JP3599021B2 - キースイッチ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明はキースイッチに関し、特に、ノート型のパーソナルコンピュータ等に付設される薄型のキーボードに使用されるキースイッチ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のキースイッチ装置は、キートップの裏面から垂設されたキーステムをホルダ部材に形成したキーホルダ部に挿入して、上下に摺動案内する構成が採られていた。このような構成のキースイッチ装置では、キーステムのキーホルダ部により摺動案内される部分を大きくすれば、キー操作性は向上するものの、キーボードの薄型化には対応することができない。一方、キーボードの薄型化に対応すべくキーステムがキーホルダ部により摺動案内される部分を小さくすれば、両者間に生じるこじれに起因して、キー操作性が低下してしまうという欠点があった。
【0003】
本出願人は、上述した従来のキースイッチ装置における欠点を解消するために、キーステムとキーホルダ部を無くし、キーボードを薄型にできるとともにキー操作性を良好にした図11乃至図13に示すキースイッチ装置を特願平3−330160号の願書に添付した明細書及び図面にて提案した(特願平3−330160号は、本願の原出願時において未公開である)。
【0004】
かかるキースイッチ装置の概略について説明する。図11から図13に示すように、特願平3−330160号の明細書に記載されるキースイッチ装置において、樹脂製のキートップ101は、その裏面に設けられた2つの係止部102、103(各係止部102、103はそれぞれ一対存在する)の係止孔104、係止溝105と、樹脂製のホルダ部材125の2つの係止部126、127(各係止部126、127はそれぞれ一対存在する)の係止溝128、係止孔129との間に配設された案内支持部材106(2つの樹脂製のリンク部材107、108からなり、リンク部材107の一端に設けられた係止ピン113、114が係止孔104に、他端に設けられた係止ピン115、116が係止溝128に係止されており、リンク部材108の一端に設けられた係止ピン123、124が係止溝105に、他端に設けられた係止ピン121、122が係止孔129に係止されている)により上下動案内される。
【0005】
そして、両リンク部材107、108の軸支部Aが、支持板132上に支持されるフレキシブル回路基板130上に載置されたラバースプリング131の頂部に配置され、キートップ101を押下することにより軸支部Aを介してラバースプリング131を座屈させてスイッチング動作を行うものである。
【0006】
ここに、リンク部材107は、図12に示すように、基部109の両端に2つの基端部110、111を一体に形成してなるものである。基部109の中央部の一側面からは軸112が延設されており、かかる軸112は後述する他方のリンク部材108に形成された軸孔120に軸支される。
また、基端部110の両端延部110Aの側面からは、係止ピン113、114が延設されており、この係止ピン113、114は前記したキートップ101の係止部102に穿設された係止孔104に係止されるものである。更に、基端部111は平面視でコ字状に形成されており、コ字状の両端延部111Aの側面からは前記と同様の係止ピン115、116が延設されている。かかる係止ピン115、116はホルダ部材125に形成された係止部126に係止される。
【0007】
また、リンク部材108は、図13に示すように、基部117の両端に2つの基端部118、119を一体に形成してなるものである。基部117の中央部には軸孔120が穿設され、この軸孔120には前記のようにリンク部材107の基部109に設けられた軸112が挿通される。また、基端部118は平面視コ字状に形成されており、コ字状の両端延部118Aからは係止ピン121、122が延設されている。この係止ピン121、122はホルダ部材125に形成された係止部127に係止される。
【0008】
更に、基端部119の両端延部119Aから前記と同様の係止ピン123、124が延設されており、かかる係止ピン123、124は前記したキートップ101の係止部103に形成された係止溝105に摺動可能に係止されるものである。
【0009】
前記したように案内支持部材106は、一方のリンク部材107の基部109に形成された軸112を他方のリンク部材108の基部117に穿設した軸孔120に挿通して構成されるものであり、両リンク部材107、108は軸112と軸孔117とよりなる軸支部Aを介して相互に回動可能となる。
