JP3598550B2 - 異方性が小さい高強度缶用薄鋼板の製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、主としてぶりき(電気錫めっき)やティンフリースチールなどの表面処理を施して使用される缶用薄鋼板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、缶用鋼板、とくに飲料用の缶用鋼板においては、省資源、軽量化の観点から使用するぶりき原板の板厚の減少、すなわち薄肉化が進んでいる。これに伴い、缶強度の確保の観点から、強度が高い鋼板が求められるようになってきた。また、2ピース缶に適用する鋼板に対しては、特に絞り性などの加工性が優れていることが求められていた。
【0003】
ところで、このような高強度と良好な加工性を備えた鋼板を製造するための技術が、これまでにもいくつか提案されている。
例えば、特開平2−118027号公報に開示の技術は、極低炭素鋼スラブを熱延、冷延、酸洗後、圧下率85〜90%で冷延し、続いて連続焼鈍を施し、その後圧下率15〜45%で調質圧延を行うことにより、鋼板を強化しようとするものである。
しかしながら、この方法では原板が軟質の極低炭素鋼であるために、高強度を得るためには、焼鈍後に比較的高い2次冷延圧下率が必ず必要となり、生産効率の低下が問題であった。
【0004】
また、鋼板の強度を向上させる技術が、例えば特開平2−118025号公報に、提案されている。この技術は、Nの添加と焼鈍後の2次冷延とを組み合わせたものであるが、この方法では、大きなゲージダウンが要求される用途に対しては、強度レベルが不十分となる場合があった。また、この方法で製造した場合には、2ピース缶のような加工度の大きい用途において、加工性とくにr値の面内異方性が大きいという問題も生じていた。
【0005】
さらに、特開平6−116682号公報には、C≦0.015wt%の極低炭素鋼に強化元素としてMn、Si、PのほかにP等を添加したうえ、Nの固溶強化能を利用して焼付硬化性を付与する高強度缶用鋼板についての技術が提案されている。
しかし、この鋼板は、Nbの添加を必須としているのでコストアップになるのみでなく、固溶Nによる歪み時効強化を利用して強度上昇を図っているため、時効性が問題となるような用途に対しては適用できないという問題があった。
また、この鋼板では、薄肉化の要求に対応して製造時の冷延圧下率を高圧下とし、さらにコイル内の均質性を高めるために巻取温度の低温化を図った場合に、2ピース缶に必要な加工性が劣化する場合があった。
【0006】
一方、従来より、特殊元素を添加しないで良好な加工性を確保する方法として、焼鈍中のAlNの析出により集合組織制御を利用する方法が知られている。しかし、この方法は焼鈍中にAlNを析出させるため比較的遅い加熱速度が必要であり、焼鈍方法としては一般に箱焼鈍法が採用され、連続焼鈍ではその加熱速度が速いためAlNによる集合組織制御を利用することは難しいとされていた。
【0007】
しかるに、連続焼鈍でもAlNによる集合組織制御を利用して加工性を改善するための技術が、特開昭63−230848号公報に提案されている。この技術は、C≦0.003wt %、Mn:0.09〜0.8wt %、sol.Al:0.06〜0.12wt%、N:0.005 〜0.011wt %とした素材を用い、熱間圧延後 560℃以下の温度で巻取り、冷間圧延後 400℃〜700 ℃の間の平均昇温速度1〜20℃/sec、最高加熱温度700 ℃〜900 ℃の条件で連続焼鈍することにより良好な加工性を確保しようとするものである。この方法では、0.06wt%未満のsol.Al量では焼鈍中のAlNの形成が遅く集合組織の制御ができないと考え、焼鈍中の析出を促進するため0.06wt%以上の多量のAlを添加する必要があるとしている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この方法によって製造した場合、多量のAlを添加することにより熱延中のAlNの析出も促進されるため、焼鈍前の固溶N量の制御が難しくなり、集合組織制御に支障をきたすだけでなく、材質のばらつきが大きくなり、また多量のAl添加がコストアップにもつながるという問題があった。
【0009】
