JP3598759B2 - クリーニングブレード - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真複写機等の感光体外周面に残留するトナーを除去するクリーニングブレードに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真複写機は、光導電体表面層付の感光ドラムを備え、この感光ドラムの外周面を一様に帯電させ、ついで被複写体の複写画像を介してその外周面を露光することにより上記外周面上に静電潜像を形成し、この静電潜像にトナーを付着させてトナー像を形成し、これを複写紙等に転写することにより複写を行うものである。そして、上記複写後には、図2に示すように、感光ドラム1の外周面上にトナー2が残留するため、このトナー2の除去を、クリーニングブレード3の弾性を利用してその先端部を感光ドラム1の外周面に摺接させることにより行っている。なお、図において、クリーニングブレード3は、板状保持具4に支持されており、この板状保持具4の一端(クリーニングブレード3を支持している端部と反対側の端部)が、樹脂ケース5に取り付けられている。
【0003】
上記クリーニングブレード3は、その寿命が、摺接による摩耗や欠損といった物理的要因や、トナーに対する耐汚染性といった化学的要因によって判断されており、これらの要因に対して優れた性質を備えたウレタンゴムが賞用されている。しかしながら、上記ウレタンゴムでは、長期使用による経時的摩耗が顕在化して、複写画像にかぶり(イメージのないところにトナー画像が形成されること)、白抜け等を発生させてしまうという問題が生じる。そこで、耐摩耗性を向上させる試みがなされており、例えばウレタンゴムの硬度を向上させる方法(特開平2−208687号公報等)が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記方法によって得られるクリーニングブレードは、耐摩耗性に関してある程度の向上効果が得られるものの、硬度が高すぎて感光ドラムを損傷させてしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、耐摩耗性に優れたクリーニングブレードの提供をその目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明のクリーニングブレードは、ジイソシアネートおよびポリオールを含有するウレタン組成物の硬化体からなるクリーニングブレードであって、上記硬化体が、下記の要件(A)〜(C)を満たしているという構成をとる。
(A)ジイソシアネート濃度が、1.10〜1.25ミリモル/g。
(B)ウレタン結合濃度が、1.70〜1.95ミリモル/g。
(C)tanδピーク温度が、10℃以下。
【0007】
すなわち、本発明者らは、耐摩耗性に優れたクリーニングブレードを得るため、一連の研究を重ねた。その過程で、クリーニングブレードの耐摩耗性は、硬化体の分子構造に左右されるという知見を得た。すなわち、硬化体の分子構造は、ウレタン直鎖と、アロハネート結合等のウレタン分岐結合によって決定され、このウレタン分岐結合が多くなり硬化体の架橋密度が高くなると、耐摩耗性が良好になるが、架橋密度が高くなりすぎると、硬化体の硬度が高くなってしまい、実用に供しえないことが判明した。そこで、本発明者らは、上記知見に基づき、架橋密度を適正にすべく、研究を重ねた。その結果、硬化体におけるジイソシアネート濃度、硬化体におけるウレタン結合濃度、tanδピーク温度をそれぞれ特定の範囲に設定することにより、所期の目的を達成できることを見いだし、本発明に到達した。
【0008】
特に、上記tanδピーク温度としては、1〜10℃の範囲に設定されていることがクリーニングブレードの特性(特に低温クリーニング性)に好ましいことを突き止めた。
【0009】
また、上記ジイソシアネートとともに用いられるポリオールとしては、ポリエステルジオールを用いることがクリーニングブレードの形成材料として特に好ましいことを突き止めた。
【0010】
なお、本発明において、「ジイソシアネート濃度」とは、硬化体におけるジイソシアネートのモル数を硬化体の重量で割った値のことである。また、「ウレタン結合濃度」とは、硬化体において、イソシアネート基と水酸基の一次反応によって生成したウレタン結合のモル数を硬化体の重量で割った値のことである。そして、「tanδピーク温度」とは、動的粘弾性特性の一つであって、動的粘弾性測定機によって測定される値のことである。
【0011】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施の形態について説明する。
【0012】
本発明のクリーニングブレードは、例えば、図1に示すように、板状保持具4に支持されて形成される。
【0013】
上記クリーニングブレード11の形成材料としては、ジイソシアネートおよびポリオールを含有するウレタン組成物が用いられる。
【0014】
上記ジイソシアネートとしては、特に限定するものではなく、例えば、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)、3,3′−ビトリレン−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメチルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートウレチジンジオン(2,4−TDIの二量体)、1,5−ナフチレンジイソシアネート、メタフェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、カルボジイミド変性MDI、オルトトルイジンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートメチルエステル等があげられる。これらは単独で用いてもよいし、二種以上併用してもよい。
