JP3599621B2 - 画像処理装置、画像処理方法及び記憶媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は,画像処理装置、画像処理方法及び記憶媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、画像情報中に、画像に関連のある他の情報を多重化する研究が盛んに行われている。
【0003】
近年では、電子透かし技術と称し、写真、絵画等の画像情報中に、その著作者名や、使用許可の可否等の付加情報を視覚的に判別しづらい様に多重化して、インターネット等のネットワークを通じて流通する技術が標準化されつつある。
【0004】
また、他の応用分野としては、複写機、プリンタ等の画像出力装置の高画質化に伴い、紙幣、印紙、有価証券等の不正な偽造を防止する目的で、紙上に出力された画像から出力機器、及び、その機体番号を特定する為に、画像中に付加情報を埋め込む技術がある。
【0005】
例えば、特開平7−123244では、視覚的に感度の低い色差成分、及び彩度成分の高周波域に付加情報を埋め込むことにより情報の多重化を行う技術を提案している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した技術は以下の問題点がある。図13は、電子透かし技術の一般的な付加情報の埋め込みを示した図である。画像情報Aと付加情報Bが加算器1301を介して多重化され、Cという多重化情報に変化する。図13は画像情報の実空間領域で付加情報を多重化する例である。この多重化情報Cを各種フィルタリング等の画像処理や、非可逆圧縮等の符号化をせずに流通することが可能であれば、多重化情報Cから付加情報Bを復号することは従来技術でも容易である。インターネット上で流通する画像情報では、多少のノイズ耐性があれば、エッジ強調、平滑化等の画質向上のデジタルフィルタを通しても復号が可能になる。
【0007】
しかしながら、今、多重化した画像をプリンタ等の出力装置により印字し、その印字物から付加情報を取り出す場合を想定する。しかも、使用するプリンタが単色あたり2階調から数階調程度の表現能力しか有していないプリンタ出力を想定する。近年、インクジェットプリンタは、染料濃度を薄くしたインクを有したり、出力するドット径を可変に制御したりして、単色あたり数階調表現できる装置が知られているが、それでも疑似階調処理を用いない限り、写真調の画像の階調性は表現できない。
【0008】
すなわち、図13の電子透かし技術を用いた多重化方法をプリンタに出力するという前述の想定では、図14に示すように、疑似階調処理1401により多重化情報CはDという量子化情報に変化し、その後、プリンタ出力1402にて紙上に印字されることにより、非常に劣化したEという紙上情報(印字物)に変化する。従って、前述した偽造防止の目的の為に紙上の情報から付加情報を復号するということは、図14の一連の処理後の紙上情報Eから付加情報Bを復号することになるわけである。
【0009】
この1401、1402の両処理による情報の変化量は非常に大きく、視覚的に判別できないように付加情報を多重化し、かつ、多重化した付加情報を紙上から正しく復号することは非常に困難なことになる。
【0010】
また、図15は、実空間領域ではなく、画像情報をフーリエ変換等を用い、周波数領域に変換してから高周波域等に合成する従来の電子透かし技術の例を示している。図15において、画像情報を直行変換処理1501により周波数領域に変換し、加算器1502により、視覚的に判別しづらい特定の周波数に付加情報が加算される。
【0011】
1503逆直行変換処理により再び実空間領域に戻された後に、図14の例と同様に、疑似階調処理、プリンタ出力という大きな変化を伴うフィルタを通ることに相当する。
【0012】
図16では、紙上からの付加情報の分離の手順を示している。すなわち、印字物をスキャナ等の画像読み取り装置1601を介して、印字物の情報を入力する。入力された情報は、疑似階調処理により階調表現されている画像である為に、逆疑似階調処理である復元処理1602を施す。復元処理は、LPF(ローパスフィルタ)を用いるのが一般的である。復元後の情報を1603により直行変換処理させた後に、1604分離手段において、特定の周波数の電力から埋め込んだ付加情報の分離を行う。
【0013】
以上の図15、図16から明らかなように、付加情報を多重化してから分離するまでに、複雑な多数の処理工程を通過することがわかる。カラー画像の場合には、この一連の処理工程の中にプリンタ特有の色に変換する色変換処理も含まれることになる。このような複雑な処理工程でも良好な分離を実現するためには、非常に耐性の強い信号を入れなくてはならない。良好な画質を維持しつつ、耐性の強い信号を入れるのは困難である。
【0014】
また、処理工程が多数、複雑ということは、多重化、及び分離に要する処理時間が非常に長くなってしまう。
【0015】
また、前述した特開平7−123244では、高周波域に情報を付加させているが、後段の疑似階調処理で、誤差拡散法を実施した場合には、誤差拡散法特有のハイパスフィルタの特性により、付加情報の帯域が誤差拡散で発生するテクスチャの帯域に埋没してしまい、復号に失敗する恐れが多分にある。また、復号には非常に精度の高いスキャナ装置が必要になる。
【0016】
すなわち、疑似階調処理が前提である場合には、図14、図15の方式は適さないことがわかる。言い換えると、疑似階調処理の特性を大きく活かした付加情報の多重化方式が必要になる。
【0017】
付加情報の多重化と疑似階調処理の冗長性とを結び付けた例として、特登録2640939、特登録2777800がある。
【0018】
前者は、組織的ディザ法にて2値化する際に、同一階調を表すディザマトリクスの中からいずれか一つを選定することによって、画像信号中にデータを混入するものである。
【0019】
しかしながら、組織的ディザ法では、高解像の、しかも機械的精度の非常に優れたプリンタで無い限り、写真調の高画質の出力は困難である。多少の機械的精度のずれが、横筋等の低周波のノイズとして発生し、紙上では容易に視覚されてくるからである。
【0020】
また、ディザマトリクスを周期的に変化させると、規則的に配列されていたディザにより発生する特定周波数の帯域が乱され、画質的に悪影響を及ぼす。
