JP3599283B1 - 歯周炎の発症を判定する方法。 - Google Patents

歯周炎の発症を判定する方法。 Download PDF

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Abstract

【課題】歯肉炎と歯周炎とを簡易かつ明確に区別する方法を提供すること。
【解決手段】発明者は、今回、歯肉炎の患者の歯肉溝滲出液中には、γ−GTP(γ−グルタミルトランスペプチダーゼ)がほとんど含まれないが、歯周病の患者の歯肉溝滲出液には、γ−GTPが含まれていることを発見した。そこで、歯肉溝滲出液に含まれるγ−GTPを検出又は測定する歯周炎発症判定方法を提供する。また、この方法は、インプラント歯周炎の発症を判定する方法にも応用することができる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、歯周炎発症判定方法及びインプラント周囲炎発症判定方法に関する。より詳細には、γ−GTP(γ−グルタミルトランスペプチダーゼ)活性を検出又は測定することを特徴とする歯周炎発症判定方法及びインプラント周囲炎発症判定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
歯周組織とは、歯の周囲にあって、歯を支持する役割を担っている組織をいい、歯肉、歯根膜、セメント質、歯槽骨から構成されている。その歯周組織の炎症のうち、炎症が歯肉に限局したものを「歯肉炎」といい、炎症部位が歯肉を超えて広がり歯根膜や歯槽骨が損傷、破壊した場合を「歯周炎」という。
【0003】
歯肉炎と歯周炎は、ともに、歯垢(口腔内の食物残渣等に細菌などが付着して繁殖した塊)の中の細菌が増殖して、それに他の要因も影響して、歯周組織が炎症を起こすことによって生じる。しかし、歯肉炎の場合、歯肉が炎症を起こしていても、歯根膜や歯槽骨まで炎症が広がっていないので、口腔内を清掃することにより、治癒することができるが、歯肉炎から歯周炎に症状が進行した場合、歯がぐらついたり、歯根膜や歯槽骨が損傷、破壊したりしてしまうので、口腔内を清掃しても、元の状態に戻すのは難しくなる。
【0004】
歯周疾患の診断は、一般には、歯周ポケットの測定、アタッチメントレベル、X線画像診断等によって行われている。「歯周ポケット」とは、歯肉炎や歯周炎によって歯と歯肉が離れて、歯と歯肉の間に溝(歯肉溝)ができたものをいい、歯周ポケットの深さを測定することによって、歯周組織の破壊の程度をある程度知ることができる。「アタッチメントレベル」とは、セメント質とエナメル質の境の部分から歯周ポケットの底までの距離をいい、歯周支持組織の破壊の程度を知る指標となる。「X線画像診断」では、X線写真によって、歯槽骨の吸収等を見ることができる。
【0005】
そして、歯肉炎や歯周炎の際に前記歯肉溝に漏出する滲出液(歯肉溝滲出液)に含まれる各種酵素の測定を、歯周疾患の診断に用いる方法もいくつか提案されている。例えば、炎症の際には白血球が増加しているので、白血球の増加に伴って増加するペルオキシダーゼの酵素活性を測定することにより、歯周病の診断に役立てる方法が開示されている(特許文献1)。
【0006】
また、歯周組織の炎症や損傷によって、ALT(アラニン・アミノ基転移酵素)の歯肉溝滲出液中の濃度が上昇することを利用して、歯周疾患を診断する方法も公開されている(特許文献2)。
【0007】
さらに、バクテロイデス・ジンジバリス等の歯周疾患の病原細菌が放出する酵素ALP(アルカリホスファターゼ)を特異的に検出することによって、歯周疾患の進行状態を客観的に診断する方法についての先行文献もある(特許文献3)。この方法では、唾液等から採取したALPを熱処理等して、患者の細胞に由来するALPを取り除くことによって、細菌由来のALPのみを特異的に測定する。
【0008】
【特許文献1】
