、5.6、8.2、10及び14、
処理時間 :5.6分、
海水添加量 :50Vol%、
ポリ硫酸第2鉄添加量(鉄イオン濃度として):10mg/リットル、
カゼイン濃度:3.2mg/リットル。
その結果、気液比は1程度で充分な除去率に達することが分かる。
【0030】
実施例6:泡沫分離量
以下の条件で実施例1と同様に実験を行ない、濁度、TOC及びDOCを測定した。その結果を図8に示す。
気液比 :3.2、
処理時間 :5.6分、
海水添加量 :50Vol%、
ポリ硫酸第2鉄添加量(鉄濃度として):10mg/リットル、
カゼイン添加量:3.2mg/リットル、
泡沫分離量 :1、3.2、5.6及び10%。
その結果、1%という少量の泡沫分離量で充分な除去率に達することが分かる。
【0031】
実施例7:りん酸イオン濃度
以下の条件で実施例1と同様に実験を行ない、初期りん酸イオン濃度及び処理水のりん酸濃度を測定した。測定結果とそれに基づく除去率、及び現在実施されている凝集沈澱処理法による結果(最終沈殿池越流水(終沈水と略記する。)のりん酸イオン濃度)を表1及び2に示す。なお、表1及び2中、試水とは下水に海水を所定量添加したものである。
使用下水:宮崎市木花処理場最初沈澱池越流水を日を変えて採取した2種類(A及びB)、
気液比 :3.2、
処理時間 :5.6分、
海水添加量 :50Vol%、
ポリ硫酸第2鉄添加量(鉄イオン濃度として):10mg/リットル、
カゼイン添加量:3.2mg/リットル、
泡沫分離量 :3.2%。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
表1及び2から、本発明の処理法が凝集沈澱処理法に比べて格段に優れていることがわかる。また、本発明の処理法によれば濁度及びTOCだけでなくりん成分、特にりん酸が効率よく(82〜96%)除去されていることがわかる。
【0034】
【発明の効果】
本発明による、淡水性廃水に塩分と極微量の鉄成分及び蛋白性物質を添加し空気を導入して発生させた泡沫を分離することによる除去方法によれば、都市下水や産業廃水などの淡水性汚濁水、特に水環境の悪化した都市下水などの淡水性汚濁水の浄化処理、及び山岳地帯で実施される湖沼の浚渫工事や河川域で行なわれる土木・建設工事淡水廃水の処理に有用な液中の汚濁物質、特に都市下水などに含まれる懸濁性有機物質及びりん成分を効率よく除去することができ、加えて総有機炭素及びに除去率は高くはないが溶解性有機炭素も除去できる。
すなわち、従来の浚渫余水の凝集沈澱システムに比較して著しく建設費が低く、処理装置の構成が単純で操作の容易な装置を使用し、低い維持費で処理できること、淡水性廃水(原水)を本発明の除去システムに流入してから処理し放流するのに要する時間は約2〜3分であり、従来の一般的方法に比べると処理時間が格段に短いこと、溶解性有機物質もある程度処理できること、急速ろ過を本発明の泡沫分離処理に後続させれば、懸濁物質除去と溶解性のりん酸塩類の除去がより確実になること、泡沫分離法で大部分の懸濁物質が除去されているので、ろ層が閉塞してろ過不能になるまでの時間(ろ過継続時間)は非常に長くなり300〜400m/日程度のろ過速度で運転できること等の特長がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法を実施する装置例の概要図である。
【図2】実施例で使用した回分式泡沫分離装置の概要図である。
【図3】塩分(海水)濃度と除去率との関係を示すグラフである。
【図4】鉄分濃度と除去率との関係を示すグラフである。
【図5】カゼイン濃度と除去率との関係を示すグラフである。
【図6】処理時間と除去率との関係を示すグラフである。
【図7】気液比と除去率との関係を示すグラフである。
【図8】泡沫分離量と除去率との関係を示すグラフである。
【図中符号】
1 汚濁水
2 ポンプ
3a,3b,3c 定量ポンプ
4a 塩含有溶液(海水)
4b 蛋白性物質
4c 鉄塩
5 ラインミキサー
6 定量ポンプ
7 気液接触・泡沫分離槽
8 空気自吸式エアレーター
9 空気導入孔
10 羽根
11 水面
12 泡沫分離管
13 泡沫分離槽
14 泡沫分離液槽
18 送気ポンプ
19 空気流量計
20 ガラスフィルター
21 気液接触塔
22 泡沫
23 泡沫トラップ瓶
24 吸引ポンプ
Claims (7)
- 淡水性廃水中の汚濁物質除去方法であって、塩分を液中濃度10パーミル以上及び溶解性鉄塩を鉄換算で 1.0 mg/リットル以上となるように添加混合後、空気を導入して液中に気泡を発生させ、その気泡が水面に安定した泡沫を形成しない場合には、液中に蛋白質を 0.01 ppm以上の濃度に溶解させて液中に気泡を発生させ水面に安定泡沫を形成せしめ、前記気泡に液中の汚濁物質を吸着せしめ水面に形成する安定泡沫を除去することを特徴とする淡水性廃水中の汚濁物質除去方法。
- 淡水性廃水中に海水を添加して塩分を10パーミル以上に調整する請求項1に記載の液中の汚濁物質除去方法。
- 蛋白質の濃度が 0.05〜5ppmである請求項1に記載の汚濁物質除去方法。
- 蛋白質が、カゼイン、ゼラチン、グロブリン、乳蛋白、卵蛋白、グルテンから選択される1種以上のものである請求項1または3に記載の淡水性廃水中の汚濁物質除去方法。
- 溶解性鉄塩が、ポリ硫酸第2鉄、硫酸鉄及び塩化鉄(III)から選択される1種以上のものである請求項1に記載の淡水性廃水中の汚濁物質除去方法。
- 回転するインペラーの背面に発生する負圧を利用して液中に空気を導入し、気泡を発生させる請求項1に記載の淡水性廃水中の汚濁物質除去方法。
- 汚濁物質が、溶解・懸濁有機物質及び/またはりん含有成分である請求項1乃至6のいずれかの項に記載の淡水性廃水中の汚濁物質除去方法。
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