JP3597811B2 - 口座振替処理システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、口座振替処理システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、特開2000−82101号公報には、正当な口座(実口座)と関連付けられた振込専用の口座(仮想口座)を設け、個々の仮想口座を振込予定人と関連付けることにより、支払人を特定可能な振込処理システムが開示されている。振込まれた口座番号が仮想口座の場合、銀行システムは、その口座番号や関連情報を所定箇所に付加し、仮想口座番号を実口座番号に変換した上で、その実口座に関する処理を行う。そして、受取人に対する振込通知では、支払人毎の仮想口座番号や関連情報も付加される。この通知を受取った受取人は、振込まれた仮想口座から支払人(振込依頼人)を特定できる。
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来のシステムでは、仮想口座に振り込まれた金額が間違っている場合(請求金額と相違する場合)でも、仮想口座から実口座への入金処理が自動的に行われてしまうという不都合がある。したがって、受取人にとっては、自己の売掛金の消込み作業(入金の確認作業)において、支払人は特定できても、振り込まれた金額と請求金額とのマッチングに関しては、請求明細と付き合わせて個別にチェックする必要が生じる。
【0003】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、支払人による入金金額の正当性を銀行システム側でチェックすることにより、消込み作業を行う者の負担軽減を図ることである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するために、第1の発明は、支払人と関連付けられた複数の貸与口座から、複数の貸与口座と関連付けられており、それぞれの貸与口座に入金された資金を取りまとめる取りまとめ口座への口座振替を行う口座振替処理方法を提供する。この処理方法は、銀行システムが、入金があった貸与口座に関して予め設定されている振替金額に基づいて、入金があった貸与口座から取りまとめ口座への口座振替が可能であるか否かを判断する第1のステップと、取りまとめ口座への口座振替が可能である場合、銀行システムが、貸与口座と関連付けられた取りまとめ口座に対して、振替金額相当の振替処理を行う第2のステップと、銀行システムが、判断結果に応じて貸与口座のステータスを設定し、当該設定後のステータスを貸与口座番号と関連付けて保持する第3のステップとを有する。
【0005】
ここで、上記第2のステップにおいて、銀行システムは、貸与口座の入金処理後の残高または貸与口座の入金金額が振替金額以上である場合、口座振替が可能であると判断することが好ましい。この場合、上記第3のステップは、貸与口座の入金後の残高または貸与口座の入金金額が振替金額と一致する場合、貸与口座から取りまとめ口座への口座振替が行われたことを示すステータスを保持するステップを含むことが好ましい。また、貸与口座の入金後の残高または貸与口座の入金金額が振替金額よりも多い場合、貸与口座から取りまとめ口座への口座振替が行われたことを示すステータスと貸与口座の超過額とを保持するステップを含むことが好ましい。さらに、貸与口座の入金後の残高または貸与口座の入金金額が振替金額よりも少ない場合、貸与口座から取りまとめ口座への口座振替が行われなかったことを示すステータスと貸与口座の残高とを保持するステップを含むことが好ましい。
【0006】
また、第1の発明において、銀行システムが、入金があった貸与口座に関するステータスを参照して、当該貸与口座が振替処理を実行済みであるか否かを判断する第4のステップをさらに設けてもよい。この場合、第3のステップは、貸与口座が振替処理を実行済みであるならば、貸与口座から取りまとめ口座への口座振替が行われなかったことを示すステータスと貸与口座の残高とを保持するステップを含むことが好ましい。
【0007】
また、第1の発明において、銀行システムが、貸与口座への入金日が、当該貸与口座に関して予め設定されている振替対象期間内であるか否かを判断する第5のステップをさらに設けてもよい。この場合、第3のステップは、入金日が振替対象期間内でないならば、貸与口座から取りまとめ口座への口座振替が行われなかったことを示すステータスと貸与口座の残高とを保持するステップを含むことが好ましい。
【0008】
第2の発明は、支払人と関連付けられた複数の貸与口座から、複数の貸与口座と関連付けられており、それぞれの貸与口座に入金された資金を取りまとめる取りまとめ口座への口座振替を行う口座振替処理方法を提供する。この処理方法は、銀行システムが、個々の支払い請求の内容を示す請求データを顧客コンピュータより受信する第1のステップと、銀行システムが、請求データを銀行側のフォーマットに変換する第2のステップと、銀行システムが、フォーマット変換後のデータに基づいて、個々の貸与口座に対応して設けられ、口座振替情報が記述されたレコードの集合である口座振替ファイルに新規レコードを追加する第3のステップと、銀行システムが、貸与口座に入金があった場合、この貸与口座に関するレコードに記述された口座振替情報の一部である口座振替の実行条件に合致するならば、貸与口座から貸与口座と関連付けられている取りまとめ口座への口座振替を行う第4のステップとを有する。
【0009】
ここで、第2の発明において、上記口座振替の実行条件は、貸与口座への入金金額が振替金額以上であること、入金日が振替対象期間内であること、および、入金があった貸与口座が振替処理を実行済みでないこと、を満たすことが好ましい。
【0010】
第3の発明は、支払人と関連付けられた複数の貸与口座から、複数の貸与口座と関連付けられており、それぞれの貸与口座に入金された資金を取りまとめる取りまとめ口座への口座振替を行う口座振替情報の検索方法を提供する。この処理方法は、銀行システムが、貸与口座から取りまとめ口座への口座振替処理結果に応じて、個々の貸与口座に対応して設けられ、口座振替情報が記述されたレコードの集合である口座振替ファイルを更新する第1のステップと、顧客コンピュータより口座振替状況の照会依頼を受信した場合、銀行システムが、口座振替ファイルにアクセスして、照会対象となる貸与口座のレコード数をステータス毎に分類して送信する第2のステップとを有する。
