JP3597752B2 - タービンハウジング - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、排気タービン駆動式の過給機のタービンハウジングに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のタービンハウジングとしては、例えば図5,図6に示す態様のものが知られている。図5は従来技術におけるタービンハウジングを示す正面図であり、図6は従来技術におけるタービンハウジングを示す縦断面図である。
【0003】
図5,図6に示すように、このタービンハウジング101は、渦巻き状の排気ガス流路を形成するスクロール部102を備えた鋳物であり、一体形成されている。また、タービンハウジング101には、スクロール部102内へ排気ガスを導入する排気ガス導入口103と、スクロール部102内の余分な排気ガスをバイパスして排出するバイパス流路104と、スクロール部102内を流通した排気ガスを排出する排気ガス排出口105と、図示しないタービンを挿通するための挿通孔107とが形成されている。更に、タービンハウジング101のスクロール部102には、スクロール部102内を流通する排気ガスの一部をガイドするタング部106が突出形成されている。
【0004】
このタービンハウジング101においては、排気ガス導入口103側には図示しないエキゾーストマニホルドが接続され、排気ガス排出口105及びバイパス流路104の出口側には図示しないエルボが接続されるようになっている。また、挿通孔107側には図示しないセンターハウジングの一端部が接続され、該センターハウジングの他端部には図示しないコンプレッサーハウジングが接続されるようになっている。
【0005】
そして、エキゾーストマニホルドから排気ガス導入口103を介してスクロール部102内へ排出された(導入された)排気ガスにおいては、余分な排気ガスはバイパス流路104を介してエルボ側へ排出調整され、排出調整されなかった(スクロール部102内を流通した)排気ガスは図示しないタービンを駆動させると同時に排気ガス排出口105を介してエルボ側へ排出されるように設定されている。ここで、スクロール部102内を流通する排気ガスは、スクロール部102の内面及びタング部106によってガイドされるようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来技術のタービンハウジング101では、スクロール部102内を流通する高温(例えば900℃)の排気ガスに起因して、スクロール部102が熱膨張してスクロール部102の一部に応力が集中してしまうおそれがあった。そのため、タービンハウジング101の耐久性及び信頼性の著しい低下を招いてしまうこととなる。
【0007】
そこで、スクロール部の応力集中を防止すべく、スクロール部の熱容量を大きくしてスクロール部の温度上昇を小さくしたり、スクロール部に車両走行時の走行風を当ててスクロール部の温度上昇を防いだり等することが考えられるが、タービンハウジング(スクロール部)の重量が増大したり、スクロール部内を流通する排気ガスの温度が低下して一般にタービンハウジングの下流側に配設される触媒が活性化しにくくなったり等してしまう問題があった。
【0008】
また、タービンハウジング101は一体形成された鋳物であるため、スクロール部102におけるタング部106の強度を考慮すると、タング部106の肉厚を比較的厚肉に形成しなければならず、しかもタング部106を舌片状となるように形成することは困難であった。そのため、スクロール部102のタング部106には剥離境界層が発生し易く、スクロール部102内を流通する排気ガスの流れに悪影響を与える要因となっていた。
【0009】
本発明は、上述した実情に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、スクロール部の熱容量を大きくしたり、スクロール部に車両走行時の走行風を当てたりしなくても、スクロール部における応力集中を防止することのできるタービンハウジングを提供することにある。
【0010】
また、他の目的は、スクロール部のタング部における剥離境界層の発生を抑制して、スクロール部内の排気ガスの流通を良好な状態で保持することのできるタービンハウジングを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、渦巻き状の排気ガス流路を形成するスクロール部を第1管と第2管とに2分割形成すると共に、該第1管と該第2管とをスライド可能な状態で嵌合させるようにし、該第1管及び該第2管のうちの一方の端部を湾曲させることにより、該端部における曲率半径の小さい側には、タング部が舌片状をなすように形成されていることを要旨としている。
【0012】