特開昭60−222768号公報
【特許文献2】
特表平3−501447号公報
【特許文献3】
特開平5−176796号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の技術には、以下のような解決すべき課題があった。
【0010】
一般に、視診等により歯肉の炎症が確認された場合に、歯肉炎と歯周炎を区別するには多くの経験や熟練が必要であり、歯肉炎と歯周炎を明確に区別して診断することが非常に難しいという問題があった。また、歯肉炎と歯周炎の区別は、歯科医師の経験や技能に基づいて判断されることが多いため、歯科医師の判定基準に個人差があるという問題があった。さらに、従来の、各種酵素を測定して歯周疾患の診断に用いる方法についても、歯肉炎と歯周炎とを明確に区別するのは難しく、また、操作手順が複雑である、感度が不十分である、高度な技術が必要である、等の課題があった。
【0011】
例えば、特許文献1の発明では、酵素・ペルオキシダーゼの活性の上昇を測定することによって歯周組織の炎症の程度を判定しているため、歯肉炎の場合でも歯周炎の場合でもペルオキシダーゼの酵素活性は上昇してしまうので、歯肉炎と歯周炎との区別を明確に判断するのは難しい。
【0012】
特許文献2の発明では、酵素・ALTの濃度の上昇を測定することによって歯周組織の炎症や損傷を判断しているため、前記と同様に、歯肉炎の場合でも歯周炎の場合でもALTの酵素活性は上昇してしまうので、歯周疾患の症状の進行をある程度予測することができたとしても、歯肉炎と歯周炎の区別を明確に判断するのは難しい。
【0013】
特許文献3の発明についても、歯周疾患の原因となる細菌が放出する酵素を指標としているため、歯周疾患の進行をある程度予測することはできるかもしれないが、歯肉炎と歯周炎との区別を明確に判断することは難しい。また、歯周疾患の進行と細菌の増殖との相関関係には個人差があるため、複数の患者の、細菌が放出した酵素の測定値が同じであったとしても、それぞれの患者が、歯肉炎であるか、歯周炎であるかを明確に区別することは難しい。
【0014】
以上のように、従来の技術には、簡易かつ明確に、歯肉炎と歯周炎とを区別する方法がないという課題があった。歯肉炎から歯周炎に症状が進行した場合には、早期に発見して治療する必要があるため、歯肉炎と歯周炎とを明確に区別し、歯周炎を引き起こしているかどうかを判定する方法が必要とされる。従って、本発明は、歯肉炎と歯周炎とを簡易かつ明確に区別する方法を提供することを主な目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記の技術的課題を解決するために、本発明では、以下の手段を提供する。
【0016】
まず、初めに、本願発明に係る酵素・γ−GTP(γ−グルタミルトランスペプチダーゼ)は、腎臓、すい臓、肝臓等に多く存在する酵素で、アルコール代謝更新時や黄疸の際に血液中に遊出するため、肝疾患の診断等に用いられている。
【0017】
今般、本願発明者は、歯肉炎を発症した患者の歯肉溝滲出液中には、γ−GTPが含まれていないが、この歯肉炎を経て発症する歯周炎の患者の歯肉溝滲出液中には、γ−GTPが含まれていることを新たに発見した。そして、この新発見に加え、歯周組織にγ−GTPが発現している場合では、歯周組織に破骨細胞が誘導されていることも確認した。これらの新知見は、γ−GTPが、歯槽骨の吸収や破壊を伴う歯周炎の発症に深く関与していることを明らかに示している。なお、歯肉溝滲出液中にγ−GTPが含まれる時点では、破骨細胞が歯周組織に誘導される状態であるので、歯槽骨の吸収や破壊は、まだ始まっていないか、始まったばかりの段階、即ち歯周炎の初期段階であると考えることができる。
【0018】
従って、γ−GTPは、歯肉炎と歯周炎とを区別するマーカーとして有用であり、歯肉溝滲出液中のγ−GTPを検出、測定することにより、歯肉炎から歯周炎に症状が進行しようとしているかどうかを判定することができる。