【0011】、
ここで、第3の発明において、顧客コンピュータより口座振替状況の詳細表示依頼を受信した場合、銀行システムが、口座振替ファイルにアクセスして、照会対象となる貸与口座のレコードに記述された口座振替情報を送信する第3のステップをさらに有することが好ましい。
【0012】
第4の発明は、支払人と関連付けられた複数の貸与口座から、複数の貸与口座と関連付けられており、それぞれの貸与口座に入金された資金を取りまとめる取りまとめ口座への口座振替を行う口座振替処理システムを提供する。この処理システムは、貸与口座毎に対応付けられたレコードの集合であり、一つのレコードには、少なくとも、貸与口座番号と振替金額とステータスとが関連付けて記述された口座振替ファイルと、貸与口座への入金金額と、入金があった貸与口座に関するレコードに記述された振替金額とを比較することにより、貸与口座から取りまとめ口座への口座振替が可能であるか否かを判断する判断手段と、取りまとめ口座への口座振替が可能である場合、貸与口座と関連付けられた取りまとめ口座に対して、振替金額相当の振替処理を行う振替処理手段と、判断手段における判断結果に応じて、貸与口座に関するレコードに記述されたステータスを更新する更新手段とを有する。
【0013】
ここで、第4の発明において、上記判定手段は、貸与口座の入金処理後の残高または貸与口座の入金金額が振替金額以上である場合、口座振替が可能であると判断することが好ましい。
【0014】
また、上記更新手段は、貸与口座の入金後の残高または貸与口座の入金金額が振替金額と一致する場合、貸与口座に関するレコードに、貸与口座から取りまとめ口座への口座振替が行われたことを示すステータスを記述してもよい。また、更新手段は、貸与口座の入金後の残高または貸与口座の入金金額が振替金額よりも多いならば、貸与口座に関するレコードに、貸与口座から取りまとめ口座への口座振替が行われたことを示すステータスと、貸与口座の超過額とを記述することが好ましい。さらに、更新手段は、貸与口座の入金後の残高または貸与口座の入金金額が振替金額よりも少ないならば、貸与口座に関するレコードに、貸与口座から取りまとめ口座への口座振替が行われなかったことを示すステータスと、貸与口座の残高とを記述することが望ましい。
【0015】
また、入金があった貸与口座に関するステータスを参照して、その貸与口座が振替処理を実行済みであるか否かを判断する第2の判断手段をさらに設けてもよい。この場合、更新手段は、貸与口座が振替処理を実行済みであるならば、貸与口座に関するレコードに、貸与口座から取りまとめ口座への口座振替が行われなかったことを示すステータスと貸与口座の残高とを記述することが好ましい。
【0016】
また、貸与口座への入金日が、当該貸与口座に関して予め設定されている振替対象期間内であるか否かを判断する第3の判断手段をさらに設けてもよい。この場合、更新手段は、入金日が振替対象期間内でないならば、貸与口座に関するレコードに、貸与口座から取りまとめ口座への口座振替が行われなかったことを示すステータスと貸与口座の残高とを記述することが好ましい。
【0017】
上述した第4の発明に、貸与口座毎の残高を管理する貸与口座元帳ファイルと、取りまとめ口座毎の残高を管理する取りまとめ口座元帳ファイルとを追加してもよい。この場合、振替処理手段は、貸与口座の入出金処理として、貸与口座元帳ファイルの更新を行うとともに、取りまとめ口座の入出金処理として、取りまとめ口座元帳ファイルの更新を行う。
【0018】
一方、上述した第4の発明に、振替金額の入金先となる第1の取りまとめ口座毎の残高を管理する第1の取りまとめ口座元帳ファイルと、異例入金用に設けられた第2の取りまとめ口座毎の残高を管理する第2の取りまとめ口座元帳ファイルと追加してもよい。このような構成において、振替処理手段は、入金金額が振替金額と一致する場合、第1の取りまとめ口座元帳ファイルにアクセスして、入金があった貸与口座に関連付けられた第1の取りまとめ口座に対する振替金額相当の振替処理を行う。また、入金金額が振替金額よりも少ない場合、第2の取りまとめ口座元帳ファイルにアクセスして、貸与口座に関連付けられた第2の取りまとめ口座に対する入金金額相当の振替処理を行う。さらに、入金金額が振替金額よりも多い場合、第1の取りまとめ口座元帳ファイルにアクセスして、貸与口座に関連付けられた第1の取りまとめ口座に対する振替金額相当の振替処理を行うとともに、第2の取りまとめ口座元帳ファイルにアクセスして、貸与口座に関連付けられた第2の取りまとめ口座に対する入金金額と振替金額との差額分相当の振替処理を行う。
【0019】
また、上述した第4の発明において、受取人が支払人に送付した個々の支払い請求の内容を示す請求データを顧客コンピュータより受信した場合、請求データを銀行側のフォーマットに変換した上で、口座元帳ファイルに新規レコードを追加する請求データ処理手段をさらに設けてもよい。
【0020】
さらに、上述した第4の発明において、顧客コンピュータより口座振替状況の照会依頼を受信した場合、口座振替ファイルを検索して照会対象となるレコードを抽出するとともに、照会結果を顧客コンピュータに送信する検索処理手段をさらに設けてもよい。
【0021】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係る口座振替処理システムの構成図である。銀行システム10は、銀行コンピュータ11、通信装置12および各種ファイル17〜19を格納した記憶装置を有する。銀行コンピュータ11は、CPU,ROM,RAM,通信装置等を主体に構成された一般的なコンピュータであって、銀行業務を遂行する上で必要な各種処理を行う。また、銀行コンピュータ11は、有線または無線のネットワーク(例えばインターネット)を介して、多数の顧客コンピュータ30と接続されており、これらの外部システムとは通信装置12を介した情報伝達が可能である。
【0022】