上記請求項1に記載の発明によれば、渦巻き状の排気ガス流路を形成するスクロール部内に排気ガスが流通すると、その排気ガスの熱に起因してスクロール部が熱膨張する。この場合、タービンハウジングのスクロール部は、第1管と第2管とに2分割形成されると共に、該第1管と該第2管とがスライド可能な状態で嵌合されているため、熱膨張した際でも第1管及び第2管がスライドしてその応力が分散されることとなり、スクロール部に応力が集中することはなくなる。そのため、タービンハウジングの耐久性及び信頼性の著しい低下が防止されることとなる。
【0016】
上記請求項1に記載の発明によれば、第1管及び第2管のうちの一方の端部を湾曲させるだけで、該端部における曲率半径の小さい側に舌片状をなすタング部が容易に形成される。また、舌片状に形成されたタング部により、タング部に剥離境界層が発生しない又は発生しにくい状態で排気ガスがガイドされるため、スクロール部内の排気ガスの流通が良好な状態で保持されることとなる。
【0017】
更に、第1管及び第2管のうちの一方の端部によってタング部が形成されているため、従来技術における鋳物製のタング部のようにタング部の肉厚を比較的厚肉に形成しなくても、タング部の強度が確保されることとなり、タング部の肉厚の薄肉化が図られる。
【0018】
請求項2に記載の発明は、渦巻き状の排気ガス流路を形成するスクロール部の内面に舌片状をなすタング部を備えた管状体を配設し、該管状体の端部をスライド可能となるように形成したことを要旨としている。
【0019】
上記請求項2に記載の発明によれば、渦巻き状の排気ガス流路を形成するスクロール部の内面に配設された管状体内に排気ガスが流通すると、その排気ガスの熱に起因して管状体が熱膨張する。この場合、管状体の端部は、スライド可能となるように形成されているため、熱膨張した際でもスライドしてその応力が分散されることとなり、管状体に応力が集中することはなくなる。
【0020】
また、スクロール部の一部が管状体で保護されているため、スクロール部に発生する応力が緩和されるようになる。すなわち、スクロール部内に排気ガスが流通してスクロール部に応力が発生した場合でも、その応力が管状体に伝達されて緩和されるため、スクロール部に対する応力集中が防止されることとなる。その結果、タービンハウジングの耐久性及び信頼性の著しい低下が防止される。
【0021】
更に、管状体の舌片状をなすタング部により、タング部に剥離境界層が発生しない又は発生しにくい状態で排気ガスがガイドされるため、管状体及びスクロール部内の排気ガスの流通が良好な状態で保持されることとなる。
【0022】
加えて、管状体によってタング部が形成されているため、従来技術における鋳物製のタング部のようにタング部の肉厚を比較的厚肉に形成しなくても、タング部の強度が確保されることとなり、タング部の肉厚の薄肉化が図られる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を具体化した一実施の形態を図1〜図3に基づいて説明する。図1は本実施の形態におけるタービンハウジングを示す正面図であり、図2は本実施の形態におけるタービンハウジングを示す縦断面図である。図3は、本実施の形態におけるバイパス流路を示す断面図であって、図1のA−A線断面図である。
【0024】
図1,図2に示すように、排気タービン駆動式の過給機のタービンハウジング11は、耐熱性及び耐食性に優れたステンレス鋼にて形成されたスクロール部12と、同じくステンレス鋼にて形成されたカバー部13とを備えている。本実施の形態においては、このタービンハウジング11は、スクロール部12とカバー部13との二重管構造を有しており、スクロール部12がカバー部13によって隙間のある状態で被包されている。
【0025】
また、本実施の形態のタービンハウジング11は、図1,図2に示すフランジ部14と、図3に示すフランジ部15とを備えており、これらのフランジ部14,15に対してカバー部13が溶接で接合されている。フランジ部14,15は、耐熱性及び耐食性に優れた鋳鋼にて形成された鋳物である。
【0026】
図2に示すように、スクロール部12は、第1管としての第1スクロール部16と第2管としての第2スクロール部17とを備え、渦巻き状に形成されている。第1スクロール部16は、フランジ部14に対して溶接で接合されている。第1スクロール部16及び第2スクロール部17は液圧バルジ成形によって所定形状にそれぞれ形成されている。
【0027】
また、図3に示すように、第1スクロール部16には、該第1スクロール部16から突出するように垂設した略円筒状の開口部18が溶接によって接合されている。更に、図2に示すように、第1スクロール部16には、排気ガスを導入する排気ガス導入口19と、余分な排気ガスを排出調整するバイパス流路20とが形成されており、第2スクロール部17には、排気ガスを排出する排出口21が形成されている。図1に示すように、タービンハウジング11の中央部には、図示しないタービンを挿通するための挿通孔31が形成されている。
