JP3599529B2 - 振動エネルギー変換器 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は振動エネルギーを電気エネルギーに変換する振動エネルギー変換器に係り、特に例えば波浪の上下動を利用する発電器、振動の衝程(ストローク)における減衰特性や周波数特性を調整した車両のショックアブソーバ、その他例えば回転機械の回転軸等の振動を、電磁力で受動的に減衰させるための減衰機構(ダンパ)等に用いて好適な振動エネルギー変換器に関する。
【0002】
【従来の技術】
微少な振動のエネルギーを電気エネルギーに変換する装置の一つが従来の渦電流ダンパである。渦電流ダンパは、振動エネルギーを渦電流という電気エネルギーに一旦変換し、その場で抵抗損失によるジュール熱を発生させて熱エネルギーに変換し、振動を減衰させるものである。振動によって電気的導体(以下導体という)上の磁束の分布や密度を変えたり、磁束を導体が切断することによって、導体に起電力が発生し、その起電力が導体内で短絡された形となっているので、渦電流Iが生じ、短絡された回路の抵抗をRとすればI2 Rの熱エネルギーを発生する。発生起電力Eが同じであれば、同じ熱エネルギーをE2 /Rと表現することもできる。
【0003】
しかしながら、渦電流ダンパは発生した電気エネルギーをそのまま熱エネルギーに変換して捨てている。ダンパの場合には振動を減衰するのが目的であるからそれでもよいが、ダンピングの効率という点では、必ずしも十分ではない。
【0004】
また、従来の微少な振動のエネルギーを電気エネルギーに変換する装置として、例えば図12に示すボイスコイル型の発電器が知られている。これは、放射状の磁束分布の狭い空隙Sに軸方向運動で磁束を切るコイル15を配置して、そのコイルに生じる起電力ΔEを外部に取り出すものである。狭い空隙S内に可動側のコイル15を配置しているために、コイルの銅線は細くしないと狭い空隙内に収容されないのでコイルの電気抵抗が増大する。逆に電気抵抗を減らすために銅線を太くすると空隙に収まらなくなるので空隙を広くせざるを得なくなり、磁束密度を低下させて発生起電力が低下する。又振動の振幅が大きくなると空隙の長さ(円筒状空隙の円筒軸長)を大にするか円筒状のコイル円筒長を長くする必要がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上述したように、従来の渦電流ダンパ又はボイスコイル型の発電器においては、空隙中の磁束分布を固定しておいて、その中に導体を配置することで、起電力を発生させるものである。このため、例えばボイスコイル型の発電器の効率を上げるためには、電流Iが流れる導体コイル部分をなるべく太くして電気抵抗Rを小さくする必要がある。そのためには空隙幅を広げることが必要となるが、これは磁束密度の低下を招き、結局、電気エネルギーへの変換効率を上げることは困難である。
【0006】
本発明は上述した事情に鑑みて為されたもので、簡単な構造で且つ振動エネルギーの電気エネルギーへの変換効率の高い新規な構造の振動エネルギー変換器を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に記載の振動エネルギー変換器は、少なくとも磁石の一方の極の磁極から出る磁束を、二つ以上のヨーク入り口にそれらの数だけの、該磁極に面する空隙を介して分岐通過させ、該ヨーク出口からの磁束を再び該磁石の他極に戻す磁気回路を形成すると共に、該磁気回路の磁束に鎖交するコイルを周回し、該二つ以上のヨークはすべて剛に機械的に接続され、該磁極と該ヨーク入り口間の距離である該空隙の長さを機械的なバネ系で弾性的に保持し、振動の発生側に該磁石又は該ヨークの何れかを直結し、該振動によって該空隙長が分岐の方向によって差動的に変化することによって該磁束の分岐に差動的な変化が生じるようにして、該ヨーク及び又は該磁極に周回されたコイルから電力として取り出すことを特徴とする。
【0008】
請求項1に記載した本発明においては、高透磁率の磁気回路(ヨーク)を一個の永久磁石に対して並列に二つ以上に分岐し、分岐点は磁石のN極とS極の同材料の磁極とヨーク間の空隙に設け、その磁極又はヨークには銅などの低電気抵抗の材料のコイルを周回する配置としたものである。振動がないときには磁石からの磁束は分岐点の空隙もほぼ対称なので全ヨークをほぼ均等に分岐して流れるが、変位を生ずると並列に配置したヨークの空隙に非対称性が生じ、そのために各磁気回路の磁気抵抗に差が生じることによって磁束の振り分け効果を招き、各ヨークに通過磁束数の差動的変動を発生させる。それが磁束の変化に鎖交する起電力を磁極、ヨークに周回された導体に効果的に発生させることになる。外周の導体のほうがより有効な場合には、ヨークは磁石からある程度離して設け、電流回路としての銅コイルのために十分なスペースを与えることができる。振動に伴う磁極とヨーク間の空隙の変位による磁石からの磁束数の絶対量は殆ど変化しないが、流路と方向に変化をもたらし、これにより効果的に導体に起電力を発生する。また、このような構造・配置にすることによって電気抵抗のネックとなる部分がなくなるので、導体の損失を低減して発電器又はダンパとしての効率が増大する。
【0009】
本発明の請求項2に記載の振動エネルギー変換器は、回転対称軸方向に着磁したリング状磁石の両極にリング状磁極を配置し、該両極を磁気的に接続するリング状ヨークを該磁石の内部又は外部にリング状空隙を介して配置し、該リング状空隙は機械的なバネ系で弾性的に保持され、振動発生側を該磁石又は該ヨークの何れかに直結すると共に、該磁気回路の磁束に鎖交するコイルを周回し、該振動によって該リング状空隙の該空隙長を、振動方向に長短の差動的な変化をもたらすことによって該磁石からの磁束の経路に変化が生じるようにして、該ヨーク及び又は該磁極に周回されたコイルから電力として取り出すことを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項3に記載の振動エネルギー変換器は、回転対称軸と直交するラジアル方向に着磁したリング状磁石の両極にリング状磁極を配置し、該両極を磁気的に接続する2個のリング状ヨークを該磁石を挟むようにリング状空隙を介して配置することによって、該磁石の一方の磁極からの磁束を該磁極に面する二つの空隙を介して分岐させて該ヨークの入り口に流し、該ヨーク出口に面する側の該二つの空隙を介して再び該磁石の他方の磁極へ戻す磁気回路を形成すると共に該磁気回路の磁束に鎖交するコイルを周回し、該2個のヨークは剛に接続され、該対称軸方向の振動発生側を該磁石又は該ヨークの何れかに直結し、該振動によって該空隙長が分岐の方向によって差動的に変化することによって該磁束の分岐に差動的変化が生じるようにして、該ヨーク及び又は該磁極に周回されたコイルから電力として取り出すことを特徴とする。
【0011】
請求項1〜3のいずれの場合にも空隙には磁石の吸引力により不平衡又は不安定磁気力剛性が発生するので、それを防ぐための機械的なバネ要素による安定化が必要である。
【0012】
本発明の請求項4に記載の振動エネルギー変換器は、請求項1乃至3におけるヨーク又は磁極を装着した磁石のいずれか一方を、装置の振動の防振を希望する位置に装着し、コイルに電気的な素子を接続して閉回路とすることによって振動減衰の効果を向上させた、又は減衰の周波数特性を調整可能にしたことを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項5に記載の振動エネルギー変換器は、磁石の少なくとも一方の磁極に対向して空隙を介して相互に固定された複数のヨークを設け、該磁極及びヨークには該両者間の相対変位振動方向に垂直方向に一つ以上の突起部を設け、該磁極の該突起部は該ヨークの突起部とは該ヨークごとに振動位置によって対向最接近面積が変化するように配置し、突起部の幅を超える該相対変位振動によって該磁石から磁束の該ヨークへの振り分けに変化が生じ、該磁極及び又は該ヨークに巻かれたコイルから電力を取り出すことを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項6に記載の振動エネルギー変換器は、請求項5において、相互の突起部の空隙を振動衝程で変化のある構造にして、該振動衝程に依存する発電効果によって該磁極及び又はヨークで発生する渦電流に変化を与えて該振動の衝程での減衰効果に変化を与えたことを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項7に記載の振動エネルギー変換器は、請求項6において、磁極及び又はヨークの複数の突起部の間の任意の凹部にコイルを巻き、該コイルに電気素子を接続して閉回路を形成し、振動の衝程に依存する減衰特性を与えたことを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図1乃至図11を参照して説明する。