【0010】
かかるキースイッチ装置によれば、キーボードの薄型化に対応しつつキー操作性の良好なキースイッチ装置が実現されるものである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記特願平3−330160号の明細書及び図面に記載されたキースイッチ装置では、ホルダ部材125と2つのリンク部材107、108からなる案内支持部材106との組立、及び、案内支持部材106とキートップ101との組立を簡便、且つ、容易に行うことができないという問題があった。
【0012】
即ち、前記キースイッチ装置を組み立てるには、先ず、リンク部材107とリンク部材108とを交差状に組み立てて案内支持部材106とした後、リンク部材108の基端部118における両係止ピン121、122をホルダ部材125の係止部127の係止孔129に圧入する。このとき、かかる係止ピン121、122の係止孔129に対する圧入は、端延部118A、各係止ピン121、122相互の樹脂弾性を利用して行われるが、各係止ピン121、122を係止孔129に位置決めするのは困難であり、それ故圧入作業が不安定となり易いものである。従って、この圧入作業はかなり煩雑なものであった。
【0013】
また、リンク部材107の基端部111における係止ピン115、116を係止部126の係止溝128に圧入する。かかる場合においても圧入作業は端延部111A、係止ピン115、116相互の樹脂弾性を利用して行われることから、前記と同様、煩雑な作業であることは否めないものであった。
【0014】
このように各リンク部材107、108とホルダ部材125の各係止部127、126との連結作業が終了した後、次に、リンク部材107における各係止ピン113、114を係止部102の係止孔104へ圧入する作業、及び、リンク部材108における各係止ピン123、124を係止部103の係止溝105へ圧入する作業が行われる。かかる両圧入作業も各係止ピン113、114、123、124と各係止部102、103との相互における樹脂弾性を利用して行われることから、煩雑な作業となることは前記作業と同じであった。
【0015】
以上のように、前記特願平3−330160号の明細書及び図面のキースイッチ装置においては、案内支持部材106の各リンク部材107、108とホルダ部材125、及び、キートップ101との各連結作業が全て各部材の樹脂弾性を利用して行われるものであり、また、各係止ピン115等を各係止溝128等の内部に位置決めしつつ係止する必要があることから、キースイッチ装置の組立作業全体に渡って煩雑な圧入作業を繰り返し行う必要があるという問題があった。
【0016】
本発明は前記従来技術の問題点を解消するためになされたものであり、キートップの上下動を案内するリンク部材とホルダ部材との組立が極めて容易であるとともに、キートップの操作性が良好なキースイッチ装置を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、本発明に係るキースイッチ装置は、キートップと、そのキートップの下方に配設され、回動係止部及び摺動係止部が形成されたホルダ部材と、キートップの下面及びホルダ部材の係止部に連結係止され、キートップの上下動を案内する第1リンク部材及び第2リンク部材とを備え、キートップの上下動に伴ってスイッチング動作を行うキースイッチ装置であって、回動係止部は、平面視においてホルダ部材に形成された2つの第1挟持壁と、第1挟持壁と対向する側にてホルダ部材に形成された1つの第2挟持壁とを有する挟持部から構成され、第1リンク部材の下側端部に形成された棒状の係止部材は、挟持部の弾性変形により圧入されるとともに、第2挟持壁の全長に渡って当接された状態で第1挟持壁と第2挟持壁との間で回動可能に係止されるものである。
【0018】
ここに、前記キースイッチ装置では、前記挟持部のうち、前記第1挟持壁はキートップの押下時に第2リンク部材の下側端部が摺動係止部にて摺動する摺動方向の側に形成され、前記第2挟持壁は、前記摺動方向とは反対の側に形成されていることが望ましい。
【0019】
【作用】
前記した本発明に係るキースイッチ装置を組み立てるには、第2リンク部材の下側端部がホルダ部材の摺動係止部に摺動可能に係止されるとともに、第1リンク部材の下側端部に形成された棒状の係止部材がホルダ部材の回動係止部に回動可能に係止される。