【0021】
また、ディザマトリクスの種類により階調表現能力が大きく異なる。特に紙上においては、ドットの重なり等における面積率の変化がディザマトリクスによって異なる為、たとえ信号上では均一濃度である領域でもディザマトリクスの切り替えで濃度の変化を引き起こすことも考えられる。
【0022】
また、復号(分離)側にとって、原信号である画像情報の画素値が不明な状態で、いかなるディザマトリクスで2値化されたかを推測する復号方法では、誤った復号をしてしまう可能性が非常に大きい。
【0023】
また、後者は、カラーのディザパターン法を用いて、その配列により付加情報を多重化する方法である。この方法でも前者と同様、切り換えにより画質劣化は避けられない。
【0024】
また、前者と比べて、より多くの付加情報を多重化できる代わりに、色成分の配列を変化させることによる色見の変化をもたらし、特に平坦部において画質劣化が大きくなる。
【0025】
また、紙上での復号も更に困難になることが予想される。いずれにしても、ディザマトリクスを変化させる両者の方法では、画質劣化が大きい割に、復号が困難という問題点を有している。
【0026】
そこで、本発明の出願人は、先に、誤差拡散法によって生じるテクスチャを利用し、通常の疑似階調処理では発生し得ない量子化値の組み合わせを人工的に作成することにより符号の埋め込みにする方法を提案した。
【0027】
この方法は、テクスチャの形状が微視的に多少変化するだけなので、視覚的には画質が劣化するものではない。また、誤差拡散法の量子化閾値を変更する方法を用いれば、視覚的に面積階調の濃度値も保たれる為、極めて容易に異種信号の多重化が実現できる。
【0028】
しかしながら、前述の提案によると、復号側では、テクスチャが人工的であるか否かを判別しなくてはならない。紙上に出力した印字物では、ドットのよれ等の所望の着弾点位置からのずれにより、テクスチャが良好に再現できない場合がある。
【0029】
また、カラー画像においては、最も視覚的に感度の低い色成分に多重化する方法が主流であるが、実空間領域でのテクスチャの判別は、他の色成分の影響を受けやすく、多重化情報の分離が困難なものになってしまう。
【0030】
また、音声情報の様に非常に大量の情報量を画像中に埋め込む例として特登録2833975号に記載されている方法もある。特登録2833975号では、音声情報を所謂2次元バーコードと称されているドットコードに変換し、画像の余白部や画像の内部に印字するものである。
【0031】
しかしながら、この方法では、ドットコードと画像情報とは、2種の異種情報を多重化しているものではなく、また、視覚的にコードを視認されづらくしているものでもない。
【0032】
唯一、視認されづらく工夫している例として、透明塗料を使用してコードを画像中に埋め込む例が提案されているが、これも特殊なインクを必要とし、コストアップになるばかりでなく、当然、紙上に出力した画質は劣化する。
【0033】
本発明は、上記問題を少なくとも一つ解決することができる画像処理装置、画像処理方法及び記憶媒体を提供することを目的とする。
【0034】
更に本発明は、画像に対して所定の情報を付加することによる画質劣化を抑圧し、かつ埋め込まれた情報が精度よく抽出できるように画像に対して所定の情報を付加することができる画像処理装置、画像処理方法及び記憶媒体を提供することを目的とする。
【0035】
更に本発明は、所定の情報が付加された画像から該所定の情報を精度よく抽出することができる画像処理装置、画像処理方法及び記憶媒体を提供することを目的とする。
【0036】
【課題を解決するための手段】
本発明は上述した課題を解決することを目的として成されたもので、上述の課題を解決する一手段として例えば以下の構成を備える。
即ち、画像に対して所定の情報を付加する画像処理装置であって、
画像を入力する入力手段と、
前記入力された画像を複数の画像領域に分割する分割手段と、
前記入力された画像を誤差拡散法により量子化する量子化手段と、
前記所定の情報に基づいて、前記量子化手段による量子化条件を前記画像領域単位で制御する制御手段とを有し、
前記制御手段は、前記量子化閾値を変化させる水平方向の周期と垂直方向の周期との組み合わせを複数種有し、前記画像領域内に付加する情報に応じて前記組み合わせを選択することを特徴とする。
【0037】
そして例えば、更に、所定の情報が付加された画像から該所定の情報を抽出する画像処理装置において、
画像を入力する入力手段と、
前記入力された画像を複数の画像領域に分割する分割手段と、
前記分割手段により分割された画像領域に対して周波数変換を行う変換手段と、
前記変換手段の変換処理に基づいて前記画像領域内を周波数帯域毎に複数のクラスに分類する分類手段と、
前記分類されたクラスの変換係数に基づいて各クラスの特徴量を算出する算出手段と、
前記算出されたクラス同士の特徴量の大小を相対比較する比較手段と、
前記比較手段の比較結果に基づいて、特徴量の大きいクラスを決定する決定手段と、
前記決定手段の決定結果に基づいて、前記クラスと前記所定の情報を表す情報との対応関係により、前記画像領域内に付加された情報を判断し、前記画像から所定の情報を抽出する抽出手段とを有する。
【0038】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照して第1の実施形態を詳細に説明する。尚、第1の実施形態における画像処理装置は、主として、プリンタエンジンへ出力すべき画像情報を作成するコンピュータ内のプリンタドライバソフト、もしくは、アプリケーションソフトとして内蔵することが効率的であるが、複写機、ファクシミリ、プリンタ本体等にハードウエア、及びソフトウエアとして内蔵することも効果がある。
【0039】
図1は、第1の実施形態の画像処理システムの構成を表すブロック図である。
【0040】
100、及び101はともに入力端子を示し、100からは多階調の画像情報を、101からは、画像情報の中に埋め込むべき必要な付加情報が入力される。
【0041】
この付加情報は、入力端子100にて入力される画像情報とは別の情報、例えば音声情報や、テキスト文書情報、入力端子100にて入力される画像に関する著作権、撮影日時、撮影場所、撮影者等の諸情報、また、全く別の画像情報等、様々な応用が考えられる。