【0017】
〔第1実施形態〕
図1は、2分岐回路の実施形態を示す例である。その構造は、1個の角柱状永久磁石11とこれに装着された磁極12とから、空隙を隔てて配置された2個の板状ヨーク13,13に磁束が分岐される場合である。この例ではヨーク13に銅製のコイル15が周回されている。即ち、図示する方向に着磁した角柱状永久磁石11の両端には、珪素鋼板又はフェライト等の磁性材からなる磁極12が固定され、N極とS極とを構成している。磁極12に空隙Sを介して対面するように、板状のヨーク13が配置されている。ヨーク13も磁極12と同じ高透磁率の珪素鋼板又はフェライト等の材料が用いられている。磁極12及びヨーク13は、高透磁率であり、特に発電器として利用する場合には、磁極とヨークには、珪素鋼板やフェライト等の高透磁率、高抵抗で渦電流損失及びヒステリシス損失の少ない材料を用いることが必要である。ダンパとして利用する場合には、ヨーク及び磁極は電磁軟鉄等の比較的低い抵抗値を有するもので、該ヨーク及び磁極内に渦電流を形成するようにしてもよい。電力取り出しのコイル15は、ヨーク13に周回されており、磁極とヨーク間の狭い空隙に設けるものではないので、太い銅線で電気抵抗を減らすことが可能である。この例では、ヨーク13に代えて磁極12に銅製のリングを周回させて、磁気回路と鎖交する渦電流の電流流路としてもよい。
【0018】
次に磁束の振り分け効果について説明する。例えば磁石11及び磁極12を振動の減衰対象物に装着して、板状ヨーク13をその近傍の靜止体に固定する。そして、磁石11及び磁極12側が図示する左右方向(矢印方向)に振動が生じたとする。図1(A)は相対変位のない場合で磁石からの磁束2Φが均等にΦずつに2分され、(B)は左側空隙が狭く、右空隙が広くなった場合で、左側の磁気回路ではΦ+ΔΦとなり、右側の磁気回路ではΦ−ΔΦとなり、変化分の磁束ΔΦが左回りの周回磁束になることを示したものである。(C)はそれとは逆の相対変位になった場合であり、変化分の磁束ΔΦが右回りの周回磁束になることを示したものである。(B)(C)の右図はコイル15に鎖交した周回磁束の増大とそれを妨害する方向の起電力Eの方向を示したものである。従って相対変位が振動であれば、変化分の磁束ΔΦは磁石を通らずに磁極と2個のヨークで形成される磁気回路を周回振動し、それと鎖交するコイル15に交流起電力Eを発生する。
【0019】
ダンパの場合には、コイルにコンデンサなどの電気回路素子を接続して減衰効果を更に向上させたり、周波数特性を調整することも可能である。即ち、コイルの両端を短絡した場合には、コイルは単にインダクタンスと微少な抵抗素子として動作する。これでは振動に対して減衰効果が弱いので、コイルの両端に放熱用抵抗素子及びコンデンサを取り付け、インダクタンスによる悪影響を低減するようにする。これにより、振動周波数に対するダンピング特性を向上させることができる。減衰に周波数特性を持たせたい場合には、コイルに適当な容量のコンデンサ等の電気的な素子を接続することで、また、コイル巻数の調整を行うことで、コイルに周波数特性をもたせることができる。これにより、特定周波数領域の減衰特性を著しく改善することができる。
また、発電器の場合にはコイル両端から、振動に対応した起電力ΔEを取り出すことができる。特に銅コイル15は、狭い空隙中に設けられたものではないので、電気抵抗成分の増大等を考慮することなく、所要の抵抗損失に抑えることができる。
【0020】
上述した構成の振動エネルギー変換器は、磁石を含まない複数のヨークを磁石の磁極に対して空隙を介して配置して、空隙は磁石からの磁束の入出力の分岐点に相当し、振動による各ヨークと磁石との空隙における相対変位によって磁石から見た磁気抵抗が各ヨークによって差動的に変化するようにしたものである。つまり、磁石からの磁気回路となるヨークを二つ以上に並列分岐して設けて磁石からの磁束の流れを分岐させ、振動による相対変位に伴う分岐点での磁束の流れの振り分け効果が顕著になるようにすることによって、磁気回路中の磁束が大幅に変化するようにしたものである。発生電力はヨーク又は磁極に周回したコイルから、抵抗損失を少なくして効率的に取り出すことができる。
【0021】
これまでの図12に示すようなボイスコイル型の発電器では発生電力を取り出すコイルは狭い空隙内に磁極又はヨークと接触しないように収容する必要から、細いものしか使用できず、それが出力の電気抵抗を大にするという問題点があった。しかしながら、上述した構造の振動エネルギー変換器においては、珪素鋼板などの高透磁率で渦電流を防ぐ材料による磁気回路(ヨーク)を一個の永久磁石に対して並列に二つ以上に分岐し、分岐点は磁石のN極とS極に接続した同材料の磁極とヨーク間の空隙に設け、かつ必要ならばそのヨークを磁石から少し離して設けてそのヨークには太い銅線コイルなどの低電気抵抗の材料を周回するスペースが充分取れる配置とすることも可能である。磁石とヨークとの相対変位により各磁気回路の磁気抵抗に差動的な差が生じることによって、磁束の振り分けの変動効果を招き、各ヨークに通過磁束数の変動を発生させる。それがヨークに巻かれた導体コイルと鎖交する交流磁束となるので、コイルに起電力を効果的に発生させることになる。図1では磁束の変動分をΔΦで表現し、これは磁石を通らないので、振動による磁束の振分けを容易とする。コイルは空隙内に収容する必要がないから、十分なスペースを与えられているので、必要な太さと巻数を自由に選ぶことができる。振動の振幅が小さい場合には、空隙をそれだけ狭くできるので、磁束の振り分け変動の効果が一層増大する。
【0022】
磁石のために相対変位に対する剛性は不安定なので、何らかの機械的な安定剛性を付与する必要がある。それには金属バネを使用してもよいし、ダンパの場合には空隙に粘弾性的フィルム状の膜、例えばゴムシートを挟んでもよい。
【0023】
また、図1における下側の空隙Sを無くして磁石と直結し、ヨークを多少薄く作ってヨークの弾性効果を利用することも可能である。ただし、磁束の振り分け効果は上側の空隙だけになるから磁束の振り分け効果は落ちる。或いは、下側ヨークと下側磁極とを接続して空隙を下側磁極と磁石間に移動してもよい。空隙をこれらの機械的な安定化のために弾性体で埋めることなどによって相対位置の原点が完全な対称点からずれても、その位置を中心とする振動となるから問題はない。
【0024】
〔第2実施形態〕
図2は、4分岐回路の実施形態を示すもので、その構造は、図1に示したのと同様な1個の磁石に対して棒状ヨークを4個設けて、2方向(X,Y)の振動のエネルギーの電気エネルギーへの変換を目的としたものである。図1に示す第1の実施形態では永久磁石11から流れ出た磁束が磁極12を介して右側と左側の2個のヨーク13に2方向(例えばX方向)に分岐するのであるのに対して、これにY方向を加え、X,Y両方向の振動に対するエネルギー変換効果を狙ったもので、磁束を4方向に分岐するようにしたものである。これにより、直交2方向(X,Y方向)の剛体の振動のエネルギーの電気エネルギーへの変換が1個の磁石で可能になる。4個のヨークは、固定部材14により互いに剛に固定されている。
【0025】
分岐は2方向以上なら、3方向でも5方向でもよいことは言うまでもない。多数の分岐は構造的に複雑化するので、ヨークを中空の球状又は円筒状にし、中心軸に円筒状の穴をあけてそれに円柱状の磁石と磁極を納めた方がよい場合もある。空隙の保持には前述と同様に、何らかの機械的な復元機構が必要であることは変わらない。
【0026】
〔第3実施形態〕
図3は、リング形状のラジアル方向用の振動エネルギー変換器を示す。軸方向に着磁された円筒状磁石21の両端にはフェライト等の磁極22が装着されている。扁平なリング状の磁極22の内周面(磁極面)22aに対向するように、円筒状ヨーク23が配置されている。円筒状ヨーク23は、その中央部の開口に例えば振動の減衰対象の回転軸が挿通される。この実施形態においては、円筒状の磁石21及び磁極22は回転機械装置の靜止部に固定されている。従って、磁極22の内周面22aとこれに対向するヨーク23の円筒状内周面23aとは、空隙を隔てて対向し、円筒状磁石21のN極から磁極22、空隙(22aと23aとの間)、円筒状ヨーク23、空隙(22aと23aとの間)、磁極22を通り、S極に戻る磁気回路が形成されることは、上述した実施形態と同様である。
【0027】