このとき、回動係止部は、平面視においてホルダ部材に形成された2つの第1挟持壁と、第1挟持壁と対向する側にてホルダ部材に形成された形成された1つの第2挟持壁とを有する挟持部から構成されていることから、第1リンク部材の下側端部に形成された棒状の係止部材を回動係止部に係止する際、挟持部の弾性変形により圧入され、第1リンク部材の下側端部の係止部材を第2挟持壁の全長に渡って当接された状態で第1挟持壁と第2挟持壁との間に容易に回動可能に係止することができる。
【0020】
前記のよう組み立てられたキースイッチ装置においてスイッチング動作を行う場合、キートップが押下される。すると、その押下に伴いキートップが第1リンク部材及び第2リンク部材により下方へ案内される。かかるキートップの押下動作に基づきスイッチング動作が行われるものである。
【0021】
【実施例】
以下、本発明を具体化した一実施例を図面を参照して説明する。図1乃至図8は、第1実施例を示している。図1は、第1実施例に係わるキースイッチの断面図であり、キートップ1はABS樹脂等の合成樹脂から成型されており、その上面にはアルファベット等の文字が印刷等により形成されている。また、キートップ1の裏面からは、2つの係止部2,3が下方に向けてキートップ1本体と一体に設けられている。尚、係止部2,3は紙面と垂直方向に各一対が存在し、図1中には、それぞれの一方のみを示している。
【0022】
係止部2には、後述する樹脂製の2つのリンク部材7,8のうち、第1リンク部材7の一端に形成された係止棒13を回動可能に係止する係止溝4が形成されている。また、係止部3には、第2リンク部材8の一端に形成された係止ピン23,24を水平方向に摺動可能に係止する係止溝5が形成されている。
【0023】
係止溝4は、キートップ1の裏面に並設される一対の挟持壁4b,4cにより形成され、その係止溝4には、係止溝4に連続すると共に下方に行くに従って徐々に拡がるように開放された係止案内部4aが形成されている。かかる係止案内部4aは、第1リンク部材7の係止棒13を係止溝4内にスナップインする際に係止溝4に向かって案内するものである。
更に、係止部3の係止溝5の下部位置には下方に向かって拡がる斜面を形成してなる係止案内部5aが設けられており、第2リンク部材8の係止ピン23,24を、かかる係止溝5内にスナップインする際に、係止溝5に向かって案内するものである。
【0024】
キートップ1の下方には、キートップ1の上下動を案内支持する案内支持部材6が配設されており、かかる案内支持部材6は2つのリンク部材7,8から構成されている。
【0025】
図2に示すように、第1リンク部材7は、平面視コ字状に形成されている。この第1リンク部材7は、一対の板状体9を有し、各板状体9の一端間には係止棒13が一体に形成されるとともに、その係止棒13の内側部分には、平面視で厚肉状に形成された補強部材13aが一体に形成されている。係止棒13と反対側の補強部材13aは、係止棒13と平行に延設されており、係止棒13と相まって(共に)H字状に形成されている。
このH字状に形成された係止棒13と補強部材13aとの両端部は、それぞれ一対の板状体9に連結されている。よって、係止棒13と補強部材13aとがH字状に形成されるために生じる2つの開放は、一対の板状体9によりそれぞれ閉鎖されて、係止棒13の剛性が向上されている。このように、係止棒13の剛性は、かかる補強部材13aにより向上されているので、係止棒13を係止案内部4aを介して、キートップ1の係止溝4内にスナップイン(圧入)することができる。
【0026】
また、各板状体9のそれぞれの他端には係止ピン15,16が形成されており、その各係止ピン15,16は、ホルダプレート25に形成された係止部26内に係止される。更に、各板状体9の互いに対向する側における中央部位置からは、一対の軸体12が相互に対向する位置に設けられている。これらの各軸体12は、第2リンク部材8に形成された軸孔20に軸支される。尚、第1リンク部材7の係止棒13と各係止ピン15,16とは、各軸体12からの距離が等しくなるように構成されている。
【0027】
図3に示すように、第2リンク部材8は一対の板状体17を有し、各板状体17の一端間には係止棒21が一体に形成されている。また、一対の板状体17と係止棒21との連結部分には、係止棒21の両端部をピン状に突出させるように、その内側部分に厚肉状の補強部材21aが一体に形成されている。この補強部材21aにより、ピン状にされた係止棒21の両端部の剛性が向上されて、かかる係止棒21をホルダプレート25の挟持部27に圧入することができる。
【0028】
また、各板状体17のそれぞれの他端には、係止ピン23,24が形成されている。各係止ピン23,24は、係止案内部5aを介して、キートップ1の係止部3の係止溝5内にスナップインされている。更に、各板状体17の外側において相互に対向する中央部位置には、それぞれ軸孔20が形成されており、これらの各軸孔20には、第1リンク部材7の各板状体9に形成された各軸体12が回転可能に嵌合されている。
