JP3597409B2 - 交流電動機始動装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、交流電動機の始動装置に係わり、特に、少ない台数の始動用インバータにより各交流電動機の寿命を損なうことなく始動を行う交流電動機始動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
小容量誘導電動機等の始動は、通常、商用電源の全電圧を直接電動機巻線に印加する、いわゆる直入始動によって行われる。しかし、頻繁に発停を繰り返す使用環境では、直入始動の際の大電流のため巻線温度が上昇し、そのような温度上昇を頻繁に繰り返すと交流電動機の寿命を縮める。これに対し、インバータを介して始動電流を制限するインバータ始動によれば短寿命化を防止することができる。
【0003】
交流電動機のインバータ始動にはVVVFのようなインバータを商用電源と並列に設け、交流電動機が定常回転に達した後はインバータから商用電源に切り替えて運転する。そのため、始動終了後はインバータが遊休化する。なお、商用電源へのスムーズな切り替えのため、同期切り替えが望ましい。
【0004】
図3は、従来の交流電動機始動装置の構成を示すブロック図である。
【0005】
電源ラインLには、それぞれノーヒューズ遮断器111,121,…,1n1、インバータ211,221,…,2n1、交流電磁接触器311,321,…,3n1を介して交流電動機411,421,…,4n1が接続されている。また、電源ラインLと各交流電動機411,421,…,4n1間には、それぞれノーヒューズ遮断器111,121,…,1n1、インバータ211,221,…,2n1、交流電磁接触器311,321,…,3n1と並列に、それぞれノーヒューズ遮断器112,122,…,1n2、交流電磁接触器312,322,…,3n2が接続されている。
【0006】
上記の構成において、始動時には、交流電磁接触器311,321,…,3n1を投入し、インバータ211,221,…,2n1によって始動電流を低減したソフトスタートによる運転が実行される。
【0007】
所定の始動運転時間が終了すると、交流電磁接触器311,321,…,3n1が開かれるとともに、交流電磁接触器312,322,…,3n2が閉じられて商用電源による運転が実行される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来のインバータ式の交流電動機始動装置では、交流電動機411,421,…,4n1のそれぞれに1台ずつインバータ211,221,…,2n1を設けていたので、装置が大型化するとともに、そのための設備費用が高価になるという問題点があった。
【0009】
本発明は上記事情に鑑み、頻繁に発停を繰り返す複数の交流電動機を対象として、従来よりも少ない台数の始動用インバータによって各電動機の寿命を損なうことなく始動を行うことができる交流電動機始動装置を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明は、請求項1では、複数の交流電動機の始動を制御するために、1台のインバータと、各交流電動機を商用電源又はインバータに選択的に接続する交流電磁接触器と、制御装置とを備えてなる交流電動機始動装置であって、前記制御装置は、各交流電動機について過去の直入始動回数及びインバータ始動回数を記憶する一方、複数の交流電動機を同時始動する場合は、当該複数の交流電動機における直入始動回数を平均化させるように直入始動又はインバータ始動を選択することを特徴としている。
【0011】
請求項2では、請求項1に記載の交流電動機始動装置において、前記制御装置は、同時始動される交流電動機のうち、過去の直入始動回数が最多である交流電動機をインバータ始動し、他を直入始動することを特徴としている。
【0012】
請求項3では、請求項1に記載の交流電動機始動装置において、前記制御装置は、同時始動される交流電動機中、複数の交流電動機について直入始動回数が最多同数であるときは、そのうち過去のインバータ始動回数が最少である交流電動機をインバータ始動し、他を直入始動することを特徴としている。
【0013】
請求項4では、請求項3に記載の交流電動機始動装置において、前記制御装置は、前記同時始動交流電動機中、複数の交流電動機について直入始動回数が最多同数、かつインバータ始動回数が最少同数であるときは、交流電動機の設備管理番号に従って選ばれる交流電動機をインバータ始動し、他を直入始動することを特徴としている。
【0014】
請求項5では、請求項1に記載の交流電動機始動装置において、前記制御装置は、過去の直入始動及びインバータ始動の実行順序をも併せ記憶し、前記同時始動交流電動機のうち、最近の連続する直入始動回数が最多である交流電動機をインバータ始動し、他を直入始動することを特徴としている。