【0015】
上記ポリイソシアネートとともに用いられるポリオールとしては、ポリエステルジオール、ポリエステルトリオール等のポリエステルポリオールや、ポリカプロラクトンや、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール等のポリエーテルポリオール等があげられる。これらは単独で用いてもよいし、二種以上併用してもよい。そして、このポリオールの数平均分子量(Mn、以下単に「分子量」という)は、1500〜3000の範囲に設定されていることが好ましい。より好ましくは、1500〜2500の範囲である。すなわち、上記分子量が1500未満であると、得られるクリーニングブレード11の物性が低下する傾向がみられ、逆に上記分子量が3000を超えると、作業性が悪くなる傾向がみられるからである。なお、この分子量は、ポリオールの水酸基価(mgKOH/g)に基づいて下記の数式(1)により算出されたものである。
【0016】
【数1】
【0017】
上記ポリエステルポリオールとしては、多塩基性有機酸とポリオールとから製造され、水酸基を末端基とする、ヒドロキシルポリエステルポリオールが好ましい。
【0018】
上記多塩基性有機酸としては、特に限定するものではなく、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、イソセバシン酸等の飽和脂肪酸や、マレイン酸、フマル酸等の不飽和脂肪酸や、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族酸等のジカルボン酸があげられる。また、無水マレイン酸、無水フタル酸等の酸無水物や、テレフタル酸ジメチル等のジアルキルエステル等を用いることもできる。さらに、不飽和脂肪酸の二量化によって得られる、ダイマー酸を用いることもできる。これらは単独で用いてもよいし、二種以上併用してもよい。
【0019】
上記多塩基性有機酸とともに用いるポリオールとしては、特に限定するものではなく、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキシレングリコール等のジオールや、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、グリセリン等のトリオールや、ソルビトール等のヘキサオール等があげられる。これらは単独で用いてもよいし、二種以上併用してもよい。
【0020】
また、前記ポリエーテルポリオールとしては、環状エーテルの開環重合または共重合によって製造されるものが好ましい。
【0021】
上記環状エーテルとしては、特に限定するものではなく、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、トリメチレンオキサイド、ブチレンオキサイド、α−メチルトリメチレンオキサイド、3,3′−ジメチルトリメチレンオキサイド、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキサミン等があげられる。
【0022】
そして、本発明において、上記ジイソシアネートとともに用いられるポリオールとしては、上記一連のもののなかでも、ジカルボン酸とジオールとから得られる、ポリエステルジオールが好適に用いられる。特に、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート(PBA)、ポリヘキシレンアジペート、エチレンアジペートとブチレンアジペートとの共重合体等が好ましい。最適には、耐加水分解性に優れる、ポリブチレンアジペート(PBA)である。
【0023】
本発明で用いるウレタン組成物には、上記ジイソシアネートおよびポリオール以外に、鎖延長剤や、触媒等を含有させてもよい。
【0024】
上記鎖延長剤としては、従来公知のものであれば特に限定されるものではなく、例えば、1,4−ブタンジオール(1,4−BD)、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、キシレングリコール、トリエチレングリコール、トリメチロールプロパン(TMP)、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、1,2,6−ヘキサントリオール等の、分子量300以下のポリオールがあげられる。これらは単独で用いてもよいし、二種以上併用してもよい。
【0025】
上記触媒としては、三級アミン等のアミン系化合物、有機錫化合物等の有機金属化合物等があげられる。なかでも、アミン系化合物が好ましい。
【0026】
上記三級アミンとしては、トリエチルアミン等のトリアルキルアミンや、N,N,N′,N′−テトラメチル−1,3−ブタンジアミン等のテトラアルキルジアミンや、ジメチルエタノールアミン等のアミノアルコールや、エトキシル化アミンや、エトキシル化ジアミンや、ビス(ジエチルエタノールアミン)アジペート等のエステルアミンや、トリエチレンジアミンや、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン等のシクロヘキシルアミン誘導体や、N−メチルモルホリン、N−(2−ヒドロキシプロピル)−ジメチルモルホリン等のモルホリン誘導体や、N,N′−ジエチル−2−メチルピペラジン、N,N′−ビス−(2−ヒドロキシプロピル)−2−メチルピペラジン等のピペラジン誘導体等があげられる。
