JP3598097B2 - 発光素子およびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は薄膜エレクトロルミネセンス(EL)素子、例えば平面型自発光表示装置をはじめ通信、照明その他の用途に供する各種光源として使用可能な自発光の発光素子、その製造方法並びにそれを用いた表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年平面型の表示装置としてはLCDパネル(液晶ディスプレイパネル)が幅広く用いられているが、依然として応答速度が遅い、視野角が狭い等の欠点があり、またこれらを改善した多くの新方式においても特性が十分でなかったりパネルとしてのコストが高くなるなどの課題がある。そのような中で自発光で視認性に優れ、応答速度も速く広範囲な応用が期待できる新たな発光素子としての薄膜EL素子に期待が集まっている。特に室温で蒸着や塗布などの簡単な成膜工程を用いることのできる有機材料を素子の全部または一部の層に用いる薄膜EL素子は、有機EL素子とも呼ばれ、上述の特徴に加えて製造コストを比較的安価にし得ると言う魅力もあり多くの研究が行われている。
【0003】
直流電界で作動する薄膜EL素子(有機エレクトロルミネセンス素子、以下「有機EL素子」と略称する。)は、正孔注入電極と陰極(電子注入電極)からなる一対の電極間に存在する発光領域に、当該電極から電子、正孔を注入しその再結合によって発光を得るものであり、古くから多くの研究がなされてきたが、一般にその発光効率は低く実用的な発光素子への応用とは程遠いものであった。
【0004】
そのような中で1987年にTangらによって提案された素子(C.W.Tang and S.A.Vanslyke:Appl.Phys.Lett.51(1987)913. 1987年9月21日発行)は、透明基板上に正孔注入電極、正孔輸送層、発光層、陰極をこの順に有する構成の素子であって、正孔注入電極としてITO(インジウム−錫酸化物)、正孔輸送層として膜厚75nmのジアミン誘導体層、発光層として膜厚60nmのアルミニウムキノリン錯体層、陰極として電子注入性と変質に対する安定性を併せ持つMgAg合金を用いたものであった。特に陰極の改良もさることながら、正孔輸送層として透明性に優れたジアミン誘導体を採用することにより、75nmの膜厚においても十分な透明性を維持することができ、且つこの膜厚においては十分にピンホ−ル等の無い均一な薄膜が得られるので、発光層も含めた素子の総膜厚を十分に薄く(150nm程度)することが可能となり、比較的低電圧で高輝度の発光が得られるようになった。具体的には、10V以下の低い電圧で1000cd/m2以上の高い輝度と、1.5lm/W以上の高い効率を実現している。このTangらの報告がきっかけとなって、陰極のさらなる改良や、電子注入層の挿入、正孔注入層の挿入などの素子構成上の工夫など、現在に至るまで活発な検討が続けられている。
【0005】
以下、現在一般に検討されている薄膜EL(有機EL)素子について概説する。
【0006】
素子の各層は、透明基板上に正孔注入電極、正孔輸送層、発光層、陰極をこの順に積層して形成し、必要に応じて正孔注入電極と正孔輸送層間に正孔注入層を設けたり、発光層と陰極間に電子輸送層、さらに陰極との界面に電子注入層を設けることもある。このように各層に役割を機能分離させて担わせる事により各層に適切な材料選択が可能となり素子の特性も向上する。
【0007】
透明基板としては一般に“コーニング1737”(Corning Glass Works製の無アルカリ硼珪酸ガラス)等のガラス基板が広く用いられている。板厚は0.7mm程度が強度と重量の観点から扱いやすい。
【0008】
正孔注入電極としてはITOのスパッタ膜、エレクトロンビーム蒸着膜、イオンプレーティング膜等の透明電極が用いられる。膜厚は必要とされるシートレジスタンス値と可視光透過率から決定されるが、有機EL素子では比較的駆動電流密度が高いので、シートレジスタンスを小さくするため100nm以上の厚さで用いられることが多い。
【0009】
正孔輸送層はN,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(以下TPDと称する)、N,N’−ビス(α−ナフチル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(以下NPDと称する)、など、Tangらの用いたジアミン誘導体、特に米国特許第4,539,507号(1985年9月3日発行)[対応日本国特許第2037475号(日本特開昭59−194399号:公開日1984年11月5日)に開示されたQ1−G−Q2構造のジアミン誘導体の真空蒸着膜が幅広く用いられている。ただし、Q1及びQ2は別個に窒素原子及び少なくとも3個の炭素鎖(それらの少なくとも1個は芳香族のもの)を有する基であり、Gはシクロアルキレン基、アリーレン基、アルキレン基又は炭素−炭素結合からなる連結基である。これらの材料は一般に透明性に優れ、80nm程度の膜厚でもほぼ透明であり、且つ成膜性にも優れるためピンホ−ルなどの欠陥のない膜が得られ、素子の総膜厚を100nm程度にまで薄くしても短絡など信頼性上の問題が発生し難い特徴がある。
【0010】
発光層もTangらの報告と同様に、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム等の電子輸送性発光材料を真空蒸着により数十nmの膜厚に形成して用いる構成が一般的である。種々の発光色を実現するなどの目的で、発光層は比較的薄膜とし、電子輸送層を20nm程度積層した、所謂ダブルヘテロ構造が採用されることもある。
【0011】
陰極はTangらの提案したMgAg合金あるいはAlLi合金など、仕事関数が低く電子注入障壁の低い金属と比較的仕事関数が大きく安定な金属との合金、またはLiFなど種々の電子注入層とアルミニウムなどとの積層陰極が用いられることが多い。
【0012】
またこのような正孔輸送層/電子輸送性発光層の積層構成とは別に、正孔輸送性発光層/電子輸送層の構成や、正孔輸送層/発光層/電子輸送層の構成も幅広く用いられている。いずれの層構成を用いた場合も透明基板、正孔注入電極、および陰極は上述のようなものが同様に用いられている。
【0013】
一般に有機化合物では電子移動能に優れた化合物は得難く、正孔輸送層/電子輸送性発光層の積層構成では用いることの出来る化合物が比較的限られているのに対して、正孔輸送性発光層/電子輸送層、および正孔輸送層/発光層/電子輸送層の構成では多くの各種材料を発光層に用いることができ、種々の発光色が得られる他、効率や寿命においても高性能のものが得られる可能性があり期待されている。
【0014】
例えば、米国特許第5,085,947号(1992年2月4日発行)[対応日本特開平2−250292号公報:公開日1990年10月8日]には、正孔輸送性発光層/電子輸送層の構成の素子で、正孔輸送性発光材料として[4−{2−(ナフタレン−1イル)ビニル}フェニル]ビス(4−メトキシフェニル)アミンや、[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル]ビス(4−メトキシフェニル)アミンを用い、オキサジアゾール誘導体を電子輸送層に用いた素子が開示されている。
【0015】
また国際公開特許公報WO96/22273(国際公開日:1996年7月25日)には正孔輸送層/発光層/電子輸送層の構成の素子で、発光層として正孔輸送性発光材料である4,4’−ビス(2,2−ジフェニル−1−ビニル)−1,1’−ビフェニルを用いた有機薄膜EL素子が開示されている。
【0016】
また1998年MRS(Material Research Society)春期年会セッションG2.1講演(1994年4月13日 口頭での発表)では、正孔注入層/正孔輸送性発光層/正孔阻止層/電子輸送層の構成の素子で、正孔輸送性発光材料としてTangらの提案したQ1−G−Q2型化合物であるNPDを用いた素子が開示されている。
【0017】
このように発光材料として電子輸送性発光材料だけでなく、正孔輸送性発光材料を用いることで広範囲な材料設計が可能となり、種々の発光色が得られるようになったが、発光効率や寿命において、十分な特性のものが得られていないのが現状である。特に蛍光発光材料を用いた場合、電子・正孔の再結合によって形成された励起状態はその25%しか発光に寄与し無いと言われており、効率のさらなる向上を目指すときに大きな障害となっていた。
【0018】
そのような中で、さらに近年、Appl.Phys.Lett.,vol.75,No.1,p.4−6.(1999年7月5日発行)に開示されているような、重金属錯体をホスト材料にドープした発光層を用いた素子がさかんに検討されている。これらの素子においては本来禁制遷移であると言われている発光に寄与しない3重項励起子が重金属効果により基底状態への発光遷移が可能となり、75%の割合で生成されると言われている3重項励起子を発光に用いることができるようになるため高効率化が達成できると言われている。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記論文に開示されているファックトリス(2−フェニルピリジン)イリジウム[fac tris(2-phenylpyridine)iridium][略号:Ir(ppy)3]をはじめとする多くの重金属錯体は必ずしも合成や精製が容易でなく、また単独材料からなる層では電荷輸送能も十分でなく、濃度消光(ある濃度以上で発光強度が減少すること)も大きいことから、電荷輸送性を有するホスト材料中に適切な濃度で重金属錯体をドープして用いるのが通常であったが、効率や寿命がドープ濃度に依存し製造上の不利益があった。