これにより、両リンク部材7,8は、各軸体12及び軸孔20を介して、相互に交差して回転可能となるものであり、各軸体12と軸孔20とにより軸支部Aが形成される。尚、第2リンク部材8の係止棒21と各係止ピン23,24とは、軸孔20からの距離が等しくなるように構成されている。
【0029】
各板状体17における中央部位置の間には、後述するラバースプリング35の上面に載置されるとともに、キートップ1の押下時に各リンク部材7,8の相互の回動に伴って、そのラバースプリング35を下方に押下する押下部18が設けられている。押下部18は、キートップ1の押下に伴って、ラバースプリング35を押下してスイッチング動作を行うものである。
図6に示すように、押下部18のキートップ1側の面には、凹部18aが形成されている。この凹部18aにより、第2リンク部材8の部品使用量が減少されると共に、射出成形時における押下部18の樹脂のひけが防止される。
【0030】
案内支持部材6の下方には、樹脂製のホルダプレート25が配設されており、かかるホルダプレート25には、各スイッチ装置に対応して係止部26と挟持部27とが形成されている。なお、係止部26および挟持部27は、それぞれ各2つが設けられているが、図1には、各1つの係止部26及び挟持部27を示している。
【0031】
係止部26には、図1における右方を開放側とする摺動溝32が形成されており、かかる係止部26の摺動溝32には第1リンク部材7に形成された係止ピン15,16が挿嵌されている。なお、摺動溝26の反開放側には、上方が閉鎖された制限壁26aが立設されて、この制限壁26aにより、第1リンク部材7の係止ピン15,16の内側方向への摺動を規制している。
【0032】
挟持部27は第1案内部28と第2案内部29とにより形成され、これらの案内部により回動溝30が形成されるとともに、回動溝30内には、第2リンク部材8の一端に形成された係止棒21の両端部が挟持されている。なお、第1案内部28の外側には溝部28aが形成されており、この溝部28aにより、第1案内部28の弾性が大きくされている。
【0033】
これにより、案内支持部材6の第1リンク部材7の係止ピン15,16を摺動溝32の開放側からホルダプレート25上をスライドさせることによって、各係止ピン15,16が摺動溝32に挿嵌される。更に、第2リンク部材8の係止棒21をホルダプレート25の挟持部27に押し当てることにより、第1案内部28が弾性的に移動して、係止棒21が回動溝30内に挟持される。
【0034】
前記のように構成されるホルダプレート25の下方には、図6に示すように、各キースイッチに対応してスイッチ電極40aが形成されたフレキシブ回路基板40が配置されており、また、かかるスイッチ電極40aに対応して逆カップ状のラバースプリング35がフレキシブル回路基板40上に載置されている。
更に、回路基板40上のスイッチ電極40aに対向してラバースプリング35の内頂壁には、可動電極(図示せず)が固着されている。そして、ラバースプリング35の上面には、第2リンク部材8に形成された押下部18が配置されている。
【0035】
これにより、キートップ1の押下に伴って押下部18が下方に移動すると、ラバースプリング35が押下部18により押下され、一定の押下量を越えるとラバースプリング35が座屈して可動電極40aとフレキシブル回路基板40上のスイッチ電極40aとが当接し、スイッチング動作が行われる。
【0036】
また、フレキシブル回路基板40の下方にはスイッチ支持板42が配設されており、かかるスイッチ支持板42はその上方に配設された各回路基板40、ホルダプレート25を支持するものである。
【0037】
続いて、前記のように構成されるキースイッチの組立方法について、図4乃至図8に基いて説明する。
【0038】
まず始めに、スイッチ支持板42上にフレキシブル回路基板40、ホルダプレート25を載置するとともに、第1リンク部材7の各軸体12を第2リンク部材8の各軸孔20に嵌合して案内支持部材6を組み立てる。
【0039】
この後、各リンク部材7,8相互を回動させて図4に示す状態にし、第1リンク部材7の係止ピン15,16を係止部26における摺動溝32の開放側からホルダプレート25上で摺動溝32内に向かってスライドさせながら第2リンク部材8の係止棒21を挟持部27の案内部に配置する。この場合において、第1リンク部材7の係止ピン15、16を摺動溝32に係止するについては、各係止ピン15、16を単に摺動溝32内にスライド案内するだけでよく、各係止ピン15、16の樹脂弾性を利用する必要はないことから、各係止ピン15、16を摺動溝32に対して簡単に係止することができる。