【0019】
そこで、前記の発見をもとにして、本発明では、まず、歯肉溝滲出液に含まれるγ−GTP(γ−グルタミルトランスペプチダーゼ)を検出又は測定する歯周炎発症判定方法を提供する。
【0020】
前記の通り、歯肉炎のときには、γ−GTPは、歯肉溝滲出液はほとんど含まれないが、歯周炎の時には、γ−GTPが歯肉溝滲出液に流出するため、歯肉溝滲出液中のγ−GTPを検出又は測定することによって、歯周疾患が、歯肉炎であるのか、歯周炎にまで症状が進行しようとしているのかを明確に判定することができる。ここで、「歯肉溝」とは、歯肉の炎症により歯と歯肉が分離したことにより生じた、歯と歯肉にはさまれた溝の部分(歯周ポケット)をいう。また、「歯肉溝滲出液」とは、歯肉溝に漏出してくる組織液をいう。なお、歯肉溝は、歯肉の炎症がある場合にできるので、歯周組織が健康な場合には、明確な歯肉溝(歯周ポケット)はほとんど存在せず、従って、歯肉溝滲出液もほとんど採取できない。
【0021】
歯肉溝滲出液を採取する方法としては、例えば、ペーパーポイントを用いて滲出液をしみこませる方法、サッカー(吸引器)を用いる方法、マイクロピペット(毛細ガラス管)を用いて採取する方法、歯肉溝内に緩衝液を流しその液を回収する方法、等がある。
【0022】
γ−GTPを検出又は測定する方法としては、肝疾患等の検査診断で一般的に用いられている公知の手法を用いることができ、γ−GTPを検出又は測定することができる方法であれば特に限定されない。例えば、γ−GTPの酵素活性を測定する方法、γ−GTPに対する抗体を用いる直接定量法、PCR法によってγ−GTPをコードするmRNAの発現を確認する遺伝子検出法、等を採用することができる。
【0023】
酵素活性測定法を用いてγ−GTPの酵素活性を検出、測定する場合、例えば、勧告法(臨床化学、24,106−121,1995参照)を用いることができる。γ−GTPは転移酵素であり、供与体基質であるL−γ−グルタミル−3−カルボキシ−4−ニトロアニリドから、受容体基質であるグリシルグリシンに、γ−グルコシル基を転移させ、L−γ−グルタミルグリシルグリシンと5−アミノ−2−ニトロ安息香酸を生成させる作用を持つ。勧告法では、この反応により生成される5−アミノ2−ニトロ安息香酸の吸光度の変化を測定することにより、γ−GTPの酵素活性を検出、測定する。なお、同様にγ−GTPを基質に作用させて、酵素活性を検出、測定する方法としては、合成基質・L−γ−グルタミル−p−ニトロアニリドを用いる方法(SSCC法)等もある。
【0024】
直接定量法とは、抗γ−GTP抗体(γ−GTPと特異的に結合する抗体)を活用して、直接、γ−GTPを検出、測定する方法である。例えば、一般的な方法であるサンドイッチELISA法(Enzyme−Linked Immuno−Sorbent Assay)を用いることにより、高感度にγ−GTPを検出することができる。
【0025】
また、本発明は、インプラント周囲炎の発症を判定する方法にも応用することができる。
【0026】
「インプラント周囲炎」とは、歯周炎の一種であり、インプラントを歯周組織に埋め込むことにより、歯周組織のインプラントの周囲に炎症を生じることをいう。「インプラント」とは、歯周組織に埋め込む支持体のことをいい、インプラントの下部を歯周組織に埋め込み、そのインプラントの上部を義歯に嵌めることによって義歯を歯周組織に装着する。インプラント周囲炎は、歯科インプラントの普及によって発生が増加している新たな歯周炎で、歯肉炎から症状が進行して生じるものではないため、必ずしも歯周ポケットを主症状としないで歯周炎が発症するという特徴がある。
【0027】