【0042】
102は、付加情報多重化装置を示し、視覚的に判別しづらいように、画像情報中に付加情報を埋め込ませる装置である。この付加情報多重化装置は、付加情報の多重化とともに、入力した多階調の画像情報の量子化も行う。
【0043】
103はプリンタを示し、付加情報多重化装置で作成された情報をプリンタエンジンにて出力する。プリンタは、インクジェットプリンタ、レーザープリンタ等、疑似階調処理を用いることにより階調表現を実現するプリンタを想定する。
【0044】
出力された印字物は、スキャナ104を用いて印字物上の情報を読みとり、付加情報分離装置105によって、印字物中に埋め込まれた付加情報を分離し、出力端子106に出力する。
【0045】
図2は、図1の付加情報多重化装置102の実施例を示すブロック図である。
【0046】
200は誤差拡散手段を示し、入力された画像情報を誤差拡散法を用いた疑似階調処理することによって、入力階調数よりも少ない量子化レベルに変換し、複数画素の量子化値によって面積的に階調性を表現する。誤差拡散処理についての詳細は後述する。
【0047】
201はブロック化手段を示し、入力された画像情報を所定領域単位に区分する手段である。このブロック化は矩形でも良いし、矩形以外の領域に区分しても良い。
【0048】
202は量子化条件制御手段を示し、201にてブロック化した領域単位で量子化条件を変更、制御していく手段である。量子化条件制御手段202は、入力端子101で入力された付加情報に基づき、ブロック単位で量子化条件が制御される。
【0049】
210は、CPU211、ROM212、RAM213などからなる制御部である。CPU211は、ROM212に保持された制御プログラムに従って、上述した各構成の動作、及び処理を制御する。RAM213は、CPU211の作業領域として使用される。
【0050】
図3は、誤差拡散処理200の詳細を表すブロック図である。一般的な誤差拡散処理は、文献R.Floyd & L.Steinberg: ”An Adaptive Alogorithm for Spatial Grayscale”, SID Symposium Digest of Paper pp.36〜37 (1975)に詳細が記載されている。
【0051】
いま、量子化値が2値である誤差拡散処理を例にして説明する。
【0052】
300は加算器を示し、入力された画像情報の注目画素値と既に2値化された周辺画素の分配された量子化誤差が加算される。量子化条件制御手段からの量子化閾値と誤差の加算された加算結果とを比較手段301にて比較し、所定の閾値よりも大きい場合には“1”を、それ以外では“0”を出力する。
【0053】
例えば、8ビットの精度で画素の階調を表現する場合には、最大値である“255”と最小値である“0”で表現するのが一般的である。いま、量子化値が“1”の時に、紙上にドット(インク、トナー等)が印字されると仮定する。
【0054】
302は減算器を示し、量子化結果と前述した加算結果との誤差を算出し、誤差配分演算手段303に基づいて、今後の量子化処理が施される周辺画素に誤差を配分する。誤差の配分割合は注目画素との相対的な距離に基づいて実験的に設定された誤差の配分テーブル304を予め所有しておき、配分テーブルに記された配分割合に基づいて誤差を分配する。
【0055】
図3の配分テーブル304は、周囲4画素分の配分テーブルを示しているが、これに限るものではない。
【0056】
次に量子化条件制御手段202を含む全体の動作手順について、図4のフローチャートを基に説明する。いま、量子化値は2値である例について述べる。
【0057】
S401は、変数iの初期化を示す。変数iは垂直方向のアドレスをカウントする変数である。
【0058】
S402は、変数jの初期化を示す。変数jは水平方向のアドレスをカウントする変数である。続いてS403は、i、jのアドレス値による判定手段であり、現在の処理アドレスであるi、jの座標が多重化処理を実行すべき領域に属しているか否かを判定している。
【0059】
図5を基に多重化領域について説明する。図5は、水平画素数がWIDTH、垂直画素数がHEIGHTから成る、ひとつの画像イメージを示している。いま、この画像イメージ中に付加情報を多重化すると仮定する。画像イメージの左上を原点とし、横N画素、縦M画素でブロック化をする。第1の実施形態では、原点を基準点としてブロック化を行なうが、原点から離れた点を基準点として設定しても良い。
【0060】
この画像イメージ中に最大限の情報を多重化する場合に、N×Mのブロックを基準点から配置していく。すなわち、水平方向に配置可能なブロック数をW、垂直方向に配置可能なブロック数をHとすると、以下の関係になる。
【0061】
W = INT(WIDTH / N) …式1
H = INT(HEIGHT / M) …式2
但し、INT( )は( )内の整数部分を示す。
【0062】
式1、式2において割り切れない剰余画素数が、N×Mのブロックを複数配置した時の端部に相当し、符号多重化領域外となる。
【0063】
図4中、S403にて、現在処理している注目画素が多重化領域外と判定された場合には、S404にて量子化条件Cが設定される。一方、多重化領域内と判定された場合には、多重化すべき付加情報を読み込む。いま、説明を容易にする為に、付加情報をcode[ ]という配列を用いて、各1ビットづつ表現するものとする。
【0064】
例えば付加情報を48ビット分の情報と仮定すると、配列code[ ]はcode[0]からcode[47]まで、各1ビットづつが格納されていることになる。S405において、変数bitは、以下のように配列code[ ]内の情報を代入する。
【0065】
bit = code[INT(i / M)×W + INT(j / N)] …式3
【0066】
続いて、S406にて代入した変数bitが“1”か否かを判定する。前述したように、配列code[ ]内の情報は各1ビットずつ格納されている為、変数bitの値も“0”か“1”かの何れかを示すことになる。
【0067】
S406にて、“0”と判定された場合には、S407にて量子化条件Aを、“1”と判定された場合には、S408にて量子化条件Bを設定する。