このように、係止ピン15、16を摺動溝32内に摺動係止した状態で係止棒21と回動溝30とは、相互に対向して位置決めされており、従って、係止棒21と回動溝30とを特に位置決めする必要はない。この状態より係止棒21を回動溝30に圧入挟持させる。この時、挟持部27の第1案内部28は係止棒21の圧入に伴い、弾性的に移動するため係止棒21を簡単に挟持することができる。これにより、案内支持部材6とホルダプレート25との連結が終了する(図5及び図6参照)。
【0040】
次に、図6の状態に保持された第1リンク部材7の係止棒13とキートップ1の係止溝4とを対向させ、また、第2リンク部材8の係止ピン23,24とキートップ1の係止溝5とを対向させた後、ラバースプリング35の付勢力に抗してキートップ1を軽く下方に押下する(図6における下方方向)。この時、キートップ1の裏面に設けられた案内リブ50,51,52,53により、スムーズにキートップ1をリンク部材7,8に誘導することができる。
これにより、第1リンク部材7の係止棒13は係止案内部4aにより案内されつつ係止溝4内にスナップインされ、同時に第2リンク部材8の各係止ピン23,24は係止案内部5aにより案内されつつ係止溝5内にスナップインされる。かかる状態が図7及び図8に示されている。これによって、案内支持部材6とキートップ1との連結が終了する。
【0041】
前記の作業をもってキースイッチの組立が終了するが、各リンク部材7,8とホルダプレート25及びキートップ1との連結作業は、いずれも極めて簡単に行い得、これにより、キースイッチの組立作業を簡便化して組立時間の短縮を可能とするとともに、確実にキースイッチの組立がなされ得るものである。
【0042】
続いて、前記のように組み立てられたキースイッチの動作について説明する。
キートップ1を下方に押下すると、キートップ1が下方へ移動するのに伴って第1リンク部材7の係止部2の係止孔4内で反時計方向に回動するとともに、第2リンク部材8の係止ピン23,24は係止部3の係止溝5内で水平方向に摺動する。これと同時に、第2リンク部材8の係止棒21はホルダプレート25における挟持部27の回動溝30内で時計方向に回動するとともに、第1リンク部材7の係止ピン15,16は係止部26の摺動溝32内で水平方向に摺動する。
【0043】
この結果、リンク部材7及び8を相互に軸支する軸支部Aは下方に移動するとともにラバースプリング35を徐々に押下していき、その押下量が一定の限度を越えた時点でラバースプリング35は座屈される。これにより、ラバースプリング35内の可動電極(図示せず)がフレキシブル回路基板40上のスイッチ電極40aを短絡し、所定のスイッチンングが行われる。
【0044】
キートップ1の押下を解除すると、両リンク部材7,8の軸支部Aはラバースプリング35の弾性復元力により上方に押し上げられる。これに伴って第1リンク部材7の係止棒13、係止ピン15,16及び、第2リンク部材8の係止棒21、係止ピン23,24は前記した動作と逆の動作を行い、この結果、キートップ1はもとの位置に復帰する。
【0045】
ここにおいて、各係止棒13,21は水平方向には移動することなく、それぞれ係止溝4及び、回動溝30で回動するのみであるので、キートップ1は水平方向に移動されることなくキートップ1のキー面の水平状態を保持したまま上下動されるものである。
【0046】
尚、本発明は以上詳述した第1実施例に限定されるものではなく、その主旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。例えば、本実施例における第2リンク部材8の係止棒21は、各板状体17に形成される係止ピンであってもよい。また、ホルダプレートに形成される挟持部27は、第1案内部28と第2案内部29との樹脂特有の弾性のみで、係止棒21を挟持するようにしてもよい。
【0047】
次に、図9乃至図10を参照して第2実施例について説明する。尚、この第2実施例において、第1実施例と同一部材には同一番号を付し、その説明は省略する。
【0048】
第2実施例においては第1実施例における挟持部27の構成が異なっている。第2実施例における挟持部61は、図9及び図10に示すように、ホルダプレート25において、平面視でキースイッチ装置が配置される略矩形状領域の一辺に渡ってホルダプレート25から立設された壁部62と、その壁部62の両端近傍においてホルダプレート25に立設され、壁部62のラバースプリング35に対向する面と所定の間隔を開けて相対する弾性片63とから形成される。壁部62の外側には溝部62aが形成され、壁部62の弾性を大きくしている。
