JP3598849B2 - 電子制御式機械時計およびその制御方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゼンマイ等の機械的エネルギ源の機械的エネルギを発電機で電気的エネルギに変換し、その電気的エネルギにより回転制御装置を作動させて発電機の回転周期を制御することにより、輪列に固定される指針を正確に駆動する電子制御式機械時計およびその制御方法に関する。
【0002】
【背景技術】
ゼンマイが開放する時の機械的エネルギを発電機で電気エネルギに変換し、その電気的エネルギにより回転制御装置を作動させて発電機のコイルに流れる電流値を制御することにより、輪列に固定される指針を正確に駆動して正確に時刻を表示する電子制御式機械時計として、特公平7−119812号公報や特開平8−50186号公報に記載されたものが知られている。
【0003】
特公平7−119812号公報に記載されたものは、ロータが1回転する間つまり基準信号の周期毎に、ブレーキをオフしてロータの回転速度を高めて発電量を増やす角度範囲と、ブレーキを掛けて低速で回す角度範囲とを設け、前記回転速度が高い間で発電電力を向上させつつ、ブレーキ時の発電電力の低下を補うようにして調速していた。
【0004】
また、特開平8−50186号公報に記載されたものは、基準パルスとロータの回転に伴い検出される測定パルスとをカウントし、この基準パルスの数と測定パルスの数とを比較し、基準パルスの数が測定パルスの数よりも小さい第1の状態では、制御手段により前記測定パルスに応答してパルス幅が設定されたブレーキ信号を発生してブレーキ制御を行っていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特公平7−119812号公報に記載したものは、ロータが1回転する間で、回転速度が高い状態とブレーキが掛けられてほぼ停止状態に近い程度の低速状態とに切り替えなければならず、現実的にはそのような急激な速度変化は実現が難しいという問題がある。特に、ロータには通常フライホイールを設けて回転安定性を高めているため、急激な速度変化を行うことは困難であるという問題がある。
【0006】
さらに、ロータが1回転する間つまり基準信号毎にブレーキのオン制御とオフ制御とが必ず行われているため、特に発電機の立ち上がり時や制御が大きく外れた場合等に、各基準信号毎のロータの回転制御量をそれほど大きくできず、正常な制御状態に移行するまでに時間がかかり、応答性が低いという問題があった。
【0007】
また、特開平8−50186号公報に記載したものも、測定パルスに応答して発生するブレーキ信号はそのパルス幅が一定のため、制御が大きく外れた場合などにも各基準信号毎のブレーキ量は一定のままであり、正常な制御状態に移行するまでに時間がかかり、応答性が低いという問題があった。
【0008】
その上、基準パルス、測定パルスのカウントおよび比較によって第1、第2の状態を検出する回路のほかに、その測定パルスに応答してパルス幅が設定されたブレーキ信号を発生する制御手段を別途設ける必要があり、構成が複雑になってコストが高いという問題もあった。
【0009】
さらに、ブレーキを掛けた部分では発電電力が低下するため、ブレーキトルクを増加させながら発電電力の低下を抑えることに限界があった。
【0010】
本発明の目的は、調速制御の応答性が速くかつコストも低減できるとともに、発電電力の低下を抑えることができる電子制御式機械時計を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の電子制御式機械時計は、機械的エネルギ源と、輪列を介して連結される前記機械的エネルギ源によって駆動されて誘起電力を発生して電気的エネルギを供給する発電機と、前記輪列に結合された指針と、前記電気的エネルギにより駆動されて前記発電機の回転周期を制御する回転制御装置と、を備える電子制御式機械時計において、前記回転制御装置は、前記発電機の両端を短絡可能なスイッチと、前記発電機の起電圧波形と時間標準となる基準信号波形との位相を比較する比較回路と、デューティ比が異なる2種類以上のチョッパ信号を発生可能とされ、かつこれらのチョッパ信号の中から前記比較回路からの信号に基づいて設定されたデューティ比のチョッパ信号を前記基準信号の1周期の期間に渡って前記スイッチに加えて前記発電機をチョッパリング制御可能な制動制御回路と、を有することを前提とするものである。
【0012】
本発明の電子制御式機械時計は、指針及び発電機をゼンマイで駆動し、発電機に回転制御装置によりブレーキをかけることでロータつまりは指針の回転数を調速する。
【0013】
この際、発電機の回転制御(ブレーキ制御)は、発電機のコイル両端を短絡可能なスイッチをオン・オフしてチョッパリングすることで行っている。チョッパリングすることで、スイッチをオンした時には、発電機にショートブレーキが掛かり、かつ発電機のコイルにエネルギーがたまる。一方で、スイッチをオフすると、発電機が動作し、前記コイルにたまっていたエネルギー分が含まれるため、起電圧が高まる。このため、発電機をチョッパリングで制御すると、ブレーキ時の発電電力の低下を、スイッチオフ時の起電圧の高まり分で補填でき、発電電力の低下を抑えて発電電力を一定以上に保ちながら制動トルクを増加でき、持続時間の長い電子制御式機械時計を構成することができる。
【0014】
また、本発明では、デューティ比が異なる2種類以上のチョッパ信号の中から、比較回路からの信号に基づいて設定されたデューティ比のチョッパ信号を印加することで、つまり起電圧波形の位相が基準信号波形の位相よりも進んでいる場合には、前記基準信号の1周期の期間に渡ってブレーキ量が大きくなる(デューティ比が大きくスイッチをオンしている期間が長い)チョッパ信号を前記スイッチに加えて発電機の制動トルクを増加する。一方、起電圧波形の位相が基準信号波形の位相よりも遅れている場合には、前記基準信号の1周期の期間に渡ってブレーキ量が小さくなる(デューティ比が小さくスイッチをオンしている期間が短い)チョッパ信号を前記スイッチに加えて発電機の制動トルクを減少する。このように各基準信号の1周期の期間に渡って、その直前の各波形の位相差に基づいて設定されたデューティ比のチョッパ信号をスイッチに印加しても、発電機のロータは、慣性板(フライホイール)を付けたり、ロータ自身に質量を持たせることで、回転安定性を確保しているため、瞬時にロータの回転速度が高速になったり、低速(あるいは停止)になることはなく、ロータの回転速度を問題なく調速することができる。
【0015】
このため、回転速度が基準信号よりも速い状態が続いている場合には、つまりゼンマイなどの機械的エネルギ源のトルクが大きくて発電機の回転が進んでいる場合には、回転速度と基準信号の差がなくなるまでブレーキをかけ続けることになるため、迅速に正常な回転速度に調速することができ、応答性の早い制御を行うことができる。
【0016】
また、起電圧波形と基準信号波形との位相を比較するだけでブレーキ制御を行っているので、回転制御装置の構成が簡略化されてコストも低減できる。その上、ブレーキ制御は、基準信号の1周期に渡って同じデューティ比のチョッパ信号を用いてブレーキ制御を行っており、従来のように基準周期の1周期の間にブレーキを掛ける制御と解除する制御の両方を行う場合に比べて、安定した制御を行うことができ、回転制御装置の構成もより一層簡略化できる。
【0017】