【0020】
このような状況に鑑み、本発明者等は種々の構造の重金属錯体材料を設計し、その特性をつぶさに調べただけでなく、重金属と種々の化合物とを混合物として互いに独立して堆積させることにより発光層内に含有せしめた発光素子について広範囲な検討を行った結果、重金属と発光に寄与する化合物は必ずしも錯体として1個の化合物となっている必要は無く、発光に寄与する化合物と重金属とが物理的に混合されて相互に近接して存在する場合にも、重金属を含まない場合と比較して、大きく発光効率が向上する現象が幅広く観察されることを見出して、本発明を完成させるに至った。更に、混合された重金属が、できる限り細かい状態で混合されていると、より発光効率が向上することを見出して、本発明を完成させるに至った。
【0021】
すなわち本発明は、従来の重金属錯体ドープ素子に比べて、有機発光層に重金属を混合するという単純な工程で製造でき、高い発光効率を有し、ムラや黒点などの欠陥もなく、低い駆動電圧で自発光で視認性に優れた発光が得られ、連続発光試験においても輝度低下が小さく、少ない消費電力で、極めて長期間にわたって安定して使用できる薄膜EL素子ならびにその製造方法を提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の発光素子、その製造方法並びにそれを用いた表示装置は以下の様である。
【0023】
(1)一対の電極間に少なくとも発光領域を有する発光素子であって、前記発光領域が、発光材料と、電荷輸送を持続できる化合物と、重金属とを、混合物として含有し、前記混合された重金属が、当該重金属の原子状粒子及び当該重金属の原子の数が平均10個以下のクラスター粒子から選ばれた極細粒子状の重金属からなる発光素子。
【0024】
(2)一対の電極間に少なくとも発光領域を有する発光素子であって、前記発光領域が、発光材料と、電荷輸送を持続できる化合物と、重金属とを、同時に堆積させて得られる当該材料の混合物からなり、前記重金属が、当該重金属の原子状粒子及び当該重金属の原子の数が平均10個以下のクラスター粒子から選ばれた極細粒子状の重金属からなる発光素子。
【0025】
(3)発光領域における重金属の含有比が、発光材料に対して0.1mol%〜50mol%である前記(1)項または(2)項に記載の発光素子。
【0026】
)混合された重金属が、当該重金属の原子状粒子及び当該重金属の原子の数が平均5個以下のクラスター粒子から選ばれた極細粒子状の重金属からなる前記(1)〜(3)項のいずれかに記載の発光素子。
【0027】
)一対の電極間に少なくとも発光領域を有する発光素子であって、前記発光領域が、電荷輸送を持続できる化合物であって当該化合物内に主として電荷輸送に寄与する部分と発光に寄与する部分とを併せ持つ化合物と、重金属とを、混合物として含有し、前記混合された重金属が、当該重金属の原子状粒子及び当該重金属の原子の数が平均10個以下のクラスター粒子から選ばれた極細粒子状の重金属からなる発光素子。
【0028】
)一対の電極間に少なくとも発光領域を有する発光素子であって、前記発光領域が、電荷輸送を持続できる化合物であって当該化合物内に主として電荷輸送に寄与する部分と発光に寄与する部分とを併せ持つ化合物と、重金属とを、同時に堆積させて得られる当該材料の混合物からなり、前記重金属が、当該重金属の原子状粒子及び当該重金属の原子の数が平均10個以下のクラスター粒子から選ばれた極細粒子状の重金属からなる発光素子。
【0029】
)電荷輸送を持続できる化合物が、化合物内に主として電荷輸送に寄与する部分と発光に寄与する部分とを併せ持つ正孔輸送性発光材料からなる前記()項または()項に記載の発光素子。
【0030】
)発光領域における、重金属の含有比が、電荷輸送を持続できる化合物であって当該化合物内に主として電荷輸送に寄与する部分と発光に寄与する部分とを併せ持つ化合物に対して0.1mol%〜50mol%である前記()〜()項のいずれかに記載の発光素子。
【0031】
)混合された重金属が、当該重金属の原子状粒子及び当該重金属の原子の数が平均5個以下のクラスター粒子から選ばれた極細粒子状の重金属からなる前記()〜()項のいずれかに記載の発光素子。
【0032】
10)一対の電極間に少なくとも発光領域を有する発光素子であって、前記発光領域が、発光材料と、電荷輸送を持続できる化合物と、重金属とを、混合物として含有し、前記混合された重金属が、当該重金属の原子状粒子及び当該重金属の原子の数が平均10個以下のクラスター粒子から選ばれた極細粒子状の重金属からなり、当該発光領域が、発光材料と電荷輸送を持続できる化合物との混合物のみからなる場合と比較して、単位電荷の再結合に対する発光の割合が増加する発光素子。
【0033】
11)一対の電極間に少なくとも発光領域を有する発光素子であって、前記発光領域が、電荷輸送を持続できる化合物であって当該化合物内に主として電荷輸送に寄与する部分と発光に寄与する部分とを併せ持つ化合物と、重金属とを、混合物として含有し、前記混合された重金属が、当該重金属の原子状粒子及び当該重金属の原子の数が平均10個以下のクラスター粒子から選ばれた極細粒子状の重金属からなり、当該発光領域が、電荷輸送を持続できる化合物であって当該化合物内に主として電荷輸送に寄与する部分と発光に寄与する部分とを併せ持つ化合物のみからなる場合と比較して、単位電荷の再結合に対する発光の割合が増加する発光素子。
【0034】
12)混合された重金属が、当該重金属の原子状粒子及び当該重金属の原子の数が平均5個以下のクラスター粒子から選ばれた極細粒子状の重金属からなる前記(10)項または(11)項に記載の発光素子。
【0035】
13)重金属が、主として原子番号57以上の金属である前記(1)〜(12)項のいずれかに記載の発光素子。
【0036】
14)一対の電極間に少なくとも発光領域を有する発光素子の製造方法であって、前記発光領域内の少なくとも一つの層を、発光材料と、電荷輸送を持続できる化合物と、重金属とを、同時に堆積させることで成膜し、かつ前記重金属の堆積が、クラッキング手段を通して堆積させる堆積である発光素子の製造方法。
【0037】
15)一対の電極間に少なくとも発光領域を有する発光素子の製造方法であって、前記発光領域内の少なくとも一つの層を、電荷輸送を持続できる化合物であって当該化合物内に主として電荷輸送に寄与する部分と発光に寄与する部分とを併せ持つ化合物と、重金属とを、同時に堆積させることで成膜し、かつ前記重金属の堆積が、クラッキング手段を通して堆積させる堆積である発光素子の製造方法。
【0038】
16)重金属が、主として原子番号57以上の金属である前記(14)〜(15)項のいずれかに記載の発光素子の製造方法。
【0039】
17)一対の電極間に少なくとも発光領域を有する発光素子を複数用いた表示装置であって、前記発光素子内の発光領域が、発光材料と、電荷輸送を持続できる化合物と、重金属とを、混合物として含有し、前記混合された重金属が、当該重金属の原子状粒子及び当該重金属の原子の数が平均10個以下のクラスター粒子から選ばれた極細粒子状の重金属である発光領域からなる表示装置。
【0040】
18)一対の電極間に少なくとも発光領域を有する発光素子を複数用いた表示装置であって、前記発光素子内の発光領域が、電荷輸送を持続できる化合物であって当該化合物内に主として電荷輸送に寄与する部分と発光に寄与する部分とを併せ持つ化合物と、重金属とを、混合物として含有し、前記混合された重金属が、当該重金属の原子状粒子及び当該重金属の原子の数が平均10個以下のクラスター粒子から選ばれた極細粒子状の重金属である発光領域からなる表示装置。
【0041】
19)混合された重金属が、当該重金属の原子状粒子及び当該重金属の原子の数が平均5個以下のクラスター粒子から選ばれた極細粒子状の重金属からなる前記(17)または(18)項に記載の表示装置。
【0042】
20)重金属が、主として原子番号57以上の金属である前記(17)〜(19)項のいずれかに記載の表示装置。
【0043】
21) 有機発光層中に重金属混合物として含有し、前記混合された重金属が、当該重金属の原子状粒子及び当該重金属の原子の数が平均10個以下のクラスター粒子から選ばれた極細粒子状の重金属からなる発光素子。
【0044】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に係る薄膜EL素子(有機EL素子)について説明する。
【0045】
本発明の発光素子は、少なくとも一対の電極間に配置された発光領域を有する。ここで、「少なくとも一対の電極間に配置された発光領域」を有する発光素子は、少なくとも正孔注入電極と、前記正孔注入電極と対向して設けた電子注入電極と、両者に直接的または間接的に狭持された発光機能層からなるなどの、少なくとも一対の電極と、その間のどこかに配置された発光機能層からなるものである。ここで発光機能層とは、実際に光を発する発光層だけでなく、(1)正孔輸送層/電子輸送性発光層、(2)正孔輸送性発光層/電子輸送層、(3)正孔輸送層/発光層/電子輸送層(但し、発光層には、電子輸送性発光層や正孔輸送性発光層などを含む)のような種々の構成を総称するものである。
【0046】
そして、本発明で言う「発光領域」とは上記のような発光機能層のうち、実際に発光する層を意味している。すなわち(1)では電子輸送性発光層であり、(2)では正孔輸送性発光層であり、(3)では発光層に相当する部分である。
【0047】