そこで、本発明の目的は、上記した従来の技術が抱えていた問題を解決した缶用高強度薄鋼板の製造技術を提案することにある。
本発明の他の目的は、高強度を有し、そのうえ加工性とくに高r値で、r値の面内異方性(以下、「Δr」と略記する)が小さい缶用薄鋼板の連続焼鈍による製造技術を提案することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、上記の問題を解決すべく鋭意研究した結果、多量のMn及びNを含有する鋼組成の極低炭素鋼を素材とし、熱延条件を制御することにより、焼鈍前の鋼中に多量の固溶Nを残存させることが可能となること、この固溶Nを連続焼鈍中に微細なAlNとして析出させれば、弊害のある多量のAlを添加することなく、加工性に有利な再結晶の集合組織制御が可能となることを見いだし、本発明に想到した。
【0011】
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
(1) C:0.004 wt%以下、 Si:0.02wt%以下、
Mn:0.5 〜3.0 wt%、 P:0.02wt%以下、
Al:0.020 〜0.05wt%、 N:0.008 〜0.024 wt%を含み、
上記AlおよびNは、wt%Al/wt%N:2.0 超えの関係を満して含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなる鋼スラブを、Ar3 変態点以上の終了温度で熱間圧延し、引き続き10℃/sec 以上の速度で650 ℃以下まで冷却した後、550 〜400 ℃の温度範囲で巻き取り、脱スケールを経て、82%以上の圧下率で冷間圧延し、その後、再結晶温度以上の温度範囲で連続焼鈍し、次いで調質圧延することを特徴とする異方性が小さい高強度缶用薄鋼板の製造方法。
【0012】
(2) C:0.004 wt%以下、 Si:0.02wt%以下、
Mn:0.5 〜3.0 wt%、 P:0.02wt%以下、
Al:0.02〜0.05wt%、 N:0.008 〜0.024 wt%
Nb:0.04wt%以下を含み、
上記AlおよびNは、wt%Al/wt%N>2.0 の関係を、
また、上記CおよびNbは、(wt%C−0.0010)≦wt%Nb×12/93の関係を満して含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなる鋼スラブを、Ar3 変態点以上の終了温度で熱間圧延し、引き続き10℃/sec 以上の速度で650 ℃以下まで冷却した後、550 〜400 ℃の温度範囲で巻き取り、脱スケールを経て、82%以上の圧下率で冷間圧延し、その後、再結晶温度以上の温度範囲で連続焼鈍し、次いで調質圧延することを特徴とする異方性が小さい高強度缶用薄鋼板の製造方法。
【0013】
【作用】
上記の本発明方法によれば、高強度を有し、耐時効性に優れるとともに、加工性とくにΔrが小さく、しかも高Alに起因する弊害を抑制した薄鋼板が連続焼鈍で製造することができるのである。
このように、連続焼鈍でもAlNによる集合組織制御が可能となった理由は必ずしも明らかではないが、極低炭素鋼を素材としているため炭化物等の再結晶の起点となる部分が少なくAlNの再結晶に対する影響が大きくなったことが考えられる。また、多量のAlを添加しなくてもAlNによる集合組織制御が可能となった理由としては、成分及び熱延条件の調整により焼鈍前に多量の固溶Nを確保できたこと、Mnの添加及び比較的高い冷延圧下率により連続焼鈍中のAlNの析出が促進されたこと等が考えられる。しかも、本発明法によれば焼鈍中に微細なAlNが析出するので、析出強化による鋼板の強度上昇も達成できる。
なお、この発明では、特にNを多量に添加することとなるが、添加したNは基本的にAlNとして析出させるので、N起因による時効性の問題は生じない。これに加え、発明に適合する鋼は、非常に微細なAlNが多量に存在し、AlNが少量しか存在しない通常の極低炭素鋼にくらべ降伏伸びの発生量は少ないという利点も有している。この理由は、微細なAlNが転位の起点を多く与えているためと考えられる。
【0014】
以下に、本発明における各限定理由について、まず成分組成について説明する。
C:0.004 wt%以下