【0028】
図1,図2に示すように、本実施の形態のタービンハウジング11では、図示しないエキゾーストマニホルドが排気ガス導入口19側のフランジ部14に接続されている。また、挿通孔31側には図示しないセンターハウジングの一端部が接続され、該センターハウジングの他端部には図示しないコンプレッサーハウジングが接続されるようになっている。更に、図3に示したタービンハウジング11のフランジ部15には、図示しないエルボが接続されるようになっている。
【0029】
そして、エキゾーストマニホルドから排気ガス導入口19を介してスクロール部12内へ排出された(導入された)排気ガスにおいては、余分な排気ガスはバイパス流路20を介してエルボ側へ排出調整され、排出調整されなかった(スクロール部12内を流通した)排気ガスは図示しないタービンを駆動させると同時に排気ガス排出口21を介してエルボ側へ排出されるように設定されている。
【0030】
図1〜図3に示すように、カバー部13は、分割形成されており、第1カバー部22と、第2カバー部23とを備えている。第1カバー部22は、フランジ部14,15に溶接で接合されており、第2カバー部23は、第1カバー部22に対して溶接で接合されている。この場合、第1カバー部22の外側から第2カバー部23の一部、すなわちシール部24が重合された状態で溶接されており、このシール部24によりカバー部13のシール性が保持されるようになっている。
【0031】
図3に示すように、フランジ部15には、ウェイストゲートポート25が形成されている。このウェイストゲートポート25は、スクロール部12内における排気ガスの流量が過剰な時には、図示しないウェイストゲートバルブによって開放されるようになっており、逆に排気ガスの流量が過剰でない時には、ウェイストゲートバルブによって閉塞されるようになっている。このようなウェイストゲートバルブの制御により、スクロール部12内を流通する排気ガスの流量が良好な状態で保持されるように設定されている。
【0032】
また、フランジ部15の開口部18側には、周壁部26及び該周壁部26から突出した保持部27が形成されており、これらの周壁部26及び保持部27には、環状のSUSメッシュ28が収容されている。このSUSメッシュ28は、耐熱性及び耐食性に優れた材料で可撓性を有しており、周壁部26に対してスポット溶接で固定されている。
【0033】
本実施の形態では、第1スクロール部16の開口部18とフランジ部15のウェイストゲートポート25とが連通することにより、排気ガスのバイパス流路20が形成されている。このバイパス流路20は、既述したように、スクロール部12内を流通する排気ガスの一部をバイパスしてウェイストゲートポート25からエルボ側へ排気するための流路となっている。
【0034】
本実施の形態の第1スクロール部16においては、その開口部18がスライド可能な状態で支持されている。すなわち、第1スクロール部16の開口部18は、周壁部26及び保持部27に収容されたSUSメッシュ28に接触した状態で支持されており、開口部18と保持部27との間には隙間が形成されている。このような構造により、開口部18の図3中における上下方向及び左右方向のスライドが可能となる。
【0035】
本実施の形態では、スクロール部12に対する応力集中を防止すべく、次のような構造を採用している。すなわち、図2に示すように、スクロール部12は、第1スクロール部16と第2スクロール部17とに分割形成されており、第2スクロール部17に対して第1スクロール部16が嵌合されている。より詳しく説明すると、第2スクロール部16の端部には、若干拡径した拡管部29が形成されており、その拡管部29に第1スクロール部16の端部が嵌合されている。この嵌合状態により、第1スクロール部16及び第2スクロール部17は、スライド可能な状態となるように設定されている。
【0036】
また、本実施の形態では、スクロール部12内の排気ガスの流通を良好な状態で保持すべく、次のような構造を採用している。すなわち、図2に示すように、第1スクロール部16の端部における曲率半径の小さい側には、排気ガスの一部をガイドするタング部30が形成されている。このタング部30は、舌片状をなすように形成されており、第1スクロール部16の端部を液圧バルジ成形で湾曲させることによって形成されている。ここで、舌片状とは、タング部30に剥離境界層が発生しない又は発生しにくい状態で、排気ガスの流れが整流可能となるような形状のことである。そして、スクロール部12内を流通する排気ガスは、スクロール部12の内面及びタング部30によって良好な状態でガイドされるようになっている。
【0037】