なお、前記回転制御装置によって前記スイッチを断続するチョッパリング周波数は、発電機のロータが設定速度で発生する起電圧波形の5倍以上の周波数であることが好ましく、起電圧波形の5倍〜100倍であることがより好ましい。
【0018】
チョッパリング周波数が起電圧波形の5倍よりも小さいと、起電圧を高める効果が小さくなるため、起電圧波形の5倍以上であることが好ましい。
【0019】
また、チョッパリング周波数が起電圧波形の100倍以上になると、チョッパリングするためにICの消費電力が増大し、発電する電力が多くなるため、チョッパリング周波数は起電圧波形の100倍以下であることが好ましい。さらに、チョッパリング周波数は起電圧波形の5倍〜100倍であれば、デューティーサイクルの変化率に対するトルク変化率が一定に近くなり、制御も容易になる。但し、用途や制御方式によっては、チョッパリング周波数を5倍以下に設定したり、100倍以上に設定してもよい。
【0020】
請求項2に記載の電子制御式機械時計は、前記比較回路を、前記基準信号波形の位相に対して起電圧波形の位相が進んでいるか、遅れているかを検出するとともに、少なくとも前記基準信号波形の位相に対して起電圧波形の位相が進んでいる場合には、その進み量を検出可能に構成し、前記制動制御回路を、少なくとも前記基準信号波形の位相に対して起電圧波形の位相が進んでいる場合には、その進み量に応じたデューティ比のチョッパ信号を前記スイッチに加えるように構成したことを基本とするものである。
【0021】
比較回路で、基準信号波形の位相に対して起電圧波形の位相が進んでいるか遅れているかだけではなく、その進み量を検出し、進み量に応じたデューティ比のチョッパ信号を前記スイッチに加えることで、進み量に応じたブレーキ量を設定することができ、発電機の回転速度を効果的に制御することができる。
【0022】
この際、前記制動制御回路は、前記基準信号波形の位相に対する起電圧波形の位相の進み量が大きくなるに従ってデューティ比が大きなチョッパ信号、つまり基準信号の1周期の期間において、スイッチを接続するレベルの信号(例えばスイッチがNchトランジスタであって、そのゲートにチョッパ信号を入力する場合にはHレベルの信号)の割合が大きなチョッパ信号を前記スイッチに加えればよい。
【0023】
請求項に記載の電子制御式機械時計は、機械的エネルギ源と、輪列を介して連結される前記機械的エネルギ源によって駆動されて誘起電力を発生して電気的エネルギを供給する発電機と、前記輪列に結合された指針と、前記電気的エネルギにより駆動されて前記発電機の回転周期を制御する回転制御装置と、を備える電子制御式機械時計において、前記回転制御装置は、前記発電機の両端を短絡可能なスイッチと、前記発電機の起電圧波形と時間標準となる基準信号波形の位相を比較する比較回路と、周波数が異なる2種類以上のチョッパ信号を発生可能とされ、かつこれらのチョッパ信号の中から前記比較回路からの信号に基づいて設定された周波数のチョッパ信号を前記基準信号の1周期の期間に渡って前記スイッチに加えて前記発電機をチョッパリング制御可能な制動制御回路と、を有することを前提とするものである。
【0024】
スイッチに印加するチョッパ信号の周波数が高い場合には、駆動トルク(制動トルク)が低くなってブレーキ効果が小さくなり、かつ充電電圧(発電電圧)は高くなる。一方、周波数の低いチョッパ信号を印加すると、駆動トルクが高くなってブレーキ効果が大きくなり、かつ充電電圧は周波数が高い場合に比べて低くなる。但し、チョッパリングを行っているため、単にブレーキ制御のみを行った場合に比べれば充電電圧は高くなる。
【0025】
従って、起電圧波形の位相が基準信号波形の位相よりも進んでいてブレーキを掛ける必要がある場合には、周波数の低いチョッパ信号を印加することで発電機の制動トルクを増加できるとともに、チョッパリングによって発電電力の低下を抑えることができる。
【0026】
一方、起電圧波形の位相が基準信号波形の位相よりも遅れている場合には、前記チョッパ信号よりも周波数の高いチョッパ信号をスイッチに印加することで発電機の制動トルクを非常に小さくでき、十分な発電電力を得ることができる。
【0027】
このように周波数が低いチョッパ信号を用いてブレーキを掛けたり、周波数が高いチョッパ信号を用いてブレーキを解除することで、発電電力の低下を抑えつつブレーキトルクを増加でき、持続時間の長い電子制御式機械時計を構成することができる。また、基準周期の1周期に渡って設定されたチョッパ信号をスイッチに印加しているので、周波数の低いチョッパ信号をかけ続けたり、周波数の高いチョッパ信号をかけ続けることができるので、迅速に正常な回転速度に調速することができ、応答性の早い制御を行うことができる。
【0028】
また、起電圧波形と基準信号波形との位相を比較するだけでブレーキ制御を行っているので、回転制御装置の構成が簡略化されてコストも低減できる。その上、ブレーキ制御は、基準信号の1周期に渡って同じ周波数のチョッパ信号を用いてブレーキ制御を行っており、従来のように基準周期の1周期の間にブレーキを掛ける制御と解除する制御の両方を行う場合に比べて、安定した制御を行うことができ、回転制御装置の構成もより一層簡略化できる。
【0029】
請求項に記載の電子制御式機械時計は、前記比較回路を、前記基準信号波形の位相に対して起電圧波形の位相が進んでいるか、遅れているかを検出するとともに、少なくとも前記基準信号波形の位相に対して起電圧波形の位相が進んでいる場合には、その進み量を検出可能に構成し、前記制動制御回路を、少なくとも前記基準信号波形の位相に対して起電圧波形の位相が進んでいる場合には、その進み量に応じた周波数のチョッパ信号を前記スイッチに加えるように構成したことを基本とするものである。
【0030】
比較回路で、基準信号波形の位相に対して起電圧波形の位相が進んでいるか遅れているかだけではなく、その進み量を検出し、進み量に応じた周波数のチョッパ信号を前記スイッチに加えることで、進み量に応じたブレーキ量を設定することができ、発電機の回転速度を効果的に制御することができる。
【0031】
この際、前記制動制御回路は、前記基準信号波形の位相に対する起電圧波形の位相の進み量が大きくなるに従って周波数が低いチョッパ信号を前記スイッチに加えればよい。
【0032】
さらに、周波数だけではなくデューティ比も異なるチョッパ信号を用いてチョッパリング制御してもよい。特に、制動トルクを高める場合には、周波数が低くデューティ比が高いチョッパ信号を用い、制動トルクを小さくする場合には、周波数が高くデューティ比が小さいチョッパ信号を用いれば、効率的にブレーキ制御を行うことができる。
【0033】
本発明の電子制御式機械時計の制御方法は、機械的エネルギ源と、輪列を介して連結される前記機械的エネルギ源によって駆動されて誘起電力を発生して電気的エネルギを供給する発電機と、前記輪列に結合された指針と、前記電気的エネルギにより駆動されて前記発電機の回転周期を制御する回転制御手段とを備える電子制御式機械時計の制御方法において、前記発電機の起電圧波形と時間標準となる基準信号波形との位相を比較し、前記発電機の各端子を短絡可能なスイッチに、デューティ比が異なる2種類以上のチョッパ信号の中から前記位相差に応じて設定されたデューティ比のチョッパ信号を加えてスイッチを断続し、発電機をチョッパリングによりブレーキ制御し、その際、前記スイッチに加えられるチョッパ信号は、前記基準信号波形の位相に対する起電圧波形の位相の進み量が大きくなるに従ってデューティ比が大きなチョッパ信号であり、そのチョッパリング周波数は、発電機のロータが設定速度で発生する起電圧波形の5倍〜100倍であることを特徴とするものである。
