JP3596924B2 - スポンジケーキ製造用焼き型組み立てセット - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、簡単な操作で風味の良いスポンジケーキを製造するために用いられるスポンジケーキ焼き型セットに関する。
【0002】
【従来の技術】
実公昭60−21972号公報には、糖液を主成分として食用油脂及び乳化剤を含む乳化物と小麦粉を主成分とする粉末材料とからなる卵以外のスポンジケーキ材料、そして円形底板と下辺側に噛み合わせ部分を有する筒状体形成用シートとからなる組み立て式ケーキ焼き型を組合せたスポンジケーキセットが記載されている。
【0003】
このスポンジケーキセットは、例えば、まず円形底板と筒状部分形成用シートとを組み合せて焼き型を組み立て、別に用意した卵(通常は全卵が用いられる)と共に、糖液を主成分として食用油脂及び乳化剤を含む乳化物と小麦粉を主成分とする粉末材料とを撹拌して泡立て、ケーキ生地を調製し、次いで焼き型にケーキ生地を流し込み、その状態でケーキ生地を焼いてスポンジケーキとし、その後に焼きあがったスポンジケーキを焼き型から離脱させてスポンジケーキとする方法を利用して、特に家庭内などでスポンジケーキを製造する方法に利用される。上記公報によれば、この方法により家庭内においても容易に味の良いスポンジケーキが製造できるとされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者の検討によると、上記の公報に記載の組成のスポンジケーキ材料とケーキ焼き型のセットを利用することによって、確かに味の良いスポンジケーキが手軽に製造することが可能であるが、焼き上ったスポンジケーキが焼き型に堅く付き易く、このためスポンジケーキを焼き型から離脱させる際にスポンジケーキの型崩れや部分的な損傷が発生しやすいことが分った。このようなスポンジケーキの型崩れや部分的な損傷は、スポンジケーキの味自体には全く影響も与えないが、外観が悪くなるため極力避ける必要がある。従って、そのような型崩れや損傷を避けるために、細心の注意が必要となる。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、小麦粉と砂糖とを主成分とし、さらに粉末状植物油脂と乳化剤とを含む粉末状のケーキミックスを全卵と共に攪拌することにより泡立ててケーキ生地を調製する工程、スポンジケーキ焼き型にケーキ生地を流し込み、その状態でケーキ生地を焼いてスポンジケーキとする工程、そして焼きあがったスポンジケーキを焼き型から離脱させる工程からなる方法でスポンジケーキを製造する際に用いる、直径10〜30cmの円形底板と下辺に噛み合い部分を有する筒状体とからなる焼き型組み立てセットであって、該筒状体が、一方の短辺に沿って付設された突片と、他方の短辺に沿って、その内側に形成された切り込みとを有する細長い長方形の形状にあり、かつ該底板と該筒状体のいずれもが坪量150〜800g/m2のコート紙から形成されていることを特徴とする焼き型組み立てセットにある。
【0006】
また、本発明は、砂糖と粉末状植物性油脂とを主成分とする粉末材料を全卵と共に攪拌することにより泡立てる工程、小麦粉と砂糖とを主成分とする粉末材料を上記で泡立てた材料と混合してケーキ生地を調製する工程、スポンジケーキ焼き型にケーキ生地を流し込み、その状態でケーキ生地を焼いてスポンジケーキとする工程、そして焼きあがったスポンジケーキを焼き型から離脱させる工程からなる方法でスポンジケーキを製造する際に用いる、直径10〜30cmの円形底板と下辺に噛み合い部分を有する筒状体とからなる焼き型組み立てセットであって、該筒状体が、一方の短辺に沿って付設された突片と、他方の短辺に沿って、その内側に形成された切り込みとを有する細長い長方形の形状にあり、かつ該底板と該筒状体のいずれもが坪量150〜800g/m2のコート紙から形成されていることを特徴とする焼き型組み立てセットにもある。
【0007】
即ち、本発明は、上記の従来技術の準備や操作が手軽にでき、かつ味の良いスポンジケーキの製造方法における、焼き上ったスポンジケーキの焼き型からの離脱の困難性を回避することを可能とする方法として、焼き型を特定の厚さ(坪量で規定)のコート紙を用いて形成し、かつスポンジケーキ材料の油脂成分として粉末状の植物性油脂を用いる方法を提供するものである。このような粉末状のスポンジケーキ材料と焼き型とを組み合せて用いることにより、出き上るスポンジケーキとしての味が上記の公報に記載のスポンジケーキに匹敵し、かつ焼き上ったスポンジケーキの焼き型からの離脱が容易な(すなわち、型離れが良い)スポンジケーキの製造が可能となる。
【0008】
次に本発明を詳しく説明する。
本発明で用いるスポンジケーキ焼き型は、坪量150〜800g/m2 のコート紙からなる直径10〜30cmの円形底板と、坪量150〜800g/m2 の下辺に噛み合い部分を有する筒状体を構成するコート紙とを組み合せて作成する有底円筒形状の焼き型である。そのようなスポンジケーキの焼き型の構造は、前記の実公昭60−21972号公報、そして実公昭60−38375号公報に記載されている。