銀行コンピュータ11は、制御部13、請求データ処理部14、口座振替処理部15および検索処理部16を有する。制御部13は、外部システムからの処理依頼(例えば、振替処理依頼や検索依頼等)に応じて、それぞれの処理部14〜16に対して所定の処理の実行を指示する。請求データ処理部14は、制御部13の指示に応じて、顧客コンピュータ30より受信した請求データを処理する。口座振替処理部15は、制御部13の指示に応じて、貸与口座から取りまとめ口座への振替処理を行う。検索処理部16は、制御部13の指示に応じて、口座振替データの検索処理を行い、検索結果を出力する。なお、上記の機能的ブロック13〜16を銀行コンピュータ11にインストールされたコンピュータプログラムにより実現する場合、制御部13はメインルーチンに相当し、それぞれの処理部14〜16はメインルーチンよりコールされるサブルーチンに相当する。
【0023】
銀行コンピュータ11がアクセス可能な記憶装置に格納された口座振替ファイル17は、入金が予定されている貸与口座毎の口座振替情報を一元的に管理しており、例えば、図2に示すようなファイル構造を有する。このファイルは、それぞれの口座振替案件に対応して設けられたレコードの集合であって、一つのレコードは、口座振替情報を構成する「貸与口座番号」、「請求金額」、「振替開始日」、「振替終了日」、「ステータス」、「残高」、「超過額」といったフィールド群で構成されている。
【0024】
「貸与口座番号」フィールドには、それぞれの口座振替案件に係る貸与口座の口座番号が記述され、固定データとして取り扱われる(つまり、記述内容は更新されない)。貸与口座とは、支払人との関係で受取人になるべき者に対して銀行が貸与した入金専用口座である。受取人に金を支払うべき者(支払人)に対しては、一つの貸与口座が割当てられる。例えば、図8の例では、支払人Aに対しては入金専用の貸与口座1を割当て、支払人Bに対しては貸与口座2を割当てるといった如くである。これにより、それぞれの貸与口座1〜5はそれぞれの支払人A〜Eに関連付けられるため、受取人や銀行は、貸与口座1〜5の口座番号より支払人を一義的に特定できる。どの支払人に対してどの貸与口座を割当てるかは、受取人または銀行の裁量に委ねられる。また、ある受取人に銀行が貸与した複数の貸与口座は、その受取人の取りまとめ口座と関連付けられている。取りまとめ口座は、貸与口座の資金を取りまとめるための口座である。つまり、取りまとめ口座を親口座とすれば、貸与口座は子口座に相当する。貸与口座に入金された金は、口座振替情報の更新を伴いながら、取りまとめ口座に即時に移される。
【0025】
「請求金額」フィールドには、受取人が支払人に請求している金額が記述され、固定データとして取り扱われる。口座振替との関係でいえば、この請求金額は振替金額に相当する。貸与口座から取りまとめ口座への振替えは、少なくとも、その貸与口座の残高(支払人による入金後の残高)が請求金額以上であることを条件に実行される。つまり、「請求金額」は金銭的な口座振替の実行条件を規定している。なお、請求金額はオプション付で条件設定できるようにしてもよい。例えば、差引振込対応のオプション設定がされている場合、請求金額から振込手数料相当を減額した入金は請求金額通りの入金として取り扱う。
【0026】
「振替開始日」フィールドまたは「振替終了日」フィールドには、その口座振替案件に係る振替の開始日と終了日とがそれぞれ記述され、固定データとして取り扱われる。これらのフィールドに記述された開始日から終了日までの期間が振替対象期間となる。つまり、これらのフィールドに記述された日は、時期的な口座振替の実行条件を規定している。
【0027】
「ステータス」フィールドには、その貸与口座の入金状況として、”入金未済”、”入金完了”、”資金不足”、”資金過大”または”誤入金”のいずれかのステータスが記述され、必要に応じて更新される。”入金未済”は、支払人が、自己に割当てられた貸与口座へ入金していない状態を示す(口座振替は未実行)。”入金完了”は、支払人が自己の貸与口座に入金しており、かつ、入金金額が請求金額(「請求金額」フィールドに記述された金額)と一致する状態を示す(口座振替は実行済み)。”資金不足”は、支払人が自己の貸与口座に入金した額が請求金額よりも少ない状態を示す(口座振替は未実行)。”資金過大”は、支払人による入金金額が請求金額よりも多い状態を示す(口座振替は実行済み)。”誤入金”は、振替開始日から振替終了日までの振替対象期間中に、既に入金があった貸与口座に再度入金があった状態を示す(口座振替は未実行)。「ステータス」は口座振替状況を示す主要な情報であるとともに、口座振替実行の一条件でもある。
【0028】
また、「残高」フィールドには、その貸与口座に残高が生じた場合にその額が記述され、「超過額」フィールドには、その貸与口座に超過額が生じた場合にその額が記述される。
【0029】
一方、貸与口座元帳ファイル18は、それぞれの貸与口座に関する残高と取引履歴とを管理するファイルである。貸与口座の入出金が行われた場合、銀行コンピュータ11は、このファイル18にアクセスして、その貸与口座の残高を更新するとともに、入出金の取引履歴を追加する。また、取りまとめ口座元帳ファイル19は、それぞれの取りまとめ口座に関する残高と取引履歴とを管理するファイルである。ある取りまとめ口座の入出金が行われた場合、銀行コンピュータ11は、このファイル19にアクセスして、その取りまとめ口座の残高を更新するとともに、入出金の取引履歴を追加する。
【0030】
なお、貸与口座から取りまとめ口座への振替処理に際しては、貸与口座(振替元)と取りまとめ口座(振替先)との対応関係を特定する必要がある。そこで、貸与口座元帳ファイル18と取りまとめ口座ファイル19とは、レコード単位で(換言すれば口座単位で)関連付けてられている。これにより、貸与口座元帳ファイル18を参照することにより、ある貸与口座番の関連先である取りまとめ口座を特定できる。また、貸与口座と取りまとめ口座との関連付けは、口座振替ファイル17によって行うことも可能である。
【0031】
(請求データ処理)