以上詳述した本実施の形態によれば、以下に記す作用効果が得られるようになる。
【0038】
・本実施の形態では、スクロール部12を第1スクロール部16と第2スクロール部17とに分割形成して、第2スクロール部17の拡管部29に対して第1スクロール部16をスライド可能な状態で嵌合することとした。このため、スクロール部12内を流通する排気ガスの熱に起因してスクロール部12が熱膨張した場合でも、第1スクロール部16及び第2スクロール部17がスライドしてその応力を分散できるため、スクロール部12に応力が集中することを防止できる。そのため、タービンハウジング11の耐久性及び信頼性の著しい低下を防止できるようになる。
【0039】
・本実施の形態では、従来技術のようにスクロール部の熱容量を大きくしたり、スクロール部に車両走行時の走行風を当てたりしなくても、スクロール部12における応力集中を防止することができる。
【0040】
・本実施の形態では、スクロール部12に対する応力集中を防止できるため、タービンハウジング11の機能を安定した状態で長期に渡って維持することができるようになる。
【0041】
・本実施の形態によれば、スクロール部12に応力が集中することを防止できるため、スクロール部12に亀裂や破損等が発生することを防止できる。
【0042】
・本実施の形態では、第2スクロール部17の端部に拡管部29を形成して、該拡管部29に対して第1スクロール部16の端部をスライド可能な状態で嵌合させることとした。このため、この拡管部29により、第2スクロール部17に対して第1スクロール部16を嵌合させる際に、簡単、かつ、確実に嵌合させることができるようになる。
【0043】
・本実施の形態によれば、第1スクロール部16の端部を液圧バルジ成形で湾曲させるだけで、該端部における曲率半径の小さい側に舌片状をなすタング部30を容易に形成することができる。
【0044】
・本実施の形態では、タング部30を舌片状となるように形成することとした。このタング部30により、スクロール部12のタング部30に剥離境界層が発生しない又は発生しにくい状態で排気ガスをガイドできるため、スクロール部12内の排気ガスの流通を良好な状態で保持することができるようになる。
【0045】
・本実施の形態によれば、第1スクロール部16の端部によってタング部30が形成されているため、従来技術の鋳物製のものと比較してタング部30の肉厚を薄肉にすることができる。
【0046】
・本実施の形態によれば、スクロール部12内の排気ガスの流通を良好な状態で保持できるため、タービン効率の低下を防止できる。
【0047】
・本実施の形態のタービンハウジング11は、従来技術の一体形成された鋳物と比較して、肉厚が薄肉であったり、隙間があったり等して軽量となるため、タービンハウジング11の軽量化が可能となる。
【0048】
・本実施の形態によれば、第1スクロール部16の開口部18がスライド可能な状態で支持されているため、排気ガスの熱に起因して開口部18が熱膨張した場合でも、開口部18がスライドして該応力を分散させることができ、開口部18に応力が集中することを防止できる。
【0049】
・本実施の形態によれば、開口部18に応力が集中することを防止できるため、第1スクロール部16の開口部18やフランジ部15に亀裂や破損等が発生することを防止できる。
【0050】
・本実施の形態では、第1スクロール部16の開口部18とフランジ部15の保持部27との間に隙間を形成することとした。この隙間により、第1スクロール部16の開口部18が熱膨張した場合でも、開口部18が保持部27に干渉することを防止できる。
【0051】
・本実施の形態によれば、フランジ部15の周壁部26と第1スクロール部16の開口部18との間には可撓性を有するSUSメッシュ28が介在されているため、排気ガスの熱に起因して開口部18に応力が発生した場合でも、その応力をSUSメッシュ28に伝達させて緩和させることができ、SUSメッシュ28によっても開口部18に対する応力集中を防止できるようになる。
【0052】
・本実施の形態では、スクロール部12とカバー部13との間に隙間を形成すると共に、スクロール部12をカバー部13で被包することとした。このため、隙間が断熱層としての役割を果たすことができると共に、カバー部13がスクロール部12内を流通する排気ガスの温度を保持する役目を果たすことができるようになる。そのため、スクロール部12内を流通する排気ガスの熱が外部に伝達されにくくなり(奪われにくくなり)、排気ガスの熱エネルギーの有効利用を図ることができる。
【0053】
・本実施の形態によれば、排気ガスの熱エネルギーを利用することにより、例えば、車両のエンジンの始動直後において、タービンハウジング11の下流側に一般に配設される触媒の活性化温度に到達するまでの時間の短縮化を図ることができるようになる。