この実施形態においては、磁極22には4箇所にコイル25が周回されている。また、ヨーク23にはヨーク内の軸方向の磁束と鎖交するコイル26x,26yが設けられている。コイル26xは、ヨーク23がx方向に振動したときに生じる軸方向のヨーク内の磁束変化分ΔΦによる起電力ΔEを取り出すためのものであり、ヨーク23の内周面を半周して貫通孔27aを通り、再びヨーク23の外周面を半周して図示しない図の手前側の貫通孔からヨーク内周面に戻るように周回されている。一方で、コイル26yは、ヨーク23がy方向に振動したときに生じる磁束の変化分ΔΦと鎖交するコイルであり、貫通孔27bを通り、ヨーク23の内周面に沿って半周し、反対側の貫通孔27bを通りヨーク23の外周面に移り、再び半周して元の貫通孔27bに戻るように周回されている。
【0028】
リング形状の振動エネルギー変換器においては、磁気回路の変化が図1又は図2に示す角柱状のものとは多少異なるので、次に、この点について説明する。図4は、図3の振動エネルギー変換器を上から見た図であり、ヨーク23が少し右側へ変位した場合の磁束変化分ΔΦの流れを示したものである。変位がなく中央に位置しておれば空隙Sは全周にわたって均等なので、磁石からの磁束は最短距離の近接したヨークへ流れて元へ戻るので磁束Φは軸対称で放射状に均等に分布する。しかし、ヨーク23が右変位すれば左側空隙Sは広く、逆に右側空隙Sは狭くなるので、磁束密度は右端空隙で最大となるが、その付近は磁束が集中し易いために等価的に磁気抵抗が増大するので、全磁束がその一点に集中するわけではなく、全周にわたって滑らかな勾配を持った分布となる。従って左側の磁極部分からの磁束は、リング状磁極に沿って左側からかなり離れた空隙のヨークを経て逆の磁極へ戻り、磁極に沿って左側の磁石部分へ戻る。
【0029】
磁束の変化分ΔΦは、図示するようにヨーク23が右方向に移動した場合には、ヨーク内を右側においては磁束が下方向に流れ、左側においては磁束が上方向に流れる。そして、ヨーク上側の外周面23aから上側の磁極の外周面22aに入り、上側の磁極22を略半周して再び磁極とヨークとの空隙を通り、ヨーク側に入りヨーク内を軸方向に流れる。従って、ヨーク23のx方向の振動に対して生じる磁束の変化分ΔΦの振動を、磁極22においてはコイル25yで、ヨーク23においてはコイル26xで、鎖交させて、起電力ΔEとして捉えることができる。同様にヨーク23のy方向の振動に対して生じる磁束の変化分は、磁極22においてはコイル25xで、ヨーク23においてはコイル26yで鎖交させて捉えることができる。
【0030】
尚、上述したコイルの配置は一例を示すもので、コイルの周回の仕方は種々の形態が考えられる。例えばコイル26x,26yを一本の線で接続するようにしてもよい。又、図3及び図4に示す実施形態では磁石を外側としてヨークを内側としたが、この逆であっても、磁束の変化分ΔΦの流れは同様である。
【0031】
〔第4実施形態〕
図5は、半径方向に着磁されたリング状磁石を用いた軸方向振動エネルギー変換器の実施形態を示す。この実施形態においては、扁平なリング状の磁石31の内周側と外周側にそれぞれリング状の磁極32A,32Bを備え、その磁極に対して軸方向に対向した面を有するコの字形の同様にリング状のヨーク33A,33Bを備えている。上側のヨークと下側のヨークとは物理的な結合手段34により固定され、機械的に一体の剛の構成となっている。従って、半径方向に着磁された磁石31からの磁束は、N極から半径方向に磁極32Aに入り、空隙Sを介してヨーク33A,33B内を流れ、再び空隙Sを介してS極側の磁極32Bに戻る。従って、磁石側又はヨーク側の一方を固定側とし、他方を移動側とすると、移動側の軸方向の振動により、空隙Sの大きさが変化し、これに伴いヨーク33A,33Bに流れる磁束Φが振り分けられ、磁束の変化分ΔΦが振動する。コイル35は、図示するようにヨーク33内を円周方向に沿って周回されている。従って、コイル35には上側ヨーク33A、磁極32A、下側ヨーク33B、外周側磁極32Bを通って周回する磁束の変化分ΔΦの磁気回路と鎖交し、起電力ΔEを取り出すことができる。
【0032】
即ち、磁石31のN極から生じる磁束は磁極32Aで上側ヨーク33Aと下側ヨーク33Bとに振り分けられる。即ち、磁極32Aが上側ヨーク33Aと下側ヨーク33Bとの中間位置にある場合には、磁石から生じる磁束は均等に振り分けられる。しかしながら、磁石31が軸方向に振動すると、即ち磁石31が下方向に移動すると、下側ヨーク33BにはΦ+ΔΦの磁束が流れ、上側ヨーク33AにはΦ−ΔΦの磁束が流れる。磁石31が上方向に移動すると、この逆となり、上側ヨーク33AにはΦ+ΔΦの磁束が流れ、下側ヨーク33BにはΦ−ΔΦの磁束が流れる。従って、磁石31の軸方向の振動に伴い磁束の変化分ΔΦは上側ヨーク33A、外周側磁極32B、下側ヨーク33B、内周側磁極32Aの磁気回路を流れる。このように、磁束の変化分ΔΦは磁石31及び磁極32A,32Bの軸方向の振動によって形成されるので、振動側の変位に対して比較的大きな磁束の変化分ΔΦが得られる。又、この磁束の変化分を取り出すコイル35は、磁極間の空隙ではなくヨーク内側の比較的スペースのある部分に設けられるので、コイルのターン数及び線径等を任意に選択することができ、大きな起電力を取り出すことが可能であり、又コイルの抵抗を低減することも可能である。なお、リング状磁石は一体にせず、複数個の断片を磁極で接続してもよく、また、必ずしも完全な円形でなく、四角形等の平面的にループになっていればよい。
【0033】
〔第5実施形態〕
磁極とヨークとの間には磁気吸引力が生じるので、バネ手段により安定剛性を与える必要がある。
例えばボールベアリングの外レースに上述の第3実施形態のリング状ダンパをはめてボールベアリング4に伝わるロータ3のラジアル方向の振動を吸収するようにすることも可能となる。図6の実施形態では、磁石35が外側で、ヨーク37が内側の場合である。内側ヨークリング37と外側リング磁極36で挟まれたダンパからなり、両者間の空隙には弾性フィルム38が機械的なバネとして介在する。係る実施の形態においては、ボールベアリング4に伝わる回転軸3の振動が、弾性フィルム38により吸収されると共に、ヨーク37が半径方向に振動し、第3実施形態において説明したように、その振動エネルギーがコイルに電気エネルギーとして取り出され、コイルに接続された抵抗によって消費され振動が減衰される。特にコイルのインダクタンス分が大きい場合には、コイルの両端にコンデンサ素子を接続することで、振動の減衰の向上や、周波数特性を持った減衰をさせることができる。
【0034】
〔第6実施形態〕
しかしながら、振動の振幅が大きい往復運動の場合には、その振幅以上の空隙長が必要となるが、空隙長を大にして小振幅の振動が入力されると、磁束の振り分け効果が著しく低下するので対策が必要である。その対策として、図7に示すような振動エネルギー変換器が考えられる。例えば磁石41に接続した二つの磁極42A,42Bに、それぞれと対向する二つのヨーク43A,43C,及び43B,43Dとを設ける。磁極とヨークの間に、相対運動(矢印方向)と直角方向に一つ以上の突起を磁極側に設け、それと空隙を介して対向するヨーク側にも一つ以上の突起を設ける。振動による両者間の相対変位によって一方のヨークと磁極では突起同士が最接近し、同時に他方のヨークでは一方の突起が他方の突起の間の凹んだ位置に対面して磁気抵抗が最大となる。あるいは更に他にもヨークがある場合には例えば中間の磁気抵抗になるような構造の突起/凹部の配置にして、振動周波数の何倍かの高周波の発電を、ヨークの数によっては多相の発電器とすることも可能である。
【0035】
コイル46A,46Bは、それぞれヨーク43E,43Fに周回されている。ヨーク43E,43Fは、それぞれヨーク43Aと43C、43Bと43Dとを接続するヨークである。電力の取り出しは、ヨーク43Eに周回したコイル46A、及び又は、ヨーク43Fに周回したコイル46Bから取り出される。
【0036】
磁石41のN極から生成する磁束は、磁極42A,42Bの位置によりヨーク43A側か、ヨーク43B側かに振り分けられる。振り分けられた側のヨーク43E,43Fには、磁束Φ−ΔΦ又はΦ+ΔΦが流れる。従って、磁極42A,42Bが矢印方向に移動すると、磁極とヨークの突起同士が接近すること及び離れることに従い、磁極42A、ヨーク43B、43F、43D、磁極42B、ヨーク43C、43E、43A、を通り再び磁極42Aに戻る磁気回路に磁束の変化分ΔΦの振動磁束が形成される。このようにして振り分け磁束の変動分ΔΦは磁石を流れない。この振動磁束ΔΦの変動をコイル46A,46Bで取り出すことができる。係る磁気回路の構成によれば、磁極42A,42Bの矢印方向の変位幅を磁石の長さ或いは突起の幅に係わらず大きく取れるので、大振幅の振動から電気エネルギーを取り出すことが可能である。例えば、波浪の上下動の振動エネルギーを発電電力として取り出す場合に好適である。図示していないが、一体化された磁極と磁石は接近したヨークに吸引されるので相対運動方向に垂直方向の振動力を受けるため、直動のベアリング等のガイド機構が必要であろう。