【0034】
また、本発明の他の電子制御式機械時計の制御方法は、機械的エネルギ源と、輪列を介して連結される前記機械的エネルギ源によって駆動されて誘起電力を発生して電気的エネルギを供給する発電機と、前記輪列に結合された指針と、前記電気的エネルギにより駆動されて前記発電機の回転周期を制御する回転制御手段とを備える電子制御式機械時計の制御方法において、前記発電機の起電圧波形と時間標準となる基準信号波形との位相を比較し、前記発電機の各端子を短絡可能なスイッチに、周波数が異なる2種類以上のチョッパ信号の中から前記位相差に応じて設定された周波数のチョッパ信号を加えてスイッチを断続し、発電機をチョッパリングによりブレーキ制御し、その際、前記スイッチに加えられるチョッパ信号は、前記基準信号波形の位相に対する起電圧波形の位相の進み量が大きくなるに従って周波数が低いチョッパ信号であることを特徴とするものである。
【0035】
この際、前記周波数が異なる2種類以上のチョッパ信号は、デューティ比も異なるものでもよい。
【0036】
これらの制御方法によれば、発電機の回転制御(ブレーキ制御)を、発電機のコイル両端を短絡可能なスイッチをオン、オフしてチョッパリングすることで行っているので、発電電力の低下を抑えながら制動トルクを増加でき、持続時間の長い電子制御式機械時計にすることができる。また、基準周期の1周期に渡って設定されたチョッパ信号をスイッチに印加しているので、迅速に正常な回転速度に調速することができ、応答性の早い制御を行うことができるとともに、従来のように基準周期の1周期の間にブレーキを掛ける制御と解除する制御の両方を行う場合に比べて、安定した制御を行うことができ、回転制御装置の構成も簡略化できる。さらに、起電圧波形と基準信号波形との位相を比較するだけでブレーキ制御を行っているので、回転制御装置の構成がより一層簡略化されてコストも低減できる。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0038】
図1は、本発明の第1実施形態の電子制御式機械時計の要部を示す平面図であり、図2及び図3はその断面図である。
【0039】
電子制御式機械時計は、機械的エネルギ源であるゼンマイ1a、香箱歯車1b、香箱真1c及び香箱蓋1dからなる香箱車1を備えている。ゼンマイ1aは、外端が香箱歯車1b、内端が香箱真1cに固定される。香箱真1cは、地板2と輪列受3に支持され、角穴車4と一体で回転するように角穴ネジ5により固定されている。
【0040】
角穴車4は、時計方向には回転するが反時計方向には回転しないように、こはぜ6と噛み合っている。なお、角穴車4を時計方向に回転しゼンマイ1aを巻く方法は、機械時計の自動巻または手巻機構と同様であるため、説明を省略する。
【0041】
香箱歯車1bの回転は、7倍に増速されて二番車7へ、順次6.4倍増速されて三番車8へ、9.375 倍増速されて四番車9へ、3倍増速されて五番車10へ、10倍増速されて六番車11へ、10倍増速されてロータ12へと、輪列を介して合計126,000倍に増速されている。
【0042】
二番車7には筒かな7aが、筒かな7aには分針13が、四番車9には秒針14がそれぞれ固定されている。従って、二番車7を1rphで、四番車9を1rpmで回転させるためには、ロータ12は5rpsで回転するように制御すればよい。このときの香箱歯車1bは、1/7rphとなる。
【0043】
この電子制御式機械時計は、ロータ12、ステータ15、コイルブロック16から構成される発電機20を備えている。ロータ12は、ロータ磁石12a、ロータかな12b、ロータ慣性円板12cから構成される。ロータ慣性円板12cは、香箱車1からの駆動トルク変動に対しロータ12の回転数変動を少なくするためのものである。ステータ15は、ステータ体15aに4万ターンのステータコイル15bを巻線したものである。
【0044】
コイルブロック16は、磁心16aに11万ターンのコイル16bを巻線したものである。ここで、ステータ体15aと磁心16aはPCパーマロイ等で構成されている。また、ステータコイル15bとコイル16bは、各々の発電電圧を加えた出力電圧がでるように直列に接続されている。
【0045】
次に、電子制御式機械時計の制御回路について、図4〜9を参照して説明する。
【0046】
図4には、本実施形態の機能を示すブロック図が示されている。
【0047】
発電機20からの交流出力は、昇圧整流、全波整流、半波整流、トランジスタ整流等からなる整流回路21を通して昇圧、整流される。整流回路21には、回転制御装置等の制御用ICや水晶振動子等の負荷22が接続されている。なお、図4では説明の便宜上、IC内に構成される各機能回路を負荷22とは別に記載している。
【0048】
発電機20には、制動抵抗23Aおよびスイッチとして機能するNchやPchのトランジスタ23Bが直列に接続されて構成されたブレーキ回路23が接続されている。この発電機20およびブレーキ回路23によってVCO(電圧制御発振器)25が構成されている。なお、ブレーキ回路23には、制動抵抗23Aのほかにダイオードを適宜挿入してもよい。
【0049】
このVCO25には、回転制御装置50が接続されている。
【0050】
回転制御装置50は、発振回路51、分周回路52、ロータ12の回転検出回路53、位相比較回路(PC)54、ローパスフィルタ(低域フィルタ:LPF)55、制動制御回路であるブレーキ制御回路56によって構成されている。
【0051】
発振回路51は水晶振動子51Aによる発振信号を出力し、この発振信号は分周回路52によってある一定周期まで分周される。この分周信号は、例えば10Hzの時間標準信号(基準信号波形)fsとして位相比較回路54に出力されている。なお、水晶振動子51Aの代わりに各種の基準標準振動源等を用いて基準信号を作成してもよい。
【0052】
回転検出回路53は、VCO25の出力波形を発電機20側に影響しないようにハイインピーダンスで受け、この出力を矩形波パルスfrに波形処理して位相比較回路54に出力する。
【0053】
位相比較回路54は、分周回路52からの時間標準信号(基準信号波形)fsと、回転検出回路53からの矩形波パルス(起電圧波形)frとの位相を比較し、その差信号を出力する。この差信号はLPF55で高周波成分が除去された後、ブレーキ制御回路56に入力される。
【0054】
ブレーキ制御回路56は、この信号に基づいてブレーキ回路23の制御信号をVCO25に入力する。これにより位相同期制御(PLL制御)が実現されている。
【0055】
次に、本実施形態のより具体的な構成を図5に示す。
【0056】
図に示すように、本実施形態では、ブレーキ回路23としてチョッパ充電回路60を用いている。チョッパ充電回路60は、図6に示すように、発電機20のコイル15b,16bに接続された2つのコンパレータ61,62と、これらのコンパレータ61,62に比較基準電圧Vref を供給する電源63と、コンパレータ61,62の出力と、前記ブレーキ制御回路56側からのクロック出力(制御信号)との論理和を出力するオア回路64,65と、前記コイル15b,16bに接続されるとともに、オア回路64,65の出力がゲートに接続されてスイッチとして機能する電界効果型トランジスタ66,67(FET)と、前記コイル15b,16bに接続されて前記整流回路21に設けられたコンデンサ21aに接続されたダイオード68,69とを備えて構成されている。なお、FET66,67には寄生ダイオード66A,67Aが設けられている。
【0057】