【0027】
上記有機錫化合物としては、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジ(2−エチルヘキソエート)等のジアルキル錫化合物があげられる。また、2−エチルカプロン酸第1錫、オレイン酸第1錫等があげられる。
【0028】
本発明のクリーニングブレード11は、上記各材料を用い、常法に準じて製造することができる。具体的には、プレポリマー法、セミワンショット法、ワンショット法に準じて製造できる。なかでも、加工性に優れるという観点から、セミワンショット法が好適に用いられる。
【0029】
上記セミワンショット法に準じて、本発明のクリーニングブレード11は、例えばつぎのようにして製造される。すなわち、まず、上記ジイソシアネートおよびポリオールを準備し、両者を適宜の配合割合で配合し、適宜の反応条件で反応させてウレタンプレポリマーを調製する。一方、上記ポリオールと、鎖延長剤と、触媒とを準備し、これらを適宜の配合割合で配合し、適宜の混合条件で混合して硬化剤液を調製する。つぎに、上記ウレタンプレポリマーおよび硬化剤液を適宜の配合割合で配合して混合し、この混合液を、板状保持具4が保持されたクリーニングブレード成形用金型内に注入して、反応硬化させる。そして、得られた硬化体を成形型から取り出し、所定の形状に加工する。このようにして、図1に示すような、板状保持具4と一体成形されたクリーニングブレード11を得ることができる。
【0030】
このようにして得られる本発明のクリーニングブレード11において、上記硬化体におけるジイソシアネート濃度は、1.10〜1.25ミリモル/gの範囲に設定されていなければならない。より好ましくは、1.13〜1.20ミリモル/gの範囲である。すなわち、上記ジイソシアネート濃度が1.10ミリモル/g未満であると、耐摩耗性の向上効果が得られないからであり、逆に1.25ミリモル/gを超えると、硬度が高すぎたり、低温時でのクリーニング性が悪化したりするからである。
【0031】
また、上記硬化体におけるウレタン結合濃度は、1.70〜1.95ミリモル/gの範囲に設定されていなければならない。より好ましくは、1.75〜1.92ミリモル/gの範囲である。すなわち、上記ウレタン結合濃度が、1.70ミリモル/g未満であると、硬度が高すぎたり、低温時でのクリーニング性が悪化したりするからであり、逆に1.95ミリモル/gを超えると、耐摩耗性の向上効果が得られないからである。
【0032】
さらに、上記硬化体におけるtanδピーク温度は、10℃以下に設定されていなければならない。より好ましくは、1〜10℃の範囲である。さらに好適には、3〜8℃の範囲である。すなわち、上記tanδピーク温度が、上記範囲内でないと、低温時でのクリーニング性の悪化が顕著に見られるからである。
【0033】
このように、本発明のクリーニングブレード11は、ジイソシアネート濃度、ウレタン結合濃度、tanδピーク温度がそれぞれ特定の範囲に設定されているため、耐摩耗性に優れ、良好な低温クリーニング性を備えたものとなる。
【0034】
なお、上記硬化体のウォーレス硬度(IRHD)は60〜80の範囲に設定されていることが好ましい。すなわち、得られるクリーニングブレード11が、上記硬度の範囲内で特に優れたクリーニング効果を発揮するからである。
【0035】
また、本発明のクリーニングブレード11は、必ずしも板状保持具4と一体成形されている必要はなく、例えば板状保持具4の表面に、あとから接着されたものであってもよい。
【0036】
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
【0037】
まず、実施例および比較例に先立って、ウレタンプレポリマー(主剤液)と、硬化剤液を作製した。
【0038】
〔主剤液〕
下記の表1〜表3に示す主剤液用の各材料を用い、同表に示す配合割合で配合した後、窒素雰囲気下で、80℃×3時間の条件で反応させて、主剤液を調製した。
【0039】
〔硬化剤液〕
下記の表1〜表3に示す硬化剤液用の各材料を用い、同表に示す配合割合で配合した後、窒素雰囲気下で、80℃×1時間の条件で混合して、硬化剤液を調製した。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】
【実施例1〜9、比較例1〜6】
上記各主剤液および硬化剤液(ともに液温70℃)を、上記表1〜表3に示す配合割合で配合し、真空脱泡しながら攪拌羽根で30秒混合した後、板状保持金具が配置されたクリーニングブレード用成形型(140℃)内に注入して硬化させた。そして、得られた硬化体付板状保持金具を脱型したのち所定の形状に成形してクリーニングブレードを得た。
【0044】
このようにして得られたクリーニングブレードについて、ジイソシアネート濃度、ウレタン結合濃度、tanδピーク温度、ウォーレス硬度(IRHD)を下記の方法に従って測定・評価し、その結果を後記の表4〜表6に示した。また、得られたクリーニングブレードを市販のレーザープリンター(LBP)に組み込み、常温常湿環境下にて、A4サイズで三万枚画出ししたのち、クリーニングブレードの摩耗量を下記の方法にて算出するとともに、得られた複写画像について下記の方法により評価し、それらの結果を同表に併せて示した。さらに、得られたクリーニングブレードを上記LBPに組み込み、低温低湿環境下(5℃×15%RH)にて、A4サイズで三万枚画出しを行い、上記と同様、下記の方法により、画像評価を行った。