【0009】
本発明で用いるスポンジケーキ焼き型の一例を、添付図面により説明する。
図1はコート紙からなる円形底板11を、そして図2は、下辺に噛み合い部分12を有する筒状体を構成するコート紙13を示す。コート紙はいずれの場合も坪量が150〜800g/m2 の比較的厚手のものを用いる。コート紙13の一方の端部には、その反対側の端部近傍に設けられた切り込み14とはめ合されて筒状体を形成するための突片15が付設されている。
【0010】
本発明においてスポンジケーキ焼き型を形成するには、まずコート紙13の両端部を、突片15と切り込み14とをはめ合せることにより結合させ、筒状体を形成させる。その筒状体の形成の後、あるいはその前に、コート紙13の下辺の噛み合い部分12を筒状体の内側に向けて折りまげる。図3は、コート紙13が筒状体を形成し、かつ噛み合い部分12が筒状体の内側に向けて折りまげられた状態を示している。
【0011】
次いで、図3の筒状体の内側に円形底板11をはめこみ、図4に示すスポンジケーキ焼き型の作成が完了する。
【0012】
次に、本発明のスポンジケーキ製造材料について説明する。本発明のスポンジケーキ材料としては、全卵以外の粉末状植物性油脂、小麦粉、砂糖などのケーキ形成成分を一緒に混合した粉末材料(いわゆるワンミックスタイプ)そして粉末状植物性油脂成分を主成分とする粉末状組成物と小麦粉を主成分とする粉末状組成物とを別々に用意し、それらを順次用いるようにされている材料(いわゆるツウミックスタイプ)とがある。いずれの場合も、製造材料には、砂糖が含まれ、また乳化剤も用いられるが、ワンミックスタイプの場合も、ツウミックスタイプの場合も、全て粉末状態で用意し、使用する。
小麦粉、砂糖、乳化剤は通常のスポンジケーキ製造に用いられるものと同様なものが用いられる。
【0013】
本発明で用いられる粉末状植物性油脂は、植物性油脂自体が固形のものを用いて粉末化したものか、あるいは液状の植物性油脂を適当な担体(固化剤)を用いて粉末としたものである。本発明で利用することができる固形の植物性油脂の例としては下記のものを挙げることができる。
(イ)融点50℃のパーム硬化油を溶解し、スプレークーラーで噴霧冷却したもの(油分100%)
(ロ)融点55℃のヤシ硬化油を融解したものを、モノグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、カゼイン・ナトリウム、乳糖と混合したのち、水に乳化分散(70重量%)させ、スプレードライで噴霧乾燥したもの(油分:蛋白質:糖:乳化剤=70:10:10:10、重量比)。
また、本発明で用いることができる液状の植物性油脂を担体(固化剤)を用いて粉末としたものの例としては下記のものを挙げることができる。
(ハ)常温で液体のヤシ油を、モノグリセリン脂肪酸エステル、レシチン、カゼイン・ナトリウム、乳糖と混合したのち、水に乳化分散させ、スプレードライで噴霧乾燥したもの(油分:蛋白質:糖:乳化剤=70:10:10:10、重量比)。
(ニ)常温で液体の大豆油を、モノグリセリン脂肪酸エステル、ゼラチン、デキストリンと混合したのち、水に乳化分散させ、スプレードライで噴霧乾燥したもの(油分:蛋白質:糖:乳化剤=50:20:20:10、重量比)。
本発明のスポンジケーキ製造材料における各成分の使用割合には特に限定はなく、通常のスポンジケーキ製造材料の成分割合に準じて適宜決定される。
【0014】
本発明のスポンジケーキ製造材料を用いたスポンジケーキの製造工程は、焼き型を組み立てる工程、スポンジケーキ製造材料と全卵などから撹拌を使用して泡立てたケーキ生地を調製する工程、ケーキ生地を焼き型に注入する工程、焼き型に注入されたケーキ生地をそのままオーブンなどを用いて焼き上げる工程、そして最後に焼き上ったスポンジケーキを焼き型から離脱させる工程がある。スポンジケーキを焼き型から離脱させる際には、焼き型は、そのままであってもよく、あるいは必要に応じて、筒状体を分解もしくは切断したのち、スポンジケーキを取り出してもよい。これらの工程の各々は、通常の紙製の焼き型を用いるスポンジケーキの製造方法において既に知られており、本発明のスポンジケーキの製造方法においても、そのような公知の方法を利用することができる。
【0015】
次に、本発明の実施例を比較例とともに示す。
【実施例】
[実施例1〜3]及び[比較例1〜2]
(1)ケーキミックス組成と焼き型材料
下記の組成のワンミックスタイプの粉末状スポンジケーキ製造材料組成物(ケーキミックス)を調製した。なお、「%」は「重量%」を表わす。また、各実施例と比較例で用いた焼き型のコート紙(円形底板コート紙と筒状体形成用コート紙の両方に同一の坪量のコート紙を用いた)の坪量を示す。
【0016】
【0017】
【0018】
(2)スポンジケーキの製造方法
1)直径20cmの円形底板コート紙と幅12cm(噛み合い部分3cm)の筒状体形成用コート紙を用いて直径20cm、高さ9cmの図4に示す形態の筒状体焼き型を作成した。