そして、本発明の特色は有機EL素子の前記発光領域を構成する材料中に重金属が混合物として存在し、前記混合された重金属が、当該重金属の原子状粒子及び当該重金属の原子の数が平均10個以下のクラスター粒子から選ばれた極細粒子状の重金属からなっている点である。発光領域とは、上述の如くいわゆる有機EL素子の発光層も含む意味である。
【0048】
本発明に用いられる前記発光領域としては、更に、詳細に分類すると、例えば次の様な(A)タイプや(B)タイプなどを含む。
【0049】
(A):発光材料(a)と、電荷輸送を持続できる化合物(b1)と、前記極細粒子状の重金属(c)とを、混合物として含有する発光領域;
(B):電荷輸送を持続できる化合物であって当該化合物内に主として電荷輸送に寄与する部分と発光に寄与する部分とを併せ持つ化合物(b2)と、前記極細粒子状の重金属(c)とを、混合物として含有する発光領域などである。
【0050】
尚、電荷輸送を持続できる化合物であって当該化合物内に主として電荷輸送に寄与する部分と発光に寄与する部分とを併せ持つ化合物(b2)の電荷輸送機能が小さめの化合物を用いる場合などは、必要に応じて電荷輸送を持続できる化合物(b1)を更に併用し、前記化合物(b2)と前記化合物(b1)と前記極細粒子状の重金属(c)とを、混合物として含有する発光領域とすることも可能である。
【0051】
上記のうち、大きな面積の発光領域を均一に歩留まり高く安定して製膜できるなどの点で、特に(B)タイプの発光領域とすることが好ましい。
【0052】
上記(A)のタイプの発光領域における化合物(b1)は、有機薄膜EL素子の技術的常識として、電荷輸送を持続できる化合物(b1)のみでは発光が生じないので、ゲスト材料である発光材料(a)をドーパントとして、ホスト材料である前記電荷輸送を持続できる化合物(b1)にドーピングして用いる事になる。
【0053】
発光材料(a)としては、通常の有機EL素子の発光層に発光色素などとして用いられているレーザ色素材料などを用いればよい。
【0054】
これに比べ、上記(B)のタイプの発光領域において用いる電荷輸送を持続できる化合物であって当該化合物内に主として電荷輸送に寄与する部分と発光に寄与する部分とを併せ持つ化合物(b2)は、発光に寄与する部分が存在し、しかも電荷輸送を持続できる化合物であるから、発光材料(a)を特に併用することを必要としない。
【0055】
上記(A)、(B)のいずれのタイプも、その発光領域は、それぞれ当該発光領域を構成する各材料を同時に堆積させることで成膜することにより、各材料の混合物とする事が好ましく、堆積方法としては、真空蒸着、エレクトロンビーム(EB)蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングなどの方法が適用できる。このような各成分の堆積を行う場合、特に重金属を出来る限り細かい粒子、より好ましくは、原子状の重金属粒子として発光領域に分散混合される様にするため、クラッキング手段を通して堆積させる重金属の粒子が細かくなるほど発光効率の高い発光素子とする事が出来好ましい。
【0056】
本発明の発光素子の各層は、前述したように、透明基板上に正孔注入電極、正孔輸送層、発光層、陰極をこの順に積層して形成し、必要に応じて正孔注入電極と正孔輸送層間に正孔注入層を設けたり、発光層と陰極間に電子輸送層、さらに陰極との界面に電子注入層を設けることが出来る。また前述したように、電極間に挟まれた、上記の各機能を有する層の組み合わせ物を本発明では発光機能層と称しており、発光機能層のうちの実際に発光する層を発光領域と称している。従来より、通常、「発光層」と称されている層は本発明で言う発光領域に含まれる。
【0057】
上述したように、本発明においては、通常の発光素子と同様に適当な透明または不透明の基板を用い、当該基板上に上記の素子構成を形成する手法を用いることが出来る。発光を素子外に取り出すために、通常、一対の電極の少なくとも片側は透明または少なくとも半透明な電極が用いられる。基板の存在する面側が透明または半透明電極である場合、基板も透明または半透明基板を用いるのが通常である。不透明な基板を用いる場合には、基板の存在する面側と反対側に設けられる電極として、透明または半透明電極が用いられる。
【0058】
基板は、本発明の発光素子を坦持出来るものであればよく、“コーニング1737”(Corning Glass Works製の無アルカリ硼珪酸ガラス)などの薄膜EL素子に通常用いられているガラス基板が用いられる事が多いが、ポリエステルその他の樹脂フィルムなども用いる事が出来る。
【0059】
基板の厚みは特に限定するものではないが、ガラス基板の場合には強度と重量の観点から、0.3mm〜1.1mm程度の範囲が好ましく、また、樹脂フィルム基板の場合には、50μm〜1mm程度の範囲が好ましい。
【0060】
本発明における正孔注入電極は、陽極として働いて素子中に正孔を注入することが可能なものであればよいが、正孔注入電極を透明電極とすることが多い。その場合は一般にITO(インジウム錫酸化物)膜を用いる事が多く、ITO膜はその透明性を向上させあるいは抵抗率を低下させる目的でスパッタリング、エレクトロンビーム蒸着、イオンプレーティング等の成膜方法が行われており、また抵抗率や形状制御の目的で種々の後処理が行われる事も多い。また膜厚は必要とされるシートレジスタンス値と可視光透過率から決定されるが、有機EL素子では比較的駆動電流密度が高いため、シートレジスタンスを小さくするため100nm以上の厚さで用いられることが多い。本発明の正孔注入電極にはこれらの通常のITO膜を用いる事が出来る他、 “IDIXO”[出光興産株式会社製透明電極材料、インジウム・亜鉛の酸化物からなる六方晶層状化合物と酸化インジウムから成る。分子式(一般式)In2O3(ZnO)n(但し、nは3以上の整数。尚、nの上限は特に限定はないが、一般的には100以下、好ましくは10以下)で示される。]をはじめとする種々の改良された透明導電層も幅広く用いることができる。また導電性粉体を分散した透明導電性塗料の塗布膜その他の電極を用いる事も出来る。
【0061】
本発明における発光領域は前記重金属と共存する環境下で発光を呈するものであればよく、化合物単体特性としては、種々の正孔輸送性発光材料や電子輸送性発光材料をはじめ、従来から有機EL素子の発光層に用いられている化合物なども含めて種々の材料を幅広く用いることができるが、電荷輸送を持続できる化合物であって当該一つの化合物内に電荷輸送に寄与する部分と発光に寄与する部分を併せ持ち、単独材料からなる層であっても発光層として良好に機能する材料が特に好適に用いられる。これらの材料群は、単独層を発光領域(発光層)として、好ましくは正孔輸送層、電子輸送層と組み合わせて発光機能層を形成する一方、前記重金属との共存により、発光効率が著しく向上する傾向が顕著に認められる。
【0062】
特にその分子構造がテトラフェニレンジアミン骨格を持つことによって、一般にQ1−G−Q2構造と言われるトリフェニルアミン2量体(TPDなど)と比較して高いEL発光効率と長寿命が得られ、さらに分子構造が非対称であることによって、分子同士が会合し難く、結晶化や凝集の起こり難い、極めて耐久性に優れた長寿命な素子が実現出来る。より具体的には、骨格となるテトラフェニレンジアミンの片方の窒素に直接結合するフェニル基は、フェニルスチリル、ジフェニルブタジエンニル、アンスリル等のバルキーなグループで置換する一方、他方の窒素に直接結合するフェニル基は、無置換あるいはアルキルまたアルコキシ置換とすることによって、この部分同士の分子間相互作用がもう一方と比較して大きくなり、正孔輸送能が向上する。またこのような化合物を用いることにより、単に寿命が向上するだけでなく、このような分子単独のノンドープ発光層として用いた場合の発光効率も顕著に向上する。これは会合しやすい分子の場合、分子内の発光遷移に寄与する部分同士の相互作用による濃度消光が強く見られるためと考えられるが、本発明で顕著な事実として明らかになったのは、このような化合物群がさらに前記極細粒子状の重金属の共存により、一段と顕著に発光効率の向上が図られることである。
【0063】
また特にその分子構造が発光遷移に寄与する部分と、正孔輸送に寄与する部分とを含む化合物においては、十分な電荷輸送と発光が同時に持続可能であり、顕著な効果が認められる。
【0064】
以上のような化合物、すなわち前述の(B)タイプの発光領域に用いられる化合物(b2)の具体例としては、例えば、[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル][4−(ジフェニルアミノ)フェニル]フェニルアミン(略号“PPDA−PS”)、4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル](4−メトキシフェニル){4−[(4−メトキシフェニル)フェニルアミノ]フェニル}アミン(略号“M2PPDA−PS”)、(4−{[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル](4−(9−アンスリル)フェニル)アミノ}フェニル)ジフェニルアミン(略号“PPDA−PS−A”)、および(4−{[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル][4−(10−メトキシ(9−アンスリル))フェニル]アミノ}フェニル)ジフェニルアミン(略号“PPDA−PS−AM”)などが挙げられる。
【0065】
このような電荷輸送を持続できる化合物であって当該化合物内に主として電荷輸送に寄与する部分と発光に寄与する部分とを併せ持つ化合物(b2)を用いる場合には、発光領域における、重金属(c)の含有比は、化合物(b2)に対して0.1mol%〜50mol%が好ましく、より好ましくは0.5mol%〜20mol%の範囲である。