【0015】
頻繁に発停を繰り返す複数の交流電動機においても、複数の交流電動機を同時始動する機会より単独始動の機会の方が一般には多い。一方、インバータは上述のように始動終了後は遊休化する。従って、異なる時点で次々に単独始動する交流電動機にインバータが順次サービスを行うことにより、1台のインバータを複数の交流電動機で共用できる可能性がある。本発明の始動装置ではこの可能性に着目して複数の交流電動機に1台のインバータを配する。
【0016】
しかしながら、複数の交流電動機を同時始動する機会はゼロではない。それが現実となったとき、1台のインバータを複数の交流電動機で共用していると、インバータ始動サービスを受けられない交流電動機が生じることになる。
【0017】
このような状況のとき、本発明では、直入始動であってもそれが頻繁に重ならない限りその影響は著しくないことに基づき、各交流電動機の直入始動回数が平均化するようにインバータ始動又は直入始動を選択する。こうすることにより、特定の交流電動機のみ直入始動回数が多くなって、その寿命が損なわれることを防止できる。なお、任意の交流電動機を単独始動する場合に、インバータが空いていて利用可能ならば、常にインバータ始動することは当然である。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1は本発明による交流電動機始動装置の実施の形態を示す回路図、図2は時間軸に沿って各交流電動機の運転−停止状態を表示するタイムチャートである。
【0019】
図1に示すように、この実施の形態では、電源ラインLにノーヒューズ遮断器110を介してインバータ210が1台接続されており、このインバータ210には、交流電磁接触器311,321,…,3n1を介して各交流電動機411,421,…,4n1が接続されている。また、各交流電動機411,421,…,4n1と電源ラインLとの間には、それぞれ前記インバータ210と並列にノーヒューズ遮断器111,121,…,1n1、交流電磁接触器312,322,…,3n2が接続されている。さらに、インバータ210の運転、および交流電磁接触器311,321,…,3n1、並びに交流電磁接触器312,322,…,3n2の開閉は制御装置500により制御されている。
【0020】
制御装置500は内部に記憶装置(図示せず)を有し、各交流電動機411,421,…,4n1についての過去のインバータ始動回数及び直入始動回数を記憶する一方、それらの回数が各交流電動機において平均化するようにインバータ始動か直入始動かの選択を行う。
【0021】
次に上述の交流電動機始動装置の作用を図2を参照して説明する。
【0022】
図2のタイムチャートでは、交流電動機M1とM4が同時に始動されて同時に停止し、次いで交流電動機M2、M3がそれぞれ単独で始動されて停止し、さらに交流電動機M1とM4が同時に始動されて同時に停止する運転パターンを示している。
【0023】
このパターンにおいて、制御装置500では、過去のインバータ始動回数及び直入始動回数が各交流電動機において平均化するように判断される。最初に交流電動機M1とM4が始動される際は、例えば交流電動機M1がインバータ始動、交流電動機M4が直入始動され、交流電動機M2、M3はいずれもインバータ始動される。この場合、制御装置500内の前記記憶装置には、直入始動回数及びインバータ始動回数が記憶される。
【0024】
次に、再び交流電動機M1とM4が同時に始動される際は、上と同様に制御装置500の判断によって交流電動機M1が直入始動、交流電動機M4がインバータ始動される。その結果、交流電動機M1とM4におけるインバータ始動回数と直入始動回数はそれぞれ1回づつ増加し、平均化が実現される。
【0025】
このように、この実施の形態によれば、各交流電動機の直入始動回数が平均化するようにインバータ始動又は直入始動を選択するようにしたので、特定の交流電動機のみ直入始動回数が多くなって、その寿命が損なわれることを防止でき、また、1台のインバータによって複数の交流電動機の始動を行うので、交流電動機始動装置がコンパクトになり、そのため設備費を低減することができる。
【0026】
<他の実施の形態>
以上の実施の形態では、制御装置500は、複数の交流電動機を同時始動する場合は、当該複数の交流電動機における直入始動回数を平均化させるように直入始動又はインバータ始動を選択するように制御したが、この場合、以下のようの判断基準の下で運転を実行しても良い。
【0027】
第1に各交流電動機の直入始動回数を平均化させるための判断基準として、同時始動される複数の交流電動機のうち、過去の直入始動回数が最多である交流電動機をインバータ始動し、他を直入始動するようにする。