2)卵3個(165g)と牛乳20mLとを混合し、これに上記組成のケーキミックス200gを添加し、それをハンドミキサを用い、高速条件で3分間泡立ててケーキ生地を調製し、このケーキ生地を上記の焼き型に流し込み、これをオーブンに入れて160℃で40分間焼きスポンジケーキを調製した。その後、このスポンジケーキをオーブンから取り出し、室温下に放置した。最後に、焼き型を手で外し、スポンジケーキを取り出した。
【0019】
【0020】
【0021】
[実施例4〜6]及び[比較例3〜5]
(1)ケーキミックス組成と焼き型材料
下記の組成のツウミックスタイプの粉末状スポンジケーキ製造材料組成物(ケーキミックスA、B)をそれぞれ調製した。なお「%」は「重量%」を表わす。また、各実施例と比較例で用いた焼き型のコート紙(円形底板コート紙と筒状体形成用コート紙の両方に同一の坪量のコート紙を用いた)の坪量を示す。
【0022】
【0023】
【0024】
(2)スポンジケーキの製造方法
1)直径20cmの円形底板コート紙と幅12cm(噛み合い部分3cm)の筒状体形成用コート紙を用いて直径20cm、高さ9cmの図4に示す形態の筒状体焼き型を作成した。
2)ケーキミックスAを65g、そして卵3個(165g)と牛乳50mLを混合し、それをハンドミキサを用い、高速条件で4分間泡立てて、次いでこれにケーキミックスBを150g添加混合し、ケーキ生地を調製した。次いで、このケーキ生地を上記の焼き型に流し込み、これをオーブンに入れて160℃で40分間焼きスポンジケーキを調製した。その後、このスポンジケーキをオーブンから取り出し、室温下に放置した。最後に、焼き型を手で外し、スポンジケーキを取り出した。
【0025】
【0026】
【0027】
【発明の効果】
本発明のスポンジケーキの製造方法を利用することにより、スポンジケーキとしての風味が良く、かつその製造時に焼き型に付着しにくく、焼き上ったスポンジケーキを焼き型から外す際に、特に細心の注意を払わなくとも、スポンジケーキの型崩れや部分的な損傷が発生しにくいスポンジケーキを製造することができる。従って、本発明のスポンジケーキの製造方法は、特に家庭内で手軽に風味の良いスポンジケーキを作る際に特に有利に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いる焼き型の底板となるコート紙からなる円形底板の例を示す。
【図2】本発明の焼き型の筒状体を構成するコート紙を示す。
【図3】図2のコート紙で形成した筒状体を示す。
【図4】スポンジケーキ焼き型の形状の例を示す。
【符号の説明】
11 円形底板
12 噛み合い部分
13 筒状体を構成するコート紙
14 切り込み
15 突片
Claims (2)
- 小麦粉と砂糖とを主成分とし、さらに粉末状植物油脂と乳化剤とを含む粉末状のケーキミックスを全卵と共に攪拌することにより泡立ててケーキ生地を調製する工程、スポンジケーキ焼き型にケーキ生地を流し込み、その状態でケーキ生地を焼いてスポンジケーキとする工程、そして焼きあがったスポンジケーキを焼き型から離脱させる工程からなる方法でスポンジケーキを製造する際に用いる、直径10〜30cmの円形底板と下辺に噛み合い部分を有する筒状体とからなる焼き型組み立てセットであって、該筒状体が、一方の短辺に沿って付設された突片と、他方の短辺に沿って、その内側に形成された切り込みとを有する細長い長方形の形状にあり、かつ該底板と該筒状体のいずれもが坪量150〜800g/m2のコート紙から形成されていることを特徴とする焼き型組み立てセット。
- 砂糖と粉末状植物性油脂とを主成分とする粉末材料を全卵と共に攪拌することにより泡立てる工程、小麦粉と砂糖とを主成分とする粉末材料を上記で泡立てた材料と混合してケーキ生地を調製する工程、スポンジケーキ焼き型にケーキ生地を流し込み、その状態でケーキ生地を焼いてスポンジケーキとする工程、そして焼きあがったスポンジケーキを焼き型から離脱させる工程からなる方法でスポンジケーキを製造する際に用いる、直径10〜30cmの円形底板と下辺に噛み合い部分を有する筒状体とからなる焼き型組み立てセットであって、該筒状体が、一方の短辺に沿って付設された突片と、他方の短辺に沿って、その内側に形成された切り込みとを有する細長い長方形の形状にあり、かつ該底板と該筒状体のいずれもが坪量150〜800g/m2のコート紙から形成されていることを特徴とする焼き型組み立てセット。
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JPH08173015A JPH08173015A (ja) | 1996-07-09 |
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-
1994
- 1994-12-27 JP JP33781294A patent/JP3596924B2/ja not_active Expired - Lifetime
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