Cは、連続焼鈍法で製造する際に、AlN の析出を利用した集合組織制御による加工性とくにr値特性の向上に対して悪影響を及ぼす。このようなCの悪影響は、0.004 wt%を超えると顕著になるのでその上限は、0.004 wt%とする。また、このCは、耐時効性を低下させる作用があるので、焼付硬化量(BH量)に換算して1kg/mm2以下の耐時効性を確保する必要がある場合には、0.0010wt%以下にすることが望ましい。
しかし、0.0003wt%未満では粒径の粗大化によって加工後の表面に肌荒れ、いわゆるオレンジピール現象が顕在化する恐れがあるので、下限は0.0003wt%以上とするのが好ましい。
【0015】
Si:0.02wt%以下
Siは、鋼を強化させる元素であるが、加工性の低下、耐食性の低下を招くので、極力低下させることが望ましく、その量は、0.02wt%まで許容できる。
【0016】
Mn:0.5 〜3.0 wt%
Mnは、鋼の強化に必要な元素であるとともに、熱間圧延中のNの析出を抑え連続焼鈍前の固溶Nを確保し、連続焼鈍中のAlNの析出促進に寄与する重要な元素である。Mnのこのような連続焼鈍前の固溶Nに及ぼす効果の機構の詳細については必ずしも明らかではないが、Mnが熱間圧延時のAr3 変態点を低下させることに関係しているものと思われる。これらの効果を得るための、Mn添加量は少なくとも0.5 wt%は必要であるが、Mn含有量が3.0 wt%を超えると、熱延母板が著しく硬化し、冷延が困難になる。したがって、Mn添加量は、0.5 〜3.0 wt%、好ましくは0.5 〜2.5 wt%とする。
【0017】
P:0.02wt%以下
Pは、Siと同様に鋼を強化させる元素であるが、加工性の低下、耐食性の低下を招くので、極力低下させることが望ましいく、その上限を0.02wt%とする。
【0018】
Al:0.02〜0.05wt%
Alは、NをAlNとして析出させるために必要な元素である。Al添加量が、0.02wt%未満では連続焼鈍中におけるAlNの析出が不十分であり、一方0.05wt%を超えた場合には、熱間圧延中のAlNの析出が多くなり、連続焼鈍時のAlNの析出を利用した集合組織制御、強度上昇に支障をきたすばかりでなく、熱延中のコイル内の熱履歴の差によりAlNの析出が影響を受け、材質のばらつきの原因となる。したがって、Al添加量は0.02〜0.05wt%、好ましくは0.02〜0.04wt%とする。
【0019】
N:0.008 〜0.024 wt%
Nは、集合組織制御を行い、鋼板のr値特性を改善するために重要な元素である。すなわち、連続焼鈍中に微細なAlNを多数析出させることにより、集合組織制御が可能となるのである。またNは、微細なAlNによる析出強化作用をももたらす元素である。N含有量が、0.008 wt%未満では、AlNの析出が遅延して上記の効果が得られないばかりか、固溶Nの残存のために時効性を劣化させることになる。一方、0.024 wt%を超えて添加しても、効果が飽和するのみでなく、製鋼の連続鋳造時に欠陥を生ずる危険性が高まるので望ましくない。したがって、Nの添加量は0.008 〜0.024 wt%、望ましくは0.008 〜0.018 wt%の範囲とする。
【0020】
wt%Al/wt%N>2.0
Al含有量とN含有量との比は、鋼中に多量添加したNを連続焼鈍中にAlNとして析出させるために重要な要件であり、wt%Al/wt%N>2.0 とすることにより、鋼中のNを完全にAlNとして析出させることが可能となる。
【0021】
Nb:0.04wt%以下
Nbは、耐時効性を改善する元素であり、とくに厳しい時効性の管理が必要な場合に、必要に応じて添加される。Nb添加量が0.04wt%を超えると、再結晶温度が上昇して連続焼鈍時の焼鈍条件が難しくなるのみならず、NbがNを固定しAlNの析出を阻害するので、上限は0.04wt%とする。
【0022】
(wt%C−0.0010)≦wt%Nb×12/93
Nbを添加するにあたっては、NbとCは、(wt%C−0.0010)≦wt%Nb×12/93を満足する必要がある。なぜなら、Nb量が、上記関係式に満たない量では、時効性を完全に防止できないからである。
【0023】
本発明に従う薄鋼板は、上記の化学組成と製造条件の最適化された組合せによってはじめて得られる。次に、製造方法について説明する。
【0024】
・熱間圧延の終了温度:Ar3 変態点以上