インプラント周囲炎の場合、歯肉炎から症状が進行して発生するわけではないため、視診によって発症を確認することが難しい場合も多く、酵素活性による判定も難しかった。γ−GTPは、歯肉炎とは関係なく、歯周炎のとき(歯槽骨の吸収等が起こる時)のみ、歯肉溝滲出液、組織液、歯周組織周辺の血液中等に漏出するため、インプラント周囲炎の発症を簡易に判定することができる。
【0028】
なお、インプラント周囲炎の場合、必ずしも歯周ポケットが主徴候とはならないため、患者によっては歯肉溝滲出液をあまり採取できない場合も多い。そのような場合には、インプラントを埋め込んだ部位の周囲の血液を注射針等により採取して、γ−GTPの検出、測定の試料としてもよい。歯肉溝滲出液は、炎症によって歯肉から滲出してきたリンパ液であり、血清と内容成分はほぼ同じであるので、血液からのサンプリングでも、γ−GTPを検出、測定することができる。なお、γ−GTPの検出,測定方法は、前記と同様の方法を用いることができる。
【0029】
【実施例】
実施例1。
実施例1では、歯肉溝滲出液を採取してγ−GTPの酵素活性を測定し、歯肉炎と歯周炎を区別する実験を、以下の手順によって行った。なお、本発明は、実施例に限定されない。
【0030】
まず、3人の検体(歯周炎の既に治癒した患者、歯肉炎の患者、歯周炎の患者)からそれぞれ歯肉溝滲出液を採取した。歯肉溝滲出液の採取は、各検体の歯肉溝にペーパーポケットを1分間挿入して、歯肉溝滲出液をペーパーポイントにしみこませることにより行った。なお、歯周炎の既に治癒した患者では、歯肉溝の浅い歯周ポケットと、別の箇所にある深い歯周ポケットの二箇所からそれぞれ歯肉溝滲出液を採取した。また、歯周炎の患者では、現在炎症の起きている歯肉溝の部分(歯周ポケット)と、歯肉の炎症を抑制した部位の浅い歯周ポケットと、別の箇所にある歯肉の炎症を抑制した部位の深い歯周ポケットの3箇所から歯肉溝滲出液を採取した。
【0031】
次に、歯肉溝滲出液をしみこんだペーパーポイントを回収し、ペーパーポイントの先端(歯周ポケットに挿入した部分)が乾燥しないように、直ちに、70μlのPBS緩衝液(又は蒸留水)に1分間浸した。そして、ペーパーポイントを捨て、ペーパーポイントを1分間浸したPBS緩衝液のみを、4℃で保存した。なお、この手順では、歯肉溝滲出液をしみこんだペーパーポイントの先端を切って、PBS緩衝液等に浸し、ペーパーポイントをPBS緩衝液等に浸したままの状態で、4℃で保存してもよい。
【0032】
歯肉溝滲出液が溶出したPBS緩衝液等を4℃で保存した理由は、歯肉溝滲出液には雑菌も存在し、室温で保存すると、それらの雑菌が増殖してタンパク質分解酵素等を分泌し、γ−GTPを分解する可能性があるためである。また、これらの問題を取り除く手段として、PBS緩衝液等に、0.1%BSA(微量γ−GTPの安定化のため)と0.2%アジ化ナトリウム(防腐剤)を加える方法を用いてもよい。以上のいずれかの手段を採用することにより、4℃(低温)又は室温で、γ−GTPを壊さないままで、サンプルを保存、輸送することができる。なお、上記の手順は、主に、サンプルを保存したり、輸送したりする場合に必要な手順である。従って、上記のサンプルより、γ−GTPをすぐに測定できる場合には、4℃で保存しなくてもよい。
【0033】
そして、歯肉溝滲出液の溶出したPBS緩衝液の中に含まれるγ−GTP活性を、酵素活性測定法によって、測定した。結果を表1に示す。
【0034】
【表1】
Figure 0003599283
【0035】
歯肉炎又は歯周炎の治療をして現在炎症を起こしていない患者では、歯肉溝(歯周ポケット)の浅い患者と深い患者のどちらから採取した歯肉溝滲出液中にも、γ−GTPは検出されなかった(サンプル1、サンプル2)。
【0036】
歯肉炎患者から採取した歯肉溝滲出液中からも、γ−GTPは検出されなかったが(サンプル3)、歯周病患者の歯肉溝滲出液中からは、γ−GTPが検出された(サンプル4)。これにより、γ−GTPを検出、測定することによって、歯肉炎と歯周炎を明確に区別することができることがわかった。歯肉炎患者の歯肉溝滲出液中には、γ−GTPは含まれないが、歯周病患者の歯肉溝滲出液中の患者には、γ−GTPが含まれる。