図2に示すように、顧客コンピュータ30より請求データを受け取った場合、銀行コンピュータ11の請求データ処理部14は、制御部13からの指示に従い、口座振替ファイル17に新規レコードを追加する(口座振替案件の新規追加)。具体的には、まず、受取人側の顧客コンピュータ30は、ある振替対象期間内における請求データを銀行コンピュータ11に送信する。請求データの送信は、所定期間毎(例えば月毎)に行う取決めになっている。また、請求データは、代金を受け取るべき者が代金を支払うべき者に対して送付した支払い請求(未払い請求)に関するデータであり、そのフォーマットは銀行と受取人との間で予め取り決められている。通信装置12を介して請求データを受信した請求データ処理部14は、請求データのフォーマットを銀行側が処理可能なフォーマットに変換する。そして、請求データ処理部14は、フォーマット変換後のデータに基づいて、口座振替案件毎の新規レコードを、口座振替ファイル17に追加する。なお、この状態において、すべての新規レコードの「ステータス」は、”入金未済”にセットされ、「残高」および「超過額」には”NULL値”がセットされる。
【0032】
図3は、月初(すなわち口座振替開始時点)における口座振替状況の説明図である。図示したような口座振替状況は、後述する図6の状況も含めて、口座振替ファイル17で管理されている口座振替情報によって一義的に特定可能である。この例は、ある振替対象期間(2001/6/1〜2001/6/30)を一覧表示の対象とし、1つの取りまとめ口座(口座番号1234567)と関連付けられた5つの貸与口座(1,2,3,5,10)の口座振替状況を示している。表示される項目(「口座番号」、「請求金額」、「ステータス」、「カレンダー」、「残高」、「超過額」)は、口座振替ファイル17のフィールドに対応している。月初において、すべての貸与口座の「ステータス」は”入金未済”となっている。
【0033】
このように、銀行コンピュータ11は、顧客との間のコンピュータネットワークを用いて、請求データを電子的に受信し、即座に口座振替ファイル17を更新する。これにより、口座振替情報をリアルタイムに近い状態で管理することが可能になる。
【0034】
(口座振替処理)
支払人より貸与口座への入金があった場合、銀行コンピュータ11の口座振替処理部15は、制御部13からの指示に従い、図4に示すような口座振替処理を行う。まず、ステップ1では、貸与口座の入金処理が行われる。すなわち、口座振替処理部15は、貸与口座元帳ファイル18にアクセスして、その貸与口座の残高更新を行うとともに、今回の入金に関する取引履歴を追加する。これにより、更新後の残高は入金金額を入金した分だけ増加する。ステップ2では、口座振替ファイル17において、今回の口座振替案件に関するレコードを検索し、以下のステップで処理の対象となる「対象レコード」として抽出する。
【0035】
続くステップ3では、対象レコードの「ステータス」が”入金未済”または”資金不足”であるか否か、換言すれば、現在のステータスとの関係で、貸与口座から取りまとめ口座への口座振替が可能であるか否かが判断される。ステップ3で否定判定された場合、すなわち、今回の入金以前に既に入金があった場合には、ステップ5に進み、誤入金処理が行われる。この処理では、口座振替ファイル17に新規レコード(子レコード)が自動的に一つ作成され、このレコードに誤入金情報が記述される。具体的には、子レコードの「貸与口座番号」に、元のレコード(対象レコード)との対応関係を示す子番号を記述する。例えば、対象レコードの「貸与口座番号」が”1234567”ならば、子レコードの「貸与口座番号」を”1234567−1”を記述するといった如くである。そして、子レコードの「ステータス」に”誤入金”をセットするとともに、「入金日」、「残高」に情報を記述する。これにより、対象レコードに記述されている情報を上書きすることなく、誤入金情報を保持することができる。
【0036】
これに対して、ステップ3で肯定判定された場合には、ステップ4に進む。そして、現在日(入金日)が振替対象期間内であるか否か、換言すれば、時期的な関係で、貸与口座から取りまとめ口座への口座振替が可能であるか否かが判断されるが判断される。振替対象期間は、対象レコードの「振替開始日」から「振替終了日」までの期間である。ステップ4で否定判定された場合には、ステップ5に進み、上述した誤入金処理が行われる。
【0037】
一方、ステップ4で肯定判定された場合には、ステップ6に進み、振替処理サブルーチンがコールされる。図5は、振替処理サブルーチンのフローチャートである。まず、ステップ61において、貸与口座残高(当初からの残高と入金金額との合計金額)が振替金額(差引振込対応のオプション設定の場合には、振替金額から振込手数料相当を減額した額)以上であるか否かが判断される。この振替金額は、口座振替ファイル17の対象レコードにおける「請求金額」に記述された金額である。ステップ61で否定判定された場合、ステップ62に進み、”資金不足”の値を返して本サブルーチンを抜ける。つまり、貸与口座の残高が不足している場合には、貸与口座から取りまとめ口座への振替処理は行われない。
【0038】
一方、ステップ61で肯定判定された場合、すなわち、貸与口座の残高が不足していない場合には、貸与口座から、この貸与口座に関連付けられている取りまとめ口座への振替処理が行われる(ステップ63〜ステップ65)。上述したように、貸与口座の関連先(リンク先)は、貸与口座元帳ファイル18に記述されている。ステップ63では、貸与口座の残高更新が行われ、今回の出金に関する取引履歴が追加される。これにより、貸与口座の更新後の残高は、振替金額を出金した分だけ減少する。続くステップ64では、貸与口座の関連先である取りまとめ口座の残高更新が行われ、今回の入金に関する取引履歴が追加される。これにより、この取りまとめ口座の更新後の残高は、振替金額を入金した分だけ増加する。これにより、貸与口座からの出金と取りまとめ口座への入金とが連続して行われるため、口座間における資金の移動が実現される。そして、ステップ65において、”振替処理済”の値を返して本サブルーチンを抜ける。このように、貸与口座の残高が請求金額以上の場合、請求金額相当のみが取りまとめ口座に取り込まれる。
【0039】
ステップ6に続くステップ7において、振替処理サブルーチンより返された値が”資金不足”であるか否かが判断される。ステップ7で肯定判定された場合には、ステップ8に進み、資金不足処理が行われる。この処理では、口座振替ファイル17の対象レコードに資金不足情報が記述される。具体的には、この対象レコードの「ステータス」に”資金不足”がセットされるとともに、「入金日」に現在日、「残高」に貸与口座の残高がそれぞれ記述・保持される。例えば、貸与口座の当初の残高が0円だった場合、処理後の「残高」は入金金額相当になる(振替が行われないため)。