また、上で述べた『一つの化合物内に電荷輸送に寄与する部分と発光に寄与する部分とを併せ持つ化合物』を用いずに発光領域を形成する場合には、汎用の電荷輸送材料をホスト材料として用い、汎用の発光色素を共蒸着によりドーピングし、さらに前記重金属を混合層として共存させた構成を用いることが出来る。前述した(A):発光材料(a)と、電荷輸送を持続できる化合物(b1)と、前記極細状の重金属(c)とを、混合物として含有する発光領域がこれに相当する。
ここで汎用の電荷輸送材料としては、すなわち化合物(b1)に相当する材料としては、前記のTPD、NPDなどのトリフェニルアミン系正孔輸送材、スチルベン系、ヒドラゾン系などの多様な正孔輸送材料を用いることが出来る他、種々のアルミキノリノール錯体等の金属錯体や、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体等の多様な電子輸送材料も用いることが出来る。また、4,4’−ビス(カルバゾール−9イル)ビフェニール(略号:CBP)も好適に用いられる。
また、前記発光材料(a)としては、各種の汎用の発光色素を用いることが出来、例えば、クマリン誘導体、キナクリドン誘導体、フェノキサゾン誘導体等の多様な発光色素をはじめとして、およそ目的とする波長の発光が得られるものであればいずれのものも幅広く用いることが出来る。
【0066】
前述の発光材料(a)と電荷輸送を持続できる化合物(b1)の使用割合は、好ましくは(a)1molに対して(b1)0.1〜1000molの割合、より好ましくは(a)1molに対して(b1)1〜500molの割合である。
【0067】
かかる(A)タイプの発光領域における、前記極細状の重金属(c)の含有比は、発光材料(a)に対して0.1mol%〜50mol%が好ましく、より好ましくは0.5mol%〜20mol%の範囲である。
【0068】
本発明における重金属とは、一般に、所謂重金属効果によって、本来禁制遷移である3重項励起子の基底状態への発光遷移確率増加に寄与するものであればよく、本検討結果によれば、原子番号57以上の場合に顕著な効果が認められた。特に、重金属の原子番号の上限は特に限定するものではないが、通常、原子番号85以下のものが扱いやすい。中でも、Ir、Au、Ptが好ましい。
【0069】
前述したように本発明の発光領域を形成するには、上述した当該発光領域を構成するそれぞれの材料を共蒸着などにより同時に堆積させ、各材料の混合物とする事が好ましく、堆積方法としては、真空蒸着、エレクトロンビーム(EB)蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングなどの方法が適用できる。このような各成分の堆積を行う場合、特に重金属を出来る限り細かい粒子、より好ましくは、原子状の重金属粒子として発光領域に分散混合される様にするため、クラッキング手段を通して堆積させる
【0070】
重金属は、前述した真空蒸着その他の堆積方法で堆積する場合に、当該金属の複数の原子が集団となった、所謂大きなクラスター状態で発光領域内に存在すると、発光効率の向上に十分寄与しないので、重金属をできるだけ小さく原子状にクラッキングして用いることで、高発光効率が達成できる。理想的には全て原子状態で共蒸着されることが好ましいと考えられる。このため、通常のEB蒸着装置にプラズマクラッカーを組み合わせたイオンプレーティング装置を用いるなど、クラッキング手段を通して堆積させることが好ましい。本発明の発光素子において、好ましい結果を得るには、平均的なクラスターで、クラスター中に含まれる重金属の原子の個数が平均5個以下、好ましくは平均3個以下、更に好ましくは平均1.5個以下のクラスターなど、重金属の粒子をできるだけ小さくすることが発光効率向上の上で好ましい。
【0071】
本素子においてその他の層は一般的な正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層を幅広く用いることが出来る。正孔注入層としてはITOの表面粗さの平滑化や正孔注入効率の向上による低駆動電圧化、長寿命化などの目的のために、スターバーストアミン(starburst amine)誘導体、オリゴアミン(oligo amine)誘導体等を用いることが多く、バッファ層と称することもある。正孔輸送層としては前述のTPD、NPDの他、比較的分子量が大きく且つ立体性に乏しくそのままでは会合しやすい正孔輸送材料に、比較的分子量が小さく且つ立体性を有する正孔輸送材料をブレンドして用いて優れた特性を実現する技術とも組み合わせて用いることも出来る。
【0072】
ここで、『比較的分子量が大きく且つ立体性に乏しくそのままでは会合しやすい正孔輸送材料』としては、N,N’−ビス(4’−ジフェニルアミノ−4−ビフェニリル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(略号:TPT)などのトリフェニアミン多量体、『比較的分子量が小さく且つ立体性を有する正孔輸送材料』としては、4−N,N−ジフェニルアミノ−α−フェニルスチルベン(略号:PS)などのスチルベン系化合物が例示される。その他、従来より有機薄膜EL素子に用いられている各種の材料も、ブレンド型正孔輸送層として用いることができる。
【0073】
電子輸送層としてはTangらがトリス(8−キノリノラト)アルミニウムを用いて以来、幅広く検討されている金属錯体系はもちろん、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体その他の材料も幅広く用いることが出来る。
【0074】
本発明における電子注入電極は、従来の技術で述べたようにTangらの提案したMgAg合金あるいはAlLi合金など、仕事関数が低く電子注入障壁の低い金属と比較的仕事関数が大きく安定な金属との合金を用いることができる他、LiとAlの積層陰極、LiFとAlの積層陰極など、一般に報告されている種々の構成の陰極を用いることができる。
【0075】
尚、本発明の発光素子は、LCDパネルに代わる、発光素子を複数個用いた、文字、記号、画像などの情報表示装置、例えば平面型自発光表示装置などに適用できる。これらの表示装置は単色の発光素子を縦横数個または数十個をマトリクス状に配置して1文字を表示させるようにし、合計縦横数百個すなわち全体で数万個から数十万個の発光素子を配置した文字や記号を表示する装置、あるいはRGB3色(赤、緑、青の3色)の発光素子を一組の画素として、縦横に画素をマトリクス状に配置したカラー表示装置などが例示される。
【0076】
本発明の発光素子の前記(1)、()、(10)、(11)項に記載の発明においては、その要部は、少なくとも一対の電極間に配置された発光領域を有する発光素子において、その発光領域が、電荷輸送を持続できる化合物(注:前記(A)タイプにおいては(a)と(b1)の組み合わせ、前記(B)タイプにおいては(b2)をここでは、電荷輸送を持続できる化合物とまとめて表現した)と、前記極細粒子状の重金属とを混合物として含有することにある。単体層で電荷輸送ができる化合物を発光領域内に含有することで、電荷輸送を持続的に維持せしめ、発光領域およびその周辺あるいは界面での電子正孔の再結合を維持する。そして、その化合物とともに前記極細粒子状の重金属を含有することで、本来禁制遷移で非発光である3重項励起状態から基底状態への発光遷移が所謂重金属効果によって可能となり、かなり高い割合で発生する本来非発光である3重項励起子を発光に使用出来るようになり、極めて高い発光効率が得られるものである。
【0077】
本発明の発光素子の前記(2)および()項に記載の発明においては、本願発明において、前記発光領域が、電荷輸送を持続できる化合物と、前記のような重金属等の発光領域を構成する各成分材料を同時に堆積させて当該材料の混合物とする事により、単体層で電荷輸送ができる化合物を発光領域内に含有することで、電荷輸送を持続的に維持せしめ、発光領域およびその周辺あるいは界面での電子正孔の再結合を維持する。そして、その化合物とともに前記のような重金属を同時に堆積させて当該材料の混合層としたことで、本来禁制遷移で非発光である3重項励起状態から基底状態への発光遷移が所謂重金属効果によって可能となり、かなり高い割合で発生する本来非発光である3重項励起子を発光に使用出来るようになり、極めて高い発光効率が得られるものである。
【0078】
特に本発明の発光素子において、前記()および()項に記載のごとく、電荷輸送を持続できる化合物として、化合物内に、主として電荷輸送に寄与する部分と、発光に寄与する部分とを併せ持つ化合物(b2)を用いた場合には、これにより、十分な電荷輸送と発光が同時に持続可能であり、一段と顕著な高発光効率が認められ好ましい。
【0079】
本発明の発光素子において、前記()項に記載のごとく、前記()または()項の電荷輸送を持続できる化合物が、正孔輸送性発光材料である発光素子とする事により、十分な電荷輸送と発光が同時に持続可能であり、一段と顕著な高発光効率が認められ好ましい。
【0080】
本発明の発光素子において、前記(3)および()項に記載のごとく、前記発光領域における、重金属の含有比を、前記(3)においては、発光材料に対して0.1mol%〜50mol%、また前記()項においては、電荷輸送を持続できる化合物であって当該化合物内に主として電荷輸送に寄与する部分と発光に寄与する部分とを併せ持つ化合物に対して0.1mol%〜50mol%の範囲とすることにより、十分な電荷輸送と発光が同時に持続可能であり、一段と顕著な高発光効率が認められ好ましい。