熱間圧延の終了温度が、Ar3 変態点を下回りフェライト域で圧延を行うと熱延板におけるAlNの析出が促進されるため、冷延後の連続焼鈍中のAlNによる集合組織制御が難しくなる。したがって、圧延終了温度はAr3 変態点以上とする。
この圧延仕上げ温度がAr3 変態点以上の場合において、特にNbを添加した場合に、Nが熱延中にNbで固定されてしまい、焼鈍前の固溶N量が減少するばかりでなく、Nb添加による時効量低減の効果も小さくなる傾向にあるので、870 ℃以上で熱間圧延を終了することが好ましい。
一方、圧延終了温度が980 ℃以上になると熱延板の結晶粒径が粗大化し、r値を低下させる傾向にあるため好ましくなく、980 ℃以下で熱間圧延を終了することが望ましい。
【0025】
・冷却:10℃/sec 以上の冷却速度で650 ℃以下まで冷却
熱延終了からAlNの析出が起こりやすい650 ℃までの温度域では、冷却速度を極力大きくすることが、熱延板でのAlNの析出を抑える観点から必要である。
この冷却速度が10℃/sec 未満では、本発明鋼のようにMnを添加することにより、熱延板でのAlN析出をおこりにくくした素材でも、冷却中にAlNが析出、あるいはAlNの析出核が形成されるためと考えれるが、熱延板でのAlNの析出が促進され、Nを添加した効果を十分発揮させることができない。したがって、熱延終了から650 ℃に至るまでの温度範囲では、冷却速度を10℃/sec、好ましくは20℃/sec以上とする。
【0026】
・巻き取り温度:550 〜400 ℃
巻き取り温度が、550 ℃を超えるとコイル長手方向の材質ばらつきが大きくなり、製品の材質均一性を確保するために先後端を切り捨てる量が多くなり、歩留りが低下する。また、巻き取り温度が高いとAlNが熱延板中に粗大に析出し、連続焼鈍時の集合組織制御、強度上昇へのAlNの寄与が小さくなる。従って、巻き取り温度の上限は550 ℃とする。一方、巻き取り温度が400 ℃未満になると通常の熱間圧延装置では鋼板形状が悪化する傾向にあり、次工程の酸洗、冷延に支障をきたす。従って、巻き取り温度は550 ℃〜400 ℃の温度範囲とする。
【0027】
・冷間圧延の圧下率:82%以上
熱間圧延後の鋼板は脱スケール(酸洗)を経て、冷間圧延後、再結晶温度以上で連続焼鈍される。本発明では、熱延板を低温で巻き取るため、酸洗性は非常に良好である。
冷延圧下率は、良好な絞り加工性を得るために、また連続焼鈍時のAlN析出を促進するため82%以上、望ましくは86%以上とする。
【0028】
・焼鈍温度
連続焼鈍は再結晶により加工性の改善をはかるために、少なくとも再結晶温度以上の温度での焼鈍は必要である。この焼鈍中にAlNを微細に、完全に析出させるためには、720 ℃以上の比較的高温で焼鈍することが好ましい。ただし、その焼鈍温度が高すぎると連続焼鈍時にヒートバックルや板破断等の欠陥を生じる危険性が高くなるため、その温度は840 ℃以下とすることが好ましい。
なお、連続焼鈍の加熱速度は1〜100 ℃/sec程度の範囲であればその影響は小さく、安定した材質を確保できる。
【0029】
・調質圧延の圧下率:40%以下
焼鈍したままの状態では降伏点伸びが存在して材質が安定しないため、この鋼板に対して調質圧延を施す必要がある。調質圧延の効果を考慮して、その圧下率は1%以上とすることが好ましく、5%以上の強圧下の調質圧延を施すことによりさらなる高強度化が可能である。強圧下で調質圧延を行うことにより、BHは低下する傾向にあり、時効性も改善できる。一方、その圧下率が40%を超えると鋼板が硬質化して冷延が困難になることに加え鋼板の形状悪化が顕在化して好ましくない。従って、調質圧延の圧下率は1〜40%が好ましく、さらに好ましくは5〜40%にするのがよい。
【0030】
以上説明した本発明法による効果は、鋼板の厚みが、板厚0.29mm以下の場合に有利に適用できる。
また、上記の鋼板としてはすずめっき鋼板をはじめとしてティンフリー鋼板、複合めっき鋼板など各種の缶用鋼板の製造において有利に適合する。
【0031】
【実施例】
転炉により溶製した表1に示す成分組成になる鋼スラブ(残部はFe及び不可避的不純物)を、同じく表1に示す条件のもとで熱間圧延、酸洗、さらに冷間圧延し、平均加熱速度:20〜30℃/secで740 〜800 ℃の温度域で連続焼鈍を行い、その後調質圧延を行った。その後、ハロゲンタイプの電気すずめっきラインにて25番相当のすずめっきを施してぶりきに仕上げた。