【0040】
これに対して、ステップ7で否定判定された場合、すなわち、振替処理サブルーチンより返された値が”振替処理済”の場合には、ステップ9に進み、貸与口座の残高が0円であるか否か判断される。貸与口座の残高が0円の場合には、ステップ10に進み、入金完了処理が行われ、口座振替ファイル17の対象レコードに入金完了情報が記述・保持される。具体的には、この対象レコードの「ステータス」に”入金完了”がセットされるとともに、「入金日」に現在日が記述される。一方、貸与口座の残高が0円でない場合には、ステップ11に進み、資金過大処理が行われ、口座振替ファイル17の対象レコードに資金過大情報が記述・保持される。具体的には、この対象レコードの「ステータス」に”資金過大”がセットされるとともに、「入金日」に現在日、「超過額」に貸与口座の超過額がそれぞれ記述・保持される。例えば、貸与口座の当初の残高が0円だった場合、処理後の「超過額は、入金金額と振替金額との差額相当になる。
【0041】
図6は、上述した口座振替処理が行われた結果として得られる月末(すなわち口座振替終了時点)における口座振替状況の説明図である。同図において、「カレンダー」中の”○”は、それが付された月日に入金があり、口座振替が完了したことを示す。例えば、口座番号1の貸与口座については、請求金額通りに1,000円の入金があり、取りまとめ口座への口座振替が完了している。また、”△”は、それが付された月日に入金はあったが、口座振替が行われなかったことを示す。例えば、口座番号2の貸与口座については、請求金額500円に対して400円の入金しかなく、口座振替が行われなかったため、この貸与口座に入金金額相当の400円が残金として残っている。また、”◎”は、それが付された月日に入金、口座振替共に実施されたが、金額が過大だったために、貸与口座に超過額が残っていることを示す。例えば、口座番号5の貸与口座については、請求金額1,200円に対して1,500円の入金があり、口座振替が行われれたため、この貸与口座に差額相当の300円が超過額として残っている。なお、同図には図示していないが、”?”は、それが付された月日の入金が誤入金であることを示す。
【0042】
このように、貸与口座への入金があった場合、銀行システム10は、口座振替ファイル17に記述された口座振替条件(請求金額等)に合致することを前提に、取りまとめ口座への振替処理を即座に行う。このため、取りまとめ口座に振替えられた金額は、必ず請求金額と一致する。
【0043】
(口座振替データ検索処理)
受取人である顧客が操作する顧客コンピュータ30より口座振替の検索依頼を受けた場合、銀行コンピュータ11の検索処理部16は、制御部13からの指示に従い、口座振替ファイル17にアクセスして、図7に示す口座振替データ検索処理を行う。検索結果は口座振替情報として顧客コンピュータ30に送信される。なお、同図において、二重枠で示した手順は、顧客コンピュータ30側にて行われる手順である。
【0044】
まず、ステップ20において、顧客は自己の顧客コンピュータ30を操作して、口座振替状況照会コマンドを入力する。ステップ21において、このコマンドを受信した検索処理部16は、口座振替ファイル17にアクセスして、その顧客に貸与した貸与口座に関するレコードの内、「ステータス」が”金額過大”となっているレコード数をカウントする。ステップ22では、その顧客に貸与した貸与口座に関するレコードの内、「ステータス」が”金額不足”となっているレコード数がカウントされる。ステップ23では、その顧客に貸与した貸与口座に関するレコードの内、「ステータス」が”入金未済”となっているレコード数がカウントされる。ステップ24では、その顧客に貸与した貸与口座に関するレコードの内、「ステータス」が”入金未済”となっているレコード数がカウントされる。そして、それぞれのステータスのカウント数が検索結果として顧客コンピュータ30に送信される。
【0045】
ステップ25において、顧客コンピュータ30の表示画面上にレポート(検索結果としての口座振替情報)がオンライン処理またはオフライン処理によって表示される。このレポートには、その顧客の請求件数、入力完了件数、資金過大件数、資金不足件数、入金未済件数、および誤入金件数が示される。
【0046】
ステップ26において、顧客は自己の顧客コンピュータ30を操作して、詳細表示コマンドを適宜入力する。ステップ27において、このコマンドを受信した検索処理部16は、口座振替ファイル17にアクセスして、各ステータスのレコードを抽出する。そして、抽出された口座振替情報を顧客コンピュータ30に送信する。これにより、顧客コンピュータ30の表示画面上には、入力完了分、入力未済分、資金過大分、誤入金分および資金不足分が、図6に示したような一覧形式でそれぞれ表示される(ステップ28a〜28e)。オンライン処理またはオフライン処理によって表示された口座振替情報を用いて、受取人である顧客は、自己の売掛金の消込み作業を行う。また、顧客は、未入金または入金不足の請求に関しては、再度請求書や督促状を生成して、郵送または電子メール等によって支払人に通知する。
【0047】
なお、ステップ28eで表示される資金不足分については、顧客自身の判断により、取りまとめ口座への個別振替をリアルタイムで行うこともできる。この振替を選択する場合、顧客は、資金不足分表示画面において、取りまとめ口座への振替を行いたいレコードのチェックボックスにチェックマークを入れる。そして、その後に振替ボタンをクリックする。これにより、顧客コンピュータ30から銀行コンピュータ11に選択されたレコードに関する振替指示が送信される。顧客は、個別振替を依頼した請求については、依頼と同時に消込み処理を行なってもよい。
【0048】
ステップ29において、顧客コンピュータ30からの指示を受けた検索処理部16は、チェックマークの付いたレコードの貸与口座の口座番号と金額情報を取得する。そして、検索処理部16は、EBシステムの振替機能を起動し、その口座番号を金額情報とを引き渡して(ステップ30)、上述した振替処理を実行する(ステップ31)。
【0049】
このように、銀行システム10は、顧客からの依頼に応じて、或いは、所定の期間毎に、口座振替情報を消込み情報として顧客に提供する。この口座振替情報は、支払人からの入金とともに随時更新される。また、顧客にとっては、口座振替情報を消込みデータとリンクできるので、口座振替情報を表示画面表で確認しながら、消込み作業を実行できる。