【0068】
続いてS409では、設定された量子化条件に基づいて量子化処理を行う。この量子化処理は、図3にて説明している誤差拡散法に相当する。
【0069】
続いて、S410では水平方向変数jをカウントアップし、S411にて画像の水平画素数であるWIDTH未満か否かを判定し、処理画素数がWIDTHになるまで前述の処理を繰り返す。
【0070】
また、水平方向の処理がWIDTH画素数分終了すると、S412にて垂直方向変数iをカウントアップし、S413にて画像の垂直画素数であるHEIGHT未満か否かを判定し、処理画素数がHEIGHTになるまで前述の処理を繰り返す。
【0071】
以上の動作手順により、N×M画素よりなるブロック単位で、量子化条件を変更することが可能になる。
【0072】
続いて、量子化条件A、B、Cの例について説明する。誤差拡散法における量子化条件は様々な因子があるが、第1の実施形態では量子化条件は、量子化閾値とする。量子化条件Cの使用は、多重化領域外である為に、量子化閾値は何でも良い。
【0073】
前述したように、1画素が8ビットによる階調表現で、量子化レベルが2値の場合には、最大値である“255”、及び、最小値である“0”が量子化代表値となるが、その中間値となる“128”を量子化閾値として設定することが多い。
【0074】
すなわち、量子化条件Cでは、量子化閾値を“128”固定とする条件にする。量子化条件A、量子化条件Bの使用は多重化領域内のブロックである為、量子化条件の違いによる画質の違いを生じさせなければならない。但し、画質の違いは視覚的には判別しにくいように表現し、かつ、紙上から精度よく識別できなくてはならない。
【0075】
図6は、量子化条件A、Bを表した例である。図6(a)は、量子化条件Aにおける量子化閾値の変化の周期を示した図である。図中、ひとつのマスを1画素分と想定し、白いマスは固定閾値、灰色のマスを変動閾値とする。
【0076】
すなわち、図6(a)の例では、横8画素、縦4画素のマトリクスを組み、灰色のマスの閾値のみ突出した値を閾値として設定する。
【0077】
図6(b)は、同様に、量子化条件Bにおける量子化閾値の変化の周期を示した図である。図6(b)の例では、図6(a)とは異なり、横4画素、縦8画素のマトリクスを組み、灰色のマスの閾値のみ突出した値を閾値として設定する。
【0078】
いま、前述したように1画素が8ビットの階調値の場合に、一例として、固定閾値として“128”、突出した閾値を“10”と設定する。量子化閾値が低くなると、注目画素の量子化値が“1”(量子化代表値“255”)になりやすくなる。すなわち、図6(a)、(b)ともに、図中の灰色のマスの並びで量子化値“1”が並びやすくなる。
【0079】
言い換えると、N×M画素のブロック毎に、図6(a)の灰色のマスの並びでドットが発生するブロックと、図6(b)の灰色のマスの並びでドットが発生するブロックとが混在することになる。
【0080】
誤差拡散法における量子化閾値の多少の変更は、画質的には大きな影響を及ぼさない。組織的ディザ法においては、使用するディザパターンによって、階調表現の画質が大きく左右する。
【0081】
しかしながら、前述したような、規則的に量子化閾値の変化を与えた誤差拡散法では、あくまでも画質を決定する階調表現は誤差拡散法であるため、ドットの並びが多少変化したり、テクスチャの発生が変化したり等、階調表現の画質にはほとんど影響を与えないことになる。
【0082】
それは、量子化閾値が変化した場合でも、あくまでも信号値と量子化値との差分となる誤差は周囲画素に拡散される為、入力された信号値はマクロ的に保存される。すなわち、誤差拡散法におけるドットの並び、テクスチャの発生に関しては冗長性が非常に大きいことになる。
【0083】
次に、付加情報分離装置105について説明する。
【0084】
図7は、付加情報分離装置105の実施例を示すブロック図である。700は、入力端子を示し、スキャナで読み込まれた画像情報が入力される。使用するスキャナの解像度は、印字物を作成するプリンタ解像度と同等以上が好ましい。当然、正確に印字物のドットの点在情報を読み込む為には、サンプリング定理により、スキャナ側はプリンタ側よりも2倍以上の解像度が必要になる。しかしながら、同等以上であれば、正確でなくとも、ある程度ドットが点在しているのを判別することは可能である。
【0085】
第1の実施形態では、説明を容易にするためにプリンタ解像度とスキャナ解像度が同一解像度と想定する。
【0086】
701は、幾何学的ずれ検出手段を示し、スキャナで入力した画像の幾何学的ずれを検出する手段である。当然、プリンタ出力、スキャナ入力を経ている為に、スキャナからの入力端子700から送信される画像情報は、プリンタ出力以前の画像情報とは幾何学的に大きくずれている場合がある。
【0087】
そこで、701では、印字物中の画像情報が印字されていると想定されている端部4点を検出する検出手段を有する。いま、プリンタ解像度とスキャナ解像度が同一解像度であれば、プリンタの紙上記録時の斜行、及び、スキャナに印字物をセットする時のずれ等により、画像の回転方向(傾き)が補正すべき大きな要因となる。そのため、この端部4点を検出することにより、どの程度回転方向でずれが生じているかが判断できる。
【0088】
702は、ブロック化手段を示し、P×Q画素単位にブロック化をする。このブロックは、多重化時にブロック化したN×M画素よりも小さくなければならない。すなわち、
P≦N、かつQ≦M …式4
の関係が成り立つ。
【0089】
また、P×Q画素単位のブロック化は、ある一定間隔毎スキップしてブロック化を行う。すなわち、多重化時のN×M画素よりなるブロックと想定される領域内に、P×Q画素単位のブロックがひとつ内包するようにブロック化する。スキップ画素数は、水平N画素分、垂直M画素分が基本となるが、幾何学的ずれ検出手段701より検出したずれ量をブロック数で割り出し、1ブロックあたりのずれ量を演算して、スキップ画素数に加算して補正する必要がある。
【0090】
図8は、ずれ量を補正したブロック化を表す図である。図中、最も大きな矩形領域は、スキャナから送信されたスキャナ画像を示し、その内側の大きな太線で囲まれた領域Dは、印字されたと想定される画像印字部を表している。画像印字部Dの端部4点を検出することにより、画像情報の回転方向のずれが判断できる。