【0037】
以上の説明は振動エネルギー変換器を発電器として用いた場合についてのものであるが、大振幅の衝程(ストローク)を有する例えば車両のショックアブソーバとしても用いることができる。この場合は、コイル46A,46Bに放熱用の抵抗素子やコンデンサを接続し、振動エネルギーを電気エネルギーに変換し、放熱用抵抗素子で消費するようにすればよい。また、磁極及びヨークを電極軟鉄等の比較的電気抵抗の低い磁性材を用いることによって、渦電流を磁極及びヨーク内部に形成することもできる。これにより、コイルを不要として構造を簡素化することができる。
【0038】
このような大振幅なストローク中において、任意の場所で減衰効果に変化を与えたい場合がある。この場合には、例えば減衰効果に変化を与えたい部分にコイル45C,45Dを設け、それらのコイルにコンデンサ又は放熱用の抵抗素子を接続する。これにより磁極42Aの部分が当該コイル部分に到達すると、はじめてコイル45C,45Dに磁束の変化分ΔΦが鎖交し、コイル45C,45Dにも誘導電流が流れ、抵抗やコンデンサ素子で、発電制動をより有効にしたり、周波数特性を変化させることができる。特に、コイルはインダクタンス分が大きいため、放熱用抵抗素子に直列又は並列にコンデンサ素子を介在させることで、力率を高め発電制動を効率的にすることもできる。
また、往復運動のストロークの位置によっては、空隙長を変えてストローク位置での減衰特性を調整することも可能である。
【0039】
〔第7実施形態〕
図8は、他の実施形態の大振幅用の振動エネルギー変換器を示す。これは、衝程に対応する突起部間の全ての凹部にコイル49A,49B,...,50A,50B,...を周回させている。そして、各コイルに放熱用抵抗素子及びコンデンサを接続し、それぞれ閉回路を形成する。そして抵抗素子の抵抗値又はコンデンサ素子の容量値をそれぞれ衝程に対応させてそれぞれ設定する。即ち、発電制動に伴う減衰特性を、電気素子の値を選択することによりそれぞれ設定する。例えば衝程の中央部付近では低周波領域での減衰の周波数特性を小さくして、衝程の両端部付近では高周波領域での減衰の周波数特性を大きくする等の衝程に応じた減衰の周波数特性を付与する。これにより衝程に依存する減衰特性を与えることができ、例えば車両のショックアブソーバに用いた場合に、車両の特性に応じた任意の減衰特性を有するショックアブソーバを実現することができる。
【0040】
次に本発明の原理に基づく振動エネルギー変換器の振動減衰効果について説明する。図9に示すようにステンレス製の板50の一端を片持ちバリ状に支持し、他端に図1の振動エネルギー変換器のヨーク13を取り付けて、図1の振動エネルギー変換器の磁石11及び磁極12の有無による比較でダンパ効果を実験した。ステンレス板50が機械的な復元剛性を与え、かつ振動のためのバネ要素ともなっている。磁石部分11,12なしの場合の振動を外部からの打撃で与えてヨーク部分の変位を空隙センサ(図示せず)で検出したものの記録が図10である。減衰が非常に悪く減衰比ζで約0.005である。
【0041】
図11(A)は磁石部分11,12をヨーク13に接触しないように配置固定した場合の同じ打撃による振動減衰効果である。この実験ではヨークに周回するコイルを開放して使用した場合である。ヨーク及び磁極に電気抵抗の比較的低い電磁軟鉄等の磁性材を使用して、ヨーク及び磁極内に渦電流を形成するようにしている。ζは約0.3となった。尚、時間軸は図10に示す場合の10倍に取っている。
【0042】
しかし、ヨークに周回したコイルを開放ではなく、コンデンサをコイル両端間に装着することによって、インダクタンス分の低減を意図した実験では、図11(B)に示すように、減衰効果が更に向上し、減衰比ζは約0.5となった。このことは、本発明によって、振動エネルギーが電気エネルギーに変換され、かつそれが磁極又はヨークに周回されたコイルに取り出すことが可能で、更に、それが受動回路を付属させてダンパとしての周波数特性をも調整可能であることを示している。
【0043】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明は磁石の磁極から出る磁束を二つ以上のヨークの磁極に対面する面に分岐して磁気回路を形成するようにしたものである。これにより、磁石又はヨークの一方を固定又は自由にして他方を振動源に接続した時に、磁極とヨークの全断面に生じる磁束の変化分ΔΦをヨーク又は磁極に周回されたコイルから起電力として取り出すようにしたものである。このように磁束の変化を有効に利用して効率的に振動エネルギーを電気エネルギーに変換できるので、発電器として用いた場合にはその発電効率を向上させることができ、ダンパとして用いた場合にはその減衰効率を向上させることができる。
【0044】
更にヨーク又は磁極に周回したコイルに抵抗素子又はコンデンサ素子等の受動的な電気素子を接続できるので、減衰特性又は周波数特性等の調整が容易である。
【0045】
更に相対する磁極及びヨークに平行な相対振動方向に対して、垂直方向に突起部を設け、磁束を振り分けることで、大振幅に対応した発電器又はダンパを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の振動エネルギー変換器の説明図である。
【図2】本発明の第2実施形態の振動エネルギー変換器の説明図である。
【図3】本発明の第3実施形態の振動エネルギー変換器の説明図である。
【図4】図3における磁束の変化分ΔΦの流れを示す説明図である。
【図5】本発明の第4実施形態の振動エネルギー変換器の説明図である。
【図6】本発明の第5実施形態の振動エネルギー変換器の説明図である。
【図7】本発明の第6実施形態の振動エネルギー変換器の説明図である。
【図8】図7の変形例を示す説明図である。
【図9】実験装置の概要を示す説明図である。
【図10】ダンパを取り付けない場合の板バネの振動波形を示す図である。
【図11】本発明の振動エネルギー変換器を取り付けた場合の板バネの振動波形を示す図であり、(A)はコイルを開放した場合であり、(B)はコイルにコンデンサを接続した場合である。
【図12】従来の振動エネルギー変換器であるボイスコイル型発電器の説明図である。
【符号の説明】
11,21,31,41 磁石
12,22,32,42 磁極
13,23,33,43 ヨーク
15,25,35,45 コイル
ΔE 起電力
S 空隙
ΔΦ 磁束の変化分
【発明の属する技術分野】
本発明は振動エネルギーを電気エネルギーに変換する振動エネルギー変換器に係り、特に例えば波浪の上下動を利用する発電器、振動の衝程(ストローク)における減衰特性や周波数特性を調整した車両のショックアブソーバ、その他例えば回転機械の回転軸等の振動を、電磁力で受動的に減衰させるための減衰機構(ダンパ)等に用いて好適な振動エネルギー変換器に関する。
【0002】
【従来の技術】
微少な振動のエネルギーを電気エネルギーに変換する装置の一つが従来の渦電流ダンパである。渦電流ダンパは、振動エネルギーを渦電流という電気エネルギーに一旦変換し、その場で抵抗損失によるジュール熱を発生させて熱エネルギーに変換し、振動を減衰させるものである。振動によって電気的導体(以下導体という)上の磁束の分布や密度を変えたり、磁束を導体が切断することによって、導体に起電力が発生し、その起電力が導体内で短絡された形となっているので、渦電流Iが生じ、短絡された回路の抵抗をRとすればI2 Rの熱エネルギーを発生する。発生起電力Eが同じであれば、同じ熱エネルギーをE2 /Rと表現することもできる。
【0003】
しかしながら、渦電流ダンパは発生した電気エネルギーをそのまま熱エネルギーに変換して捨てている。ダンパの場合には振動を減衰するのが目的であるからそれでもよいが、ダンピングの効率という点では、必ずしも十分ではない。
【0004】