【0045】
〔ジイソシアネート濃度〕
硬化体におけるジイソシアネート濃度を、つぎのようにして算出した。すなわち、まず得られた硬化体の重量を測定した。ついで、この硬化体とテトラメチルアンモニウムヒドロキサイド(TMAH)を混合し、280℃にて熱分解した後、ガスクロマトグラフィーにて分析を行う化学熱分解GC法によって、ジイソシアネート、ポリオールおよび鎖延長剤の定量を行った。そして、これら測定値を用い、下記の数式(2)に従って、ジイソシアネート濃度(ミリモル/g)を算出した。
【0046】
【数2】
【0047】
〔ウレタン結合濃度〕
上記主剤液および硬化剤液の混合液において、水酸基(モル数)に対するイソシアネート基(モル数)の比率(〔NCO〕/〔OH〕)が1以上の場合、硬化体におけるウレタン結合の数は、全水酸基の数に等しい。したがって、ウレタン結合濃度(ミリモル/g)は、水酸基を有する化合物の重量および水酸基価(mgKOH/g)を用い、下記の数式(3)に従って算出した。なお、上記水酸基を有する化合物の重量は、上記ジイソシアネートの重量の測定と同様にして測定した。
【0048】
【数3】
【0049】
〔tanδピーク温度〕
tanδピーク温度を、レオロジ社製のDVEレオスペクトラーを用いて、つぎのようにして測定した。すなわち、まず短冊状の試験片(1.6mm×1.6mm×30.0mm)を準備した。つぎに、この試験片を測定長さが20.0mmとなるように固定した後、この試験片に振幅±10μm、周波数10Hzで歪みをかけ、昇温スピード3℃/minにて1℃毎にtanδ(損失正接)を測定した。そして、このtanδの値が最大となる温度をtanδピーク温度とした。
【0050】
〔ウォーレス硬度〕
ウォーレス(H.W.WALLACE)社製ウォーレス測微硬度計を用い、JIS K 6253に基づいて測定した。
【0051】
〔摩耗量〕
走査型電子顕微鏡にてクリーニングブレードの先端部の摩耗量を観察し、摩耗した部分の断面積(Uμm2 )と、先端部の単位長さ(Vμm)を測定し、下記の数式(4)により、摩耗量(Wμm3 )を算出した。なお、この摩耗量が小さいほど、耐摩耗性に優れているといえる。
【0052】
【数4】
W=U×V …(4)
【0053】
〔画像評価〕
初期および三万枚複写後における複写画像の画質を目視評価した。すなわち、文字を複写し、複写画像に問題がなく、細線が鮮明に複写されたものを○、かぶり、白抜け等が多量に発生して複写画像に不具合が見られるものを×としてそれぞれ表示した。
【0054】
【表4】
【0055】
【表5】
【0056】
【表6】
【0057】
上記結果から、実施例品はいずれも摩耗量が少なく、優れた耐摩耗性を備えるクリーニングブレードとなっている。また、低温環境下におけるクリーニング性が良好である。しかも、このクリーニングブレードを電子写真複写機に組み込んで使用すると、良好な複写画像を長期に渡り、広い温度域において維持できるという利点を有する。これに対して、比較例品は、耐摩耗性が悪いか、あるいは低温クリーニング性が悪くなっている。このため、たとえ良好な複写画像を得ることができたとしても、長期に渡り、広い温度域において維持できないという不具合を生ずる。
【0058】
【発明の効果】
以上のように、本発明のクリーニングブレードは、ジイソシアネート濃度、ウレタン濃度、tanδピーク温度がそれぞれ特定の範囲に設定された硬化体からなっている。このため、硬化体における架橋密度が適正となり、また低温時における弾性の低下を抑制できるようになって、耐摩耗性に優れ、低温性が良好になる。したがって、高画質な複写画像を長期に渡り、広い温度域において維持できるという利点を有する。
【0059】
特に、上記tanδピーク温度としては、1〜10℃の範囲に設定されていることが、低温時にクリーニング機能が低下しないという観点から好ましい。
【0060】
また、上記ジイソシアネートとともに用いられるポリオールとしては、ポリエステルジオールを用いることが、反応性の観点から、特に好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のクリーニングブレードの説明図である。
【図2】電子写真複写機のクリーニング装置の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
11 クリーニングブレード
Claims (3)
- ジイソシアネートおよびポリオールを含有するウレタン組成物の硬化体からなるクリーニングブレードであって、上記硬化体が、下記の要件(A)〜(C)を満たしていることを特徴とするクリーニングブレード。
(A)ジイソシアネート濃度が、1.10〜1.25ミリモル/g。
(B)ウレタン結合濃度が、1.70〜1.95ミリモル/g。
(C)tanδピーク温度が、10℃以下。 - 上記tanδピーク温度が、1〜10℃である請求項1記載のクリーニングブレード。
- 上記ポリオールが、ポリエステルジオールである請求項1または2記載のクリーニングブレード。
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