また、弾性片63はラバースプリング35に向かって弾性変形可能に設けられており、図9に示すように、その上端に壁部62に向かって突出する突起63aが形成されている。
【0049】
第2実施例においては、図10に示すように、両係止部26の内側近傍には、係止部26と所定の間隔を開けてたわみ防止壁64がホルダプレート25から立設されている。このたわみ防止壁64は、第1リンク部材7が内側に撓んで係止ピン15,16が係止部26から外れることを防止している。
【0050】
以上のように形成されている第2実施例のキースイッチの組立方法は、第1実施例のキースイッチと同様に、スイッチ支持板42上にフレキシブル回路基板40、ホルダプレート25を載置するとともに、第1リンク部材7の各軸体12を第2リンク部材8の各軸孔20に嵌合して案内支持部材6を組み立てる。
【0051】
この後、各リンク部材7,8相互を回動させて、第1リンク部材7の係止ピン15,16を係止部26における摺動溝32の開放側からホルダプレート25上で摺動溝32内に向かってスライドさせながら第2リンク部材8の係止棒21を挟持部61に配置させる。この状態において、たわみ防止壁64により第1リンク部材7の板状体9の内側に向かう撓み量が規制され、係止ピン15,16が係止部26から外れることが防止される。
また、第1リンク部材7の係止ピン15、16を摺動溝32に係止するについては、各係止ピン15、16を単に摺動溝32内にスライド案内するだけでよく、各係止ピン15、16の樹脂弾性を利用する必要はないことから、各係止ピン15、16を摺動溝32に対して簡単に係止することができる。このように、係止ピン15、16を摺動溝32内に摺動係止した状態で係止棒21と挟持部61とは、相互に対向して位置決めされており、従って、係止棒21と挟持部61とを特に位置決めする必要はない。
【0052】
この状態から係止棒21を挟持部61に圧入する。この圧入に伴って弾性片63がラバースプリング35に向かって弾性変形し、係止棒21が挟持部61内に挟持される。この状態で、壁部62により係止棒21の移動が規制され、また、弾性片63上端の突起63aにより係止棒21が挟持部61から外れることが防止される。この圧入により案内支持部材6とホルダプレート25との連結が終了する。
このように、第1リンク部材7の係止ピン15、16を係止部26の摺動溝32に係止した状態で第2リンク部材8の係止棒21を挟持部61に係止する際、挟持部61の一部を構成する弾性片63が弾性変形して第2リンク部材8の係止棒21を2つの弾性片63と壁部62との間に容易に挟持して回動可能に係止することができる。
【0053】
次に、第1リンク部材7の係止棒13とキートップ1の係止溝4とを対向させ、また、第2リンク部材8の係止ピン23,24とキートップ1の係止溝5とを対向させた後、キートップ1を軽く下方に押下する。この時、キートップ1の裏面に設けられた案内リブ50,51,52,53により、スムーズにキートップ1をリンク部材7,8に誘導することができる。
これにより、第1リンク部材7の係止棒13は係止案内部4aにより案内されつつ係止溝4内にスナップインされ、同時に第2リンク部材8の各係止ピン23,24は係止案内部5aにより案内されつつ係止溝5内にスナップインされる。これによって、案内支持部材6とキートップ1との連結が終了する。
かかる後、キートップ1の押下を解除すれば、キートップ1はラバースプリング35の弾性力に基づき上方へ付勢され、図1に示すキートップ1の非押下位置に保持される。
【0054】
前記の作業をもって第2実施例のキースイッチの組立が終了するが、第1実施例のキースイッチと同様に、各リンク部材7,8とホルダプレート25及びキートップ1との連結作業は、いずれも極めて簡単に行い得、これにより、キースイッチの組立作業を簡便化して組立時間の短縮を可能とするとともに、確実にキースイッチの組立がなされ得るものである。
【0055】
次に、組み立てられたキースイッチのキートップ1を交換等により外す場合、該キートップ1を引き上げると、両リンク部材7,8の各係止ピン15,16,23,24とキートップ1及びボルダプレート25の各係止部2,3,26、挟持部61に負荷がかかる。ホルダプレート25の挟持部61においては、第1リンク部材7の係止棒21に図9における右上乃至上方向に力が加わるが、係止棒21は弾性片63により右側及び上側を保持されているので、係止棒21が挟持部61から外れることはない。
【0056】