また、従来の微少な振動のエネルギーを電気エネルギーに変換する装置として、例えば図12に示すボイスコイル型の発電器が知られている。これは、放射状の磁束分布の狭い空隙Sに軸方向運動で磁束を切るコイル15を配置して、そのコイルに生じる起電力ΔEを外部に取り出すものである。狭い空隙S内に可動側のコイル15を配置しているために、コイルの銅線は細くしないと狭い空隙内に収容されないのでコイルの電気抵抗が増大する。逆に電気抵抗を減らすために銅線を太くすると空隙に収まらなくなるので空隙を広くせざるを得なくなり、磁束密度を低下させて発生起電力が低下する。又振動の振幅が大きくなると空隙の長さ(円筒状空隙の円筒軸長)を大にするか円筒状のコイル円筒長を長くする必要がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上述したように、従来の渦電流ダンパ又はボイスコイル型の発電器においては、空隙中の磁束分布を固定しておいて、その中に導体を配置することで、起電力を発生させるものである。このため、例えばボイスコイル型の発電器の効率を上げるためには、電流Iが流れる導体コイル部分をなるべく太くして電気抵抗Rを小さくする必要がある。そのためには空隙幅を広げることが必要となるが、これは磁束密度の低下を招き、結局、電気エネルギーへの変換効率を上げることは困難である。
【0006】
本発明は上述した事情に鑑みて為されたもので、簡単な構造で且つ振動エネルギーの電気エネルギーへの変換効率の高い新規な構造の振動エネルギー変換器を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に記載の振動エネルギー変換器は、少なくとも磁石の一方の極の磁極から出る磁束を、二つ以上のヨーク入り口にそれらの数だけの、該磁極に面する空隙を介して分岐通過させ、該ヨーク出口からの磁束を再び該磁石の他極に戻す磁気回路を形成すると共に、該磁気回路の磁束に鎖交するコイルを周回し、該二つ以上のヨークはすべて剛に機械的に接続され、該磁極と該ヨーク入り口間の距離である該空隙の長さを機械的なバネ系で弾性的に保持し、振動の発生側に該磁石又は該ヨークの何れかを直結し、該振動によって該空隙長が分岐の方向によって差動的に変化することによって該磁束の分岐に差動的な変化が生じるようにして、該ヨーク及び又は該磁極に周回されたコイルから電力として取り出すことを特徴とする。
【0008】
請求項1に記載した本発明においては、高透磁率の磁気回路(ヨーク)を一個の永久磁石に対して並列に二つ以上に分岐し、分岐点は磁石のN極とS極の同材料の磁極とヨーク間の空隙に設け、その磁極又はヨークには銅などの低電気抵抗の材料のコイルを周回する配置としたものである。振動がないときには磁石からの磁束は分岐点の空隙もほぼ対称なので全ヨークをほぼ均等に分岐して流れるが、変位を生ずると並列に配置したヨークの空隙に非対称性が生じ、そのために各磁気回路の磁気抵抗に差が生じることによって磁束の振り分け効果を招き、各ヨークに通過磁束数の差動的変動を発生させる。それが磁束の変化に鎖交する起電力を磁極、ヨークに周回された導体に効果的に発生させることになる。外周の導体のほうがより有効な場合には、ヨークは磁石からある程度離して設け、電流回路としての銅コイルのために十分なスペースを与えることができる。振動に伴う磁極とヨーク間の空隙の変位による磁石からの磁束数の絶対量は殆ど変化しないが、流路と方向に変化をもたらし、これにより効果的に導体に起電力を発生する。また、このような構造・配置にすることによって電気抵抗のネックとなる部分がなくなるので、導体の損失を低減して発電器又はダンパとしての効率が増大する。
【0009】
本発明の請求項2に記載の振動エネルギー変換器は、回転対称軸方向に着磁したリング状磁石の両極にリング状磁極を配置し、該両極を磁気的に接続するリング状ヨークを該磁石の内部又は外部にリング状空隙を介して配置し、該リング状空隙は機械的なバネ系で弾性的に保持され、振動発生側を該磁石又は該ヨークの何れかに直結すると共に、該磁気回路の磁束に鎖交するコイルを周回し、該振動によって該リング状空隙の該空隙長を、振動方向に長短の差動的な変化をもたらすことによって該磁石からの磁束の経路に変化が生じるようにして、該ヨーク及び又は該磁極に周回されたコイルから電力として取り出すことを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項3に記載の振動エネルギー変換器は、回転対称軸と直交するラジアル方向に着磁したリング状磁石の両極にリング状磁極を配置し、該両極を磁気的に接続する2個のリング状ヨークを該磁石を挟むようにリング状空隙を介して配置することによって、該磁石の一方の磁極からの磁束を該磁極に面する二つの空隙を介して分岐させて該ヨークの入り口に流し、該ヨーク出口に面する側の該二つの空隙を介して再び該磁石の他方の磁極へ戻す磁気回路を形成すると共に該磁気回路の磁束に鎖交するコイルを周回し、該2個のヨークは剛に接続され、該対称軸方向の振動発生側を該磁石又は該ヨークの何れかに直結し、該振動によって該空隙長が分岐の方向によって差動的に変化することによって該磁束の分岐に差動的変化が生じるようにして、該ヨーク及び又は該磁極に周回されたコイルから電力として取り出すことを特徴とする。
【0011】
請求項1〜3のいずれの場合にも空隙には磁石の吸引力により不平衡又は不安定磁気力剛性が発生するので、それを防ぐための機械的なバネ要素による安定化が必要である。
【0012】
本発明の請求項4に記載の振動エネルギー変換器は、請求項1乃至3におけるヨーク又は磁極を装着した磁石のいずれか一方を、装置の振動の防振を希望する位置に装着し、コイルに電気的な素子を接続して閉回路とすることによって振動減衰の効果を向上させた、又は減衰の周波数特性を調整可能にしたことを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項5に記載の振動エネルギー変換器は、磁石の少なくとも一方の磁極に対向して空隙を介して相互に固定された複数のヨークを設け、該磁極及びヨークには該両者間の相対変位振動方向に垂直方向に一つ以上の突起部を設け、該磁極の該突起部は該ヨークの突起部とは該ヨークごとに振動位置によって対向最接近面積が変化するように配置し、突起部の幅を超える該相対変位振動によって該磁石から磁束の該ヨークへの振り分けに変化が生じ、該磁極及び又は該ヨークに巻かれたコイルから電力を取り出すことを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項6に記載の振動エネルギー変換器は、請求項5において、相互の突起部の空隙を振動衝程で変化のある構造にして、該振動衝程に依存する発電効果によって該磁極及び又はヨークで発生する渦電流に変化を与えて該振動の衝程での減衰効果に変化を与えたことを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項7に記載の振動エネルギー変換器は、請求項6において、磁極及び又はヨークの複数の突起部の間の任意の凹部にコイルを巻き、該コイルに電気素子を接続して閉回路を形成し、振動の衝程に依存する減衰特性を与えたことを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図1乃至図11を参照して説明する。
【0017】
〔第1実施形態〕
図1は、2分岐回路の実施形態を示す例である。その構造は、1個の角柱状永久磁石11とこれに装着された磁極12とから、空隙を隔てて配置された2個の板状ヨーク13,13に磁束が分岐される場合である。この例ではヨーク13に銅製のコイル15が周回されている。即ち、図示する方向に着磁した角柱状永久磁石11の両端には、珪素鋼板又はフェライト等の磁性材からなる磁極12が固定され、N極とS極とを構成している。磁極12に空隙Sを介して対面するように、板状のヨーク13が配置されている。ヨーク13も磁極12と同じ高透磁率の珪素鋼板又はフェライト等の材料が用いられている。磁極12及びヨーク13は、高透磁率であり、特に発電器として利用する場合には、磁極とヨークには、珪素鋼板やフェライト等の高透磁率、高抵抗で渦電流損失及びヒステリシス損失の少ない材料を用いることが必要である。ダンパとして利用する場合には、ヨーク及び磁極は電磁軟鉄等の比較的低い抵抗値を有するもので、該ヨーク及び磁極内に渦電流を形成するようにしてもよい。電力取り出しのコイル15は、ヨーク13に周回されており、磁極とヨーク間の狭い空隙に設けるものではないので、太い銅線で電気抵抗を減らすことが可能である。この例では、ヨーク13に代えて磁極12に銅製のリングを周回させて、磁気回路と鎖交する渦電流の電流流路としてもよい。
【0018】