また、コンデンサ21aの+側(第1の電源ライン側)は電圧VDDとされ、−側(第2の電源ライン側)はVTKN(V/TANK/Negativ:電池の−側)とされている。同様に、電源63の−側やトランジスタ66,67のソース側もVTKN(第2の電源ライン側)とされている。従って、このチョッパ充電回路60では、トランジスタ66,67を制御することで、発電機20を一旦VTKN側に短絡させ、開放時にVDDの電圧以上になるようにチョッパ昇圧している。このため、コンパレータ61,62は、昇圧された起電圧と、VDDおよびVTKN間の任意の設定電圧Vref とを比較するようになっている。
【0058】
チョッパ充電回路60において、各コンパレータ61,62の出力は、波形整形回路70にも出力されている。従って、チョッパ充電回路60および波形整形回路70によって回転検出回路53が構成されている。
【0059】
なお、波形整形回路70としては、図7に示すようなコンデンサ72および抵抗73で構成された単安定マルチバイブレータ(ワンショットタイプ)71や、図8に示すようなカウンタ74、ラッチ75を用いたタイプのものなどが利用できる。
【0060】
位相比較回路54は、アナログ位相比較器、ディジタル位相比較器等で構成され、例えば、CMOSICを用いたCMOSタイプ位相比較器等が利用できる。そして、分周回路52からの10Hzの時間標準信号fsと、波形整形回路70からの矩形波パルスfrとの位相差を検出して差信号を出力している。
【0061】
この差信号は、チャージポンプ(CP)80に入力されて電圧レベルに変換され、抵抗82およびコンデンサ83からなるループフィルタ81によって高周波成分が除去される。従って、チャージポンプ80およびループフィルタ81によって、前記LPF55が構成されている。
【0062】
ループフィルタ81から出力されるレベル信号aは、コンパレータ90に入力される。このコンパレータ90には、発振回路51からの信号を50Hz〜10KHzに分周する分周回路91および積分器等を用いた三角波発生回路92を通して変換された三角波信号bが入力されている。そして、コンパレータ90は、ループフィルタ81からのレベル信号aと三角波信号bとから矩形波パルス信号cを出力している。従って、コンパレータ90、分周回路91、三角波発生回路92により、前記ブレーキ制御回路56が構成されている。
【0063】
そして、コンパレータ90から出力された矩形波パルス信号cは、前述のとおり、チョッパ充電回路60にクロック信号CLKとして入力されている。
【0064】
次に、本実施形態の動作について、図9,10の波形図および図11のフローチャートをも参照して説明する。
【0065】
ゼンマイ1aにより発電機20のロータ12が回転すると、各コイル15b,16bからは磁束の変化に応じた交流波形が出力される。この波形は、各コンパレータ61,62に入力される。そして、各コンパレータ61,62においては、電源63からの基準電圧Vref と比較される。このコンパレータ61,62での比較によりトランジスタ66,67をONさせる極性のタイミングを検出している。
【0066】
すなわち、コンデンサ21aへの昇圧充電および発電機20のチョッパブレーキ動作を行うには、クロック信号CLKをトランジスタ66,67のゲートに入力するだけでも行える。しかし、クロック信号だけで制御した場合には、クロック信号がHiになると、各トランジスタ66,67が同時にONして短絡し、クロック信号がLoになると、各寄生ダイオード66A,67Aの一方とダイオード68,69の一方とを通過してコンデンサ21aに充電する。具体的には、AG1が+の時は、寄生ダイオード67Aからコイル15b,16bを通してダイオード68の経路で充電し、AG2が+の時は、寄生ダイオード66Aからコイル15b,16bを通してダイオード69の経路で充電する。
【0067】
この場合、充電経路にダイオードが2つ直列に接続され、各ダイオードの立ち上がり電圧VFを加えた分の電圧降下が発生する。従って、充電電圧は、コンデンサ21aの電位に前記電圧降下分を加えた以上の電圧でなければ、コンデンサ21aに充電させることができない。これは、電子制御式機械時計のように、発電電圧の小さな発電機の場合、充電効率を低下させる大きな要因となる。
【0068】
そこで、本実施形態では、トランジスタ66,67を同時にON、OFFせずに、そのタイミングを調整することで充電効率を向上させている。
【0069】
すなわち、AG1がVTKNからみて+となり、電圧Vref を越えるとコンパレータ62はHiレベル信号を出力し、このため、オア回路65は、クロック信号CLKに関係なくHiレベル信号を出し続け、これによりトランジスタ67のゲートに電圧が加わり、トランジスタ67はON状態となる。
【0070】
一方、AG2側に接続されたコンパレータ61は、AG2<電圧Vrefであるため、Loレベル信号を出力し、オア回路64からはクロック信号に同期した信号が出力され、トランジスタ66はON/OFF動作を繰り返し、AG1端子はチョッパ昇圧される。
【0071】
このときの充電経路は、トランジスタ66が一旦ONしてOFFされた時に、AG1−ダイオード68−コンデンサ21a−VTKN−トランジスタ67(ソースからドレイン)−AG2となり、寄生ダイオード67Aが経路から外れるため、電圧降下が小さくなり、充電効率が向上する。
【0072】
なお、電圧Vref のレベルは、発電機20の発電電圧をチョッパ昇圧してコンデンサ21aに充電可能となる起電圧レベルを選択することが好ましく、通常、VTKNを数百mV越えたレベルに設定すればよい。この電圧Vref の設定レベルが高いと、コンパレータ61,62が動作するまでの期間が長くなり、この間は前述した2つのダイオードが直列接続された充電経路になるため、発電効率がその分低下する。
【0073】
なお、トランジスタ66をONしたときには、トランジスタ67もONされていることから発電機20は短絡されて、ショートブレーキがかかり、その分発電量が低下するが、このVTKN側に短絡させていることにより、トランジスタ66の開放時にVDD以上の電圧に昇圧できるため、ON/OFFするチョッパリングのサイクルを所定周期以上にすれば、ショートブレーキ時の発電量低下を補うことができ、発電電力を一定以上に保ちながら制動トルクを増加することができる。
【0074】
そして、発電機20からの出力がAG2側になった場合も、各コンパレータ61,62、トランジスタ66,67の動作が入れ替わるだけで、前述と同様の動作が行われる。
【0075】
また、チョッパ充電回路60の各コンパレータ61,62の出力は、波形整形回路70に入力されて矩形波パルスfrに変換される。すなわち、チョッパ充電回路60および波形整形回路70からなる回転検出回路53は、ロータ12の回転を検出して矩形波パルスfrとして出力する(ステップ1、以下ステップを「S」と略す)。
【0076】
例えば、図7の単安定マルチバイブレータ71は、1つの極性検出(コンパレータ62の出力)だけから波形整形している。具体的には、コンパレータ62の出力の立ち上がりで、単安定マルチバイブレータ71にトリガをかけ、CRで設定した長さのパルスを出力する。CRの時定数はクロック信号CLKの1周期に対して約1.5倍以上に設定しているため、CRで設定されたパルス時間内に、次のコンパレータ62の出力の立ち上がりが入力され、単安定マルチバイブレータ71はリトリガされる。このため、マルチバイブレータ71からは、CRで設定した1.5T時間内にコンパレータ62の出力の立ち上がりが発生しなくなるまで、Hiレベル信号を出力し続け、これにより発電機20の出力信号に対応した矩形波パルスfrが出力される。但し、パルスfrの立ち下がり時間は、CRの設定時間−極検出パルスのHiレベルの時間だけ遅くなり、図9に示すように、CRが1.5Tの場合、1.5T−0.5T=1Tだけ遅れが生じる。