【0037】
サンプル5とサンプル6は、歯周炎を発症しているが、歯肉の炎症を抗炎症剤(ステロイド剤等)により歯肉の炎症を抑制している患者の、歯肉溝滲出液に含まれるγ−GTPを測定したものである。抗炎症剤を用いているため、表面上は歯肉の炎症(赤み)が抑制されているが、歯周炎が治癒しているわけではないので、実際は、歯周組織の深部で炎症が起こっている。従って、本実験は、歯周組織の深部に炎症があるかどうかを、本発明方法により判定することができるかを調べたものである。その結果、表1に示すとおり、サンプル5とサンプル6の患者では、γ−GTPが検出された。従って、抗炎症剤により表面的には、歯周炎が治癒したように見えても、歯周組織の深部で炎症が起こっている場合は、本発明方法により、歯周炎の発症の有無を判定することができることがわかった。
【0038】
また、サンプル5とサンプル6を比較した場合、深い歯肉溝(歯周ポケット)から採取した歯肉溝滲出液のほう(サンプル6)が、浅い歯肉溝(歯周ポケット)から採取したもの(サンプル5)より、γ−GTP酵素活性が高かった。このことは、炎症部位に近い程γ−GTPが多く、また、歯肉溝の同じ深さで歯肉溝滲出液を採取した場合には、炎症が大きいほどγ−GTPが多くなることを示唆している。従って、本発明方法は、歯肉炎と歯周炎の区別をすることができるだけでなく、歯周炎と判定された場合には、歯周組織の炎症の程度も判定することができることが分かった。
【0039】
実施例2。
実施例2は、遺伝子検出法を用いて、歯周病患者の歯肉溝滲出液を調製して、γ−GTPのmRNAのが発現しているかどうかを確認する実験である。
【0040】
まず、RNA抽出用試薬・ISOGEN(株式会社ニッポンジーン製)を用いて、歯周病患者の歯肉溝滲出液からRNAを抽出した。次に、RT−PCR high−Plus−kit(TOYOBO製)を用いて、RT−PCR法により、目的のDNAを合成、増幅させた。RT−PCRを行う際のプライマーには、5’−TCCCTTGACCTTCAGGAGAACGAG−3’と、5’−GTGTGGTGCTGTTGTAGATGGTGA−3’を用いた。その結果、このプライマーを用いたPCR法によって、目的のDNAが増幅されたので、ヒトγ−GTPのmRNAが、歯肉溝滲出液中に発現していたことが確認された。
【0041】
以上の結果により、遺伝子検出法によっても、歯肉溝滲出液中のγ−GTPを検出することが可能であることが示された。
【0042】
実施例3。
実施例3は、実験的歯周病モデルラットを用いて、γ−GTPが歯槽骨の破壊に関与していることを示した実験である。手順を以下に示す。
【0043】
7週齢のWistarラットを麻酔下で固定して、ラットの咬合した左右の大臼歯に、LPSを1時間接触させた。そして、その後、0、1、2、3、7日後に、安楽死させ、歯周組織を採取して、定法によりホルマリン固定して、病理切片を作製した。なお、「LPS」とは、リポ多糖(リポポリサッカリド)のことであり、グラム陰性細菌の外膜の重要構成成分である。LPSは、内毒素として多様な生物活性を持つので、本実験では、ラットの大臼歯にLPSを一定時間接触させて感作することにより、歯周炎を実験的に発症させるのに用いた。LPSには、大腸菌由来のものを用いた。
【0044】
そして、まず、その病理切片をγ−GTPで染色した(図1)。また、コントロールとして、同様に作製した病理切片を用いて、非特異的抗体で染色したものも作製した(図2)。この結果、図1で観察されるとおり、歯周炎を実験的に発症させたラットの歯槽骨周辺では、γ−GTPが多数発現していることがわかった。なお、図1、図2で示したものは、LPS感作後、3日後の病理切片を染色したものである。
【0045】