次に磁束の振り分け効果について説明する。例えば磁石11及び磁極12を振動の減衰対象物に装着して、板状ヨーク13をその近傍の靜止体に固定する。そして、磁石11及び磁極12側が図示する左右方向(矢印方向)に振動が生じたとする。図1(A)は相対変位のない場合で磁石からの磁束2Φが均等にΦずつに2分され、(B)は左側空隙が狭く、右空隙が広くなった場合で、左側の磁気回路ではΦ+ΔΦとなり、右側の磁気回路ではΦ−ΔΦとなり、変化分の磁束ΔΦが左回りの周回磁束になることを示したものである。(C)はそれとは逆の相対変位になった場合であり、変化分の磁束ΔΦが右回りの周回磁束になることを示したものである。(B)(C)の右図はコイル15に鎖交した周回磁束の増大とそれを妨害する方向の起電力Eの方向を示したものである。従って相対変位が振動であれば、変化分の磁束ΔΦは磁石を通らずに磁極と2個のヨークで形成される磁気回路を周回振動し、それと鎖交するコイル15に交流起電力Eを発生する。
【0019】
ダンパの場合には、コイルにコンデンサなどの電気回路素子を接続して減衰効果を更に向上させたり、周波数特性を調整することも可能である。即ち、コイルの両端を短絡した場合には、コイルは単にインダクタンスと微少な抵抗素子として動作する。これでは振動に対して減衰効果が弱いので、コイルの両端に放熱用抵抗素子及びコンデンサを取り付け、インダクタンスによる悪影響を低減するようにする。これにより、振動周波数に対するダンピング特性を向上させることができる。減衰に周波数特性を持たせたい場合には、コイルに適当な容量のコンデンサ等の電気的な素子を接続することで、また、コイル巻数の調整を行うことで、コイルに周波数特性をもたせることができる。これにより、特定周波数領域の減衰特性を著しく改善することができる。
また、発電器の場合にはコイル両端から、振動に対応した起電力ΔEを取り出すことができる。特に銅コイル15は、狭い空隙中に設けられたものではないので、電気抵抗成分の増大等を考慮することなく、所要の抵抗損失に抑えることができる。
【0020】
上述した構成の振動エネルギー変換器は、磁石を含まない複数のヨークを磁石の磁極に対して空隙を介して配置して、空隙は磁石からの磁束の入出力の分岐点に相当し、振動による各ヨークと磁石との空隙における相対変位によって磁石から見た磁気抵抗が各ヨークによって差動的に変化するようにしたものである。つまり、磁石からの磁気回路となるヨークを二つ以上に並列分岐して設けて磁石からの磁束の流れを分岐させ、振動による相対変位に伴う分岐点での磁束の流れの振り分け効果が顕著になるようにすることによって、磁気回路中の磁束が大幅に変化するようにしたものである。発生電力はヨーク又は磁極に周回したコイルから、抵抗損失を少なくして効率的に取り出すことができる。
【0021】
これまでの図12に示すようなボイスコイル型の発電器では発生電力を取り出すコイルは狭い空隙内に磁極又はヨークと接触しないように収容する必要から、細いものしか使用できず、それが出力の電気抵抗を大にするという問題点があった。しかしながら、上述した構造の振動エネルギー変換器においては、珪素鋼板などの高透磁率で渦電流を防ぐ材料による磁気回路(ヨーク)を一個の永久磁石に対して並列に二つ以上に分岐し、分岐点は磁石のN極とS極に接続した同材料の磁極とヨーク間の空隙に設け、かつ必要ならばそのヨークを磁石から少し離して設けてそのヨークには太い銅線コイルなどの低電気抵抗の材料を周回するスペースが充分取れる配置とすることも可能である。磁石とヨークとの相対変位により各磁気回路の磁気抵抗に差動的な差が生じることによって、磁束の振り分けの変動効果を招き、各ヨークに通過磁束数の変動を発生させる。それがヨークに巻かれた導体コイルと鎖交する交流磁束となるので、コイルに起電力を効果的に発生させることになる。図1では磁束の変動分をΔΦで表現し、これは磁石を通らないので、振動による磁束の振分けを容易とする。コイルは空隙内に収容する必要がないから、十分なスペースを与えられているので、必要な太さと巻数を自由に選ぶことができる。振動の振幅が小さい場合には、空隙をそれだけ狭くできるので、磁束の振り分け変動の効果が一層増大する。
【0022】
磁石のために相対変位に対する剛性は不安定なので、何らかの機械的な安定剛性を付与する必要がある。それには金属バネを使用してもよいし、ダンパの場合には空隙に粘弾性的フィルム状の膜、例えばゴムシートを挟んでもよい。
【0023】
また、図1における下側の空隙Sを無くして磁石と直結し、ヨークを多少薄く作ってヨークの弾性効果を利用することも可能である。ただし、磁束の振り分け効果は上側の空隙だけになるから磁束の振り分け効果は落ちる。或いは、下側ヨークと下側磁極とを接続して空隙を下側磁極と磁石間に移動してもよい。空隙をこれらの機械的な安定化のために弾性体で埋めることなどによって相対位置の原点が完全な対称点からずれても、その位置を中心とする振動となるから問題はない。
【0024】
〔第2実施形態〕
図2は、4分岐回路の実施形態を示すもので、その構造は、図1に示したのと同様な1個の磁石に対して棒状ヨークを4個設けて、2方向(X,Y)の振動のエネルギーの電気エネルギーへの変換を目的としたものである。図1に示す第1の実施形態では永久磁石11から流れ出た磁束が磁極12を介して右側と左側の2個のヨーク13に2方向(例えばX方向)に分岐するのであるのに対して、これにY方向を加え、X,Y両方向の振動に対するエネルギー変換効果を狙ったもので、磁束を4方向に分岐するようにしたものである。これにより、直交2方向(X,Y方向)の剛体の振動のエネルギーの電気エネルギーへの変換が1個の磁石で可能になる。4個のヨークは、固定部材14により互いに剛に固定されている。
【0025】
分岐は2方向以上なら、3方向でも5方向でもよいことは言うまでもない。多数の分岐は構造的に複雑化するので、ヨークを中空の球状又は円筒状にし、中心軸に円筒状の穴をあけてそれに円柱状の磁石と磁極を納めた方がよい場合もある。空隙の保持には前述と同様に、何らかの機械的な復元機構が必要であることは変わらない。
【0026】
〔第3実施形態〕
図3は、リング形状のラジアル方向用の振動エネルギー変換器を示す。軸方向に着磁された円筒状磁石21の両端にはフェライト等の磁極22が装着されている。扁平なリング状の磁極22の内周面(磁極面)22aに対向するように、円筒状ヨーク23が配置されている。円筒状ヨーク23は、その中央部の開口に例えば振動の減衰対象の回転軸が挿通される。この実施形態においては、円筒状の磁石21及び磁極22は回転機械装置の靜止部に固定されている。従って、磁極22の内周面22aとこれに対向するヨーク23の円筒状内周面23aとは、空隙を隔てて対向し、円筒状磁石21のN極から磁極22、空隙(22aと23aとの間)、円筒状ヨーク23、空隙(22aと23aとの間)、磁極22を通り、S極に戻る磁気回路が形成されることは、上述した実施形態と同様である。
【0027】
この実施形態においては、磁極22には4箇所にコイル25が周回されている。また、ヨーク23にはヨーク内の軸方向の磁束と鎖交するコイル26x,26yが設けられている。コイル26xは、ヨーク23がx方向に振動したときに生じる軸方向のヨーク内の磁束変化分ΔΦによる起電力ΔEを取り出すためのものであり、ヨーク23の内周面を半周して貫通孔27aを通り、再びヨーク23の外周面を半周して図示しない図の手前側の貫通孔からヨーク内周面に戻るように周回されている。一方で、コイル26yは、ヨーク23がy方向に振動したときに生じる磁束の変化分ΔΦと鎖交するコイルであり、貫通孔27bを通り、ヨーク23の内周面に沿って半周し、反対側の貫通孔27bを通りヨーク23の外周面に移り、再び半周して元の貫通孔27bに戻るように周回されている。
【0028】
リング形状の振動エネルギー変換器においては、磁気回路の変化が図1又は図2に示す角柱状のものとは多少異なるので、次に、この点について説明する。図4は、図3の振動エネルギー変換器を上から見た図であり、ヨーク23が少し右側へ変位した場合の磁束変化分ΔΦの流れを示したものである。変位がなく中央に位置しておれば空隙Sは全周にわたって均等なので、磁石からの磁束は最短距離の近接したヨークへ流れて元へ戻るので磁束Φは軸対称で放射状に均等に分布する。しかし、ヨーク23が右変位すれば左側空隙Sは広く、逆に右側空隙Sは狭くなるので、磁束密度は右端空隙で最大となるが、その付近は磁束が集中し易いために等価的に磁気抵抗が増大するので、全磁束がその一点に集中するわけではなく、全周にわたって滑らかな勾配を持った分布となる。従って左側の磁極部分からの磁束は、リング状磁極に沿って左側からかなり離れた空隙のヨークを経て逆の磁極へ戻り、磁極に沿って左側の磁石部分へ戻る。
【0029】