【0091】
端部の検出は、予め印字時に端部を示すマーカーを記録する方法や、紙の白領域と印字部との濃度差を基に検出する方法等がある。いま、水平方向のずれをT、垂直方向のずれをSとする。1ブロックあたりのずれ量(T’、S’)を以下の様に計算する。
【0092】
T’=T×M/HEIGHT …式5
S’=S×N/WIDTH …式6
【0093】
小さな太線で囲まれた矩形領域は、P×Q画素単位でブロック化したブロックを示している。説明を容易にする為、上部1列目のみブロック化して表示している。式5、式6により補正したブロック化によって、多重化時のN×M画素よりなるブロックと想定される領域内に、P×Q画素単位のブロックがひとつ内包するように各ブロック開始位置を制御する。
【0094】
703は、直行変換手段を示し、ブロック化したP×Q画素を直行変換する手段である。ただ、2次元の直交変換を行う時には、Q=Pの正方ブロックでブロック化する必要がある。第1の実施形態では、DCT(離散コサイン変換)を例にする。
【0095】
P×P画素よりなるブロックの二次元DCTの変換係数は、
【0096】
【外1】
で与えられる。
【0097】
704は、クラス分類手段を示し、直交変換係数の帯域毎にクラス分類する手段である。
【0098】
図9は、P=Q=16の時のクラス分類の一例を示している。図9は、1ブロック内の直交変換係数F(u,v)を表していて、左上がDC成分、残りの255成分がAC成分となる。
【0099】
いま、F(4,8)を中心とするクラスAと、F(8,4)を中心とするクラスBの2クラスを作成する。2クラスを図中、太線で示す。このクラス分類手段は、全256成分をクラス分類する必要はなく、所望の成分を中心とした複数のクラスに分類するだけで良い。この必要なクラス数は、多重化時に量子化制御した条件数に対応する。すなわち、量子化制御した条件数よりもクラス数は多くなることはない。
【0100】
705は、電力比較手段を示し、各クラスの電力の総和を比較する手段である。演算を高速にする為に、発生した変換係数の絶対値を電力の代用としても良い。各クラスの電力の総和を比較することで、付加情報の信号を判断する。いま、多重化時に図6(a)、(b)の量子化条件A、Bを施した例について説明する。前述したように、量子化条件A、Bを用いた量子化では、各々角度の異なる斜め方向にドットが並ぶテクスチャが発生しやすい。すなわち、量子化条件Aにおいて量子化したブロックでは、直交変換処理を行うと、図9のクラスAに大きな電力が発生する。
【0101】
一方、量子化条件Bにおいて量子化したブロックでは、直交変換処理を行うと、図9のクラスBに大きな電力が発生する。すなわち、クラスAとクラスBの電力の大小関係を相対的に比較することにより、該当するブロックの多重化時の量子化条件が、量子化条件A、量子化条件Bの何れであるかが判断できる。量子化条件は、付加情報の符号(式3のbit)に連動している為、量子化条件が識別できるということは、多重化された符号が特定できることに相当する。
【0102】
図4に示したフローチャートの例では、bit = 0を量子化条件A、bit = 1を量子化条件Bに設定している為、クラスAの電力の方が大きい場合には、bit = 0、クラスBの電力の方が大きい場合には、bit = 1と判断できる。
【0103】
誤差拡散法による量子化では、誤差拡散法のフィルタ自体が高周波域を通過させるハイパスフィルタの特性を有している。その為、通常の量子化後の変換係数ではクラスA、Bという低中周波域の電力が少なくなり、前述のような判断が可能になる。
【0104】
もし、この低中周波域の電力が相対的に大きければ、人工的に量子化条件を制御した為に、大きな電力が発生したものと想定することができる。すなわち、量子化条件の変更周期の規則性を変化させることによって、視覚的にはほとんど判別つかずに所望の電力を大きく発生させることができる。
【0105】
第1の実施形態では、多重化時の量子化条件制御が、量子化条件A、Bの2通りであり、また、分離時のクラス分類もクラスA、クラスBの2通りという例を示した。これは、ブロック内の付加情報が1ビットである例であるが、当然、より多くの量子化条件を制御して、より多くのクラス分類をすることも可能である。(量子化条件Cについては、付加情報多重化領域外なので今回は除外して考える。)
【0106】
第1の実施形態では、従来例のように多重化時に直行変換をして情報を埋め込む必要はない。ただ単に、量子化条件を変更するだけで、量子化後の周波数の偏りを作成している。しかも、周波数の偏りが、誤差拡散法の高周波成分発生に紛れる為、視覚的に偏りは検知されづらい。また、プリンタ部に送信される直前段である量子化時に多重化している為、分離精度は非常に高くなる。
【0107】
以上、第1の実施形態を説明してきたが、幾何学的ずれが大きければ大きいほど、ブロック化した画像が傾いているために、所望の周波数からずれてしまう。例えば、F(4,8)に大きな電力が発生するように多重化した場合でも、画像が傾くと、当然、発生する周波数もF(4,8)からずれてしまう。そのため、幾何学的ずれ量を基にクラス分類の構成を動的に変化させる構成も考えられる。当然、ずれ量が少なければ、クラス分類は1成分のみで1クラスを構成しても良い。
【0108】
また、量子化条件A、B、C、及び、クラス分類のクラスA、クラスBは一例であり、これに限るものではない。他の規則性を持たせても良いし、突出した量子化閾値をいかように配列しても良い。また、量子化条件の変更は、カウンタを用いて、水平、垂直の周期を変化させても良いし、予め規則性を設定した量子化閾値テーブルを用意し、切り替えて使用しても良い。
【0109】
また、量子化は2値化を例にして説明したが、これには限らない。
【0110】
また、直交変換の手段は、DCTを例に説明したが、これに限るものではない。アダマール変換、フーリエ変換、ウェーブレット変換等、他の直交変換でも良いことは当然である。
【0111】
このように第1の実施形態によれば、情報を埋め込み時には、画像をM×N画素よりなるブロック単位で量子化条件を変更し、該量子化条件に従って画像を量子化することにより画像に対して情報を埋め込むことができるので、従来の直交変換をして情報を埋め込む方法に比べて、画質劣化を抑制し、かつ埋め込まれた情報が精度よく抽出できるように画像に対して情報を埋め込むことができる。