【0077】
一方、図8に示す波形整形回路70も、1つの極性検出(コンパレータ61または62の一方の出力)だけから波形整形している。具体的には、クロック信号を2T時間だけカウントしてクリアするカウンタ74と、カウンタ74の出力でラッチをかけるラッチ手段75によって構成され、カウンタ74とラッチ手段75はコンパレータ61または62のいずれかの出力によってクリアされるように設定されている。例えば、図9に示すように、コンパレータ62の出力が発生している場合には、ラッチ手段75、カウンタ74はクリアされており、出力frはLoレベル信号を出力する。そして、コンパレータ62の出力が発生しなくなると、カウンタ74によって出力frはHiレベルにラッチされる。
【0078】
そして、再度コンパレータ62の出力が発生すると、ラッチ信号はクリアされ、出力frはLoレベルとなり矩形波パルスを得ることができる。なお、カウンタの設定時間内(2T)にコンパレータ62の出力が発生すると、ラッチ動作は行われない。ただし、この場合も、図9に示すように、カウンタ74の設定時間(2T)だけ、矩形波パルスfrのHiの立ち上がりが遅くなる。
【0079】
図7,8の各波形整形回路70は、コンパレータ62の出力に遅れを生じさせて矩形波パルスに変換させている。これは、システムの起動時等にコンパレータ62からの出力が必ずしもクロック信号の周期に同期した信号として得られず、いわゆるパルス抜けのような出力となるため、そのまま矩形波パルスへ変換させるとパルス割れを生じるため、CR設定時間、あるいはカウンタの設定時間によってパルス割れを防止するためである。なお、CR設定時間やカウンタ時間はパルス抜けの程度によって設定すればよく、周期1.5〜5T程度に設定すればよい。なお、制御上は、このような遅れはほとんど影響しない。
【0080】
このようにして整形された矩形波パルスfrは、位相比較回路54において分周回路52の時間標準信号fsと比較され(S2)、その差信号がチャージポンプ80およびループフィルタ81を通してレベル信号aに変換される。
【0081】
コンパレータ90では、図10にも示すように、レベル信号aおよび三角波発生回路92からの三角波信号bにより、矩形波パルス信号cを出力する。前記レベル信号aは、ロータ12の回転に基づく矩形波パルスfrの位相が時間標準信号fsの位相よりも進んでいる場合には、標準レベルよりも低くなり、遅れている場合には高くなるように設定されている。
【0082】
このため、矩形波パルスfrの位相が時間標準信号fsよりも進んでいる場合(S3)には、矩形波パルス信号cのHレベルの状態が長くなり、その分、チョッパ充電回路60での各チョッパサイクル内におけるショートブレーキ時間が長くなってブレーキ量が増えて発電機20のロータ12は減速される(S4)。逆に、矩形波パルスfrの位相が時間標準信号fsよりも遅れている場合には、矩形波パルス信号cのLレベルの状態が長くなり、その分、チョッパ充電回路60での各チョッパサイクル内におけるショートブレーキ時間が短くなってブレーキ量が減って発電機20のロータ12は増速される(S5)。
【0083】
すなわち、矩形波パルス信号cの1周期におけるHレベル期間の割合であるデューティ比は、位相比較回路54からの信号に基づいて出力されるレベル信号aによって設定される。以上のブレーキ制御つまり矩形波パルス(起電圧波形)frと時間標準信号(基準信号波形)fsとの位相差に応じてデューティ比が可変される矩形波パルス信号cをブレーキ回路23であるチョッパ充電回路60に入力することにより、矩形波パルスfrが時間標準信号fsに合うように制御される。
【0084】
なお、図4〜5の基準周期信号fsおよび各波形整形回路70からの矩形波パルスfrと、コンパレータ90の出力信号(矩形波パルス信号)cとの関係をタイミングチャートで示すと図12のようになる。つまり、コンパレータ90の出力信号cは、直前の基準周期信号fsと矩形波パルスfrとの位相差に応じてショートブレーキ期間が長くなってブレーキ量が増加したり、ショートブレーキ期間が短くなってブレーキ量が減るようになっている。
【0085】
すなわち、図12に示すように、基準周期信号fsの周期T1、T2及びT3の直前の周期における矩形波パルスfrと基準周期信号fsとの位相差S1,S2,S3を比較すると、周期T1では直前の位相差S1が比較的大きく、発電機20の回転に対応した矩形波パルスfrの位相が基準周期信号fsに比べて進んでいるために、コンパレータ90の出力信号cはHレベルの期間がLレベルに比べて大きなチョッパ信号つまりデューティ比が比較的大きくてブレーキ量も比較的大きなチョッパ信号とされている。
【0086】
また、周期T2では、直前の位相差S2は位相差S1に比べて小さくされているので、周期T2における出力信号cは周期T1における出力信号cに比べてHレベルの期間が短いつまりデューティ比が小さくてブレーキ量も小さくされたチョッパ信号とされている。
【0087】
さらに、周期T3では、直前の位相差S3は位相差S2に比べてさらに小さくされているので、周期T3における出力信号cは周期T2における出力信号cに比べてもよりHレベルの期間が短いつまりデューティ比がより小さくてブレーキ量も小さくされたチョッパ信号とされている。
【0088】
そして、これらの出力信号cは、基準周期信号fsの1周期にわたって同じデューティ比の波形つまり同じショートブレーキ期間を有する波形とされている。なお、本実施形態では、出力信号cがハイレベルの場合にブレーキが掛かるように、つまりブレーキ期間はハイレベルとされている。
【0089】
このような本実施形態によれば、次のような効果がある。
【0090】
(1) 基準信号の1周期の期間に渡って、その直前の各波形の位相差S1〜S3に基づいて設定されたデューティ比のチョッパ信号cをスイッチに印加して発電機20の回転速度を調速しているので、回転速度に基づく起電圧波形frの位相が基準信号波形fsよりも進んでいる状態が続いている場合には、つまりゼンマイ1aなどの機械的エネルギ源のトルクが大きくて発電機20の回転が進んでいる場合には、各波形の位相差がなくなるまでブレーキをかけ続けることになるため、迅速に正常な回転速度に調速することができ、応答性の早い制御を行うことができる。
【0091】
(2) さらに、チョッパ信号(矩形波パルス信号)cのデューティ比は、レベル信号aつまり位相比較回路54で検出される各信号波形fr,fsの位相差に基づいて自動的に設定されるため、位相差に対応した適切なブレーキ量でブレーキを掛けることができるので、より一層応答性の早い制御を行うことができる。
【0092】
(3) 発電機20のロータ12は、慣性円板(フライホイール)12cを付けたり、ロータ12自身に質量を持たせることで、回転安定性を確保しているため、基準信号の1周期に渡ってブレーキ制御を行っても、瞬時にロータ12の回転速度が高速になったり、低速(あるいは停止)になることはなく、問題なくロータ12の回転速度制御を行うことができる。
【0093】
また、本実施形態では、基準信号の1周期に渡って同じデューティ比のチョッパ信号を用いてブレーキ制御を行っており、従来のように基準周期の1周期の間にブレーキを掛ける制御と解除する制御の両方を行う場合に比べて、安定した制御を行うことができ、回転制御装置50の構成も簡略化できる。