磁束の変化分ΔΦは、図示するようにヨーク23が右方向に移動した場合には、ヨーク内を右側においては磁束が下方向に流れ、左側においては磁束が上方向に流れる。そして、ヨーク上側の外周面23aから上側の磁極の外周面22aに入り、上側の磁極22を略半周して再び磁極とヨークとの空隙を通り、ヨーク側に入りヨーク内を軸方向に流れる。従って、ヨーク23のx方向の振動に対して生じる磁束の変化分ΔΦの振動を、磁極22においてはコイル25yで、ヨーク23においてはコイル26xで、鎖交させて、起電力ΔEとして捉えることができる。同様にヨーク23のy方向の振動に対して生じる磁束の変化分は、磁極22においてはコイル25xで、ヨーク23においてはコイル26yで鎖交させて捉えることができる。
【0030】
尚、上述したコイルの配置は一例を示すもので、コイルの周回の仕方は種々の形態が考えられる。例えばコイル26x,26yを一本の線で接続するようにしてもよい。又、図3及び図4に示す実施形態では磁石を外側としてヨークを内側としたが、この逆であっても、磁束の変化分ΔΦの流れは同様である。
【0031】
〔第4実施形態〕
図5は、半径方向に着磁されたリング状磁石を用いた軸方向振動エネルギー変換器の実施形態を示す。この実施形態においては、扁平なリング状の磁石31の内周側と外周側にそれぞれリング状の磁極32A,32Bを備え、その磁極に対して軸方向に対向した面を有するコの字形の同様にリング状のヨーク33A,33Bを備えている。上側のヨークと下側のヨークとは物理的な結合手段34により固定され、機械的に一体の剛の構成となっている。従って、半径方向に着磁された磁石31からの磁束は、N極から半径方向に磁極32Aに入り、空隙Sを介してヨーク33A,33B内を流れ、再び空隙Sを介してS極側の磁極32Bに戻る。従って、磁石側又はヨーク側の一方を固定側とし、他方を移動側とすると、移動側の軸方向の振動により、空隙Sの大きさが変化し、これに伴いヨーク33A,33Bに流れる磁束Φが振り分けられ、磁束の変化分ΔΦが振動する。コイル35は、図示するようにヨーク33内を円周方向に沿って周回されている。従って、コイル35には上側ヨーク33A、磁極32A、下側ヨーク33B、外周側磁極32Bを通って周回する磁束の変化分ΔΦの磁気回路と鎖交し、起電力ΔEを取り出すことができる。
【0032】
即ち、磁石31のN極から生じる磁束は磁極32Aで上側ヨーク33Aと下側ヨーク33Bとに振り分けられる。即ち、磁極32Aが上側ヨーク33Aと下側ヨーク33Bとの中間位置にある場合には、磁石から生じる磁束は均等に振り分けられる。しかしながら、磁石31が軸方向に振動すると、即ち磁石31が下方向に移動すると、下側ヨーク33BにはΦ+ΔΦの磁束が流れ、上側ヨーク33AにはΦ−ΔΦの磁束が流れる。磁石31が上方向に移動すると、この逆となり、上側ヨーク33AにはΦ+ΔΦの磁束が流れ、下側ヨーク33BにはΦ−ΔΦの磁束が流れる。従って、磁石31の軸方向の振動に伴い磁束の変化分ΔΦは上側ヨーク33A、外周側磁極32B、下側ヨーク33B、内周側磁極32Aの磁気回路を流れる。このように、磁束の変化分ΔΦは磁石31及び磁極32A,32Bの軸方向の振動によって形成されるので、振動側の変位に対して比較的大きな磁束の変化分ΔΦが得られる。又、この磁束の変化分を取り出すコイル35は、磁極間の空隙ではなくヨーク内側の比較的スペースのある部分に設けられるので、コイルのターン数及び線径等を任意に選択することができ、大きな起電力を取り出すことが可能であり、又コイルの抵抗を低減することも可能である。なお、リング状磁石は一体にせず、複数個の断片を磁極で接続してもよく、また、必ずしも完全な円形でなく、四角形等の平面的にループになっていればよい。
【0033】
〔第5実施形態〕
磁極とヨークとの間には磁気吸引力が生じるので、バネ手段により安定剛性を与える必要がある。
例えばボールベアリングの外レースに上述の第3実施形態のリング状ダンパをはめてボールベアリング4に伝わるロータ3のラジアル方向の振動を吸収するようにすることも可能となる。図6の実施形態では、磁石35が外側で、ヨーク37が内側の場合である。内側ヨークリング37と外側リング磁極36で挟まれたダンパからなり、両者間の空隙には弾性フィルム38が機械的なバネとして介在する。係る実施の形態においては、ボールベアリング4に伝わる回転軸3の振動が、弾性フィルム38により吸収されると共に、ヨーク37が半径方向に振動し、第3実施形態において説明したように、その振動エネルギーがコイルに電気エネルギーとして取り出され、コイルに接続された抵抗によって消費され振動が減衰される。特にコイルのインダクタンス分が大きい場合には、コイルの両端にコンデンサ素子を接続することで、振動の減衰の向上や、周波数特性を持った減衰をさせることができる。
【0034】
〔第6実施形態〕
しかしながら、振動の振幅が大きい往復運動の場合には、その振幅以上の空隙長が必要となるが、空隙長を大にして小振幅の振動が入力されると、磁束の振り分け効果が著しく低下するので対策が必要である。その対策として、図7に示すような振動エネルギー変換器が考えられる。例えば磁石41に接続した二つの磁極42A,42Bに、それぞれと対向する二つのヨーク43A,43C,及び43B,43Dとを設ける。磁極とヨークの間に、相対運動(矢印方向)と直角方向に一つ以上の突起を磁極側に設け、それと空隙を介して対向するヨーク側にも一つ以上の突起を設ける。振動による両者間の相対変位によって一方のヨークと磁極では突起同士が最接近し、同時に他方のヨークでは一方の突起が他方の突起の間の凹んだ位置に対面して磁気抵抗が最大となる。あるいは更に他にもヨークがある場合には例えば中間の磁気抵抗になるような構造の突起/凹部の配置にして、振動周波数の何倍かの高周波の発電を、ヨークの数によっては多相の発電器とすることも可能である。
【0035】
コイル46A,46Bは、それぞれヨーク43E,43Fに周回されている。ヨーク43E,43Fは、それぞれヨーク43Aと43C、43Bと43Dとを接続するヨークである。電力の取り出しは、ヨーク43Eに周回したコイル46A、及び又は、ヨーク43Fに周回したコイル46Bから取り出される。
【0036】
磁石41のN極から生成する磁束は、磁極42A,42Bの位置によりヨーク43A側か、ヨーク43B側かに振り分けられる。振り分けられた側のヨーク43E,43Fには、磁束Φ−ΔΦ又はΦ+ΔΦが流れる。従って、磁極42A,42Bが矢印方向に移動すると、磁極とヨークの突起同士が接近すること及び離れることに従い、磁極42A、ヨーク43B、43F、43D、磁極42B、ヨーク43C、43E、43A、を通り再び磁極42Aに戻る磁気回路に磁束の変化分ΔΦの振動磁束が形成される。このようにして振り分け磁束の変動分ΔΦは磁石を流れない。この振動磁束ΔΦの変動をコイル46A,46Bで取り出すことができる。係る磁気回路の構成によれば、磁極42A,42Bの矢印方向の変位幅を磁石の長さ或いは突起の幅に係わらず大きく取れるので、大振幅の振動から電気エネルギーを取り出すことが可能である。例えば、波浪の上下動の振動エネルギーを発電電力として取り出す場合に好適である。図示していないが、一体化された磁極と磁石は接近したヨークに吸引されるので相対運動方向に垂直方向の振動力を受けるため、直動のベアリング等のガイド機構が必要であろう。
【0037】
以上の説明は振動エネルギー変換器を発電器として用いた場合についてのものであるが、大振幅の衝程(ストローク)を有する例えば車両のショックアブソーバとしても用いることができる。この場合は、コイル46A,46Bに放熱用の抵抗素子やコンデンサを接続し、振動エネルギーを電気エネルギーに変換し、放熱用抵抗素子で消費するようにすればよい。また、磁極及びヨークを電極軟鉄等の比較的電気抵抗の低い磁性材を用いることによって、渦電流を磁極及びヨーク内部に形成することもできる。これにより、コイルを不要として構造を簡素化することができる。
【0038】
このような大振幅なストローク中において、任意の場所で減衰効果に変化を与えたい場合がある。この場合には、例えば減衰効果に変化を与えたい部分にコイル45C,45Dを設け、それらのコイルにコンデンサ又は放熱用の抵抗素子を接続する。これにより磁極42Aの部分が当該コイル部分に到達すると、はじめてコイル45C,45Dに磁束の変化分ΔΦが鎖交し、コイル45C,45Dにも誘導電流が流れ、抵抗やコンデンサ素子で、発電制動をより有効にしたり、周波数特性を変化させることができる。特に、コイルはインダクタンス分が大きいため、放熱用抵抗素子に直列又は並列にコンデンサ素子を介在させることで、力率を高め発電制動を効率的にすることもできる。
また、往復運動のストロークの位置によっては、空隙長を変えてストローク位置での減衰特性を調整することも可能である。