これに対し、キートップ1の係止溝4では、第1リンク部材7の係止棒13に図1における右下乃至下方向に力が加わり、係止案内部4aの弾性変形して係止棒13が係止溝4から外れる。
【0057】
また、キートップ1を引き上げると、ホルダプレート25の係止部26においては、第1リンク部材7の係止ピン15,16に図1における左上乃至上方向に力が加わる。この時、第1リンク部材7の板状体9が弾性的に内側に撓むが、板状体9はたわみ防止壁64により内側に向かう移動が規制される。従って、板状体9の撓み量は係止ピン15,16が摺動溝32から外れるほど大きくならない。
【0058】
これに対し、キートップ1の係止部3では、第2リンク部材8の係止ピン23,24に図1における左下乃至下方向に力が加わり、第2リンク部材8の板状体17が弾性的に内側に撓み、係止ピン23,24が係止部3の摺動溝5から外れる。この結果、キートップ1のみが案内支持部材6から外れ、キートップ1を交換することができる。この時、案内支持部材6がホルダプレート25から外れることはない。
【0059】
【発明の効果】
以上説明した通り本発明に係るキースイッチ装置によれば、第1リンク部材の下側端部を回動可能に係止する回動係止部は、平面視においてホルダ部材に形成された2つの第1挟持壁と、第1挟持壁と対向する側にてホルダ部材に形成された1つの第2挟持壁とを有する挟持部から構成されており、第1リンク部材の下側端部に形成された棒状の係止部材が挟持部の弾性変形により圧入され、第2挟持壁の全長に渡って当接された状態で第1挟持壁と第2挟持壁との間に容易に回動可能に係止され得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例のキースイッチを示す縦断面図である。
【図2】第1実施例のキースイッチに用いられる第1リンク部材の構成を示す平面図である。
【図3】第1実施例のキースイッチに用いられる第2リンク部材の構成を示す平面図である。
【図4】第1実施例のキースイッチに用いられる案内支持部材をホルダプレートに連結する前の状態を示す説明図である。
【図5】第1実施例のキースイッチの組立時に案内支持部材をホルダプレートに連結した後の状態を示す説明図である。
【図6】第1実施例のキースイッチの組立時に案内支持部材上にキートップを対向させた状態を示す説明図である。
【図7】第1実施例のキースイッチに用いられる案内支持部材にキートップをスナップインした状態を示す説明図である。
【図8】第1実施例のキースイッチの構成を示す横断面図である。
【図9】第2実施例のキースイッチの構成を示す縦断面図である。
【図10】第2実施例のホルダプレート及び第1リンク部材の構成を示す平面図である。
【図11】従来のキースイッチの構成を具体化した一実施例を示す縦断面図である。
【図12】従来のキースイッチに用いられる第1リンク部材の構成を示す平面図である。
【図13】従来のキースイッチに用いられる第2リンク部材の構成を示す平面図である。
【符号の説明】
1 キートップ
2 係止部
3 係止部
7 第1リンク部材
8 第2リンク部材
13 係止棒
15、16 係止ピン
21 係止棒
23、24 係止ピン
25 ホルダプレート
26 係止部
35 ラバースプリング
40 フレキシブル回路基板
40a スイッチ電極
61 挟持部
62 壁部
63 弾性片

Claims (2)

  1. キートップと、
    そのキートップの下方に配設され、回動係止部及び摺動係止部が形成されたホルダ部材と、
    前記キートップの下面及び前記ホルダ部材の係止部に連結係止され、キートップの上下動を案内する第1リンク部材及び第2リンク部材とを備え、
    前記キートップの上下動に伴ってスイッチング動作を行うキースイッチ装置であって、
    前記回動係止部は、平面視においてホルダ部材に形成された2つの第1挟持壁と、第1挟持壁と対向する側にてホルダ部材に形成された1つの第2挟持壁とを有する挟持部から構成され、
    前記第1リンク部材の下側端部に形成された棒状の係止部材は、前記挟持部の弾性変形により圧入されるとともに、第2挟持壁の全長に渡って当接された状態で前記第1挟持壁と第2挟持壁との間で回動可能に係止されることを特徴とするキースイッチ装置。
  2. 前記挟持部のうち、前記第1挟持壁は、前記キートップの押下時に第2リンク部材の下側端部が前記摺動係止部にて摺動する摺動方向の側に形成され、前記第2挟持壁は、前記摺動方向とは反対の側に形成されていることを特徴とする請求項1記載のキースイッチ装置。
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