【0094】
さらに、起電圧波形と基準信号波形との位相を比較するだけでブレーキ制御を行っているので、回転制御装置50の構成をより一層簡略化でき、コストも低減できる。
【0095】
(4) 発電機20、ブレーキ回路23からなるVCO25と、位相比較回路54、ブレーキ制御回路56とを設けたので、PLL制御により発電機20の回転を制御できる。このため、1周期毎の発電波形を比較してブレーキ回路23におけるブレーキレベルを設定できるため、一旦ロックレンジに引き込めば、発電波形が瞬時に大きく変動することがない限り、応答性の早い安定した制御を行うことができる。
【0096】
(5) ブレーキ回路23をチョッパ充電回路60で構成し、ブレーキ制御をチョッパリングを利用して実現しているので、発電電力を一定以上に保ちながら、制動トルクを増加できる。このため、システムの安定性を維持しながら、効率的なブレーキ制御を行うことができ、電子制御式機械時計の持続時間を従来に比べて長くすることができる。
【0097】
(6) チョッパ充電回路60を用いたことで、ブレーキ制御だけではなく、整流回路21のコンデンサ21aへの充電(発電処理)と、発電機20のロータ12の回転検出をもチョッパ充電回路60で実現することができ、これらの各機能を別々の回路で実現する場合に比べて、回路構成を簡略化でき、部品点数も少なくできてコストを低減でき、かつ製造効率も向上することができる。
【0098】
(7) チョッパ充電回路60において、各トランジスタ66,67のオン、オフ制御のタイミングを調整し、トランジスタ66,67の一方をオンし続けた状態で、他方をオン、オフしているので、充電経路における電圧降下を少なくでき、発電効率を向上することができる。このため、特に電子制御式機械時計のように、小さな発電機20を用いなければならない場合に、その発電効率を向上できるため、非常に有効である。
【0099】
(8) 波形整形回路70を設けたので、仮にチョッパ充電回路60等の回路構成が変わって、VCO25からの出力波形が異なる場合でも、その出力波形の相違部分を波形整形回路70で吸収できる。このため、チョッパ充電回路60の回路構成が相違しても、回転制御装置50を共通して利用することができ、部品コストを低減することができる。
【0100】
(9) 波形整形回路70として、ローパスフィルタ(LPF)とコンパレータとを組み合わせた一般的な回路を用いると、チョッパ昇圧した起電圧の一部を、例えば1次遅れのCRフィルタ等からなるLPFに充電させることになり、コンデンサ21aへの充電効率を低下させる要因となるが、本実施形態の各波形整形回路70は、デジタル的に処理を行うため、消費電流を低く抑えることができ、コンデンサ21aへの充電効率も向上することができる。
【0101】
次に本発明の第2実施形態について説明する。なお、本実施形態において、前述の実施形態と同一もしくは同様の構成部分には、同一符号を付し、説明を省略あるいは簡略する。
【0102】
図13には、第2実施形態の電子制御式機械時計を示すブロック図が示されている。
【0103】
電子制御式機械時計は、機械的エネルギ源としてのゼンマイ1aと、ゼンマイ1aのトルクを発電機20に伝達する増速輪列(各番車7〜11)と、増速輪列に連結されて時刻表示を行う指針(分針13、秒針14)とを備えている。
【0104】
発電機20は、増速輪列を介してゼンマイ1aによって駆動され、誘起電力を発生して電気的エネルギを供給する。この発電機20からの交流出力は、昇圧整流、全波整流、半波整流、トランジスタ整流等からなる整流回路21を通して昇圧、整流され、コンデンサ等で構成された電源回路21aに充電供給される。
【0105】
発振回路51は、図14にも示すように、時間標準源である水晶振動子51Aを用いて発振信号を出力し、この発振信号は12段のフリップフロップからなる分周回路52によってある一定周期まで分周される。この分周信号は、8Hzの基準信号(基準信号波形)fsとして出力されている。
【0106】
回転検出回路53は、発電機20に接続された波形整形回路161とモノマルチバイブレータ162とで構成されている。波形整形回路161は、アンプ、コンパレータで構成され、正弦波を矩形波に変換する。モノマルチバイブレータ162は、ある周期以下のパルスだけを通過させるバンドパス・フィルターとして機能し、ノイズを除去した回転検出信号(起電圧波形)FG1を出力する。
【0107】
回転検出回路53の回転検出信号FG1および分周回路52からの基準信号fsは、同期回路170を介して比較回路であるアップダウンカウンタ154のアップカウント入力およびダウンカウント入力にそれぞれ入力されている。
【0108】
同期回路170は、4つのフリップフロップ171やANDゲート172,NANDゲート173からなり、分周回路52の5段目の出力(1024Hz)や6段目の出力(512Hz)の信号を利用して、回転検出信号FG1を基準信号fs(8Hz)に同期させるとともに、これらの各信号パルスが重なって出力されないように調整している。
【0109】
アップダウンカウンタ154は、4ビットのカウンタで構成されている。アップダウンカウンタ154のアップカウント入力には、前記回転検出信号FG1に基づく信号が同期回路170から入力され、ダウンカウント入力には、前記基準信号fsに基づく信号が同期回路170から入力される。これにより、基準信号fsおよび回転検出信号FG1の計数と、その差の算出とが同時に行えるようになっている。
【0110】
なお、このアップダウンカウンタ154には、4つのデータ入力端子A〜Dが設けられており、端子A〜CにHレベル信号が入力されていることで、アップダウンカウンタ154の初期値がカウンタ値7に設定されている。
【0111】
また、アップダウンカウンタ154のLOAD入力端子には、起動設定回路190が接続されている。起動設定回路190は、コンデンサ21aに接続されてコンデンサ21aに最初に電力が供給された際に、システムリセット信号SRを出力する初期化回路191と、このシステムリセット信号SRでリセットされるとともに、前記回転検出信号FG1が所定数入力されることをカウントする分周回路192と、この分周回路192からの信号がクロック入力とされ、前記システムリセット信号SRでリセットされるフリップフロップ193とを備えて構成されている。
【0112】
初期化回路191は、例えば、コンデンサ21aに充電される電圧が通常値よりも低く設定された所定値になると、システムリセット信号SRを出力するように構成されている。また、分周回路192は、4段のフリップフロップにより構成されて前記回転検出信号FG1が16パルス分入力されると、Hレベル信号を出力するように構成されている。従って、フリップフロップ193からは、システムリセット信号SRが出力されてから、回転検出信号FG1が16パルス分入力されるとHレベル信号がアップダウンカウンタ154のLOAD入力に入力されるように設定されている。
【0113】
アップダウンカウンタ154は、LOAD入力がHレベルになるまで、つまりシステムリセット信号SRが出力されてから一定期間は、アップダウン入力を受け付けないため、アップダウンカウンタ154のカウンタ値は「7」に維持される。
【0114】
アップダウンカウンタ154は、4ビットの出力QA〜QDを有している。従って、各出力QA〜QDは、カウンタ値に対応して適宜Lレベル信号やHレベル信号を出力することになる。