【0050】
図8は、上述したシステムにより実現される口座振替スキームの概要説明図である。銀行は、支払人より請求金を受け取る地位を有する企業(受取人)に対して、個々の支払人に関連付けられた入金専用の貸与口座を貸与する。受取人は、個々の支払請求を取りまとめた請求データを、事前に銀行に対して送付する(矢印▲1▼)。支払人は、企業からの支払い請求に従い、自己の貸与口座に支払請求金額相当を入金する(矢印▲2▼)。支払人による入金があった場合、銀行は、貸与口座から取りまとめ口座への口座振替を即座に行う(矢印▲3▼)。口座振替に関する情報は、口座振替ファイル17により一元的に管理されており、銀行は、企業からの依頼に応じて口座振替情報を提供・還元する(矢印▲4▼)。企業または銀行による消込み作業は、自己に還元された口座振替情報に基づいて行われる。
【0051】
このように、本実施形態では、入金対象となる貸与口座を支払人と関連付けるとともに、個々の貸与口座に設定された口座振替条件(特に請求金額)を満たすことを前提に、取りまとめ口座への口座振替を行う。これにより、売掛金の消込み作業を行う側(受取人となる顧客や銀行)にとっては、貸与口座番号より支払人を特定できるとともに、口座振替を用いることにより、入金金額の正当性(すなわち、請求金額との一致)も担保される。これにより、正確な消込み作業を効率的に行うことが可能となる。また、口座振替ファイル17によって管理されている口座振替情報は、受取人である顧客からのリクエストに応じて、或いは、所定期間毎に顧客に開示される。したがって、顧客は、最新の口座振替情報に基づいて消込み作業を行うことができ、顧客利便性の一層の向上を図ることが可能になる。
【0052】
また、本実施形態では、貸与口座元帳ファイル18によって、それぞれの貸与口座の残高を個別に管理しているため、支払人から入金があった場合に、迅速(リアルタイム)に口座振替情報を処理することができる。
【0053】
なお、本実施形態が上述した従来技術と相違する点は、従来技術が振込情報を消込み情報として用いているのに対して、本実施形態は口座振替情報を用いている点にある。ここで、「振込み」とは、振込人の意志により受取人の口座に対して入金がなされる行為をいうのに対して、「口座振替」とは、受取人からの請求に応じて、支払人の口座から振替額(請求金額)を受取人の口座に振替える行為をいう。トランザクションベースで説明すると、振込みとは、振込人と貸与口座との間のトランザクションであるのに対して、口座振替は、貸与口座と取りまとめ口座との間のトランザクションである。そのため、振込金額(入金金額)が振替額(請求金額)以上ならば、振込みと同時に口座振替が生じるが、それ以外の場合には振込みがあっても口座振替は生じない。このように、振込み(振込情報)と口座振替(口座振替情報)とは本質的に異なる概念である。
【0054】
また、従来技術に係るスキームでは、貸与口座への振込みによって、振込金額が取りまとめ口座に自動的かつ一律に(何ら条件を付さずに)取りまとめられる。そのため、貸与口座番号より振込人は特定可能であっても、振込金額の正当性は何ら保証されない。したがって、受取人である企業側は、振込金額と請求金額との照合作業が必要となる(この作業は繁雑である)。これに対して、本実施形態に係るスキームでは、予め判明している請求金額以上の入金が貸与口座にあることを条件として、請求金額相当が取りまとめ口座に振替えられる。換言すれば、予め判明している請求金額以上の資金が貸与口座に存在しない場合には、請求金額相当の振替えは行われない。したがって、基本的に口座振替が行われたことを以て、入金金額と請求金額との突き合わせが完了することになるため、従来技術のよう不都合を解消でき、消込み作業の著しい効率化を図ることができる。なお、以上の相違点は、後述する第2の実施形態についても該当する。
【0055】
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態では、誤入金、入金不足または入金過大といった異例な入金があると貸与口座に資金(残高および超過額)が発生した場合、その資金を貸与口座毎に個別に管理しなければならない。したがって、受取人に貸与したすべての貸与口座に対して元帳管理用のシステムリソースを割当てておく必要がある。これに対して、本実施形態は、異例な入金に際して貸与口座に資金が残る不便を解消し、銀行システムの負担軽減を図るものである。本実施形態における貸与口座は、口座番号によって支払人を特定する機能のみ有し、入出金処理を伴わない仮想的な口座であるから、銀行システムは、貸与口座の個別管理用にシステムリソースを割当てる必要がない。
【0056】
図9は、本実施形態に係る口座振替処理システムの構成図である。この口座振替処理システムが、図1に示した第1の実施形態に係るシステムと相違する点は、銀行システム10は、貸与口座元帳ファイル18を削除し、その代わりに、異例入金用に第2の取りまとめ口座元帳ファイル20を新たに用意する。以下、このファイル20と区別するために、第1の実施形態でも用いている取りまとめ口座元帳ファイル19を「第1の取りまとめ口座元帳ファイル」と呼ぶ。貸与口座に残った資金は、異例入金用の第2の取りまとめ口座元帳ファイル20において一元的に管理される。なお、それ以外の点については、基本的に、第1の実施形態と同様であるから、図1と同一符号を付してここでの説明を省略する。
【0057】
第2の取りまとめ口座元帳ファイル20は、第2の取りまとめ口座のそれぞれに関して、残高と取引履歴とを管理するファイルであり、第1の取りまとめ口座元帳ファイル19と同様の構成を有する。異例入金により第2の取りまとめ口座へ振替が行われた場合、銀行コンピュータ11は、このファイル20にアクセスして、その取りまとめ口座の残高を更新するとともに、取引履歴を追加する。
【0058】
図10は、本実施形態に係る口座振替ファイル17の説明図である。このファイルを構成する個々のレコードは、上述した「貸与口座番号」、「請求金額」、「振替開始日」、「振替終了日」、「ステータス」、「残高」、「超過額」に加えて、「第1の取りまとめ口座番号」と「第2の取りまとめ口座番号」とが追加されている。前者のフィールドには、その貸与口座の本来の振替先となる取りまとめ口座の番号が記述され、後者のフィールドには、異例入金により生じる資金(残金または超過額)を取りまとめる口座番号(第2の取りまとめ口座)の番号が記述される。
