JP3597399B2 - 耐震性地中構造物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐震性地中構造物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、開削トンネルは地中に掘った穴に構築される。図3は、矩形状の地中構造物本体1を地中に掘った穴Hに構築したものの従来例を示している。図3において、地中構造物本体1の上スラブ1aには、地中構造物本体1を埋設状態におくための土や砂等2が隙間なく被せられている。これら土や砂等2は、地中構造物本体1の上スラブ1aに載せられるので、以下「上載土2」ということにし、地中構造物本体1の上スラブ1a以外の外壁面に対応する穴Hの土や砂のことを「周辺埋設土3」と便宜上いうことにする。なお、図3、図4に符号1bで示すものは、地中構造物本体1内の空間部であって、この中を車や電車が通れるようになっている。
【0003】
地中構造物本体1は矩形状であるからその上スラブ1aは平面形状をしている。このような平面形状の上スラブ1aを有する地中構造物本体1を穴Hに構築してから上載土2を被せて埋設すると、上載土2は、上スラブ1aで受け止められる。そして、地中構造物本体1は、通常、地中深く埋設されるので、上スラブ1aに掛かる上載土2の重量はかなり重い。このため、地中構造物本体1は、上スラブ1aを介して上載土2によって下方に押圧される。すなわち、上載土2は、その重量が土圧として地中構造物本体1の上スラブ1aに直接作用する。
【0004】
一方、地中構造物本体1はコンクリートでできているため、一般には、地中構造物本体1周りにある上載土2や周辺埋設土3よりも剛性が高い。したがって、地中構造物本体1を含む地面が、例えば地震によって図3の矢印4で示すような横揺れをすると、そのときの慣性力によって上載土2は、図4で示すように地中構造物本体1に対して相対的に位置ずれを起こす。
【0005】
このような位置ずれを生じると、上載土2の重量は、単なる土圧として上スラブ1aに作用するのではなく、せん断土圧(矢印4と逆の方向に上スラブ1aを水平方向に引っ張る力)として作用してしまう。このため、上載土2と上スラブ1aとの間では、大きな摩擦力を生ずる。この摩擦力が、地中構造物本体1に大きなせん断変形を生じさせてしまう虞れがある。
【0006】
そこで、従来は、地中構造物本体1に用いられる鉄筋の数を増やしたり、コンクリートの使用量を増やしたりすることにより地中構造物本体1の強度を高め、これによって地中構造物本体1が地震時に損傷を受けるのを防止してきた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の地中構造物本体1においては、上述のように鉄筋の数やコンクリートの使用量を増やすことにより、強度を上げる必要があるので、コストアップになるという問題があった。
【0008】
本発明の目的は、かかる従来の問題点を解決するためになされたもので、地震時に大きな摩擦力が地中構造物本体に伝わるのを防止できると共に、直土圧が極度に増大するのを防止でき、これにより強度を増大させる必要がなく、コストアップを従来より抑えた地中構造物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、耐震性地中構造物であり、前述の技術的課題を解決するために以下のように構成されている。すなわち、埋設状態にある地中構造物本体と、この地中構造物本体の上スラブ上に布設された低摩擦材からなる滑り部とから構成され、前記滑り部が前記上スラブの上面より広い範囲に亘って布設されることにより、前記滑り部の端部が前記地中構造物本体から所定の距離だけ離れた位置に配置され、前記滑り部と前記地中構造物との間の摩擦力が、前記地中構造物本体に上載土を直接載せた場合に前記上載土と前記地中構造物本体との間で生じる摩擦力よりも小さく、
前記滑り部の端部と前記地中構造物との間の前記所定の距離は、地震発生時に前記滑り部の端部に発生する地盤応力が、前記滑り部の端部から前記地盤内に分散された際に、この分散された前記地盤応力が、前記地中構造物本体に作用するのを抑制する距離であることを特徴とする。
【0010】
この耐震性地中構造物は、地震時に上スラブと上載土の間に生じる摩擦力が極端に大きくならない。また、滑り部の端部が地中構造物本体から離れているので、滑り部の端部に発生する地盤応力の地盤内における分散力が地中構造物本体に作用するのを防止でき、これにより、地中構造物に作用する直土圧が増加するのを防止できる。これらにより、地中構造物本体に作用する地震時の土圧荷重を小さくすることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る耐震性地中構造物の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明に係る耐震性地中構造物A1を示す。この耐震性地中構造物A1は、地中構造物本体1と、その上スラブ1aの上面に配置された低摩擦材からなる滑り部5とから構成されており、地中構造物本体1は滑り部5とともに埋設される。滑り部5は、地中構造物本体1の上スラブ1aの上面より広い範囲に亘って布設されており、滑り部5の端部5aが地中構造物本体1から所定の距離Lだけ離れている。
【0013】