【0081】
前記(13)、(16)および(20)項に記載の発明においては、その要部は、前記重金属が、主として原子番号57以上の金属であることにある。これにより、電荷輸送を持続できる化合物や、化合物内に主として電荷輸送に寄与する部分と発光に寄与する部分とを併せ持つ化合物など、通常に蛍光や燐光が強く認められる発光材料以外の材料であっても、幅広い有機化合物で、これらの原子番号57以上の重金属との共存により、高い発光効率が得ら好ましい。
【0082】
前記()、()、()、()、(10)、(12)、(17)および(19)項に記載の発明においては、前記重金属が混合された重金属が、当該重金属の原子状粒子及び当該重金属の原子の数が平均10個以下のクラスター粒子から選ばれた極細粒子状の重金属、好ましくは、当該重金属の原子状粒子及び当該重金属の原子の数が平均5個以下のクラスター粒子から選ばれた極細粒子状の重金属のごとく、重金属の粒子ができるだけ小さい状態で発光領域内に存在すると、発光効率が向上し好ましい。
【0083】
次に具体的な実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの具体的な実施例に限定されるものではない。尚、個々の発光材料は、特に入手先を示した化合物以外は、例示した合成例に示すように定法により合成して、十分な精製を行った後に用いた。
【0084】
(実施例1)
図1は、本発明の発光素子である有機薄膜エレクトロルミネセンス素子の断面略図である。図1において、1は透明基板、2が正孔注入電極、3が正孔輸送層、4が本発明で言う発光領域に相当し、電荷輸送を持続できる化合物と重金属とを含み、重金属が混合物として存在する正孔輸送性発光層、5が電子輸送層、6が陰極を示している。他の実施例の発光素子についてもほぼこの態様と同様であるが、本発明は、図示した態様のもののみに限定されるものではない。
【0085】
以下、上記態様の発光素子について更に詳細に説明する。 透明基板1上に正孔注入電極2を形成した基板として、市販のITO付きガラス基板(三容真空株式会社製、サイズ100×100mm×0.7mm(厚み)、シート抵抗約14Ω/□)を用い、電子注入電極との重なりにより発光面積が1.4×1.4mmとなるようにフォトリソグラフィーによりパターン化した。フォトリソグラフィーによりパターン化後の基板処理は市販のレジスト剥離液(ジメチルスルホキシドとN−メチル−2−ピロリドンとの混合溶液)に浸漬して剥離を行った後、アセトンでリンスし、さらに発煙硝酸中に1分間浸漬して完全にレジストを除去した。ITO表面の洗浄は、基板の裏面表面の両面を十分に行い、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの0.238重量%水溶液を十分に供給しながら、ナイロンブラシによる機械的な擦り洗浄を行った。その後、純水で十分にすすぎ、スピン乾燥を行った。その後、市販のプラズマリアクター(ヤマト科学株式会社製、“PR41型”)中で、酸素流量20sccm、圧力26.66Pa(0.2Torr)、高周波出力300Wの条件で1分間の酸素プラズマ処理を行った。
【0086】
このように準備した正孔注入電極付基板を真空槽内に配置した。真空蒸着装置は市販の高真空蒸着装置(日本真空技術株式会社製、“EBV−6DA型”)を改造した装置を用いた。主たる排気装置は排気速度1500リットル/minのターボ分子ポンプ(大阪真空株式会社製、“TC1500”)であり、到達真空度は約133.3×10-6Pa(約1×10-6Torr)以下であり、全ての蒸着は266.6〜399.9×10-6Pa(2〜3×10-6Torr)の範囲で行った。また全ての有機化合物の蒸着はタングステン製の抵抗加熱式蒸着ボートに直流電源(菊水電子株式会社製、“PAK10−70A”)を接続して行い、重金属の蒸着は市販のエレクトロンビーム(EB)蒸着源にプラズマクッラカーを組み合わせて作成したイオンプレーティング装置で行った。
【0087】
このようにして真空層中に配置した正孔注入電極付基板上に、正孔輸送層3としてN,N’−ビス(4’−ジフェニルアミノ−4−ビフェニリル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(略号“TPT”、保土ヶ谷化学株式会社製)を蒸着速度0.3(nm/sec)で、4−N,N−ジフェニルアミノ−α−フェニルスチルベン(略号“PS”)を蒸着速度0.01(nm/sec)で共蒸着し、膜厚約80nmのブレンド型正孔輸送層3を形成した。
【0088】
次に、本発明で言う発光領域4に相当する正孔輸送性発光層として、[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル][4−(ジフェニルアミノ)フェニル]フェニルアミン(略号“PPDA−PS”)と、Irをそれぞれ、0.3nm/sec、0.01nm/secの蒸着速度で膜厚約40nmに形成した。発光領域中に分散・混合されたIrは、ほとんどが単独の原子状態のIrとして分散・混合されていた。
【0089】
ここで[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル][4−(ジフェニルアミノ)フェニル]フェニルアミン(略号“PPDA−PS”)は次のように合成して得た。
【0090】
300ml四つ口フラスコにN,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン41.4g、ヨードベンゼン66g、ニトロベンゼン100ml、K2CO345g、銅粉10.8gとI2(trace)を入れ、生成する水を留去しながら攪拌下に24時間穏やかに還流した。次いで水蒸気蒸留を行い、留出物が出なくなったら冷却後残さを濾別し、水洗し、トルエンにて抽出した。トルエン留去後残さにエタノールを加えて濾別した。トルエン:エタノール=4:1(容量比)の溶媒を用いて再結晶を行い、36.5gのN,N,N’,N’−テトラフェニル−p−フェニレンジアミンを得た。mp=200〜202℃。
【0091】
次いで200ml四つ口フラスコにN−メチルホルムアニリド24g、o−ジクロロベンゼン20mlの混合物中に25℃にてPOCl324g(14ml)を1時間かけて滴下した。次いで上記で得たN,N,N’,N’−テトラフェニル−p−フェニレンジアミン36gを加え、更に90〜95℃にて2時間攪拌を続けた(途中で固化したためo−ジクロロベンゼン30mlを追加した)。反応後冷却し、これを濃度10体積%のH2SO470ml中に注加し、トルエンで抽出した。得られたトルエン溶液は水、濃度5体積%−Na2CO3水溶液、水にて順次洗浄し、Na2SO4にて乾燥した。トルエン留去後得られた生成物を少量のトルエンに溶かしてシリカカラムクロマトを行った。25.8gの黄色結晶、p−(N−フェニル−N−p’−N’,N’−ジフェニルアミノフェニル)アミノベンズアルデヒドを得た。mp=136〜138℃。
【0092】
次いで200ml三つ口フラスコに、ジエチル−1,1−ジフェニルメチルホスホネート8g、上記で得たp−(N−フェニル−N−p’−N’,N’−ジフェニルアミノフェニル)アミノベンズアルデヒド13.3gを乾燥N,N―ジメチルフォルムアミド(DMF)80mlに溶かし、ターシャリイブトキシカリウム(t−BuOK)3.5gを21〜33℃にて30分を要して加えた。次いで20〜25℃にて3.5時間攪拌を続けた。次にこの液を氷水300ml中にかき混ぜながら注加した。トルエン抽出、水洗を行い、トルエン留去後トルエン溶媒でアルミナカラムクロマトを行い、0.9gの[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル][4−(ジフェニルアミノ)フェニル]フェニルアミン(略号“PPDA−PS”)を得た。mp=218〜219℃。
【0093】
次に、電子輸送層5としてトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略号“Alq3”、同仁化学株式会社製)を0.3nm/secの蒸着速度で膜厚約20nmに形成した。
【0094】
次に、陰極6として、AlLi合金(高純度化学株式会社製、Al/Li重量比99/1)から低温でLiのみを、約0.1nm/sの蒸着速度で膜厚約1nmに形成し、続いて、そのAlLi合金をさらに昇温しLiが出尽くした状態から、Alのみを、約1.5nm/secの蒸着速度で膜厚約100nmに形成し、積層型の陰極とした。
【0095】
このようにして作成した薄膜EL素子は、蒸着槽内を乾燥窒素で充満した後、外雰囲気の影響を受けにくくするために、乾燥窒素雰囲気下で、“コーニング7059ガラス”(Corning Glass Works製の無アルカリ硼珪酸ガラス)製の蓋を接着剤(アネルバ株式会社製、商品名“スーパーバックシール953−7000”)で貼り付けてサンプルとした。
【0096】
このようにして得た薄膜EL素子サンプルは、次のようにして評価を行った。
【0097】
初期の評価は素子の蒸着後ガラス蓋を接着してから12時間後に常温常湿の通常の実験室環境で行い、発光効率(cd/A)、1000(cd/m2)発光時の駆動電圧を評価した。また初期輝度が1000(cd/m2)となる電流値で、常温常湿の通常の実験室環境で直流定電流駆動で連続発光試験を行った。この試験から、輝度が半減(500cd/m2)に達した時間を寿命として評価した。
【0098】
DC駆動電源は直流定電流電源(アドバンテスト株式会社製、商品名“マルチチャンネルカレントボルテージコントローラーTR6163”)を用い、電圧電流特性を測定するとともに、輝度は輝度計(東京光学機械株式会社製、商品名“トプコンルミネセンスメーターBM−8”)によって測定した。輝度ムラ、黒点(非発光部)等の発光画像品質は、50倍の光学顕微鏡により観察した。