【0115】
これらの出力QA〜QDは、チョッパ信号発生回路200に入力されている。そして、チョッパ信号発生回路200では、各カウンタ値やその変化タイミングつまりは各信号の位相差に対応して予め設定されているデューティ比のチョッパ信号を、図15にも示すように、基準信号fsの1周期に合わせて出力するように構成されている。
【0116】
そして、チョッパ信号発生回路200の出力Qは、図14に示すように、発電機20に並列に接続されたブレーキ回路23のNchトランジスタ23Bにおけるゲートに接続されている。従って、この出力QからHレベル信号が出力されると、Nchトランジスタ23Bのゲートに電圧が加わり、トランジスタ23BはON状態に維持され、発電機20がショートされてブレーキが掛かる。
【0117】
一方、出力QからLレベル信号が出力されると、トランジスタ23Bのゲート電圧が下がるため、トランジスタ23BはOFF状態に維持され、発電機20にはブレーキが加わらない。従って、ブレーキ回路23に、Hレベル信号の割合が大きいつまりデューティ比の大きなチョッパ信号が加わると、発電機20の制動トルクが大きくなり、Lレベル信号の割合が小さいつまりデューティ比の小さなチョッパ信号が加わると、発電機20の制動トルクが小さくなり、前記第1実施形態と同様に発電機20が調速制御される。
【0118】
このような本実施形態によれば、前記第1実施形態の(1) 〜(3),(5) と同様の効果が得られる上、次のような効果がある。
【0119】
(10)回転制御装置50の比較回路として、アップダウンカウンタ154を用いているので、各アップカウント信号(UP)およびダウンカウント信号(DOWN)の計数と同時に各計数値の比較(差)を自動的に算出することができるため、例えば、各信号の計数を行う2つのカウンタと、各カウンタの出力を比較するコンパレータとを用いて比較回路を構成する場合に比べて、構成を簡易にできかつ各計数値の差を簡単に求めることができる。
【0120】
(11)4ビットのアップダウンカウンタ154を用いているので、16個のカウント値をカウントすることができる。このため、アップカウント信号(UP)が続けて入力された場合などに、その入力値を累積してカウントすることができ、設定された範囲つまりアップカウント信号(UP)やダウンカウント信号(DOWN)が連続して入力されてカウンタ値が「15」や「0」になるまでの範囲では、その累積誤差を補正することができる。このため、仮に発電機20の回転速度が基準速度から大きく外れても、例えば各カウンタ値に応じてチョッパ信号発生回路200からの出力Qのデューティ比を適宜設定しておくことなどで、その累積誤差を確実にかつ効率的に補正して発電機20の回転速度を基準速度に戻すことができ、長期的には正確な運針を維持することができる。
【0121】
(12)初期化回路191を設けて、発電機20の起動時の電源回路21aが所定の電圧に充電されるまではブレーキ制御を行わなず、発電機20にブレーキが掛からないようにしているので、電源回路21aへの充電を優先させることができ、電源回路21aによって駆動される回転制御装置50を迅速にかつ安定して駆動することができ、その後の回転制御の安定性も高めることができる。
【0122】
なお、本発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は、本発明に含まれるものである。
【0123】
例えば、前記各実施形態では、各波形の位相差に応じてデューティ比が異なるチョッパ信号をスイッチに出力して発電機をチョッパリング制御していたが、図16に示すように、周波数の異なるチョッパ信号を出力して制御してもよい。
【0124】
すなわち、図17,18に示すように、チョッパリング周波数が低いと駆動トルク(制動トルク)が大きくなり、ブレーキ量を大きくすることができる。この際、チョッパリング周波数が低くなると、充電電圧も低下するが、チョッパリング周波数が25Hzと低い場合でも、電圧を一定値(0.8V)以上維持できる。従って、位相差S1〜S3が小さくなり、基準信号fsに対する回転検出信号FG1の位相進み量が小さくなるに従って、周波数の低いチョッパ信号を出力するようにすればよい。このように、各波形の位相差に応じてチョッパ信号の周波数を調整した場合でも、前記各実施形態のデューティ比を調整した場合と同じ作用効果を奏することができる。
【0125】
さらに、各波形の位相差に応じてチョッパ信号の周波数とデューティ比の両方を調整すれば、制動トルクや充電電圧をより効果的に調整することができる。
【0126】
また、チョッパ信号のデューティ比や周波数は、第2実施形態のように予め何種類かを設定しておいて選択して設定してもよいし、第1実施形態のように比較回路からの位相差に基づく信号に応じて自動的に設定してもよい。
【0127】
また、第2実施形態では、カウンタとして4ビットのアップダウンカウンタ154を用いていたが、3ビット以下のアップダウンカウンタを用いてもよいし、5ビット以上のアップダウンカウンタを用いても良い。ビット数が大きなアップダウンカウンタを用いれば、カウントできる値が増えるため、累積誤差を記憶できる範囲が大きくでき、特に発電機20の起動直後等の非ロック状態での制御が有利になる。一方で、ビット数の小さなカウンタを用いれば、累積誤差を記憶できる範囲が小さくなるが、特にロック状態になればアップおよびダウンを繰り返すことになるため、1ビットのカウンタでも対応できるとともに、コストを低減できる利点がある。
【0128】
また、カウンタとしては、アップダウンカウンタに限らず、基準信号fsおよび回転検出信号FG1用にそれぞれ第1および第2のカウンタを個別に設けてもよい。ただし、この場合には、各カウンタの計数値を比較する比較回路を別途設けなければならず、アップダウンカウンタ154を用いたほうが回路構成が簡易になるという利点がある。
【0129】
また、起動設定回路190は、必ずしも設けなくてもよいが、設けた方が発電機20の起動時に発電を優先できて回転制御装置50を迅速に駆動できる点で好ましい。
【0130】
さらに、チョッパ信号のデューティ比や周波数は、基準信号に対して回転検出信号が進んでいる場合に用いられるものが2種類以上設定されていることが好ましい。電子制御式機械時計では、基本的に基準信号に対して回転検出信号の位相が進むようにゼンマイ1a等が設定されているため、その進み量に応じてブレーキ量が調整できるように、チョッパ信号のデューティ比や周波数が設定できるようにされていることが好ましい。
【0131】
従って、基準信号に対して回転検出信号の位相が遅れている場合にも、チョッパ信号のデューティ比や周波数を2種類以上設定してもよいが、通常は、ブレーキ量が最も小さくなるようなデューティ比や周波数のチョッパ信号を設定すればよい。
【0132】
【発明の効果】
以上に述べたように、本発明の電子制御式機械時計によれば、調速制御の応答性が速くかつコストも低減できるとともに、発電電力の低下を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態における電子制御式機械時計の要部を示す平面図である。
【図2】図1の要部を示す断面図である。
【図3】図1の要部を示す断面図である。
【図4】第1実施形態の機能を示すブロック図である。
【図5】第1実施形態の構成を示すブロック図である。
【図6】第1実施形態のチョッパ充電回路を示す回路図である。
【図7】第1実施形態の波形整形回路の一例を示す図である。