【0059】
図11は、口座振替処理部15において行われる口座振替処理ルーチンのフローチャートである。まず、ステップ71において、口座振替処理部15は、口座振替ファイル17において、今回の口座振替案件に関するレコードを「対象レコード」として抽出する。ステップ72では、対象レコードの「ステータス」が”入金未済”または”資金不足”であるか否かが判断される。ステップ72で否定判定された場合、すなわち、今回の入金以前に既に入金があった場合には、ステップ74に進み、子ファイルの生成を伴う、上述した誤入金処理が行われる。そして、続くステップ75において、異例入金用の第2の取りまとめ口座への入金処理が行われる。具体的には、口座振替処理部15は、第2の取りまとめ口座ファイル20にアクセスして、第2の取りまとめ口座の残高更新が行われ、今回の誤入金に関する取引履歴が追加される。これにより、第2の取りまとめ口座の更新後の残高は、入金金額分だけ増加する。
【0060】
これに対して、ステップ72で肯定判定された場合には、ステップ73に進み、現在日(入金日)が振替対象期間内であるか否かが判断される。ステップ73で否定判定された場合には、上述した誤入金処理と第2の取りまとめ口座へ振替処理とが行われる(ステップ74,75)。
【0061】
一方、ステップ73で肯定判定された場合には、ステップ76およびステップ79において、支払人が入金した入金金額と請求金額(差引振込対応のオプション設定の場合には、振替金額から振込手数料相当を減額した額)との大小関係が判断される。請求金額は、口座振替ファイル17の対象レコードにおける「請求金額」に記述された金額である。
【0062】
入金金額が請求金額と一致する場合には、ステップ79の否定判定を経て、ステップ80以降の手順に進む。まず、ステップ80の入金完了処理として、口座振替ファイル17の対象レコードにおける「ステータス」に”入金完了”がセットされるとともに、「入金日」に現在日が記述される。そして、続くステップ81では、振替先となる第1の取りまとめ口座への振替処理として、残高更新が行われるとともに、今回の振替に関する取引履歴が追加される。これにより、第1の取りまとめ口座の更新後の残高は、請求金額(=入金金額)分だけ増加する。
【0063】
一方、入金金額が請求金額よりも大きい場合には、ステップ79の肯定判定を経て、ステップ82以降の手順に進む。まず、ステップ82の資金過大処理として、口座振替ファイル17の対象レコードにおける「ステータス」に”資金過大”がセットされるとともに、「入金日」に現在日、「超過額」に貸与口座の超過額がそれぞれ記述される。続くステップ83では、振替先となる第1の取りまとめ口座への入金処理として、残高更新が行われ、今回の入金に関する取引履歴が追加される。これにより、第1の取りまとめ口座の更新後の残高は、請求金額分だけ増加する。そして、ステップ84では、異例入金用の第2の取りまとめ口座への振替処理として、残高更新および取引履歴の追加が行われる。これにより、第1の取りまとめ口座の更新後の残高は、入金金額と請求金額との差額分だけ増大する。
【0064】
一方、入金金額が請求金額よりも小さい場合には、ステップ76の肯定判定を経て、ステップ77以降の手順に進む。まず、ステップ77の資金不足処理として、口座振替ファイル17の対象レコードにおける「ステータス」に”資金不足”がセットされるとともに、「入金日」に現在日、「残高」に貸与口座の残高がそれぞれ記述される。そして、続くステップ78において、異例入金用の第2の取りまとめ口座への振替処理として、残高更新および取引履歴の追加が行われる。これにより、第2の取りまとめ口座の更新後の残高は、入金金額分だけ増加する。
【0065】
このように、本実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を有する。また、本実施形態では、貸与口座元帳ファイル18を用いず、その代わりに、異例入金用の第2の取りまとめ口座元帳ファイル20を設けることで、第1の実施形態と同様のスキームを実現できる。貸与口座毎に残高や取引履歴び管理する貸与口座元帳ファイル18が不要になった分だけ、銀行側におけるシステムリソースを効率的に活用でき、銀行コンピュータ11の処理速度を高速化できる。
【0066】
【発明の効果】
【0067】
本発明によれば、支払人と貸与口座とを予め関連付けておくことにより、入金があった貸与口座から支払人を特定することができる。また、口座振替は、支払人による入金金額が予め判明している請求金額以上であること実行条件とし、この条件に合致する場合に請求金額相当が振り替えれれる。そのため、基本的に、口座振替が行われたことを以て、入金金額と請求金額との突き合わせが完了することになる。その結果、消込み作業を行う者にとっては、支払人の特定および入金金額の確認の双方に関して、支払い請求との突き合わせ作業が軽減されるため、消込み業務の一層の効率化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係る口座振替処理システムの構成図
【図2】第1の実施形態に係る口座振替ファイルの説明図
【図3】月初の口座振替状況の説明図
【図4】第1の実施形態に係る口座振替処理ルーチンのフローチャート
【図5】振替処理サブルーチンのフローチャート
【図6】月末の口座振替状況の説明図
【図7】第1の実施形態に係る口座振替データ検索処理ルーチンのフローチャート
【図8】口座振替スキームの概要説明図
【図9】第2の実施形態に係る口座振替処理システムの構成図
【図10】第2の実施形態に係る口座振替ファイルの説明図
【図11】第2の実施形態に係る口座振替処理ルーチンのフローチャート
【符号の説明】
10 銀行システム
11 銀行コンピュータ
12 通信装置
13 制御部
14 請求データ処理部
15 口座振替処理部
16 検索処理部
17 口座振替ファイル
18 貸与口座元帳ファイル
19 (第1の)取りまとめ口座元帳ファイル
20 第2の取りまとめ口座元帳ファイル
30 顧客コンピュータ
Claims (10)