【0099】
パルス駆動は自作の定電流パルス駆動回路を用い、パルス周期は100Hz(10ms)、デューティー1/240(パルス幅42μs)、パルス波形は方形波として、パルス電流値を種々の値に設定して評価を行った。輝度は輝度計(東京光学機械株式会社製、商品名“トプコンルミネセンスメーターBM−8”)によって測定して、平均輝度が270(cd/m2)となる時のパルス駆動電圧を測定した。また初期輝度が270(cd/m2)となるパルス電圧値で、常温常湿の通常の実験室環境で連続パルス駆動を行って連続発光試験を行った。この試験から輝度が半減(135cd/m2)に達した時間を測定した。
【0100】
発光領域中に混合された重金属のクラスターの大きさ、すなわちクラスター中に含まれる当該重金属の原子の個数、或いは、当該重金属が単独の原子状態で分散・混合されているかなどの発光領域中に混合された重金属粒子の状態は、発光領域として成膜後、通常の薄膜分析法として多用されるTEM(透過電子顕微鏡)観察を行うことにより、重金属原子の原子の状態を観察した。
【0101】
これらの評価結果を(表1)に示す。
【0102】
本実施例によれば、高い発光効率を有し、低い駆動電圧で自発光で視認性に優れた発光が得られ、連続発光試験においても輝度低下が小さく、黒点や輝度ムラなどの不具合も無く、極めて長期間にわたって安定して使用できる薄膜EL素子を実現できた。
【0103】
特に実際のパネルにおける駆動に相当するパルス駆動時においても、高効率で駆動電圧が低く、連続発光試験においても輝度低下が小さく、黒点や輝度ムラなどの不具合も無く、極めて長期間にわたって安定して使用できる薄膜EL素子を実現できた。
【0104】
(実施例2)
実施例1の正孔輸送性発光層の形成において、[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル][4−(ジフェニルアミノ)フェニル]フェニルアミン(PPDA−PS)の代わりに、[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル](4−メトキシフェニル){4−[(4−メトキシフェニル)フェニルアミノ]フェニル}アミン(略号“M2PPDA−PS”)を用いた以外は実施例1と同様にして薄膜EL素子サンプルを作成した。
【0105】
ここで[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル](4−メトキシフェニル){4−[(4−メトキシフェニル)フェニルアミノ]フェニル}アミン(M2PPDA−PS)は次のように合成して得た。
【0106】
300ml四つ口フラスコにN,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン27.6g、p−ヨードアニソール50g、ニトロベンゼン75ml、K2CO330g、銅粉7.2gとI2(trace)を入れ、生成する水を留去しながら攪拌下に24時間穏やかに還流した。次いで水蒸気蒸留を行い、留出物が出なくなったら冷却後残さをトルエンにて抽出した。トルエンを留去後残さをトルエン溶媒にてアルミナカラムクロマトを行った。トルエン留去後、残さをトルエン:エタノール(体積比1:3)の溶媒で再結晶を行い、35.3gのN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(p−メトキシフェニル)−p−フェニレンジアミンを得た。mp=132〜134℃。
【0107】
次いで200ml四つ口フラスコにN−メチルホルムアニリド20.4g、o−ジクロロベンゼン17mlの混合物中に25℃にてPOCl320.4g(12ml)を1時間かけて滴下した。次いで上記で得たN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(p−メトキシフェニル)−p−フェニレンジアミン35gを加え、更に90〜95℃にて2時間攪拌を続けた。反応後冷却し、反応液を濃度10体積%−H2SO470ml中に注加し、トルエンで抽出した。得られたトルエン溶液は水、濃度5体積%−Na2CO3、水にて順次洗浄し、Na2SO4にて乾燥した。トルエン留去後得られた生成物をトルエン溶媒にてシリカカラムクロマトを行った。トルエンを留去後、残さをエタノールで再結晶化した。16.9gの橙色結晶、p−[N−(p−メトキシフェニル)−N−{p−N’−フェニル−N’−(p−メトキシフェニル)アミノフェニル}]−アミノベンズアルデヒドを得た。mp=160〜161℃。
【0108】
次いで200ml三つ口フラスコに、ジエチル−1,1−ジフェニルメチルホスホネート9.9g、上記で得たp−[N−(p−メトキシフェニル)−N−{p−N’−フェニル−N’−(p−メトキシフェニル)アミノフェニル}]−アミノベンズアルデヒド16.4gを乾燥DMF65mlに溶かし、t−BuOK4.4gを21〜33℃にて30分かけて加えた。次いで20〜25℃にて3.5時間攪拌を続けた。次いでこれを氷水300ml中にかき混ぜながら注加した。これをトルエンで抽出し、水洗し、トルエン留去後トルエン溶媒でアルミナカラムクロマトを行い、0.7gの[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル](4−メトキシフェニル){4−[(4−メトキシフェニル)フェニルアミノ]フェニル}アミン(M2PPDA−PS)を得た。mp=271〜272℃。
【0109】
このようにして合成した材料を正孔輸送性発光材料として用いて、実施例1と同様にしてIrと共蒸着して本発明の発光領域としての正孔輸送性発光層を形成した以外は実施例1と同様にして薄膜EL素子サンプルを作成し、実施例1に記載のような評価を行った。尚、発光領域中に分散・混合されたIrは、ほとんどが単独の原子状態のIrとして分散・混合されていた。
【0110】
その結果を(表1)に示す。
【0111】
(実施例3)
実施例1の正孔輸送性発光層の形成において、[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル][4−(ジフェニルアミノ)フェニル]フェニルアミン(PPDA−PS)の代わりに、(4−{[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル](4−(9−アンスリル)フェニル)アミノ}フェニル)ジフェニルアミン(略号“PPDA−PS−A”)を用い、実施例1と同様にしてIrと共蒸着した以外は実施例1と同様にして薄膜EL素子サンプルを作成し、実施例1に記載のような評価を行った。その結果を(表1)に示す。
【0112】
ここで(4−{[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル](4−(9−アンスリル)フェニル)アミノ}フェニル)ジフェニルアミン(PPDA−PS−A)は次のように合成して得た。
【0113】
出発原料としてN−アセチル−1,4フェニレンジアミン(N-acetyl-1,4-phenylenediamine)にヨードベンゼンをウルマン反応させた後、加水分解し、さらに9−(4−ヨードフェニル)アントラセン[9-(4-iodophenyl)anthracene]をウルマン反応させて4−(アントラセン−9−イル)フェニル−トリフェニル−フェニレンジアミン[4-(anthracene-9-yl)phenyl-triphenyl-phenylendiamine]を得た。
【0114】
さらにフィルスマイヤー(Vilsmeier)反応を用いて図2の反応式に示したようにホルミル化を行う。尚、図2は、フィルスマイヤー(Vilsmeier)反応による4−(アントラセン−9−イル)フェニル−トリフェニル−フェニレンジアミンのホルミル化を示す反応式である。ホルミル化を高い反応性を得るためにはジメチルホルムアミド(DMF)を用いた報告例も多いが、反応選択性を出し目的物の割合を少しでも増すため、N−メチルホルムアニリド(N-methylformanilide)を用いた。フィルスマイヤー(Vilsmeier)反応は求電子付加(electrophilic addition)であるため、最もHOMO電子密度(HOMO:highest occupied molecular orbital=最高被占分子軌道)の高いCが反応部位となり、Nと直接結合したベンゼン環のp位がホルミル化される。カラム展開により十分な単離を行って目的物を抽出した。
【0115】
最後にジフェニルブロモメタンとエチルホスフェートから得たジフェニルメチルホスホン酸ジエチルは減圧蒸留してから最終反応に用い、前記のようにホルミル化した部分にジフェニルビニル基を反応させた。このようにして得た化合物はさらにカラム展開によって十分に単離した後、さらに十分な昇華精製を行った後に、発光素子作成に用いた。
【0116】
一般にビニル結合はウルマン(Ullmann)反応の高温に耐えないものと思われるので、先にウルマン(Ullmann)反応で骨格を得て、その後フィルスマイヤー(Vilsmeier)反応でホルミル化し、最後にジフェニルビニル基を付加する経路からの合成例を示したが、Pd触媒等を用いて、アントラセン部分とのカップリングを最後に行う方法でより高い収率で得る方法もあり、この場合も発光素子特性としては同様の結果を得た。
【0117】
また、発光領域中に分散・混合されたIrは、ほとんどが単独の原子状態のIrとして分散・混合されていた。
【0118】