【0112】
また、情報抽出時には、画像をP×Q画像よりなるブロック単位で直交変換を行い、その直交変換した変換係数を複数のクラスに分類し、そのクラス同士の電力値を比較することにより埋め込まれた情報を抽出することができるので、従来の直交変換した変換係数を複数のクラスに分類しない方法に比べて、精度よく埋め込まれた情報を抽出することができる。
【0113】
(第2の実施形態)
図10は、第2の実施形態の付加情報分離装置である。
【0114】
図10は、図7に示した付加情報分離装置と一部異なっているので、同一部には同一符号を付して、異なる点のみ説明する。
【0115】
図10中、1000は、評価手段を示し、電力比較手段705からの比較結果を評価する手段である。ここでは、クラス同士の電力の差分値(Gとおく)と、予め設定していた閾値THとの大小関係を比較することにより、クラス同士の比較による判定の正確さを評価する。クラスが3種類以上存在する場合には、最も電力の大きいクラスと、2番目に電力の大きいクラスとの電力の差分値をGとする。
【0116】
すなわち、作成したP×Q画素より成るブロック内で、電力が突出したクラスが存在するか否かを、Gという評価関数を導入して判定する。画像情報の状態、プリンタ出力時のドットの着弾精度、スキャナの読み込み精度等、様々な条件により、電力が突出したクラスが発生しない可能性がある。突出したクラスが無い状態で、最大値のクラスを選択すると、付加情報の符号の誤判定をしてしまう可能性がある。そこで、判定部1000では、クラス同士の電力の差分値Gが、予め設定した閾値TH以上であれば、電力の最大値を有するクラスの量子化条件で付加情報の符号を決定する。
【0117】
もし、差分値Gの値が、TH未満であれば、信用度が薄いと判定し、ブロック化制御手段1001に、その結果を送信する。ブロック化制御手段1001は、ブロック化に関わる条件を制御する手段である。第2の実施形態では、ブロック化する位置を変動させる。ブロック化制御手段1001では変動量を決定し、ブロック化手段1002では、変動した位置を原点にして、再度ブロック化をする。
【0118】
図11に変動の様子を示す。図11(a)の太線矩形部は1度目のブロック化、図11(b)は2度目のブロック化を示している。図11(b)中の破線のブロックは1度目のブロック化の位置を示している。
【0119】
傾きのある大きな矩形は、想定されるN×M画素よりなるブロックを示している。想定されるブロック内からはみ出さないように、ブロック化制御手段1001は変動量を制御しなくてはならない。
【0120】
再度ブロック化した後は、1度目と同様の処理を施し、再び電力の差分値Gを算出し、閾値THとの大小関係を判定する。再ブロック化により、電力が突出したクラスが発生すれば、その結果を基に付加情報の符号を決定する。もし、再び突出したクラスが存在しない場合には、電力の最大値を有するクラスが、1度目の結果と同じであればそのクラスで決定する。
【0121】
もし、再ブロック化して電力の最大値を有するクラスが、1度目とは異なるクラスであれば、1度目、もしくは2度目の電力の差分値Gが大きかったクラスに決定する。このように、複数回判定することによって、分離した付加情報の誤判定率を減少することができる。
【0122】
図12は、図11とは異なる再ブロック化の様子を示す。図12(a)は、1度目のブロック化、図12(b)は、再ブロック化を示している。図11(b)と同様、太線矩形部が再び作成したブロック、破線が1度目のブロック化を示している。この例では、再ブロック化でブロックサイズを変更している。
【0123】
すなわち、1度目のブロック化では、P×P画素単位、再ブロック化では、サイズアップして、2P×2P画素単位でブロック化する。これは、P×P画素のブロックの直交変換よりも、2P×2P画素のブロックの直交変換の方が、より突出したクラスが発生しやすくなる。この場合、クラス分類もブロックサイズに合わせて変化させなくてはならないのは当然である。
【0124】
例えば、P×P画素単位でブロック化した時のF(4,8)を中心にしたクラスは、2P×2P画素単位で再ブロック化した時には、F(8,16)を中心にしたクラスに変更する。この例でも、再ブロック化した時に、想定されるN×M画素よりなるブロック内からはみ出さないように制御しなくてはならない。
【0125】
図12の例では、再ブロック化した判定を1度目よりも優先にした方が好ましい。すなわち、サイズアップして再ブロック化した場合には、突出したクラスが発生するか否かに関わらず、再ブロック化で最大値を有するクラスに決定する。
【0126】
また、前述した例では、P×P画素単位で1度目のブロック化、2P×2P画素単位で2度目のブロック化の例について述べたが、サイズアップはこれに限るものではない。一般的に、1度目のブロック化をP×Q画素単位で行った場合、再ブロック化は、K×L画素単位(P<K、もしくは、Q<L)で設定することにより有効になる。
【0127】
以上、再ブロック化による判定方法を示したが、この判定方法に限るものではない。再ブロック化を2回以上繰り返す方法も考えられる。また、1回目から、複数のブロック化を行い、ブロック内の結果を総合して判定する方法も考えられる。
【0128】
以上、付加情報多重化装置、及び、付加情報分離装置の各々について説明してきたが、第2の実施形態は、この組み合わせに限定するものではない。
【0129】
このように第2の実施形態によれば、クラス同士の電力の差分値を閾値と比較する評価手段を設け、比較した結果、差分値が閾値以下の場合に、画像をブロック化する位置、サイズを変更して再ブロック化することにより、精度よく埋め込まれた情報を抽出することができる。
【0130】
(他の実施の形態)
また、上述した第2の実施形態では、入力された画像情報を誤差拡散.法を用いた擬似階調処理をすることにより埋め込まれた情報を該画像情報から抽出する方法を説明したが、抽出すべき情報の埋め込み方法は、誤差拡散法に限らず他の方法でもよい。例えば、ディザ法を用いた擬似階調処理により情報を埋め込んでもよい。
【0131】