【0032】
【表1】
【0033】
得られた薄鋼板について、引張強さ(TS)、r値、Δr、BH性を調査した。その結果を表2に示す。
ここに、引張特性はJIS5号引張試験片を用いた試験にて、BH(焼付硬化指数)は、鋼板に2%予歪みを付与したのち、170℃×20min の時効処理を行い、時効前後の変形応力の変化量で評価した。
ここで、r値、Δrは、次式によって定義される。
r=(rL +2rD +rC )/4
Δr=(rL −2rD + rC )/2
ただし、rL 、rD およびrC は、それぞれ圧延方向、圧延方向に対して45°の方向、圧延方向に対して90°の方向のランクフォード値を表す。なお、r値、Δrは簡易測定法である”モジュル−r”により求めた。
【0034】
【表2】
【0035】
表1、2から明らかなように、この発明法に従って製造した鋼板では、Nb無添加でもΔrが小さく、高強度化を達成することができ、缶用薄鋼板として望ましい結果を得ることができた。また、連続焼鈍後の調質圧延の圧下率を大きくすることにより、さらなる高強度化を達成することができるだけでなく、C量を低減あるいはNbの適正量の添加により、BHを1kgf/mm2 以下にでき、耐時効性が大きく改善されることも確かめられた。
さらに、本実施例サンプルについてすずめっき後、リフロー処理(溶錫化処理)を連続して施し、ぶりきに仕上げ、続いて塗装焼付け後、溶接試験及びフランジ加工を行い、溶接熱影響部(HAZ)割れの有無を評価したが、溶接性、及び溶接後の加工性とも問題なく、良好な結果を示し、3ピース溶接缶に用いる場合でも問題ないことが確かめられた。
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、高強度を有し、耐時効性に優れ、そのうえ加工性とくにr値の面内異方性(Δr)が小さい缶用薄鋼板が製造可能となる。
また、本発明によれば、上記諸特性に加えて、高Al量に起因する材質のばらつきを抑制した缶用薄鋼板が製造可能となる。
しかも、本発明によれば、これらの特性を備えた高強度薄鋼板が、低温巻き取りで、かつ連続焼鈍法で製造可能となるので、歩留り、生産性の向上が可能となり、産業の進歩への寄与は極めて大きい。
Claims (2)
- C:0.004 wt%以下、 Si:0.02wt%以下、
Mn:0.5 〜3.0 wt%、 P:0.02wt%以下、
Al:0.020 〜0.05wt%、 N:0.008 〜0.024 wt%を含み、
上記AlおよびNは、wt%Al/wt%N:2.0 超えの関係を満して含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなる鋼スラブを、Ar3 変態点以上の終了温度で熱間圧延し、引き続き10℃/sec 以上の速度で650 ℃以下まで冷却した後、550 〜400 ℃の温度範囲で巻き取り、脱スケールを経て、82%以上の圧下率で冷間圧延し、その後、再結晶温度以上の温度範囲で連続焼鈍し、次いで調質圧延することを特徴とする異方性が小さい高強度缶用薄鋼板の製造方法。 - C:0.004 wt%以下、 Si:0.02wt%以下、
Mn:0.5 〜3.0 wt%、 P:0.02wt%以下、
Al:0.02〜0.05wt%、 N:0.008 〜0.024 wt%
Nb:0.04wt%以下を含み、
上記AlおよびNは、wt%Al/wt%N>2.0 の関係を、
また、上記CおよびNbは、(wt%C−0.0010)≦wt%Nb×12/93の関係を満して含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなる鋼スラブを、Ar3 変態点以上の終了温度で熱間圧延し、引き続き10℃/sec 以上の速度で650 ℃以下まで冷却した後、550 〜400 ℃の温度範囲で巻き取り、脱スケールを経て、82%以上の圧下率で冷間圧延し、その後、再結晶温度以上の温度範囲で連続焼鈍し、次いで調質圧延することを特徴とする異方性が小さい高強度缶用薄鋼板の製造方法。
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