【図8】第1実施形態の波形整形回路の他の例を示す図である。
【図9】第1実施形態の回路における波形図である。
【図10】第1実施形態のブレーキ制御回路のコンパレータの処理を示す図である。
【図11】第1実施形態の制御方法を示すフローチャートである。
【図12】第1実施形態におけるタイミングチャートである。
【図13】本発明の第2実施形態における電子制御式機械時計の要部の構成を示すブロック図である。
【図14】第2実施形態の電子制御式機械時計の構成を示す回路図である。
【図15】第2実施形態におけるチョッパ信号のタイミングチャートである。
【図16】本発明の変形例におけるチョッパ信号のタイミングチャートである。
【図17】本発明におけるチョッパリング周波数と充電電圧との関係を示すグラフである。
【図18】本発明におけるチョッパリング周波数と制動トルクとの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 香箱車
1a 機械的エネルギ源であるゼンマイ
1b 香箱歯車
2 地板
3 輪列受
7 二番車
8 三番車
9 四番車
10 五番車
11 六番車
12 ロータ
12a ロータ磁石
12c ロータ慣性円板
13 分針
14 秒針
20 発電機
21 整流回路
21a コンデンサ(電源回路)
23 ブレーキ回路
23B スイッチであるトランジスタ
50 回転制御装置
51 発振回路
51A 水晶振動子
52 分周回路
53 回転検出回路
54 位相比較回路
56 制動制御回路であるブレーキ制御回路
60 チョッパ充電回路
66,67 電界効果型トランジスタ
70 波形整形回路
80 チャージポンプ
90 コンパレータ
91 分周回路
92 三角波発生回路
120 ブレーキ回路
126 電界効果型トランジスタ
127 電界効果型トランジスタ
154 アップダウンカウンタ
170 同期回路
190 起動設定回路
191 初期化回路
200 制動制御回路であるチョッパ信号発生回路

Claims (8)

  1. 機械的エネルギ源と、輪列を介して連結される前記機械的エネルギ源によって駆動されて誘起電力を発生して電気的エネルギを供給する発電機と、前記輪列に結合された指針と、前記電気的エネルギにより駆動されて前記発電機の回転周期を制御する回転制御装置と、を備える電子制御式機械時計において、
    前記回転制御装置は、
    前記発電機の両端を短絡可能なスイッチと、
    前記発電機の起電圧波形と時間標準となる基準信号波形との位相を比較する比較回路と、
    デューティ比が異なる2種類以上のチョッパ信号を発生可能とされ、かつこれらのチョッパ信号の中から前記比較回路からの信号に基づいて設定されたデューティ比のチョッパ信号を前記基準信号の1周期の期間に渡って前記スイッチに加えて前記発電機をチョッパリング制御可能な制動制御回路と、を備え、
    前記制動制御回路は、前記基準信号波形の位相に対する起電圧波形の位相の進み量が大きくなるに従ってデューティ比が大きなチョッパ信号を前記スイッチに加え、
    前記チョッパ信号のチョッパリング周波数は、発電機のロータが設定速度で発生する起電圧波形の5倍〜100倍である、
    ことを特徴とする電子制御式機械時計。
  2. 請求項1に記載の電子制御式機械時計において、
    前記比較回路は、前記基準信号波形の位相に対して起電圧波形の位相が進んでいるか、遅れているかを検出するとともに、少なくとも前記基準信号波形の位相に対して起電圧波形の位相が進んでいる場合には、その進み量を検出可能に構成されていることを特徴とする電子制御式機械時計。
  3. 機械的エネルギ源と、輪列を介して連結される前記機械的エネルギ源によって駆動されて誘起電力を発生して電気的エネルギを供給する発電機と、前記輪列に結合された指針と、前記電気的エネルギにより駆動されて前記発電機の回転周期を制御する回転制御装置と、を備える電子制御式機械時計において、
    前記回転制御装置は、
    前記発電機の両端を短絡可能なスイッチと、
    前記発電機の起電圧波形と時間標準となる基準信号波形との位相を比較する比較回路と、
    周波数が異なる2種類以上のチョッパ信号を発生可能とされ、かつこれらのチョッパ信号の中から前記比較回路からの信号に基づいて設定された周波数のチョッパ信号を前記基準信号の1周期の期間に渡って前記スイッチに加えて前記発電機をチョッパリング制御可能な制動制御回路と、を備え、
    前記制動制御回路は、前記基準信号波形の位相に対する起電圧波形の位相の進み量が大きくなるに従って周波数が低いチョッパ信号を前記スイッチに加えることを特徴とする電子制御式機械時計。
  4. 請求項3記載の電子制御式機械時計において、
    前記比較回路は、前記基準信号波形の位相に対して起電圧波形の位相が進んでいるか、遅れているかを検出するとともに、少なくとも前記基準信号波形の位相に対して起電圧波形の位相が進んでいる場合には、その進み量を検出可能に構成されていることを特徴とする電子制御式機械時計。
  5. 請求項3または4のいずれかに記載の電子制御式機械時計において、
    前記周波数が異なる各チョッパ信号は、ディーティ比も異なることを特徴とする電子制御式機械時計。
  6. 機械的エネルギ源と、輪列を介して連結される前記機械的エネルギ源によって駆動されて誘起電力を発生して電気的エネルギを供給する発電機と、前記輪列に結合された指針と、前記電気的エネルギにより駆動されて前記発電機の回転周期を制御する回転制御手段とを備える電子制御式機械時計の制御方法において、
    前記発電機の起電圧波形と時間標準となる基準信号波形との位相を比較し、前記発電機の各端子を短絡可能なスイッチに、デューティ比が異なる2種類以上のチョッパ信号の中から前記位相差に応じて設定されたデューティ比のチョッパ信号を加えてスイッチを断続し、発電機をチョッパリングによりブレーキ制御し、
    その際、前記スイッチに加えられるチョッパ信号は、前記基準信号波形の位相に対する起電圧波形の位相の進み量が大きくなるに従ってデューティ比が大きなチョッパ信号であり、そのチョッパリング周波数は、発電機のロータが設定速度で発生する起電圧波形の5倍〜100倍である
    ことを特徴とする電子制御式機械時計の制御方法。
  7. 機械的エネルギ源と、輪列を介して連結される前記機械的エネルギ源によって駆動されて誘起電力を発生して電気的エネルギを供給する発電機と、前記輪列に結合された指針と、前記電気的エネルギにより駆動されて前記発電機の回転周期を制御する回転制御手段とを備える電子制御式機械時計の制御方法において、
    前記発電機の起電圧波形と時間標準となる基準信号波形との位相を比較し、前記発電機の各端子を短絡可能なスイッチに、周波数が異なる2種類以上のチョッパ信号の中から前記位相差に応じて設定された周波数のチョッパ信号を加えてスイッチを断続し、発電機をチョッパリングによりブレーキ制御し、
    その際、前記スイッチに加えられるチョッパ信号は、前記基準信号波形の位相に対する起電圧波形の位相の進み量が大きくなるに従って周波数が低いチョッパ信号である
    ことを特徴とする電子制御式機械時計の制御方法。
  8. 請求項7に記載の電子制御式機械時計の制御方法において、
    前記周波数が異なる2種類以上のチョッパ信号は、デューティ比も異なることを特徴とする電子制御式機械時計の制御方法。
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