次に、同様に作製した病理切片をTRAP染色した(図3)。TRAP染色とは、洒石酸耐性酸性ホスファターゼ(成熟破骨細胞マーカー)を用いた染色法で、破骨細胞を特異的に染色することができる。その結果、実験的に歯周炎を発症させたラットの歯槽骨では、破骨細胞が多数誘導されていることがわかった。なお、図3で示したものは、LPS感作後、3日後の病理切片を染色したものである。光学顕微鏡による観察では、LPS感作後3日目の病理切片では、破骨細胞の誘導は見られるが、歯槽骨の吸収、破壊は、ごく一部で観察されるのみである。
【0046】
以上の実験により、歯肉炎の際には、γ−GTPが歯周組織に多数発現することがわかった。また、γ−GTPの発現に伴って、歯槽骨に破骨細胞が誘導されることを確認することができた。従って、γ−GTPは、歯肉炎の際に発現し、歯槽骨に破骨細胞を誘導し、歯槽骨の吸収、破壊に関与することが示唆される。また、歯槽骨の吸収、破壊が実際に始まる直前には、既に、γ−GTPが発現していることがわかった。
【0047】
本発明によって奏される効果は、以下の通りである。
【0048】
歯肉炎と歯周炎を、簡易な方法で、明確に区別することができる。また、歯肉炎と歯周炎の区別の判定基準を明確にすることができ、歯科医師のそれぞれの基準ではなく、客観的な基準で、歯周炎の発症を判定することができる。これによって、歯周炎の早期診断、早期治療に役立てることができる。特に、γ−GTPの発現は、歯槽骨の吸収、破壊が始まる直前から起こるので、歯周炎の発症を早期に判定する場合にも有効である。
【0049】
γ−GTPの検出、測定は、肝疾患等の検査診断で用いられている公知の簡易な手法を用いることができる。このため、本発明方法を迅速かつ容易に普及させることができる。
【0050】
歯周炎の発症に関与する酵素γ−GTPを検出、測定することにより、直接的に、歯肉炎と歯周病の区別をすることができ、歯周炎の発症を判定することができる。特に、本発明は、歯周組織の炎症や損傷に関連する酵素、又は、歯周疾患の原因となる細菌が放出する酵素をマーカーとして歯周炎の発症を判定するわけではなく、歯周病の発症に直接関連する酵素をマーカーとして利用するので、歯肉炎と歯周炎の区別や歯周病の発症の判定を明瞭かつ確実に行うことができる。
【0051】
歯周炎の患者の場合、抗炎症剤等を用いることにより、表面上は歯肉の炎症(赤み)が治癒しているように見えるが、実際は、歯周組織の深部では、炎症が治癒しておらず、その時点で歯周炎の治療をやめてしまって、却って、歯周炎を悪化させる場合がある。本発明方法を用いることにより、抗炎症剤を用いている患者の歯周組織の深部の炎症が実際に治癒しているかどうかを簡易かつ正確に判定することができる。
【0052】
本発明は、歯肉炎と歯周炎を区別することができるだけでなく、歯周炎と判定された場合には、γ−GTPの検出量等を測定することにより、歯周炎の炎症の大きさも判定することができる。
【0053】
本発明は、インプラント周囲炎の発症の判定にも有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】LPS感作して3日後のラット歯槽骨をγ−GTP抗体で染色した図面代用写真
【図2】LPS感作して3日後のラット歯槽骨を非特異的抗体で染色した図面代用写真
【図3】LPS感作して3日後のラット歯槽骨をTRAP染色した図面代用写真

Claims (2)

  1. 歯肉溝滲出液に含まれるγ−グルタミルトランスペプチダーゼを検出又は測定することによる、歯槽骨の吸収を伴う歯周炎の発症判定方法
  2. 埋め込んだインプラントの周囲から採取した血液に含まれるγ−グルタミルトランスペプチダーゼを検出又は測定することによる、歯槽骨の吸収を伴う歯周炎の発症判定方法
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