【0054】
・本実施の形態によれば、タービンハウジング11のスクロール部12、カバー部13、フランジ部14,15及びSUSメッシュ28が耐熱性及び耐食性に優れた材料にて形成されているため、排気ガスの熱の影響を受けにくく、タービンハウジング11の耐久性及び信頼性の向上を図ることができる。
【0055】
・本実施の形態によれば、タービンハウジング11が耐熱性に優れた材料にて形成されているため、エンジンの排気ガス温度を高温域に設定することができるようになる。
【0056】
・本実施の形態によれば、排気ガスの熱エネルギーの損失を最小限に抑えることができる。
【0057】
・本実施の形態では、第1カバー部22を該外側から第2カバー部23のシール部24で重合した状態で溶接することとした。このシール部24により、カバー部13のシール性が保持されているため、仮にスクロール部12からカバー部13内へ排気ガスが漏洩したとしても、タービンハウジング11(特にカバー部13)から排気ガスが漏洩することを防止できる。なお、スクロール部12からカバー部13内へ排気ガスが漏洩したとしても、その漏洩量は微小であって支障を来たすものではない。
【0058】
・本実施の形態によれば、スクロール部12自身のスライド機構だけでなく、バイパス流路20のスライド機構によっても、スクロール部12に発生する応力を緩和することができる。
【0059】
なお、前記実施の形態を次のように変更して実施することもできる。
【0060】
・図4に示される態様のタービンハウジング41を採用してもよい。なお、このタービンハウジング41の構成等においては、前述した従来技術におけるタービンハウジング101と同等である部分については同一の符号を付してその説明を省略することとする。また、このタービンハウジング41は、鋳物製スクロール部102にステンレス鋼製の管状体42を追加したものである。但し、図4に示した管状体42の配設されたスクロール部102の部分は、図6に示したスクロール部102の肉厚よりも若干薄肉となるように形成されている。これにより、図4に示された態様のタービンハウジング41は、図5,図6に示された態様のタービンハウジング101よりも重量増とはなっていない。
【0061】
図4に示すように、このタービンハウジング41は、図6に示したタービンハウジング101のスクロール部102の内面に舌片状をなすタング部43を備えた管状体42を配設したものである。この管状体42は、液圧バルジ成形によって形成されており、排気ガス導入口103側は溶接で接合されると共に、タング部43側の端部はスライド可能となるように溶接で接合されずに自由端となっている。
【0062】
このタービンハウジング41によれば、渦巻き状の排気ガス流路を形成するスクロール部102の内面に配設された管状体42内に排気ガスが流通すると、その排気ガスの熱に起因して管状体42が熱膨張する。この場合、管状体42のタング部43側の端部は、自由端となっているため、熱膨張した際でもスライドしてその応力を分散することができる。そのため、管状体42に応力が集中することを防止できるようになる。
【0063】
また、スクロール部102の一部が管状体42で保護されているため、スクロール部102に発生する応力を緩和できるようになる。すなわち、スクロール部102内に排気ガスが流通してスクロール部102に応力が発生した場合でも、その応力を管状体42に伝達させて緩和できるため、スクロール部102に対する応力集中を防止できる。その結果、タービンハウジング41の耐久性及び信頼性の著しい低下を防止できる。
【0064】
更に、管状体42の舌片状をなすタング部43により、タング部43に剥離境界層が発生しない又は発生しにくい状態で排気ガスをガイドできるため、管状体42及びスクロール部102内の排気ガスの流通を良好な状態で保持できるようになる。なお、このタービンハウジング41によれば、前記実施の形態における効果に準じた効果も奏することができる。
【0065】
加えて、図4に示したタービンハウジング41では、タング部43によって排気ガスの一部をガイドできるため、タング部43側の管状体42と接触するスクロール部102(タング部106を含む)の肉厚を更に薄肉となるように形成してもよい。このようにすれば、タービンハウジング41を軽量のものとすることができる。
【0066】
・前記実施の形態では、スクロール部12を第1スクロール部16と第2スクロール部17とに分割形成することとしたが、スクロール部12を例えば3分割、4分割等に分割形成してもよく、特に前記実施の形態の2分割に限定されるものではない。要は、スクロール部12がスライド可能な状態となるように分割形成されていればよい。
【0067】
・前記実施の形態では、第2スクロール部17に対して第1スクロール部16を嵌合させることとしたが、逆に第1スクロール部に対して第2スクロール部を嵌合させるような構成としてもよい。