【0039】
〔第7実施形態〕
図8は、他の実施形態の大振幅用の振動エネルギー変換器を示す。これは、衝程に対応する突起部間の全ての凹部にコイル49A,49B,...,50A,50B,...を周回させている。そして、各コイルに放熱用抵抗素子及びコンデンサを接続し、それぞれ閉回路を形成する。そして抵抗素子の抵抗値又はコンデンサ素子の容量値をそれぞれ衝程に対応させてそれぞれ設定する。即ち、発電制動に伴う減衰特性を、電気素子の値を選択することによりそれぞれ設定する。例えば衝程の中央部付近では低周波領域での減衰の周波数特性を小さくして、衝程の両端部付近では高周波領域での減衰の周波数特性を大きくする等の衝程に応じた減衰の周波数特性を付与する。これにより衝程に依存する減衰特性を与えることができ、例えば車両のショックアブソーバに用いた場合に、車両の特性に応じた任意の減衰特性を有するショックアブソーバを実現することができる。
【0040】
次に本発明の原理に基づく振動エネルギー変換器の振動減衰効果について説明する。図9に示すようにステンレス製の板50の一端を片持ちバリ状に支持し、他端に図1の振動エネルギー変換器のヨーク13を取り付けて、図1の振動エネルギー変換器の磁石11及び磁極12の有無による比較でダンパ効果を実験した。ステンレス板50が機械的な復元剛性を与え、かつ振動のためのバネ要素ともなっている。磁石部分11,12なしの場合の振動を外部からの打撃で与えてヨーク部分の変位を空隙センサ(図示せず)で検出したものの記録が図10である。減衰が非常に悪く減衰比ζで約0.005である。
【0041】
図11(A)は磁石部分11,12をヨーク13に接触しないように配置固定した場合の同じ打撃による振動減衰効果である。この実験ではヨークに周回するコイルを開放して使用した場合である。ヨーク及び磁極に電気抵抗の比較的低い電磁軟鉄等の磁性材を使用して、ヨーク及び磁極内に渦電流を形成するようにしている。ζは約0.3となった。尚、時間軸は図10に示す場合の10倍に取っている。
【0042】
しかし、ヨークに周回したコイルを開放ではなく、コンデンサをコイル両端間に装着することによって、インダクタンス分の低減を意図した実験では、図11(B)に示すように、減衰効果が更に向上し、減衰比ζは約0.5となった。このことは、本発明によって、振動エネルギーが電気エネルギーに変換され、かつそれが磁極又はヨークに周回されたコイルに取り出すことが可能で、更に、それが受動回路を付属させてダンパとしての周波数特性をも調整可能であることを示している。
【0043】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明は磁石の磁極から出る磁束を二つ以上のヨークの磁極に対面する面に分岐して磁気回路を形成するようにしたものである。これにより、磁石又はヨークの一方を固定又は自由にして他方を振動源に接続した時に、磁極とヨークの全断面に生じる磁束の変化分ΔΦをヨーク又は磁極に周回されたコイルから起電力として取り出すようにしたものである。このように磁束の変化を有効に利用して効率的に振動エネルギーを電気エネルギーに変換できるので、発電器として用いた場合にはその発電効率を向上させることができ、ダンパとして用いた場合にはその減衰効率を向上させることができる。
【0044】
更にヨーク又は磁極に周回したコイルに抵抗素子又はコンデンサ素子等の受動的な電気素子を接続できるので、減衰特性又は周波数特性等の調整が容易である。
【0045】
更に相対する磁極及びヨークに平行な相対振動方向に対して、垂直方向に突起部を設け、磁束を振り分けることで、大振幅に対応した発電器又はダンパを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の振動エネルギー変換器の説明図である。
【図2】本発明の第2実施形態の振動エネルギー変換器の説明図である。
【図3】本発明の第3実施形態の振動エネルギー変換器の説明図である。
【図4】図3における磁束の変化分ΔΦの流れを示す説明図である。
【図5】本発明の第4実施形態の振動エネルギー変換器の説明図である。
【図6】本発明の第5実施形態の振動エネルギー変換器の説明図である。
【図7】本発明の第6実施形態の振動エネルギー変換器の説明図である。
【図8】図7の変形例を示す説明図である。
【図9】実験装置の概要を示す説明図である。
【図10】ダンパを取り付けない場合の板バネの振動波形を示す図である。
【図11】本発明の振動エネルギー変換器を取り付けた場合の板バネの振動波形を示す図であり、(A)はコイルを開放した場合であり、(B)はコイルにコンデンサを接続した場合である。
【図12】従来の振動エネルギー変換器であるボイスコイル型発電器の説明図である。
【符号の説明】
11,21,31,41 磁石
12,22,32,42 磁極
13,23,33,43 ヨーク
15,25,35,45 コイル
ΔE 起電力
S 空隙
ΔΦ 磁束の変化分
Claims (7)
- 少なくとも磁石の一方の極の磁極から出る磁束を、二つ以上のヨーク入り口にそれらの数だけの、該磁極に面する空隙を介して分岐通過させ、該ヨーク出口からの磁束を再び該磁石の他極に戻す磁気回路を形成すると共に、該磁気回路の磁束に鎖交するコイルを周回し、
該二つ以上のヨークはすべて剛に機械的に接続され、該磁極と該ヨーク入り口間の距離である該空隙の長さを機械的なバネ系で弾性的に保持し、振動の発生側に該磁石又は該ヨークの何れかを直結し、
該振動によって該空隙長が分岐の方向によって差動的に変化することによって該磁束の分岐に差動的な変化が生じるようにして、該ヨーク及び又は該磁極に周回されたコイルから電力として取り出すことを特徴とする振動エネルギー変換器。 - 回転対称軸方向に着磁したリング状磁石の両極にリング状磁極を配置し、該両極を磁気的に接続するリング状ヨークを該磁石の内部又は外部にリング状空隙を介して配置し、該リング状空隙は機械的なバネ系で弾性的に保持され、振動発生側を該磁石又は該ヨークの何れかに直結すると共に、該磁気回路の磁束に鎖交するコイルを周回し、
該振動によって該リング状空隙の該空隙長を、振動方向に長短の差動的な変化をもたらすことによって該磁石からの磁束の経路に変化が生じるようにして、該ヨーク及び又は該磁極に周回されたコイルから電力として取り出すことを特徴とする振動エネルギー変換器。 - 回転対称軸と直交するラジアル方向に着磁したリング状磁石の両極にリング状磁極を配置し、該両極を磁気的に接続する2個のリング状ヨークを該磁石を挟むようにリング状空隙を介して配置することによって、該磁石の一方の磁極からの磁束を該磁極に面する二つの空隙を介して分岐させて該ヨークの入り口に流し、該ヨーク出口に面する側の該二つの空隙を介して再び該磁石の他方の磁極へ戻す磁気回路を形成すると共に該磁気回路の磁束に鎖交するコイルを周回し、
該2個のヨークは剛に接続され、該対称軸方向の振動発生側を該磁石又は該ヨークの何れかに直結し、該振動によって該空隙長が分岐の方向によって差動的に変化することによって該磁束の分岐に差動的変化が生じるようにして、該ヨーク及び又は該磁極に周回されたコイルから電力として取り出すことを特徴とする振動エネルギー変換器。 - 請求項1乃至3におけるヨーク又は磁極を装着した磁石のいずれか一方を、装置の振動の防振を希望する位置に装着し、コイルに電気的な素子を接続して閉回路とすることによって振動減衰の効果を向上させた、又は減衰の周波数特性を調整可能にしたことを特徴とする振動エネルギー変換器。
- 磁石の少なくとも一方の磁極に対向して空隙を介して相互に固定された複数のヨークを設け、該磁極及びヨークには該両者間の相対変位振動方向に垂直方向に一つ以上の突起部を設け、該磁極の該突起部は該ヨークの突起部とは該ヨークごとに振動位置によって対向最接近面積が変化するように配置し、該突起部の幅を超える該相対変位振動によって該磁石から磁束の該ヨークへの振り分けに変化が生じ、該磁極及び又は該ヨークに巻かれたコイルから電力を取り出すことを特徴とする振動エネルギー変換器。
- 請求項5において、相互の突起部の空隙を振動衝程で変化のある構造にして、該振動衝程に依存する発電効果によって該磁極及び又はヨークで発生する渦電流に変化を与えて該振動の衝程での減衰効果に変化を与えたことを特徴とする振動エネルギー変換器。
- 請求項6において、磁極及び又はヨークの複数の突起部の間の任意の凹部にコイルを巻き、該コイルに電気素子を接続して閉回路を形成し、振動の衝程に依存する減衰特性を与えたことを特徴とする振動エネルギー変換器。
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