また、前述した実施形態の機能を実現する様に、複数の機器(例えば、ホストコンピュータ、インタフェイス機器、リーダ、プリンタなど)から構成されるシステムに適用しても、一つの機器からなる方法(例えば、複写機、ファクシミリ方法など)に適用してもよい。
【0132】
また、前述した実施形態の機能を実現する様に各種のデバイスを動作させる様に該各種デバイスと接続された方法あるいはシステム内のコンピュータに、前記実施形態機能(例えば、図4のフローチャートにより実現される機能)を実現するためのソフトウエアのプログラムコードを供給し、そのシステムあるいは方法のコンピュータ(CPUあるいはMPU)を格納されたプログラムに従って前記各種デバイスを動作させることによって実施したものも本発明の範疇に含まれる。
【0133】
またこの場合、前記ソフトウエアのプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード自体、及びそのプログラムコードをコンピュータに供給するための工程、例えばかかるプログラムコードを格納した記憶媒体を提供する。
【0134】
かかるプログラムコードを格納する記憶媒体としては例えばフロッピーディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM,、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることが出来る。
【0135】
またコンピュータが供給されたプログラムコードを実行することにより、前述の実施形態の機能が実現されるだけではなく、そのプログラムコードがコンピュータにおいて稼働しているOS(オペレーティングシステム)、あるいは他のアプリケーションソフト等と共同して前述の実施形態の機能が実現される場合にもかかるプログラムコードは本実施形態に含まれることは言うまでもない。
【0136】
更に供給されたプログラムコードが、コンピュータの機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに格納された後そのプログラムコードの指示に基づいてその機能拡張ボードや機能格納ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も本実施形態に含まれることは言うまでもない。
【0137】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、画像に対して所定の情報を付加する際に、画像を入力し、入力された画像を複数の画像領域に分割し、入力された画像を誤差拡散法により量子化し、所定の情報に基づいて、量子化の量子化条件を画像領域単位で制御し、その制御は、画像領域内に付加する情報毎に予め設定した周期性に基づいて量子化条件を変化させるように制御することにより、画像に対して所定の情報を付加することによる画質劣化を抑圧し、かつ埋め込まれた情報が精度よく抽出できるように画像に対して所定の情報を付加することができる。
【0138】
また、所定の情報が付加された画像から該所定の情報を抽出する際に、画像を入力し、入力された画像を複数の画像領域に分割し、入力された画像を誤差拡散法により量子化し、所定の情報に基づいて、量子化条件を画像領域単位で制御し、その制御は、画像領域内に付加する情報毎に予め設定した周期性に基づいて量子化条件を変化させるように制御することにより、所定の情報が付加された画像から該所定の情報を精度よく抽出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像処理システムを示す要部ブロック図
【図2】図1の付加情報多重化装置を示す要部ブロック図
【図3】図2の誤差拡散手段を示す要部ブロック図
【図4】量子化制御手段を含む多重化処理の動作手順を示すフローチャート
【図5】ブロック化の一例
【図6】量子化条件における量子化閾値変化の一例
【図7】図1の付加情報分離装置を示す要部ブロック図
【図8】スキャナ画像内での画像の傾きの説明図
【図9】直行変換ブロック内のクラス分類の一例
【図10】本発明の付加情報分離装置の第2の実施例を示す要部ブロック図
【図11】図10のブロック化制御手段による再ブロック化の一例
【図12】図10のブロック化制御手段による再ブロック化の一例
【図13】従来法の多重化の一例を示すブロック図
【図14】従来法の多重化の一例を示すブロック図
【図15】従来法の多重化の一例を示すブロック図
【図16】従来法の分離の一例を示すブロック図
Claims (30)
- 画像に対して所定の情報を付加する画像処理装置であって、
画像を入力する入力手段と、
前記入力された画像を複数の画像領域に分割する分割手段と、
前記入力された画像を誤差拡散法により量子化する量子化手段と、
前記所定の情報に基づいて、前記量子化手段による量子化閾値を前記画像領域単位で制御する制御手段とを有し、
前記制御手段は、前記量子化閾値を変化させる水平方向の周期と垂直方向の周期との組み合わせを複数種有し、前記画像領域内に付加する情報に応じて前記組み合わせを選択することを特徴とする画像処理装置。 - 前記所定の情報は、音声情報であることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
- 前記所定の情報は、画像の著作権に関する情報であることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
- 前記所定の情報は、前記画像に対して人間の目に見えにくいように付加されることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
- 所定の情報が付加された画像から該所定の情報を抽出する画像処理装置において、
画像を入力する入力手段と、
前記入力された画像を複数の画像領域に分割する分割手段と、
前記分割手段により分割された画像領域に対して周波数変換を行う変換手段と、
前記変換手段の変換処理に基づいて前記画像領域内を周波数帯域毎に複数のクラスに分類する分類手段と、
前記分類されたクラスの変換係数に基づいて各クラスの特徴量を算出する算出手段と、
前記算出されたクラス同士の特徴量の大小を相対比較する比較手段と、
前記比較手段の比較結果に基づいて、特徴量の大きいクラスを決定する決定手段と、