【0068】
・前記実施の形態では、第2スクロール部17の端部に拡管部29を形成したが、拡管部29を省略するような構成としてもよい。
【0069】
・前記実施の形態では、第2スクロール部17の端部の拡管部29に対して第1スクロール部16の端部を嵌合させる嵌合構造としたが、この嵌合構造は特に前記実施の形態のものに限定されるものではない。要は、スクロール部12がスライド可能な状態となるような嵌合構造であれば、どのような嵌合構造であってもよい。
【0070】
・前記実施の形態では、第1スクロール部16の端部を湾曲させてタング部30を形成したが、第2スクロール部17の端部を湾曲させて舌片状をなすタング部を形成するような構成としてもよい。
【0071】
・前記実施の形態では、第1スクロール部16と開口部18とを別体形成したが、第1スクロール部16と開口部18とを一体形成してもよい。
【0072】
・前記実施の形態では、耐熱性及び耐食性に優れた材料を用いるようにしたが、特に耐熱性及び耐食性に優れた材料のステンレス鋼や鋳鋼等に限定されるものではない。
【0073】
更に、特許請求の範囲の各請求項に記載されないものであって、前記実施の形態等から把握される技術的思想について、以下にその効果と共に記載する。
【0074】
(a) 請求項1又は請求項2に記載のタービンハウジングにおいて、前記スクロール部を隙間のある状態で被包した外管を有してなることを特徴とするタービンハウジング。
【0075】
このように構成すれば、請求項1、請求項2に記載の発明の効果に加えて、排気ガスの熱エネルギーの有効利用を図ることができる。
【0076】
(b) 請求項1、請求項2及び上記(a)のいずれか一項に記載のタービンハウジングにおいて、前記スクロール部は、耐熱材料にて形成されていることを特徴とするタービンハウジング。
【0077】
このように構成した場合、請求項1、請求項2及び上記(a)に記載の発明の効果に加えて、タービンハウジングの耐久性及び信頼性の向上を図ることができる。
【0078】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、スクロール部の熱容量を大きくしたり、スクロール部に車両走行時の走行風を当てたりしなくても、第1管及び第2管がスライドしてその応力を分散できるため、スクロール部における応力集中を防止することができる。そのため、タービンハウジングの耐久性及び信頼性の著しい低下を防止することができる。
【0080】
請求項1に記載の発明によれば、舌片状をなすタング部を容易に形成することができる。また、タング部における剥離境界層の発生を抑制できて、スクロール部内の排気ガスの流通を良好な状態で保持することができる。更に、タング部の肉厚の薄肉化を図ることができる。
【0081】
請求項2に記載の発明によれば、スクロール部の熱容量を大きくしたり、スクロール部に車両走行時の走行風を当てたりしなくても、スクロール部における応力集中を防止することができる。その結果、タービンハウジングの耐久性及び信頼性の著しい低下を防止することができる。また、タング部における剥離境界層の発生を抑制できて、スクロール部内の排気ガスの流通を良好な状態で保持することができる。更に、タング部の肉厚の薄肉化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態におけるタービンハウジングを示す正面図。
【図2】本実施の形態におけるタービンハウジングを示す縦断面図。
【図3】バイパス流路を示す断面図であって、図1のA−A線断面図。
【図4】別の実施の形態におけるタービンハウジングを示す縦断面図。
【図5】従来技術におけるタービンハウジングを示す正面図。
【図6】従来技術におけるタービンハウジングを示す縦断面図。
【符号の説明】
11 タービンハウジング
12 スクロール部
16 第1スクロール部
17 第2スクロール部
29 拡管部
30 タング部
41 タービンハウジング
42 タング部
43 管状体
102 スクロール部
Claims (2)
- 渦巻き状の排気ガス流路を形成するスクロール部を第1管と第2管とに2分割形成すると共に、該第1管と該第2管とをスライド可能な状態で嵌合させるようにし、該第1管及び該第2管のうちの一方の端部を湾曲させることにより、該端部における曲率半径の小さい側には、タング部が舌片状をなすように形成されていることを特徴とするタービンハウジング。
- 渦巻き状の排気ガス流路を形成するスクロール部の内面に舌片状をなすタング部を備えた管状体を配設し、該管状体の端部をスライド可能となるように形成したことを特徴とするタービンハウジング。
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