(実施例4)
実施例1の正孔輸送性発光層の形成において、[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル][4−(ジフェニルアミノ)フェニル]フェニルアミン(PPDA−PS)の代わりに、(4−{[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル][4−(10−メトキシ(9−アンスリル))フェニル]アミノ}フェニル)ジフェニルアミン(略号“PPDA−PS−AM”)を用い、実施例1と同様にしてIrと共蒸着した以外は実施例1と同様にして薄膜EL素子サンプルを作成し、実施例1に記載のような評価を行った。その結果を(表1)に示す。
【0119】
ここで(4−{[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル][4−(10−メトキシ(9−アンスリル))フェニル]アミノ}フェニル)ジフェニルアミン(PPDA−PS−AM)は次のように合成して得た。
【0120】
実施例3において用いた、9−(4−ヨードフェニル)アントラセン[9-(4-iodophenyl)anthracene]の代わりに、10−(4−ヨードフェニル)−9−メトキシアントラセン[10-(4-iodophenyl)-9-methoxyanthracene]を用いた以外は、実施例3と同様に合成を行った。またこの化合物も、例示した合成方法の他、Pd触媒等を用いて、アントラセン部分とのカップリングを最後に行う方法でより高い収率で得る方法もあり、この場合も発光素子特性としては同様の結果を得た。
【0121】
また、発光領域中に分散・混合されたIrは、ほとんどが単独の原子状態のIrとして分散・混合されていた。
【0122】
(実施例5)
実施例3の正孔輸送性発光層の形成において、Irの代わりに、Ptを用いた以外は実施例1と同様にして薄膜EL素子サンプルを作成し、実施例1に記載のような評価を行った。尚、発光領域中に分散・混合されたPtは、ほとんどが単独の原子状態のPtとして分散・混合されていた。
【0123】
その結果を(表1)に示す。
【0124】
(実施例6)
実施例3の正孔輸送性発光層の形成において、Irの代わりに、Auを用いた以外は実施例1と同様にして薄膜EL素子サンプルを作成し、実施例1に記載のような評価を行った。尚、発光領域中に分散・混合されたAuは、ほとんどが単独の原子状態のAuとして分散・混合されていた。
【0125】
その結果を(表1)に示す。
【0126】
(実施例7)
実施例3の正孔輸送性発光層の形成において、Irの代わりに、Laを用いた以外は実施例1と同様にして薄膜EL素子サンプルを作成し、実施例1に記載のような評価を行った。尚、発光領域中に分散・混合されたLaは、ほとんどが単独の原子状態のLaとして分散・混合されていた。
【0127】
その結果を(表1)に示す。
【0128】
(実施例8)
実施例3の正孔輸送性発光層の形成において、Irの代わりに、Tbを用いた以外は実施例1と同様にして薄膜EL素子サンプルを作成し、実施例1に記載のような評価を行った。尚、発光領域中に分散・混合されたTbは、ほとんどが単独の原子状態のTbとして分散・混合されていた。
【0129】
その結果を(表1)に示す。
【0130】
(実施例9)
実施例1の正孔輸送性発光層の形成を以下のように行った以外は、実施例1と同様にして薄膜EL素子サンプルを作成し,実施例1に記載のような評価を行った。
【0131】
その結果を(表1)に示す。
【0132】
ここで本発明で言う発光領域に相当する正孔輸送性発光層は次のように形成した。
【0133】
電荷輸送を持続出来る化合物である4,4’−ビス(カルバゾル−9イル)ビフェニル(略号“CBP”、ケミプロ化成株式会社製)と、発光材料である[2−メチル−6−[2−(2,3,6,7−テトラヒデロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン]プロペン−ジニトリル(略号“DCM2”、コダック株式会社製)と、Irとをそれぞれ、0.3nm/sec、0.01nm/sec、0.01nm/secの蒸着速度で膜厚約40nmに形成した。Irの蒸着は、実施例1と同様、エレクトロンビーム(EB)蒸着源にプラズマクッラカーを組み合わせて作成したイオンプレーティング装置で行った。
【0134】
尚、発光領域中に分散・混合されたIrは、ほとんどが単独の原子状態のIrとして分散・混合されていた。
【0135】
(比較例1)
実施例1の正孔輸送性発光層の形成において、Irの共蒸着を行わず、[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル][4−(ジフェニルアミノ)フェニル]フェニルアミン(PPDA−PS)のみを用いた以外は実施例1と同様にして薄膜EL素子サンプルを作成し、実施例1に記載のように評価を行った。
【0136】
その結果を(表1)に示す。
【0137】
(比較例2)
実施例2の正孔輸送性発光層の形成において、Irの共蒸着を行わず、[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル](4−メトキシフェニル){4−[(4−メトキシフェニル)フェニルアミノ]フェニル}アミン(M2PPDA−PS)のみを用いた以外は実施例2と同様にして薄膜EL素子サンプルを作成し、実施例1に記載のような評価を行った。
【0138】
その結果を(表1)に示す。
【0139】
(比較例3)
実施例1の正孔輸送性発光層の形成において、Irの代わりにBaを[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル][4−(ジフェニルアミノ)フェニル]フェニルアミン(PPDA−PS)とともに共蒸着して用いた以外は実施例1と同様にして薄膜EL素子サンプルを作成し、実施例1に記載のような評価を行った。その結果を(表1)に示す。
【0140】
尚、発光領域中に分散・混合されたBaは、ほとんどが単独の原子状態のBaとして分散・混合されていた。
【0141】
(比較例4)
実施例2の正孔輸送性発光層の形成において、Irの代わりにBaを[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル](4−メトキシフェニル){4−[(4−メトキシフェニル)フェニルアミノ]フェニル}アミン(M2PPDA−PS)とともに実施例2と同様にして共蒸着して用いた以外は実施例2と同様にして薄膜EL素子サンプルを作成し、実施例1に記載のような評価を行った。その結果を(表1)に示す。
【0142】
尚、発光領域中に分散・混合されたBaは、ほとんどが単独の原子状態のBaとして分散・混合されていた。
【0143】
(比較例5)
実施例9の正孔輸送性発光層の形成において、Irの共蒸着を行わず、4,4’−ビス(カルバゾル−9イル)ビフェニル(CBP、ケミプロ化成株式会社製)と、[2−メチル−6−[2−(2,3,6,7−テトラヒデロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン]プロペン−ジニトリル(DCM2、コダック株式会社製)のみを用いた以外は、実施例9と同様にして薄膜EL素子サンプルを作成し,実施例1に記載のような評価を行った。
その結果を(表1)に示す。
【0144】
【表1】
Figure 0003598097
【0145】
(表1)において各実施例および比較例の素子構成は略号によって略記されており、
TPTは、N,N’−ビス(4’−ジフェニルアミノ−4−ビフェニリル)−N,N’−ジフェニルベンジジン、
PSは、4−N,N−ジフェニルアミノ−α−フェニルスチルベン、
PPDA−PSは、[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル][4−(ジフェニルアミノ)フェニル]フェニルアミン、
M2PPDA−PSは、[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル](4−メトキシフェニル){4−[(4−メトキシフェニル)フェニルアミノ]フェニル}アミン、
PPDA−PS−Aは、(4−{[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル](4−(9−アンスリル)フェニル)アミノ}フェニル)ジフェニルアミン、
PPDA−PS−AMは、(4−{[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル][4−(10−メトキシ(9−アンスリル))フェニル]アミノ}フェニル)ジフェニルアミン、
Alq3は、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム、
CBPは、4,4’−ビス(カルバゾル−9イル)ビフェニル、
DCM2は、[2−メチル−6−[2−(2,3,6,7−テトラヒデロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン]プロペン−ジニトリル、
Alは、アルミニウム、
Liは、リチウム、
Irは、イリジウム、
Ptは、白金、
Auは、金、
Laは、ランタン、
Tbは、テルビウム、
Baは、バリウム、
を表し、左から積層構成を表す記号として/で区切ってITO電極側から順に記載した。()内の数字は膜厚をnmで示し、+はドーピング混合など両成分の共存膜を示す。
【0146】
【発明の効果】
以上、本発明に係る発光素子およびその製造方法、およびそれらを用いた表示装置について説明したが、本発明は、