【0028】
第2の判断基準として、2以上の交流電動機を同時に始動する場合において、始動対象である複数の交流電動機について直入始動回数が最多同数であるときは、そのうち過去のインバータ始動回数が最少である交流電動機をインバータ始動し、他を直入始動するのである。この判断基準は、制御装置500を判断不能に陥らせないために必要である。
【0029】
第3の判断基準として、始動対象である複数の交流電動機について直入始動回数が最多同数、かつインバータ始動回数も最少同数であるときは、例えば交流電動機の設備管理番号の大小に従って選ばれる交流電動機をインバータ始動するのである。ここにいう設備管理番号は、インバータ始動する交流電動機を特定できれば他のデータであってもよい。過去の直入始動回数と共にインバータ始動回数まで勘案しても優先順位を決定できない場合に配慮して、このような最終ルールを設けておくのである。
【0030】
第4の判断基準として、制御装置500が過去の直入始動及びインバータ始動の実行順序をも併せ記憶し、複数の交流電動機を同時始動する場合は、最近の連続する直入始動回数が最多である交流電動機をインバータ始動し、他を直入始動するというものである。これは、直入始動が短時間に連続して行われると寿命に悪影響を及ぼすことに基づく判断基準であるが、さらに各始動の時間間隔を考慮した判断基準も可能である。なお、上記回数が複数の交流電動機で最多同数である場合に対し、上記第2、第3の判断基準と同様の判断基準を用意しておくことが望ましい。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の交流電動機始動装置によれば、1台のインバータによって複数の交流電動機の始動を行うので交流電動機始動装置がコンパクトになり、そのため設備費を低減することができる。
【0032】
また、この交流電動機始動装置が内蔵する始動ルールによれば、各交流電動機に対するインバータ始動の機会が平均化されるので、特定の交流電動機のみ直入始動回数が多くなってその寿命が短くなることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による交流電動機始動装置の実施の形態を示す構成図である。
【図2】図1に示した交流電動機始動装置を用いるときの各交流電動機の運転−停止状態を時間軸に沿って表示するタイムチャートである。
【図3】従来の交流電動機始動装置の一例を示す構成図である。
【符号の説明】
L:電源ライン
110,111,・・・,1n1:ノーヒューズ遮断器
210…インバータ
311,312,・・・,3n1,3n2:交流電磁接触器
411,421,・・・,4n1:交流電動機
500:制御装置

Claims (5)

  1. 複数の交流電動機の始動を制御するために、1台のインバータと、各交流電動機を商用電源又はインバータに選択的に接続する交流電磁接触器と、制御装置とを備えてなる交流電動機始動装置であって、
    前記制御装置は、
    各交流電動機について過去の直入始動回数及びインバータ始動回数を記憶する一方、
    複数の交流電動機を同時始動する場合は、当該複数の交流電動機における直入始動回数を平均化させるように直入始動又はインバータ始動を選択する、
    ことを特徴とする交流電動機始動装置。
  2. 請求項1に記載の交流電動機始動装置において、
    前記制御装置は、同時始動される交流電動機のうち、過去の直入始動回数が最多である交流電動機をインバータ始動し、他を直入始動する、
    ことを特徴とする交流電動機始動装置。
  3. 請求項1に記載の交流電動機始動装置において、
    前記制御装置は、同時始動される交流電動機中、複数の交流電動機について直入始動回数が最多同数であるときは、そのうち過去のインバータ始動回数が最少である交流電動機をインバータ始動し、他を直入始動する、
    ことを特徴とする交流電動機始動装置。
  4. 請求項3に記載の交流電動機始動装置において、
    前記制御装置は、前記同時始動交流電動機中、複数の交流電動機について直入始動回数が最多同数、かつインバータ始動回数が最少同数であるときは、交流電動機の設備管理番号に従って選ばれる交流電動機をインバータ始動し、他を直入始動する、
    ことを特徴とする交流電動機始動装置。
  5. 請求項1に記載の交流電動機始動装置において、
    前記制御装置は、過去の直入始動及びインバータ始動の実行順序をも併せ記憶し、前記同時始動交流電動機のうち、最近の連続する直入始動回数が最多である交流電動機をインバータ始動し、他を直入始動することを特徴とする交流電動機始動装置。
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