前記決定手段の決定結果に基づいて、前記クラスと前記所定の情報を表す情報との対応関係により、前記画像領域内に付加された情報を判断し、前記画像から所定の情報を抽出する抽出手段とを有することを特徴とする画像
処理装置。 - 前記周波数変換は、直交変換であることを特徴とする請求項5記載の画像処理装置。
- 更に前記特徴量同士の差分を算出する算出手段と、
前記算出された差分に基づいて、特徴量が突出しているクラスの有無を評価する評価手段と、
前記評価手段の評価結果に基づいて、前記特徴量が突出しているクラスがないと判断された場合には、前記分割手段の分割処理を再度行う再度分割手段とを有することを特徴とする請求項5記載の画像処理装置。 - 前記再度分割手段は、分割する分割位置を変更して再度分割することを特徴とする請求項9記載の画像処理装置。
- 前記再度分割手段は、分割するサイズを変更して再度分割することを特徴とする請求項7記載の画像処理装置。
- 前記特徴量は、前記変換手段による変換係数の絶対値であることを特徴とする請求項5記載の画像処理装置。
- 前記特徴量は、電力であることを特徴とする請求項5記載の画像処理装置。
- 前記所定の情報は、音声情報であることを特徴とする請求項5記載の画像処理装置。
- 前記所定の情報は、画像の著作権に関する情報であることを特徴とする請求項5記載の画像処理装置。
- 前記所定の情報は、前記画像に対して人間の目に見えにくいように付加されることを特徴とする請求項5記載の画像処理装置。
- 画像に対して所定の情報を付加する画像処理方法であって、
画像を入力する入力工程と、
前記入力された画像を複数の画像領域に分割する分割工程と、
前記入力された画像を誤差拡散法により量子化する量子化工程と、
前記所定の情報に基づいて、前記量子化工程による量子化閾値を前記画像領域単位で制御する制御工程とを有し、
前記制御工程は、前記量子化閾値を変化させる水平方向の周期と垂直方向の周期との組み合わせを複数種有し、前記画像領域内に付加する情報に応じて前記組み合わせを選択することを特徴とする画像処理方法。 - 前記所定の情報は、音声情報であることを特徴とする請求項15記載の画像処理方法。
- 前記所定の情報は、画像の著作権に関する情報であることを特徴とする請求項15記載の画像処理方法。
- 前記所定の情報は、前記画像に対して人間の目に見えにくいように付加されることを特徴とする請求項15記載の画像処理方法。
- 所定の情報が付加された画像から該所定の情報を抽出する画像処理方法において、
画像を入力する入力工程と、
前記入力された画像を複数の画像領域に分割する分割工程と、
前記分割工程により分割された画像領域に対して周波数変換を行う変換工程と、
前記変換工程の変換処理に基づいて前記画像領域内を周波数帯域毎に複数のクラスに分類する分類工程と、
前記分類されたクラスの変換係数に基づいて各クラスの特徴量を算出する算出工程と、
前記算出されたクラス同士の特徴量の大小を相対比較する比較工程と、
前記比較工程の比較結果に基づいて、特徴量の大きいクラスを決定する決定工程と、
前記決定工程の決定結果に基づいて、前記クラスと前記所定の情報を表す情報との対応関係により、前記画像領域内に付加された情報を判断し、前記画像から所定の情報を抽出する抽出工程とを有することを特徴とする画像処理方法。 - 前記周波数変換は、直交変換であることを特徴とする請求項19記載の画像処理方法。
- 更に前記特徴量同士の差分を算出する算出工程と、
前記算出された差分に基づいて、特徴量が突出しているクラスの有無を評価する評価工程と、
前記評価工程の評価結果に基づいて、前記特徴量が突出しているクラスがないと判断された場合には、前記分割工程の分割処理を再度行う再度分割工程とを有することを特徴とする請求項19記載の画像処理方法。 - 前記再度分割工程は、分割する分割位置を変更して再度分割することを特徴とする請求項21記載の画像処理方法。
- 前記再度分割工程は、分割するサイズを変更して再度分割することを特徴とする請求項21記載の画像処理方法。
- 前記特徴量は、前記変換手段による変換係数の絶対値であることを特徴とする請求項19記載の画像処理方法。
- 前記特徴量は、電力であることを特徴とする請求項19記載の画像処理方法。
- 前記所定の情報は、音声情報であることを特徴とする請求項19記載の画像処理方法。
- 前記所定の情報は、画像の著作権に関する情報であることを特徴とする請求項19記載の画像処理方法。
- 前記所定の情報は、前記画像に対して人間の目に見えにくいように付加されることを特徴とする請求項19記載の画像処理方法。
- 画像に対して所定の情報を付加するプログラムコードが格納されたコンピュータ可読な記憶媒体であって、
画像を入力するコードと、
前記入力された画像を複数の画像領域に分割するコードと、
前記入力された画像を誤差拡散法により量子化するコードと、
前記所定の情報に基づいて、前記量子化工程による量子化条件を前記画像領域単位で制御するコードとを有し、
前記制御するコードは、前記量子化閾値を変化させる水平方向の周期と垂直方向の周期との組み合わせを複数種有し、前記画像領域内に付加する情報に応じて前記組み合わせを選択することを特徴とするコンピュータ可読な記憶媒体。 - 所定の情報が付加された画像から該所定の情報を抽出するプログラムコードが格納されたコンピュータ可読な記憶媒体であって、
画像を入力する入力コードと、
前記入力された画像を複数の画像領域に分割するコードと、
前記分割された画像領域に対して周波数変換を行うコードと、
前記変換を行うコードの変換処理に基づいて前記画像領域内を周波数帯域毎に複数のクラスに分類するコードと、
前記分類されたクラスの変換係数に基づいて各クラスの特徴量を算出するコードと、
前記算出されたクラス同士の特徴量の大小を相対比較するコードと、
前記比較するコードの比較結果に基づいて、特徴量の大きいクラスを決定するコードと、
前記決定するコードの決定結果に基づいて、前記クラスと前記所定の情報を表す情報との対応関係により、前記画像領域内に付加された情報を判断し、前記画像から所定の情報を抽出するコードとを有することを特徴とするコンピュータ可読な記憶媒体。
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