有機発光層中に重金属混合物として含有し、前記混合された重金属が、当該重金属の原子状粒子及び当該重金属の原子の数が平均10個以下のクラスター粒子から選ばれた極細粒子状の重金属からなる発光素子とすることにより、
更には、少なくとも一対の電極間に配置された発光領域を有する発光素子であって、前記発光領域が、(A)発光材料と、電荷輸送を持続できる化合物と、前記のような極細粒子状の重金属とを、混合物として含有するか、(B)電荷輸送を持続できる化合物であって当該化合物内に主として電荷輸送に寄与する部分と発光に寄与する部分とを併せ持つ化合物と、前記のような極細粒子状の重金属とを、混合物として含有することによって、
あるいは、
これらの(A)または(B)のそれぞれにおいて、それぞれの発光領域が、上述した各構成成分を同時に堆積させて当該材料の混合物からなる層とすることによって、
高い発光効率を有し、ムラや黒点などの欠陥もなく、低い駆動電圧で自発光で視認性に優れた発光が得られ、連続発光試験においても輝度低下が小さく、少ない消費電力で、極めて長期間にわたって安定して使用できる薄膜EL素子を実現できるものである。
【0147】
また、実際のパッシブマトリクスパネルでの駆動に対応するパルス駆動の場合でも、低い駆動電圧と高い効率、高い信頼性を有し、少ない消費電力で、極めて長期間にわたって安定して使用できる薄膜EL素子を実現できるものである。
【0148】
さらに好ましくは、前記電荷輸送を持続できる化合物が、化合物内に、主として電荷輸送に寄与する部分と、発光に寄与する部分とを併せ持つことによって、
さらに好ましくは、それが正孔輸送性発光材料であることによって、
さらに好ましくは、前記発光領域における、前記重金属の含有比を、発光材料または電荷輸送に寄与する部分と発光に寄与する部分とを併せ持つ化合物に対し、0.1mol%以上、50mol%以下であることによって、
あるいは、
さらに好ましくは、前記発光領域における、重金属が当該重金属の原子状粒子及び当該重金属の原子の数が平均5個以下のクラスター粒子から選ばれた極細粒子状の重金属のごとく、重金属の粒子ができるだけ小さい状態で混合されていることにより、いずれの場合も発光効率の向上など、より顕著な効果が発揮される。
【0149】
従って、本発明は有用な薄膜EL素子を提供出来ると共に、本発明の薄膜EL素子は、平面型自発光表示装置をはじめ、通信、照明その他の用途に供する各種光源として使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の発光素子である有機薄膜エレクトロルミネセンス素子の一実施形態の断面略図。
【図2】フィルスマイヤー(Vilsmeier)反応による4−(アントラセン−9−イル)フェニル−トリフェニル−フェニレンジアミンのホルミル化を示す反応式を示す図。
【符号の説明】
1 透明基板
2 正孔注入電極
3 正孔輸送層
4 発光領域(正孔輸送性発光層)
5 電子輸送層
6 陰極

Claims (21)

  1. 一対の電極間に少なくとも発光領域を有する発光素子であって、前記発光領域が、発光材料と、電荷輸送を持続できる化合物と、重金属とを、混合物として含有し、前記混合された重金属が、当該重金属の原子状粒子及び当該重金属の原子の数が平均10個以下のクラスター粒子から選ばれた極細粒子状の重金属からなる発光素子。
  2. 一対の電極間に少なくとも発光領域を有する発光素子であって、前記発光領域が、発光材料と、電荷輸送を持続できる化合物と、重金属とを、同時に堆積させて得られる当該材料の混合物からなり、前記重金属が、当該重金属の原子状粒子及び当該重金属の原子の数が平均10個以下のクラスター粒子から選ばれた極細粒子状の重金属からなる発光素子。
  3. 発光領域における重金属の含有比が、発光材料に対して0.1mol%〜50mol%である請求項1または2に記載の発光素子。
  4. 前記重金属が、当該重金属の原子状粒子及び当該重金属の原子の数が平均5個以下のクラスター粒子から選ばれた極細粒子状の重金属からなる請求項1〜3のいずれかに記載の発光素子。
  5. 一対の電極間に少なくとも発光領域を有する発光素子であって、前記発光領域が、電荷輸送を持続できる化合物であって当該化合物内に主として電荷輸送に寄与する部分と発光に寄与する部分とを併せ持つ化合物と、重金属とを、混合物として含有し、前記混合された重金属が、当該重金属の原子状粒子及び当該重金属の原子の数が平均10個以下のクラスター粒子から選ばれた極細粒子状の重金属からなる発光素子。
  6. 一対の電極間に少なくとも発光領域を有する発光素子であって、前記発光領域が、電荷輸送を持続できる化合物であって当該化合物内に主として電荷輸送に寄与する部分と発光に寄与する部分とを併せ持つ化合物と、重金属とを、同時に堆積させて得られる当該材料の混合物からなり、前記重金属が、当該重金属の原子状粒子及び当該重金属の原子の数が平均10個以下のクラスター粒子から選ばれた極細粒子状の重金属からなる発光素子。
  7. 電荷輸送を持続できる化合物が、化合物内に主として電荷輸送に寄与する部分と発光に寄与する部分とを併せ持つ正孔輸送性発光材料からなる請求項またはに記載の発光素子。
  8. 発光領域における、重金属の含有比が、電荷輸送を持続できる化合物であって当該化合物内に主として電荷輸送に寄与する部分と発光に寄与する部分とを併せ持つ化合物に対して0.1mol%〜50mol%である請求項5〜7のいずれかに記載の発光素子。
  9. 前記重金属が、当該重金属の原子状粒子及び当該重金属の原子の数が平均5個以下のクラスター粒子から選ばれた極細粒子状の重金属からなる請求項5〜8のいずれかに記載の発光素子。
  10. 一対の電極間に少なくとも発光領域を有する発光素子であって、前記発光領域が、発光材料と、電荷輸送を持続できる化合物と、重金属とを、混合物として含有し、前記混合された重金属が、当該重金属の原子状粒子及び当該重金属の原子の数が平均10個以下のクラスター粒子から選ばれた極細粒子状の重金属からなり、当該発光領域が、発光材料と電荷輸送を持続できる化合物との混合物のみからなる場合と比較して、単位電荷の再結合に対する発光の割合が増加する発光素子。
  11. 一対の電極間に少なくとも発光領域を有する発光素子であって、前記発光領域が、電荷輸送を持続できる化合物であって当該化合物内に主として電荷輸送に寄与する部分と発光に寄与する部分とを併せ持つ化合物と、重金属とを、混合物として含有し、前記混合された重金属が、当該重金属の原子状粒子及び当該重金属の原子の数が平均10個以下のクラスター粒子から選ばれた極細粒子状の重金属からなり、当該発光領域が、電荷輸送を持続できる化合物であって当該化合物内に主として電荷輸送に寄与する部分と発光に寄与する部分とを併せ持つ化合物のみからなる場合と比較して、単位電荷の再結合に対する発光の割合が増加する発光素子。
  12. 混合された重金属が、当該重金属の原子状粒子及び当該重金属の原子の数が平均5個以下のクラスター粒子から選ばれた極細粒子状の重金属からなる請求項10または11に記載の発光素子。
  13. 重金属が、主として原子番号57以上の金属である請求項1〜12のいずれかに記載の発光素子。
  14. 一対の電極間に少なくとも発光領域を有する発光素子の製造方法であって、前記発光領域内の少なくとも一つの層を、発光材料と、電荷輸送を持続できる化合物と、重金属とを、同時に堆積させることで成膜し、かつ前記重金属の堆積が、クラッキング手段を通して堆積させる堆積である発光素子の製造方法。
  15. 一対の電極間に少なくとも発光領域を有する発光素子の製造方法であって、前記発光領域内の少なくとも一つの層を、電荷輸送を持続できる化合物であって当該化合物内に主として電荷輸送に寄与する部分と発光に寄与する部分とを併せ持つ化合物と、重金属とを、同時に堆積させることで成膜し、かつ前記重金属の堆積が、クラッキング手段を通して堆積させる堆積である発光素子の製造方法。
  16. 重金属が、主として原子番号57以上の金属である請求項14〜15のいずれかに記載の発光素子の製造方法。
  17. 一対の電極間に少なくとも発光領域を有する発光素子を複数用いた表示装置であって、前記発光素子内の発光領域が、発光材料と、電荷輸送を持続できる化合物と、重金属とを、混合物として含有し、前記混合された重金属が、当該重金属の原子状粒子及び当該重金属の原子の数が平均10個以下のクラスター粒子から選ばれた極細粒子状の重金属である発光領域からなる表示装置。
  18. 一対の電極間に少なくとも発光領域を有する発光素子を複数用いた表示装置であって、前記発光素子内の発光領域が、電荷輸送を持続できる化合物であって当該化合物内に主として電荷輸送に寄与する部分と発光に寄与する部分とを併せ持つ化合物と、重金属とを、混合物として含有し、前記混合された重金属が、当該重金属の原子状粒子及び当該重金属の原子の数が平均10個以下のクラスター粒子から選ばれた極細粒子状の重金属である発光領域からなる表示装置。
  19. 混合された重金属が、当該重金属の原子状粒子及び当該重金属の原子の数が平均5個以下のクラスター粒子から選ばれた極細粒子状の重金属からなる請求項17または18に記載の表示装置。
  20. 重金属が、主として原子番号57以上の金属である請求項17〜19のいずれかに記載の表示装置。
  21. 有機発光層中に重金属混合物として含有し、前記混合された重金属が、当該重金属の原子状粒子及び当該重金属の原子の数が平均10個以下のクラスター粒子から選ばれた極細粒子状の重金属からなる発光素子。
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