- 支払人と関連付けられた複数の貸与口座から、複数の貸与口座と関連付けられており、それぞれの貸与口座に入金された資金を取りまとめる取りまとめ口座への口座振替を行う口座振替処理システムにおいて、
貸与口座毎に対応付けられたレコードの集合であり、一つのレコードには、少なくとも、貸与口座番号と振替金額とステータスとが関連付けて記述された口座振替ファイルと、
貸与口座への入金金額と、入金があった貸与口座に関するレコードに記述された振替金額とを比較することにより、前記貸与口座から取りまとめ口座への口座振替が可能であるか否かを判断する判断手段と、
前記取りまとめ口座への口座振替が可能である場合、前記貸与口座と関連付けられた取りまとめ口座に対して、前記振替金額相当の振替処理を行う振替処理手段と、
前記判断手段における判断結果に応じて、前記貸与口座に関するレコードに記述されたステータスを更新する更新手段と、
振替金額の入金先となる第1の取りまとめ口座毎の残高を管理する第1の取りまとめ口座元帳ファイルと、
異例入金用に設けられた第2の取りまとめ口座毎の残高を管理する第2の取りまとめ口座元帳ファイルとを有し、
前記振替処理手段は、
貸与口座への入金金額が、入金があった貸与口座に関するレコードに記述された振替金額と一致する場合、第1の取りまとめ口座元帳ファイルにアクセスして、貸与口座から第1の取りまとめ口座への振替処理として残高更新を行うことにより、貸与口座と関連付けられた第1の取りまとめ口座の残高を前記入金金額分増加させ、
貸与口座への入金金額が、入金があった貸与口座に関するレコードに記述された振替金額よりも少ない場合、第2の取りまとめ口座元帳ファイルにアクセスして、貸与口座から第2の取りまとめ口座への振替処理として残高更新を行うことにより、貸与口座と関連付けられた第2の取りまとめ口座の残高を前記入金金額分増加させ、かつ、
貸与口座への入金金額が、入金があった貸与口座に関するレコードに記述された振替金額よりも多い場合、前記第1の取りまとめ口座元帳ファイルにアクセスして、貸与口座から第1の取りまとめ口座へ振替金額相当の振替処理として残高更新を行うことにより、貸与口座と関連付けられた第1の取りまとめ口座の残高を前記振替金額分増加させるとともに、第2の取りまとめ口座元帳ファイルにアクセスして、前記入金金額と前記振替金額との差額分相当の振替処理として残高更新を行ことにより、貸与口座と関連付けられた第2の取りまとめ口座の残高を、前記入金金額と前記振替金額との差額分増大させることを特徴とする口座振替処理システム。 - 前記判定手段は、前記貸与口座の入金処理後の残高または前記貸与口座の入金金額が振替金額以上である場合、前記口座振替が可能であると判断することを特徴とする請求項1に記載された口座振替処理システム。
- 前記更新手段は、前記貸与口座の入金後の残高または前記貸与口座の入金金額が振替金額と一致する場合、前記貸与口座に関するレコードに、前記貸与口座から前記取りまとめ口座への口座振替が行われたことを示すステータスを記述することを特徴とする請求項2に記載された口座振替処理システム。
- 前記レコードには、貸与口座の超過額が記述されており、
前記更新手段は、前記貸与口座の入金後の残高または前記貸与口座の入金金額が振替金額よりも多い場合、前記貸与口座に関するレコードに、前記貸与口座から前記取りまとめ口座への口座振替が行われたことを示すステータスと、前記貸与口座の超過額とを記述することを特徴とする請求項2に記載された口座振替処理システム。 - 前記レコードには、貸与口座の残高が記述されており、
前記更新手段は、前記貸与口座の入金後の残高または前記貸与口座の入金金額が振替金額よりも少ない場合、前記貸与口座に関するレコードに、前記貸与口座から前記取りまとめ口座への口座振替が行われなかったことを示すステータスと、前記貸与口座の残高とを記述することを特徴とする請求項2に記載された口座振替処理システム。 - 前記レコードには、貸与口座の残高が記述されており、
入金があった貸与口座に関するステータスを参照して、当該貸与口座が振替処理を実行済みであるか否かを判断する第2の判断手段をさらに有し、
前記更新手段は、前記貸与口座が振替処理を実行済みである場合、前記貸与口座に関するレコードに、前記貸与口座から前記取りまとめ口座への口座振替が行われなかったことを示すステータスと前記貸与口座の残高とを記述することを特徴とする請求項2に記載された口座振替処理システム。 - 前記レコードには、貸与口座の残高が記述されており、
貸与口座への入金日が、当該貸与口座に関して予め設定されている振替対象期間内であるか否かを判断する第3の判断手段をさらに有し、
前記更新手段は、前記入金日が前記振替対象期間内でない場合、前記貸与口座に関するレコードに、前記貸与口座から前記取りまとめ口座への口座振替が行われなかったことを示すステータスと前記貸与口座の残高とを記述することを特徴とする請求項2に記載された口座振替処理システム。 - 貸与口座毎の残高を管理する貸与口座元帳ファイルと、
取りまとめ口座毎の残高を管理する取りまとめ口座元帳ファイルとをさらに有し、
前記振替処理手段は、貸与口座の入出金処理として、貸与口座元帳ファイルの更新を行うとともに、取りまとめ口座の入出金処理として、取りまとめ口座元帳ファイルの更新を行うことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載された口座振替処理システム。 - 受取人が支払人に送付した個々の支払い請求の内容を示す請求データを顧客コンピュータより受信した場合、請求データを銀行側のフォーマットに変換した上で、前記口座元帳ファイルに新規レコードを追加する請求データ処理手段をさらに有することを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載された口座振替処理システム。
- 顧客コンピュータより口座振替状況の照会依頼を受信した場合、前記口座振替ファイルを検索して照会対象となるレコードを抽出するとともに、照会結果を顧客コンピュータに送信する検索処理手段をさらに有することを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載された口座振替処理システム。
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