なお、ここでいう低摩擦材は、この低摩擦材と地中構造物本体1との間に発生する摩擦力が、地中構造物本体1に上載土2を直接載せた場合に上載土2と地中構造物本体1との間に発生する摩擦力よりも小さくなるような材料で形成されたものである。
【0014】
本実施の形態の耐震性地中構造物A1が上述の従来技術(図3、図4)と異なる点は、地中構造物本体1の上スラブ1a上に地中構造物本体1の上スラブ1aの上面より広い範囲に亘って滑り部5を被せ、この状態で地中構造物本体1を埋設した点にある。これ以外の構成は、図3に示された従来の地中構造物1の場合と同一であるので、同一の部分には同一の符号を付けて詳細な説明を省略する。
【0015】
埋設状態にある地中構造物本体1が例えば地震等の振動によって上載土2と位置ずれを生じた際に、滑り部5とこの滑り部5が被される上スラブ1aとの間で生ずる摩擦力が滑り部5を上スラブ1aに被せなかったときの摩擦力、すなわち上スラブ1aに上載土2を直接被せたときに両者間で生ずる摩擦力よりも小さくなるように、上スラブ1aとの間の摩擦係数が、すなわち滑り部5の材質やその状態が、設定されたものであればよい。また、この滑り部5は、長期間、地中で存在しなければならないものであるので、熱や寒さ、湿気その他の外的要因に耐え得るようになっている。
【0016】
このような耐震性地中構造物A1を地中に埋設すると、滑り部5と地中構造物本体1との間で生じる摩擦力の方が、地中構造物本体1と上載土2との間で生じる摩擦力よりも小さくなる。
【0017】
その結果、例えば地震の発生によって横方向への位置ずれを生じるほどに耐震性地中構造物A1が揺れて、そのときの慣性力の影響で地中構造物本体1がその周囲の上載土2や周辺埋設土3に対して位置ずれを生じたとしも、上スラブ1aと滑り部5との間で生じる摩擦力は小さくなるので、地中構造物本体1の強度を従来ほど増大することなく、すなわち、地中構造物本体1に使用する鉄筋やコンクリートの使用量を従来ほど増やすことなく、地中構造物本体1の地震時の損傷を防止することができる。
【0018】
また、このときには、図2に示すように、滑り部5の端部5aに地盤応力Pが発生し、この地盤応力Pが所定の角度θで周辺埋設土3に分散される。そして、本実施の形態では、滑り部5の端部5aが地中構造物本体1から所定の距離Lだけ離れているので、地盤応力Pの分散力が地中構造物本体1に作用するのを防止することができ、これにより、周辺埋設土3から地中構造物本体1に作用する直土圧Qが増大するのを防止できる。
【0019】
なお、滑り部5の端部5aと地中構造物本体1との距離Lが小さいと地盤応力Pの分散力が地中構造物本体1に作用してしまうので、距離Lを適切に設定する必要がある。
【0020】
このように、本発明に係る耐震性地中構造物においては、地震時に地中構造物本体1に作用する摩擦力が小さくなると共に、滑り部5の端部5aに発生する地盤応力Pの分散力が地中構造物本体1に作用するのを防止できるので、地中構造物本体1の鉄筋の数やコンクリートの使用量を従来ほど増やすことなく、実質的に地中構造物本体1の強度を高めたと同じにできるので、コストダウンを図ることができる。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の耐震性地中構造物によれば、地震時に発生する地中構造物と上載土との摩擦力を小さくできると共に、滑り部の端部に生じる地盤応力が地中構造物に作用するのを防止することにより、周辺地盤から地中構造物に作用する直土圧が増大するのを防止できるので、地中構造物が使用する鉄筋の数やコンクリートの使用量を従来ほど増やして強度を高める必要がないため、コストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る耐震性地中構造物を示す断面図である。
【図2】本発明に係る耐震性地中構造物の地震時の作用を説明する断面図である。
【図3】従来例に係る地中構造物を示す断面図である。
【図4】従来例に係る地中構造物の地震時の作用を示す断面図である。
【符号の説明】
A1 耐震性地中構造物
1 地中構造物本体
1a 上スラブ
2 上載土
5 滑り部
5a 端部
Claims (1)
- 埋設状態にある地中構造物本体と、この地中構造物本体の上スラブ上に布設された低摩擦材からなる滑り部とから構成され、前記滑り部が前記上スラブの上面より広い範囲に亘って布設されることにより、前記滑り部の端部が前記地中構造物本体から所定の距離だけ離れた位置に配置され、前記滑り部と前記地中構造物との間の摩擦力が、前記地中構造物本体に上載土を直接載せた場合に前記上載土と前記地中構造物本体との間で生じる摩擦力よりも小さく、
前記滑り部の端部と前記地中構造物との間の前記所定の距離は、地震発生時に前記滑り部の端部に発生する地盤応力が、前記滑り部の端部から前記地盤内に分散された際に、この分散された前記地盤応力が、前記地中構造物本体に作用するのを抑制する距離であることを特徴とする耐震性地中構造物。
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1998
- 1998-10-20 JP JP29869298A patent/JP3597399B2/ja not_active Expired - Fee Related
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